JP4113392B2 - 電動機の固定子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業用、事務用、家電用、車両搭載用に使用される電動機の固定子の絶縁不良を低減し、スロットに占める巻線の高占積率化に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、産業用機器、事務用機器、家電用機器、車両搭載用途に使用する電動機においては、図11に示す様に固定子101の歯部102に直接巻線された集中巻方式による巻線103が施されている。固定子101のスロット104は、樹脂等により一体成形されたボビン105が備えられ、巻線103と固定子101の鉄心を絶縁している。この固定子101の鉄心と巻線103を絶縁するボビン105は、一体成形された樹脂により固定子101の上下端面部を覆っている。また、スロット104の内壁面は、樹脂により覆われ固定子101の歯部102に巻き付けた巻線103を確実に絶縁している。
【0003】
また、固定子101の上下端部を覆う樹脂製のボビン105は、固定子101の歯部102に直接巻き付けられた巻線103が固定子101の内径側に倒れ込まないように固定子101の端部から軸方向に伸びる内径壁106を備えている。尚、固定子101の歯部102に巻き付けた巻線103が固定子101の外径側に崩れないように固定子101の端部から軸方向に伸びた外径壁107を設ける場合もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように固定子101の上下端部やスロット104内壁面を覆うスロット絶縁109によって固定子101の鉄心と巻線103を絶縁することが出来るが、電動機の小型化、高効率化に伴い固定子101の歯部102に巻き付けられる巻線量が増大することにより固定子101のスロット104内においての相間接触、言い換えれば、固定子101の歯部102に直接巻き付けた隣同士の巻線103との間の絶縁を保つことが出来なくなっている。また、スロット104に多くの巻線103を巻くことによりスロット104の開口部より固定子101の内径側に巻線103が飛び出すことが多くなっている。その結果、電動機運転時に固定子101内径側から飛び出した巻線103が、固定子101内径側に配置した図示されていない回転子と接触し絶縁不良となり、焼損事故の原因となっている。また、固定子101のスロット104内の巻線量が多くなると固定子歯部端部102aの鉄心とスロット104内の巻線103との絶縁距離も保つことが出来なくなっている。
【0005】
また、このように固定子歯部102に直接巻線103を巻き付けた電動機においては、固定子歯部102から引出された各相の巻線103の端末処理が粗雑となっていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
極数が2n(nは整数)で固定子スロット数が3nである電動機の固定子において、固定子のスロットには、スロット絶縁が施され、
固定子の両端部には、固定子の歯部に巻線を装着後にコイルエンド部を覆う上部カバーと下部カバーが取り付けられ、上部カバーと下部カバーには歯部に施された巻線と対応する位置に少なくとも固定子の端面に向かい軸方向に伸びた内径壁を有しており、固定子内径側への巻線の倒れ込みを防ぐことが出来る。
また、固定子のスロットにはスロット中央を貫通する断面がT字形状の樹脂絶縁が施され、前記スロットの開口部側には断面がT字形状の樹脂絶縁の幅広部分が面し、スロット底部側には幅狭部分がくるように配置することにより固定子の隣同士の歯部に施された巻線の相間接触を防ぐことが出来る。
【0007】
また、スロットの開口部側には断面がT字形状の樹脂絶縁の幅広部分が面し、スロット底部側には幅狭部分がくるように配置することにより固定子のスロット開口部から固定子内径側へ巻線が飛び出すことを防ぐことが出来る。特に、断面がT字形状の樹脂絶縁の幅広部分がスロット開口部側に面していることにより、スロット開口部の固定子歯端部と巻線との絶縁を確実に施すことが出来る。
【0008】
