JP4127923B2 - 水性インクジェット記録液およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性インクジェット記録液に関し、より詳しくは、高い印字濃度でにじまず、さらに速やかな乾燥性と良好な耐摩擦性、耐水性を有する水性インクジェット記録液に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録液の分野において、印字の速度および品位の向上、そして吐出安定性は非常に重要な研究課題である。
【0003】
特に、本発明で対象とする水性インクジェット記録液は、揮発性溶剤系と比較して相対的に蒸発乾燥が遅く、それが高速化を図る上で障害となることが多い。そこで、浸透性を有する紙などに印字する場合は、系の表面張力を極力低くして、液滴の溶剤成分を紙中に浸透させ(浸透乾燥)、蒸発乾燥の遅延をカバーする方法が検討されている。
【0004】
現在、市販されているインクジェット記録液は、ほとんどが染料を着色剤とするタイプであるが、このタイプのものは、紙中に溶剤成分が浸透しても高い印字濃度と高彩度が維持できる事が知られている。
【0005】
そのため、染料タイプの水性インクジェット記録液では、低表面張力化により積極的に浸透乾燥を利用して、印字の高速化を実現してきた。しかし、耐光性の不良により印字物の長期間の保存ができず、また汗などに対して耐水性が低いなどといった、染料の根本的な欠点が指摘されるにつれて、最近は顔料タイプへの移行が要望されている。
【0006】
顔料タイプの水性インクジェット記録液でも、高速化を図ろうとすると、やはり浸透乾燥を利用せざるを得なくなるが、染料系と異なり、記録液の表面張力が低くなるにつれて、十分な印字濃度や発色性が得られず、にじみ易いという問題が発生する。また、印字塗膜の凝集力が低下して、耐水性や耐摩擦性が不良になるという問題もある。さらに、顔料分散性の不良に起因して、吐出安定性や保存安定性などの、いわゆるインクジェット記録液の信頼性が低下するという、顔料タイプ本来の問題も未解決のままである。
【0007】
そこで、これらの問題を解決する一つの手段として、予め、自己水分散性樹脂をアルコールやケトンといった有機溶剤に溶解させて顔料を分散させた後、水を加えて転相乳化し、樹脂−顔料複合粒子を水性媒体中に分散させる技術が、例えば特開平8−18390号公報、特開平8−218013号公報、特開平10−46075号公報等で開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際には、この様な系では顔料分散時に、樹脂が有機溶剤のみと相互作用を起こし、期待される顔料分散の効果が得られず、また、印字濃度や発色性も十分でないという問題がある。さらに、水性インクジェット記録液の中に多量の有機溶剤が残るために、保存安定性が低下し、一方、余分の有機溶剤を除去するとすれば、経済的に不利となる事は否めない。
【0009】
本発明の課題は、浸透乾燥によって速やかな乾燥性を付与しても高い印字濃度と印字品位を維持し、更に顔料分散性、耐摩擦性・耐水性にも優れる水性インクジェット記録液を提供する事である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の材料と製造方法により前記課題を解決する水性インクジェット記録液が得られる事を見出し、本発明を完成させたものである。
【0011】
すなわち、請求項1に係る発明は、下記の条件1を満足する共重合体樹脂を、水、下記の条件2を満足する助溶剤、および塩基性化合物からなる水性媒体中に溶解させて得られる顔料分散用樹脂ワニスを用いて顔料を分散させた後、前記共重合体樹脂がハイドロゾルもしくはエマルジョンの形態に相転移するまで水を添加して得られ、表面張力が22〜45mN/mであることを特徴とする水性インクジェット記録液に関する。
【0012】
条件1:炭素数14〜20の脂肪族炭化水素基を有する不飽和単量体を5重量%以上含有する単量体成分を共重合して得られる、酸価30〜300mgKOH/g、重量平均分子量2,000〜50,000の、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、スチレン−アクリル−マレイン酸系樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の共重合体樹脂である。
【0013】
条件2:表面張力が35mN/m以上の水溶性環状含窒素有機溶剤である。
【0014】
請求項2に係る発明は、前記共重合体樹脂が、さらに、炭素数8〜13の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜13のアラルキル基よりなる群から選択される少なくとも1種を有する単量体を30重量%以上含有する単量体成分を共重合して得られるものである請求項1に記載の水性インクジェット記録液に関する。
【0015】
請求項3に係る発明は、前記共重合体樹脂が、(メタ)アクリル酸ステアリルと、(メタ)アクリル酸と、スチレン系単量体および/または(メタ)アクリル酸ベンジルとの共重合体であること特徴とする請求項1または2に記載の水性インクジェット記録液に関する。
【0016】
請求項4に係る発明は、前記助溶剤が、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンよりなる群から選択される少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水性インクジェット記録液に関する。
