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JP4099649B2 - グリコール酸類の精製方法 - Google Patents

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JP4099649B2
JP4099649B2 JP2002204789A JP2002204789A JP4099649B2 JP 4099649 B2 JP4099649 B2 JP 4099649B2 JP 2002204789 A JP2002204789 A JP 2002204789A JP 2002204789 A JP2002204789 A JP 2002204789A JP 4099649 B2 JP4099649 B2 JP 4099649B2
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グリコール酸エステルまたはグリコール酸の精製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
グリコール酸エステルを製造する方法の一つとして、シュウ酸ジエステルを水素添加する方法が知られている(例えば、特開昭55-40685号公報)。この方法によると、グリコール酸エステルは、未反応のシュウ酸ジエステルとの混合物として得られるので、グリコール酸エステルとシュウ酸ジエステルとの分離が不可欠である。例えば、グリコール酸エステルをポリグリコール酸の原料として使用する場合にシュウ酸ジエステルが含まれていると、高分子量のポリグリコール酸が生成しづらいという問題点が生じる。また、グリコール酸エステルからグリコリドを製造する場合には、シュウ酸ジエステルが、反応蒸留ボトムの高粘度化を引き起こす一因となる。しかしながら、グリコール酸エステルとシュウ酸ジエステルとは沸点が近いので、蒸留によってこれらを分離するのは困難とされている。
【0003】
特開平8-259503号公報には、「シュウ酸ジエステルを水素添加して得られるグリコール酸エステルとシュウ酸ジエステルの混合物に、アンモニアを添加して生成するオキサミドエステル及びオキサミドを分離することを特徴とするグリコール酸エステルの精製法」が開示されている。上記公報には、アンモニアの添加方法として、液体アンモニアまたはアンモニア溶液(アルコールなどの溶媒にアンモニアを溶解させた溶液など)の滴下、アンモニアガスまたは希釈アンモニアガスの吹き込みが記載されている。液体アンモニアは腐食性を有するので、その添加には耐腐食性を有する特殊な装置が必要であり、また操作も煩雑である。アンモニアガスは、有毒ガスであるので、安全性を重視した特殊な装置が必要であり、やはり加圧下での操作などの煩雑な操作が必要となる。
【0004】
このように、簡便なグリコール酸エステルまたはグリコール酸の精製方法の開発が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の問題点を鑑み成されたものであって、(i)シュウ酸エステルおよび/またはシュウ酸と(ii)グリコール酸エステルまたはグリコール酸とを含む混合物から、簡便にグリコール酸エステルまたはグリコール酸を精製する方法を提供することを主な目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究の結果、金属塩および/またはアンモニウム塩を用いることによって、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、以下の精製方法に係るものである。
1.(i)シュウ酸エステルおよび/またはシュウ酸と(ii)グリコール酸エステルおよび/またはグリコール酸とを含む混合物に、金属塩および/またはアンモニウム塩を添加し、生成するシュウ酸金属塩および/またはシュウ酸アンモニウム塩を分離するグリコール酸エステルまたはグリコール酸の精製方法。
2.(i)シュウ酸エステルおよび/またはシュウ酸と(ii)グリコール酸エステルまたはグリコール酸とを含む混合物が、エチレングリコールと1級アルコールとを原料とし、金属を担体に担持してなる触媒の存在下、酸素酸化によって得られた混合物である請求項1に記載の精製方法。
3.(i)シュウ酸エステルおよび/またはシュウ酸と(ii)グリコール酸エステルまたはグリコール酸とを含む混合物が、更に水を含む上記1に記載の精製方法。
4. 金属塩および/またはアンモニウム塩が、水溶液または低級アルコール溶液として添加される上記1〜3のいずれかに記載の精製方法。
5.金属塩に含まれる金属イオンが、アルカリ土類金属イオン、2価の遷移金属イオンおよびランタノイドイオンからなる群から選択される少なくとも1種である上記1〜4のいずれかに記載の精製方法。
6.金属塩が、水酸化物、カルボン酸塩、炭酸塩、アルコキシド、ハロゲン化物および1,3-ジケトン塩からなる群から選択される少なくとも1種である上記1〜5のいずれかに記載の精製方法。
7.精製するシュウ酸金属塩および/またはシュウ酸アンモニウム塩を濾別、遠心分離または蒸留により分離する上記1〜6のいずれかに記載の精製方法。
8.金属塩および/またはアンモニウム塩の添加量が、シュウ酸エステルとシュウ酸の総量に対して0.1〜50当量程度である上記1〜7のいずれかに記載の精製方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、(i)シュウ酸エステルおよび/またはシュウ酸と(ii)グリコール酸エステルまたはグリコール酸とを含む混合物に、シュウ酸エステルとシュウ酸の総量に対して1〜10当量の金属塩および/またはアンモニウム塩を添加し、生成するシュウ酸金属塩および/またはシュウ酸アンモニウム塩を分離するグリコール酸エステルまたはグリコール酸の精製方法に係る。以下、(i)シュウ酸エステルおよび/またはシュウ酸と(ii)グリコール酸エステルまたはグリコール酸とを含む混合物を「混合物A」ということがある。
【0009】
本発明において用いる(i)シュウ酸エステルおよび/またはシュウ酸と(ii)グリコール酸エステルまたはグリコール酸とを含む混合物は、これらを含んでいる限り特に限定されない。例えば、エチレングリコールと1級アルコールとを原料とし、金属を担体に担持してなる触媒(以下「担持型金属触媒」ということがある)の存在下、酸素酸化によって得られた混合物(粗生成物)を好適に用いることができる。例えば、触媒を蒸留、濾別、遠心分離などの公知の固液分離方法により除去した後の反応液を混合物Aとして好適に用いることができる。エチレングリコールと1級アルコールとを原料とし、担持型金属触媒の存在下、酸素酸化によりグリコール酸エステルを製造する方法の詳細については、後述する。
【0010】
或いは、シュウ酸ジエステルから水素添加によりグリコール酸エステルを製造する方法などにより得られた公知の混合物(粗生成物)であってもよい。触媒などを用いた場合には、蒸留、濾別、遠心分離などの公知の固液分離方法により除去した後の反応液を混合物Aとして好適に用いることができる。
【0011】
