JP4103481B2 - インクジェット記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙等の記録シートに付着させ、画像・文字等の記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有しており、近年急速に普及してきている。一方、写真等の高画質印刷にも用いられており、記録シートとしてインク吸収量が多く、シート上に異物、クラック(ひびわれ)等の故障がなく、生産性が高いことが要求されている。
【0003】
これらの問題を解決するために、従来から非常に多くの技術が提案されている。
【0004】
例えば、特開昭52−53012号に記載されている低サイズ原紙に表面加工用の塗料を湿潤させたインクジェット記録媒体(以下、単に記録媒体ともいう)、特開昭55−5830号に記載されている支持体表面にインク吸収性の塗層を設けた記録媒体、特開昭56−157号に記載されている被履層中の顔料として非膠質シリカ粉末を含有する記録媒体、特開昭57−107878号に記載されている無機顔料と有機顔料を併用した記録媒体、特開昭58−110287号に記載されている2つの空孔分布ピークを有する記録媒体、特開昭62−111782号に記載されている上下2層の多孔質層からなる記録媒体、特開昭59−68292号、同59−123696号及び同60−18383号等に記載されている不定形亀裂を有する記録媒体、特開昭61−135786号、同61−148092号及び同62−149475号等に記載されている微粉末層を有する記録媒体、特開昭63−252779号、特開平1−108083号、同2−136279号、同3−65376号及び同3−27976号等に記載されている特定の物性値を有する顔料や微粒子シリカを含有する記録媒体、特開昭57−14091号、同60−219083号、同60−210984号、同61−20797号、同61−188183号、特開平5−278324号、同6−92011号、同6−183134号、同7−137431号、同7−276789号等に記載されているコロイド状シリカ等の微粒子シリカを含有する記録媒体、及び特開平2−276671号、同3−67684号、同3−215082号、同3−251488号、同4−67986号、同4−263983号及び同5−16517号等に記載されているアルミナ水和物微粒子を含有する記録媒体等が多数知られているが、満足するものではない。
【0005】
また、特開2001−149856では、シリカ分散液を5時間以上停滞させた後、水溶性ポリマー等を添加して塗布液を作るとしているが、生産性が悪くかつ、停滞させるだけでは、性能、塗膜品質は満足するものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の実態に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、ひび割れが少なく、インク吸収容量が充分に得られるインクジェット記録媒体を、優れた生産性で製造するインクジェット記録媒体の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記(1)〜(3)の手段により達成される。尚、以下1〜5は参考手段である。
(1)硬膜剤を含む顔料粒子分散液を103〜105(1/sec)の剪断速度で剪断処理して調製した後、水溶性ポリマーと混合した塗布液を、支持体上に塗布するインクジェット記録媒体の製造方法であって、前記顔料粒子分散液を剪断処理した後、水溶性ポリマーと混合するまでの時間が30分以上であり、かつ、前記水溶性ポリマーがポリビニルアルコールであり、顔料粒子が気相法シリカであることを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
(2)硬膜剤を含む顔料粒子分散液と水溶性ポリマーとを混合した塗布液を103〜105(1/sec)の剪断速度で剪断処理して調製した後、塗布するインクジェット記録媒体の製造方法であって、前記混合から前記剪断処理の開始までが10時間以内であり、前記剪断処理して調製した後、24時間以内に塗布され、水溶性ポリマーがポリビニルアルコールであり、かつ、顔料粒子が気相法シリカであることを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
(3)前記硬膜剤が、硼酸またはその塩、または硼砂であることを特徴とする(1)または(2)に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
【0008】
1.顔料粒子分散物を製造後、103〜105(1/sec)の剪断速度で剪断処理した顔料粒子分散液と水溶性ポリマーを混合した塗布液を支持体上に塗布することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
