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JP4108196B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリプロピレン樹脂組成物に関し、水素添加ブロック共重合体を添加することにより、ポリプロピレン系樹脂の軟質性、応力白化性、曇り度、フィルムブロッキング性のバランスを改良した特異的なモルフォロジーを有するポリプロピレン系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン系樹脂組成物は、一般に耐薬品性、機械的特性に優れているため、包材、雑貨、機械部品、自動車部品など広範に使用されている。また、最近、環境問題に対する必要性から非ハロゲン系の透明高分子材料の開発が進んでおり、特にシート、フィルム分野においてはポリプロピレン系樹脂を軟質化、透明化させる要求が出ている。ポリプロピレン系樹脂を軟質化、透明化させるためには、ポリプロピレン系樹脂にエラストマーを添加する方法が用いられているが、例えばオレフィン系エラストマーを添加した場合組成物の軟質性は向上するが応力白化性、曇り度、フィルムどうしのブロッキング性は満足のいくものではなかった。応力白化性の改善を目的として特開平6−287365にはポリプロピレンと水添ジエン系共重合体よりなる組成物が提案されている。しかしながら、この方法で得られたフィルムは、フィルムどうしのブロッキングの改善が要求されており、また軟質性、曇り度も満足のいくものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は軟質性、応力白化性、曇り度、フィルムブロッキング性のバランスに優れるポリプロピレン系樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、図1に示すようなある特定な分散形態をもたせたポリプロピレン系樹脂と水素添加スチレン系ブロック共重合体との樹脂組成物が上記課題を効果的に解決することを見いだし本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち本発明の第1は、成分(A);ポリプロピレン系樹脂 98〜50重量部及び、成分(B);スチレン系化合物単量体を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物単量体単位を主体とする少なくとも2個の水素添加された重合体ブロックから構成される水素添加スチレン系ブロック共重合体 2〜50重量部が混練されてなる樹脂組成物であって、成分(B)中のスチレン系化合物単量体単位含量が12重量%を越え25重量%未満であり、水素添加される前の共役ジエン化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックが、ブタジエン単量体単位を主体とし1,2結合量の平均が62モル%以上99モル%未満である重合体ブロック、または、イソプレン単量体単位を主体とし3,4結合量が10モル%以上75モル%未満である重合体ブロックであり、水素添加される前の重合体ブロック中のオレフィン性不飽和二重結合のうち90%以上が水素添加されており、成分(A)が連続相を形成し、その連続相中に、成分(A)と成分(B)からなる第一分散相が存在し、さらにその第一分散相中に主に成分(B)を構成するスチレン系化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックからなるドメインが第2分散相を形成した分散形態を有し、タッピングAFM(原子間力顕微鏡)の位相差像を測定した第一分散相の粒径が200nm以下であって、第2分散相の平均長が100nm以下であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物であり、組成物の断面において観測される第2分散相中のスチレン系化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックからなるドメインの数が3個以下である割合が50%以上であることを特徴とする第1の発明のポリプロピレン系樹脂組成物である。
【0006】
本発明の第2は、成分(B)の水素添加スチレン系ブロック共重合体中のスチレン系化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックの数が、少なくとも2個以上であり、スチレン系化合物単量体単位を主体とする重合体ブロック連鎖数が5以上であるスチレン系化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックの割合が50%以上であることを特徴とする第1の発明のポリプロピレン系樹脂組成物である。
本発明の第3は、成分(B)の水素添加スチレン系ブロック共重合体において、末端にあるブロックの少なくとも1個が水素添加された共役ジエン化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックである第1の発明または第2の発明のポリプロピレン系樹脂組成物である。