本発明において用いる混合物Aには、上記の成分の他に、エチレングリコール、1級アルコール、水などが含まれていてもよい。特に水が含まれる場合には、シュウ酸エステルからシュウ酸金属塩またはアンモニウム塩への反応が容易に進行するので好ましい。そのため、水が含まれない場合には、水を添加してもよい。
【0012】
混合物Aに含まれるグリコール酸エステルは、特に制限されないが、例えば、炭素数1〜10程度(好ましくは炭素数1〜4程度)の1級アルコールとグリコール酸とのエステルを例示することができる。より具体的には、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸プロピル、グリコール酸ブチルなどを例示することができる。
【0013】
混合物Aに含まれるシュウ酸エステルは、シュウ酸モノエステルとシュウ酸ジエステルのいずれであってもよい。シュウ酸エステルは、特に制限されず、例えば、炭素数1〜10程度(好ましくは炭素数1〜4程度)の1級アルコールとシュウ酸とのエステルを例示することができる。より具体的には、シュウ酸モノメチル、シュウ酸ジメチル、シュウ酸モノエチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸エチレン、シュウ酸モノプロピル、シュウ酸ジプロピル、シュウ酸モノブチル、シュウ酸ジブチル、シュウ酸エチレンなどを例示することができる。
【0014】
本発明において用いる金属塩およびアンモニウム塩は、水、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノールなど)、これらの混合溶媒に対して可溶性の塩である限り特に制限されない。通常、アンモニウム塩よりも金属の方が、好ましい。金属塩は、錯塩であってもよい。
【0015】
金属塩としては、例えば、水酸化物、カルボン酸塩、炭酸塩、アルコキシド、ハロゲン化物、1,3-ジケトン塩などを例示することができる。カルボン酸塩としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸、2-ヘキシルドデカン酸などの炭素数1〜16程度の脂肪酸の塩;グリコール酸、乳酸などのヒドロキシカルボン酸の塩などを例示することができる。アルコキシドとしては、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、n-ブトキシドなどの炭素数1〜4程度の脂肪族アルコキシド;フェノキシドなどの芳香族アルコキシドなどを例示することができる。ハロゲン化物としては、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物などを例示することができる。1,3-ジケトン塩としては、アセチルアセトナト塩などを例示することができる。金属塩としては、グリコール酸塩、酢酸塩、2-エチルヘキサン酸塩などのカルボン酸塩;水酸化物;アセチルアセトナト塩などが好ましく、グリコール酸塩などが特に好ましい。
【0016】
金属塩に含まれる金属イオンとしては、シュウ酸と塩を形成した時に、水、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール)、これらの混合溶媒に対する溶解度が低く、析出しやすいイオンが好ましい。金属塩に含まれる金属イオンとしては、例えば、Li+, Na+, K+, Rb+, Cs+などのアルカリ金属イオン;Be2+, Mg2+, Ca2+, Sr2+, Br2+, Ra2+などのアルカリ土類金属イオン;Ti4+, V5+, Cr3+, Mn2+, Fe2+, Fe3+, Co2+, Ni2+, Cu+, Cu2+, Zn2+などの遷移金属イオン;La3+, Ce3+, Ce4+, Pr3+, Pr4+, Nd2+, Nd3+, Nd4+, Pm3+, Sm2+, Sm3+, Eu2+, Eu3+, Gd2+, Gd3+, Tb3+, Tb4+, Dy2+, Dy3+, Dy4+, Ho3+, Er3+, Tm2+, Tm3+, Yb2+, Yb3+, Lu3+などのランタノイドイオンなどを例示することができる。金属イオンとしては、アルカリ土類金属イオンおよびランタノイドイオンが好ましい。
【0017】
金属塩としては、グリコール酸マグネシウム、酢酸亜鉛、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、ニッケル2-エチルヘキサン酸、トリス(アセチルアセトナト)ランタンなどを好適に使用できる。
【0018】
アンモニウム塩としては、例えば、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウムなどを例示でき、炭酸アンモニウムなどが好ましい。
【0019】
金属塩とアンモニウム塩の添加量は、特に制限されないが、添加量の下限は、シュウ酸エステルとシュウ酸の総量に対して、通常0.1当量以上程度であり、好ましくは0.5当量以上程度であり、より好ましくは1当量以上程度である。金属塩とアンモニウム塩の添加量の上限は、シュウ酸エステルとシュウ酸の総量に対して、通常50当量以下程度、好ましくは10当量以下程度、より好ましくは5当量以下程度である。
【0020】
金属塩とアンモニウム塩は、水;メタノール、エタノールなどの低級アルコール;アセトンなどのケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族系有機溶媒;これらの混合溶媒などに溶解させた溶液として、混合物Aに添加してもよい。混合物Aが、既に、水、低級アルコールなどを含んでいる場合には、金属塩とアンモニウム塩は、固体のまま添加することも可能であるが、溶液として添加する方が好ましい。
【0021】
混合物A中に水が存在する場合には、効果的にシュウ酸エステルからシュウ酸金属塩へ変換する。例えば、アルカリ土類金属、ランタノイドの金属塩、特にアルカリ土類金属塩を用いた場合には、生成するシュウ酸金属塩の溶解度が極めて低いので、シュウ酸エステルおよび/またはシュウ酸をシュウ酸金属塩としてほぼ完全に除去することができる。
【0022】
混合物Aに含まれる水の含有量は、特に制限されない。混合物A中の水の含有量の下限は、シュウ酸エステルとシュウ酸の総量に対して1当量以上程度、好ましくは5当量以上程度である。水の含有量の上限は、シュウ酸エステルとシュウ酸の総量に対して、通常500当量以下程度、好ましくは200当量以下程度である。上記範囲とすることにより、シュウ酸金属塩および/またはシュウ酸アンモニウム塩がより容易に生成し、且つ、後工程における水の除去が比較的経済性よく実施できる。
【0023】
金属塩および/またはアンモニウム塩を添加および混合する時には、シュウ酸の金属塩/アンモニウム塩が生成しやすいように通常加熱する。混合温度は、シュウ酸塩が生成する限り特に制限されないが、通常20〜120℃程度であり、40〜90℃程度が好ましい。
【0024】
混合時間は、シュウ酸塩が十分に生成し、本発明の効果が奏される限り特に制限されず、混合物Aの量、混合物Aの組成などに応じて適宜設定することができる。混合時間は、通常0.1〜5時間程度、好ましくは0.5〜3時間程度である。
【0025】
混合は、空気中などの酸化雰囲気下において行ってもよいが、窒素、希ガス(ヘリウム、アルゴンなど)などの不活性雰囲気下で行うのが好ましい。