【0009】
2.顔料粒子分散液を製造後、水溶性ポリマーと混合するまでの時間が30分以上であることを特徴とする上記1に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
【0010】
3.顔料粒子分散物と水溶性ポリマーを混合した塗布液を103〜105(1/sec)の剪断速度で剪断処理した後、塗布することを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
【0011】
4.塗布液を製造後、10時間以内に103〜105(1/sec)の剪断速度で剪断処理した後、24時間以内に塗布することを特徴とする上記3に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
【0012】
5.顔料粒子が気相法シリカであり、かつ水溶性ポリマーがポリビニールアルコールであることを特徴とする上記1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
【0013】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法は、顔料粒子分散物を含有する塗布液を支持体上に塗布し、空隙層を塗膜として形成するものである。塗膜を形成するには、顔料粒子と水溶性ポリマーを混合し塗布液とし、塗布することが必要である。顔料粒子は分散液として添加するのが一般的で、その分散性の良し悪しが空隙容量を左右する。顔料粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー等の他各種の天然または合成の無機微粒子を使用することができる。
【0014】
中でもシリカは低い屈折率を有するため、透明性が要求されるインクジェット記録媒体のインク受容層(以下、空隙層ともいう)を形成するのに好ましく用いられる。
【0015】
シリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカあるいは気相法で合成された微粒子シリカ等が好ましく用いられる。シリカは分散物として用いることが好ましく、分散後の2次粒径は、500nm以下が好ましい。
【0016】
湿式法で合成されたシリカとしては、トクヤマ(株)やGrace社より市販されている。気相法で合成されたシリカとしては、トクヤマ(株)や日本アエロジル(株)より市販されている。
【0017】
水溶性ポリマーとしては、例えばゼラチン(酸処理ゼラチンが好ましい)、ポリビニルピロリドン(平均分子量が約20万以上が好ましい)、プルラン、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(平均分子量が10万以上が好ましい)、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、水溶性ポリビニルブチラールを挙げることができ、これらの水溶性ポリマーはインク受容層の親水性バインダーとして機能し、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に好ましい親水性バインダーは、ポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。
【0018】
本発明に好ましく用いられるポリビニルアルコールは平均重合度が300〜4000のもので、特に平均分子量が1000以上のものが得られる皮膜の脆弱性が良好であることから好ましい。
【0019】
また、ポリビニルアルコールのケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜100%のものが特に好ましい。
【0020】
また、カチオン変性ポリビニルアルコールは、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0021】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルジメチル(3−メタクリルアミド)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0022】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%が好ましく、より好ましくは0.2〜5モル%である。またカチオン変性ポリビニルアルコールの重合度は500〜4000が好ましく、より好ましくは1000〜4000である。更に、カチオン変性ポリビニルアルコールのケン化度は60〜100モル%が好ましく、より好ましくは70〜99モル%である。
【0023】
