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JP5010547B2 - 高活性触媒およびその製造方法 - Google Patents

高活性触媒およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、触媒活性の高い無機酸化物担体に担持、固定化された貴金属触媒およびその製造方法に関する。
触媒は、有機物の酸化あるいは還元反応、エステル化、重合、その他の化学反応や、自動車排気ガスの浄化、燃料電池など幅広い分野で用いられている。このような触媒材料としては、一般的には貴金属が用いられることが多い。貴金属は高価なことと、その性能を最大限引き出すため、ナノ粒子として露出表面積を大きくする工夫がなされている。具体的には、比表面積が大きく、熱的、化学的安定性の高いシリカやアルミナ、チタニアなどの金属酸化物、あるいは活性炭、カーボンブラックなどの炭素材料を担体に用い、その表面に貴金属がナノ粒子として分散・固定された状態とされて用いられている。
貴金属中、金は他の貴金属に比べれば安価であるものの、触媒活性が極めて乏しいと従来考えられていた。これに対し、本発明者は、金を好ましくは直径10nm以下の超微粒子(ナノ粒子)として種々の金属酸化物担体上に分散・固定することにより、高い触媒活性が発現されること、さらに金ナノ粒子触媒は、低温CO酸化、HCHO酸化、プロピレンの気相一段エポキシ化、低温水性ガスシフト反応、酸素と水素からの直接過酸化水素合成、炭化水素類の部分酸化などの多くの反応に対して、他の貴金属より優れた触媒活性を発現することを見出している(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。その他にも、金ナノ粒子は、不飽和化合物の水添、アルコールの酸化、NOxの還元、エポキシドやアミンのカルボニル化などの触媒活性を有することも報告されている。さらに、本発明者は、金の粒子径が2nm以下、原子数で300個以内のクラスターになると、触媒特性がさらに激変する場合があることも見出した。
貴金属などを触媒として用いる場合、通常担体上に触媒として機能する金属を固定しなければならない。担体としては、無機酸化物、炭素材料、有機高分子など種々のものが提案されている。これらの中では、製造が容易であること、高温での使用が可能なこと、高比表面積を有するなどの理由から、現在では無機酸化物担体を用いることが広く行われている。無機酸化物担体に金属触媒を固定化する方法としては、従来、含浸法、共沈法、ゾル−ゲル法、析出沈殿法、気相蒸着法、固相混合法、CVD法、スパッタ法等、種々の方法が知られている。
しかし、担体として無機酸化物を用いる場合、触媒として用いられる貴金属と無機酸化物を構成する材料選択により、得られた触媒の活性が大きく異なることが通例である。また、酸化、還元、あるいはその他の化学反応の転化率および選択率を向上させる方法も、過去の経験などに基づき触媒として機能する金属とそれを担持する担体材料を試行錯誤により選択していた。このため、より特性の向上した触媒を見出すことに膨大な時間とエネルギーを要していた。したがって、従来のような試行錯誤によることなく、さらに向上した活性を有する触媒を簡単に見出せる方法が、従来から強く要望されている。
一方、近年地球温暖化の問題や石油の価格高騰などから、自動車燃料や化成品原料としてバイオマスを利用することが関心を集めている。その一つとして、バイオエタノールを利用する化成品合成が期待されている。酢酸は、種々の化学物質の合成中間体として重要な化合物である。例えば、酢酸は、酢酸ビニルモノマーの原料などに用いられており、世界年生産量は780万トン以上と推定される。その合成には、メタノールの一酸化炭素あるいは合成ガスによるカルボニル化が採用されており、その他にもエタンの気相酸化、エチレンと酸素および水からの合成、ギ酸メチルの異性化など種々の方法が提案され、実施されているが、合成原料として用いられるメタノール、エタン、エチレンなどはいずれも石油あるいは石炭を原料として得られたものである。バイオエタノールを原料とした酢酸合成プロセスが望まれているものの、選択的な酸化触媒がなく、低エネルギーでこの反応を達成する触媒探索が行われている。このような中、最近担体としてMgAl23を用いた金触媒が、高い酢酸選択率を示す結果が報告されている(例えば、非特許文献2、3参照)。報告された方法における反応条件は、温度180℃、酸素圧3Mpaであり、より温和な条件で、またより選択率などの改善された触媒が要望されている。
さらに、一酸化炭素の酸化など、酸化触媒における高活性化も要望されている。卑金属酸化物を担体とした金ナノ粒子触媒は、室温において一酸化炭素を完全酸化できる触媒として知られている(例えば、非特許文献4参照)が、実用化に際してはその耐久性の向上が望まれている。
特公平5−49338号公報 Haruta M.,Chem.Record,2003,3(2),75−87. C.H.Chrisitensen et al.,Angew.Cem.Int.Ed.,45(2006)4648. C.H.Chrisitensen et al.,J.Catal.,251(2007)332. M.Haruta, et al.,Chem.Lett.2(1987)405.
