JP4097178B2 - 腫瘍抗原 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な腫瘍抗原に関し、さらに詳しくは腫瘍特異的細胞傷害性T細胞により認識されるペプチド、該ペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその相補鎖、該ポリヌクレオチドまたはその相補鎖を含有する組換えベクター、該組換えベクターを含む形質転換体、該ペプチドに対する抗体、該ペプチドあるいは該ポリヌクレオチドまたはその相補鎖と相互作用を有する化合物、該ペプチドからなる細胞傷害性T細胞の誘導剤、これらの1種以上を含む医薬組成物、該ペプチドの製造方法、該ペプチドまたは該ポリヌクレオチド若しくはその相補鎖と相互作用を有する化合物の同定方法、該ペプチドを用いる細胞傷害性T細胞の誘導方法、該ペプチドまたは該ペプチドをコードしているポリヌクレオチドの測定方法、並びに該同定方法若しくは該測定方法に使用する試薬キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
生体における癌の排除には免疫系、特に細胞傷害性T細胞(Cytotoxic T Lymphocyte)が重要な役割を果たしている。癌患者の腫瘍局所には腫瘍細胞に対して傷害活性を示す細胞傷害性T細胞の浸潤が認められている(Arch.Surg.,126:200〜205,1990)。この腫瘍特異的な細胞傷害性T細胞の標的分子(腫瘍抗原)は、メラノーマにおいて初めて発見された。腫瘍細胞内で生成された腫瘍抗原は、細胞内で分解されて8乃至11個のアミノ酸からなるペプチド(腫瘍抗原ペプチド)になり、主要組織適合性抗原であるヒト白血球抗原(HLA)分子と結合して腫瘍細胞表面上に提示される。細胞傷害性T細胞はHLAと腫瘍抗原ペプチドとからなる複合体を認識して腫瘍細胞を傷害する。すなわち、細胞傷害性T細胞はHLA拘束性に腫瘍細胞を認識する。
【0003】
HLAは細胞膜抗原であり、ほとんど全ての有核細胞上に発現している。HLAはクラスI抗原とクラスII抗原に大別されるが、細胞傷害性T細胞により抗原ペプチドと共に認識されるHLAはクラスI抗原である。HLAクラスI抗原はさらにHLA−A、HLA−B、HLA−C等に分類され、ヒトでは有核細胞がそれぞれ異なった量のHLA−A、HLA−B、またはHLA−Cを有している。また、その遺伝子は多型性に富むことが報告されている。例えば、HLA−AにはA1、A2、A24、およびA26等の、HLA−BにはB8、B27、およびB46等の、HLA−CにはCw3やCw6等の多型が存在する。そのため、それぞれのヒトが有するHLAの型は必ずしも同一ではない。また、細胞傷害性T細胞はHLAクラスI抗原と腫瘍抗原ペプチドとの複合体を認識するとき、HLAの型をも認識する。その上、HLAに結合可能な抗原ペプチドには、HLAの型(type)ごとにその配列にモチーフ(規則的配列)があることが知られている。
【0004】
近年、細胞傷害性T細胞により認識される腫瘍抗原をコードする多くの遺伝子が、ヒトの癌細胞のcDNAから同定されている(Science,254:1643〜1647,1991)(J.Exp.Med.,183:1185〜1192,1996)(J.Immunol.,163:4994〜5004,1999)。例えば、HER/neu(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92:432〜436,1995)、変異cdk(Science,269:1281〜1284,1995)、そして変異CASP−8(J.Exp.Med.,186:785〜793,1997)等がその例としてあげられるが、これらは増殖性細胞および悪性形質転換体中に含まれる。
【0005】
また、腫瘍拒絶抗原遺伝子、およびT細胞抗原レセプター(TCR)を含む特異免疫に関与する分子が、過去10年において、メラノーマ、食道癌、およびその他の癌で同定されてきており、進行癌または転移性癌においてペプチドによる特異的免疫療法が検討されてきている。
【0006】
現在欧米では、腫瘍抗原ペプチド投与することにより癌患者の体内の細胞傷害性T細胞を活性化させる癌ワクチン療法の開発がなされており、メラノーマ特異的腫瘍抗原については臨床試験における成果が報告されている。例えば、メラノーマ抗原gp100ペプチドをメラノーマ患者に皮下投与し、インターロイキン−2(IL−2)を静脈注射投与することにより、42%の患者で腫瘍の縮小が認められている(Nature Medicine,4:321,1998)。このように腫瘍抗原は、ワクチンとして利用することにより、有効な癌治療効果を期待できる。
【0007】
しかしながら、同定されている腫瘍抗原はメラノーマ由来のものが多く、発病頻度の高い上皮性の癌や腺癌由来の腫瘍抗原についての報告は少ない。また、癌の多様性を考えると、全ての癌細胞において同一の腫瘍抗原が同程度発現されているとは考えられない。もちろん、単一の腫瘍抗原を用いて細胞傷害性T細胞を活性化させる癌ワクチン療法によっても、該腫瘍抗原を有する癌の治療効果は得られる。しかし、癌の治療において特異的な細胞傷害性T細胞を惹起し、かつ癌の多様性に対応して高い治療効果を得るためには、癌の多様性に応じた数多くの新たな腫瘍抗原を発見し利用することが重要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、腺癌、および上皮性の癌、例えば大腸癌や肺癌の患者の特異的免疫療法に有用な、細胞傷害性T細胞に認識される新規な腫瘍抗原を見い出して提供することである。
【0009】
具体的には少なくともHLA−A24拘束性細胞傷害性T細胞により認識されるペプチドを提供することである。さらに詳しくは、HLA−A24拘束性細胞傷害性T細胞により認識されるペプチド、該ペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその相補鎖、該ポリヌクレオチドまたはその相補鎖を含有する組換えベクター、該組換えベクターを含む形質転換体、該ペプチドに対する抗体、該ペプチドあるいは該ポリヌクレオチドまたはその相補鎖と相互作用を有する化合物、該ペプチドからなる細胞傷害性T細胞の誘導剤、これらの1種以上を含む医薬組成物、該ペプチドの製造方法、該ペプチドまたは該ポリヌクレオチド若しくはその相補鎖と相互作用を有する化合物の同定方法、該ペプチドを用いる細胞傷害性T細胞の誘導方法、該ペプチドまたは該ペプチドをコードしているポリヌクレオチドの測定方法、並びに該同定方法若しくは該測定方法に使用する試薬キットを提供することである。
【0010】
【課題解決のための手段】
本発明者らは、HLA−A24と腫瘍抗原ペプチドとを認識して活性化されるHLA−A24拘束性腫瘍特異的細胞傷害性T細胞(GK−CTL)を、肺癌患者由来の腫瘍浸潤リンパ球(Tumour−Infiltrating Lymphocyte)(TIL)から樹立し、この腫瘍特異的細胞傷害性T細胞に認識され得る腫瘍抗原をコードする遺伝子を、遺伝子発現クローニング法を用いて、ヒト肺腺癌細胞株11−18(HLA−A2402/0201)のcDNAライブラリーから単離・同定し、さらに、得られた遺伝子にコードされる腫瘍抗原に基づいて、該腫瘍抗原のエピトープを有するペプチドを見い出して、本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は、
(1)配列表の配列番号1から配列番号766のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、
(2)配列表の配列番号1から配列番号766のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドからなる医薬、
(3)配列表の配列番号1から配列番号766のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを含有する癌ワクチン、
(4)肺癌または腎癌の治療に用いる前記(2)または(3)の医薬または癌ワクチン、
(5)配列表の配列番号1から配列番号766のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを含有する細胞傷害性T細胞の誘導剤、
(6)配列表の配列番号1から配列番号766のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを使用することを特徴とする細胞傷害性T細胞の誘導方法、
(7)配列表の配列番号1から配列番号766のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその相補鎖、
(8)配列表の配列番号1から配列番号766のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドをコードするポリヌクレオチドであって、配列表の配列番号767から配列番号774のいずれか1に記載のポリヌクレオチドまたはその相補鎖、
(9)配列番号767から配列番号774のいずれか1に記載のポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドがコードするポリペプチドが細胞傷害性T細胞を誘導するおよび/または細胞傷害性T細胞により認識される、ポリヌクレオチドまたはその相補鎖、
(10)前記(7)から(9)のいずれかのポリヌクレオチドまたはその相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションするポリヌクレオチド、
(11)前記(7)から(10)のいずれかのポリヌクレオチドまたはその相補鎖を含有する組換えベクター、
(12)組換えベクターが発現組換えベクターである前記(11)の組換えベクター、
(13)前記(11)または(12)の組換えベクターを導入されてなる形質転換体、
(14)前記(12)の組換えベクターを導入されてなる形質転換体を培養する工程を含む、前記(1)のペプチドの製造方法、
(15)前記(1)のペプチドを免疫学的に認識する抗体、
(16)前記(1)のペプチドおよび/またはHLA−A24と相互作用して少なくともHLA−A24拘束性細胞傷害性T細胞による該ペプチドの認識を増強する化合物、および/または前記(7)から(10)のいずれかのポリヌクレオチド若しくはその相補鎖と相互作用してその発現を増強する化合物の同定方法であって、前記(1)のペプチド、前記(7)から(10)のいずれかのポリヌクレオチドまたはその相補鎖、前記(11)若しくは(12)の組換えベクター、前記(13)の形質転換体、または前記(15)の抗体のうちの少なくとも1つを用いることを特徴とする方法、
(17)前記(16)の方法により得られる化合物、
(18)前記(1)のペプチドの少なくとも1つに対するHLA−A24拘束性細胞傷害性T細胞による認識を増強する化合物、または前記(7)から(10)のいずれかのポリヌクレオチド若しくはその相補鎖と相互作用してその発現を増強する化合物、
(19)前記(1)のペプチド、前記(7)から(10)のいずれかのポリヌクレオチドまたはその相補鎖、前記(11)または(12)の組換えベクター、前記(13)の形質転換体、前記(15)の抗体、および前記(17)または(18)の化合物のうちの少なくとも1つを含有することを特徴とする癌治療に用いる医薬組成物、