【0026】
混合物Aに金属塩またはアンモニウム塩を添加すると、シュウ酸の方がグリコール酸より強酸であるので、シュウ酸エステルがシュウ酸を経て選択的に金属塩また酸アンモニウム塩を形成する。しかも、金属塩およびアンモニウム塩の添加量を混合物Aに含まれるシュウ酸エステルおよびシュウ酸に対して1当量以上程度とすると、ほぼ定量的にシュウ酸エステルおよびシュウ酸をその金属塩またはアンモニウム塩に変換することができる。特に、アルカリ土類、ランタノイドなどの金属塩を添加した場合には、生成するシュウ酸塩の溶解度が低く、沈殿として析出するので、濾別、遠心分離などの公知の固液分離手段により容易に分離することができる。
【0027】
また、生成したシュウ酸金属塩およびシュウ酸アンモニウム塩が、水、アルコールなどの有機溶媒およびそれらの混合溶媒に対してある程度の溶解性を示す場合であっても、シュウ酸金属塩およびシュウ酸アンモニウム塩は不揮発性であるので、蒸留によって容易に分離することができる。
【0028】
上述したように、本発明によると、シュウ酸エステルおよび/またはシュウ酸を選択的且つほぼ完全にシュウ酸金属塩および/またはアンモニウム塩に変換することができる。更に、生成したシュウ酸金属塩および/またはアンモニウム塩は、その低溶解性を利用した沈殿生成と濾別分離、その不揮発性を利用した蒸留分離などの手段によって、簡便に除去することができる。また、グリコール酸エステルおよびグリコール酸を無駄に消費することがないので、高収率で高純度のグリコール酸エステルおよびグリコール酸を精製することができる。
【0029】
上記の方法などによりシュウ酸エステルを除去した後、更にグリコール酸エステルを蒸留してもよい。グリコール酸エステルを蒸留することにより、より高純度の目的物を高収率で分離精製することができる。グリコール酸エステルの蒸留に先立って、1級アルコールおよび水を留去しておくことが、通常好ましい。前記蒸留には、公知の方法を用いるこ-とができ、例えば、バッチ式蒸留装置として、仕込み釜、精留部、コンデンサー部などを備えた還流を行える通常の装置を用いることができる。蒸留により得られるグリコール酸エステル中のシュウ酸類(シュウ酸、シュウ酸エステル、シュウ酸金属塩、シュウ酸アンモニウム、オキサミドなど)の含有量は、全体で10重量ppm以下程度にまで低減することができる。
【0030】
上記の方法などによりシュウ酸エステルおよびシュウ酸を除去し、水およびアルコールを留去し、更に蒸留することにより得られたグリコール酸エステルまたはグリコール酸であっても、未反応原料である1級アルコールとエチレングリコール、更に生成水が含まれる場合がある。前記目的物に含まれる1級アルコールは、通常1重量%以下程度であり、精製条件によっては0.2重量%以下程度とすることができる。また、不純物としてエチレングリコールが含まれる場合、エチレングリコールは、蒸留ボトムとして除去される。蒸留後のエチレングリコールの含有量は、通常1重量%以下程度であり、精製条件によっては1000重量ppm以下程度とすることができる。水の含有量は、通常1重量%以下程度であり、精製条件によっては0.2重量%以下程度とすることができる。なお、シュウ酸エステルの除去を行わずに蒸留精製したグリコール酸エステルまたはグリコール酸中のシュウ酸エステルの含有量は、通常0.1重量%以上程度、より正確には0.1〜2重量%程度である。
【0031】
本発明の精製方法によって得られるグリコール酸エステルまたはグリコール酸は、従来技術で得られる化合物と同様の用途に使用することができる。特に、ポリグリコール酸の原料となる重合用モノマーとして好適に用いることができる。
【0032】
以下、エチレングリコールと1級アルコールとを原料とし、担持型金属触媒の存在下、酸素酸化によって、グリコール酸エステルを製造する方法について、詳述する。
【0033】
1.担持型金属触媒
(1)触媒活性成分
上記方法において用いる触媒は、活性成分である金属が担体に担持された触媒、即ち担持型金属触媒である。
【0034】
活性成分である金属は、特に制限されないが、好ましくは貴金属であり、例えば、金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、白金などの貴金属を例示することができ、金、パラジウム、ルテニウムなどが好ましい。
【0035】
上記方法において用いる触媒は、上記の貴金属を必須成分として含み、更に、活性成分として、第4周期から第6周期の2B族、3B族、4B族、5B族および6B族並びに第4周期の8族からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有することができる。以下、これらの元素を第二元素ということがある。第二元素の具体例として、例えばZn, Cd, Hgなどの2B族;Ga, In, Tlなどの3B族;Ge, Sn, Pbなどの4B族;As, Sb, Biなどの5B族;Se, Te, Poなどの6B族;Fe, Co, Niなどの8族などを例示することができる。上記方法において用いる触媒としては、第二元素として少なくともPbを含む触媒が好ましい。例えば、Au, PdおよびRuからなる群から選択される少なくとも1種の活性成分およびPbを含む金属微粒子が担体上に担持された触媒を好適に用いることができる。
【0036】
活性成分である金属は、上記貴金属を単独で含んでいても良く、2種以上を含んでいてもよい。2種以上の貴金属を含む場合には、グリコール酸エステルが得られる限り、一部又は全部が合金、金属間化合物等を形成していても良い。
【0037】
また、活性成分である金属が、貴金属と第二元素とを含む場合には、グリコール酸エステルが得られる限り、一部又は全部が合金、金属間化合物等を形成していても良い。貴金属および第二元素は、通常微粒子として担体に担持されている。上記方法において用いる触媒には、グリコール酸エステルが得られる範囲内で、貴金属および第二元素以外の他の元素または不純物が含まれていても良い。
【0038】
活性成分である金属粒子の粒子径は、所定の触媒活性が得られる限り限定的ではないが、平均粒子径は、通常10nm以下程度、好ましくは6nm以下程度、より好ましくは5nm以下程度、特に好ましくは1〜5nm程度である。この範囲内に設定すれば、より確実に優れた触媒活性を得ることができる。平均粒子径の下限値は特に制限されないが、物理的安定性の見地より約1nm程度とすれば良い。
【0039】
なお、上記触媒における金属粒子の平均粒子径は、担体上の金属粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)による観察により任意に選んだ120個のうち、(1)大きい順に上から10個及び(2)小さい順に下から10個の合計20個を除いた100個の粒子径の算術平均値を示す。また、上記触媒における金属粒子の粒子径分布の極大値が1〜6nm程度、特に1〜5nm程度の範囲にあることが好ましい。粒子径の分布は狭い方が好ましく、上記120個の粒子径の標準偏差(Standard Deviation)が2以下程度、特に1.5以下程度であることが好ましい。
【0040】