本発明はこのような状況に鑑みなされたもので、無機酸化物担体上に貴金属が担持された高活性な触媒およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、エタノールからの酢酸合成に使用され、温和な反応条件で、転化率、選択率の高い触媒を提供することである。
本発明者は、鋭意研究を行ったところ、無機酸化物担体としての金属酸化物の金属の価電子制御を行なうことのできる、もしくは該金属酸化物に固溶することのできる金属イオンをドープした金属酸化物担体を用いることにより、貴金属微粒子を担持する無機酸化物触媒の高活性化が図れること、またこのとき、無機酸化物担体に金微粒子を担持する触媒において、無機酸化物担体として特定金属イオンをドープした金属酸化物担体を用いることにより、エタノールからの酢酸合成において、温和な反応条件で、高い転化率および選択性を有する触媒が得られること見出した。本発明は、これら知見に基づいてなされたものである。
本発明は次の(1)〜()に記載の触媒およびその製造方法に関する。
(1)無機酸化物担体上にルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金、銀または金からなる貴金属微粒子を担持した触媒において、無機酸化物担体が、該担体を主として構成するニッケル酸化物銅イオンをドープした無機酸化物からなり、前記銅イオンのドープ量は、ニッケルに対しモル比で、Ni:Cu=99:1〜85:15であることを特徴とするエタノールの酸化による酢酸製造用触媒。
)担体を主として構成する金属酸化物を形成するための水溶性ニッケル塩、前記ニッケルに対する銅のモル比で、Ni:Cu=99:1〜85:15である水溶性塩およびルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金、銀または金からなる貴金属の水溶性化合物を水に溶解して水溶液を製造し、該水溶液を過剰量のアルカリ水溶液中に投入し、析出した沈澱物をろ過し、焼成することを特徴とするエタノールの酸化による酢酸製造用触媒の製造方法。
)水素還元処理が行われた後焼成が行われる、あるいは水素還元雰囲気で焼成が行われることを特徴とする上記()に記載のエタノールの酸化による酢酸製造用触媒の製造方法。
本発明の無機酸化物担体としての金属酸化物の金属の価電子制御を行なう、もしくは該金属酸化物に固溶することのできる金属イオンをドープした担体を用いることにより、貴金属微粒子を担持する無機酸化物触媒において高活性の触媒を簡単に作製することができる。
また、無機酸化物担持金触媒において、無機酸化物担体として銅イオンをドープしたニッケル酸化物担体を用いることにより、エタノールからの酢酸合成において高い転化率および選択性を有する触媒が得られる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の触媒は、無機酸化物担体上に貴金属微粒子を担持する触媒において、担体を構成する金属酸化物に金属イオンをドープすることにより価電子制御あるいは固溶体形成して、触媒活性の高い貴金属担持触媒を形成することを特徴としている。また、本発明は、特定の反応に対して、無機酸化物担体上に担持される貴金属微粒子の種類、無機酸化物担体を主として構成する金属酸化物およびこれにドープする金属を選択することにより、転化率、選択性をも含め触媒活性の高い触媒を得ることをも特徴とするものである。
まず、本発明の貴金属担持触媒の担体として用いられる無機酸化物担体について説明する。無機酸化物担体は主として担体を構成する金属酸化物とこれにドープされた金属イオンからなる。前記主として担体を構成する金属酸化物としては、酸化ニッケル(NiO)が挙げられる
ドープ量は、通常金属酸化物の金属に対し、0.01〜15モル%程度である。
担体形状は、使用する用途に応じ任意の形状でよく、特に限定されないが、通常粉体とされる。また、担体の形態も、稠密体、多孔体など任意の形態であってよい。担体の大きさは、通常5nm〜1mm程度であることが好ましい。