また、巻線を固定子歯部に装着した後、断面がT字形状の樹脂絶縁により上部カバーと下部カバーを確実に、固定子を挟み込むように固定しているため、巻線の結線処理する際等の電工作業時に上部カバーや下部カバーが脱落することのない電動機の固定子とすることができる。
【0009】
尚、上部カバーと下部カバーのどちらか一方と、断面がT字形状の樹脂絶縁とを一体成形することにより上部カバーもしくは下部カバーを容易に固定子に固定することができる。
【0010】
また、断面がT字形状の樹脂絶縁は、固定子スロット中央を貫通するように配置されるが、固定子歯部に直接巻き付ける巻線量が多い場合、隣同士の歯部に巻き付けられた巻線に押されて、断面がT字形状の樹脂絶縁を上部カバーと下部カバーの固定位置へ容易に固定することができない。このような場合、断面がT字形状の樹脂絶縁の幅広部分から固定子内径側に向かい凸部分を設け、この凸部を固定子スロット開口部の隙間に挿入させることにより断面がT字形状の樹脂絶縁のズレをなし確実に上部カバーまたは下部カバーと固定することができる。
【0011】
尚、断面がT字形状の樹脂絶縁の軸方向の端部は、前記上部カバーと下部カバーを固定子に固定するために、少なくともどちらか一方の端部は鍵状の係り止めとすることにより確実に上部カバーと下部カバーを固定子に固定することができる。
【0012】
また、断面がT字形状の樹脂絶縁の少なくともどちらか一方の端部近傍は、歯部に施した巻線の端末処理を容易にするための手段が設けられていることにより、巻線端末処理を容易にすることができる。
【0013】
また、前記固定子の歯幅が、固定子の内径から外径側に向かい幅狭とすることによりスロット内に多くの巻線を装着することができる。
【0014】
前記固定子の歯部に施された巻線は、固定子の内径側から外径側に向かい順次巻線周長が小さくすることにより、より多くの巻線をスロットに装着することができる。
【0015】
この様な電動機の固定子を、エアコンや冷蔵庫等の駆動源である圧縮機や車両搭載用電動機に用いることによって小型化、高効率化を達成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例について図面を用いて説明する。図1は、複数の磁極を有する電動機の固定子1の歯部2に、極数が2n(nは整数)で固定子スロット数が3nである電動機の固定子1の隣同士の歯部2に直接巻線3を巻き付けた集中巻方式の電動機の固定子である。
【0017】
例えば、図1の固定子1は、極が4極であり、固定子1のスロット4の数が6個備えた電動機の固定子である。図1に示す固定子1のスロット4は、図11の従来例に示したような固定子101の端部から軸方向に伸びた内径壁106とスロット絶縁109とを一体成形されたボビン105とするのではなく、内径壁106を有さないスロット絶縁としている。この場合のスロット絶縁としては、スロット内に多くの巻線を巻く必要がなく、むしろスロット絶縁としての強度が必要な場合は、樹脂成形されたスロット絶縁とする方がよく、また、スロット内に多くの巻線を巻く必要があり低価格な電動機にする場合は、フィルム状のスロット絶縁とするとよい。尚、本実施形態の図1においては、スロット4内に多くの巻線3を巻き込み電動機性能を向上させ、より低価格な電動機とするためにスロット絶縁8はフィルム状のスロット絶縁としている。
【0018】
先に述べたように、図1では、固定子1の端部から伸びた内径壁を有していないため、巻線機で固定子歯部2に直接巻線3を巻き付ける際、巻線機のノズルが大きな軌道を描き固定子歯部2に巻線3をバラバラに巻き付けることなく巻線3を確実に整列巻きすることができる。整列巻きすることにより巻線輪は最小寸法で巻くことができる。これにより、銅損が低減でき、尚且つ、電動機性能を向上することができる。また、整列巻きすることにより、より多くの巻線3を巻くことが可能となる。
【0019】
このように極数が2n(nは整数)で固定子1のスロット4の数が3nである電動機の固定子1に多くの巻線3を巻くことにより電動機の高効率化が達成できるものの、スロット4内における巻線3と巻線3との相間接触が問題となる。そこで図2に示すような電動機の固定子とすることにより相間接触を防ぐことができる。図2は図1で説明した電動機の固定子1の横断面図である。