触媒における金属活性成分の担持量は、最終製品の用途、担体の種類等に応じて適宜決定すれば良いが、通常は担体100重量部に対して0.01〜20重量部程度、特に0.1〜10重量部とすることが好ましい。
【0041】
(2)担体
担体としては、従来から触媒担体として用いられているものを使用することができ、特に限定されない。例えば、市販品を使用することができる。また、公知の製法によって得られるものも使用できる。例えば、金属酸化物(シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア等)、複合金属酸化物(シリカ・アルミナ、チタニア・シリカ、シリカ・マグネシア等)、ゼオライト(ZSM−5等)、メソポーラスシリケート(MCM−41等)などの無機酸化物;天然鉱物(粘土、珪藻土、軽石等);炭素材料(活性炭、黒鉛等)の各種担体を挙げることができ、これらの中では無機酸化物が好ましい。
【0042】
上記触媒では、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Sn、Pb、La及びCeの少なくとも1種の元素を含む酸化物からなる無機酸化物担体を好ましく用いることができる。上記酸化物は、単体元素の酸化物が2以上混合された混合酸化物であっても良いし、あるいは複酸化物(又は複合酸化物)であっても良い。無機酸化物担体としては、Si、Al、TiおよびZrからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物が好ましい。
【0043】
担体の製法も限定されず、公知の製法を用いることができる。例えば、含浸法、共沈法、イオン交換法、気相蒸着法、混練法、水熱合成法等が挙げられる。
【0044】
例えば、上記の無機酸化物担体は、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Sn、Pb、La及びCeの少なくとも1種を含む水溶性化合物の水溶液をシリカに含浸させた後、得られた含浸体を焼成する方法などによって得られる。かかる無機酸化物担体は、触媒活性成分である微粒子をより確実に担持できるとともに、微粒子との相乗的な作用によっていっそう高い触媒活性を得ることができる。
【0045】
上記の担体の製法で用いられる化合物は限定されない。例えば、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物等の無機化合物、カルボン酸塩、アルコキサイド、アセチルアセトナート等の有機化合物が挙げられる。
【0046】
上記の水溶性化合物も、水溶性であれば限定的でない。例えば、硫酸チタニル、硝酸ジルコニル、硝酸亜鉛、硝酸ランタン、硝酸鉄、硝酸ニッケル、硝酸アルミニウム等の無機酸塩;チタンn−ブトキシド、チタンアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナート、酢酸鉛、酢酸マグネシウム等の有機酸塩を挙げることができる。これらの塩は無水物又は水和物のいずれであっても良い。また、上記水溶液の濃度は、用いる水溶性化合物の種類等に応じて適宜設定できる。
【0047】
上記水溶液をシリカに含浸させる量は限定的ではないが、通常はシリカ100重量部に対して1〜20重量部程度となるようにすれば良い。
【0048】
上記触媒では、無機酸化物担体は多孔質であることが好ましく、特にその比表面積(BET法)が50m2/g以上程度のものが好ましく、100m2/g以上程度であることがより好ましく、100〜800m2/g程度のものが特に好ましい。担体の形状・大きさは限定的でなく、最終製品の用途等に応じて適宜決定すれば良い。
【0049】
2.上記方法において用いる触媒の製造方法
上記方法において用いる触媒の製造方法は、上記のような担持体が得られる限りその制限はない。例えば、所望の金属及びその化合物の少なくとも1種を含む担体を熱処理することによって得ることができる。金属の化合物は、水酸化物、塩化物、カルボン酸塩、硝酸塩、アルコキサイド、アセチルアトナート塩等のいずれであっても良い。
【0050】
また、担体に2種以上の金属を担持させる場合、担持させる順序も限定的でなく、いずれが先であっても良いし、また同時であっても良い。担体に貴金属と第二元素とを担持させる場合も、担持させる順序は限定的ではなく、いずれが先であっても良いし、また同時であっても良い。すなわち、(A)貴金属を担体に担持した後、第二元素を担持する方法、(B)第二元素を担体に担持した後、貴金属を担持する方法、(C)貴金属と第二元素とを同時に担体に担持する方法のいずれであってもよい。以下、各方法について説明する。
【0051】
方法(A)
上記(A)の方法は、貴金属を担体に担持した後、第二元素を担持する方法である。まず、貴金属が担持されてなる貴金属担持体を製造する。貴金属担持体の製法は限定的でなく、例えば、共沈法、イオン交換法、析出沈殿法、含浸法、気相蒸着法等の従来の方法を適用でき、これらの中では、イオン交換法、析出沈殿法、含浸法等が好ましい。
【0052】
イオン交換法を用いる場合には、例えば貴金属のカチオン性錯塩を含む水溶液に担体を共存させ、貴金属のカチオン性錯体を担体表面上にカチオンとして結合担持させた後、焼成および/または還元処理などを経て貴金属担持体を得ることができる。貴金属のカチオン性錯体をイオン交換により担体表面上に担持させる場合には、上記水溶液の貴金属錯塩濃度、温度、pHなどの諸条件を適宜制御すればよい。また、焼成および/または還元処理に先立って、貴金属のカチオン性錯体を担体表面上にカチオンとして結合担持させた担体を、水洗、乾燥などを施してもよい。
【0053】
析出沈殿法を用いる場合には、例えば貴金属化合物を含む水溶液に担体を共存させ、貴金属含有沈殿物を担体表面上に析出沈殿させた後、貴金属含有沈殿物が析出した担体を焼成することによって貴金属担持体を得ることができる。貴金属含有沈殿物を担体表面上に析出沈殿させる場合には、上記水溶液の貴金属濃度、温度、pH等の諸条件を適宜制御すれば良い。また、貴金属含有沈殿物が析出した担体は、必要に応じて、焼成に先立って水洗、乾燥等を施しても良い。
【0054】
含浸法を用いる場合には、例えば貴金属化合物を含む溶液に担体を共存させ、貴金属化合物を担体表面上に吸着させた後、焼成および/または還元処理などを経て貴金属担持体を得ることができる。貴金属化合物を担体表面上に吸着させる場合には、上記溶液の貴金属化合物濃度、温度、pHなどの諸条件を適宜制御すればよい。また、貴金属化合物を担体表面上に吸着させた担体は、焼成および/または還元処理に先だって、洗浄、乾燥などを施してもよい。
【0055】