(20)前記(1)のペプチドまたは前記(7)から(10)のいずれかのポリヌクレオチドを定量的あるいは定性的に測定する方法、
(21)前記(16)または(20)の方法に使用する試薬キットであって、前記(1)のペプチド、前記(7)から(10)のいずれかのポリヌクレオチド、前記(11)若しくは(12)の組換えベクター、前記(13)の形質転換体、または前記(15)の抗体を少なくとも1つ以上含んでなる試薬キット、
からなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
(腫瘍抗原遺伝子の同定)
本発明者らは、日本人の多数においてみられるHLA−A分子の型であるHLA−A24と腫瘍抗原ペプチドとを認識して活性化されるHLA−A24拘束性腫瘍特異的細胞傷害性T細胞を、既報(J.Immunol.,163:4994〜5004,1999)に記載の方法で、肺癌患者由来の腫瘍浸潤リンパ球(Tumour−Infiltrating Lymphocyte)(TIL)から樹立した。以下、この細胞をGK−CTLと呼ぶ。このGK−CTLに認識され得る腫瘍抗原をコードする遺伝子を、遺伝子発現クローニング法を用いて、ヒト肺癌細胞株である11−18細胞(HLA−A2402/0201)のcDNAライブラリーから単離・同定した。さらに、得られた遺伝子にコードされる腫瘍抗原に基づいて、該腫瘍抗原のエピトープを有するペプチドを見い出した。
【0013】
本明細書においてペプチドとは、ペプチド結合または修飾されたペプチド結合により互いに結合している2個またはそれ以上のアミノ酸を含む物質を意味し、蛋白質、ポリペプチド、オリゴペプチド等を包含する。以降、アミノ酸配列を表記する場合、1文字にて表記する場合と3文字にて表記する場合がある。
【0014】
また、腫瘍抗原とは腫瘍特異的な細胞傷害性T細胞に認識されるおよび/または細胞傷害性T細胞を誘導し得る、腫瘍細胞が有する蛋白質、ポリペプチド、またはペプチドを意味する。また腫瘍抗原ペプチドとは、該腫瘍抗原が腫瘍細胞内で分解されて生じるペプチドであり、HLA分子と結合して細胞表面上に提示されることにより細胞傷害性T細胞に認識されるおよび/または細胞傷害性T細胞を誘導し得るペプチドを意味する。さらに、腫瘍抗原が有する腫瘍特異的な細胞傷害性T細胞に認識されるおよび/または細胞傷害性T細胞を誘導し得るアミノ酸配列の部位を腫瘍抗原エピトープ(腫瘍抗原決定基)という。
【0015】
ここで、「認識する(recognize)」とは、認識するものが、認識される対象を他のものと見分けて認知し、例えば認知した対象に結合することを意味する。特に、本明細書において、細胞傷害性T細胞(以下、CTLと略称することもある)が腫瘍細胞あるいは腫瘍抗原ペプチドを認識するとは、CTLがHLAにより提示された腫瘍抗原ペプチドにT細胞受容体を介して結合することを意味する。「活性化する」とは、ある活性若しくは作用を有するものまたは状態を、さらに増強するまたは作動させることを意味する。特に、本明細書において、CTLが活性化するとは、CTLがHLAにより提示された抗原を認識することにより、例えばIFN−γを産生すること、あるいはCTLが認識した標的細胞に対し細胞傷害性を示すことを意味する。「誘導する」とは、ある活性若しくは作用をほとんど持たないものまたは状態から、該活性若しくは該作用を発生させることを意味する。特に、本明細書において、抗原特異的なCTLを誘導するとは、インビトロあるいはインビボにおいて、ある抗原を特異的に認識するCTLを分化および/または増殖させることを意味する。また、本明細書において細胞傷害性T細胞の誘導剤とは、ある抗原を特異的に認識するCD8陽性T細胞が存在しないあるいは非常に低い割合でしか存在しない状態から、該抗原を認識する細胞傷害性T細胞が非常に多い割合で存在するような状態へと変化させる作用を示す薬剤を意味する。
【0016】
(腫瘍抗原遺伝子の単離・同定)
本発明に係る腫瘍抗原をコードする遺伝子の単離・同定は、後述する実施例に詳細に示したように、11−18細胞のcDNAとHLA−A2402cDNAとをCOS−7細胞に共遺伝子導入し、該導入遺伝子が発現された細胞のうち、GK−CTLからのIFN−γ産生を促進するものを選択することにより行った。その結果、GK−CTLによりHLA−A24拘束性に認識される遺伝子産物をコードする7種類のcDNAクローン、すなわちクローン5、クローン114、クローン50、クローン83、クローン111、クローン96、およびクローン122が得られた。
【0017】
得られたcDNAクローンの塩基配列をダイデオキシヌクレオチドシークエンシング法により決定した。また、クローン114については、その塩基配列と部分的に相同性を有するクローン19−5−114が得られた。これらの塩基配列を配列表の配列番号767〜774に記載した(下記の表1を参照)。これらの塩基配列について、GenBank等の既存のデータベースに対して相同性検索を行ったところ、下記に示すような遺伝子と相同性はあるものの、これらは新規な塩基配列を有するcDNAであった。見い出された相同性の高いヒト由来遺伝子の塩基配列および推定アミノ酸配列は開示されているものの、これらが腫瘍抗原をコードしているという報告はない。
【0018】
クローン5の塩基配列は、GenBank(アクセッション番号:Y17151、AF104943、AF085692、AF085690、AF009670、NM_003786)に登録されたMRP3遺伝子(Multidrug Resistance−associated Protein 3)のものと高い相同性が認められた。MRP3遺伝子は、ABC(ATP−bindingcassette)トランスポーターに属し、その機能として多剤耐性への関与が報告されている。
【0019】
クローン114の塩基配列は、GenBankにアクセッション番号:AF131846として登録されている機能未知の遺伝子であるクローン25028と部分的に相同性が認められた。クローン114は3648bpの塩基からなり、その3′側の塩基配列はAF131846の塩基配列の第197番目〜1676番目と相同であるが、その他の塩基配列には相同性はない。また、クローン19−5−114の塩基配列第185番目以降は、クローン114の塩基配列第2861番目以降と、またAF131846の塩基配列第907番目〜1676番目と相同であるが、第1〜第184番目はこれらと相同性は認められない。したがって、クローン114とクローン19−5−114とは選択的スプライシング変異体(alternative splicing variant)または同一ファミリーの別遺伝子であると考えられる。
【0020】
クローン50の塩基配列は、GenBank(アクセッション番号:AK000393)に登録されている機能未知の遺伝子であるKIAA4184(ヒトcDNA FLJ20386fis)のものと高い相同性が認められた。しかしクローン50には多型や変異のある可能性がある。
【0021】
クローン83の塩基配列は、GenBankにアクセッション番号:AB024745として登録されている機能未知の遺伝子であるFe65L2と相同性が認められた。クローン83は4200bpの塩基よりなり、塩基配列第158番目〜第566番目が、AB024745の塩基配列第1番目〜第409番目と相同であるが他の塩基配列には相同性は認められなかった。
【0022】
クローン111の塩基配列は、GenBankにアクセッション番号:AF093250、AJ130894として登録されている機能未知の遺伝子であるp38IP(p38 Interacting Protein)のものと相同性が認められた。クローン111は2952bpの塩基よりなり、塩基配列第8番目〜第579番目が、AJ130894の塩基配列第38番目〜第854番目と相同であるが他の塩基配列には相同性は認められなかった。
【0023】
クローン96の塩基配列は、GenBank(アクセッション番号:NM_006527、Z71188)に登録されたHBP遺伝子(Hairpin−Binding Protein,histone)のものと相同であった。HBP遺伝子は、RNA結合蛋白質としてヒストンmRNA前駆体のプロセシングへの関与が報告されているが、腫瘍抗原としての報告はなされていない。
【0024】
クローン122は、GenBank(アクセッション番号:NM_006007、AF062347、AF062346)に登録された機能未知のZFN216遺伝子(Zinc Finger Protein 216)の新規選択的スプライシング変異体(alternative splicing variant)である。クローン122は2004bpの塩基よりなり、塩基配列第232番目〜第2004番目は、NM_006007の塩基配列第653番目〜2425番目と同一であるが、5′末端側の塩基配列が異なる。
【0025】
以下、クローン5、クローン114、クローン19−5−114、クローン50、クローン83、クローン111、クローン96、およびクローン122を、それぞれ遺伝子1、遺伝子2、遺伝子3、遺伝子4、遺伝子5、遺伝子6、遺伝子7、および遺伝子8と称することもある。また遺伝子1〜8の遺伝子産物をそれぞれ遺伝子産物1〜8と呼ぶ。
【0026】
これら8つの遺伝子は腫瘍抗原をコードする遺伝子であり、上記のように細胞で発現させると、HLA−A24拘束性のCTLにより認識され、該CTLを活性化できる。これら各遺伝子がコードするアミノ酸配列を、各遺伝子毎にフレーム1(FL1)、フレーム2(FL2)、およびフレーム3(FL3)の全読み取り枠について推定した。その結果得られた5個以上のアミノ酸からなるペプチドを、FL1、FL2、およびFL3についてそれぞれ、クローン5は配列表の配列番号18〜24、配列番号25〜79、および配列番号80〜117;クローン114は配列表の配列番号118〜175、配列番号176〜232、および配列番号233〜289;クローン19−5−114は配列表の配列番号290〜304、配列番号305〜321、および配列番号322〜332;クローン50は配列表の配列番号333〜344、配列番号345〜350、および配列番号351〜365;クローン83は配列表の配列番号366〜406、配列番号407〜437、および配列番号438〜479;クローン111は配列表の配列番号480〜529、配列番号530〜572、および配列番号573〜611;クローン96は配列表の配列番号612〜631、配列番号632〜663、および配列番号664〜675;並びにクローン122は配列表の配列番号676〜702、配列番号703〜732、および配列番号733〜766;に記載した。
【0027】
(腫瘍抗原ペプチドの同定)
腫瘍抗原をコードする上記遺伝子から腫瘍抗原ペプチドを得るために、上記遺伝子1〜8がコードするアミノ酸配列、並びに上記遺伝子と高い相同性を有するMRP3、HBP、およびZFNの遺伝子産物のアミノ酸配列に基づいてペプチドを合成した。HLAに結合可能な腫瘍抗原ペプチドには、HLAの各型に応じて、そのアミノ酸配列にモチーフ(規則的配列)があることが知られている。そこで、HLA−A24に結合し得るペプチドについて、既報〔Kawano K.et al.,Cancer Res.60:3550−3558(2000)〕〔Ibe M.et al.,Immunogenetics 44:233−241(1996)〕に記載の方法により、9merまたは10merのペプチドを設計し合成した。
【0028】
