JP4112380B2 - 複合糸及びそれを用いた布帛 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、扁平断面マルチフィラメントからなる複合糸及びこの複合糸を用いた、洗濯後の乾燥性に優れた布帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スポーツウェア、インナーウェア等の吸汗素材として、着用時の汗を拡散させることによって、布帛の吸収した汗の乾燥速度を上げ、快適性を高めるために、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の合成繊維繊維が用いられてきた。更に、このような繊維の断面形状を異型化したり、多層構造布帛にすることにより、衣料に吸収された汗の拡散性を高める提案が多くなされている(例えば、特許文献1参照)。また、発汗時のベタツキ感(汗によって布帛が肌に張り付く現象)を無くすため、多層構造複合糸の内層部に単糸繊度の小さいものを用いる提案も多くなされている(例えば、特許文献2、3参照)
しかしながら、従来は、ウォッシュアンドウェア性、すなわち、洗濯後の乾燥速度を向上させるためには、生地の厚みを薄くしたり、メッシュ調の組織のように生地の空隙率を上げたり、単糸繊度を大きくする等の方法に留まっていた。この場合、衣料の汗処理機能が著しく低下し、着用時に不快感を感じたり、風合いが硬くなる等の問題が生じる。すなわち、布帛に使用する合成繊維の単糸繊度を大きくすることにより、脱水後の含水率が低くなり洗濯後の乾燥速度は速くなるが、発汗時のベタツキが増し、不快になる問題が生じる。単糸繊度を小さくすることにより、繊維内の毛細管現象が向上し、発汗時のベタツキが低減するが、繊維間に水が保持され、脱水後の含水率が高くなるため、洗濯後の乾燥速度は非常に遅くなるという問題が生じる。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−8245号公報
【特許文献2】
特開2001−159051号公報
【特許文献3】
特開平10−110352号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、このような問題を解決するために、従来の汗処理機能及び風合いを保ち、かつ、優れた速乾性を有する布帛を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、複合糸の芯糸に単糸繊度が大きい糸を用いることにより脱水後の含水率を低下させ、芯糸と鞘糸が共に扁平断面であり、かつ、鞘糸に凹部を有する単糸断面の糸を用いることによりソフトな風合いと濡れ戻り性が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、下記の通りである。
(1) 水膨潤度が30%未満であるマルチフィラメントからなる複合糸であって、該複合糸は、単糸繊度が3.0〜10.0dtexであり、単糸断面の扁平度が2.0〜4.0である扁平断面マルチフィラメント(A)と、単糸繊度が1.0〜3.0dtexであり、単糸断面に凹部を有し、単糸断面の扁平度が2.0〜4.0であり、下記式で求められる単糸の周長比(Lr)が1.3以上である扁平断面マルチフィラメント(B)とからなり、マルチフィラメント(A)の単糸繊度がマルチフィラメント(B)より大きく、マルチフィラメント(B)がループをなして鞘部を形成し、マルチフィラメント(A)が芯部を形成する構造を有する複合糸。
Lr=L1/L2
(但し、L1は、鞘部を構成する扁平断面マルチフィラメント(B)の単糸の周長(cm)、L2は、前記マルチフィラメント(B)の単糸の断面積S1(cm2)と同一面積の円形断面糸の単糸周長(cm)であり、L2=2×(π×S1)0.5により算出される)
(2) 扁平断面マルチフィラメント(A)は、単糸の中空率が20〜40%であることを特徴とする(1)に記載の複合糸。
(3) 扁平断面マルチフィラメント(B)は、単糸断面がW型断面であることを特徴とする(1)または(2)記載の複合糸。
(4) (1)〜(3)のいずれか1つに記載された複合糸を用いた布帛。
【0007】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の複合糸は、水膨潤度が30%未満であるマルチフィラメントからなる複合糸であって、芯部を構成する扁平断面マルチフィラメント(A)からなる芯糸と、鞘部を構成する扁平断面マルチフィラメント(B)からなる鞘糸とで構成されている。
本発明に用いるマルチフィラメントは、水膨潤度が30%未満でなければならない。水膨潤度が30%以上になると、繊維内部に保水される水の量が多くなり、速乾性が非常に劣る。水膨純度は好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。なお、本発明で言う水膨潤度は、JIS L 1015「化学繊維ステープル試験方法」7.25(水膨潤度)に準拠して測定される。