【0017】
請求項5に係る発明は、顔料100重量部に対して、前記共重合体樹脂を10〜400重量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水性インクジェット記録液に関する。
【0018】
請求項6に係る発明は、分子内にカルボキシル基と疎水性基を有する共重合体樹脂を、水、助溶剤、および塩基性化合物からなる水性媒体中に溶解させて顔料分散用樹脂ワニスとし、当該顔料分散用樹脂ワニスを用いて顔料を分散させた後、さらに前記共重合体樹脂がハイドロゾルもしくはエマルジョンの形態に相転移するまで水を添加することを特徴とする水性インクジェット記録液の製造方法に関する。
【0019】
請求項7に係る発明は、前記助溶剤として、表面張力が35mN/m以上の水溶性環状含窒素有機溶剤を用いることを特徴とする請求項6に記載の水性インクジェット記録液の製造方法に関する。
【0020】
【発明の実施の形態】
疎水性の高い樹脂は、系の水離れを促進し、顔料と疎水性相互作用を有するため、速乾性と顔料分散性や経時での保存安定性の付与が期待できる。
【0021】
そこで、まず、本発明の水性インクジェット記録液では、乾燥促進と顔料分散性の向上のために、疎水性基、好ましくは炭素数14〜20の脂肪族炭化水素基を分子内に有する共重合体樹脂の使用を第一の特徴とする。
【0022】
しかし、一般に、疎水性の高い樹脂を単に塩基性化合物水溶液中に分散させただけでは、疎水性部分が分子の内部に包み込まれた状態となるため、顔料表面への吸着が阻害されて、良好な顔料分散性や保存安定性は得られない。
【0023】
そこで、本発明では、疎水性部分を分子の外側に配向させ、しかも樹脂と顔料との相互作用を阻害しない、高い表面張力を有する、好ましくは表面張力が35mN/m以上の水溶性環状含窒素有機溶剤を助溶剤として利用することを第二の特徴とする。
【0024】
この助溶剤の存在により、顔料分散時に樹脂と顔料との間で強い疎水性相互作用が働き、良好な顔料分散性、保存安定性を得る事ができるようになる。そして、助溶剤の使用量を極力少なくする事により、系中に有機溶剤が過剰に残留する事を防止する事ができる。
【0025】
さらに、本発明では顔料分散を行った後、水を多量に添加して、前記共重合体樹脂を、ハイドロゲルもしくはエマルジョンの状態に相転移させることを第三の特徴とする。
【0026】
前記共重合体樹脂をハイドロゲルもしくはエマルジョンの状態に相転移させることにより、顔料と樹脂との複合体が形成されるものと推定されている。この様な顔料・樹脂複合体は、顔料分散安定性に優れ、乾燥皮膜の凝集力も強固である上に、乾燥促進のためにインクジェット記録液を低表面張力化しても、濃度低下やにじみが防止できるようになる。
【0027】
以上の三つの特徴、すなわち、共重合体樹脂の反応成分として、疎水性基を分子内に有する単量体の使用、特定の助溶剤の使用、および溶剤中での樹脂の形態の全てを組み合わせて、はじめて本発明の目的とする性能が得られるのである。
【0028】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0029】
まず、本発明で使用する顔料としては、一般にインクジェット記録液や水性印刷インキで使用される各種の無機顔料や有機顔料が利用できる。
【0030】
具体的には、無機顔料として、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛などの有色顔料(白色、黒色などの無彩色の着色顔料も有色顔料に含める)、および、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等の体質顔料を挙げることができる。また、有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料などを挙げることができる。
【0031】
次に、本発明では、インクジェット記録液のバインダー樹脂として、分子内に疎水性基とカルボキシル基(酸無水物基などの容易にカルボキシル基を生成する基を含む)を有する、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、スチレン−アクリル−マレイン酸系樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の共重合体樹脂を使用する。
【0032】
前記共重合体樹脂としては、疎水性基として炭素数が14〜20の脂肪族炭化水素基を有する単量体を、全単量体成分に対して5重量%以上となる量で共重合させたものが好ましい。該単量体の割合が5重量%未満では顔料分散性が低下して好ましくない。
【0033】
前記共重合体樹脂としては、前記炭素数14〜20の脂肪族炭化水素基に加えて、さらに、炭素数8〜13の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜13のアラルキル基よりなる群から選択される少なくとも1種のその他の疎水性基を有する単量体を全単量体成分に対して30重量%以上となる量で共重合させたものがより好ましい。該その他の疎水性基を有する単量体の割合が30重量%未満では顔料分散安定性が低下する傾向がある。さらに疎水性の高い縮合多環顔料等の表面に吸着し易い共重合体樹脂を得るには、該その他の疎水性基を有する単量体を全単量体成分に対して40重量%以上となる量で反応させたものがより好適である。
【0034】