無機酸化物担体上に担持される貴金属微粒子を構成する貴金属としては、白金族元素であるルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、さらに金、銀などが挙げられる。貴金属微粒子として金微粒子が用いられる場合、その平均粒子径が20nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm以下である。
上記金属イオンがドープされた無機酸化物担体上に貴金属微粒子が担持された触媒は、共沈法あるいはゾル−ゲル法、その他固相混合法、CVD法、スパッタ法などによって製造することができる。共沈法においては、無機酸化物担体を構成する金属酸化物を形成することのできる水溶性金属塩、ドープされる金属イオンの水溶性塩、触媒金属を形成する水溶性貴金属化合物を水に溶解させ、これを過剰量のアルカリ水溶液中に投入し、析出した沈澱物をろ過、焼成することにより製造することができる。このとき、水素還元処理を行った後焼成が行われてもよいし、一酸化炭素還元処理などの処理が行われてもよい。また、還元雰囲気で焼成が行われてもよい。
ゾル−ゲル法による場合は、担体を構成する金属のアルコキシドとドープする金属を有する金属アルコキシドを混合し、適当な有機溶媒中で加水分解・重合することにより得られたゲルを焼成することにより製造される。
上記の方法により、担体として金属でドープされた金属酸化物からなる無機担体が製造される。複合酸化物においては複数の金属が酸化物として一つの結晶系を形成するが、金属イオンがドープされた金属酸化物においては、主として担体を構成する金属酸化物の金属酸化物の結晶系を保持している。
上記触媒について、貴金属微粒子として金微粒子を用いた触媒を例に挙げて以下さらに具体的に説明する。前記したように、金は、好ましくは直径10nm以下の超微粒子として種々の金属酸化物担体上に分散・固定することにより、低温CO酸化、プロピレンの気相一段エポキシ化、低温水性ガスシフト反応、酸素と水素からの直接過酸化水素合成、炭化水素類の部分酸化、不飽和化合物の水添、アルコールの酸化、NOxの除去、エポキシ化合物、脂肪族アミンのカルボニル化など、多くの反応に対して、他の貴金属より優れた触媒活性を発現する。金微粒子のこれら触媒活性のうち、先ずアルコールの酸化触媒としての利用について説明する。
金微粒子担持触媒を用いエタノールの酸化を行う際の触媒において、担体として種々の金属酸化物担体の利用が公表され、種々の担体に担持された金触媒の触媒活性データも知られている(C.H.Christensen, et al.,Angew.Chem.Int.Ed,45(2006)4648)。下記表1に、金属酸化物として、コバルト、バリウム、マンガン、鉄、銅、セリウム、イットリウム、ジルコニウム、スズ、チタン、ニッケルの金属酸化物を担体とした金触媒のエタノール酸化特性を記載する。なお、酸化条件はエタノール濃度 5重量%、溶液量 10ml、酸素圧 0.5MPa、反応温度 120℃、触媒量 エタノール/Au(モル比)=1400、攪拌速度 1000rpmである。
Figure 0005010547
表1から、単一金属の酸化物担体を用いた金触媒の触媒活性は、酢酸の選択率については比較的高いものもあるが、酸化ニッケルを除くと転化率は低い。このため、転化率も選択率も高い金触媒が要望されている。上記金触媒の中で転化率の高い酸化ニッケル担持金触媒の選択率が更に改善されれば、上記要求に応えることが可能となる。
したがって、以下では金触媒担体として酸化ニッケルを主体とし、これに他の金属イオンがドープされた担体を用いる本発明の触媒を形成する方法を説明する。ニッケルに対して好ましいドープ金属は、銅である。また、ドープ量は、ニッケル:銅(モル比)が99:1〜85:15程度が好ましく、より好ましくは99:3〜90:10であり、さらに好ましくは96:4〜93:7である。触媒は、通常平均粒径5nm〜1mm程度の粉体で用いられ、好ましくは平均粒径は50nm〜0.1mm程度である。
