JP4103112B2 - 集光システムおよび透過型液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、集光システムおよび透過型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブリュースター角を利用した蒸着型バンドパスフィルター(たとえば、特許文献1参照。)や、ブラッグ反射を利用したコレステリック液晶の選択反射特性のような、透過率と反射率に関して角度依存性のある光学フィルム(たとえば、特許文献2、特許文献3、特許文献4等参照。)を用いて、拡散光源を正面方向へ集光する技術が知られている。これらの光学フィルムを用いることにより、入射角度によって反射率が変化し、適切な光学設計により正面にのみ光を透過するフィルターを作製できる。透過できない光線は吸収されることなく反射されて光源側に戻り、リサイクルされ、効率の高い集光特性を得ることができる。
【0003】
また、これら方式の平行光化は平行度を高く設計でき、正面方向から±20°以下の狭い範囲に集光・平行光化することが可能である。これは従来のプリズムシートやマイクロドットアレイを用いたバックライトシステム単体では困難なレベルである。
【0004】
しかし、これらの集光フィルムの遮蔽率は完全ではなく、斜め方向への残存透過光線が認められた。遮蔽する波長帯域幅が狭いと斜め方向で副次透過が現れ、これが斜め方向への抜けとなって無駄になるほか、波長ごとに透過率が異なるために着色が生じるなどの問題が生じることがあった。
【0005】
例えばバンドパスフィルターと輝線型光源を組み合わせによる輝線型集光素子の場合には、正面のみ必要な輝線を透過し斜め方向は遮蔽するが透過する波長が3波長あるため、入射角度が大きくなると正面では緑色光線を透過する領域が青の輝線領域までシフトして青色を透過する問題がある。また赤色光線を透過する領域が緑の輝線領域までシフトして緑色を透過する等の問題が生じる。
【0006】
また輝線光源と干渉膜バンドパスフィルター等による集光・平行光化が提案されている(たとえば、特許文献5、特許文献6、特許文献7等参照。)。しかし、これら特許文献は、いずれも正面近傍の効果についてのみの言及に止まり、大入射角での副次透過問題に対する解決は成されていなかった。
【0007】
反射偏光子と位相差板の組み合わせによる全反射型集光素子では輝線による影響はない。しかし、入射角度が大きくなると反射特性のブルーシフトが発生する点については、輝線型集光素子と同様の問題があり、十分な遮蔽性を維持するには正面入射時に赤外領域での反射特性を有する性能を必要とした。さらに、反射偏光子は、その間に挟まれる位相差板の特性もカバーできるような、波長帯域全体で機能する必要があった。
【0008】
これらの問題から上記2種の集光素子は、単独では大角度からの入射光線を十分にカットできなかった。そのため、透過成分の波長特性が不揃いであることから不愉快な着色が見られた。
【0009】
集光フィルムの設計で副次透過を遮蔽することは可能ではある。しかし、屈折率・位相差の異なる物質の多層積層構造で実現する場合には積層数が増大しコストアップの要因となった。また、コレステリック液晶で実現する場合には液晶層の厚みが増大しコストアップの要因となった。これらのコストアップの他に光学機能層の厚みが増すことによる内部残存応力からもたらされる信頼性や外観への悪影響なども懸念された。
【0010】
【特許文献1】
独国特許出願公開3836955号明細書
【特許文献2】
特開平2−158289号公報
【特許文献3】
特開平6−235900号公報
【特許文献4】
特開平10−321025号公報
【特許文献5】
米国特許第4984872号明細書
【特許文献6】
米国特許出願公開第2002/36735号明細書
【特許文献7】
米国特許第6307604号明細書
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、斜め方向への抜けを効果的に遮蔽し、不愉快な着色を押さえることができ、良好な表示を有し、かつコスト低減が可能な、集光システムを提供することを目的とする。
【0012】
さらには、前記集光システムを用いた透過型液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記透過型液晶表示装置を見出し本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記の通りである。
【0015】
本発明は、光源および光源からの出射光を、正面方向に対して、±60°以内に集光することができる一次集光部(X)を有するバックライトシステム、
ならびに、パターン構造を有さない集光フィルムを二次集光素子(Y)として含有する集光システムであって、
二次集光素子(Y)として用いる集光フィルムが、偏光の選択反射の波長帯域が互いに重なっている少なくとも2層の反射偏光子(a)の間に、位相差層(b)が配置されている偏光素子(A)であり、
反射偏光子(a)が、直交する直線偏光の内の一方を透過し、他方を選択的に反射する直線偏光型反射偏光子(a2)であり、かつ、
位相差層(b)が、正面位相差(法線方向)が略ゼロで、法線方向に対し30°以上傾けて入射した入射光に対してλ/4以上の位相差層(b1)を有し、
位相差層(b1)の両側には、直線偏光型反射偏光子(a2)との間に、正面位相差が略λ/4である層(b2)を有し、
入射側の層(b2)は、入射側の直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸に対して、45°(−45°)±5°の角度で、
出射側の層(b2)は、出射側の直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸に対して、−45°(+45°)±5°の角度で、
入射側の層(b2)と出射側の層(b2)は、相互の遅相軸の成す角度が任意の角度で、
配置していることを特徴とする集光システム、に関する。
【0016】
本発明は、光源および光源からの出射光を、正面方向に対して、±60°以内に集光することができる一次集光部(X)を有するバックライトシステム、
ならびに、パターン構造を有さない集光フィルムを二次集光素子(Y)として含有する集光システムであって、
二次集光素子(Y)として用いる集光フィルムが、偏光の選択反射の波長帯域が互いに重なっている少なくとも2層の反射偏光子(a)の間に、位相差層(b)が配置されている偏光素子(A)であり、
反射偏光子(a)が、直交する直線偏光の内の一方を透過し、他方を選択的に反射する直線偏光型反射偏光子(a2)であり、かつ、
位相差層(b)は、正面位相差が略λ/4であり、Nz係数が2以上である2軸性位相差層(b3)を2層有し、
入射側の層(b3)は、遅層軸方向が、入射側の直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸に対して、45°(−45°)±5°の角度で、
出射側の層(b3)は、遅層軸方向が、出射側の直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸に対して、−45°(+45°)±5°の角度で、
入射側の層(b3)と出射側の層(b3)は、相互の遅相軸の成す角度が任意の角度で、
配置していることを特徴とする集光システム、に関する。
【0017】
本発明は、光源および光源からの出射光を、正面方向に対して、±60°以内に集光することができる一次集光部(X)を有するバックライトシステム、
ならびに、パターン構造を有さない集光フィルムを二次集光素子(Y)として含有する集光システムであって、
二次集光素子(Y)として用いる集光フィルムが、偏光の選択反射の波長帯域が互いに重なっている少なくとも2層の反射偏光子(a)の間に、位相差層(b)が配置されている偏光素子(A)であり、
反射偏光子(a)が、直交する直線偏光の内の一方を透過し、他方を選択的に反射する直線偏光型反射偏光子(a2)であり、かつ、
位相差層(b)は、正面位相差が略λ/2であり、Nz係数が1.5以上である2軸性位相差層(b4)を1層有し、
入射側の層の遅層軸方向が、入射側の直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸に対して、45°(−45°)±5°の角度で、
出射側の層の遅層軸方向が、出射側の直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸に対して、−45°(+45°)±5°の角度で、
前記2つの直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸は略直交で、
配置していることを特徴とする集光システム、に関する。
【0018】
上記集光システムにおいて、一次集光部(X)を有するバックライトシステムとしては、光源および光源上に配置されたマイクロプリズムシートアレイがあげられる。
【0019】
上記集光システムにおいて、一次集光部(X)を有するバックライトシステムとしては、光源と組み合わされたマイクロプリズム加工導光体があげられる。
【0020】
上記集光システムにおいて、一次集光部(X)を有するバックライトシステムとしては、光源と組み合わされたマイクロドット加工導光体があげられる。
【0021】
上記集光システムにおいて、二次集光素子(Y)として用いる集光フィルムとしては、パターン構造を有さないために、当該集光フィルムを液晶セルに適用して、表面側(視認側)から光学観察した場合に、他の光学部材の規則性パターンとモアレや干渉縞を発生しないことが好ましい。
【0029】
本発明は、上記記載の集光システムと、
平行光化された光線が透過する液晶セルと、
液晶セルの両側に配置された偏光板と、
を少なくとも含有していることを特徴とする透過型液晶表示装置、に関する。
【0030】
(作用)
上記集光システムは、光源からの出射光を、正面方向に対して、±60°以内に一次集光部(X)を有するバックライトシステムと、一次集光部(X)よりも集光の絞り込みが強い二次集光素子(Y)を組み合わせることで、大角度での透過成分が劇的に減少し、不愉快な着色を除去することができる。
【0031】
一般に、輝線型光源と干渉フィルターを組み合わせた二次集光素子(Y)や反射偏光子(a)と位相差層(b)を組み合わせた偏光素子(A)を用いた二次集光素子(Y)の副次透過は、法線方向から見て大角度で発生する。そこで、本発明では、図11、図12に示すように、一次集光部(X)を有するバックライトシステム(BLS)と二次集光素子(Y)を組み合わせた集光システムとしている。図11では、一次集光部(X)は光源(L)とは別に設けられている。図11に示す一次集光部(X)としてはプリズムシートなどがあげられる。図12では、一次集光部(X)は光源(L)に組み込まれてバックライト(BLS)を形成している。かかる一次集光部(X)によって、光源からの出射光の一次集光を行い、斜め方向の大角度からの入射光線を減じておく。これにより、二次集光素子(Y)は、遮蔽能力の不足する領域での漏れ光線の影響を受けにくくなり、不愉快な斜め方向での着色を低減せしめることを可能としている。また、二次集光素子(Y)による二次集光によって、正面近傍の平行度の高い領域では一次集光された光線からさらに絞り込み、高純度の平行光を得ることができる。図13、図14は、上記図11、図12の集光システムを用いた透過型液晶表示装置である。液晶セル(LC)の両側には偏光板(PL)が配置されている。上記集光システムは、二次集光素子(Y)が液晶セル(LC)側になるように配置される。なお、図13、図14では、二次集光素子(Y)が液晶セル(LC)に貼り合わされている。
