JP4096411B2 - 粘着シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は粘着シートに関するものである。更に詳しくは、その粘着シートが水に対する再離解性に優れ、パルプを再生する際に粘着剤および基材が悪影響を及ぼすことなく容易に再離解することのできる、リサイクル工程に混入可能な粘着シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
粘着シートは商業用、事務用、切手等の印紙用、工程管理用、家庭用等非常に広範囲にわたって使用されている。粘着シートの一般的な構成は、表面基材と剥離シートとの間に粘着剤層を挟み込んで、剥離可能な状態にしたものである。
【0003】
表面基材には紙、フィルム、あるいは金属フォイル等が用いられる。粘着シートの剥離シートには、シリコーン化合物やフッ素化合物の如き剥離剤が塗布される。なお、剥離シート用基材には、グラシン紙のような高密度原紙、クレーコート紙、クラフト紙、上質紙などにポリエチレン等の樹脂フィルムをラミネート加工したラミネート紙、あるいはクラフト紙や上質紙等にポリビニルアルコール、澱粉などの水溶性高分子等と顔料とを主成分とする塗被層を設けた樹脂コーティング紙等が上げられる。中でも、ポリエチレンをラミネート加工したラミネート紙が一般的に広く使用されている。
【0004】
また、粘着剤としては、ゴム系、アクリル系、ビニルエーテル系等のエマルジョン、溶剤又は無溶剤型の各種粘着剤が使用される。かかる粘着シートは、商品等に貼付けられ、貼付けされた後は被着体に貼付したまま永続的に利用される永久接着タイプと商品等の関係から表示の目的を達成した後は剥離され破棄される再剥離タイプがある。
【0005】
一方、古紙のリサイクルに関しては、現在わが国ではパルプ製造のための原料として、再生用損紙を含む古紙の使用量は、紙、板紙生産原料の50%を超えており、既に主原料の位置を占めるまでになっている。再生パルプ化可能な古紙は、新聞、ダンボール、雑誌、模造、色上質(アートを含む)、上白、カード、特白、中白、白マニラ、切符、中更反古、茶模造紙(洋段を含む)、台紙、地券、ボール、感熱記録紙、感圧複写紙、OCR用紙などである。
【0006】
一般には、古紙は離解してパルプ懸濁液を得る離解工程、パルプ懸濁液中の異物を分離する粗選、精選工程、印刷インクを分離する脱墨工程、色を白くする漂白工程を経て再生パルプ化がおこなわれる。
【0007】
粘着シートの使用方法としては、雑誌等に付録として綴じ込まれたり、宛先表示票、預かり票、控え票等のフォームを印刷した各伝票から構成される宅配用の配送伝票としてダンボールに貼り付けられたりする。また、製品管理等の目的で包装された製品に貼り付けられたりもする。最近では、切手等の印紙用にも使用されている。
【0008】
しかし、ワックス加工した紙や粘着シートや粘着ラベルなどは、パルプ繊維から水に不溶なワックス、粘着剤などを分離することができず再生パルプ化が困難な古紙とされている。特に粘着シートや粘着ラベルの場合は、水に不溶な粘着剤が古紙重量の5〜50%も含まれており、更にこの粘着剤は粘着力が強いために、パルプ繊維からの分離が不可能とされている。
【0009】
また、切手用粘着シートとして使用された場合、切手収集家等が封筒などの基材から切手を剥がし易いように、印紙裏面に水離型層を設けて水中で剥がせるようになったものもあるが、基材に粘着剤が残ってしまうので、これら基材の再生パルプ化は困難である。
【0010】
粘着剤成分を含んでいる再生パルプを使用して抄紙すると、抄紙工程で粘着剤がワイヤーの目を塞いだり、プレスロールや毛布を汚したりして、紙切れを起こして抄紙効率を著しく低下させるという問題が生じたり、紙面上に斑点を形成してしまうなど、紙層形成または品質面で悪影響を及ぼすという問題が生じる。
【0011】
更に、粘着シートに使用される剥離シートは、ポリエチレンをラミネート加工したラミネート紙を用いたような離解性の悪い剥離シートであるために、再生パルプ化は一層困難である。このような問題を抱えているために、現状では粘着シート古紙や粘着ラベルの再生パルプ化は敬遠され、産業廃棄物となっているのが実状である。
【0012】
最近では、森林資源、環境保護等の問題から、上記の如くリサイクル不可能な粘着製品を、物理的または装置的に工夫することでリサイクル化に成功した例も数件報告されている。例えば特開平4−174787号公報の如く、離解工程に無機顔料を添加して糊の粘着性を消失させスクリーン処理する方法や、特開平4−163383号公報の如く、離解後のスクリーンの目穴を細かくして糊を除去する方法等である。しかし、いずれも特別な処理方法である。
【0013】
また、水またはアルカリ水に溶解する粘着剤を使用したタイプのものも提案されているが、この場合は粘着剤が溶解するために、離解し抄紙する系の中で白水の中から完全に粘着剤成分を除去することは困難であった。更に、これらの粘着剤は分子量が低く設計されているため高温・高湿の環境下では品質が著しく劣化する欠点があった。
【0014】