合成した各ペプチドを、HLA−A2402を遺伝子導入したC1R細胞にパルスし、この細胞とGK−CTLとを共に培養して該GK−CTLから産生されるIFN−γを測定し、これを指標にしてGK−CTLにより認識されるペプチドの選択を行った。合成したペプチドのうち、17種類のペプチド(配列表の配列番号1〜17)(表1)が、GK−CTLにより認識され、GK−CTLのIFN−γ産生を促進した。GK−CTLによって認識される上記17種類のペプチドのうち、MRP3由来の4種類、クローン114由来の1種類、クローン19−5−114由来の1種類、クローン50由来の2種類のペプチドについて、CTL活性化作用の用量依存性を検討したところ、いずれも用量依存的にGK−CTLにより認識され、該GK−CTLのIFN−γ産生を促進した。また、MRP3由来の4種類、クローン114由来の2種類、クローン50由来の2種類、クローン83由来の2種類、クローン111由来の1種類、クローン96由来の1種類のペプチドについて、癌患者から得た末梢血単核細胞からCTLを誘導し得るかを検討したところ、これらのペプチドはいずれも癌患者から得た末梢血単核細胞から、標的細胞を認識してIFN−γの産生を促進し且つ該標的細胞を傷害することが可能なCTLをインビトロで誘導した。すなわち、本発明において、HLA−A24拘束性にCTLを誘導および/または活性化することのできる17種類の腫瘍抗原ペプチドを得ることができた。さらに、MRP3由来のペプチドで誘導された上記CTLによる標的細胞の認識が、該標的細胞のMRP3発現に関連することを見い出し、上記CTLは該CTLの誘導に用いたペプチドを特異的に認識することにより、該ペプチドを発現する腫瘍細胞を傷害することを確認した。
【0029】
【表1】
【0030】
(ペプチド)
本発明に係るペプチドは、ヒト肺癌細胞株11−18から得られた上記遺伝子1〜8のいずれか1がコードするペプチドであり、好ましくは配列表の配列番号1〜766、さらに好ましくは配列表の配列番号1〜17のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドである。これらのペプチドは、HLA−A24拘束性の抗原特異的なCTLに認識されるので、該CTLを誘導および/または活性化する腫瘍抗原として使用できる。また、これらのペプチドは、腫瘍抗原エピトープを特定して腫瘍抗原ペプチドを得るための材料として使用できる。例えば、これらのペプチドのアミノ酸配列に基づいて、例えばHLA−A24結合モチーフに適合するものを設計し、該設計されたペプチドからHLA−A24拘束性CTLに認識されるものを選択することにより得られる。当該ペプチドは、HLA−A24と結合して抗原提示細胞表面上に提示され、かつCTLにより認識される腫瘍抗原エピトープとしての性質を有するものであればよく、少なくとも約5個以上、好ましくは約7個以上、さらに好ましくは9個乃至10個のアミノ酸残基からなるペプチドである。特に好ましくは、配列表の配列番号1〜17のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドである。
【0031】
配列表の配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるペプチドは、クローン5のFL1にコードされるペプチドであり、配列表の配列番号18に記載のアミノ酸配列からなるペプチドに含まれている。配列表の配列番号5に記載のアミノ酸配列からなるペプチドは、クローン114のFL2にコードされるペプチドであり、配列表の配列番号230に記載のアミノ酸配列からなるペプチドに含まれている。配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるペプチドは、クローン19−5−114のFL3にコードされるペプチドであり、配列表の配列番号322に記載のアミノ酸配列からなるペプチドに含まれている。配列表の配列番号7または配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるペプチドはそれぞれ、クローン50のFL1またはFL2にコードされるペプチドであり、配列表の配列番号344または配列番号347に記載のアミノ酸配列からなるペプチドに含まれている。配列表の配列番号9または配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるペプチドはクローン83のFL2にコードされるペプチドであり、配列表の配列番号427に記載のアミノ酸配列からなるペプチドに含まれている。配列表の配列番号11または配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるペプチドは、クローン83のFL3にコードされるペプチドであり、配列表の配列番号447に記載のアミノ酸配列からなるペプチドに含まれている。配列表の配列番号13に記載のアミノ酸配列からなるペプチドはクローン111のFL3にコードされるペプチドであり、配列表の配列番号606に記載のアミノ酸配列からなるペプチドに含まれている。配列表の配列番号14または配列番号15に記載のアミノ酸配列からなるペプチドは、クローン96のFL3にコードされるペプチドであり、配列表の配列番号668に記載のアミノ酸配列からなるペプチドに含まれている。配列表の配列番号17に記載のアミノ酸配列からなるペプチドはクローン122のFL3にコードされるペプチドであり、配列表の配列番号737に記載のアミノ酸配列からなるペプチドに含まれている。したがって、配列表の配列番号18、配列番号230、配列番号322、配列番号344、配列番号347、配列番号427、配列番号447、配列番号606、配列番号668、または配列番号737に記載のアミノ酸配列からなるペプチドも、腫瘍抗原としてHLA−A24拘束性CTLにより認識されるので、該CTLの誘導および/または活性化のために好ましく使用できる。また、配列表の配列番号16に記載のアミノ酸配列からなるペプチドは、公知遺伝子ZFN216の遺伝子産物由来のペプチドであるが、このペプチドがHLA−A24拘束性CTLに認識される腫瘍抗原ペプチドであるという報告はない。
【0032】
上記ペプチドは、CTLを誘導および/または活性化するために、単独で使用してもよいし、2つ以上を組み合わせて使用してもよい。腫瘍抗原を認識して活性化されるCTLは、複数の腫瘍抗原を認識する細胞の集団であると考えられる。例えば、上記GK−CTLから限界希釈法によって得られた複数のGK−CTLサブラインは、上記7種類のcDNAクローンをそれぞれ発現させたCOS−7細胞を認識する程度が異なっていた(実施例3および表2を参照)。このように、CTLは種々の抗原を認識する複数の細胞集団であることから、好ましくは上記ペプチドを2つ以上組み合わせて用いることが推奨される。
【0033】
また、このように特定されたペプチドに1個乃至数個のアミノ酸の欠失、置換、付加、または挿入等の変異を導入したものであって、少なくともHLA−A24拘束性CTLにより認識されるペプチドも本発明の範囲に包含される。欠失、置換、付加、または挿入等の変異を導入する手段は自体公知であり、例えばウルマーの技術(Science,219:666,1983)を利用できる。このような変異の導入において、当該ペプチドの基本的な性質(物性、活性、または免疫学的活性等)を変化させないという観点から、例えば、同族アミノ酸(極性アミノ酸、非極性アミノ酸、疎水性アミノ酸、親水性アミノ酸、陽性荷電アミノ酸、陰性荷電アミノ酸、芳香族アミノ酸等)の間での相互置換は容易に想定される。さらに、これら利用できるペプチドは、その構成アミノ基若しくはカルボキシル基等を修飾する等、機能の著しい変更を伴わない程度に改変が可能である。
【0034】
(ポリヌクレオチド)
本発明に係るポリヌクレオチドは、ヒト肺癌細胞株11−18より得られた上記遺伝子1〜8であって、配列表の配列番号767〜774のいずれか1に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドまたはその相補鎖である。配列表の配列番号767に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドは配列表の配列番号18〜24(FL1)、配列番号25〜79(FL2)、および配列番号80〜117(FL3)のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドをコードしている。配列表の配列番号768に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドは配列表の配列番号118〜175(FL1)、配列番号176〜232(FL2)、および配列番号233〜289(FL3)のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドをコードしている。配列表の配列番号769に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドは配列表の配列番号290〜304(FL1)、配列番号305〜321(FL2)、および配列番号322〜332(FL3)のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドをコードしている。配列表の配列番号770に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドは配列表の配列番号333〜344(FL1)、配列番号345〜350(FL2)、および配列番号351〜365(FL3)のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドをコードしている。配列表の配列番号771に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドは配列表の配列番号366〜406(FL1)、配列番号407〜437(FL2)、および配列番号438〜479(FL3)のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドをコードしている。配列表の配列番号772に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドは配列表の配列番号480〜529(FL1)、配列番号530〜572(FL2)、および配列番号573〜611(FL3)のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドをコードしている。配列表の配列番号773に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドは配列表の配列番号612〜631(FL1)、配列番号632〜663(FL2)、および配列番号664〜675(FL3)のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドをコードしている。配列表の配列番号774に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドは配列表の配列番号676〜702(FL1)、配列番号703〜732(FL2)、および配列番号733〜766(FL3)のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドをコードしている。