シリカ分散物とポリビニールアルコールを混合すると、シリカのシラノール基とポリビニールアルコールの水酸基が水素結合を起こし粘度が上昇する。更に凝集物が発生する。このため、塗布液としたときの粘度が高くなり塗布に支障をきたしたり、塗布故障の原因になっている。特にこの傾向は、シリカ分散物を製造後、短時間のうちに、ポリビニールアルコールを添加すると顕著である。これが、生産効率を落とす原因の1つである。
【0024】
本発明者は鋭意検討の結果、シリカ等の顔料粒子分散物を103〜105(1/sec)の剪断速度で剪断処理した後、ポリビニールアルコール等の水溶性ポリマーと混合すること、更にシリカ等の顔料粒子分散物の剪断処理から30分以上経過後にポリビニールアルコール等の水溶性ポリマーと混合することにより、粘度上昇、凝集を防げることがわかった。これによりシリカ等の顔料粒子分散物調製後短時間で塗布液の作製が可能となり生産効率が向上する。
【0025】
また、塗布液を作製後、この塗布液を103〜105(1/sec)の剪断速度で剪断処理することでも同様の効果が得られる。この場合の剪断処理は塗布液作製後10時間以内が好ましく、更に好ましくは8時間以内である。10時間を越えると空隙が減少しインク吸収容量が低下する。
【0026】
塗布液を剪断処理した後、24時間以内に、好ましくは20時間以内に塗布することが好ましい。24時間を越えて塗布すると空隙が減少しインク吸収容量が低下する。
【0027】
剪断速度は103〜105(1/sec)が必要で、好ましくは5×103〜5×104(1/sec)である。剪断速度が低いと、凝集が防げず、高過ぎると空隙が減少する。
【0028】
剪断処理方法としては、バッチ式の場合、クリアミックス(エムテクニクス製)の様な高速撹拌機、連続式の場合、マイルダー(荏原製作所製)、キャビトロン(ユーロテック製)等を用いることができる。更に超音波も用いることができる。
【0029】
剪断速度は、一般に(1)式で求めることが出来る。
(1)式 剪断速度=流れの速度/物体の厚さ
前記剪断処理を行うことが出来る装置は個々に構造は異なっているが、(1)式をもとに算出することができる。算出に関しては、「コーティングの基礎科学槇書店 P91 1977年」や「レオロジー工学とその応用技術 フジテクノシステム P211〜P218 2001年」等を参考にすることができる。
【0030】
例えば図1に示すような攪拌機の例において、剪断速度は以下のように算出できる。
【0031】
剪断速度D(1/sec)=π×D×N/(60×H)
N;攪拌機回転数(rpm)
D;攪拌機翼径(m)
H;攪拌機先端から釜(缶体)壁までの距離
顔料粒子分散物を作る際、無機顔料を水性媒体に所望比率で分散するが、無機顔料の濃度として5〜40質量%が好ましい。特に好ましくは10〜35質量%である。濃度が低いと生産効率が劣り、大量の分散物を必要とし、更に分散性が劣る方向になる。また、濃度が高過ぎると、分散物の粘度が高くなり、後工程でのハンドリングに負荷がかかる。濃度とは無機顔料質量/(無機顔料質量+水性媒体質量)×100で求めた値である。
【0032】
分散方法としては、連続式、バッチ式のどちらでもよいが、生産効率上、連続式が好ましい。分散機としては、ローラミルタイプ、ニーダータイプ、ピンミキサータイプ、高圧ホモジナイザー、湿式メディア型粉砕機(サンドミル、ボールミル)、連続式高速撹拌型分散機、超音波分散機等が挙げられる。
【0033】
シリカ等の顔料粒子分散物の温度は、分散過程で50℃以下にすることが好ましい。50℃を越えると、凝集が進み分散不良を起こす。
【0034】
水溶性ポリマーとしてはポリビニールアルコールを使用し、水溶液として用いることが好ましく、溶解温度は80〜150℃、濃度は3〜15質量%が好ましい。
【0035】
塗布液の温度は、30〜50℃にすることが好ましい。
前記無機顔料の分散に用いられる水性媒体には、少なくともカチオン性ポリマーが含有されていることが好ましい。更に好ましくは、硬膜剤も含有していることである。
【0036】
前記カチオン性ポリマーとして好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するポリマーであり、特に好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体または他の共重合し得る1または2以上のモノマーとの共重合体である。
【0037】
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの例としては例えば以下の例を挙げることができる。
【0038】
【化1】
【0039】
【化2】
【0040】
上記第4級アンモニウム塩基と共重合し得るモノマーはエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば以下の具体例を挙げることができる。