上記貴金属化合物は、水または有機溶媒に溶解する化合物であれば特に限定されない。例えば、金化合物としては、テトラクロロ金(III)酸「H〔AuCl4〕」、テトラクロロ金(III)酸ナトリウム「Na〔AuCl4〕」、ジシアノ金(I)酸カリウム「K〔Au(CN)2〕」、ジエチルアミン金(III)三塩化物「(C252NH〔AuCl3〕」等の錯体;シアン化金(I)等が挙げられる。これらの化合物は少なくとも1種を用いることができる。パラジウム化合物としては、酸化パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、テトラアンミンパラジウム塩化物、テトラアンミンパラジウム硝酸塩、テトラアンミンパラジウム水酸塩、パラジウムアセチルアセトナート、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウムなどを例示することができる。ルテニウム化合物としては、例えば、酸化ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテニウム、硝酸ルテニウム、テトラアンミンルテニウム塩化物、テトラアンミンルテニウム硝酸塩、テトラアンミンルテニウム水酸塩、ルテニウムアセチルアセトナート、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを例示できる。
【0056】
上記水溶液の貴金属濃度は、用いる化合物の種類等によって異なるが、通常は0.1〜100mmol/L程度とすれば良い。また、上記水溶液のpHは、通常5〜10程度、好ましくは6〜9程度に設定すれば良い。上記pHは、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア等のアルカリにより調節することができる。また、必要により、塩酸等の酸を使用することもできる。これらのアルカリ又は酸は、必要により水溶液の形態で使用しても良い。
【0057】
貴金属担持体を製造する際の焼成は、例えば以下のようにして行うことができる。必要に応じて、焼成に先立って予め所定温度に加熱して乾燥しても良い。乾燥温度は、通常150℃未満程度とすれば良い。焼成温度は、通常150〜800℃程度、好ましくは200〜700℃程度、より好ましくは250〜600℃程度とすれば良い。焼成雰囲気は空気(大気)中又は酸化性雰囲気中でも良いし、あるいは窒素、アルゴンガス、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気中、水素ガス、一酸化炭素等の還元性雰囲気中のいずれであっても良い。また、焼成時間は、焼成温度、固形分の大きさ等に応じて適宜決定すれば良い。かかる焼成によって、貴金属が担体表面に強固に固定された所定の貴金属担持体を得ることができる。上記の方法などにより得られた貴金属担持体は、以下に述べるように更に第二元素を担持してから触媒として用いてもよいが、貴金属担持体のままでも触媒として用いることができる。
【0058】
次に、第二元素及びその化合物の少なくとも1種を貴金属担持体に担持した後、熱処理することにより貴金属と第二元素とを複合化させる。
【0059】
上記の担持方法は限定的でなく、従来方法に従って行うことができる。例えば、含浸法、イオン交換法、気相蒸着法等が挙げられる。このうち、含浸法が好適に使用できる。例えば、第二元素を含む化合物が溶解した溶液と上記貴金属担持体との混合物を調製した後、当該混合物から回収された固形分を熱処理することにより好適に第二元素を担持することができる。
【0060】
第二元素を含む化合物としては、特に限定されないが、例えば、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、塩化物等の無機化合物、ギ酸塩、酢酸塩、β−ジケトン化合物、アルコキサイド等の有機化合物を例示することができる。より具体的には、酢酸鉛、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、硝酸ビスマス、ゲルマニウム(III)ブトキシド、ニッケルビスマスアセチルアセトナート、酢酸鉄等を挙げることができる。
【0061】
第二元素を含む化合物が溶解した溶液は、第二元素を含む化合物及びそれが溶解する溶媒の組合せを用いることにより調製できる。溶媒としては特に限定はないが、水、有機溶媒等を用いることができる。有機溶媒としては、例えばアルコール、ケトン、芳香族炭化水素、カルボン酸エステル、ニトリル等を挙げることができる。特に、水及びアルコール(特にメタノール及びエタノール)の少なくとも1種を用いることが好ましい。従って、上記組合せは、水又はアルコールに溶解する上記化合物を用いることが好ましい。例えば、第二元素としてPbを用いる場合は、酢酸鉛(水和物でも良い。)をメタノールに溶解させた溶液を好適に用いることができる。
【0062】
第二元素を含む化合物が溶解した溶液の第二元素濃度は、上記化合物の種類、溶媒の種類等に応じて適宜決定できるが、通常は0.01〜10mmol/L程度にすれば良い。
【0063】
また、上記貴金属担持体と、第二元素を含む化合物が溶解した溶液との混合割合は、上記溶液の濃度、貴金属又は第二元素の所望の担持量等に応じて適宜決定することができる。
【0064】
上記貴金属担持体と、第二元素を含む化合物が溶解した溶液との混合物を調製した後、当該混合物から固形分を回収する。固形分の回収方法は限定的ではないが、例えば第二元素を含む化合物を貴金属担持体に担持されるようにすれば良い。例えば、エバポレーター等により溶媒を留去することが好ましい。
【0065】
次いで、固形分の熱処理を実施する。熱処理温度は、得られる各金属粒子が貴金属及び第二元素から構成されるような温度とすれば良い。すなわち、最終的に得られる貴金属属粒子担持体を触媒として用いた場合に貴金属と第二元素との複合化による触媒活性が発現されるように熱処理すれば良い。
【0066】
かかる熱処理温度は、第二元素の種類等によって異なるが一般的には50〜800℃程度、好ましくは100〜600℃程度とすれば良い。
【0067】
熱処理雰囲気は特に限定されず、還元性雰囲気、酸化性雰囲気、不活性雰囲気等のいずれでも良い。還元性雰囲気とするためには、例えば水素、一酸化炭素、アルコール等の還元性ガスのほか、これらの還元性ガスを窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスで希釈した混合ガスを使用すれば良い。また、酸化性雰囲気とするためには、酸素、空気等を含むガスを使用すれば良い。不活性雰囲気とするためには、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを使用すればく、特に還元性雰囲気とすることが望ましい。また、酸化性雰囲気で熱処理した後、還元性雰囲気で熱処理することもできる。
【0068】
また、熱処理時間は、熱処理の温度等によって適宜変更することができるが、通常10分〜24時間程度とすれば良い。
【0069】
第二元素の種類によっては、貴金属との複合化をさらに促進するために、上記熱処理に先立ってホルマリン、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、ギ酸等の還元剤を用いて固形分を還元処理しても良い。
【0070】
方法(B)
上記(B)の方法は、第二元素を担体に担持した後、貴金属を担持する方法である。第二元素に担持する方法は限定的でなく、例えば上記(A)と同様の方法を使用できる。すなわち、担体にまず上記(A)と同様の方法にて第二元素を担持すれば良い。第二元素の原料、担持条件等も、上記(A)で掲げたものと同様にすれば良い。
【0071】
ただし、場合によっては、その後の貴金属担持操作上好ましい付加的処理として、酸化性雰囲気下(空気又は酸素を含むガスの存在下)300〜900℃程度で焼成することにより第二元素を担体に強固に固定化することができる。