前記炭素数14〜20の脂肪族炭化水素基としては、たとえばミリスチル、セチル、ステアリル、エイコシルなどの脂肪族飽和炭化水素基、オレイル、リノレイル、リノレニルなどの脂肪族不飽和炭化水素基があげられる。前記炭素数8〜13の脂肪族炭化水素基としては、たとえばオクチル、ノニル、デシル、ラウリルなどの脂肪族飽和炭化水素基などがあげられる。前記炭素数6〜18のアリール基としては、たとえば、フェニル、ナフチルなどがあげられる。前記炭素数7〜13のアラルキル基としては、たとえばベンジル、アルキル置換ベンジルなどがあげられる。
【0035】
本発明でいうアクリル系樹脂とはアクリル系単量体を、また、スチレン−アクリル系樹脂とはスチレン系単量体とアクリル系単量体を、また、スチレン−マレイン酸系樹脂とはスチレン系単量体とマレイン酸系単量体を、さらに、スチレン−アクリル−マレイン酸系樹脂とは、スチレン系単量体とマレイン酸系単量体とアクリル系単量体を共重合成分とする共重合体樹脂である。
【0036】
ここで、アクリル系単量体としては、カルボキシル基含有成分として、アクリル酸、メタクリル酸が利用でき、また、炭素数14〜20の脂肪族炭化水素基含有成分として、(メタ)アクリル酸ミリスチル(脂肪族炭化水素基の炭素数14)、(メタ)アクリル酸セチル(脂肪族炭化水素基の炭素数16)、(メタ)アクリル酸ステアリル(脂肪族炭化水素基の炭素数18)、(メタ)アクリル酸オレイル(脂肪族炭化水素基の炭素数18)、(メタ)アクリル酸エイコシル(脂肪族炭化水素基の炭素数20)などが利用できる。
【0037】
さらに、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシルなどの炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの炭素数8〜13の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ナフチルなどの芳香族環を含む(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの炭素数2〜8のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物も利用できる。
【0038】
スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンとそれらの誘導体を利用する事ができる。
【0039】
マレイン酸系単量体としては、カルボキシル基含有成分として、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノヘキシルなどの炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基を有するマレイン酸モノエステル化合物が利用でき、カルボキシル基と炭素数8〜13の脂肪族炭化水素基を同時に有する成分として、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノ2−エチルヘキシル、マレイン酸モノラウリルなどのマレイン酸モノエステル化合物が利用でき、さらに、カルボキシル基と炭素数14〜20の脂肪族炭化水素基を同時に有する成分として、マレイン酸モノミリスチル、マレイン酸モノセチル、マレイン酸モノステアリル、マレイン酸モノオレイル、マレイン酸モノエイコシルなどのマレイン酸モノエステル化合物を利用する事ができ、また、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどの炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基を有するマレイン酸ジエステル化合物が利用できる。
【0040】
なお、必要に応じて、他の共重合可能な単量体として、(メタ)アクリルアミド、クロトン酸とそのエステル化合物、イタコン酸とそのエステル化合物、シトラコン酸とそのエステル化合物、アクリロニトリル、オレフィン化合物等を使用することができる。
【0041】
さらに、本発明の共重合体樹脂は、水、後記の助溶剤、および塩基性化合物からなる水性媒体に溶解し、さらに過剰の水の添加により、ハイドロゾルもしくはエマルジョンの形態に相転移する性能を有するものである。なお、本発明でいう溶解の状態とは、水性媒体/樹脂系の外観から判断して透明である状態をいい、ハイドロゾルもしくはエマルジョンの形態とは、水性媒体/樹脂系の外観から判断して、半透明もしくは乳白色に着色しているが、凝集沈殿の起こらない状態をいう。
【0042】
一般に、(メタ)アクリル酸やマレイン酸を使用した共重合体樹脂は、酸価、分子量、中和度、および疎水性基の含有量等の種々のファクターにより、水性媒体中で溶解、ハイドロゾルもしくはエマルジョン、および凝集沈殿のいずれの形態もとりうる。そこで、本発明においては、共重合体樹脂を、少なくとも顔料分散処理時の処方では水性媒体中で溶解状態にあり、記録液の最終処方ではハイドロゾルもしくはエマルジョンの形態をとるように、前記のそれぞれのファクターを調整する。
【0043】
そのため、共重合体樹脂の酸価は30mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは50mgKOH/g以上である。マレイン酸系単量体を用いて分子内にカルボキシル基を導入する場合は、酸価は100mgKOH/g以上が望ましい。一方、皮膜の耐水性の面から、共重合体樹脂の酸価は300mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは250mgKOH/g以下である。