本発明の第4は、成分(B)のメルトフローレート値が1.0g/10分以上15g/10分未満である第1〜3の発明のいずれかのポリプロピレン系樹脂組成物である。
【0007】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明はポリプロピレン系樹脂と水素添加スチレン系ブロック共重合よりなる組成物において、特定の分散形態をもたせることで軟質性、応力白化性、曇り度、フィルムブロッキング性のバランスに優れる組成物が得られることを発見した事による。
【0008】
ポリプロピレン系樹脂に軟質性を付与するためには、水素添加スチレン系ブロック共重合体をポリプロピレン系樹脂中に粒子として微分散させる方法で検討されてきた。微分散化させることにより確かにポリプロピレン系樹脂組成物は軟質化するが、フィルムの曇り度、応力白化性やフィルムブロッキング性に劣るという欠点がある。そこで、成分(A);ポリプロピレン系樹脂が連続相を形成し、その連続相中に、成分(A)と成分(B);水素添加スチレン系ブロック共重合体からなる第一分散相が存在し、さらにその第一分散相中に主に成分(B)を構成するビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックからなるドメインが第2分散相を形成した分散形態をとらせ、しかも、粒径や第2分散相中のドメインの個数をある特定範囲にすることによって軟質性、フィルムの曇り度、応力白化性やフィルムブロッキング性のすべてのバランスに優れた組成物を作ることに成功し完成したものである。このような本発明の組成物は、特定の構造を有する水素添加スチレン系ブロック共重合体を選択し、溶融混練時に、混練温度、スクリュー回転数、フィード量等を適当に調整することによって得ることが出来る。
【0009】
以下本発明を更に詳しく説明する。
本発明の樹脂組成物は、(1)ポリプロピレン系樹脂、98〜50重量部と(2)水素添加ブロック共重合体、2〜50重量部よりなる組成物であり、水素添加スチレンブロック共重合体の量が2重量部未満であると軟質性に劣り、50重量部を越えるとフィルムブロッキング性に劣る。
【0010】
本発明の組成物において、タッピングAFM(原子間力顕微鏡)の位相差像にて測定した第一分散相の粒径が数平均粒径は200nm以下であり、第2分散相が数平均長で100nm以下である。第1分散相の平均粒径が200nmを超え、第2分散相の数平均長が100nmを超えると、軟質性、応力白化、曇り度の点で劣る。組成物の断面において観測される第2分散相中のビニル芳香族炭化水素化合物単量体を主体とする重合体ブロックからなるドメインの数が3個以下である割合が50%以上あり、50%未満であると応力白化、曇り度の点で劣る。
【0011】
本発明に使用される成分(A)ポリプロピレン系樹脂としては、ポロピレンの単独重合体、または、プロピレンに少量のエチレンまたはブテン−1等のα−オレフィンを共重合したいわゆるランダムポリプロピレンを使用することができる。また、本発明におけるポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(JIS K7210L条件に準拠)は0.1〜200g/10分の範囲にあることが望ましい。ポリオレフィン系樹脂の重合方法は従来公知の方法いずれでもよく、遷移重合、ラジカル重合、イオン重合等があげられる。
【0012】
本発明に使用される成分(B)水素添加スチレン系ブロック共重合体は、ビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックと、水素添加された共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックから構成される。
ビニル芳香族化合物単量体単位としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−ターシャルブチルスチレン等のアルキルスチレン、パラメトキシスチレン等のうちから1種、または2種以上が選ばれ、中でもスチレンが好ましい。また、成分(B)の水素添加スチレン系ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素化合物単量体を主体とする重合体ブロックのビニル芳香族単量体の連鎖数が5以上である割合が50%以上さらには70%以上であることが好ましい。50%未満であると組成物のフィルムどうしのブロッキング性が悪化し好ましくない。
【0013】