【0032】
なお、一般に従来の一次集光手段はパターン構造を有しており、集光できる範囲は±50°程度までの集光であり、それ以上は鋭く絞りにくかった。一方、二次集光手段は鋭く絞れるが副次ピークの漏れがみられた。
【0033】
本発明の集光システムでは、一次集光部(X)に求められる一次集光は±60°以内、より望ましくは±50°以内である。これは図21に示すように、二次集光素子(Y)として用いられる、集光フィルムの副次透過が、一般的に、60〜70°に出現するためである。この副次透過成分が発生する角度での出射光線を実質的に発生させない光源を組み合わせることで効果的に副次透過を遮蔽し、本来は副次透過するために求められる表示視野角範囲外に放出される光を効率よく再利用することができる。なお、図21に示すグラフは、図15の構造にて、二次集光素子(Y)として、実施例2に記載のコレステリック液晶バンドパスフィルター用いた場合の、集光特性を測定したものである。また、液晶セル(LC)、光源(L)、偏光板(PL)も実施例2と同様のものを用いた。なお、集光特性の測定は、ELDIM社製Ez−Contrastにより、出射光特性を測定したものである。図21の縦軸は輝度(カンデラ)を表し、横軸は光源からの出射光の正面方向に対する角度を表す。本発明における集光特性の測定はいずれも、かかる測定方法により測定したものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の集光システムは、光源(L)および一次集光部(X)を有するバックライトシステムを有する。光源(L)は、直下型バックライト、サイド型バックライトのいずれも採用することができる。サイド型バックライトは、導光板を有する。一次集光部(X)は光源(L)上に配置されていてもよく、光源(L)に組み込まれていてもよい。
【0035】
一次集光部(X)としては、たとえば、マイクロプリズムシートアレイがあげられる。また、光源と組み合わされたマイクロプリズム加工導光体、光源と組み合わされたマイクロドット加工導光体、等があげられる。またこれらを組み合わせることができる。具体的には、一次集光部(X)を有するバックライトシステムとしては、たとえば、くさび形導光体表面にマイクロプリズムアレイ・マイクロドットアレイを刻み込み、出射光線の範囲を正面近傍に絞り込んだ指向性の高い導光板や、マイクロプリズムシートによって正面方向へ出射光線を絞り込んだバックライトシステムが好適に用いられる。
【0036】
前記一次集光部(X)を有するバックライトシステムは、光源からの出射光を、正面方向に対して、±60°以内に集光する特性を有するものであれば特に制限されない。したがって、一次集光部(X)を有するバックライトシステムは、上記集光特性を有するものであれば、光源の種類、導光板の種類、一次集光部(X)となるプリズム集光シート等の材質等は特に制限されず、またその配置等を適宜に設定できる。
【0037】
一次集光部(X)を有するバックライトシステムが、光源からの出射光を、正面方向に対して、±60°以内に集光する特性を有するか否かは以下のようにして判断される。すなわち、一次集光部(X)を有するバックライトシステムについて、集光特性の測定を上記と同様の方法(ただし、二次集光素子(Y)の代わりに一次集光部(X)を用いている)により行なう。そして、出射光の正面方向に対する角度を変えたときの輝度値について、正面方向の最大輝度値を基準とし、その半分の値に低下する角度が、±60°以内の範囲内にある場合を、±60°以内に集光する特性とした。
【0038】
一方、二次集光素子(Y)として用いる集光フィルムは、パターン構造を有さないものが用いられる。当該集光フィルムは、パターン構造を有さないために、当該集光フィルムを液晶セルに適用して、表面側(視認側)から光学観察した場合に、他の光学部材の規則性パターンとモアレや干渉縞を発生しない。
【0039】
二次集光素子(Y)として用いる集光フィルムが、表面側(視認側)から光学観察した場合に、他の光学部材の規則性パターンとモアレや干渉縞を発生するか否かの判断は、たとえば、液晶セル(TFT−液晶表示セル)の両側に偏光板を貼り合わせ、さらに当該集光フィルムをバックライト側に貼り合わせた部材について、当該部材を回転させ、目視観察することにより判断することができる。
【0040】
かかる二次集光素子(Y)として用いる集光フィルムは、材質・方式は特に制限されない。光源種に制限がない場合には、前記集光フィルムとしては、偏光の選択反射の波長帯域が互いに重なっている少なくとも2層の反射偏光子(a)の間に、位相差層(b)が配置されている偏光素子(A)を用いる。なお、これは両者とも60〜70°近傍にて副次透過が発生する光学系であるが本発明の構造により副次透過を阻止することができる。なお、たとえば、輝線スペクトルを有する光源と組み合わせる場合には、前記集光フィルムとしては、バンドパス型フィルターが用いられる。
【0041】
バンドパス型フィルターとしては、蒸着多層膜バンドパスフィルター、コレステリック液晶バンドパスフィルター、屈折率の異なる樹脂材料の多層積層押し出し基材の延伸フィルムからなるバンドパスフィルター、屈折率の異なる樹脂材料の多層薄膜精密塗工フィルムからなるバンドパスフィルター等が好適に用いられる。
【0042】
以下に、偏光素子(A)について説明する。偏光素子(A)を用いた場合の、集光性と輝度向上の同時発現のメカニズムについて、本発明を、以下理想的なモデルで説明すると以下のようになる。
【0043】
図1は本願の参考例にかかる、反射偏光子(a)として円偏光型反射偏光子(a1)を用いた場合の原理を示す説明図である。図1では、偏光素子(A)として、バックライト側(下側)から、円偏光型反射偏光子(a1)、位相差層(b1)、円偏光型反射偏光子(a1)がこの順に配置されている。
【0044】
作動原理は、1)〜3)の通りである。
1)偏光を反射で分離する円偏光型反射偏光子(a1)により、入射光線を偏光の向きによって透過光と反射光に分ける。したがって、吸収損失は無い。
2)正面位相差が略ゼロ、斜め方向は位相差を持つ特殊な位相差板(b1)を用い、正面の入射光線は素通りさせる。
3)斜め方向の入射光線は吸収させず、反射光として戻す。反射光は、透過光線になるまで繰り返し反射される。
【0045】
ここで用いる位相差板(b1)は、ネガティブCプレート(負の位相差板)またはポジティブCプレート(正の位相差板)と一般的に呼ばれる。これら位相差板(b1)は垂直方向(法線方向)は位相差が0に近く、傾けると位相差が生じる性質を持つ。代表的なネガティブCプレートとしては、具体的には2軸延伸したポリカーボネートフィルムやポリエチレンテレフィタレートフィルム、またはコレステリック液晶を選択反射波長帯域を可視光より短く設定した膜やディスコチック液晶を面に平行配向させた膜、または負の位相差を有する無機結晶化合物を面内配向させることで得られるものなどがあげられる。代表的なポジティブCプレートとして具体的にはホメオトロピック配向した液晶膜があげられる。
【0046】
円偏光型反射偏光子(a1)は主にコレステリック液晶を配向させ、選択反射波長帯域が可視光域/光源発光波長帯域をカバーするように捻れピッチを調整したもの(たとえば、選択反射中心波長の異なる複数の膜の積層物、または単層でピッチが厚み方向で変化した膜)を固定したもの等が用いられる。図1の位相差板(b1)の両側に配置される円偏光型反射偏光子(a1)は、透過する円偏光の方向が同一方向のものが好適に用いられる。
【0047】
円偏光型反射偏光子(a1)と位相差層(b1)はそれぞれ面内方向には軸は殆ど存在しないので貼り合わせ方向を指定することなく用いることができる。このため平行光化の絞り込みの角度範囲は等方的/対称的な特性を有する。
【0048】
なお、以降、図面により説明するが、各図における、符合(r)は図2に示す通り、(i)は自然光、(ii)は円偏光、(iii )は直線偏光を示す。(ii)円偏光は、(ii)−1と−2では矢印が逆である。これは回転方向が逆であることを意味する。(iii )−1と−2はそれぞれ偏光軸が直交していることを意味する。
【0049】
図1に示した、反射偏光子(a)として円偏光型反射偏光子(a1)を用いた場合の平行光化の各光線の変化を追って説明する。
1)バックライトから供給された自然光(r1)のなかで、円偏光型反射偏光子(a1)に垂直入射したものは、透過光(r3)と反射光(r2)に偏光分離される。透過光と反射光は、それぞれの円偏光の回転方向は反対である。
2)透過光(r3)は位相差層(b1)を素通りする。
3)さらに透過光(r4)は円偏光型反射偏光子(a1)を素通りする。
4)透過光(r5)はこの上に配置される液晶表示装置に用いられる。
5)一方、バックライトから供給される自然光(r6)のなかで、円偏光型反射偏光子(a1)に斜め入射したものは、透過光(r8)と反射光(r7)にそれぞれ偏光分離される。透過光と反射光は、それぞれの円偏光の回転方向は反対である。
6)透過光(r8)は位相差層(b1)を通過する際に位相差の影響を受ける。位相差値が1/2波長与えられると、円偏光は向きが反対に回って逆方向になる。このため透過光(r8)は位相差層(b1)を透過後、回転が反転する。
7)透過光(r9)は位相差の影響で回転が反転して出射される。
8)逆回転した透過光(r9)は円偏光型反射偏光子(a1)で反射される。円偏光は一般的には反射する際に回転方向が逆転することが知られている。(「偏光とその応用」W. A. シャークリフ著 WA Shurcliff, Polarized Light:Production and Use, (Harvard University Press, Cambridge,Mass., 1966) )。ただし、例外としてコレステリック液晶層での反射の場合には回転方向が変わらないことが知られている。ここでは反射がコレステリック液晶面で行われるために、透過光(r9)と反射光(r10)の円偏光の回転方向は変化しない。
9)反射光(r10)は位相差層(b1)を通過する際に位相差の影響を受ける。
10)透過光(r11)は位相差の影響で回転が反転している。
11)逆回転し、透過光(r8)と同じ方向に戻った透過光(r11)は円偏光型反射偏光子(a1)を素通りする。
12)反射光(r2、r7、r12)はバックライト側に戻り、リサイクルされる。これらの戻り光線はバックライトに配置された拡散板などで進行方向や偏光の向きをランダムに変えながら再び、偏光素子(A)の法線方向近傍を透過できる光線となるまで反射を繰り返し、輝度向上に貢献する。
13)透過した円偏光(r5)はλ/4板を配置することで直線偏光に変換できるので液晶表示装置に吸収損失を生じることなく利用できる。
【0050】
コレステリック液晶を用いた円偏光型反射偏光子(a1)の透過率と反射率は、斜め方向の入射光線に対して透過光線の波長特性が短波長側にシフトする。従って、深い角度で入射する光線に対して十分機能させるためには可視光域外長波長側に十分な偏光特性/位相差特性を有する必要がある。本システムで理想的・理論的には用いる位相差層(b1)は斜め方向で正確に1/2波長の位相差を有していれば良いはずであるが、現実に用いる円偏光型反射偏光子(a1:コレステリック液晶層)は負の位相差板としての性質をある程度持っている。このため本発明の機能を得るには位相差層(b1)は、斜め方向で1/8波長程度以上の位相差を有しておれば光学機能を発現することができる。
【0051】