【0044】
また、共重合体樹脂の分子量としては、高分子量になるほど凝集沈殿の起こる可能性が高くなるため、重量平均分子量で2,000〜50,000であるのが好ましく、より好ましくは5,000〜30,000程度である。
【0045】
また、共重合体樹脂に対する塩基性化合物の中和度については、酸価が200mgKOH/g以下の場合には100%以上が好ましく、酸価が200mgKOH/gを超える場合には、インクジェット記録液の吐出安定性を低下させない範囲であれば、100%未満の部分中和でもよい。
【0046】
本発明においては、特に、単量体成分として、(メタ)アクリル酸ステアリルと、(メタ)アクリル酸と、スチレン系単量体および/または(メタ)アクリル酸ベンジルとを主成分とし、全単量体に対する(メタ)アクリル酸ステアリルの割合が5重量%以上、好ましくは5〜30重量%で、全単量体に対するスチレン系単量体および/または(メタ)アクリル酸ベンジルの割合が30重量%以上、好ましくは30〜70重量%のものを用いて得られる、酸価50〜250mgKOH/g、重量平均分子量5,000〜30,000の共重合体樹脂が、バランスが優れたものとなる。
【0047】
次に、本発明で利用できる助溶剤は、表面張力(25℃における値、以下同様)が35mN/m以上で、少なくともインクジェット記録液の最終処方における水と相溶するだけの、水に対する相溶性を持つ水溶性環状含窒素有機溶剤である。
【0048】
具体的には、2−ピロリドン(44.8mN/m(実測値))、N−メチル−2−ピロリドン(41.1mN/m(文献値))等のピロリドン系水溶性有機溶剤、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(42.0mN/m(実測値))等の水溶性含窒素系環状化合物を挙げる事ができる。その中でも、毒性が低いという面からは、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの、沸点が180℃以上の水溶性含窒素系環状化合物が好ましい。
【0049】
さらに、本発明で利用可能な塩基性化合物としては、水酸化アンモニウム等の無機塩基性化合物、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン等の有機塩基性化合物を挙げることができる。その中でも、乾燥性と吐出安定性の面から不揮発性のアミン系塩基性化合物が好適であり、とりわけ、トリエチレンジアミンが好適である。
【0050】
本発明では顔料を分散させるために、前記の共重合体樹脂を、水、助溶剤、および塩基性化合物などからなる水性媒体中に溶解させて顔料分散用樹脂ワニスとして利用する。
【0051】
この顔料分散用樹脂ワニスを製造する方法としては、予め、助溶剤中で共重合体樹脂を溶液重合により合成した後、共重合体樹脂が溶解状態を維持する範囲で、水と塩基性化合物を添加してもよく、また、助溶剤以外の有機溶剤中で合成した共重合体樹脂を、有機溶剤を留去した後、水、助溶剤、および塩基性化合物からなる水性媒体に溶解させてもよい。その際、水を可能な限り多く含有させた系では、最終処方において残留する環状含窒素有機溶剤量が少なくてすみ、後から取り除く処理をする必要がなくて好適である。
【0052】
次に、顔料分散用樹脂ワニスを用いて顔料を分散する方法としては、まず、顔料分散用樹脂ワニスと顔料、必要に応じて顔料分散剤、粘度調整用希釈剤などを混合した後、湿式サーキュレーションミル、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、パールミル等の各種分散機で練肉する方法が利用される。インクジェット記録液では、通常の印刷インキと比較して、より微細に顔料を分散させる必要があり、分散機としては特に湿式サーキュレーションミルが好ましい。
【0053】
その際に、顔料を分散させる為に必要な分散用樹脂の固形分量としては、顔料100重量部に対して10〜400重量部、好ましくは10〜200重量部程度である。
【0054】
本発明では、顔料の分散工程が終了した後、さらに共重合体樹脂がハイドロゾルもしくはエマルジョンの形態になるまで、水及び必要に応じて塩基性化合物を添加し、顔料・樹脂複合体を形成させてインクジェット記録液とする。
【0055】
さらに、インクジェット記録液への印字適性や乾燥性の付与などを目的として、必要に応じて、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール等の(ポリ)アルキレングリコールとそのアルキルエーテル類等の水混和性溶剤を添加する事もできる。また、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、成膜助剤等の各種添加剤を添加することもできる。
【0056】
インクジェット記録液の最終的な処方において、共重合体樹脂はハイドロゾルもしくはエマルジョンの形態で安定的に維持されねばならない。そこで、予め、顔料を除いた処方での樹脂の形態を観察しながら、実験的に、水、助溶剤、塩基性化合物の使用量を定めておくと、以後、同じ処方を利用してインクジェット記録液の製造を行うことができる。その際、インクジェット記録液の最終的な処方における顔料の含有量が0.5〜30重量%、より好ましくは1.0〜10重量%の範囲となるように各成分の使用量を調節するのが好ましい。
【0057】