【0008】
このようなマルチフィラメントとしては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維等のポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維等の疎水性繊維、ビスコースレーヨン、キュプラレーヨン等の親水性繊維からなるマルチフィラメントが挙げられるが、これらに限定されるものではない。疎水性繊維は速乾性に優れるので好ましく、取扱性等の点から、ポリエチレンテレフタレート繊維マルチフィラメントを主体として使用することがより好ましい。
【0009】
芯糸は、単糸繊度が3.0〜10.0dtex、好ましくは30〜167dtexであり、単糸断面の扁平度が2.0〜4.0である扁平断面合成繊維マルチフィラメント(A)である。
扁平断面マルチフィラメント(A)は、単糸の繊度が3.0dtex未満であると、吸水させ、脱水した後の含水率が高くなり、速乾性が低下する。繊度が10.0dtexを越えると、布帛にした時の風合いが硬くなる。
このマルチフィラメント(A)の単糸断面の扁平度を2.0〜4.0に規定することにより、ソフトな風合いが得られる。扁平度が2.0未満では、風合いが硬くなり、扁平度が4.0を越えると、風合いは非常にソフトになるが、製糸の段階において、紡糸が不安定になる。本発明において、扁平度とは、単糸断面に外接する長方形を書き、この長方形の長辺Lを短辺Hで割った値(L/H)を言う。
【0010】
このマルチフィラメント(A)の単糸が中空であると、軽量な布帛が得られるので好ましい。単糸が扁平断面で中空である、長手方向に延びる独立した二つの中空部を有するメガネ型断面形状を有する単糸からなるマルチフィラメントが好ましい。この場合、軽量感だけでなく汗処理機能も兼ね備えることができる。メガネ型断面を有する単糸の中空率は20〜40%であることが好ましく、25〜35%がより好ましい。中空率が20%未満では、軽量性が低下する場合があり、中空率が40%を越えると、曲げ応力が高くなり、布帛に加工した時の風合いが硬くなることがある。
【0011】
本発明の複合糸の鞘糸には、単糸繊度が1.0〜3.0dtex、単糸断面の扁平度が2.0〜4.0、単糸の周長比が1.3以上である扁平断面マルチフィラメントを用いる。
扁平断面マルチフィラメント(B)は、単糸繊度が1.0〜3.0dtexであり、好ましくは1.5〜3.0dtexである。単糸繊度が1.0dtex未満であると、脱水後の含水率が高くなり、速乾性が得られない。単糸繊度が3.0dtexを越えると、濡れ戻り性が悪くなるだけでなく、ソフトな風合いも得られない。マルチフィラメント(B)の総繊度は22〜167dtexが好ましい。
【0012】
このマルチフィラメント(B)の単糸の周長比(Lr)は1.3以上であることが必要であり、好ましくは1.3〜3.0であり、より好ましくは1.3〜2.5である。周長比Lrを1.3以上とすることにより、単糸及び単糸間の空隙が極めて大きくなるため、濡れ戻り性が良好になる。さらに、単糸の表面積も大きくなるため、汗等の水分の拡散性に優れ、乾燥速度も速くなる。周長比(Lr)が1.3未満では、単糸及び単糸間の空隙が少なくなり、濡れ戻り性が不十分となる。周長比Lrが3.0を越えると、糸製造時の紡糸性不良または断面形態不均一を起こす場合がある。なお、周長比は以下の式で求められる。
Lr=L1/L2
(但し、L1は、鞘部を構成する扁平断面マルチフィラメント(B)の単糸の周長(cm)、L2は、前記マルチフィラメント(B)の単糸の断面積S1(cm2)と同一面積の円形断面糸の単糸周長(cm)であり、L2=2×(π×S1)0.5により算出される。)
【0013】
本発明におけるマルチフィラメント(B)の単糸の断面形状は、扁平度が2.0〜4.0の扁平形状である。単糸断面を扁平にすることにより、ソフトな風合いが得られる。扁平度が2.0未満では、風合いが硬くなり、扁平度が4.0を越えると、製糸の段階で紡糸が不安定になる。
本発明のマルチフィラメント(B)の単糸断面形状は凹部を持った異型でなければならない。単糸の断面に凹部を有することにより単糸及び単糸間の空隙が増す。単糸の断面形状としては、例えば、丸、三角、多角形等の断面に凹部を形成した異型状のもの、L型、T型、Y型、W型、H型、π型、+型、#型、*型、八葉型、ドッグボーン型等の異型状のもの、これらの糸に中空部を持った断面形状のもの等を用いることができる。なかでも、断面形状がW型のものが好ましい。W型断面は、糸の凹部に水が保持されるため濡れ戻り性が良好となり、また、単糸断面が扁平であることから、よりソフトな風合いが得られる。
【0014】
本発明の複合糸を製造する方法としては、撚糸、カバリング、流体噴射加工、仮撚、紡糸混繊等の方法を用いることができる。糸に嵩高性を持たせ、脱水後の含水率を低下させるためには、流体噴射加工が好ましい。流体噴射加工時に、鞘糸の流体噴射ノズルへのフィード率と芯糸の流体噴射ノズルへのフィード率に差をつけることにより、鞘部と芯部からなる鞘芯構造の流体噴射加工糸となる。