【0041】
【化3】
【0042】
特に第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが共重合体である場合、カチオン性モノマーの比率は10モル%以上が好ましく、より好ましくは20モル%以上、特に好ましくは30モル%以上である。
【0043】
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーは単一でも2種類以上であってもよい。
【0044】
以下に本発明に用いることができるカチオン性ポリマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
【化4】
【0046】
【化5】
【0047】
【化6】
【0048】
【化7】
【0049】
上記第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーは、第4級アンモニウム塩基のために一般に水溶性が高い。共重合する第4級アンモニウム塩基を含まないモノマーの組成や比率によっては水に充分に溶解しないことはあるが、水混和性有機溶媒と水との混合溶媒に溶解させることにより溶解し得るものであれば本発明に使用できる。
【0050】
ここで水混和性有機溶媒とは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等、水に対して通常10質量%以上溶解し得る有機溶媒を言う。この場合、有機溶媒の使用量は水の使用量以下であることが好ましい。
【0051】
本発明に用いるカチオン性ポリマーは数平均分子量が10万以下であることが好ましい。ここで数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーから求められたポリエチレングリコール値に換算した値である。
【0052】
数平均分子量が10万を越える場合には、カチオン性ポリマーの溶液を表面がアニオン性である無機微粒子を含有する分散物に添加した際に凝集物の発生が激しく、またその後分散処理を施しても均一な分散物になりにくく粗大粒子が多数存在して均一な分散物になりにくい。このようなカチオン性ポリマーと無機微粒子を含有する複合微粒子分散物を使用してインクジェット記録媒体を作製した場合、高い光沢性が得られにくい。特に好ましい数平均分子量は5万以下である。また数平均分子量の下限はインクの耐水性の点から通常2000である。
【0053】
上記無機微粒子とカチオン性ポリマーの比率は、無機微粒子の種類や粒径、あるいはカチオン性ポリマーの種類や数平均分子量で変わり得る。
【0054】
本発明において、上記比率は無機微粒子の表面がカチオン性に変わって安定化させる必要があることから、1:0.01〜1:1であることが好ましい。
【0055】
上記の分散物を調製する際には、各種の添加剤を添加することができる。
例えば、ノニオン性またはカチオン性の各種の界面活性剤(アニオン性界面活性剤は凝集物を形成するために好ましくない)、消泡剤、ノニオン性の親水性ポリマー(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、各種の糖類、ゼラチン、プルラン等)、ノニオン性またはカチオン性のラテックス分散液、水混和性有機溶媒(酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトン等)、無機塩類、pH調整剤等を必要に応じて適宜使用することができる。
【0056】
特に水混和性有機溶媒は、無機微粒子とカチオン性ポリマーを混合した際の微小なダマの形成が抑制されるために好ましい。そのような水混和性有機溶媒は分散物中に好ましくは0.1〜20質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%使用される。
【0057】
カチオン性分散物を調製する際のpHは無機微粒子の種類やカチオン性ポリマーの種類、各種の添加剤等により広範に変化し得るが、一般的にはpHが1〜8であり、特に2〜7が好ましい。
【0058】
本発明に係るインクジェット記録媒体において、高光沢性で高い空隙率を皮膜の脆弱性を劣化させずに得るために、前記水溶性ポリマーが硬膜剤により硬膜されていることが好ましい。
【0059】
硬膜剤は、一般的には前記水溶性ポリマーと反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性ポリマーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性ポリマーの種類に応じて適宜選択して用いられる。
【0060】
硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ほう酸、その塩、ほう砂、アルミ明礬等が挙げられる。