反射偏光子(a)が直線偏光型反射偏光子(a2)である場合、位相差層(b)として、例えばCプレート(位相差層(b1))を単独で用いた場合には、Cプレートに斜め方向から入射する光線に対する光軸は常に光線方向と直交する。そのため位相差が発現せず偏光変換されない。そこで直線偏光型反射偏光子(a2)を用いる場合には、Cプレートの両側に直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸に対して、45°または−45°の角度に遅相軸方向を有するλ/4板(b2)を配置する。これにより、直線偏光を、λ/4板(b2)で円偏光に変換した後、Cプレートの位相差で逆円偏光に変換し、再び円偏光をλ/4板(b2)で直線偏光に変換することができるようになる。
【0052】
図3は、自然光が直線偏光型反射偏光子(a2)によって、直線偏光に偏光分離され、さらにλ/4板(b2)により円偏光に変換される概念図である。
【0053】
図4は、反射偏光子(a)として直線偏光型反射偏光子(a2)を用いた場合の概念図である。図4では、偏光素子(A)として、バックライト側(下側)から、直線偏光型反射偏光子(a2)、λ/4板(b2)、位相差層(b1)、λ/4板(b2)、直線偏光型反射偏光子(a2)がこの順に配置されている。
【0054】
図5は、図4に示す平行光化システムにおける各フィルムの貼り合わせ角度の一例である。直線偏光型反射偏光子(a2)に示す両矢印は偏光軸、λ/4板(b2)に示す両矢印は遅相軸である。Cプレート:位相差層(b1)の両側で、直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸とλ/4板(b2)の遅相軸とは、角度45°(−45°)±5°で配置される。これらの組み合わせを、それぞれset1、set2として示す。なお、入射側と出射側のλ/4板(b2)の軸が成す角度は任意である。
【0055】
直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸とλ/4板(b2)の遅相軸が成す角度45°(−45°)を維持していれば、set1、set2を回転させても良い。Cプレート:位相差層(b1)は面内に軸方向が無いので角度指定なく配置することができる。
【0056】
図4、図5に示す、平行光化の各光線の変化を追って説明する。
1)バックライトから供給された自然光(r14)の一部は、直線偏光型反射偏光子(a2)に垂直入射する。
2)直線偏光型反射偏光子(a2)は、直線偏光(r15 )を透過し、その直交方向の直線偏光(r16)は反射する。
3)直線偏光(r15)は、λ/4板(b2)を透過し、円偏光(r17)に変換される。
4)円偏光(r17)は位相差層(b1)を素通りする。
5)円偏光(r18)はλ/4板(b2)を透過し、直線偏光(r19)に変換される。
6)直線偏光(r19)は直線偏光型反射偏光子(a2)を素通りする。
7)直線偏光(r20)はこの上に配置される液晶表示装置に入射し、損失無く伝送される。
8)一方、バックライトから供給された自然光(r21)の一部は、直線偏光型反射偏光子(a2)に斜め入射する。
9)直線偏光型反射偏光子(a2)は、直線偏光(r22)を透過し、その直交方向の直線偏光(r23)は反射する。
10)直線偏光(r22)はλ/4板(b2)を透過し、円偏光(r24)に変換される。
11)位相差層(b1)を通過時に円偏光(r24)は1/2波長の位相差を受け、回転が逆転する。
12)逆転した円偏光(r25)はλ/4板(b2)を透過し、直線偏光(r26)に変換される。
13)直線偏光(r26)は直線偏光型反射偏光子(a2)で、反射され、直線偏光(r27)となる。
14)直線偏光(r27)はλ/4板(b2)を透過し、円偏光(r28)に変換される。
15)位相差層(b1)を通過時に円偏光(r28)は1/2波長の位相差を受け、回転が逆転する。
16)逆転した円偏光(r29)はλ/4板(b2)を透過し、直線偏光(r30)に変換される。
17)直線偏光(r30)は直線偏光型反射偏光子(a2)を素通りする。
18)反射光(r16、r23、r31)はバックライト側に戻されリサイクルされる。
【0057】
理想的な系での理論上では本来、ここの記載にあるλ/4板(b2)の遅相軸と直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸のなす角は45°であるが、現実の直線偏光型反射偏光子(a2)やλ/4板(b2)の特性は可視光域で完全ではなく、波長ごとに微妙な変化がある。これを無視して45°で積層すると着色が見られる場合がある。
【0058】
そこで若干角度を振って色調を補償すると合理的に系全体の最適化が可能である。一方、大きく角度が外れると透過率の低下等の他の問題が生じてしまう。そこで現実には±5度程度の範囲での調整に止めることが望ましい。
【0059】
直線偏光型反射偏光子(a2)の透過率と反射率は、斜め方向の入射光線に対して透過光線の波長特性が短波長側にシフトする点はコレステリック液晶を用いた円偏光型反射偏光子(a1)と同じである。従って、深い角度で入射する光線に対して十分機能させる為には可視光域外長波長側に十分な偏光特性/位相差特性を有する必要がある。
【0060】
直線偏光型反射偏光子(a2)はコレステリック液晶と比べて、自身が有する負の位相差特性が小さい。従って、直線偏光型反射偏光子(a2)の間に挟んで用いる位相差層(b1)の斜め方向(30°傾斜)の位相差はコレステリック液晶を用いた円偏光型反射偏光子(a1)の場合より若干大きく、1/4波長以上が好ましい。
【0061】
上記の他に、反射偏光子(a)が直線偏光型反射偏光子(a2)である場合には、2枚のλ/4板(b2)でCプレート:位相差層(b1)を挟み込んだ構造物を用いる代わりに、正面位相差が略λ/4であり、厚み方向位相差が略λ/2以上であるような2軸性位相差層(b3)を2枚配置することでも同様な効果を得ることができる。このような2軸性位相差層(b3)は、Nz係数が2以上であれば上記要件を満たす。
【0062】
図6は、反射偏光子(a)として直線偏光型反射偏光子(a2)を用い、2軸性位相差層(b3)を用いた場合の概念図である。図6では、偏光素子(A)として、バックライト側(下側)から、直線偏光型反射偏光子(a2)、2軸性位相差層(b3)、2軸性位相差層(b3)、直線偏光型反射偏光子(a2)が順に配置されている。
【0063】
図7は、図6に示す平行光化システムにおける各フィルムの貼り合わせ角度の一例である。直線偏光型反射偏光子(a2)に示す両矢印は偏光軸、位相差層(b1)に示す両矢印は遅相軸である。直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸と2軸性位相差層(b3)の遅相軸とは、角度45°(−45°)±5°で配置される。これらの組み合わせを、それぞれset1、set2として示す。
【0064】
光路の説明が容易のため、上下の直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸は平行、2軸性位相差層(b3)の遅相軸は直交させた場合を例にして示す。なお、上下の2軸性位相差層(b3)の遅相軸の成す角度は任意である。直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸と2軸性位相差層(b3)の遅相軸が成す角度45°(−45°)を維持していれば、set1、set2を回転させても良い。
【0065】
図6、図7に示す、上記例の平行光化の各光線の変化を追って説明する。
1)バックライトから供給された自然光(r32)の一部は、直線偏光型反射偏光子(a2)に垂直入射する。
2)直線偏光型反射偏光子(a2)は、直線偏光(r33)を透過し、その直交方向の直線偏光(r34)は反射する。
3)直線偏光(r33)は、正面位相差が略1/4波長の二軸性位相差層(b3)を2層を透過する。ここで、上下2層の二軸性位相差層(b3)は各々の遅相軸は90°直交しているので正面位相差は0である。従って、直線偏光(r35)が素通りする。
4)直線偏光(r35)は直線偏光型反射偏光子(a2)を素通りする。
5)直線偏光(r36)は液晶表示装置に入射し、損失無く伝送される。
6)一方、バックライトから供給された自然光(r37)の一部は、直線偏光型反射偏光子(a2)へ斜め入射する。
7)直線偏光型反射偏光子(a2)は、直線偏光(r38)を透過し、その直交方向の直線偏光(r39)は反射する。
8)直線偏光(r38)は2層の二軸性位相差層(b3)に斜め入射する。二軸性位相差層(b3)は、正面位相差1/4波長、Nz係数2以上であるため、厚み方向の位相差変化により、2層の二軸性位相差層(b3)を透過した直線偏光(r40)は偏光軸方向が90°変化する。
9)直線偏光(r40)は、直線偏光型反射偏光子(a2)に入射する。
10)上下の直線偏光型反射偏光子(a2)は偏光軸の方向が同じなので直線偏光(r40)は反射光(r41)となる。
11)反射光(r41)は2層の二軸性位相差層(b3)を通過する際に、8)と同様に位相差の影響を受け、偏光軸方向が90°回転した直線偏光(r42)となる。
12)直線偏光(r42)は直線偏光型反射偏光子(a2)を素通りする。
13)反射光(r34、r39、r43)はバックライト側に戻されリサイクルされる。
図6、図7で示した偏光素子(A)は、正面位相差が略1/4波長の位相差を有し、Nz係数2以上の二軸性位相差層(b3)を2枚積層したものであり、図4、図5に示すような、2枚のλ/4板(b2)でCプレート:位相差層(b1)を挟み込んだ構造の3層の積層物を用いる場合とほとんど同じ特性を発生できる。したがって、前述の偏光素子(A)に比べて積層数が少なく、生産性が若干優れる。
【0066】
理想的な系での理論上では本来、ここの記載にある位相差層(b3)の遅相軸と直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸のなす角は45°であるが、現実の直線偏光型反射偏光子(a2)や位相差層(b3)の特性は可視光域で完全ではなく、波長ごとに微妙な変化がある。これを無視して45°で積層すると着色が見られる場合がある。
【0067】
そこで若干角度を振って色調を補償すると合理的に系全体の最適化が可能である。一方、大きく角度が外れると透過率の低下等の他の問題が生じてしまう。そこで現実には±5°程度の範囲での調整に止めることが望ましい。
【0068】
直線偏光型反射偏光子(a2)の透過率と反射率は、斜め方向の入射光線に対して透過光線の波長特性が短波長側にシフトする点はコレステリック液晶を用いた円偏光型反射偏光子(a1)と同じである。従って、深い角度で入射する光線に対して十分機能させる為には可視光域外長波長側に十分な偏光特性/位相差特性を有する必要がある。
【0069】
また、反射偏光子(a)が直線偏光型反射偏光子(a2)である場合には、位相差層(b)として、正面位相差が略λ/2であり、厚み方向位相差が3λ/4以上であるような2軸性位相差層(b4)を配置することでも同様な効果を得ることができる。このような2軸性位相差層(b4)は、Nz係数が1.5以上であれば上記要件を満たす。
【0070】
図8は、反射偏光子(a)として直線偏光型反射偏光子(a2)を用い、2軸性位相差層(b4)を用いた場合の概念図である。図8では、偏光素子(A)として、バックライト側(下側)から、直線偏光型反射偏光子(a2)、二軸性位相差層(b4)、直線偏光型反射偏光子(a2)がこの順に配置されている。
【0071】
図9は、図8に示す平行光化システムにおける各フィルムの貼り合わせ角度の一例である。直線偏光型反射偏光子(a2)に示す両矢印は偏光軸、位相差層(b4)に示す両矢印は遅相軸である。上下の直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸は略直交させて配置する。二軸性位相差層(b4)の遅相軸と、直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸とは、角度45°(−45°)±5°で配置される。