電動機の固定子1のスロット4内のほぼ中央を貫通するように断面がT字形状の樹脂絶縁10を施している。スロット4の開口部側には、断面がT字形状の樹脂絶縁10の幅広部分C1(図8参照)が面し、スロット4の底部側には、幅狭部分C2(図8参照)がくるように配置されている。これによりスロット4内の巻線3と巻線3との相間接触を防ぐことができる。尚、本実施形態では、断面がT字形状の樹脂絶縁10は、上部カバー11及び下部カバー12とは別部品として取り扱っているが、上部カバー11及び下部カバー12のどちらか一方と一体樹脂成形されたものであっても構わない。この場合、固定子1に断面がT字形状の樹脂絶縁10と、上部カバー11または下部カバー12との組み付け工数を低減することができる。
【0020】
図3は、図1及び図2で説明した固定子1のB−B’断面図である。この場合、上部カバー11と下部カバー12から固定子1の内径側の軸方向に巻線3が倒れ込まないように内径壁6a及び6bが設けられている。先の図11でも説明した様に、ボビン105に巻線103を巻く際、ボビン105に固定子101の端面部から軸方向に伸びた内径壁106を有していないため、巻線機のノズルが最小軌道で固定子歯部2に巻線3を巻き付けることができ整列巻きすることができる。巻線完了後、上部カバー11及び下部カバー12から固定子端面に伸びた内径壁6a及び6bにより固定子歯部2に整列巻きされた巻線3が、固定子内径側に崩れないように固定子歯部2に巻き付けられた巻線3のコイルエンド部を確実に保護している。
【0021】
また、図3の上部カバー11には、内径壁6aの他に、固定子1の端面側とは逆の軸方向に伸びる冷却用ガイド壁13が設けられている。この冷却用ガイド壁13は、巻線3及び電動機が組み込まれたケース内の冷却の通路として設けられている。これにより、冷却効率が向上し電動機の温度上昇を防ぐことができる。
【0022】
図4及び図5は、本実施形態の上部カバー11を示している。図4は上部カバー11を上から見た図である。上部カバー11は、上部カバー11の外径からスロット数に対向するように等配に大きく切り欠いた溝11aが設けられている。この切り欠き溝11aは後述する断面がT字形状の樹脂絶縁10を止める切り欠き溝である。この大きく切り欠いた溝11aより少し浅めの切り欠け溝11bは、歯部2に装着された巻線3の端部を引出すための切り欠き溝である。また、上部カバー11の全周に渡り風穴11cが設けられているが、これは巻線3を冷却するための貫通孔である。図5は、図4で示した上部カバー11のD−D’断面図である。図5に示した上半分の軸方向に伸びる筒は、前記したように冷却用ガイド壁13であり、下半分に伸びる内径壁6aは、巻線3の内径側への崩れ込みを防ぐものである。
【0023】
図6及び図7は、本実施形態の下部カバー12を示している。図6は下部カバー12を上から見た図である。図4と同様に下部カバー12は、下部カバー12の外径からスロット数に対向するように等配に大きく切り欠いた溝12aが設けられている。この切り欠き溝12aは後述する断面がT字形状の樹脂絶縁10を止める切り欠き溝である。また、下部カバー12の全周に渡り丸穴12cが設けられているが、これは巻線3を冷却するための貫通孔である。図7は、図6で示した下部カバー12のE−E’断面図である。図7に示した下半分に伸びる内径壁6bは、巻線3の内径側への崩れ込みを防ぐものである。
【0024】
図8は断面がT字形状の樹脂絶縁10を示しており、この断面がT字形状の樹脂絶縁10は固定子1を挟み込むように上部カバー11と下部カバー12を固定している。断面がT字形状の樹脂絶縁10は、スロット4の開口部側に断面がT字形状の樹脂絶縁10の幅広部分C1が面し、スロット底部側に幅狭部分C2がくるように配置されている。これにより巻線間の相間接触を防ぐことができ、尚且つ、スロット開口部15から固定子内径に巻線3の飛び出しを防ぐことが出来る。更に、スロット開口部15側に断面がT字形状の樹脂絶縁10の幅広部分C1が面していることにより、固定子1の歯端部2aと巻線3との絶縁距離も確保することができる。
【0025】