【0035】
また、本発明に係るポリヌクレオチドは、配列表の配列番号1〜766のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、好ましくは配列番号1〜17のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなる腫瘍抗原ペプチドをコードするものおよびその相補鎖であってもよい。さらに、本発明に係るポリヌクレオチドは、本発明に係るペプチドの腫瘍抗原エピトープをコードする領域に対応する少なくとも約15個以上、好ましくは約21〜30個以上の塩基配列からなるポリヌクレオチドおよびその相補鎖であってもよい。この有用なポリヌクレオチドの選択および塩基配列の決定は、例えば公知の蛋白質発現系を利用して、発現させたペプチドのCTLによる認識および/またはCTL誘導能の確認を行うことにより可能である。
【0036】
さらに、上記ポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドも本発明の範囲に包含される。ポリヌクレオチド分子としてDNA分子を代表例にとると、「DNA分子にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA分子」は、例えばMolecular Cloning:A Laboratory Manual(Sambrookら編、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク、1989年)等に記載の方法によって得ることができる。ここで、「ストリンジェントな条件下でハイブリタイズする」とは、例えば、6×SSC、0.5%SDSおよび50%ホルムアミドの溶液中で42℃にて加温した後、0.1×SSC、0.5%SDSの溶液中で68℃にて洗浄する条件でも依然として陽性のハイブリタイズのシグナルが観察されることを表す。
【0037】
上記ポリヌクレオチドは、HLA−A24を有する細胞で発現させたときに、HLA−A24拘束性の抗原特異的なCTLを誘導することおよび/または該CTLにより認識されることができる。また、該ポリヌクレオチドは、その3′末端にポリ(A)構造を有しているが、ポリ(A)の数は腫瘍抗原として作用するアミノ酸のコード部位に影響するものではなく、該ポリヌクレオチドの有するポリ(A)の数は特に限定されるものではない。
【0038】
本発明に係るポリヌクレオチドは、いずれも本発明に係るペプチドの製造に有用な遺伝子情報を提供するものであり、あるいは核酸としての試薬・標準品としても利用できる。
【0039】
(組換えベクター)
上記ポリヌクレオチドを適当なベクターDNAに組み込むことにより、組換えベクターが得られる。用いるベクターDNAは、宿主の種類および使用目的により適宜選択される。ベクターDNAは、天然に存在するものを抽出したもののほか、増殖に必要な部分以外のDNAの部分が一部欠落しているものでもよい。例えば、染色体、エピソームおよびウイルス由来のベクター、例えば細菌プラスミド由来、バクテリオファージ由来、トランスポゾン由来、酵母エピソーム由来、挿入エレメント由来、酵母染色体エレメント由来、例えばバキュロウイルス、パポバウイルス、SV40、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルス等のウイルス由来のベクター、並びにそれらを組み合わせたベクター、例えばプラスミドおよびバクテリオファージの遺伝学的エレメント由来のベクター、例えばコスミドおよびファージミド等をあげることができる。また、目的により発現ベクターやクローニングベクター等を用いることができる。
【0040】
組換えベクターは、目的の遺伝子配列と複製そして制御に関する情報を担持した遺伝子配列、例えばプロモーター、リボソーム結合部位、ターミネーター、シグナル配列、エンハンサー等、とを構成要素とし、これらを自体公知の方法により組み合わせて作製される。前記ベクターDNAに本発明に係るポリヌクレオチドを組み込む方法は、自体公知の方法を適用し得る。例えば、適当な制限酵素を選択、処理してDNAを特定部位で切断し、次いで同様に処理したベクターとして用いるDNAと混合し、リガーゼによって再結合する方法が用いられる。あるいは、目的のポリヌクレオチドに適当なリンカーをライゲーションし、これを目的に適したベクターのマルチクローニングサイトへ挿入することによっても、所望の組換えベクターを得ることができる。
【0041】
(形質転換体)
上記ポリヌクレオチドが組み込まれたベクターDNAを、自体公知の宿主、例えば大腸菌、酵母、枯草菌、昆虫細胞、または動物細胞等に自体公知の方法で導入することにより形質転換体が得られる。遺伝子の導入を行う場合、より好ましい系としては遺伝子の安定性を考慮するならば染色体内へのインテグレート法があげられるが、簡便には核外遺伝子を利用した自律複製系を用いることができる。ベクターDNAの宿主細胞への導入は、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Sambrookら編、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク、1989)等に記載されている標準的な方法により行うことができる。具体的には、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、マイクロインジェクション、陽イオン脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレープ負荷(scrape loading)、バリスティック導入(ballistic introduction)および感染等を例示できる。
【0042】
(ペプチドの製造)
上記形質転換体に導入するベクターDNAとして発現ベクターを使用すれば、本発明に係るペプチドを提供可能である。上記ポリヌクレオチドが組み込まれた発現ベクターDNAを導入した形質転換体は、各々の宿主に最適な自体公知の培養条件で培養される。培養は、形質転換体により発現される本発明に係るペプチドの作用、特に少なくともCTLを誘導および/または活性化する作用あるいは宿主中または宿主外に産生された該ペプチドまたはペプチド量を指標にして行ってもよいし、培地中の形質転換体量を指標にして継代培養若しくはバッチ培養を行ってもよい。
【0043】
本発明に係るペプチドは、通常のペプチド化学において知られる方法でも製造できる。例えば、ペプチド合成(丸善)1975年、“Peptide Synthesis,Interscience,New York,1996”が例示されるが、無論既知の方法が広く利用可能である。
【0044】
本発明に係るペプチドの回収は、該ペプチドのCTLによる認識を指標にして、例えば該CTLからのIFN−γ産生量を指標にして、分子篩、イオンカラムクロマトグラフィー、若しくはアフィニティクロマトグラフィー等の方法を組み合わせて、または硫安やアルコール等を用いて溶解度差に基づく分画手段によって精製回収できる。より好ましくは、本発明に係るペプチドのアミノ酸配列の情報に基づいて該アミノ酸配列に特異的な抗体を作製し、得られたポリクローナル抗体またはモノクロ−ナル抗体によって、特異的に吸着回収する方法を用いる。
【0045】
(抗体)
本発明に係る抗体は、上記ペプチドを抗原として用いて作製する。抗原は上記ペプチド自体でもまたはその断片でもよく、少なくとも5個、より好ましくは少なくとも8個乃至10個のアミノ酸で構成される。上記ペプチドに特異的な抗体を作製するためには、該ペプチドに固有なアミノ酸配列からなる領域を用いることが好ましい。このアミノ酸配列は、必ずしも該ペプチドのアミノ酸配列と相同である必要はなく、該ペプチドの立体構造上の外部への露出部位が好ましく、露出部位のアミノ酸配列が一次構造上で不連続であっても、該露出部位について連続的なアミノ酸配列であればよい。抗体は、免疫学的に該ペプチドを結合または認識する限り特に限定されない。この結合または認識の有無は、公知の抗原抗体結合反応によって決定される。
【0046】
抗体を産生するためには、自体公知の抗体作製法を利用できる。例えば、本発明に係るペプチドを、アジュバントの存在または非存在下で単独または担体に結合して動物に投与し、体液性応答および/または細胞性応答等の免疫誘導を行うことにより得られる。担体は、それ自体が宿主に対して有害作用をおこさなければ特に限定されず、例えばセルロース、重合アミノ酸、アルブミン等が例示される。免疫される動物は、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ等が好適に用いられる。
【0047】
ポリクローナル抗体は、上記免疫手段を施された動物の血清から自体公知の抗体回収法によって取得される。好ましい手段として免疫アフィニティクロマトグラフィー法が挙げられる。
【0048】
モノクロ−ナル抗体を生産するためには、上記の免疫手段が施された動物から抗体産生細胞(例えば、脾臓またはリンパ節由来のリンパ球)を回収し、自体公知の永久増殖性細胞(例えば、P3−X63−Ag8株等のミエローマ株)への形質転換手段を導入することによって行われる。例えば、抗体産生細胞と永久増殖性細胞とを自体公知の方法で融合させてハイブリドーマを作成してこれをクローン化し、上記ペプチドを特異的に認識する抗体を産生するハイブリドーマを選別し、該ハイブリドーマの培養液から抗体を回収する。
【0049】
かくして得られた、上記ペプチドを認識し結合し得るポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体は、該ペプチドの精製用抗体、試薬、または標識マーカー等として利用できる。
【0050】
(スクリーニング)
上記ペプチド、これらをコードするポリヌクレオチドおよびその相補鎖、上記組換えベクター、該組換えベクターを導入されてなる形質転換体、またはこれらを免疫学的に認識する抗体は、単独または複数を組み合わせることにより、CTLによる該ペプチドの認識を増強し得る物質の同定に有効な手段を提供する。同定方法は、自体公知の医薬品スクリーニングシステムを利用して構築できる。例えば、実施例に示したように、腫瘍抗原ペプチドをパルスした抗原提示細胞によるCTLの誘導および/または該抗原提示細胞のCTLによる認識を、CTLからのIFN−γ産生量を指標にして測定する実験系を用い、ここに被検物質を加えることにより、CTLによる本発明に係るペプチドの認識を増強する物質を選別できる。この実験系は同定方法の1つを説明するものであり、本発明に係る同定方法はこれに限定されない。
【0051】
本発明は、上記同定方法によって得られた化合物も対象とする。該化合物は、本発明に係るペプチド、例えば配列表の配列番号1〜766のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、好ましくは配列表の配列番号1〜17のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、および/またはHLA−A24と相互作用してHLA−A24拘束性CTLによる該ペプチドの認識を増強する化合物であり得る。また、本発明に係るポリヌクレオチドと相互作用してその発現を増強する化合物等も本発明の範囲に包含される。かくして選別された化合物は、生物学的有用性と毒性のバランスを考慮して選別することにより、医薬組成物として調製可能である。