【0072】
図8、図9に示す、上記例の平行光化の各光線の変化を追って説明する。
1)バックライトから供給された自然光(r47)の一部は、直線偏光型反射偏光子(a2)に垂直入射する。
2)直線偏光型反射偏光子(a2)は、直線偏光(r48)を透過し、その直交方向の直線偏光(r49)は反射する。
3)直線偏光(r48)は正面位相差が略1/2波長の二軸性位相差層(b4)を透過し、直線偏光(r50)に変換され偏光軸の方向が90°回転する。
4)直線偏光(r50)は直線偏光型反射偏光子(a2)を素通りする。
5)透過した直線偏光(r51)は液晶表示装置に入射し、損失無く伝送される。
6)一方、バックライトから供給された自然光(r52)の一部は、直線偏光型反射偏光子(a2)へ斜め入射する。
7)直線偏光型反射偏光子(a2)は、直線偏光(r53)を透過し、その直交方向の直線偏光(r54)は反射する。
8)直線偏光(r53)は二軸性位相差層(b4)に斜め入射する。二軸性位相差層(b4)は、正面位相差が略1/2波長、Nz係数1.5以上であるため、厚み方向の位相差の影響で、偏光軸の方向が直線偏光(r53)と同じ状態の直線偏光(r55)で透過する。
9)透過した直線偏光(r55)は直線偏光型反射偏光子(a2)で反射され、反射光(r56)となる。
10)反射光(r56)は位相差層(b4)に入射する。これも軸方向は変わらないまま透過する。
11)透過した直線偏光(r57)は直線偏光型反射偏光子(a2)を素通りして直線偏光(r58)となる。
12)反射光(r49、r54、r58)はバックライト側に戻されリサイクルされる。
【0073】
図8、図9で示した偏光素子(A)は、正面位相差が略1/4波長の位相差を有し、Nz係数1.5以上の二軸性位相差層(b4)を1枚配置したものであり、図4、図5に示すような、2枚のλ/4板(b2)でCプレート:位相差層(b1)を挟み込んだ構造の3層の積層物を用いる場合とほとんど同じ特性を発生できる。したがって、前述の偏光素子(A)に比べて積層数が少なく、生産性が若干優れる。さらには、図6、図7に示すような、2層の積層物を用いる場合よりも生産性に優れる。
【0074】
理想的な系での理論上では本来、ここの記載にある位相差層(b4)の遅相軸と直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸のなす角は45°であるが、現実の直線偏光型反射偏光子(a2)や位相差層(b4)の特性は可視光域で完全ではなく、波長ごとに微妙な変化がある。これを無視して45°で積層すると着色が見られる場合がある。
【0075】
そこで若干角度を振って色調を補償すると合理的に系全体の最適化が可能である。一方、大きく角度が外れると透過率の低下等の他の問題が生じてしまう。そこで現実には±5°程度の範囲での調整に止めることが望ましい。
【0076】
直線偏光型反射偏光子(a2)の透過率と反射率は、斜め方向の入射光線に対して透過光線の波長特性が短波長側にシフトする点はコレステリック液晶を用いた円偏光型反射偏光子(a1)と同じである。従って、深い角度で入射する光線に対して十分機能させる為には可視光域外長波長側に十分な偏光特性/ 位相差特性を有する必要がある。
【0077】
上記の図1〜図9に示すように偏光素子(A)は、法線方向から30°の入射角で入射した光線を、2枚の反射偏光子(a)で反射される軸方向の偏光に変換する位相差層(b)を有しており、当該偏光素子(A)は入射角30°で全反射機能を有し入射角30°近傍では光線は透過しない。実質的には当該偏光素子(A)は、法線方向から±15〜20°程度の範囲に高い透過率を有し、それ以上の入射角の光線は反射し再利用に回る。このため光源からの透過光線は、上記範囲内に集中し、集光と平行光化がなされる。
【0078】
このようにして得られた平行光化バックライトは従来技術に比べ薄型であり平行度の高い光源を容易に得られる特徴を有する。しかも本質的に吸収損失を有さない偏光反射による平行光化であるので、反射された非平行光成分はバックライト側に戻り、散乱反射し、その中の平行光成分だけが取り出されるリサイクルが繰り返され、実質的に高い透過率と高い光利用効率を得ることができる。
【0079】
本発明に用いられる位相差異方性制御型平行光化手段は光学観察で面方向から見て面内微細構造が視認されることはなく、液晶画素やブラックマトリクス、平行光化手段に用いられる微細構造を有するフィルム、液晶表示装置の最外面のグレア処理面などとの干渉が一切無く、モアレの要因にならない特徴を有する。
【0080】
モアレは図10に示すように、異なる層に形成された格子が角度を持って重ね合わされたときに視認される格子より低い周波数を有する濃淡模様のことである。
【0081】
モアレ縞のピッチは、下記式1
【数1】
で表される。数1中、S1:第一格子ピッチ、S2:第二格子ピッチ、S3:モアレ縞ピッチ、α:第一格子と第二格子のなす角度、である。
【0082】
このように異なる格子を重ね合わせて得られるモアレ縞の強度Iの最大値をImax、最小値をIminとして、モアレ縞の可視度(V:visibility)を計算すると、数式:V=(Imax−Imin)/(Imax+Imin)、で表される。このコントラストを低減するには格子同士が成す角度が十分に大きく、直交に近いことが望まれる。しかし、格子を有する層が3層以上では要件を満たすことが困難になる。従って、モアレ現象を抑制するには格子構造を有する層の削減が効果的であることが分かる。
【0083】
(反射偏光子(a))
輝度向上の観点よりは視感度の高い550nm付近の波長の光に対して、その全反射が達成されることが望ましく、少なくとも550nm±10nmの波長領域で反射偏光子(a)の選択反射波長が重なっていることが望ましい。
【0084】
例えば液晶表示装置に多く用いられているウエッジ型導光板を用いたバックライトでは導光板からの出射光の角度は法線方向から60°前後の角度である。この角度でのブルーシフト量は約100nmにも及ぶ。従ってバックライトに3波長冷陰極管が用いられている場合には赤の輝線スペクトルが610nmであるので選択反射波長は少なくとも710nmより長波長側に達する必要があると分かる。この長波長側に必要な選択反射波長帯域幅は上記のように光源からの入射光線の角度と波長に大きく依存するので要求仕様に応じて任意に長波長端を設定する。
【0085】
バックライト光源が特定の波長しか発光しない場合、例えば色付き冷陰極管のような場合には得られる輝線のみ遮蔽できればよい。
【0086】
また、バックライトからの出射光線が動向体表面に加工されたマイクロレンズやドット、プリズムなどの設計で正面方向に最初からある程度絞られている場合には大きな入射角での透過光は無視できるので選択反射波長を大きく長波長側に延ばさなくても良い。組み合わせ部材・光源種に合わせて適宜設計できる。
【0087】
かかる観点より反射偏光子(a)は全く同一の組合せでも良いし、一方が可視光全波長で反射を有するもので、他方が部分的に反射するものでも良い。
【0088】
(円偏光型反射偏光子(a1))
円偏光型反射偏光子(a1)としては、たとえば、コレステリック液晶材料が用いられる。円偏光型反射偏光子(a1)においては選択反射の中心波長はλ=npで決定される(nはコレステリック材料の屈折率、pはカイラルピッチ)。斜め入射光に対しては、選択反射波長がブルーシフトするため、前記重なっている波長領域はより広い方が好ましい。
【0089】
円偏光型反射偏光子(a1)がコレステリック材料の場合、異なるタイプ(右ねじれと左ねじれ)の組み合わせでも同様の考え方で正面位相差がλ/2で傾けると位相差がゼロまたはλであれば同様の偏光子が得られるが、傾斜する軸の方位角による異方性や色付きの問題が発生するため好ましくない。かかる観点より同じタイプ同士の組み合わせ(右ねじれ同士、左ねじれ同士)が好ましいが、上下のコレステリック液晶分子、あるいはCプレートの波長分散特性が異なる物の組み合わせで相殺することで色づきを押さえることもできる。
【0090】
円偏光型反射偏光子(a1)を構成するコレステリック液晶には、適宜なものを用いてよく、特に限定はない。例えば、高温でコレステリック液晶性を示す液晶ポリマー、または液晶モノマーと必要に応じてのカイラル剤および配向助剤を電子線や紫外線などの電離放射線照射や熱により重合せしめた重合性液晶、またはそれらの混合物などがあげられる。液晶性はリオトロピックでもサーモトロピック性のどちらでもよいが、制御の簡便性およびモノドメインの形成しやすさの観点よりサーモトロピック性の液晶であることが望ましい。
【0091】
コレステリック液晶層の形成は、従来の配向処理に準じた方法で行うことができる。例えば、トリアセチルセルロースやアモルファスポリオレフィンなどの複屈折位相差が可及的に小さな支持基材上に、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等の膜を形成してレーヨン布等でラビング処理した配向膜、またはSiO2 の斜方蒸着層、またはポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどの延伸基材表面性状を配向膜として利用した基材、または上記基材表面をラビング布やベンガラに代表される微細な研磨剤で処理し、表面に微細な配向規制力を有する微細凹凸を形成した基材、または上記基材フィルム上にアゾベンゼン化合物など光照射により液晶規制力を発生する配向膜を形成した基材、等からなる適当な配向膜上に、液晶ポリマーを展開してガラス転移温度以上、等方相転移温度未満に加熱し、液晶ポリマー分子がプラナー配向した状態でガラス転移温度未満に冷却してガラス状態とし、当該配向が固定化された固化層を形成する方法などがあげられる。
【0092】
また配向状態が形成された段階で紫外線やイオンビーム等のエネルギー照射で構造を固定してもよい。上記基材で複屈折が小さなものは液晶層支持体としてそのまま用いてもよい。複屈折が大きなもの、または偏光素子(A)の厚みに対する要求が厳しい場合には配向基材より液晶層を剥離して適宜に用いることもできる。
【0093】
液晶ポリマーの製膜は、例えば液晶ポリマーの溶媒による溶液をスピンコート法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等で薄層展開し、さらに、それを必要に応じ乾燥処理する方法などにより行うことができる。前記の溶媒としては例えば塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタンのような塩素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン系溶媒;トルエンのような芳香族溶媒;シクロヘプタンのような環状アルカン;またはN−メチルピロリドンやテトラヒドロフラン等を適宜に用いることができる。
【0094】
また液晶ポリマーの加熱溶融物、好ましくは等方相を呈する状態の加熱溶融物を前記に準じ展開し、必要に応じその溶融温度を維持しつつ更に薄層に展開して固化させる方法などを採用することができる。当該方法は、溶媒を使用しない方法であり、従って作業環境の衛生性等が良好な方法によっても液晶ポリマーを展開させることができる。なお、液晶ポリマーの展開に際しては、薄型化等を目的に必要に応じて配向膜を介したコレステリック液晶層の重畳方式なども採ることができる。
【0095】
さらに必要に応じ、これらの光学層を成膜時に用いる支持基材/配向基材から剥離し、他の光学材料に転写して用いることもできる。
【0096】
(直線偏光型反射偏光子(a2))