【0061】
水溶性ポリマーとしてポリビニルアルコールまたはカチオン変成ポリビニルアルコールを使用する場合には、ほう酸、その塩またはエポキシ系硬膜剤から選ばれる硬膜剤を使用するのが好ましい。
【0062】
最も好ましいのはほう酸またはその塩から選ばれる硬膜剤である。
ほう酸またはその塩としては、硼素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩を示し、具体的にはオルトほう酸、二ほう酸、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸、八ほう酸またはそれらの塩が挙げられる。
【0063】
上記硬膜剤の使用量は水溶性ポリマーの種類、硬膜剤の種類、顔料粒子の種類、水溶性ポリマーに対する比率等により変化するが、通常水溶性ポリマー1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。
【0064】
上記硬膜剤は、空隙層を形成する塗布液を塗布する際に、空隙層を形成する塗布液中及び/または空隙層に隣接するその他の層を形成する塗布液中に添加してもよく、あるいは予め硬膜剤を含有する塗布液を塗布してある支持体上に、空隙層を形成する塗布液を塗布する。さらには空隙層を形成する硬膜剤を含有しない塗布液を塗布乾燥後に硬膜剤溶液をオーバーコートする等して空隙層に硬膜剤を供給することもできる。好ましくは製造上の効率の観点から、空隙層を形成する塗布液またはこれに隣接する層を形成する塗布液中に硬膜剤を添加して、空隙層を形成するのと同時に硬膜剤を供給するのが好ましい。
【0065】
上記水溶性ポリマーと顔料粒子の比率は、通常1:10〜1:3であり、特に好ましくは1:8〜1:5である。
【0066】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中で「%」は特に断りのない限り絶乾(水分なしの状態)質量%を示す。
【0067】
実施例1
(分散液1〜6の調製)
水性媒体(以後A液と称す)として、
水 80L
ホウ酸 0.27kg
硼砂 0.23kg
5質量%硝酸 0.4L
エタノール 1.8L
P−9(10質量%溶液) 17L
を混合、溶解した。また無機顔料として1次粒子の平均粒径が約7nmの気相法シリカ(日本アエロジル製:A300、以後A300と称す)32kgを用意した。
【0068】
A液を1.56kg/min、A300を0.44kg/minの割合でスパイラルピンミキサーSPM25W(大平洋機工製、以後SPMと称す)に供給した。その後、LMK−4(連続式湿式メディア型粉砕機、アシザワ製、以後LMKと称す)を用い、SPMから出てきた液を、モノーポンプを用いLMKに2.0kg/minで供給した。LMKから出てきた分散物を30分後マイルダー(荏原製作所製)を用いて表1の様に剪断速度を変化させて剪断処理し、さらにシリカ濃度が20質量%になるように水で希釈して分散液1〜6を調製した。剪断速度を変えるには回転数を変化させた。
【0069】
SPMでの処理条件は周速20m/sec、滞留時間30sec、LMKでの処理条件はビーズ径0.3mmジルコニア、滞留時間2分、ロータ回転周速8m/secで行った。A液の温度は15℃、LMKから出てきた分散物の温度は30℃であった。
【0070】
(ポリビニルアルコール溶解液−1(以下PVA−1と称す)の調製)
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235) 7kg
水 93L
を、ジャケット付釜で攪拌機を用いて混合し、10分間静置後、ジャケット温度を120℃にして溶解した。目視で溶解性を確認した所、30分でダマ(未溶解物)がなくなり溶解した。溶解後、50℃に冷却しPVA−1を得た。
【0071】
(塗布液1〜13の調製)
分散液1〜6の種類と、分散液1〜6を調製後PVA−1と混合し塗布液を調製開始するまでの待ち時間1を表1の様に組み合わせ、600mlの分散液1〜6(40℃)を撹拌しながら、260mlのPVA−1(50℃)を添加し、塗布液1〜13を得た。
【0072】
(記録媒体1〜13の作製)
両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚みが220μmでインク吸収層面のポリエチレン中にはポリエチレンに対して13質量%のアナターゼ型酸化チタンを含有)上に、塗布液1〜13をウエット膜厚200μmで塗布した。
【0073】
なお、塗布は40℃の塗布液をスライドホッパーを用いて行い、塗布直後に0℃に保たれた冷却ゾーンで20秒間冷却した後、25℃の風(相対湿度が15%)で60秒間、45℃の風(相対湿度が25%)で60秒間、50℃の風(相対湿度が25%)で60秒間順次乾燥し、20〜25℃、相対湿度が40〜60%の雰囲気下で2分間調湿して記録媒体1〜13を得た。