上記銅でドープされた酸化ニッケル担持金触媒は、例えば次のような方法(共沈法)により容易に製造することができる。まず、担体の金属酸化物を構成するニッケルを含む塩、ドープ剤として用いられる銅を含む塩および金化合物を水に溶解する。ニッケルを含む塩としては、水溶性であればどのようなものでもよい。ニッケルを含む塩としては、例えば、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケルおよびそれらの水和物が挙げられる。また、銅を含む塩としては、例えば、硝酸銅、塩化銅、酢酸銅およびそれらの水和物が挙げられる。さらに、金化合物としては、例えば、四塩化金酸(HAuCl4)、四塩化金酸のアルカリ金属塩、三塩化金(AuCl3)、シアン化金(AuCN)、シアン化金カリウム{K〔Au(CN)2〕}、三塩化ジエチルアミン金酸〔(C252NH・AuCl3〕、エチレンジアミン金錯体(例えば、塩化物錯体(Au[C24(NH22]Cl3))、ジメチル金β−ジケトン誘導体金錯体(例えば、ジメチル金アセチルアセトナート((CH32Au[CH3COCHCOCH3])、(CH32Au(CF3COCHCOCH3)、(CH32Au(CF3COCHCOCF3)、(C252Au(CH3COCHCOCH3)、(CH32Au(C65OOCHCOCF3))などを挙げることができる。
上記水溶性ニッケル塩、水溶性銅塩および水溶性金化合物の水溶液中の濃度は、所望の比率で、かつ使用される各塩および化合物が均一の水溶液を構成する限りどのような濃度であってもよい。ドープ金属として用いられる銅塩および金化合物の量はニッケル塩に比べ少ないことから、主として問題となるのは水溶性ニッケル塩の量であるが、溶解度の関係から、水溶性ニッケル塩は25〜30g/L程度が好ましい。また、ドープ金属として用いられる銅塩の量および触媒として用いられる金化合物の量は、ドープ量あるいは触媒量によって決定される。通常、ニッケル:銅の比(モル比)は、99:1〜85:15程度とされることから、このような量になるよう水溶性ニッケル塩の重量に対し銅塩が使用される。また、金微粒子は、触媒100重量部当り10〜15重量部担持されることが好ましいことから、最終的な触媒においてこのような担持量となる量で金化合物は用いられる。触媒粒子中金担持量が10重量%以下であると表面に存在する金の量が少なくなるという問題があり、また15重量%以上となっても触媒の活性の更なる向上が望めず、金が無駄になるので好ましくない。したがって、金化合物は、担持量が上記量となるような量で水溶液に添加される。また、前記の塩を水に溶解させる際には、溶解性促進のため、水を加温した状態、例えば70℃程度の温度で溶解を行うことが好ましい。
こうして作製された水溶性ニッケル塩、水溶性銅塩、水溶性金化合物を含む水溶液は、別途作製されたアルカリ水溶液に加えられる。アルカリとしては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、水酸化ナトリウムなどが好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。アルカリの使用量は、上記水溶性ニッケル塩、水溶性銅塩、水溶性金化合物が全て沈殿する量以上であればよく、通常アルカリを前記塩および金化合物の当量以上の量含む量とされる。水溶性ニッケル塩、水溶性銅塩、水溶性金化合物を含む水溶液は、アルカリ水溶液に加えられてもよいし、反対にアルカリ水溶液を前記水溶性ニッケル塩、水溶性銅塩、水溶性金化合物を含む水溶液に加えてもよいが、前者が好ましい。塩水溶液の添加速度は任意でよいが、ゆっくり加えると金の不均一な分散が生じるという問題が発生することから、攪拌下、通常一気に、または1分程度以内で全量が加えられることが好ましい。
沈殿剤水溶液に水溶性ニッケル塩、水溶性銅塩、水溶性金化合物を含む水溶液を全量添加した後、さらに反応が完結するまで攪拌を続けることが好ましい。添加後の攪拌時間は任意でよいが、通常1時間程度攪拌を行えば十分である。この沈殿の際も、反応促進および使用された水溶性ニッケル塩、水溶性銅塩、水溶性金化合物などの析出を防止する観点から、加温した状態、例えば70℃程度で行われることが好ましい。