直線偏光型反射偏光子(a2)としては、グリッド型偏光子、屈折率差を有する2種以上の材料による2層以上の多層薄膜積層体、ビームスプリッターなどに用いられる屈折率の異なる蒸着多層薄膜、複屈折を有する2種以上の材料による2層以上の複屈折層多層薄膜積層体、複屈折を有する2種以上の樹脂を用いた2層以上の樹脂積層体を延伸したもの、直線偏光を直交する軸方向で反射/透過することで分離するものなどがあげられる。
【0097】
例えばポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートに代表される延伸により位相差を発生する材料やポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル系樹脂、JSR社製のアートンに代表されるノルボルネン系樹脂等の位相差発現量の少ない樹脂を交互に多層積層体として一軸延伸して得られるものを用いることができる。
【0098】
(位相差層(b))
円偏光型反射偏光子(a1)または直線偏光型反射偏光子(a2)の間に配置する位相差層(b1)は、正面方向の位相差が略ゼロであり、法線方向から30°の角度の入射光に対してλ/8以上の位相差を有するものである。正面位相差は垂直入射された偏光が保持される目的であるので、λ/10以下であることが望ましい。
【0099】
斜め方向からの入射光に対しては効率的に偏光変換されるべく全反射させる角度などによって適宜決定される。例えば、法線からのなす角60°程度で完全に全反射させるには60°で測定したときの位相差がλ/2程度になるように決定すればよい。ただし、円偏光型反射偏光子(a1)による透過光は、円偏光型反射偏光子(a1)自身のCプレート的な複屈折性によっても偏光状態が変化しているため、通常挿入されるCプレートのその角度で測定したときの位相差はλ/2よりも小さな値でよい。Cプレートの位相差は入射光が傾くほど単調に増加するため、効果的な全反射を30°以上のある角度傾斜した時に起こさせる目安として30°の角度の入射光に対してλ/8以上有すればよい。
【0100】
本発明の偏光素子(A)にて正面より30°の入射角を有する光線に対して有効な遮蔽を行い得る設計の場合、実質的には入射角20°前後の領域で十分に透過光線が低下している。この領域の光線に限定される場合、一般的なTN液晶表示装置の良好な表示を示す領域の光線のみが透過する。用いるTN液晶表示装置のセル内液晶種や配向状態、プレティルト角などの条件により変動があるが階調反転やコントラストの急激な劣化は生じないため、本発明における視野角拡大のためには用いられる水準となる。より正面光のみに絞り込むために位相差層の位相差値をより大きく取ったり、TN液晶に補償位相差板を組み合わせることを前提に位相差値を小さくして絞り込みを穏やかにして用いても良い。
【0101】
位相差層(b1)の材質は上記のような光学特性を有するものであれば、特に制限はない。例えば、可視光領域(380nm〜780nm) 以外に選択反射波長を有するコレステリック液晶のプラナー配向状態を固定したものや、棒状液晶のホメオトロピック配向状態を固定したもの、ディスコチック液晶のカラムナー配向やネマチック配向を利用したもの、負の1軸性結晶を面内に配向させたもの、2軸性配向したポリマーフィルムなどがあげられる。
【0102】
Cプレートとしては、たとえば、可視光領域(380nm〜780nm)以外に選択反射波長を有するコレステリック液晶のプラナー配向状態を固定したCプレートは、コレステリック液晶の選択反射波長としては、可視光領域に色付きなどがないことが望ましい。そのため、選択反射光が可視領域にない必要がある。選択反射はコレステリックのカイラルピッチと液晶の屈折率によって一義的に決定される。選択反射の中心波長の値は近赤外領域にあっても良いが、旋光の影響などを受けるため、やや複雑な現象が発生するため、350nm以下の紫外部にあることがより望ましい。コレステリック液晶層の形成については、前記した反射偏光子におけるコレステリック層形成と同様に行われる。
【0103】
ホメオトロピック配向状態を固定したCプレートは、高温でネマチック液晶性を示す液晶性熱可塑樹脂または液晶モノマーと必要に応じての配向助剤を電子線や紫外線などの電離放射線照射や熱により重合せしめた重合性液晶、またはそれらの混合物が用いられる。液晶性はリオトロピックでもサーモトロピック性のいずれでもよいが、制御の簡便性やモノドメインの形成しやすさの観点より、サーモトロピック性の液晶であることが望ましい。ホメオトロピック配向は、例えば、垂直配向膜(長鎖アルキルシランなど)を形成した膜上に前記複屈折材料を塗設し、液晶状態を発現させ固定することによって得られる。
【0104】
ディスコティック液晶を用いたCプレートとしては、液晶材料として面内に分子の広がりを有したフタロシアニン類やトリフェニレン類化合物のごとく負の1軸性を有するディスコティック液晶材料を、ネマチック相やカラムナー相を発現させて固定したものである。負の1軸性無機層状化合物としては、たとえば、特開平6−82777号公報などに詳しい。
【0105】
ポリマーフィルムの2軸性配向を利用したCプレートは、正の屈折率異方性を有する高分子フィルムをバランス良く2軸延伸する方法、熱可塑樹脂をプレスする方法、平行配向した結晶体から切り出す方法などにより得られる。
【0106】
直線偏光型反射偏光子(a2)を用いる場合には、位相差層(b1)として、正面方向の位相差が略ゼロであり、法線方向から30°の角度の入射光に対してλ/4以上の位相差を有するものが用いられる。前記位相差層(b1)の両側に、正面位相差が略λ/4であるλ/4板(b2)を用いて直線偏光を一度円偏光に変換した後に前述の円偏光板と同様な方法で平行光化することができる。この場合の構成断面と各層の配置は図3、図4、図5に示した通りである。この場合、λ/4板(b2)の遅相軸と直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸の成す角度は前述の通りであり、λ/4板(b2)同士の軸角度は任意に設定できる。
【0107】
前記位相差層(b2)としては、具体的には、λ/4板が用いられる。λ/4板は、使用目的に応じた適宜な位相差板が用いられる。λ/4板は、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御することができる。位相差板としては、ポリカーボネート、ノルボルネン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーなどの液晶材料からなる配向フィルム、液晶材料の配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。
【0108】
可視光域等の広い波長範囲でλ/4板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対してλ/4板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層からなるものであってよい。
【0109】
また、正面位相差が略λ/4であり、厚み方向位相差がλ/2以上であるような2軸性位相差層(b3)を2枚配置することでも同様な効果を得ることができる。2軸性位相差層(b3)は、Nz係数が略2以上であれば上記要件を満たす。この場合の構成断面と各層の配置は図6、図7に示した通りである。この場合、2軸性位相差層(b3)との遅相軸と直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸は前述の通りであり、2軸性位相差層(b3)同士の軸角度は任意に設定できる。
【0110】
なお、正面位相差が略λ/4であることは、550nm波長の光に対してλ/4±40nm程度、さらには±15nmの範囲に入るものであることが好ましい。
【0111】
また、正面位相差が略λ/2であり、厚み方向位相差がλ/2以上であるような2軸性位相差層(b4)を1枚用いることでも同様な効果を得ることができる。2軸性位相差層(b4)は、Nz係数が略1. 5以上であれば上記要件を満たす。この場合の構成断面と各層の配置は図8、図9に示した通りである。この場合、上下の直線偏光型反射偏光子(a2)と中央の2軸性位相差層(b4)の軸角度の関係は指定したとおりの角度となり一義的に決定される。
【0112】
なお、正面位相差が略λ/2であることは、550nm波長の光に対してλ/2±40nm程度、さらには±15nmの範囲に入るものが好ましい。
【0113】
具体的に前記2軸性位相差層(b3)、(b4)としては、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート等の複屈折性を有するプラスチック材料を2軸延伸したもの、または液晶材料を平面方向では一軸配向させ、厚み方向にさらに配向させたハイブリッド配向したものが用いられる。液晶材料を1軸性にホメオトロピック配向させたものも可能であり、前記コレステリック液晶を製膜した方法と同様に行われる。ただし、コレステリック液晶ではなくネマチック液晶材料を用いる必要がある。
【0114】
(拡散反射板の配置)
光源たる導光板の下側(液晶セルの配置面とは反対側)には拡散反射板の配置が望ましい。平行光化フィルムにて反射される光線の主成分は斜め入射成分であり、平行光化フィルムにて正反射されてバックライト方向へ戻される。ここで背面側の反射板が正反射性が高い場合には反射角度が保存され、正面方向に出射できずに損失光となる。従って反射戻り光線の反射角度を保存せず、正面方向へ散乱反射成分を増大させるため拡散反射板の配置が望ましい。
【0115】
(拡散板の配置)
平行光化フィルムとバックライト光源の間には適当な拡散板を設置することも望ましい。斜め入射し、反射された光線をバックライト導光体近傍にて散乱させ、その一部を垂直入射方向へ散乱せしめることで光の再利用効率が高まるためである。
【0116】
用いられる拡散板は表面凹凸形状による物の他、屈折率が異なる微粒子を樹脂中に包埋する等の方法で得られる。この拡散板は平行光化フィルムとバックライト間に挟み込んでも良いし、平行光化フィルムに貼り合わせてもよい。
【0117】
平行光化フィルムを貼り合わせた液晶セルをバックライトと近接して配置する場合、フィルム表面とバックライトの隙間でニュートンリングが生じる恐れがあるが、本発明における平行光化フィルムの導光板側表面に表面凹凸を有する拡散板を配置することによってニュートンリングの発生を抑制することができる。また、本発明における平行光化フィルムの表面そのものに凹凸構造と光拡散構造を兼ねた層を形成しても良い。
【0118】
(視野角拡大層の配置)
本発明の液晶表示装置における視野角拡大は、平行光化されたバックライトと組み合わされた、液晶表示装置から得られる正面近傍の良好な表示特性の光線を拡散し、全視野角内で均一で良好な表示特性を得ることによって得られる。
【0119】
ここで用いられる視野角拡大層は実質的に後方散乱を有さない拡散板が用いられる。拡散板は、拡散粘着材により設けることができる。配置場所は液晶表示装置の視認側であるが偏光板の上下いずれでも使用可能である。ただし画素のにじみ等の影響やわずかに残る後方散乱によるコントラスト低下を防止するために偏光板〜液晶セル間など、可能な限りセルに近い層に設けることが望ましい。またこの場合には実質的に偏光を解消しないフィルムが望ましい。例えば特開2000−347006号公報、特開2000−347007号公報に開示されているような微粒子分散型拡散板が好適に用いられる。
【0120】