【0074】
得られた記録媒体1〜13について、以下の項目を評価した。
(1)ひび割れ:塗布面の0.3m2当たりのひび割れ点数を目視でカウントした。ひび割れ点数は、通常10点以下であれば実用上問題ないと考えられる。
【0075】
(2)インク溢れ:セイコーエプソン社製のインクジェットプリンター、PM750Cを使用して、マゼンタのベタ印字を行い、目視にてインク溢れの状態を観察し、
○ 溢れなし
△ 溢れ多い
× 実用上問題有り
で評価した。
【0076】
(3)塗布性:塗布面を目視で観察し、
○ 均一塗布
△ 塗布ムラ有り
× ムラが多く実技上問題有り
で評価した。
【0077】
評価の結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
実施例2
実施例1の分散液1の調製において、剪断処理しないこと以外は同様にして分散物7を調製した。分散物7とPVA−1と混合し塗布液を剪断処理し調製開始するまでの待ち時間2、剪断速度、塗布液調製後塗布開始するまでの待ち時間3を表2の様に変化させ、実施例1と同様にして塗布し、記録媒体14〜23を得た。得られた記録媒体14〜23について実施例1と同様の評価を行い、その結果を表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】
実施例3
実施例1で調製した分散液5の調製後、PVA−1と混合し塗布液を剪断処理し調製開始するまでの待ち時間4、剪断速度、塗布液調製後塗布開始するまでの待ち時間5を表3の様にして、実施例1と同様にして塗布し、記録媒体24を得た。得られた記録媒体24について実施例1と同様の評価を行い、その結果を表3に示す。
【0082】
【表3】
【0083】
参考例1
実施例1の分散液2の調製において、シリカをトクヤマ製湿式シリカT−32に変更し、更にLMKの処理条件として、滞留時間5分、ローター回転周速11m/secに変更した以外は同様に、分散液8を調製した。この分散液を用いた以外は、記録媒体6と同様の条件で記録媒体25を作製し同様の評価を行った。
【0084】
分散液8のシリカをトクヤマ製湿式シリカX−37BおよびGrace製P405に変更し分散液9,10を調製した以外は、記録媒体6と同様の条件で記録媒体26,27を作製し同様の評価を行った。
【0085】
その結果、記録媒体25〜27全て、インク溢れ、塗布性は○、ひび割れは5であった。
【0086】
参考例2
参考例1の分散液9の調製において、剪断処理しないこと以外は同様にして分散物11を調製した。この分散物を用いた以外は記録媒体18と同様の条件で、記録媒体28を作製し、同様の評価を行った。
【0087】
その結果、インク溢れ、塗布性は○、ひび割れは4であった。
参考例3
分散液9を用いた以外は、実施例3の記録媒体24と同様の条件で、記録媒体29を作製し、同様の評価を行った。
【0088】
その結果、インク溢れ、塗布性は○、ひび割れは1であった。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、ひび割れが少なく、インク吸収容量が充分に得られるインクジェット記録媒体を、優れた生産性で製造するインクジェット記録媒体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】攪拌機の一例を示す。
【符号の説明】
M モータ
S 缶体
Claims (3)
- 硬膜剤を含む顔料粒子分散液を103〜105(1/sec)の剪断速度で剪断処理して調製した後、水溶性ポリマーと混合した塗布液を、支持体上に塗布するインクジェット記録媒体の製造方法であって、前記顔料粒子分散液を剪断処理した後、水溶性ポリマーと混合するまでの時間が30分以上であり、かつ、前記水溶性ポリマーがポリビニルアルコールであり、顔料粒子が気相法シリカであることを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
- 硬膜剤を含む顔料粒子分散液と水溶性ポリマーとを混合した塗布液を103〜105(1/sec)の剪断速度で剪断処理して調製した後、塗布するインクジェット記録媒体の製造方法であって、前記混合から前記剪断処理の開始までが10時間以内であり、前記剪断処理して調製した後、24時間以内に塗布され、水溶性ポリマーがポリビニルアルコールであり、かつ、顔料粒子が気相法シリカであることを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
- 前記硬膜剤が、硼酸またはその塩、または硼砂であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
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