さらに、最近では、環境保護関連製品への関心の高さや環境保護活動をアピールする目的で、再生紙を基材に用いた製品への要求が多くなってきている。しかし、これらの再生紙は炭酸カルシウムを多量に含む中性紙がほとんどであり、そのため、粘着剤組成中にカルボン酸を多く含むこれらの粘着剤と組み合わせて使用すると、数ヶ月以上の長期保存において、粘着力が著しく低下したり、粘着剤の水溶性或いは再分散性が著しく悪化する欠点があった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水に再分散可能な粘着剤を用いることにより、粘着シートや、粘着ラベルを貼り付けた紙基材をそのまま古紙としパルプを再生する時に、粘着剤が悪影響をおよぼすことなく容易に再離解でき、離解時の調整水も汚染せずに通常の再生パルプ化工程でパルプを再生できるだけでなく、その基材として炭酸カルシウムを多量に含む塗工紙や中性紙を用い長期間保存後も著しい粘着力の低下や再分散性の悪化がなく、また品質的にも安定したリサイクル可能な粘着シートを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)表面基材、粘着剤層および剥離シートを積層してなる粘着シートにおいて、 粘着剤層が、共重合体のモノマー成分として(a)エチレン性不飽和カルボン酸モノマー4〜20重量%、(b)C4〜C18アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー40〜70重量%、(c)アルコキシ(メタ)アクリレート類、下記〔化1〕の一般式で表される(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物及び下記〔化2〕の一般式で表されるカルボン酸変性ロジンエステル及び(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種のモノマー5〜50重量%を含有する水中で再離解可能な共重合体と、該共重合体中のカルボキシル基に対し50〜120モル%のアルカリ金属水酸化物と、該共重合体に対して10重量%以下の割合の親水性可塑化物質とを含有する、水中で再離解可能な粘着剤層であることを特徴とする
粘着シートである。
【化1】
〔式中、R1はメチル基または水素原子、nは1〜10の整数を示す。〕
【化2】
〔式中、mは1〜8の整数を示す。〕
【0017】
また、本発明は、(2)添加するアルカリ金属の水酸化物とともにアルカノールアミンを併用してなる(1)記載の粘着シートである。さらに、本発明は、(3)粘着剤層が、固型分で、該粘着剤共重合体に対してキレート剤を10重量%以下の割合で含有してなる粘着剤からなる(1)または(2)記載の粘着シートである。
【0018】
さらにまた、本発明は、(4)表面基材が炭酸カルシウムを塗工層の顔料または紙層中の灰分・填料として含む紙である(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の粘着シートである。そして、本発明は、(5)剥離シートが再生可能なダイレクトタイプである(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の粘着シートである。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、上記した如く、粘着剤層の水に対する再分散性が特に優れ、さらに炭酸カルシウムを多量に含む塗工紙や中性紙を基材に使用してもカルシウムの影響を受けにくい粘着剤を用いることで、保存性が良好で、かつ再生パルプ化時に再離解が容易な粘着シートを提供するものである。
【0020】
そして、このようなリサイクル可能な粘着シートを得るために、粘着剤が、エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーを粘着剤組成中に4〜20重量%含有し、該共重合体中のカルボキシル基の50〜120モル%に相当するアルカリ金属の水酸化物を添加し、さらに親水性の可塑化物質を、該粘着剤共重合体に対して10重量%以下の割合で含むことに特徴がある。
【0021】
本発明の粘着シートにおいて使用される粘着剤は、エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーを粘着剤組成中に4〜20重量%含有し、該共重合体中のカルボキシル基の50〜120モル%に相当するアルカリ金属の水酸化物を添加し、さらに親水性の可塑化物質を、該粘着剤共重合体に対して10重量%以下の割合で添加してなる粘着剤である。
【0022】
エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、モノアルキルマレイン酸、モノアルキルイタコン酸、モノアルキルフマル酸等が挙げられる。
【0023】
このモノマーは、共重合体の4〜20重量%を占めるように共重合させる必要がある。因みに、4重量%未満では、粘着剤の水再分散性が不十分となり、20重量%を超えると、粘着力が不十分となり、また経時的に粘着剤の劣化が生じ易くなる。
【0024】
アルカリ金属の水酸化物としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。これらのアルカリ金属の水酸化物は、該共重合体中のカルボキシル基の50〜120モル%に相当するよう添加する必要がある。因みに、50モル%未満では、粘着剤皮膜の経時劣化が生じやすく、120モル%を越えると十分な粘着性を発現できなくなる。
【0025】