液晶セルの視認側の偏光板より外側に視野角拡大層を位置する場合には液晶セル−偏光板まで平行光化された光線が透過するので、TN液晶セルの場合は特に視野角補償位相差板を用いなくともよい。STN液晶セルの場合には正面特性のみ良好に補償した位相差フィルムを用いるだけでよい。この場合には視野角拡大層が空気表面を有するので表面形状による屈折効果によるタイプの採用も可能である。
【0121】
一方で、偏光板と液晶セルの間に視野角拡大層を挿入する場合には偏光板を透過する段階では拡散光線となっている。TN液晶の場合、偏光子そのものの視野角特性は補償する必要がある。この場合には偏光板の視野角特性を補償する位相差板を偏光板と視野角拡大層の間に挿入するのが好ましい。STN液晶の場合にはSTN液晶の正面位相差補償に加えて偏光板の視野角特性を補償する位相差板を挿入するのが好ましい。
【0122】
従来から存在するマイクロレンズアレイフィルムやホログラムフィルムのように、内部に規則性構造体を有する視野角拡大フィルムの場合、液晶表示装置のブラックマトリクスや従来のバックライトの平行光化システムが有するマイクロレンズアレイ/プリズムアレイ/ルーバー/マイクロミラーアレイ等の微細構造と干渉しモアレを生じやすかった。しかし本発明における平行光化フィルムは面内に規則性構造が視認されず、出射光線に規則性変調が無いので視野角拡大層との相性や配置順序を考慮する必要はない。従って、視野角拡大層は液晶表示装置の画素ブラックマトリクスと干渉/モアレを発生しなければ特に制限はなく選択肢は広い。
【0123】
本発明においては視野角拡大層として実質的に後方散乱を有さない、偏光を解消しない、特開2000−347006号公報、特開2000−347007号公報に記載されているような光散乱板で、ヘイズ80%〜90%のものが好適に用いられる。その他、ホログラムシート、マイクロプリズムアレイ、マイクロレンズアレイ等、内部に規則性構造を有していても液晶表示装置の画素ブラックマトリクスと干渉/モアレを形成しなければ使用可能である。
【0124】
(各層の積層)
前記各層の積層は、重ね置いただけでも良いが、作業性や、光の利用効率の観点より各層を接着剤や粘着剤を用いて積層することが望ましい。その場合、接着剤または粘着剤は透明で、可視光域に吸収を有さず、屈折率は、各層の屈折率と可及的に近いことが表面反射の抑制の観点より望ましい。かかる観点より、例えば、アクリル系粘着剤などが好ましく用いうる。各層は、それぞれ別途配向膜状などでモノドメインを形成し、透光性基材へ転写などの方法によって順次積層していく方法や、接着層などを設けず、配向のために、配向膜などを適宜形成し、各層を順次直接形成して行くことも可能である。
【0125】
各層および(粘)接着層には、必要に応じて拡散度合い調整用に更に粒子を添加して等方的な散乱性を付与することや、紫外線吸収剤、酸化防止剤、製膜時のレベリング性付与の目的で界面活性剤などを適宜に添加することができる。
【0126】
(その他の材料)
なお、液晶表示装置には、常法に従って、各種の光学層等が適宜に用いられて作製される。
【0127】
偏光板(PL)は、液晶セルの両側に配置される。液晶セルの両側に配置された偏光板(PL)は、偏光軸が互いに略直交するように配置される。また入射側の偏光板(PL)はその偏光軸方向と、光源側からの透過で得られる直線偏光の軸方向とが揃うように配置される。
【0128】
偏光板は、通常、偏光子の片側または両側に保護フィルムを有するものが一般に用いられる。
【0129】
偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。
【0130】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいてもよいヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよいし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
【0131】
前記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
【0132】
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
【0133】
保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。
【0134】
また、保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=[(nx+ny)/2−nz]・d(ただし、nx、nyはフィルム平面内の主屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
【0135】
保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。なお、偏光子の両側に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。前記偏光子と保護フィルムとは通常、水系粘着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。
【0136】
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
【0137】
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
【0138】
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
【0139】
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
【0140】
また位相差板は、視角補償フィルムとして偏光板に積層して広視野角偏光板として用いられる。視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。
【0141】
このような視角補償位相差板としては、他に二軸延伸処理や直交する二方向に延伸処理等された複屈折を有するフィルム、傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。視角補償フィルムは、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的として適宜に組み合わせることができる。
【0142】
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
【0143】
前記のほか実用に際して積層される光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板などの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、楕円偏光板または円偏光板に、更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板があげられる。
【0144】
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
【0145】
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また前記保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の保護フィルムは、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
【0146】
反射板は前記の偏光板の保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
【0147】
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
【0148】
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
【0149】
前記偏光板と位相差板等は、液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することよって形成することができるが、予め積層して楕円偏光板等の光学フィルムとしたのものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
【0150】
本発明の光学素子には、粘着層または接着層を設けることもできる。粘着層は、液晶セルへの貼着に用いることができる他、光学層の積層に用いられる。前記光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
【0151】
接着剤や粘着剤としては特に制限されない。例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
【0152】
前記接着剤や粘着剤にはベースポリマーに応じた架橋剤を含有させることができる。また接着剤には、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す接着剤層などであってもよい。
【0153】
接着剤や粘着剤は、通常、ベースポリマーまたはその組成物を溶剤に溶解又は分散させた固形分濃度が10〜50重量%程度の接着剤溶液として用いられる。溶剤としては、トルエンや酢酸エチル等の有機溶剤や水等の接着剤の種類に応じたものを適宜に選択して用いることができる。
【0154】
粘着層や接着層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として偏光板や光学フィルムの片面又は両面に設けることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
【0155】
粘着層等の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鏡アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0156】
なお本発明において、上記光学素子等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やべンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
【0157】
【実施例】
以下に、本発明を実施例をあげて説明するが、本発明は以下に示し実施例に制限されるものではない。
【0158】
なお、正面位相差は、面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸、フィルムの厚さ方向をZ軸とし、それぞれの軸方向の屈折率をnx、ny、nzとして、550nmにおける屈折率nx、ny、nzを自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製,自動複屈折計KOBRA21ADH)により計測した値と、位相差層の厚さd(nm)から、正面位相差:(nx−ny)×d、厚み方向の位相差:(nx−nz)×d、を算出した。傾斜させて測定したときの位相差は、上記自動複屈折測定装置により測定できる。傾斜位相差は:傾斜時の(nx−ny)×dである。
【0159】
Nz係数は、式:Nz=(nx−nz)/(nx−ny)で定義される。
【0160】
なお、反射波長帯域は、反射スペクトルを分光光度計(大塚電子株式会社製、瞬間マルチ測光システム MCPD−2000)にて測定し、最大反射率の半分の反射率を有する反射波長帯域とした。
【0161】
参考例1
(二次集光素子(Y)の作製)