【0015】
以下、流体噴射加工について説明する。
芯糸となる扁平断面マルチフィラメント(A)を、鞘糸となる扁平断面マルチフィラメント(B)よりフィード率を小さくして供給する。供給糸の流体噴射ノズルへのフィード率は任意に設定することができる。芯糸となるマルチフィラメント(A)のフィード率を+5%〜+20%、鞘糸となるマルチフィラメント(B)のフィード率を+10〜+40%、フィード率の差を+5〜+30%とすることによって、マルチフィラメント(B)が比較的加工糸表面に多く分布してループをなし、鞘部を形成した鞘芯構造の複合糸を得ることができる。フィード率差が5%未満であると、ループ毛羽数が不足し、40%を越えるとループ毛羽数が多くなる
【0016】
流体噴射加工する際に使用する流体噴射ノズルとしては、ループ毛羽が形成されるものであれば限定されない。加工糸表面に鞘糸のループ毛羽が形成されることにより、布帛に加工した際にポイントタッチとなり、発汗時でもドライな風合いを呈すると共に、濡れ戻り性に優れ、脱水後の含水率も低くすることができる。
流体噴射加工時の加工速度は任意に設定できるが、好ましくは50〜600m/分の範囲であり、より好ましくは100〜500m/分である。加工速度が50m/分未満では、生産性が低く、600m/分を越えると、マルチフィラメント間の絡みが弱くなる。
流体噴射加工時の流体噴射圧力は、好ましくは0.3〜1.0MPaの範囲であり、より好ましくは0.4〜0.9MPaである。流体噴射圧力が0.3MPa未満では、マルチフィラメント間の絡みが弱くなり、1.0MPaを越えると、糸切れ等が起こりやすくなる。
流体噴射加工時に適量の水を供給糸に付与することにより、マルチフィラメント間の絡みを強固に、かつ、より均一にすることができる。
【0017】
本発明において布帛とは、織物又は編物のことを言う。織物組織の代表的なものには、平織、ツイル織、サテン織、経二重織、緯二重織、ドビー織等を含む、何れの組織でもよい。織り密度は、経密度60〜350本/2.54cm、緯密度60〜150本/2.54cmが好ましい。編物組織は、横編、丸編、経編等、何れの組織でもよく、編みゲージは18〜32ゲージが好ましい。
本発明の布帛は、本発明の複合糸を100%使用したものと、一部に使用したものが含まれる。本発明の複合糸を一部使用した布帛は、本発明の目的を損なわない範囲で、他の繊維、加工糸等を併用してもよい。この場合、本発明の複合糸を50重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは70重量%以上である。本発明の複合糸の含有率が多いほど、本発明の特徴である速乾性が増大する。
【0018】
本発明の布帛において、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維等のポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維等の疎水性繊維からなるマルチフィラメントからなる複合糸を用いた場合、そのままでは繊維表面が疎水性であるため吸水性が無く、十分な汗処理機能を持たないため、吸水加工を行い、繊維表面を親水化することが好ましい。但し、ポリマー改質などにより、繊維表面が親水性であるマルチフィラメントの場合はこの限りでない。
吸水加工に使用する吸水剤としては、公知の吸水剤を用いることができ、とりわけ、吸水性ポリアミド樹脂または吸水性ポリエステル樹脂を主成分とするものが好ましい。
本発明の布帛には、用途及び使用形態により、蓄熱剤、紫外線遮蔽又は吸収剤、制電剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤等で加工して各種の機能を付与することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明で用いられる評価法は以下のとおりである。
(1)水膨潤度
JIS L 1015「化学繊維ステープル試験方法」7.25(水膨潤度)に準拠して測定する。
(2)扁平度
単糸の光学顕微鏡クロスセクション写真又は同画像上から、断面に外接する長方形を描き、この長方形の長辺を短辺の長さを測定する。長辺の長さを短辺の長さで割った値を扁平度とする。
(3)周長比Lr
単糸の光学顕微鏡クロスセクション写真または同画像上から、単糸断面積(S1)と周長(L1)を画像解析にて測定し、下記式(2)に従って周長比(Lr)を求める。鞘糸の単糸断面積(S1)と同一の断面積を持つ円形断面糸の周長(L2)を下記式(2)により算出する。
L2=2×(π×S1)0.5・・・・・・(1)
Lr=L1/L2・・・・・・(2)
【0020】
(4)濡れ戻り性
10cm×10cmの試料の重量(W1)を測定した後、試料の肌側面に0.2mlの水を付与し、1分間吸水させた後、試料の重量(W2)を測定する。次いで、10cm×10cmの濾紙の重量(R1)を測定した後、濾紙上に試料を置き、5g/m2の荷重を乗せる。30秒後に徐重し、濾紙の重量(R2)を再度測定し、下記式(3)により濡れ戻り率を算出する。濡れ戻り率が20%以下であると、発汗時でもベタツキ感が低く快適である。