ビニル芳香族化合物単量体単位含量は12重量%を越え25重量%未満であることが好ましい。12重量%以下であるとフィルムブロッキング性が悪化し、25重量%以上であると軟質性、曇り度が悪化する。ビニル芳香族化合物単量体単位含量は核磁気共鳴装置(NMR)、紫外分光光度計(UV)などにより測定できる。本発明における「主体とする」という言葉は例えば「ビニル芳香族化合物単量体単位を主体とする」の場合、ビニル芳香族単量体の1種または2種以上からなる場合、もしくはこれらとリビングアニオン重合する他の単量体が共重合されている場合も含まれる。これら共重合可能な他の単量体としては、共役ジエン化合物単量体、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等メタクリル酸エステル、シクロヘキサジエン、カプロラクトン等をあげることができる。共重合の形態としては、ランダム、交互、テーパー等いかなる形態でも良い、上記ブロック共重合体におけるビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックの数は、少なくとも2個以上であることが好ましく、複数個ある重合体ブロックAはそれぞれその組成、分子量などが 異なっても構わない。
【0014】
重合体ブロックBに用いる共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3ブタジエン等のうち1種または2種以上が選ばれ、中でも、ブタジエン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好ましい。なかでも軟質性の点から、ブタジエンが好ましい。
【0015】
本発明に使用される成分(B)水素添加スチレン系ブロック共重合体は、水素添加前の共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックがブタジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックの場合1、2結合量の平均は62モル%以上99モル%未満であることが好ましく、65モル%以上99モル%未満であることがさらに好ましく、70モル%以上99モル%以下であることがとりわけ好ましい。62モル%未満の場合、応力白化性、曇り度が劣る。イソプレン単量体単位を主体とする重合体ブロックの場合、3,4結合量が10モル%以上75モル%未満であることが好ましく、さらに好ましくは20モル%以上60モル%以下であり、とりわけ好ましくは25モル%以上50モル%以下が特に好ましい。20モル%以下であると、応力白化性、曇り度の点で劣る。ミクロ構造は核磁気共鳴装置(NMR)により測定できる。「共役ジエン単量体単位を主体とする」という言葉には、共役ジエンとリビングアニオン重合する他の単量体が共重合されている場合も含まれる。これら共重合可能な他の単量体としては、ビニル芳香族化合物単量体、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、シクロヘキサジエン、カプロラクトン等をあげることできる。共重合の形態としては、ランダム、交互、テーパー等いかなる形態でも良く、複数個ある重合体ブロックBはそれぞれその組成、分子量などが異なっても構わない。他モノマーと共重合する場合は、また、本明細書中で使用される「主体とする」という言葉は該当単量体単位が重合体ブロックにおいて、少なくとも50モル%を越え、好ましくは70モル%以上を占めることを意味する。
【0016】
本発明の水素添加水素添加される前の重合体ブロックB中のオレフィン性不飽和二重結合のうち90%以上が水素添加されたものである。90%未満であると、熱、光などにより劣化をおこし熱可塑性が低下する。また、ブロックA中のビニル芳香族化合物のベンゼン環の不飽和二重結合は、ビニル芳香族化合物全体において20%までは水素添加されていても良い。これらの水素添加率は核磁気共鳴装置(NMR)によって測定できる。
【0017】
また、水素添加スチレン系ブロック共重合体のJIS K7210に準拠し温度230℃、荷重2.16Kgの条件で求めたメルトフローレート値(MFR)は1.0g/10分以上15g/10分未満の範囲にあることが望ましく、1.5g/10分以上10g/10分以下であることがさらに望ましい。1.0g/10分未満であると組成物の流動性が悪化し望ましくなく、15g/10分以上であるとフィルムブロッキング性が悪化するため望ましくない。本発明において水素添加ブロック共重合体の構造は、例えば線状、分岐状、放射状、櫛形状などいかなる形態をとっても構わないが、少なくとも2個のビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックAを有することが好ましく、さらには、少なくとも2個の水素添加された共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックBから構成されることが好ましく、さらに末端にあるブロックの少なくとも1個が重合体ブロックBであることが好ましい。好ましい構造としてはA−B−A−B、B−A−B−A−B、(B−A−B)n−Xがあげられるが(ここでnは2以上の整数、Xはカップリング剤残基を示す)、軟質性、応力白化、曇り度、フィルムブロッキング性の点から組成物A−B−A−Bが特に好ましい。カップリングにより本発明の水素添加ブロック共重合体を得る場合、カップリング前の成分は水素添加ブロック共重合体中に50重量%未満含むことができる。50重量%を越えると組成物のフィルムブロッキング性を悪化させる。また、各ブロック境界がランダム共重合をしている場合、その組成が徐々に変わっていくテーパー構造も含まれる。