【0052】
(医薬組成物)
本発明に係るペプチドは、腫瘍抗原として、HLA−A24拘束性に抗原特異的なCTLを誘導および/または活性化するために使用できる。すなわち、上記ペプチドを使用することを特徴とするCTLの誘導方法並びに上記ペプチドを含有するCTLの誘導剤も、本発明の範囲に包含される。
【0053】
また、本発明に係るペプチド、該ペプチドをコードするポリヌクレオチドおよびその相補鎖、本発明に係る組換えベクター、該組換えベクターを導入した細胞、該ペプチドを免疫学的に認識する抗体、該ペプチドおよび/またはHLA−A24と相互作用してCTLによる該ペプチドの認識を増強する化合物、または該ポリヌクレオチドと相互作用してその発現を増強する化合物を、単独または複数組み合わせて利用することにより、これらのうち少なくとも1つを含有する医薬組成物を提供できる。HLA−A亜領域の多型の1つであるHLA−A24対立遺伝子(allele)は、日本人の人口の約60%(多くは、その95%の遺伝型がA2402である)、コーカサス人の20%、アフリカ人の12%でみられることから、本発明に係る医薬組成物は、多数の患者においてその効果を期待できる。
【0054】
さらに、本発明に係るペプチド、例えばMRP3のmRNAは、肺癌細胞株、卵巣癌細胞株、および腎癌細胞株(肺癌細胞株:11−18、QG56、SQ−1、RERF−LCM、SLC1−Sq、LC65A、RERF−LCA1、LK79、PC−9、および1−87;卵巣癌細胞株:KOC−3S、KOC−5C、KOC−7C、TYK−nu、RMUG−S、RMG−1、TOC−2、MCAS、RTSG、およびRKN;腎癌細胞株:PC93、RC30−14、PC3、VMRC−RCW、TUHR−4TKB、TUHR−10TKB、RCC−10RGB、およびLNCap)等で発現している。また、肺癌、腎癌、大腸癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、および口腔癌の各患者由来の種々組織においてもMRP3の発現が認められた。従って、上記医薬組成物は癌の治療、例えば肺癌、腎癌、大腸癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、および口腔癌等の治療において有用である。
【0055】
具体的には、例えば本発明に係るペプチドからなる医薬、さらに本発明に係るペプチドを含有する医薬組成物は、いわゆる癌ワクチンとして使用できる。このとき、細胞性免疫の賦活のために、本発明に係るペプチドは適当なアジュバントの存在または非存在下で、単独で用いるかまたは担体に結合して用いる。担体は、それ自体が人体に対して有害作用をおこさなければ特に限定されず、例えばセルロース、重合アミノ酸、アルブミン等が例示される。剤形は、自体公知のペプチドを製剤化する手段を応用して適宜選択できる。その投与量は、CTLによる当該ペプチドの認識の程度により変化するが、一般的には活性本体として0.01mg〜100mg/日/成人ヒト、好ましくは0.1mg〜10mg/日/成人ヒトである。これを数日乃至数ヶ月に1回投与する。
【0056】
または、患者の末梢血より単核細胞画分を採取し、本発明に係るペプチドと共に培養し、CTLが誘導および/または活性化された該単核細胞画分を患者の血液中に戻すことによっても、有効な癌ワクチン効果を得られる。培養するときの単核細胞濃度、本発明に係るペプチドの濃度等の培養条件は、簡単な実験により決定できる。また、培養時、インターロイキン−2等のリンパ球増殖能を有する物質を添加してもよい。
【0057】
癌ワクチンとして本発明に係るペプチドを使用する場合、1つのペプチドのみでも癌ワクチンとして有効であるが、複数の種類の上記ペプチドを組み合わせて使用することもできる。癌患者のCTLは複数の腫瘍抗原を認識する細胞の集団であるため、1種類のペプチドを癌ワクチンとして使用するより複数を組み合わせて癌ワクチンとして使用する方が、より高い効果が得られるときがある。
さらに、本発明に係るペプチド、例えばMRP3の腫瘍細胞株における発現が、一般的に知られている抗癌剤、例えばドキソルビシンやシスプラチン等によって増加することが報告されていることから(Eur.J.Cancer,32:94−657,1996)(Multidrug Resistance inCancer Cells:98−107,New York:John Wiley &Sons,1996)〔J.Natl.Cancer Inst.(Bethesda),92:1295−1302,2000〕、本発明に係るペプチド、医薬組成物、または癌ワクチンを、これら抗癌剤と共に用いたときに、癌に対する高い防止および/または治療効果が得られることがあることは容易に想到できる。
【0058】
本発明に係るペプチドをコードするポリヌクレオチドおよびその相補鎖は、癌の、例えば肺癌、腎癌、大腸癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、および口腔癌等の遺伝子治療のために有用である。これらポリヌクレオチドをベクターに担持させ、直接体内に導入する方法またはヒトから細胞を採取したのち体外で導入する方法があるが、いずれも利用できる。ベクターとしては、レトロウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス等が知られているが、レトロウイルス系が推奨される。無論これらウイルスは複製欠陥性である。その投与量は、CTLによる該ポリヌクレオチドがコードするペプチドの認識の程度により変化するが、一般的には本発明に係る腫瘍抗原ペプチドをコードするDNA含量として0.1μg〜100mg/日/成人ヒト、好ましくは1μg〜50mg/日/成人ヒトである。これを数日乃至数ヶ月に1回投与する。
【0059】
(診断のための測定方法および試薬)
本発明に係るペプチド、該ペプチドをコードするポリヌクレオチドおよびその相補鎖、並びに該ペプチドを免疫学的に認識する抗体は、それ自体を単独で、診断マーカーや試薬等として使用可能である。また本発明は、これらのうちの1種またはそれ以上を充填した、1個またはそれ以上の容器を含んでなる試薬キットも提供する。なお、製剤化にあたっては、自体公知のペプチド、ポリヌクレオチド、または抗体等それぞれに応じた製剤化手段を導入すればよい。
【0060】
本発明に係るペプチドの発現または活性に関連した疾患の診断手段は、例えば当該ペプチドをコードしているポリヌクレオチドとの相互作用や反応性を利用して、相応する核酸の存在量を決定すること、および/または当該ペプチドについて個体中の生体内分布を決定すること、および/または当該ペプチドの存在、個体由来の試料中の存在量を決定することによって行われる。すなわち、本発明に係るペプチドまたはこれらをコードしている核酸を診断マーカーとして定性的にあるいは定量的に測定する。試料中の当該ペプチドまたはこれらをコードしている核酸の定量的または定性的な測定法は当業者に周知の方法を利用できる。このような測定法には、ラジオイムノアッセイ、競合結合アッセイ、ウェスタンブロット分析および酵素免疫固相法(ELISA)等がある。また、核酸は、例えば増幅、PCR、RT−PCR、RNアーゼ保護、ノーザンブロッティングおよびその他のハイブリダイゼーション法を用いてRNAレベルでの検出および定量ができる。
【0061】
測定される試料として、個体由来の細胞、例えば血液、尿、唾液、髄液、組織生検または剖検材料等を例示できる。また、測定される核酸は、上記各試料から自体公知の核酸調製法により得られる。核酸は、ゲノムDNAを検出に直接使用してもよく、あるいは分析前にPCR若しくはその他の増幅法を用いることにより酵素的に増幅してもよい。RNAまたはcDNAを同様に用いてもよい。また、正常遺伝子型との比較において、増幅生成物のサイズ変化により欠失および挿入を検出できる。増幅DNAを標識した上記ペプチドをコードするDNAにハイブリダイゼーションさせることにより点突然変異を同定できる。
【0062】
上記測定により本発明に係るペプチドおよび該ペプチドをコードするDNAの変異、減少、増加を検出することにより、当該ペプチドが関連する疾患、例えば、肺癌、腎癌、大腸癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、および口腔癌等の診断が可能になる。
【0063】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
(HLA−A24拘束性CTLの樹立)
HLA−A24拘束性の腫瘍特異的細胞傷害性Tリンパ球株(CTL)は、肺癌患者(HLA−A2402/A0206)の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)から、文献に記載の方法に準じて樹立した(Int.J.Cancer,81:459〜466,1999、J.Immunol.,163:4997〜5004,1999)。まず、肺癌患者から得たTILを100U/mlの組換えヒト・インターロイキン−2(IL−2)を添加して50日以上長期培養した。培養7日毎にこれらIL−2活性化TILの一部を採取し、種々の腫瘍細胞または正常細胞と共に培養して、IFN‐γ産生の測定により、そのCTL活性を検定した(J.Immunol.,163:4997〜5004,1999)。IFN‐γの測定は、酵素免疫固相法(ELISA)により行った。
【0064】
得られたCTL(以下、GK−CTLと呼ぶ)は図1に示すように、HLA−A2402+11−18肺癌細胞株、Sq−1肺癌細胞、およびPC9肺癌細胞を認識して、IFN−γを産生した。しかし、HLA−A24−腫瘍細胞、COS−7細胞、およびVA−13細胞を認識しなかった。このことから、GK−CTLが、HLA−A24拘束性CTLであることが確認された。
【0065】
なお、上記腫瘍細胞のHLAクラスI対立遺伝子の遺伝子型は、既報(Canc.Immunol.Immunother.,48:147〜152,1999)に記載されている。また上記患者のHLAクラスIの抗原型は、末梢血単核細胞(PBMC)を用いて従来の血清学的方法で決定した。さらに、HLA−A2/A24サブタイプは、配列特異的オリゴヌクレオチドプローブ法とDNA配列決定法(ダイデオキシヌクレオチドシークエンシング法)によって決定した。
【0066】
【実施例2】
(腫瘍抗原をコードするcDNAクローンの単離・同定)
実施例1で得たGK−CTLにより認識されるヒト肺癌細胞株11−18の腫瘍抗原をコードする遺伝子は、既知の方法(J.Immunol.,163:4997〜5004,1999)に準拠して単離・同定した。まず、11−18細胞のpoly(A)+RNAをcDNAに転換してSalIアダプターにライゲーションし、発現ベクターpCMV−SPORT−2(Invitrogen社製)に挿入した。また、HLA−A2402のcDNAを、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって得、真核細胞発現ベクターpCR3(Invitrogen社製)にクローン化した。
【0067】