また、 図9は、図8に示した断面がT字形状の樹脂絶縁10がスロット4内に配置された状態を示した配置図である。斜線部分は固定子歯部2に直接巻き付けられた巻線3のスロット4内の様子を表している。スロット4内の壁面部を覆うスロット絶縁8aはフィルム等の薄い厚さの材料で絶縁することにより樹脂成形されたスロット絶縁よりコストを低減でき、より多くの巻線3を巻くことができる。
【0026】
この図9よりもわかる様に断面がT字形状の樹脂絶縁10は、固定子1のスロット中央を貫通するように配置されるが、隣同士の固定子1の歯部2に直接巻き付けられた巻線3の間に挿入されるため、巻線3に押されて断面がT字形状の樹脂絶縁10と上部カバー11と下部カバー12に大きく切り欠いた溝11a及び12aに嵌め込み、位置合わせして固定することが難しい。そこで、固定子1の幅広部分C1から固定子内径側に向かい凸部14を設け、この凸部14を固定子1のスロット開口部15の隙間をガイド溝にして挿入させることにより断面がT字形状の樹脂絶縁10は、上部カバー11または下部カバー12の大きく切り欠いた溝11a及び12aとズレルことなく容易に固定することができる。
【0027】
また、上部カバー11と下部カバー12を固定子1に固定する方法として、断面がT字形状の樹脂絶縁10の軸方向の少なくともどちらか一方の端部に鍵状の係り止め16を設けることにより、上部カバー11及び下部カバー12の大きく切り欠いた切り欠き溝11a及び12aに容易に係り止めすることができ、固定子1を挟み込むように固定することができる。また、断面がT字形状の樹脂絶縁10は、電動機の歯部2から引出された巻線3の端部の端末処理を、この断面がT字形状の樹脂絶縁10の少なくともどちらか一方の端部近傍に凹溝17を設けることにより、この凹溝17内に引出された巻線3の端末部分を入れ込み、各相から引出された巻線3が接触しないように引き廻すことができ、コイルエンド部分の粗雑に引き廻され巻線3の端末部分における各相間の接触を無くすことができる。尚、本実施例では断面がT字形状の樹脂絶縁10の少なくともどちらか一方の端部近傍に凹溝17を設けているが、巻線3の端末部分を固定できる構造であればよく、例えば、ピン等を設けて巻線端部を巻き付けても良く形状を特定するものではない。
【0028】
図10には、固定子1の歯部2の部分拡大図を示している。図10では便宜上巻線や絶縁を取り除いている。固定子1の歯部2の鉄心部分は固定子1の内径側の歯部W1から外径側W2にかけて幅狭とすることにより、スロット4内部の奥深くまで巻線3を装着することができ電動機の小型化、高効率化に伴い多くの巻線3を巻くことができる。巻線機の巻線手順としては、第1工程としてスロット奥(外径側W2側)から巻き始めスロット奥が固定子内径側の歯部W1とほぼ同じ程度の巻き高となるように巻く。次に、第2工程として固定子1の内径側の歯部W1と固定子外径側の歯部W2の間を巻線機のノズルが前後し巻線3を整列巻きしている。
【0029】
このような巻線手法により、固定子1の歯部2に施された巻線3は、固定子1の内径側から外径側に向かい順次巻線周長を小さくすることができ固定子1の内径側への巻線3の倒れ込みを極力小さくすることができる。また、スロット4の奥深くまで巻線3を巻くことができるため巻線3の巻き回数が増え、更に巻線3の巻線輪も最小寸法とすることができるため電動機の効率を向上することができる。
【0030】
このように固定子の歯部に直接巻線を巻く集中巻き方式の電動機の固定子は、エアコンや冷蔵庫等の駆動源である圧縮機内の電動機の固定子や車両搭載用の電動機に用いることによりスロット内の相間接触がなく、スロット開口部から巻線が飛び出すことのない電動機の固定子とすることができ、また固定子歯部端部の鉄心部分と巻線との絶縁距離も確保した、絶縁不良の少ない電動機の固定子とすることができる。
【0031】
また、巻線輪の周長を最小寸法にすることができ銅損も減らすことができる。これにより巻線の巻き回数を増やすことができ電動機の効率を向上することができる。従って、エアコンや冷蔵庫等の駆動源である圧縮機内の電動機の固定子や車両搭載用の電動機に用いることにより非常に効率の良い電動機の固定子とすることができる。
【0032】