攪拌終了後冷却し、沈殿物をろ過し、ろ過沈殿物を蒸留水でpHが安定するまで洗浄する。洗浄終了後、吸引ろ過し、得られたケーキを乾燥する。このとき乾燥促進と水分を完全に除去するため、100℃程度の温度で加熱乾燥することが好ましい。乾燥された沈殿生成物は、好ましくは250〜350℃程度の温度、より好ましくは300℃程度の温度で焼成される。焼成は空気中で行われてもよいし、不活性ガス雰囲気中で行われてもよい。また焼成時間は沈殿物中のニッケルおよび銅が完全にニッケルおよび銅の酸化物に変性されるに十分な時間であればよい。焼成時間は、焼成温度あるいは焼成雰囲気によって変わるので特に限定されるものではないが、空気中、300℃での焼成であれば、4時間程度焼成を行えばよい。なお、必要であれば、焼成を行う前に、還元処理を行ってもよいし、水素還元雰囲気で焼成が行われてもよい。これにより、特性の向上した触媒を得ることができる場合がある。焼成後粉砕されて本発明の金触媒とされる。粉砕後の粒径は任意でよい。
こうして得られた銅でドープしたニッケル酸化物担体担持金触媒は、エタノールの酸化触媒として極めて良好な特性を示す。
本発明の銅でドープしたニッケル酸化物担体担持金触媒を用いてエタノール酸化を行う方法を説明する。
まず、エタノールを20%水溶液として反応容器であるオートクレーブ中に入れ、これに金触媒を加える。金触媒の量は、特に限定されないが、エタノール1モルに対し通常金1/1400(1400分の1)モル程度加えればよい。反応容器内を酸素で置換し、加圧下に昇温し、反応を行う。反応時間は、加圧条件、反応温度などにより変わることから、特に限定されるものではないが、通常1〜5時間程度行えばよい。酸素圧および温度は高い方がエタノールの転化率は高くなる。先に述べたように、担体としてMgAl23を用いた金触媒においては、高い転化率および酢酸選択率を示す報告がなされているが、この実験においては、反応条件として温度180℃、酸素圧3Mpaとされている。本発明の金触媒を用いた場合には、0.5MPa、120℃の温度においても、前記MgAl23を用いた金触媒に比べ、高い選択率が達成できる。また、反応温度、反応圧力を増せば、エタノールの転化率は上がる。
なお、エタノールを水溶液として用いるのは、今後のバイオエタノールへの応用を視野に入れたことによる。これを前提とする場合、エタノールの濃度は5〜60%程度であることが好ましい。エタノールへの転化率および酢酸の選択率については、ガスクロマトグラフィーなど適宜の方法により残留するエタノールの量および形成された酢酸の量を定量することにより行なえばよい。また、上記具体例で示した方法は、エタノール酸化の一具体例を示したにすぎないもので、本発明の触媒を用いてのエタノールの酸化方法、酸化態様が、上記方法に限定されるものではない。
銅イオンをドープした酸化ニッケル担持金触媒は、銅イオンをドープしない酸化ニッケル担持金触媒と同程度のエタノール転化率を有するとともに、酢酸への選択率が著しく上昇する。すなわち、実施例に示すように、本発明の銅イオンをドープしたニッケル酸化物担体に担持された金触媒を用いることにより、酸素圧0.5MPa、反応温度120℃という低温、低圧において、エタノールの転化率についてはドープ前とほとんど変わらない42%、酢酸の選択率は85%と大きく向上することが確認された。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
実施例1
〔Au/Cu−NiO触媒の調製〕
硝酸ニッケル・六水和物(Ni(NO32・6H2O)0.0184mol(5.35g)、硝酸銅・三水和物(Cu(NO32・3H2O)0.00057mol(0.138g)、テトラクロロ金(III)酸・四水和物(HAuCl4・4H2O)0.001mol(0.412g)を70℃の蒸留水200mlに溶解させて、水溶液1を作製した。これとは別に、炭酸ナトリウム(Na2CO3)0.025mol(2.66g)を70℃の蒸留水250mlに溶解させて、水溶液2を作製した。水溶液1を水溶液2に3分以内に加え、70℃を維持したまま、1時間攪拌し、その後室温まで放冷した。生成した沈殿物を蒸留水でpHが安定するまで洗浄した。生成物を吸引濾過し、100℃で空気中一晩乾燥した。空気中300℃で4時間焼成した。焼成後粉砕することにより、銅イオンがドープされた酸化ニッケル担体に担持された金触媒(Au/NiO−CuO;Ni:Cu=97:3(モル比))を得た。
〔触媒活性評価1〕