【0072】
こうして製造された第二元素担持体への貴金属の担持は、上記(A)と同様の方法にて実施できる。すなわち、イオン交換法、析出沈殿法、含浸法等により貴金属を担持した後、乾燥及び焼成を上記(A)と同様にして実施すれば良い。また、上記(A)と同様、貴金属と第二元素との複合化をより十分なものとするために、上記(A)と同様の還元性雰囲気下での熱処理を行うことが望ましい。また、必要に応じて、さらに還元剤を用いた還元処理を組み合わせることもできる。
【0073】
方法(C)
上記(C)の方法は、貴金属と第二元素とを同時に担体に担持する方法である。その方法は、両者を同時に担持できれば限定されない。例えば、共沈法、析出沈殿法、含浸法、気相蒸着法等の従来の方法が使用できる。いずれの場合も、担体に貴金属を担持する際に、系内に第二元素を含む化合物を共存させることによって両者を同時に担持することができる。さらに、両者を担持したものを上記の方法(A)又は(B)と同様に熱処理及び/又は還元処理を施すことにより、貴金属及び第二元素を含む貴金属属超微粒子が担体上に担持された触媒を得ることができる。
【0074】
上記触媒の製造方法としては、イオン交換法、析出沈殿法、含浸法などを好適に使用することができる。析出沈殿法では、貴金属を含む化合物(例えば水酸化物)として析出し、沈殿を形成しやすい条件(例えば、上記化合物が水酸化物である場合、温度30〜100℃程度、pH5〜10程度、貴金属濃度0.1〜100mmol/L程度)において、第二元素を含む化合物が析出し、沈殿を形成するように制御することが望ましい。この場合、第二元素を含む水溶性化合物を出発原料として用い、その水溶液から第二元素を含む水酸化物として沈殿を形成させることが望ましい。また、沈殿形成の際に、貴金属と第二元素の各水酸化物が同時に沈殿を形成し、貴金属及び第二元素とをともに含有する水酸化物を生成することが望ましい。これらの沈殿物は、さらに熱処理及び/又は還元処理を施すことによって上記触媒を得ることができる。
【0075】
含浸法では、貴金属化合物及び第二元素を含む化合物が有機溶媒中に溶解した溶液に担体を加え、必要により有機溶媒の留去等を行うことにより、貴金属化合物及び第二元素を含む化合物を同時に担体上に付着させ、次いで熱処理及び/又は還元処理を施すことによって上記触媒を得ることができる。典型例として、金の場合について例示すると、金のアセチルアセトナート化合物(例えば、ジメチル金アセチルアセトナート)と第二元素のアセチルアセトナート化合物(例えば、ニッケルアセチルアセトナート)とを含有するメタノール溶液を担体に含浸させ、メタノールを留去した後、乾燥及び還元処理することによって、金及び第二元素を含有する金合金超微粒子(例えば、Au−Ni合金超微粒子)が担体に担持された触媒を得ることができる。
【0076】
上記の析出沈殿法又は含浸法で使用される原料化合物、操作条件等は、前記の方法(A)で示したものを適用できる。
【0077】
3.α−ヒドロキシカルボン酸エステルの製造方法
α−ヒドロキシカルボン酸エステルの製造方法は、担持型金属触媒と酸素の存在下に、(i) 1,2-ジオールまたは(ii)1,2-ジオールと1級アルコールとを反応させることを特徴とする。すなわち、(i)酸素と1,2-ジオールとを反応させるか、または(ii)酸素と1,2-ジオール及び1級アルコールを反応させる。
【0078】
上記1,2-ジオールは、1位と2位に水酸基を有する限り特に限定されず、例えば、3価以上の多価アルコールであってもよい。上記1,2-ジオールの具体例として、例えば、エチレングリコール、1,2-プロプレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオールなどの炭素数2〜10の脂肪族1,2-ジオール;グリセリン、エリスリトール、キシリトール、ソルビトールなどの1位と2位に水酸基を有する炭素数3〜10の脂肪族多価アルコールなどのほか、これら1,2-ジオールの誘導体などが挙げられる。1,2-ジオールの誘導体としては、例えば、3-クロロ-1,2-プロパンジオールなどのハロゲンを含有する炭素数2〜10の脂肪族1,2-ジオール;2-フェニル-1,2-エタンジオールなどの芳香環を有する炭素数2〜10の脂肪族1,2-ジオールなどが挙げられる。1,2-ジオールとしては、エチレングリコールなどの炭素数2〜6程度の脂肪族ジオールを好適に使用できる。これら1,2-ジオールは、1種又は2種以上で用いることができる。
【0079】
上記1級アルコールは、1級水酸基を有する限り特に制限されず、例えば、2価以上の多価アルコールであってもよい。1級アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、1-ヘキサノール、1-オクタノールなどの炭素数1〜10の脂肪族1級アルコール;1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールなどの1級水酸基を有する炭素数2〜10の脂肪族多価アルコール;アリルアルコール、メタリルアルコール等の1級水酸基を有する炭素数3〜10の脂肪族不飽和アルコール;ベンジルアルコール等の芳香環を有するアルコール等が挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノールなどの炭素数1〜4の脂肪族1級アルコールを好適に使用でき、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノールなどの1価アルコールが特に好ましい。これら1級アルコールは、1種又は2種以上で用いることができる。
【0080】
上記製造方法では、目的とするα-ヒドロキシカルボン酸エステルの種類等によって上記1,2-ジオール及び1級アルコールを適宜選択すれば良い。例えば、グリコール酸エステルを合成する場合には、1,2-ジオールとしてエチレングリコール、1級アルコールとしてメタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノールなどの1級アルコールを用いれば良い。或いは、1,2-ジオールとしてエチレングリコールだけを用いた場合には、グリコール酸2−ヒドロキシエチルエステルを製造することができる。
【0081】
1,2-ジオールと1級アルコールとの反応割合は特に限定されないが、1,2-ジオールに対する1級アルコールのモル比は、通常1:2〜50程度であり、1:3〜20程度がより好ましい。上記範囲内とすることにより、より効率的にα−ヒドロキシカルボン酸エステルを合成することが可能になる。
【0082】
上記製造方法では、(i) 1,2-ジオールのみ、または(ii)1,2-ジオールと1級アルコールとの反応を担持型金属触媒と酸素(分子状酸素)の存在下に行う。
【0083】
上記反応は、液相反応、気相反応等のいずれであっても良い。酸素(酸素ガス)は、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、二酸化炭素ガス等の不活性ガスで希釈されていても良い。また、空気等の酸素含有ガスを用いることもできる。酸素含有ガスの反応系への供給方法は特に限定されず、公知の方法を採用できる。特に、液中へのバブリング等を好適に用いることができる。