尚、固定子の歯部に直接巻線を巻きつける集中巻方式ではなく、外部の巻線機により巻線輪を巻いて、1つの歯部に巻線を機械入れするインサータ方式としても達成することができる。この場合、集中巻方式の場合に比べて歯部に直接巻線を巻く巻線機の巻線ノズルが通過移動するための隙間を設ける必要がないので、スロットに隙間なく巻線を装着することができ電動機の効率を更に向上することができるが、隣り合う巻線と巻線との接触が頻繁に発生することになる。従って、本発明の実施形態にすることにより隣り合う巻線間の相間接触を確実に防ぐことができ、高占積率(スロットに占める巻線量)の電動機の固定子とすることができる。これにより品質が良好で、効率の良い電動機の固定子とすることができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明の電動機の固定子は、極数が2n(nは整数)で固定子スロット数が3nである電動機の固定子において、固定子のスロットには、スロット絶縁が施され、固定子の両端部には、固定子の歯部に巻線を装着後にコイルエンド部を覆う上部カバーと下部カバーが取り付けられ、前記歯部に直接巻き付けられた巻線のコイルエンド部と対応する位置に、少なくとも上部カバーと下部カバーから固定子端面に向かい軸方向に伸びた内径壁を有することにより固定子内径側への巻線の倒れ込みを防ぐことが出来る。
また、固定子のスロットにはスロット中央を貫通する断面がT字形状の樹脂絶縁が施され、前記スロットの開口部側には断面がT字形状の樹脂絶縁の幅広部分が面し、スロット底部側には幅狭部分がくるように配置することにより固定子の隣同士の歯部に施された巻線の相間接触を防ぐことが出来る。
【0034】
また、スロットの開口部側には断面がT字形状の樹脂絶縁の幅広部分が面し、スロット底部側には幅狭部分がくるように配置することにより固定子のスロット開口部から固定子内部へ巻線が飛び出すことを防ぐことが出来る。特に、断面がT字形状の樹脂絶縁の幅広部分がスロット開口部側に面していることにより、スロット開口部の固定子歯端部と巻線との絶縁を確実に施すことが出来る。
【0035】
また、巻線を固定子歯部に装着した後、断面がT字形状の樹脂絶縁により上部カバーと下部カバーを確実に、固定子を挟み込むように固定することができ、巻線の結線処理する際の電工作業時に上部カバーや下部カバーが脱落することがなくなる。
【0036】
尚、上部カバーと下部カバーのどちらか一方と、断面がT字形状の樹脂絶縁と一体成形することにより上部カバーもしくは下部カバーに設けられた大きく切り欠いた切り欠き溝に容易に嵌め込み、位置合せし固定することができる。この場合、当然であるが上部カバーもしくは下部カバーと一体成形した場合、一体成形した側は、大きく切り欠いた溝11aもしくは12aは、必要でなくなる。
【0037】
また、断面がT字形状の樹脂絶縁は、固定子スロット中央を貫通するように配置されるが、固定子歯部に巻き付けられた巻線量が多く巻線に押されて上部カバーと下部カバーの固定位置に断面がT字形状の樹脂絶縁を確実に位置合わせして固定することができない場合でも、断面がT字形状の樹脂絶縁の幅広部分から固定子内径側に向かい凸部分を飛び出させ、この凸部を固定子スロット開口部の隙間に挿入させることにより上部カバーまたは下部カバーの固定位置と断面がT字形状の樹脂絶縁とのズレルをなくし嵌め込み固定することができる。
【0038】
尚、断面がT字形状の樹脂絶縁の軸方向両端部は、前記上部カバーと下部カバーを固定子に固定するために、鍵状の係り止めとすることにより確実に上部カバーと下部カバーを固定子に固定することができる。
【0039】
また、断面がT字形状の樹脂絶縁の少なくともどちらか一方の端部近傍は、歯部に施した巻線の端末処理を容易にするための手段が設けられていることにより、巻線端末処理を容易にすることができる。
【0040】
また、前記固定子の歯幅が、固定子の内径から外径側に向かい幅狭とすることによりスロット内に多くの巻線を装着することができる。
【0041】
前記固定子の歯部に施された巻線は、固定子の内径側から外径側に向かい順次巻線周長が小さくすることにより、固定子内径側への崩れ込みを防ぎ、尚且つ、銅損を減らし電動機の効率を向上することができる。