触媒反応は、オートクレーブ(東京理化器械株式会社 有機合成装置PPV−CPRL型)を用いて行い、分析は水素炎イオン化検出器を備えたガスクロマトグラフィー(SHIMAZDU GC−2014)で行った。手順は、20重量%エタノール水溶液と触媒をオートクレーブに仕込み(エタノール/Au=1400mol/mol)、酸素で容器内を置換した後、酸素圧:0.5MPaとし120℃まで昇温し、120℃になった時点を反応開始時間とし2時間反応させた。反応後、氷冷し反応溶液に内部標準となるエチレングリコールを加え、ろ過した後、ガスクロマトグラフィーで生成物を定量分析した。エタノールの転化率は39%であり、酢酸の選択率は61%であった。STY(Space Time Yield;単位時間収量)は0.38(mol/L・h)であった。なお、STYは次式により算出される。
STY(mol/L・h)={〔(2×エタノール転化率)×酢酸選択率〕×(1/66.06)}÷(2×0.01)
実施例2
硝酸銅の量を0.00099mol(0.24g)とすることを除き、実施例1と同様にして銅イオンがドープされた酸化ニッケル担体に担持された金触媒(Au/NiO−CuO;Ni:Cu=95:5(モル比))を製造した。実施例1と同様にして触媒活性を評価した。エタノールの転化率は40%、酢酸の転化率は85%、STYは0.49(mol/L・h)であった。
実施例3
硝酸銅の量を0.00204mol(0.49g)とすることを除き、実施例1と同様にして銅イオンがドープされた酸化ニッケル担体に担持された金触媒(Au/NiO−CuO;Ni:Cu=90:10(モル比))を製造した。実施例1と同様にして触媒活性を評価した。エタノールの転化率は39%、酢酸の転化率は62%、STYは0.38(mol/L・h)であった。
比較例1
硝酸銅を用いないことを除き実施例1と同様にして、酸化ニッケル担体に担持された金触媒(Au/NiO)を製造した。触媒活性評価法における反応時間を4時間、エタノール濃度を5重量%とすることを除き、実施例1と同様にして触媒活性評価を行った。エタノールの転化率は47%、酢酸の転化率は55%、STYは0.07(mol/L・h)であった。
実施例1〜3および比較例1の結果を表に纏めると次のとおりである。
Figure 0005010547
表2より、銅イオンをドープした酸化ニッケル担持金触媒は、エタノールの転化率は銅イオンをドープしていない酸化ニッケル担持金触媒に比べ幾分劣るものの、酢酸選択率は5モル%ドープにおいて85%という驚異的な値となることが分かる。上記実施例においては、酸素圧を0.5MPa、反応温度を120℃に設定したが、これら酸素圧、反応温度を上げることにより、転化率はさらに上昇する。
実施例4
実施例2で製造した触媒を用い、触媒活性評価法における反応時間を4時間とすることを除き、実施例1と同様にして触媒活性評価を行った。エタノールの転化率は42%であり、酢酸の転化率は85%であった。

Claims (3)

  1. 無機酸化物担体上にルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金、銀または金からなる貴金属微粒子を担持した触媒において、無機酸化物担体が、該担体を主として構成するニッケル酸化物銅イオンをドープした金属酸化物からなり、前記銅イオンのドープ量は、ニッケルに対しモル比で、Ni:Cu=99:1〜85:15であることを特徴とするエタノールの酸化による酢酸製造用触媒。
  2. 担体を主として構成する金属酸化物を形成するための水溶性ニッケル塩、前記ニッケルに対する銅のモル比で、Ni:Cu=99:1〜85:15である水溶性塩およびルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金、銀または金からなる貴金属の水溶性化合物を水に溶解して水溶液を製造し、該水溶液を過剰量のアルカリ水溶液中に投入し、析出した沈澱物をろ過し、焼成することを特徴とするエタノールの酸化による酢酸製造用触媒の製造方法。
  3. 水素還元処理が行われた後焼成が行われる、あるいは水素還元雰囲気で焼成が行われることを特徴とする請求項に記載のエタノールの酸化による酢酸製造用触媒の製造方法。
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