また、本発明のインクジェット記録液は、浸透乾燥により乾燥性を向上させるものであり、この点から系の表面張力を22〜45mN/mにするのが好ましい。助溶剤のみでは高い表面張力を有する時は、他の有機溶剤、界面活性剤を積極的に利用して、系の表面張力を22〜45mN/mに設定する。特により少量で系の表面張力を低下させる事のできる有機溶剤として、(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテルの添加は有効である。
【0058】
さらに、本発明のインクジェット記録液の粘度としては、使用時の環境温度において1.0〜20.0mPa・sが好適であり、粘度がこの範囲にあると、吐出安定性も良好で、高速でにじみの少ない印字画像を得ることができる。
【0059】
本発明によって得られるインクジェット記録液は、水性系でありながら顔料分散性が良好で、紙などの浸透性の基材に印字された時に、浸透乾燥性を上げても色の濃度を高く維持できる。また、皮膜凝集力が強固であるため、耐水性や耐摩擦性も良好であるなどの優れた効果を有する。
【0060】
【実施例】
以下、実施例でもって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、本実施例において「部」および「%」は「重量部」および「重量%」を表す。
【0061】
<共重合体樹脂溶液の製造>
製造例1
攪拌機、冷却管、窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、N−メチル−2−ピロリドン180部を仕込んで100℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、メタクリル酸23部、メタクリル酸ステアリル10部、スチレン67部、開始剤としてカヤエステルO−50TLの7.2部およびN−メチル−2−ピロリドン46部の混合物を1.5時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させて、重量平均分子量14,000、酸価150mgKOH/g、ガラス転移温度66℃のスチレン−アクリル系共重合体樹脂のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分30%、共重合体樹脂溶液No.1)を得た。
【0062】
カヤエステルO−50TL:
下記の式で表されるt−butylperoxy 2−ethyl
−hexanoateの50%トルエン溶液
【0063】
【化1】
【0064】
製造例2
製造例1と同じ装置に、N−メチル−2−ピロリドン180部を仕込んで100℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、メタクリル酸23部、メタクリル酸ステアリル20部、スチレン57部、開始剤としてカヤエステルO−50TLの7.2部およびN−メチル−2−ピロリドン46部の混合物を1.5時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させて、重量平均分子量12,000、酸価150mgKOH/g、ガラス転移温度35℃のスチレン−アクリル系共重合体樹脂のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分30%、共重合体樹脂溶液No.2)を得た。
【0065】
製造例3
製造例1と同じ装置に、N−メチル−2−ピロリドン180部を仕込んで100℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、メタクリル酸23部、メタクリル酸ステアリル20部、メタクリル酸ベンジル57部、開始剤としてカヤエステルO−50TLの7.2部およびN−メチル−2−ピロリドン46部の混合物を1.5時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させて、重量平均分子量14,000、酸価150mgKOH/g、ガラス転移温度16℃のアクリル共重合体樹脂のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分30%、共重合体樹脂溶液No.3)を得た。
【0066】
製造例4
製造例1と同じ装置に、N−メチル−2−ピロリドン180部を仕込んで100℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、メタクリル酸15.3部、メタクリル酸ステアリル20部、メタクリル酸ベンジル64.7部、開始剤としてカヤエステルO−50TLの7.2部およびN−メチル−2−ピロリドン46部の混合物を1.5時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させて、重量平均分子量11,000、酸価100mgKOH/g、ガラス転移温度12℃のアクリル共重合体樹脂のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分30%、共重合体樹脂溶液No.4)を得た。
【0067】
製造例5