濡れ戻り率(%)=(W2−W1)/(R2−R1)×100・・・・(3)
【0021】
(5)脱水後の含水率
10cm×10cmの試料の重量(D1)を測定した後、水に10分間浸漬させる。次いで、遠心脱水機を用いて回転数1000rpmで1分間遠心脱水した後、試料の重量(D2)を再度測定し、下記式(4)により脱水後の含水率を算出する。脱水後の含水率が40%を越えると乾燥時間が長くなる。
脱水後の含水率(%)=(D2−D1)/D1×100
(6)風合い
得られた布帛をハンドリングにて、以下の基準で熟練した加工技術者が判定する。
○:軟らかい
△:やや軟らかい
×:硬い
【0022】
【実施例1】
扁平断面マルチフィラメント(A)に58dtex/24fのメガネ型中空断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、見掛け単糸繊度3.5dtex、単糸の扁平率2.2、単糸の中空率30%)、扁平断面マルチフィラメント(B)に84dtex/30fのW型断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、単糸繊度2.8dtex、単糸の扁平度3.0、単糸の周長比1.4)を用い、下記条件で流体噴射加工を行い、複合糸を得た。得られた複合糸を、28GGシングル丸編み機にて天竺組織で編み立てた後、吸水加工を行い、布帛を得た。
【0023】
【0024】
【実施例2】
扁平断面マルチフィラメント(A)に72dtex/24fのメガネ型中空断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、見掛け単糸繊度4.2dtex、単糸の扁平率2.2、単糸の中空率30%)、扁平断面マルチフィラメント(B)に34dtex/18fのW型断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、単糸繊度1.9dtex、単糸の扁平度3.0、単糸の周長比1.4)を用い、実施例1と同様の流体噴射加工、編み立て、吸水加工を行い、布帛を得た。
【0025】
【実施例3】
扁平断面マルチフィラメント(A)に84dtex/12fの楕円型断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、単糸繊度7.0dtex、単糸の扁平率3.0)、扁平断面マルチフィラメント(B)に56dtex/30f(水膨潤度0%、単糸繊度1.9dtex、単糸の扁平度3.0、単糸の周長比1.4)を用い、実施例1と同様の流体噴射加工、編み立て、吸水加工を行い、布帛を得た。
【0026】
【実施例4】
扁平断面マルチフィラメント(A)に84dtex/24fの楕円型断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、単糸繊度3.5dtex、単糸の扁平度3.0)、扁平断面マルチフィラメント(B)に84dtex/36fのL型断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、単糸繊度2.3dtex、単糸の扁平度2.2、単糸の周長比1.5)を用い、実施例1と同様の流体噴射加工、編み立て、吸水加工を行い、布帛を得た。
【0027】
【比較例1】
扁平断面マルチフィラメント(A)に84dtex/6fの楕円型断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、単糸繊度14.0dtex、単糸の扁平度2.2)、扁平断面マルチフィラメント(B)に84dtex/30fのW型断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、単位繊度2.8dtex、単糸の扁平度3.0、単糸の周長比1.4)を用い、実施例1と同様の流体噴射加工、編み立て、吸水加工を行い、布帛を得た。
【0028】
【比較例2】
扁平断面マルチフィラメント(A)に84dtex/60fの楕円型断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、単糸繊度1.4dtex、単糸の扁平度2.2)、扁平断面マルチフィラメント(B)に84dtex/30fのW型断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、単糸繊度2.8dtex、単糸の扁平度3.0、単糸の周長比1.4)を用い、実施例1と同様の流体噴射加工、編み立て、吸水加工を行い、布帛を得た。
【0029】
【比較例3】