二次集光素子(Y)として、TiO2/SiO2積層枚数15層の蒸着多層膜バンドパスフィルターを用いた。基材は50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、全体厚みは約53μmであった。蒸着薄膜の積層厚みの設計図を下記表1に示す。
【0162】
【表1】
【0163】
(光源)
輝線光源(L)としてはサイドライト型導光体(導光体は断面がウエッジ型で裏面側にドット印刷が行われた物)を用いたバックライト(スタンレー電気製)10. 4インチ型を用いた。光源には3波長型冷陰極管を用いた。
【0164】
(波長特性)
光源である前記冷陰極管と、二次集光素子(Y)である蒸着多層膜バンドパスフィルターの波長特性は図22に示す通りである。波長特性の測定は、日立製作所製の分光光度計U4100により行なったものである。
【0165】
(二次集光素子(Y)の集光特性)
図23に示すグラフは、図15の構造にて、二次集光素子(Y)である蒸着多層膜バンドパスフィルターを単独で用いて集光特性を測定したものである。
【0166】
図23に示すグラフには70°近傍で副次ピークが見られる。これは蒸着多層膜バンドパスフィルター(Y)が斜め入射によりブルーシフトし、緑色光線に対する透過領域が青色光線に対して透過を示し、赤色光線に対する透過領域が緑色光線に対する透過を示すためである。このため斜めからの出射光が強い着色が認められた。さらに用いたバックライトシステムの出射光分布が正面より±60°以上離れた角度で強い光束を出射しているため着色が目立った。
【0167】
(一次集光部(X)を有するバックライトシステム)
一次集光部(X)として、プリズムシートを用いた。プリズムシートは3M製のBEFフィルム(厚み約180μm,ポリエチレンテレフタレートフィルム製,頂角約90°,プリズムピッチ50μm)を2枚用いた。
【0168】
プリズムシートのプリズム稜線が直交配置となるように、前述の輝線光源(L)の導光体上に2枚積層した。かかる一次集光部(X)として、プリズムシートを有するバックライトシステム(BLS)は、正面方向に対して、±50°以内に集光する特性を有していた。
【0169】
(集光システム)
前記一次集光部(X)を有するバックライトシステム(BLS)と、二次集光素子(Y)を、図16の構造にて配置した。図24は、図16の構造にて集光特性を計測したものである。液晶セル(LC)としては、シャープ社製の10.4インチTFTセルを用いた。また偏光板(PL)としては日東電工社製のSEG1465DUを用い、液晶セル(LC)の両側に直交になるように貼りあわせた。二次集光素子(Y)は、偏光板(PL)に貼り合わせた。なお、以降の各例において液晶セル(LC)、偏光板(PL)としては同じものを用いた。
【0170】
図24から、一次集光により平行化フィルムの大角度での透過成分が劇的に減少し、不愉快な着色を除去することができていることが認められる。一次集光部(X)の効果により、±50°程度までバックライトからの出射光が絞り込まれているので70°近傍の副次透過はカットされて発生しないことが分かる。
【0171】
参考例2
(二次集光素子(Y)の作製)
二次集光素子(Y)として、コレステリック液晶ポリマーの薄膜塗工によって作製した、コレステリック液晶バンドパスフィルターを用いた。これは、右円偏光反射の3波長対応バンドパスフィルターと左円偏光反射の3波長対応バンドパスフィルターの組み合わせであり、目的とする3波長のみ垂直方向近傍に対し、光を透過し、斜め入射光線は反射するものである。
【0172】
前記コレステリック液晶バンドパスフィルターは、正面透過光線が非偏光である。これは液晶層をバンドパスフィルターとして用いており、コレステリック反射による偏光分離を行わない領域からの透過光線が正面方向へ透過しているためである。したがって、集光特性の測定にあたり、上記二次集光素子(Y)と偏光板(PL)の間には位相差層は設けずに積層した。
【0173】
詳しくは、3波長冷陰極管の発光スペクトル435nm、545nm、610nmに対して、選択反射波長域が440nm〜490nm、550〜600nm、615〜700nmとなる、右円偏光を反射する選択反射円偏光バンドパスフィルターを作製した。用いた液晶材料は、欧州特許出願公開第0834754号明細書に基づき、選択反射中心波長が480nm、570nm、655nmとなる3種のコレステリック液晶ポリマーを作製した。
【0174】
コレステリック液晶ポリマーは、下記化1:
【化1】
で表される重合性ネマチック液晶モノマーAと、下記化2:
【化2】
で表される重合性カイラル剤Bを、下記表2に示す割合(重量比)で配合した液晶混合物を重合することにより作製した。前記液晶混合物は、それぞれはテトラヒドロフランに溶解した33重量%溶液にした後、60℃環境下にて窒素パージし、反応開始剤(アゾビスイソブチロニトリル,前記混合物に対して0.5重量%)を添加して重合処理を行った。得られた重合物はジエチルエーテルにて再沈分離し精製した。選択反射波長帯域を表2に示す。
【0175】
【表2】
【0176】
上記コレステリック液晶ポリマーを塩化メチレンに溶解して10重量%溶液を調製した。当該溶液を、配向基材に、乾燥時の厚みが約1μmになるようワイヤーバーで塗工した。配向基材として、75μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その表面にポリビニルアルコール層を約0. 1μm塗工し、レーヨン製ラビング布でラビングしたものを用いた。塗工後、140℃で15分間乾燥した。この加熱処理終了後、液晶を室温にて冷却固定し薄膜を得た。
【0177】
上記各コレステリック液晶ポリマーを用いて、上記同様の工程を経て各色の液晶薄膜を作製したのち、イソシアネート系接着剤にて貼り合わせた。その後、ポリエチレンテレフタレート基材を除去し、各液晶層を短波長側から順に3層を積層して約5μm厚の液晶複合層を得た。
【0178】
一方、重合性カイラル剤Bとして、化2とは鏡像異性体となるものを用いたこと以外は上記と全く同様にして、液晶層の3層を積層して、左円偏光を反射する選択反射円偏光バンドパスフィルターを作製した。
【0179】
この両者の液晶面同士を、透光性アクリル系粘着材(日東電工製NO.7,25μm厚)にて貼り合わせた後、支持基材のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離してコレステリック液晶バンドパスフィルター(約35μm厚)を得た。
【0180】
(波長特性)
二次集光素子(Y)であるコレステリック液晶バンドパスフィルターの波長特性は図25に示す通りである。なお、図21に示すグラフは、図15の構造にて、前記二次集光素子(Y)であるコレステリック液晶バンドパスフィルターを単独で用いて集光特性を測定したものである。
【0181】
(一次集光部(X)を有するバックライトシステム)
参考例1と同様の、一次集光部(X)として、プリズムシートを2枚積層したバックライトシステム(BLS)を用いた。
【0182】
(集光システム)
前記一次集光部(X)を有するバックライトシステム(BLS)と、二次集光素子(Y)を、図16の構造にて配置した。図26は、図16の構造にて集光特性を計測したものである。
【0183】
図26から、一次集光により平行化フィルムの大角度での透過成分が劇的に減少し、不愉快な着色を除去することができていることが認められる。一次集光部(X)の効果により、±50°程度までバックライトからの出射光が絞り込まれているので70°近傍の副次透過はカットされて発生しないことが分かる。
【0184】
参考例3
(二次集光素子(Y)の作製)
二次集光素子(Y)として、偏光の選択反射の波長帯域が互いに重なる2枚の円偏光型反射偏光子(a1)の間に位相差板(b1)を設けた偏光素子を用いた。
【0185】
円偏光型反射偏光子(a1)としては、日東電工社製のNIPOCSフィルム(PCF400)のコレステリック液晶層を用いた。
【0186】
次いで、下記方法にて、正面位相差が略0、斜め方向で位相差を発生する位相差層(b1:ネガティブCプレート)を重合性液晶にて作製した。重合性メソゲン化合物として、BASF社製のLC242、重合性カイラル剤として、BASF社製のLC756を用いた。重合性メソゲン化合物と重合性カイラル剤は、得られるコレステリック液晶の選択反射中心波長が約350nmとなるように、重合性メソゲン化合物/重合性カイラル剤の混合比(重量比)=11/88、とした。得られたコレステリック液晶の選択反射中心波長は350nmであった。
【0187】
具体的な製法は、以下の通りである。重合性カイラル剤と重合性メソゲン化合物をシクロペンタンにて溶解(30重量%)し、反応開始剤(チバスペシャルティケミカルズ社製のイルガキュア907,前記混合物に対して1重量%)を添加した溶液を調製した。溶液には、界面活性剤BYK- 361(ビッグケミジャパン製)を前記混合物に対して0. 01重量%添加した。配向基板は、東レ製のポリエチレンテレフタレートフィルム:ルミラー(厚さ75μm)をラビング布にて配向処理したものを用いた。
【0188】
前記溶液をワイヤーバーにて乾燥時塗布厚みが7μm厚にて塗布し、90℃で2分間乾燥した後、等方性転移温度130℃まで一旦加熱した後、徐冷した。均一な配向状態を保持し、80℃の環境にて紫外線照射(10mW/平方cm×1分間)にて硬化してネガティブCプレート(b1)を得た。このネガティブCプレート(b1)の位相差を測定したところ、550nmの波長の光に対して正面方向では2nm、30°傾斜させた時の位相差は約190nm(>λ/8)であった。
【0189】
上記で得られた円偏光型反射偏光子(a1)の上部に透光性アクリル系粘着剤(日東電工社製,NO.7,25μm厚)を用いて、ネガティブCプレート(b1)を接着した後、基材を剥離除去した。この上に、さらに円偏光型反射偏光子(a1)を積層転写し、偏光素子を得た。当該偏光素子を、二次集光素子(Y)とした。
【0190】
参考例3の二次集光素子(Y)は、可視光帯域全域で偏光分離機能を有しているので正面透過光線はコレステリック液晶の偏光分離機能により円偏光化している。したがって、液晶セル(LC)のバックライト側の偏光板(PL)と二次集光素子(Y)の間には1/4波長板(B)を偏光板(PL)の偏光軸に対して45°の傾斜で挿入し、透光性アクリル系粘着材(日東電工製NO.7,25μm)にて貼り合わせた。円偏光を直線偏光化し、偏光板への透過特性を高めるためである。
【0191】
(一次集光部(X)を有するバックライトシステム)
一次集光部(X)として、プリズムシートを用いた。プリズムシートは3M製のBEFフィルム(厚み約180μm,ポリエチレンテレフタレートフィルム製,頂角約90°,プリズムピッチ50μm)を2枚用いた。
【0192】
プリズムシートのプリズム稜線が直交配置となるように、ドット印刷されたアクリル製の導光板(茶谷産業製のサイドライト型バックライト)上に2枚積層した。かかる一次集光部(X)として、プリズムシートを有するバックライトシステムは、±55°以内に集光する特性を有していた。
【0193】
(二次集光素子(Y)の集光特性)
図27は、図17の構造にて二次集光素子(Y)である偏光素子(A)を単独で用いて集光特性を測定したものである。図27では50°以上の外側で漏れ光線が認められる。
【0194】
(集光システム)
前記一次集光部(X)を有するバックライトシステム(BLS)と、二次集光素子(Y)を、図18の構造にて配置した。図28は、図18の構造にて集光特性を計測したものである。なお、図27、図28の集光特性の測定はELDIM社製Ez−Contrastにより行なったものである。
【0195】