11−18細胞から得られた上記cDNAクローンは100クローンずつプールし、各ウエル毎にプールしたcDNAの200ngと、HLA−A2402のcDNAの200ngとを、100μlのlipofectoamine(Invitrogen社製)/Opti−MEM(Invitrogen社製)1:200混液中で30分間混合した。この混合物の50μlをCOS−7細胞(1×105)に加え、6時間インキュベーションして共遺伝子導入した。次いで10%FCSを含むRPMI−1640培地を加えて2日間培養し、GK−CTL(2×104)を各ウエルに添加した。さらに18時間インキュベーションした後に、上清の100μlを採り、産生されたIFN−γをELISAで測定し、cDNAライブラリーのプールをスクリーニングした。このとき、ネガティブコントロールとして遺伝子を導入していないCOS−7細胞を標的細胞としてGK−CTLによるIFN−γ産生を検討し、産生されたIFN−γの値をバックグランドとして各測定値から減算した。
【0068】
その結果、CTLからのIFN−γ産生を促進した上記11−18細胞cDNAライブラリーのプールについて再現性を確認し、次いで当該再現性が確認されたcDNAプールから個別にクローンを取り出し、上記同様にスクリーニングを行って、CTLに認識される独立プール由来のクローンを選別した。さらに、得られたクローンの用量依存性を上記同様の方法で確認し、最終的に8種類のクローン、すなわちクローン5、クローン114、クローン50、クローン83、クローン111、クローン96、クローン122、クローン19−5−114を得た。これら8種類のcDNAクローンは、それぞれHLA−A2402cDNAと共にCOS−7細胞に共遺伝子導入したときは、用量依存的にGK−CTLにより認識されてIFN−γ産生を促進した。しかし、これらのcDNAクローンをHLA−A2602cDNAと共に共遺伝子導入したときには、GK−CTLからのIFN−γ産生の促進は観察されなかった。クローン5、クローン114、クローン50、クローン83、クローン111、クローン96、およびクローン122について、それぞれ図2〜図8に示す。このことから、得られたcDNAクローンがHLA−A24拘束性にGK−CTLにより認識され得る腫瘍抗原をコードしていることが確認された。一方、発現ベクターpCMV−SPORT−2のみを各型のHLAと共に共遺伝子導入したCOS−7細胞では、GK−CTLからのIFN−γ産生は促進されなかった(図示せず)。
【0069】
得られたcDNAクローンの塩基配列の決定は、DNAシークエンシングキット(Perkin−Elmer社製)を用い、ABI PRISMTM377DNA Sequencer(Perkin−Elmer社製)を使用して、ダイデオキシヌクレオチドシークエンシング法により行った。さらに、得られた各塩基配列(配列表の配列番号767〜774)から、各遺伝子がコードするアミノ酸配列をフレーム1、フレーム2、フレーム3の読み取り枠について推定した。また、クローン19−5−114は、シークエンシングの結果、クローン114の選択的スプライシング変異体であることが判明した。
【0070】
【実施例3】
(GK−CTLサブラインの樹立)
GK−CTLサブラインは、GK−CTL親株から、限界希釈培養(0.3、0.5、1、2および4細胞/ウエル)によって樹立した〔J.Immunol.,163,4997〜5004、1999〕。これらのサブラインは、上記遺伝子の各100ng/ウエルとHLA−A2402cDNAの100ng/ウエルとを共遺伝子導入したCOS−7細胞または腫瘍細胞と細胞比1:1で培養し、そのIFN−γ産生量を指標にして選択したものである。これらサブラインのうち、4種類のCTLサブラインがクローン5(MRP3)、3種類のCTLサブラインがクローン50、5種類のCTLサブラインがクローン83、3種類のCTLサブラインがクローン96(HBP)、3種類のCTLサブラインがクローン111、1種類のCTLサブラインがクローン114、および2種類のCTLサブラインがクローン122(ZFN)を発現したCOS−7細胞に対して反応性を示した(表2)。すなわち、CTLサブラインにより、認識する腫瘍抗原ペプチドが異なることが判明した。このことから、GK−CTL、すなわち癌患者のCTLは複数の腫瘍抗原を認識する細胞の集団であることが示唆された。
【0071】
【表2】
【0072】
【実施例4】
(腫瘍抗原ペプチドの調製およびそのCTL誘導活性)
実施例2で単離・同定した腫瘍抗原をコードする8種類の遺伝子から腫瘍抗原ペプチドを得るために、まずHLA−A24に結合し得るモチーフ(規則的配列)に基づいて、既報〔Kawano K.et al.,Cancer Res.60:3550−3558(2000)〕〔Ibe M.et al.,Immunogenetics 44:233−241(1996)〕に記載の方法により、上記遺伝子1〜8がコードするアミノ酸配列、並びに当該遺伝子と高い相同性を有するMRP3、HBP、およびZFNの遺伝子産物のアミノ酸配列から、それぞれ異なる9merまたは10merのペプチドを設計し、合計72種類のペプチド(70%以上の純度)を自体公知の方法で合成した。31種類はクローン5(表3)、10種類はクローン114(表4)、1種類はクローン19−5−114(表4のペプチド114−3−54)、6種類はクローン50(表5)、11種類はクローン83(表6)、2種類はクローン111(表7)、7種類はクローン96(表8)、3種類はクローン122(表9)、1種類はZFN遺伝子(表9のペプチド122−20)がコードするアミノ酸配列から設計したペプチドである。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
【表5】
【0076】
【表6】
【0077】
【表7】
【0078】
【表8】
【0079】
【表9】
【0080】
上記合成した各ペプチド(終濃度10μM)を、HLA−A2402を遺伝子導入したC1R細胞(以下、C1R/A2402細胞と呼ぶ)と、5%CO2−95%Airにて37℃で2時間インキュベーションし、当該各ペプチドを細胞表面上に発現したHLA−A2402に結合させた。このように各ペプチドをパルスしたC1R/A2402細胞を標的細胞(T)として用いた。また、GK−CTLをエフェクター細胞(E)として用いた。標的細胞1×104個とエフェクター細胞2×104個とを混合し(E/T比=2)、18時間インキュべーションした。インキュベーション後の上清の100μlを回収してELISAによりIFN−γを測定した。ペプチドをパルスしていないC1R/A2402細胞に対するCTLのIFN−γ産生をバックグランドとして、各測定値から減算した。その結果、上記表1に示す17種類のペプチドがそれぞれGK−CTLに認識され、GK−CTLのIFN‐γ産生を促進した。結果を図9〜図15に示した。
【0081】
さらに、GK−CTLによって認識される上記17種類のペプチドのうち、クローン5由来の4種類(ペプチド5−503、5−692、5−765、および5−1293)、クローン114由来の1種類(ペプチド114−1−275)、クローン19−5−114由来の1種類(ペプチド114−3−54)、クローン50由来の2種類(ペプチド50−1−767および50−2−383)について、用量依存性を検討したところ、いずれも用量依存的にGK−CTLに認識され、GK−CTLのIFN−γ産生を促進した(図16〜23)。
【0082】
【実施例5】
(ペプチドによる癌患者末梢血単核細胞からのCTL誘導)
実施例4で得た腫瘍抗原ペプチドのうち、クローン50由来の2種類(ペプチド50−1−767および50−2−383)、クローン83由来の2種類(ペプチド83−3−297および83−3−301)、クローン96由来の1種類(ペプチド96−3−380)、クローン111由来の1種類(ペプチド111−3−815)、クローン114由来の1種類(ペプチド114−1−275)、並びにクローン19−5−114由来の1種類(ペプチド114−3−54)について、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)からのインビトロでのCTL誘導能を、IFN−γ産生を指標にして検討した。PBMCは、6人のHLA−A24陽性の肺癌患者並びに6人の健常人の末梢血からそれぞれ常法通り調製した。まず、PBMCの1×105個を96ウエルU底型マイクロカルチャープレート(Nunc社製)の各ウエルに加え、10μg/mlの上記各ペプチドと共に200μlの培養培地中でインキュベーションした。培地は45%RPMI−1640、45%AIM−V(Invitrogen社)、10%牛胎児血清(FCS)、100U/mlのヒト・インターロイキン−2、および0.1μM MEMノンエッセンシャル・アミノ酸溶液(Invitrogen社)からなるものを用いた。培養3日目毎に半量の培地を除き、対応する各ペプチドを含む上記組成の培地と交換した。このように培地交換によるペプチド刺激を5回行い、最終刺激を行った翌日に細胞を回収して洗浄した後に標的細胞と反応させ、上清に産生されるIFN−γ量を実施例4と同様に測定した。標的細胞としては、11−18肺癌細胞(HLA−A24+)または対応する各ペプチドをパルスしたC1R/A2402細胞を用いた。このとき、QG56細胞(HLA−A24−)またはHIVペプチドをパルスしたC1R/A2402細胞に対するCTLのIFN−γ産生をバックグランドとして、11−18肺癌細胞または各ペプチドをパルスしたC1R/A2402細胞を標的細胞として用いたときに得られた測定値から減算した。また、エプスタイン・バ−・ウイルス(EBV)由来のHLA−A24結合モチーフに適合するペプチドを陽性コントロールとして使用した。
【0083】
その結果を図24から図26に示した。図24は、エフェクター細胞としてペプチド刺激した肺癌患者由来のPBMCを用い、標的細胞として対応する各ペプチドをパルスしたC1R/A2402細胞を用いた結果を示す。図25は、エフェクター細胞としてペプチド刺激した肺癌患者由来のPBMCを用い、標的細胞として11−18肺癌細胞を用いた結果を示す。図26は、エフェクター細胞としてペプチド刺激した健常人由来のPBMCを用い、標的細胞として対応する各ペプチドをパルスしたC1R/A2402細胞を用いた結果を示す。図中、各バーは6人の肺癌患者または健常人から得たPBMCについての結果にそれぞれ対応する。
【0084】
図24および図25に示したように、上記8種類のペプチドとそれぞれインキュベーションした肺癌患者由来のPBMCは、刺激に用いた各ペプチドと同じペプチドをパルスしたC1R/A2402細胞、または11−18肺癌細胞を認識して、IFN−γの産生を促進した。すなわち、上記8種類のペプチドは、肺癌患者のPBMCから、これらペプチドを認識してIFN−γ産生を促進するHLA−A24拘束性CTLをインビトロで誘導できた。一方、図26に示したように、健常人から得たPBMCにおいては、ペプチド114−1−275を例外として、刺激に用いた各ペプチドと同じペプチドをパルスしたC1R/A2402細胞と反応させても、IFN−γ産生の促進はみられないか、またはその程度が低かった。なお、癌患者によって、各ペプチドによるCTL誘導の程度に個体差があるのは、CTLが既に前駆体の段階で、複数の抗原を認識する細胞の集団であるためと考えられる。
【0085】
また、ペプチドで5回刺激した肺癌患者由来の上記PBMCを、さらにペプチド非存在下且つIL−2(100units/ml)存在下で1ヶ月間培養した後、得られた細胞の11−18肺癌細胞に対する細胞傷害性を、E/T比2.5:1〜20:1における標準的な6時間の51Cr遊離試験で測定し、得られた結果を%特異的溶解で表した(図27)。同時にHLA−A24−腫瘍細胞であるQG56肺癌細胞に対する細胞傷害性を測定した。