製造例1と同じ装置に、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン180部を仕込んで100℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、メタクリル酸23部、メタクリル酸ステアリル20部、スチレン57部、開始剤としてカヤエステルO−50TL7.2部および1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン46部の混合物を1.5時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させて、重量平均分子量15,000、酸価150mgKOH/g、ガラス転移温度35℃のスチレン−アクリル共重合体樹脂の1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン溶液(固形分30%、共重合体樹脂溶液No.5)を得た。
【0068】
製造例6
製造例1と同じ装置に、酢酸ブチル180部を仕込んで100℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、アクリル酸38.3部、メタクリル酸ステアリル20部、スチレン41.7部、開始剤としてカヤエステルO−50TLの7.2部および酢酸ブチル46部の混合物を1.5時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させた後、溶媒を減圧下で蒸留し、重量平均分子量16,000、酸価250mgKOH/g、ガラス転移温度40℃の固形スチレン−アクリル系共重合体樹脂を得た。
【0069】
このスチレン−アクリル系共重合体30部をN−メチル−2−ピロリドン70部に加熱溶解させて、スチレン−アクリル系共重合体のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分30%、共重合体樹脂溶液No.6)を得た。
【0070】
製造例7
製造例1と同じ装置に、N−メチル−2−ピロリドン180部を仕込んで100℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、メタクリル酸23部、メタクリル酸ミリスチル20部、スチレン57部、開始剤としてカヤエステルO−50TLの7.2部およびN−メチル−2−ピロリドン46部の混合物を1.5時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させて、重量平均分子量14,000、酸価150mgKOH/g、ガラス転移温度89℃のスチレン−アクリル系共重合体樹脂ののN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分30%、共重合体樹脂溶液No.7)を得た。
【0071】
製造例8
製造例1と同じ装置に、N−メチル−2−ピロリドン180部を仕込んで100℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、アクリル酸23部、メタクリル酸ステアリル40部、メタクリル酸メチル37部、開始剤としてカヤエステルO−50TLの7.2部およびN−メチル−2−ピロリドン46部の混合物を1.5時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させて、重量平均分子量16,000、酸価150mgKOH/g、ガラス転移温度40℃のアクリル系共重合体のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分30%、共重合体樹脂溶液No.8)を得た。
【0072】
製造例9
製造例1と同じ装置に、N−メチル−2−ピロリドン180部を仕込んで100℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、無水マレイン酸21.0部、メタクリル酸ステアリル10部、メタクリル酸メチル6.0部、スチレン63.0部、開始剤としてカヤエステルO−50TLの7.2部およびN−メチル−2−ピロリドン46部の混合物を1.5時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させて、重量平均分子量11,000、酸価240mgKOH/g、ガラス転移温度63℃のスチレン−アクリル−マレイン酸系共重合体樹脂のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分30%、共重合体樹脂溶液No.9)を得た。
【0073】
製造例10
製造例1と同じ装置に、N−メチル−2−ピロリドン180部を仕込んで100℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、アクリル酸40部、メタクリル酸ステアリル20部、スチレン40部、開始剤としてカヤエステルO−50TLの7.2部およびN−メチル−2−ピロリドン46部の混合物を1.5時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させて、重量平均分子量15,000、酸価311mgKOH/g、ガラス転移温度32℃のスチレン−アクリル系共重合体樹脂のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分30%、共重合体樹脂溶液No.10)を得た。
【0074】
製造例11
製造例1と同じ装置に、N−メチル−2−ピロリドン180部を仕込んで100℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、メタクリル酸23部、メタクリル酸ラウリル10部、スチレン67部、開始剤としてカヤエステルO−50TLの7.2部およびN−メチル−2−ピロリドン50部の混合物を1.5時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させて、重量平均分子量15,000、酸価150mgKOH/g、ガラス転移温度81℃のスチレン−アクリル系共重合体樹脂のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分30%、共重合体樹脂溶液No.11)を得た。