図28より、一次集光により平行化フィルムの大角度での透過成分が劇的に減少し、不愉快な着色を除去することができていることが認められる。一次集光部(X)により光源からの50°以上の角度での出射光線が減少し、二次集光素子(Y)を通過する光線が無くなり、中央の二次集光部分のみ残る。すなわち正面のみ明るく見えて斜め方向は漆黒で着色は見えない。
【0196】
実施例1
(二次集光素子(Y)の作製)
二次集光素子(Y)として、偏光の選択反射の波長帯域が互いに重なる2枚の直線偏光型反射偏光子(a2)の間に、位相差板(b1)を有し、位相差板(b1)の両側には、正面位相差が略λ/4である層(b2)を有する偏光素子を用いた。
【0197】
直線偏光型反射偏光子(a2)としては、3M製のDBEFを用いた。位相差板(b1)は、参考例3におけるネガティブCプレートの作製法に準じて作製した。得られたネガティブCプレート(b1)は厚み8μm、位相差を測定したところ、550nmの波長の光に対して正面方向では0nm、30°傾斜させた時の位相差は約220nm(>λ/4)であった。このネガティブCプレートをサンドイッチする位相差板(b2)として日東電工製NRFフィルム(正面位相差140nm)を用い、上下の直線偏光型反射偏光子(a2)に対して、各々の軸と45°(−45°)の角度で貼り合わせ、5枚を積層した。積層は透光性アクリル系粘着材(日東電工製NO.7,25μm厚)にて貼り合わせた。
【0198】
(一次集光部(X)を有するバックライトシステム)
一次集光部(X)を有するバックライトシステム(BLS)として、表面にマイクロプリズムアレイを作製した断面ウエッジ型アクリル導光体・サイドライト型バックライト(IBM製ノートPC ThinkPadより取り出し)を用いた。一次集光部(X)を有するバックライトシステム(BLS)は、光源からの出射光を、正面方向に対して、±50°以内に1次集光していた。
【0199】
(二次集光素子(Y)の集光特性)
図29に示すグラフは、図19の構造にて二次集光素子(Y)である偏光素子(A)単独による集光特性を測定したものである。図29に示すグラフには正面方向に対して、±50°以上の外側で漏れ光線が認められる。なお、図19の構造において、光源(L)は、ハクバ製ライトボックス(直下型バックライト,拡散光源)を用いた。
【0200】
(集光システム)
前記一次集光部(X)を有するバックライトシステム(BLS)と、二次集光素子(Y)を、図20の構造にて配置した。図30は、図20の構造にて集光特性を計測したものである。
【0201】
図30から、一次集光により平行化フィルムの大角度での透過成分が劇的に減少し、不愉快な着色を除去することができていることが認められる。
【0202】
比較例
集光フィルムとして、参考例2のコレステリック液晶バンドパスフィルターを用いた。ドット印刷された導光板上に配置した。集光特性は図2に示す通りであり、副次透過の強いピークが見られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 偏光素子(A)の平行光化の基本原理の一例を示す概念図である。
【図2】 図1、3、4、6、8に示す、各光線の状態を説明するものである。
【図3】 直線偏光の円偏光化を示す概念図である。
【図4】 偏光素子(A)の平行光化の基本原理の一例を示す概念図である。
【図5】 直線偏光型反射偏光素子(a2)を用いた平行光化の各層の配置角度を示す一例である。
【図6】 偏光素子(A)の平行光化の基本原理の一例を示す概念図である。
【図7】 直線偏光型反射偏光素子(a2)を用いた平行光化の各層の配置角度を示す一例である。
【図8】 偏光素子(A)の平行光化の基本原理の一例を示す概念図である。
【図9】 直線偏光型反射偏光素子(a2)を用いた平行光化の各層の配置角度を示す一例である。
【図10】 モアレの直接解を示す概念図である。
【図11】 本発明の集光システムの概略図の一例である。
【図12】 本発明の集光システムの概略図の一例である。
【図13】 本発明の透過型液晶表示装置の概略図の一例である。
【図14】 本発明の透過型液晶表示装置の概略図の一例である。
【図15】 参考例1、2において、二次集光素子(Y)単独による集光特性を測定したときの透過型液晶表示装置の概略図である。
【図16】 参考例1、2の透過型液晶表示装置の概略図である。
【図17】 参考例3において、二次集光素子(Y)単独による集光特性を測定したときの透過型液晶表示装置の概略図である。
【図18】 参考例3の透過型液晶表示装置の概略図である。
【図19】 実施例1において、二次集光素子(Y)単独による集光特性を測定したときの透過型液晶表示装置の概略図である。
【図20】 実施例1の透過型液晶表示装置の概略図である。
【図21】 参考例2の二次集光素子(Y)単独による集光特性を示すグラフである。
【図22】 参考例1の二次集光素子(Y)の波長特性を示すグラフである。
【図23】 参考例1の二次集光素子(Y)単独による集光特性を示すグラフである。
【図24】 参考例1の、一次集光部(X)を有するバックライトシステムと、二次集光素子(Y)を組み合わせた場合の集光特性を示すグラフである。
【図25】 参考例2の二次集光素子(Y)の波長特性を示すグラフである。
【図26】 参考例2の、一次集光部(X)を有するバックライトシステムと、二次集光素子(Y)を組み合わせた場合の集光特性を示すグラフである。
【図27】 参考例3の二次集光素子(Y)の集光特性を示す図である。
【図28】 参考例3の、一次集光部(X)を有するバックライトシステムと、二次集光素子(Y)を組み合わせた場合の集光特性を示す図である。
【図29】 実施例1の二次集光素子(Y)の集光特性を示すグラフである。
【図30】 実施例1の、一次集光部(X)を有するバックライトシステムと、二次集光素子(Y)を組み合わせた場合の集光特性を示すグラフである。
【符号の説明】
X 一次集光部
Y 二次集光素子
L 光源
BLS バックライトシステム
a1 円偏光型反射偏光子
a2 直線偏光型反射偏光子
b 位相差層
A 偏光素子
B λ/4板
LC 液晶セル
PL 偏光板
Claims (8)
- 光源および光源からの出射光を、正面方向に対して、±60°以内に集光することができる一次集光部(X)を有するバックライトシステム、
ならびに、パターン構造を有さない集光フィルムを二次集光素子(Y)として含有する集光システムであって、
二次集光素子(Y)として用いる集光フィルムが、偏光の選択反射の波長帯域が互いに重なっている少なくとも2層の反射偏光子(a)の間に、位相差層(b)が配置されている偏光素子(A)であり、
反射偏光子(a)が、直交する直線偏光の内の一方を透過し、他方を選択的に反射する直線偏光型反射偏光子(a2)であり、かつ、
位相差層(b)が、正面位相差(法線方向)が略ゼロで、法線方向に対し30°以上傾けて入射した入射光に対してλ/4以上の位相差層(b1)を有し、
位相差層(b1)の両側には、直線偏光型反射偏光子(a2)との間に、正面位相差が略λ/4である層(b2)を有し、
入射側の層(b2)は、入射側の直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸に対して、45°(−45°)±5°の角度で、
出射側の層(b2)は、出射側の直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸に対して、−45°(+45°)±5°の角度で、
入射側の層(b2)と出射側の層(b2)は、相互の遅相軸の成す角度が任意の角度で、
配置していることを特徴とする集光システム。 - 光源および光源からの出射光を、正面方向に対して、±60°以内に集光することができる一次集光部(X)を有するバックライトシステム、
ならびに、パターン構造を有さない集光フィルムを二次集光素子(Y)として含有する集光システムであって、
二次集光素子(Y)として用いる集光フィルムが、偏光の選択反射の波長帯域が互いに重なっている少なくとも2層の反射偏光子(a)の間に、位相差層(b)が配置されている偏光素子(A)であり、
反射偏光子(a)が、直交する直線偏光の内の一方を透過し、他方を選択的に反射する直線偏光型反射偏光子(a2)であり、かつ、
位相差層(b)は、正面位相差が略λ/4であり、Nz係数が2以上である2軸性位相差層(b3)を2層有し、
入射側の層(b3)は、遅層軸方向が、入射側の直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸に対して、45°(−45°)±5°の角度で、
出射側の層(b3)は、遅層軸方向が、出射側の直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸に対して、−45°(+45°)±5°の角度で、
入射側の層(b3)と出射側の層(b3)は、相互の遅相軸の成す角度が任意の角度で、
配置していることを特徴とする集光システム。 - 光源および光源からの出射光を、正面方向に対して、±60°以内に集光することができる一次集光部(X)を有するバックライトシステム、
ならびに、パターン構造を有さない集光フィルムを二次集光素子(Y)として含有する集光システムであって、
二次集光素子(Y)として用いる集光フィルムが、偏光の選択反射の波長帯域が互いに重なっている少なくとも2層の反射偏光子(a)の間に、位相差層(b)が配置されている偏光素子(A)であり、
反射偏光子(a)が、直交する直線偏光の内の一方を透過し、他方を選択的に反射する直線偏光型反射偏光子(a2)であり、かつ、
位相差層(b)は、正面位相差が略λ/2であり、Nz係数が1.5以上である2軸性位相差層(b4)を1層有し、
入射側の層の遅層軸方向が、入射側の直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸に対して、45°(−45°)±5°の角度で、
出射側の層の遅層軸方向が、出射側の直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸に対して、−45°(+45°)±5°の角度で、
前記2つの直線偏光型反射偏光子(a2)の偏光軸は略直交で、
配置していることを特徴とする集光システム。 - 一次集光部(X)を有するバックライトシステムが、光源および光源上に配置されたマイクロプリズムシートアレイであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の集光システム。
- 一次集光部(X)を有するバックライトシステムが、光源と組み合わされたマイクロプリズム加工導光体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の集光システム。
- 一次集光部(X)を有するバックライトシステムが、光源と組み合わされたマイクロドット加工導光体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の集光システム。
- 二次集光素子(Y)として用いる集光フィルムは、パターン構造を有さないために、当該集光フィルムを液晶セルに適用して、表面側(視認側)から光学観察した場合に、他の光学部材の規則性パターンとモアレや干渉縞を発生しないことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の集光システム。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の集光システムと、
平行光化された光線が透過する液晶セルと、
液晶セルの両側に配置された偏光板と、
を少なくとも含有していることを特徴とする透過型液晶表示装置。
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