【0086】
その結果、上記でペプチド刺激された肺癌患者由来のPBMCは、E/T比に依存してHLA−A24+腫瘍細胞である11−18肺癌細胞を認識し、細胞傷害性を示した。しかし、HLA−A24−腫瘍細胞であるQG56細胞に対しては細胞傷害性は示さなかった。代表的な例を図27に示す。すなわち、上記8種類のペプチドは、肺癌患者のPBMCから、HLA−A24拘束性に腫瘍細胞を認識して細胞傷害性を示すCTLを誘導した。
【0087】
【実施例6】
実施例4で得た腫瘍抗原ペプチドのうち、MRP3由来の4種類のペプチド(MRP3−503、MRP3−692、MRP3−765およびMRP3−1293)について、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)からのインビトロでのCTL誘導能を、IFN−γ産生を指標にして検討した。PBMCは、いずれもHLA−A24陽性の、肺癌患者3人、腎癌患者4人、および大腸癌患者2人、並びに健常人3人の末梢血からそれぞれ常法通り調製した。得られたPBMCと上記ペプチド各10μMとを実施例5と同様に培養し、ペプチド刺激を4回行った。最終刺激を行った翌日に細胞を回収して洗浄した後に標的細胞と反応させ、上清に産生されるIFN−γ量を実施例4と同様に測定した。標的細胞としては、Sq−1肺癌細胞(HLA−A24+)または対応する各ペプチドをパルスしたC1R/A2402細胞を用いた。このとき、QG56細胞(HLA−A24−)またはペプチドをパルスしていないC1R/A2402細胞に対するCTLのIFN−γ産生をバックグランドとして、Sq−1肺癌細胞または各ペプチドをパルスしたC1R/A2402細胞を標的細胞として用いたときに得られた測定値から減算した。また、エプスタイン・バ−・ウイルス(EBV)由来のHLA−A24結合モチーフに適合するペプチドを陽性コントロールとして、HIV由来のペプチドを陰性コントロールとして使用した。その結果を図28および図29に示した。
【0088】
図28は、肺癌患者由来のPBMCについての結果を代表例として示したものである。図28のAから明らかなように、MRP3由来の4種類のペプチドとそれぞれインキュベーションした該PBMCは、Sq−1肺癌細胞(HLA−A24+)または刺激に用いた各ペプチドと同じペプチドをパルスしたC1R/A2402細胞を認識してIFN−γ産生を促進した。すなわち、上記4種類のペプチドは、これらペプチドを認識してIFN−γ産生を促進するHLA−A24拘束性CTLを、肺癌患者のPBMCからインビトロで誘導できた。さらに、該誘導されたCTLについて、ペプチド認識の特異性を検討した結果、図28のBに示したように、各ペプチドにより誘導されたCTLは、刺激に用いた各ペプチドをパルスしたC1R/A2402細胞を認識してIFN−γ産生を促進したが、他のペプチドをパルスした細胞の認識およびIFN−γ産生量は低かった。すなわち、各ペプチドにより誘導されたCTLは、該誘導に用いたペプチドを特異的に認識することが判明した。
【0089】
また、図29に示したように、上記4種類の各ペプチドにより刺激された肺癌患者3人、腎癌患者4人、および大腸癌患者2人から得たPBMCは、刺激に用いた各ペプチドと同じペプチドをパルスしたC1R/A2402細胞および/またはSq−1肺癌細胞(HLA−A24+)を認識してIFN−γ産生を促進した(図29のAおよびB)。一方、健常人から得たPBMCにおいては、これらのペプチドで刺激しても、上記標的細胞に対するIFN−γ産生量は低かった。すなわち、上記4種類のペプチドはこれらペプチドを認識してIFN−γ産生を促進するHLA−A24拘束性CTLを、肺癌患者、腎癌患者、および大腸癌患者のPBMCからインビトロで誘導できた。
【0090】
また、ペプチドで4回刺激した癌患者由来の上記PBMCを、放射線照射した後に対応するペプチドをパルスした自己PBMCを抗原提示細胞として用いてさらに培養した。該培養の3日目および7日目に、抗原提示細胞非存在下でペプチドにより刺激し、さらにIL−2のみで培養した。細胞を培養28〜42日目に回収してエフェクター細胞として用い、標的細胞としてHLA−A24+腫瘍細胞であるSq−1肺癌細胞若しくは11−8肺癌細胞または刺激に用いたペプチドと同じペプチドをパルスしたHLA−A24+EBV−形質転換B細胞を使用して、標的細胞に対する細胞傷害性を、実施例5と同様に測定し、得られた結果を%特異的溶解で表した(図30)。同時にHLA−A24−腫瘍細胞であるQG56肺癌細胞に対する細胞傷害性を測定した。
【0091】
その結果、上記ペプチドで刺激された癌患者由来のPBMCは、E/T比に依存して上記各標的細胞を認識し、細胞傷害性を示した。しかし、HLA−A24−腫瘍細胞であるQG56細胞に対しては細胞傷害性は示さなかった。代表的な例を図30のAおよびBに示す。すなわち、上記MRP3由来の4種類のペプチドは、肺癌患者、腎癌患者、または大腸癌患者のPBMCから、HLA−A24拘束性に腫瘍細胞を認識して細胞傷害性を示すCTLを誘導した。また、図30のBから分かるように、MRP3−503で誘導したCTLは、MRP3−503をパルスした細胞を認識するが、MRP3−765をパルスした細胞は認識せず、逆にMRP3−765で誘導したCTLは、MRP3−765をパルスした細胞を認識するが、MRP3−503をパルスした細胞は認識しないことから、上記ペプチドにより誘導されたCTLは、該誘導に用いたペプチド特異的を特異的に認識することが確認された。
【0092】
さらに、上記CTLによる腫瘍細胞の認識は、該腫瘍細胞のMRP3発現に関連していることを確認した。すなわち、上記CTLは、HLA−A24+であってMRP3を発現しているSq−1肺癌細胞とTUHR−10TKB腎癌細胞を認識してIFN−γ産生を促進したが、HLA−A24+であってMRP3の発現が低いCaki−1腎癌細胞、HLA−A24−であってMRP3の発現が低いKUR−11腎癌細胞、およびHLA−A24−であってMRP3を発現しているQG56肺癌細胞に対する認識の程度およびIFN−γ産生量が低かった。その結果を、肺癌患者由来のPBMCからMRP3由来のペプチドにより誘導されたCTLを例として図31のAに示した。さらに、本来MRP3の発現が低いCaki−1腎癌細胞にMRP3−692をパルスすると、図31のBに示したように、MRP3−692の刺激で誘導されたCTLに認識されることを見い出した。一方、HIVペプチドでパルスしたCaki−1腎癌細胞は、MRP3−692の刺激で誘導されたCTLに認識されなかった。
【0093】
また、各種腫瘍細胞株を用いてそのMRP3 mRNAの発現をノザンブロッティングにより検討したところ、検討した肺癌細胞株、卵巣癌細胞株、および腎癌細胞株各10種類のうち、腎癌細胞株2種類を除く全てで、MRP3の発現が確認された(肺癌細胞株:11−18、QG56、SQ−1、RERF−LCM、SLC1−Sq、LC65A、RERF−LCA1、LK79、PC−9、および1−87;卵巣癌細胞株:KOC−3S、KOC−5C、KOC−7C、TYK−nu、RMUG−S、RMG−1、TOC−2、MCAS、RTSG、およびRKN;腎癌細胞株:PC93、RC30−14、PC3、VMRC−RCW、TUHR−4TKB、TUHR−10TKB、RCC−10RGB、およびLNCap)。一方、非腫瘍性細胞株であるCOS−7細胞、VA13細胞、および293T細胞や、EBV形質転換細胞であるSS−EBB細胞では、MRP3の発現は低かった。また、肺癌、腎癌、大腸癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、および口腔癌の各患者由来の種々組織においてもMRP3の発現が認められた。このことから、上記MRP3由来のペプチドは、上記検討において用いた11−18肺癌細胞やSq−1肺癌細胞だけでなく、MRP3を発現している様々な腫瘍細胞に対してHLA−A24拘束性に細胞傷害性を示すCTLを誘導できると考えられる。すなわち、MRP3由来のペプチドは、種々の癌、例えば肺癌、腎癌、大腸癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、および口腔癌等の防止および/または治療に有用である。
【0094】
【発明の効果】
本発明により、HLA−A24拘束性の細胞傷害性T細胞を誘導および/または活性化せしめることができ、上皮性癌および腺癌等の、例えば肺癌等の特異的免疫療法が可能になる。HLA−A24対立遺伝子(allele)は、日本人の人口の約60%(多くは、その95%の遺伝型がA2402である)、コーカサス人の20%、アフリカ人の12%でみられる。従って、本発明は、癌治療において多大な貢献を期待し得る。また、本発明は、上皮性癌および腺癌等の、T細胞による認識に関する分子の基礎的研究にも多大に寄与するものである。
【0095】
【配列表フリーテキスト】
配列表の配列番号 1:腫瘍抗原として作用する設計されたペプチド。
配列表の配列番号 2:腫瘍抗原として作用する設計されたペプチド。
配列表の配列番号 3:腫瘍抗原として作用する設計されたペプチド。
配列表の配列番号 4:腫瘍抗原として作用する設計されたペプチド。
配列表の配列番号 5:腫瘍抗原として作用する設計されたペプチド。
配列表の配列番号 6:腫瘍抗原として作用する設計されたペプチド。
配列表の配列番号 7:腫瘍抗原として作用する設計されたペプチド。
配列表の配列番号 8:腫瘍抗原として作用する設計されたペプチド。
配列表の配列番号 9:腫瘍抗原として作用する設計されたペプチド。
配列表の配列番号10:腫瘍抗原として作用する設計されたペプチド。
配列表の配列番号11:腫瘍抗原として作用する設計されたペプチド。
配列表の配列番号12:腫瘍抗原として作用する設計されたペプチド。
配列表の配列番号13:腫瘍抗原として作用する設計されたペプチド。
配列表の配列番号14:腫瘍抗原として作用する設計されたペプチド。
配列表の配列番号15:腫瘍抗原として作用する設計されたペプチド。
配列表の配列番号16:腫瘍抗原として作用する設計されたペプチド。
配列表の配列番号17:腫瘍抗原として作用する設計されたペプチド。
【0096】
【配列表】
【0097】
【図面の簡単な説明】
【図1】 GK−CTL(HLA−A2402/A0206)が、HLA−A24拘束性に腫瘍細胞を認識してIFN−γを産生することを示す図である。