【0084】
上記反応の形態としては、連続式、回分式、半回分式等のいずれであっても良く、特に限定されるものではない。触媒は、反応形態として回分式を採用する場合には、反応装置に原料とともに一括して仕込めば良い。また、反応形態として連続式を採用する場合には、反応装置に予め上記触媒を充填しておくか、あるいは反応装置に原料とともに触媒を連続的に仕込めば良い。触媒は、固定床、流動床、懸濁床等のいずれの形態であっても良い。
【0085】
上記触媒の使用量は、原料である1,2-ジオールまたは1級アルコールの種類、触媒の種類、反応条件等に応じて適宜決定すれば良い。反応時間は特に限定されるものではなく、設定した条件により異なるが、通常は反応時間又は滞留時間(反応器内滞留液量/液供給量)として0.5〜10時間程度、好ましくは1〜10時間程度とすれば良い。
【0086】
反応温度、反応圧力等の諸条件は、原料である1,2-ジオールまたは1級アルコールの種類、触媒の種類等に応じて適宜決定すれば良い。反応温度は、通常0〜180℃程度、好ましくは20〜150℃程度、より好ましくは50〜120℃程度とすれば良い。この範囲内の温度に設定することにより、いっそう効率的に反応を進行させることができる。反応圧力は、減圧、常圧又は加圧のいずれであっても良いが、通常は0.05〜5MPa(ゲージ圧)程度、特に0.1〜2MPa程度の範囲内が好適である。反応器流出ガスの酸素濃度が爆発範囲(8%)を超えないように全圧を設定すれば良い。また、反応系のpHは、副生成物抑制等の見地よりpH2〜9程度とすることが望ましい。pH調節のために、例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物(カルボン酸塩)を反応系への添加剤として使用することもできる。
【0087】
上記反応は、溶媒の存在下で実施することができる。溶媒を用いることにより、目的とするカルボン酸エステルを効率良く製造できる場合がある。使用できる溶媒としては、原料である1,2-ジオールまたは1級アルコールを溶解し、反応条件下で自ら反応しにくいものであれば限定的でなく、原料アルコールの種類、反応条件等に応じて適宜選択すれば良い。例えば、水のほか、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、二塩化エチレン等のハロゲン含有化合物等を挙げることができる。溶媒の使用量は、溶媒の種類、アルコールの種類、触媒の種類等に応じて適宜設定すれば良い。
【0088】
上記の反応後は、反応系から触媒を分離した後、生成したカルボン酸エステルを公知の分離精製手段等を用いて回収すれば良い。触媒の分離方法は公知の方法に従えば良い。例えば、反応系が触媒(固形分)と反応生成物(液状成分)からなる場合は、ろ過、遠心分離等の公知の固液分離方法を用いて触媒と反応生成物を分離することができる。
【0089】
【発明の効果】
本発明によると、従来のアンモニア分解を用いる方法に比べて、グリコール酸エステルとグリコール酸とシュウ酸ジエステルとの混合物から簡便にシュウ酸エステルを除去することができる。除去後のシュウ酸エステルの含有量は、条件によっては、グリコール酸エステルとグリコール酸の総量に対して0.5mol%以下程度とすることができる。
【0090】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に制限されるものではない。
【0091】
参考例1(Pb−Au合金触媒の反応例、EG+MeOH)
(1)触媒調製
共沈法により調製されたTiO2−SiO2(モル比Ti/Si=8:2,焼成温度600℃,50〜250メッシュ)を担体として用いた。
【0092】
濃度20mmol/lのテトラクロロ金酸水溶液0.5Lを65〜70℃の範囲で0.5N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7に調節した。この水溶液に上記TiO2−SiO2担体20gを攪拌下に投入し、温度65〜70℃に保ちながら1時間攪拌を続けた。その後、静置して上澄液を除去し、残った金固定化物にイオン交換水0.5Lを加えて室温で5分間攪拌した後、上澄液を除去するという洗浄工程を3回繰り返した。ろ過により得られた金固定化物を100℃で10時間乾燥し、さらに空気中400℃で3時間焼成することにより、TiO2−SiO2担体上に金が担持された触媒(Au/TiO2−SiO2)を得た。
【0093】
次に、酢酸鉛3水塩1.835gを含有するメタノール溶液50mlに上記金担持体Au/TiO2−SiO2を20g加え、エバポレータを用いて、80℃、常圧にてメタノールを除去して酢酸鉛を含浸担持した。その後、鉛が担持された金担持体20gをガラス製チューブに充填し水素と窒素の混合ガス(容積比10/90)を流通させながら400℃で3時間加熱した。このようにして金及び鉛を含有する金属粒子がTiO2−SiO2担体に担持された金合金担持体を得た。この担持体における金及び鉛の担持量は、担体に対してそれぞれ5.4wt%及び4.9wt%であった。また、金属粒子の粒子径を観察したところ、ほとんど全て6nm以下の粒径で高分散しており、2〜3nm付近に極大を持つ狭い粒子径分布を示し、平均粒子径は6nm以下であった。
【0094】
(2)酸化的エステル化反応(α−ヒドロキシカルボン酸エステル製造)
前記(1)で得られたPb−Au合金/TiO2−SiO2触媒を用いてα−ヒドロキシカルボン酸エステルの合成を行った。
【0095】
冷却管付回転攪拌型1Lオートクレープに、エチレングリコール62g(1.0mol)、メタノール320g(10mol)及び上記触媒20gを仕込んで密封した。次いで、系内を0.5MPaに維持するよう背圧弁で調整しながら酸素及び窒素の混合ガス(体積比10/90)を毎分1Lの流量で液中に吹き込みバブリングしながら90℃で5時間反応を行った。
【0096】
その後、冷却して開封し、内容物の分析をガスクロマトグラフィーで行ったところ、原料エチレングリコールが0.180mol含まれており、生成物であるグリコール酸メチル、グリコール酸2−ヒドロキシエチル、グリコリド、シュウ酸ジメチル及びその他のシュウ酸類(シュウ酸など)の含有量が、各々0.656mol、0.068mol、0.012mol、0.008mol及び0.001molであった。また、ギ酸メチル及びギ酸2−ヒドロキシエチルのグリコール酸メチルに対する生成モル比は、各々0.12および0.03であった。
【0097】
実施例1(参考例1の反応液からシュウ酸エステルを除去)
参考例1の酸化的エステル化反応において得られた反応液から触媒を分離した反応ろ液(404.9g)には、残存原料であるエチレングリコールおよびメタノール、上記反応の生成物並びに反応で生成した水が含まれていた。このうちシュウ酸エステルは、シュウ酸ジメチル0.008mol(0.92g)及びその他のシュウ酸類(シュウ酸など)0.001molの合計0.011molであった。
【0098】