【0018】
水素添加スチレン系ブロック共重合体は例えば特公昭36−19286号公報、特公昭43−14979号公報、特公昭49−36957号公報などに記載された方法で本発明の範囲になるように製造することができる。これらは炭化水素溶剤中でアニオン重合開始剤として有機リチウム化合物等を用い、ビニル化剤としてジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジオキサン等のエーテル化合物、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等の第3級アミン、必要に応じカップリング剤としてエポキシ化ダイズ油、四塩化ケイ素、ジメチルジクロルシラン、安息香酸エチル、安息香酸フェニル等の多官能性化合物を用い、ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体をブロック共重合する方法であり、直鎖状、分岐状、あるいは放射状の構造を有するブロック共重合体として得られる。
【0019】
上記のブロック共重合体を、公知の方法、例えば、特公昭42−87045号公報に記載の方法で水素添加することにより、本発明の水素添加スチレン系ブロック共重合体は得られる。本発明で用いる水素添加ブロック共重合体は、不飽和カルボン酸またはその誘導体との付加反応により変性させ、官能基を含有したものを1部、または全部含んでいてもかまわない。
【0020】
本発明の水素添加スチレンブロック共重合体は必要に応じて好ましくはそのペレットに、ペレットブロッキングの防止を目的としてペレットブロッキング防止剤を配合する事が好ましい。ペレットブロッキング防止剤としてはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、エチレンビスステアリルアミド、タルク、アモルファスシリカ等があげられる。好ましい量としては水素添加ブロック共重合体ペレットにたいして1000ppm〜5000ppmである。さらに好ましい量としては水素添加ブロック共重合体ペレットに たいして1500ppm〜4000ppmである。1000ppm未満であると条件によってはペレットブロッキングがおき、5000ppmをこえると成形したシートまたはフィルム表面からブロッキング剤がブリ−ドアウトし外観を著しく損なうため好ましくない。ペレットブロッキング防止剤はペレット表面に付着した状態が効果が高いが、ペレット内部にある程度含むこともできる。
【0021】
本発明の樹脂組成物は、その各成分の組成比に応じて通常の高分子物質の混合に供される装置によって調整できる。それら混合装置としては、例えばバンバリーミキサー、ラボプラストミル、単軸押出機、2軸押出機、等の混練装置があげられ、押出機による溶融混合法が生産性、良混練性の点から好ましい。また本発明の樹脂組成物は押出機を用いてシート、フィルム、または射出成型器を用いて射出成型品にすることができる。
【0022】
本発明の組成物は無機充填剤、安定剤、滑剤、着色剤、シリコンオイル、難燃剤等を添加する事が出来る。無機充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、マイカ、硫酸バリウム、けい酸(ホワイトカーボン)、酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。安定剤としてはヒンダードフェノール系酸化防止剤、りん系熱安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤、 ベンゾトリアゾール系UV吸収剤等が挙げられる。滑剤としてはステアリン酸、 ステアリン酸エステル、ステアリン酸の金属塩等が挙げられる。
【0023】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例のみに よって何ら制限されるものではない。
【0024】
【発明の実施の形態】
−ブロック共重合体の測定法−
ブロック共重合体中のスチレン含量
UV測定により算出した。
ポリブタジエンブロックのビニル結合含量
重水素化クロロホルムを溶媒に用い、270MHz、1H−NMRスペクトル測定し求めた。
ポリブタジエンブロックの水添率
重水素化クロロホルムを溶媒に用い、270MHz、1H−NMRスペクトルより算出した。
ポリスチレン中のブロックポリスチレンの量(ビニル芳香族炭化水素化合物単量体を主体とする重合体ブロックのビニル芳香族単量体の連鎖数が5以上である割合)
重水素化クロロホルムを溶媒に用い、270MHz、1H−NMRスペクトル測定し、下記の方法により算出した。
【0025】