【図2】 ヒト肺癌細胞株11−18から得た腫瘍抗原遺伝子であるクローン5(MRP3)がコードする腫瘍抗原が、GK−CTLにHLA−A2402拘束性かつ用量依存的に認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図3】 ヒト肺癌細胞株11−18から得た腫瘍抗原遺伝子であるクローン114がコードする腫瘍抗原が、GK−CTLにHLA−A2402拘束性かつ用量依存的に認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図4】 ヒト肺癌細胞株11−18から得た腫瘍抗原遺伝子であるクローン50がコードする腫瘍抗原が、GK−CTLにHLA−A2402拘束性かつ用量依存的に認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図5】 ヒト肺癌細胞株11−18から得た腫瘍抗原遺伝子であるクローン83がコードする腫瘍抗原が、GK−CTLにHLA−A2402拘束性かつ用量依存的に認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図6】 ヒト肺癌細胞株11−18から得た腫瘍抗原遺伝子であるクローン111がコードする腫瘍抗原が、GK−CTLにHLA−A2402拘束性かつ用量依存的に認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図7】 ヒト肺癌細胞株11−18から得た腫瘍抗原遺伝子であるクローン96がコードする腫瘍抗原が、GK−CTLにHLA−A2402拘束性かつ用量依存的に認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図8】 ヒト肺癌細胞株11−18から得た腫瘍抗原遺伝子であるクローン122がコードする腫瘍抗原が、GK−CTLにHLA−A2402拘束性かつ用量依存的に認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図9】 腫瘍抗原遺伝子であるクローン5(MRP3)の遺伝子産物由来の腫瘍抗原ペプチドが、GK−CTLに認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図10】 腫瘍抗原遺伝子であるクローン114またはクローン19−5−114の遺伝子産物由来の腫瘍抗原ペプチドが、GK−CTLに認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図11】 腫瘍抗原遺伝子であるクローン50の遺伝子産物由来の腫瘍抗原ペプチドが、GK−CTLに認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図12】 腫瘍抗原遺伝子であるクローン83の遺伝子産物由来の腫瘍抗原ペプチドが、GK−CTLに認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図13】 腫瘍抗原遺伝子であるクローン111の遺伝子産物由来の腫瘍抗原ペプチドが、GK−CTLに認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図14】 腫瘍抗原遺伝子であるクローン96(HBP)の遺伝子産物由来の腫瘍抗原ペプチドが、GK−CTLに認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図15】 腫瘍抗原遺伝子であるクローン122(ZFN)の遺伝子産物由来の腫瘍抗原ペプチドが、GK−CTLに認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図16】 腫瘍抗原ペプチド5−503(MRP3−503)が、ペプチド用量依存的にGK−CTLに認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図17】 腫瘍抗原ペプチド5−692(MRP3−692)が、ペプチド用量依存的にGK−CTLに認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図18】 腫瘍抗原ペプチド5−765(MRP3−765)が、ペプチド用量依存的にGK−CTLに認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図19】 腫瘍抗原ペプチド5−1293(MRP3−1293)が、ペプチド用量依存的にGK−CTLに認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図20】 腫瘍抗原ペプチド114−1−275が、ペプチド用量依存的にGK−CTLに認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図21】 腫瘍抗原ペプチド114−3−54が、ペプチド用量依存的にGK−CTLに認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図22】 腫瘍抗原ペプチド50−1−767が、ペプチド用量依存的にGK−CTLに認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図23】 腫瘍抗原ペプチド50−2−383が、ペプチド用量依存的にGK−CTLに認識され、そのIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図24】 腫瘍抗原ペプチドとインキュベーションした肺癌患者由来のPBMCが、対応する各ペプチドをパルスした細胞を認識してIFN−γ産生を促進することを示した図である。
【図25】 腫瘍抗原ペプチドとインキュベーションした肺癌患者由来のPBMCが、11−18肺癌細胞(HLA−A24+)を認識してIFN−γ産生を促進することを示した図である。
【図26】 腫瘍抗原ペプチドとインキュベーションした健常人由来のPBMCをエフェクター細胞とし、対応する各ペプチドをパルスした細胞を標的細胞として反応させたときのIFN−γ産生量を示した図である。
【図27】 腫瘍抗原ペプチドが、肺癌患者由来のPBMCから、HLA−A24拘束性腫瘍特異的細胞傷害性T細胞を誘導し得ることを示す図である。図中、実線は11−18肺癌細胞(HLA−A24+)に対する細胞傷害性を、破線はQG56肺癌細胞(HLA−A24−)に対する細胞傷害性を示した。
【図28】 腫瘍抗原ペプチド(MRP3−503、MRP3−692、MRP3−765、またはMRP3−1293)とインキュベーションした肺癌患者由来のPBMCが、Sq−1肺癌細胞(HLA−A24+)または対応する各ペプチドをパルスした細胞を認識してIFN−γ産生を促進すること(A図)、および該ペプチドとインキュベーションしたPBMCが、該ペプチドを特異的に認識してIFN−γ産生を促進すること(B図)を示す図である。
【図29】 腫瘍抗原ペプチド(MRP3−503、MRP3−692、MRP3−765、またはMRP3−1293)により刺激された、肺癌患者3人、腎癌患者4人、および大腸癌患者2人から得たPBMCが、刺激に用いた各ペプチドと同じペプチドをパルスした細胞(A図)および/またはSq−1肺癌細胞(HLA−A24+)(B図)を認識してIFN−γ産生を促進することを示す図である。
【図30】 腫瘍抗原ペプチド(MRP3−503、MRP3−692、MRP3−765、またはMRP3−1293)が、肺癌患者または腎癌患者のPBMCから、HLA−A24拘束性腫瘍特異的細胞傷害性T細胞を誘導し得ることを、Sq−1肺癌細胞および/または11−18肺癌細胞(A図)、あるいはMRP3−503若しくはMRP3−765をパルスした細胞(B図)に対する細胞傷害性を例として示す図である。A図において、QG56肺癌細胞(HLA−A24−)は陰性対照である。B図において、HIVは陰性対照であるペプチドを、765および503はそれぞれのペプチドをパルスした細胞を意味し、ペプチドなしは、ペプチドをパルスしていない細胞を意味する。
【図31】 腫瘍抗原ペプチド(MRP3−692、MRP3−765、またはMRP3−1293)の刺激で肺癌患者由来のPBMCから誘導されたCTLによる腫瘍細胞の認識が、該腫瘍細胞のMRP3発現に関連していることを示す図である(A図)。B図は、本来MRP3の発現が低いCaki−1腎癌細胞にMRP3−692をパルスすると、MRP3−692の刺激で誘導されたCTLにより認識されることを示す図である。
Claims (17)
- HLA−A24分子結合モチーフを有する配列表の配列番号1から配列番号17のいずれか1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド。
- 請求項1に記載のペプチドを含む医薬。
- 請求項1に記載のペプチドを含む癌ワクチン。
- 肺癌または腎癌の治療に用いる請求項2または3に記載の医薬または癌ワクチン。
- 請求項1に記載のペプチドを含む細胞傷害性T細胞の誘導剤。
- 請求項1に記載のペプチドを使用することを特徴とする生体外での細胞傷害性T細胞の誘導方法。
- 請求項1のペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその相補鎖。
- 請求項1のペプチドをコードするポリヌクレオチドをその一部に含むポリヌクレオチドであって、配列表の配列番号767から配列番号774のいずれか1に記載のポリヌクレオチドまたはその相補鎖。
- ペプチドが細胞傷害性T細胞を誘導するおよび/または細胞傷害性T細胞により認識されるペプチドである、請求項8に記載のポリヌクレオチドまたはその相補鎖。
- 請求項7から9のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドまたはその相補鎖を含有する組換えベクター。
- 組換えベクターが発現組換えベクターである請求項10に記載の組換えベクター。
- 請求項10または11に記載の組換えベクターを導入されてなる形質転換体。
- 請求項12に記載の形質転換体を培養する工程を含む、請求項1に記載のペプチドまたは請求項8から9のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドがコードするペプチドの製造方法。
- 請求項1に記載のペプチドを免疫学的に認識する抗体。
- 請求項1に記載のペプチドおよび/またはHLA−A24と相互作用して少なくともHLA−A24拘束性細胞傷害性T細胞による該ペプチドの認識を増強する化合物、および/または請求項7から9のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド若しくはその相補鎖と相互作用してその発現を増強する化合物の同定方法であって、請求項1に記載のペプチド、請求項7から9のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドまたはその相補鎖、請求項10または11に記載の組換えベクター、請求項12に記載の形質転換体、または請求項14に記載の抗体のうちの少なくとも1つを用いることを特徴とする方法であって、請求項1に記載のペプチドをパルスした抗原提示細胞によるCTLの誘導および/または該抗原提示細胞のCTLによる認識を、CTLからのIFN−γ産生量を指標にして測定する実験系を用い、この系に被検物質である化合物を加えることにより、CTLによる請求項1に記載のペプチドの認識を増強する化合物を選別する同定方法。
- 請求項1に記載のペプチド、請求項7から9のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドまたはその相補鎖、請求項10または11に記載の組換えベクター、請求項12に記載の形質転換体、および請求項14に記載の抗体のうちの少なくとも1つを含有することを特徴とする癌治療に用いる医薬組成物。
- 請求項7から9のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを定量的あるいは定性的に測定する方法であって、腫瘍細胞株を用いて、対象核酸について、相応するmRNAの発現についてノザンブロッテイング法でおこなう方法。
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