【0075】
製造例12
製造例6で得た固形スチレン−アクリル系共重合体樹脂30部を、トリエチレンジアミン30部と水40部の混合溶液に溶解させて、スチレン−アクリル系共重合体の水溶液(固形分30%、共重合体樹脂溶液No.12)を得た。
【0076】
製造例13
製造例6で得られた固形スチレン−アクリル系共重合体樹脂30部をメチルエチルケトン(表面張力:24.0mN/m(文献値))70部に溶解させて、スチレン−アクリル系共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分30%、共重合体樹脂溶液No.13)を得た。
【0077】
製造例14
製造例1と同じ装置に、酢酸ブチル180部を仕込んで100℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、スチレン60部、メタクリル酸メチル20部、アクリル酸ブチル10部、アクリル酸7部、アクリル酸2−エチルヘキシル3部、開始剤としてカヤエステルO−50TLの7.2部および酢酸ブチル46部の混合物を1.5時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させた後、溶媒を減圧下で蒸留し、重量平均分子量1,8000、酸価55mgKOH/g、ガラス転移温度68℃の固形スチレン−アクリル系共重合体樹脂を得た。
【0078】
このスチレン−アクリル系共重合体30部を、メチルエチルケトン70部に溶解させて、アクリル系共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分30%、共重合体樹脂溶液No.14)を得た。
【0079】
製造例15
製造例1と同じ装置に、酢酸ブチル180部を仕込んで100℃に加熱し、窒素ガスを導入しながら、スチレン59部、メタクリル酸メチル15部、メタクリル酸15部、アクリル酸2−エチルヘキシル11部、開始剤としてカヤエステルO−50TLの7.2部および酢酸ブチル50部の混合物を1.5時間かけて滴下し、更に同温度に保ちながら2時間共重合させた後、溶媒を減圧下で蒸留し、重量平均分子量1,6000、酸価100mgKOH/g、ガラス転移温度60℃の固形スチレン−アクリル系共重合体樹脂を得た。
【0080】
このスチレン−アクリル系共重合体30部を、メチルエチルケトン70部に溶解させて、アクリル系共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分30%、共重合体樹脂溶液No.15)を得た。
【0081】
実施例1〜9および比較例1〜9
<顔料練肉ベースインクの調製>
共重合体樹脂溶液No.1〜11、14、15のそれぞれについて、共重合体樹脂溶液13.5部に、表1、2に記載した塩基性化合物の使用量(共重合体樹脂を中和するのに必要な量を100%とした時の値)に相当する量のトリエチレンジアミンおよび水を加えて、総量が85部となるように顔料分散用樹脂ワニスを調製し、さらに顔料(プリンテックス80、デグサ社製)15部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉し、ベースインクを得た。
【0082】
また、共重合体樹脂溶液No.12の13.5部と水71.5部を混合して、顔料分散用樹脂ワニスを調製した以外は、同じ顔料と練肉方法でベースインクを得た。
【0083】
また、共重合体樹脂溶液No.13の13.5部に、表2に記載した塩基性化合物の使用量に相当する量のトリエチレンジアミン(2.0部)およびメチルエチルケトン(69.5部)を加えて、総量が85部となるように顔料分散用樹脂ワニスを調製した以外は、同じ顔料と練肉方法でベースインクを得た。
【0084】
<インクジェット記録液の調製>
上記の方法で得たベースインク40部、水40部、グリセリン10部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル10部を攪拌混合して、実施例1〜9、比較例1〜8のインクジェット記録液を得た。
【0085】
また、共重合体樹脂溶液No.2を用いて調製されたベースインク40部、水50部、グリセリン10部を攪拌混合して、比較例9のインクジェット記録液を得た。
【0086】
<樹脂の媒体中での状態の確認>
顔料分散樹脂ワニス(状態▲1▼)、および、インクジェット記録液から顔料を除いた処方で調製した媒体/樹脂系(状態▲2▼)について、室温で3日経過後の外観を観察し、次の基準に基づいて判定した。その結果を表1、表2に示す。
【0087】
4:無色透明、3:半透明、2:乳白色、1:樹脂が沈降する
<インクジェット記録液の性能評価>
1.表面張力の測定
実施例1〜9、比較例1〜9インクジェット記録液の表面張力を表面張力計(HLV−ST型、共和界面科学(株)製)を用いて測定した。その結果を表1、表2に示す。
【0088】
2.保存安定性試験
実施例1〜9、比較例1〜9のインクジェット記録液をガラス瓶に採取し、密栓して60℃で10日間保存した時の沈降物の有無を観察し、次の基準に基づいて保存安定性を評価した。その結果を表1、表2に示す。
【0089】
A:全く沈降物がないもの。
【0090】