ポリスチレン中のブロックポリスチレンの割合は、スチレン中の長連鎖スチレンの存在割合より求めた。長連鎖スチレンのオルト位フェニル基プロトンの高磁場シフトすることを利用し、次式により算出した。ここで求められるブロックスチレンは連鎖数5以上のスチレンブロックである。(Rubber Chem.Technol.,54(4)、685(1981)を参考にした)
ブロックポリスチレン(%)=5/2 X B/(A+B)X100
A;7.5〜6.85ppmの積分値(短連鎖フェニルプロトン+長連鎖メタ、 パラ位プロトン)
B;6.85〜6.2ppmの積分値(長連鎖オルト位プロトン)
原子間力顕微鏡(AFM)による分散形態及び第1分散相、第2分散相の数平均粒径の定量
得られた樹脂組成物のフィルムの断面をクライオミクロトームにて鏡面を調整したものの表面を測定した。なおフィルムについては0.1μm以下と薄い為、ハイインパクトポリスチレンの成型体2枚でサンドイッチしエポキシ樹脂にて包埋し固定後鏡面を調整した。このサンプルをデジタルインスルメンツ社製 Nano ScopeR IIIのタッピングモードで位相差像を観察した。
【0026】
第1分散相の数平均粒径の定量
組成物の断面の黒い粒子の第1分散相を200個、画像解析システムIP−1000(旭化成(株)製)にて2値化処理し、数平均粒径を求めた。
第2分散相の数平均長の定量
黒い粒子の第1分散相を200個の粒子について位相差の一次元での走査像 を得て、第2分散相の長径を測定し平均し求めた。
組成物断面の第2分散相中で観測されるポリスチレンドメインの数の定量
組成物の断面において観測される黒い粒子の第1分散相を100個選び、その100個の粒子について位相差の2次元での位相差像を得て、第2分散相中のスチレンドメインの数を測定し、平均し、3個以下である第2分散相の割合を求める。
(I)各成分
(1) ポリプロピレン系樹脂
プロピレン単独重合体である日本ポリオレフィン株式会社製PC600S(MFR 7g/10分)を用いた。プロピレンランダム共重合体である日本ポリオレフィン株式会社製FG464(MFR 7g/10分)を用いた。
(2) 水素添加スチレン系ブロック共重合体
n−ブチルリチウムを開始剤とし、シクロヘキサン溶媒中で、テトラヒドロフランを1,2結合量調節剤として、スチレンとブタジエンを(SEBS1〜3)、スチレンとイソプレンを(SEPS1〜2)アニオンブロック共重合することにより、スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体、スチレン−イソプレン系ブロック共重合体を重合した。次に得られたスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体およびスチレン−イソプレン系ブロック共重合体を、ジ−p−トリスビス(1−シクロペンタジエニル)チタニウムとn−ブチルリチウムを水素添加触媒として、水素圧5kg/cm2、温度50℃で水素添加を行った。ポリマー構造は、モノマーの仕込量、順序、分子量は触媒量、ブタジエン中の1,2結合量、イソプレン中の3,4結合量は1,2結合量・3,4結合調節剤量及び重合温度、水素添加率は水素添加時間を変化させることによりコントロールした。各サンプルの構造及び分析値を〔表1〕に示した。
【0027】
【表1】
Figure 0004108196
【0028】
【実施例1〜3、比較例1〜2】
水素添加スチレン系ブロック共重合体の成分ペレットに2000ppmのステアリン酸カルシウムを表面に付着させた。ポリプロピレン/水素添加スチレン系ブロック共重合体の成分ペレットを〔表2〕に示した割合でドライブレンドし、得られた混合物を用いて230℃に設定された30mmTダイ単軸押出機により成形を行い、測定用のフィルムを作成した。厚さはスクリュー回転数、巻き取り速度を変えることにより約70μmの厚さに調製した。得られたフィルムの室温で1週間保存後の物性測定結果を〔表2〕に示した。〔図2〕に実施例1で得られた2次元の位相差像と〔図3〕にその1次元の位相差像を示す。これは〔図2〕のある断面(〔図2〕中の実線ライン)の位相差のずれを左から右方向にスキャンすることによって得られた。〔図2〕では成分(A)の連続相中に成分(A)と成分(B)からなる第1分散相が数平均粒径70nmで観測され、どの粒子にも3個を超えるポリスチレンドメインは観測されなかった。〔図3〕では主に成分(B)を構成するポリスチレンブロックからなるドメインが数平均長20nmの第2分散相を形成していることが観測される。
【0029】
〔図4〕に比較例1で得られた2次元の位相差像と〔図5〕にその1次元の位相差像を示す。これは〔図4〕のある断面(〔図4〕中の実線ライン)の位相差のずれを左から右方向にスキャンすることによって得られた。〔図4〕ではプロピレンの連続相中に、第1分散相として、ポリプロピレンとSEBS3からなる相が数平均粒径200nmを超える粒径サイズで分散していることがわかり、ポリスチレンドメインが3個を超えて観察される。〔図5〕では数平均粒径250nmの第1分散相中に数平均長150nmの第2分散相が観察される。
【0030】
以下に物性測定の方法を示す。
MFR:JIS K7210 L条件 に準拠した。