扁平断面マルチフィラメント(A)に58dtex/24fのメガネ型中空断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、見掛け単糸繊度3.5dtex、単糸の扁平度2.2、単糸の中空率30%)、扁平断面マルチフィラメント(B)に84dtex/108fのW型断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、単糸繊度0.8dtex、単糸の扁平度3.0、単糸の周長比1.4)を用い、実施例1と同様の流体噴射加工、編み立て、吸水加工を行い、布帛を得た。
【0030】
【比較例4】
扁平断面マルチフィラメント(A)に58dtex/24fのメガネ型中空断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、単糸繊度2.8dtex、単糸の扁平度3.0、単糸の中空率30%)、扁平断面マルチフィラメント(A)に84dtex/15fのW型断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、単糸繊度5.6dtex、単糸の扁平度3.0、単糸の周長比1.4)を用い、実施例1と同様の流体噴射加工、編み立て、吸水加工を行い、布帛を得た。
【0031】
【比較例5】
扁平断面マルチフィラメント(A)及び扁平断面マルチフィラメント(B)に58dtex/24fのメガネ型断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、見掛け単糸繊度3.5dtex、単糸の扁平度2.2、単糸の中空率30%、周長比1.2)を用い、実施例1と同様の流体噴射加工、編み立て、吸水加工を行い、布帛を得た。
【0032】
【比較例6】
扁平断面マルチフィラメント(A)及び扁平断面マルチフィラメント(B)に84dtex/30fのW型断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、単糸繊度2.8dtex、単糸の扁平度3.0、単糸の周長比1.4)を用い、実施例1と同様の流体噴射加工、編み立て、吸水加工を行い、布帛を得た。
【0033】
【比較例7】
扁平断面マルチフィラメント(A)に84dtex/24fの丸型断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、単糸繊度3.5dtex、単糸の扁平度1.0)を用い、扁平断面マルチフィラメント(B)に84dtex/36fの丸型断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、単糸繊度2.3dtex、単糸の扁平度1.0、単糸の周長比1.0)を用い、実施例1と同様の流体噴射加工、編み立て、吸水加工を行い、布帛を得た。
【0034】
【比較例8】
扁平断面マルチフィラメント(A)に58dtex/24fのメガネ型断面ポリエステルマルチフィラメント(水膨潤度0%、見掛け単糸繊度3.5dtex、単糸の扁平度2.2、単糸の中空率30%、周長比1.2)を用い、扁平断面マルチフィラメント(B)に84dtex/45fの丸型断面キュプラフィラメント(水膨潤度80%、単糸繊度1.9dtex、単糸の扁平度1.0、単糸の周長比1.0)を用い、実施例1と同様の流体噴射加工、編み立て、吸水加工を行い、布帛を得た。
濡れ戻り性、脱水後の含水率、風合いの評価結果を表1に示す。表1に示した通り、実施例1〜4は、濡れ戻り性に優れ、かつ、脱水後の水分率も低く、風合いもソフトであった。比較例1〜8は、脱水後の含水率、濡れ戻り性及び風合いソフト性の全てを満たすものが得られなかった。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
本発明の布帛は、従来の汗処理機能、風合いを持ちながら、優れた速乾性を有する。
Claims (4)
- 水膨潤度が30%未満であるマルチフィラメントからなる複合糸であって、該複合糸は、単糸繊度が3.0〜10.0dtexであり、単糸断面の扁平度が2.0〜4.0である扁平断面マルチフィラメント(A)と、単糸繊度が1.0〜3.0dtexであり、単糸断面に凹部を有し、単糸断面の扁平度が2.0〜4.0であり、下記式で求められる単糸の周長比(Lr)が1.3以上である扁平断面マルチフィラメント(B)とからなり、マルチフィラメント(A)の単糸繊度がマルチフィラメント(B)より大きく、マルチフィラメント(B)がループをなして鞘部を形成し、マルチフィラメント(A)が芯部を形成する構造を有する複合糸。
Lr=L1/L2
(但し、L1は、鞘部を構成する扁平断面マルチフィラメント(B)の単糸の周長(cm)、L2は、前記マルチフィラメント(B)の単糸の断面積S1(cm2)と同一面積の円形断面糸の単糸周長(cm)であり、L2=2×(π×S1)0.5により算出される) - 扁平断面マルチフィラメント(A)は、単糸の中空率が20〜40%であることを特徴とする請求項1記載の複合糸。
- 扁平断面マルチフィラメント(B)は、単糸断面がW型断面であることを特徴とする請求項1または2記載の複合糸。
- 請求項1から3のいずれかに1項に記載された複合糸を用いた布帛。
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