B:僅かに沈降物があるもの。
【0091】
C:沈降物が多くて実用性に乏しいもの。
【0092】
<印字物の性能評価>
1.インクジェット記録液の印字方法
上記の保存安定性でB以上の評価であったものにつき、市販のインクジェットプリンター(MJ−830C、ピエゾタイプ、セイコーエプソン(株)製)を用いて、記録紙Xerox Lに印字した。
【0093】
2.印字物の評価方法及び評価結果
以下の評価方法により印字物を評価し、その結果を表1、2に示す。
【0094】
・印字濃度
印字物のべた部の濃度をマクベス光濃度計RT−918で測定し、次の基準に基づいて評価した。
【0095】
A:濃度値が1.20を超えるもの
B:濃度値が1.15を超え1.20以下のもの
C:濃度値が1.10を超え1.15以下のもの
D:濃度値が1.10以下のもの
・乾燥性
インクジェット記録液の印字直後、指触による指への記録液付着がなくなるまでの時間から、次の基準に基づいて乾燥性を評価した。
【0096】
A:2秒以内に乾燥するもの。
【0097】
B:2秒を超えて5秒以内に乾燥するもの。
【0098】
C:5秒を超えても乾燥しないもの。
【0099】
・にじみ
約0.3mmの細線を印字し、にじみによる太りを観察し、次の基準に基づいて評価した。
【0100】
A:にじみがなく、そのままの太さで印字できているもの。
【0101】
B:部分的に太りがみられるが、2倍以上の太りは観察されないもの。
【0102】
C:全体的に2倍以上の太りが観察されるもの。
【0103】
・耐摩擦性
学振型耐摩擦試験機を用いて、普通紙を当て紙として荷重200gで5回摩擦した後の印字物の状態を観察し、次の基準に基づいて耐摩擦性を評価した。
【0104】
A:印字がかすれないもの。
【0105】
B:印字はわずかにかすれるが、文字がはっきりと判読できるもの。
【0106】
C:印字がかすれて文字が判読できないもの。
【0107】
・耐水性
印字の表面にスポイドで水を数滴滴下し、5秒後にティッシュペーパーで拭き取った時の印字物の状態を観察し、次の基準に基づいて耐水性を観察した。
【0108】
A:印字がにじまない。
【0109】
B:印字はわずかにじむが、文字ははっきり判読できるもの。
【0110】
C:印字がにじんで、文字が判読しづらいもの。
【0111】
D:印字がにじんで文字が判読できないもの。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
【発明の効果】
以上、実施例と比較例を挙げて具体的に示したように、本発明のインクジェット記録液は、浸透乾燥速度が大きく、高濃度でにじみがなく、さらに耐摩擦性、耐水性も良好な印字物を得る事ができるものである。
Claims (6)
- 下記の条件1を満足する共重合体樹脂を、水、下記の条件2を満足する助溶剤、および塩基性化合物からなる水性媒体中に溶解させて得られる顔料分散用樹脂ワニスを用いて顔料を分散させた後、前記共重合体樹脂がハイドロゾルもしくはエマルジョンの形態に相転移するまで水を添加して得られ、表面張力が22〜45mN/mであることを特徴とする水性インクジェット記録液。
条件1:炭素数14〜20の脂肪族炭化水素基を有する不飽和単量体を5重量%以上含有する単量体成分を共重合して得られる、酸価30〜300mgKOH/g、重量平均分子量2,000〜50,000の、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、スチレン−アクリル−マレイン酸系樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の共重合体樹脂である。
条件2:表面張力が35mN/m以上の水溶性環状含窒素有機溶剤である。 - 前記共重合体樹脂が、さらに、炭素数8〜13の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜13のアラルキル基よりなる群から選択される少なくとも1種を有する単量体を30重量%以上含有する単量体成分を共重合して得られるものである請求項1に記載の水性インクジェット記録液。
- 前記共重合体樹脂が、(メタ)アクリル酸ステアリルと、(メタ)アクリル酸と、スチレン系単量体および/または(メタ)アクリル酸ベンジルとの共重合体であること特徴とする請求項1または2に記載の水性インクジェット記録液。
- 前記助溶剤が、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンよりなる群から選択される少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水性インクジェット記録液。
- 顔料100重量部に対して、前記共重合体樹脂を10〜400重量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水性インクジェット記録液。
- 請求項1記載の水性インクジェット記録液の製造方法であって、
前記の条件1を満足する共重合体樹脂を、水、前記の条件2を満足する助溶剤、および塩基性化合物からなる水性媒体中に溶解させて得られる顔料分散用樹脂ワニスに顔料を分散させる工程と、それに続いて、
前記共重合体樹脂に水を添加して、前記共重合体樹脂をハイドロゾルもしくはエマルジョンの形態に相転移させる工程とを含む、
表面張力が22〜45mN/mの水性インクジェット記録液の製造方法。
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