この反応溶液に、グリコール酸のマグネシウム塩0.013mol(1.44当量)を含有するメタノール溶液3mlを添加した後、1Lオートクレープに全量を仕込み、窒素置換後80℃に加温して2時間攪拌を行った。その後、冷却して開封したところ、シュウ酸マグネシウムの白色沈殿が生成していることを確認した。さらに、ろ過後、反応液をガスおよび液体クロマトグラフィー用いて分析したところ、シュウ酸ジメチル及びその他のシュウ酸類に対応するシグナルは、ほとんど消失した。
【0099】
シュウ酸マグネシウムを濾別した後、薄層蒸留装置を用いて、得られた濾液からメタノール及び水を減圧下において留去した。その後、段数3段のガラス製蒸留塔を用いて、ボトム温度70〜80℃以下、圧力5〜10torrでグリコール酸メチルを留出させた。留出液中のグリコール酸メチルの純度は、98重量%以上であり、メタノールと水が合計で1.5重量程度%含まれていたが、それ以外の不純物は0.1重量%以下であった。シュウ酸ジメチル及びその他のシュウ酸類(シュウ酸など)の含有量は、合計で100重量ppm以下であった。
【0100】
実施例2
先ず、グリコール酸メチル19.1重量%、シュウ酸ジメチル0.3重量%、エチレングリコール3.2重量%、メタノール67.5重量%および水9.9重量%からなる混合溶液Aを調製した。
【0101】
酢酸亜鉛2水和物を0.12g(シュウ酸ジメチルに対して1.1当量)含有するメタノール溶液3mlおよび前記の混合溶液A20gを回転撹拌型オートクレーブ(100ml)に仕込んだ。密閉後、系内を窒素置換した後、加温し、撹拌しながら2時間80℃に保持した。
【0102】
反応後、シュウ酸亜鉛と考えられる白色沈殿が生成していたので濾別した。濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、シュウ酸ジメチルは、ほとんど消失していた。また、グリコール酸メチルおよびエチレングリコールの量は、混合前と比べてほとんど変化していなかった。
【0103】
実施例3
酢酸亜鉛2水和物を含有するメタノール溶液の代わりに、酢酸カルシウム1水和物0.11g(シュウ酸ジメチルに対して1.2当量)を含有する水溶液3mlを用いた以外は、実施例2と同様にして、グリコール酸メチルを精製した。
【0104】
反応後、シュウ酸カルシウムと考えられる白色沈殿が析出していたので濾別した。濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、シュウ酸ジメチルは、ほぼ完全に消失していた。また、グリコール酸メチルおよびエチレングリコールの量は、混合前と比べてほとんど変化していなかった。
【0105】
実施例4
酢酸亜鉛2水和物を含有するメタノール溶液の代わりに、水酸化カルシウム0.045g(シュウ酸ジメチルに対して1.2当量)を含有する水溶液3mlを用いた以外は、実施例2と同様にして、グリコール酸メチルを精製した。
【0106】
反応後、シュウ酸カルシウムと考えられる白色沈殿が析出していたので濾別した。濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、シュウ酸ジメチルは、ほぼ完全に消失していた。また、グリコール酸メチルおよびエチレングリコールの量は、混合前と比べてほとんど変化していなかった。
【0107】
実施例5
酢酸亜鉛2水和物を含有するメタノール溶液の代わりに、酢酸アンモニウム0.235g(シュウ酸ジメチルに対して3当量)を含有する水溶液3mlを用いた以外は、実施例2と同様にして、グリコール酸メチルを精製した。
【0108】
反応後、シュウ酸アンモニウムと考えられる沈殿が析出していたので濾別した。濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、シュウ酸ジメチルは、ほぼ完全に消失していた。また、グリコール酸メチルおよびエチレングリコールの量は、混合前と比べてほとんど変化していなかった。
【0109】
実施例6
酢酸亜鉛2水和物を含有するメタノール溶液の代わりに、炭酸アンモニウム0.11g(シュウ酸ジメチルに対して1.4当量)を含有する水溶液3mlを用いた以外は、実施例2と同様にして、グリコール酸メチルを精製した。
【0110】
反応後、シュウ酸アンモニウムと考えられる沈殿が析出していたので濾別した。濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、シュウ酸ジメチルは、ほぼ完全に消失していた。また、グリコール酸メチルは、反応前の96%が残存しており、エチレングリコールの量は、混合前と比べてほとんど変化していなかった。
【0111】
実施例7
酢酸亜鉛2水和物を含有するメタノール溶液の代わりに、水酸化ナトリウム0.045g(シュウ酸ジメチルに対して1.1当量)を含有するメタノール溶液3mlを用いた以外は、実施例2と同様にして、グリコール酸メチルを精製した。
【0112】
反応後、シュウ酸ナトリウムと考えられる沈殿が析出していたので濾別した。濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、シュウ酸ジメチルは、ほぼ完全に消失していた。また、グリコール酸メチルおよびエチレングリコールの量は、混合前と比べてほとんど変化していなかった。
【0113】
実施例8
酢酸亜鉛2水和物を含有するメタノール溶液の代わりに、2-エチルヘキサン酸ニッケル0.21g(シュウ酸ジメチルに対して1.2当量)を含有するトルエン溶液3mlを用いた以外は、実施例2と同様にして、グリコール酸メチルを精製した。
【0114】
反応後、シュウ酸ニッケルと考えられる沈殿が析出していたので濾別した。濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、シュウ酸ジメチルは、ほぼ完全に消失していた。また、グリコール酸メチルおよびエチレングリコールの量は、混合前と比べてほとんど変化していなかった。
【0115】
実施例9
酢酸亜鉛2水和物を含有するメタノール溶液の代わりに、トリス(アセチルアセトナト)ランタン0.177g(シュウ酸ジメチルに対して1.2当量)を含有するメタノール溶液3mlを用いた以外は、実施例2と同様にして、グリコール酸メチルを精製した。
【0116】
反応後、シュウ酸ランタンと考えられる沈殿が析出していたので濾別した。濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、シュウ酸ジメチルは、ほぼ完全に消失していた。また、グリコール酸メチルおよびエチレングリコールの量は、混合前と比べてほとんど変化していなかった。

Claims (2)

  1. (i)シュウ酸エステルおよび/またはシュウ酸と(ii)グリコール酸エステルおよび/またはグリコール酸とを含む混合物に、金属塩および/またはアンモニウム塩を添加し、生成するシュウ酸金属塩および/またはシュウ酸アンモニウム塩を分離するグリコール酸エステルまたはグリコール酸の精製方法。
  2. (i)シュウ酸エステルおよび/またはシュウ酸と(ii)グリコール酸エステルまたはグリコール酸とを含む混合物が、エチレングリコールと1級アルコールとを原料とし、金属を担体に担持してなる触媒の存在下、酸素酸化によって得られた混合物である請求項1に記載の精製方法。
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