【0042】
この様な電動機の固定子を、エアコンや冷蔵庫等の駆動源である圧縮機や車両搭載用の電動機に用いることによって品質の良好な小型化、高効率化を達成した固定子とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す固定子の図である。
【図2】 図1における横断面図である。
【図3】 図1におけるB−B’断面図である。
【図4】 コイルエンド部を覆う上部カバーの図である。
【図5】 図4におけるD−D’断面図である。
【図6】 コイルエンド部を覆う下部カバーの図である。
【図7】 図6におけるE−E’断面図である。
【図8】 断面がT字形状の樹脂絶縁を示している。
【図9】 断面がT字形状の樹脂絶縁を固定子のスロットに装着した様子を示している。
【図10】 本実施例における固定子歯部の部分拡大図を示している。
【図11】 従来例を示す固定子の図である。
【符号の説明】
1、101・・・固定子、 2、102・・・歯部、 2a、102a・・・固定子歯端部、 3、103・・・巻線、 4、104・・・スロット、 6a、6b、106・・・内径壁、 8、8a、109・・・スロット絶縁、 10・・・断面がT字形状の樹脂絶縁、11・・・上部カバー、11a、11b、12a・・・切り欠き溝、11c、12c・・・風穴、12・・・下部カバー、13・・・冷媒用ガイド、14・・・凸部、15・・・スロット開口部、16・・・鍵状の係り止め、17・・・凹溝、105・・・ボビン、107・・・外径壁。
Claims (9)
- 極数が2n(nは整数)で固定子スロット数が3nである電動機の固定子において、前記固定子のスロットには、スロット絶縁が施され、
前記固定子の両端部は、前記固定子の歯部に巻線を装着後にコイルエンド部を覆う上部カバーと下部カバーが取り付けられ、前記上部カバーと下部カバーには前記歯部に施された巻線と対応する位置に少なくとも固定子の端面に向かい軸方向に伸びた内径壁を有しており、
前記固定子のスロットにはスロット中央を貫通する断面がT字形状の樹脂絶縁が施され、前記スロットの開口部側に断面がT字形状の樹脂絶縁の幅広部分が面し、スロット底部側に幅狭部分がくるように配置され、
前記上部カバーと下部カバーと断面がT字形状の樹脂絶縁により前記固定子を挟み込むように固定されていることを特徴とする電動機の固定子。 - 前記上部カバーと下部カバーのどちらか一方と断面がT字形状の樹脂絶縁が一体成形され、前記断面がT字形状の樹脂絶縁が固定子スロット中央を貫通するように伸びて前記固定子を挟み込むように固定されていることを特徴とする請求項1項に記載の電動機の固定子。
- 前記断面がT字形状の樹脂絶縁の幅広部分から固定子内径側に向かい凸部分が飛び出しており、前記凸部は固定子スロット開口部の隙間に挿入されていることを特徴とする請求項1項または請求項2項に記載の電動機の固定子。
- 前記断面がT字形状の樹脂絶縁の軸方向の少なくともどちらか一方の端部は、前記上部カバーと下部カバーを固定子に固定するために、鍵状の係り止めを有していることを特徴とする請求項1項及至請求項3項いずれかに記載の電動機の固定子。
- 前記断面がT字形状の樹脂絶縁の少なくともどちらか一方の端部には、歯部に施した巻線の端末処理を容易にするための手段が設けられていることを特徴とする請求項1項及至請求項4項いずれかに記載の電動機の固定子。
- 前記固定子の歯幅が、固定子の内径から外径側に向かい幅狭になっていることを特徴とする請求項1項及至請求項5項いずれかに記載の電動機の固定子。
- 前記固定子の歯部に施された巻線は、固定子の内径側から外径側に向かい順次巻線周長が小さくなっていることを特徴とする請求項1項及至請求項6項いずれかに記載の電動機の固定子。
- 前記固定子を、エアコンや冷蔵庫等の駆動源である圧縮機に用いたことを特徴とする請求項1項及至請求項7項いずれかに記載の電動機の固定子。
- 前記固定子を、車両搭載用電動機に用いたことを特徴とする請求項1項及至請求項7項いずれかに記載の電動機の固定子。
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