ヤング率(軟質性の目安):厚さ70μm、幅20mm、長さ100mmの試験片を切り出し、引っ張り速度2mm/minでヤング率(歪み0.5%〜1.0%の範囲)を測定した。
応力白化性:厚さ0.4mmのシートに、荷重0.5kg、高さ30cmの条件で径1/2インチのミサイルを落下させ、落下前後の全光線透過率を測定した。ΔT%=ミサイル落下前の全光線透過率T1(%)−落下後の全光線透過率T2(%)
ΔT%がより小さい値の場合応力白化性に優れる事を示している。
曇り度:厚さ70μmのフィルムの曇り度をヘーズメータを用い測定した。
フィルムブロッキング性:厚さ70μm、幅43mm、長さ180mmの試験片を切り出し、60℃、48時間、荷重100g/cm2の条件でフィルムをブロッキングさせ、引っ張り速度100mm/minの条件で引っ張り試験を行い、180度剥離強度を求めた。180度剥離強度が高いとフィルムブロッキング性がより悪いことを示している。
【0031】
本発明の樹脂組成物が優れていることは〔表2〕より明らかである。
【0032】
【表2】
Figure 0004108196
【0033】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は軟質性、応力白化性、曇り度、フィルムブロッキング性のバランスに優れる。これらの効果により、自動車内装材料、自動車外装材料、チューブ、各種容器、文具、シート、フィルム等として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の組成物の分散形態のイメージ図である。
【図2】実施例1で得られた組成物の分散形態を示すタッピングモードAFMの2次元の位相差像を示す図である。
【図3】実施例1で得られた組成物の分散形態を示すタッピングモードAFMの1次元の位相差像を示す図である。
【図4】比較例1で得られた組成物の分散形態を示すタッピングモードAFMの2次元の位相差像を示す図である。
【図5】比較例1で得られた組成物の分散形態を示すタッピングモードAFMの1次元の位相差像を示す図である。

Claims (4)

  1. 成分(A);ポリプロピレン系樹脂 98〜50重量部及び成分(B);スチレン系化合物単量体を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物単量体単位を主体とする少なくとも2個の水素添加された重合体ブロックから構成される水素添加スチレン系ブロック共重合体 2〜50重量部が混練されてなる樹脂組成物であって、成分(B)中のスチレン系化合物単量体単位含量が12重量%を越え25重量%未満であり、水素添加される前の共役ジエン化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックが、ブタジエン単量体単位を主体とし1,2結合量の平均が62モル%以上99モル%未満である重合体ブロック、または、イソプレン単量体単位を主体とし3,4結合量が10モル%以上75モル%未満である重合体ブロックであり、水素添加される前の重合体ブロック中のオレフィン性不飽和二重結合のうち90%以上が水素添加されており、成分(A)が連続相を形成し、その連続相中に、成分(A)と成分(B)からなる第一分散相が存在し、さらにその第一分散相中に主に成分(B)を構成するスチレン系化合物単量体を主体とする重合体ブロックからなるドメインが第2分散相を形成した分散形態を有し、タッピングAFM(原子間力顕微鏡)において観測した2次元における位相差像の第一分散相の粒径が数平均粒径で200nm以下であって、1次元の位相差像における第2分散相が平均長が100nm以下であり、組成物の断面において観測される第2分散相中のスチレン系化合物単量体を主体とする重合体ブロックからなるドメインの数が3個下である割合が50%以上であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物 。
  2. 成分(B)の水素添加スチレン系ブロック共重合体中のスチレン系化合物単量体を主体とする重合体ブロックからなるブロックの数が、少なくとも2個以上であり、スチレン系化合物単量体を主体とする重合体ブロックのスチレン系化合物単量体の連鎖数が5以上である割合が50%以上であることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 成分(B)の水素添加スチレン系ブロック共重合体において、末端にあるブロックの少なくとも1個が水素添加された共役ジエン化合物単量体単位を主体とする重合体ブロックであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 成分(B)のメルトフローレート値が1.0g/10分以上15g/10分未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
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