なお、アルカリ金属の水酸化物の中でも、特に水酸化カリウムを添加すると、基材に炭酸カルシウムを多量に含む塗工紙や中性紙を用いた場合に、経時による劣化を顕著に防止できるのでより好ましい。
【0026】
さらに、上記粘着剤に対し、粘着剤の物性を整え、再分散性を助け、さらに粘着剤の経時による変色および劣化を防止するために、親水性の可塑化物質を添加することもできる。
【0027】
親水性の可塑化物質としては、例えば、グリセリン、ソルビット、マンニット、ズルシット、イジット、エリトリット、アラビット、アドニット等の糖アルコール類、ポリエチレンオキシドもしくはポリプロピレンオキシドとグリセリン、キシリットトリオキシイソブタン、ソルビットなどの多価アルコールとの共重合体やポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールや、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテール、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のノニオン性の界面活性剤等が挙げられる。
【0028】
この物質は粘着性と、水再分散性を考慮して、添加量は、共重合体に対して10重量%以下とすることが必要である。
【0029】
なお、これら親水性の可塑化物質の中でも、特に、ノニオン系の界面活性剤が、接着性や保存性の良好な粘着剤を仕上げることができるので好ましい。
【0030】
上記物質の他に、粘着剤としてエチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の炭素数4〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーが挙げられる。このモノマーは、共重合体の40〜70重量%を占めるように共重合させるのが粘着剤の粘着物性と水再分散性のバランスをとる上で好ましい。
【0031】
さらに、その他の共重合可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、エチレン、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、ジ(メタ)アクリル酸(ポリ)エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸(ポリ)プロピレングリコール、ジビニルベンゼン、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のモノマーも共重合させることができる。このモノマーは、粘着剤の粘着力と凝集力、水再分散性のバランスの点で、共重合体の1〜15重量%を占めるように共重合させるのが好ましい。
【0032】
さらに、上記共重合可能なモノマーの他に、粘着剤の粘着物性を損なわずに良好な水再分散性を発現させるために、ホモポリマー(単独重合体)としたときのガラス転移点(Tg)が−20℃以下の親水性モノマーを共重合しても良い。これらガラス転移点(Tg)が−20℃以下のホモポリマーとなる親水性モノマーとしては、メトキシエチルアクリレートやメトキシプロピルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート、メトキシエチルメタクリルレート、エトキシエチルメタクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類、下記〔化1〕の如き一般式に表される(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物、下記〔化2〕の如き一般式で表されるカルボン酸変性ロジンエステル、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0033】
【化1】
〔式中、R1はメチル基または水素原子、nは1〜10の整数を示す。〕
【0034】
【化2】
〔式中、mは1〜8の整数を示す。〕
【0035】
これらの親水性モノマーは、単独あるいは併用で用いてもよく、粘着物性を損なわないで良好な水再分散性を発現させるために、共重合体中の5〜50重量%を占めるように共重合させることが望ましい。
【0036】
また、アルカリ金属の水酸化物と併用可能なアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン等が挙げられる。
【0037】
ここで本発明の粘着剤に対する上記各モノマーおよび添加剤の役割について簡単に説明すると、粘着剤の水再分散性を付与する成分としては、エチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーが重要であり、アルカリ金属の水酸化物で中和反応を行うことにより、水再分散性を発現させ、かつ炭酸カルシウムを多量に含む塗工紙や中性紙を基材に用いた場合の劣化を防止することができる。
【0038】
さらに、親水性の可塑化物質を添加することにより、該共重合体の可塑化と水再分散性を助けることができる。すなわち、粘着剤組成物中のエチレン性不飽和カルボン酸含有モノマーの量とアルカリ金属の水酸化物によるカルボキシル基の中和反応、粘着物性を補い、かつ水再分散性を助けるために添加する親水性の可塑化物質を必須成分として、他の共重合可能なモノマーとバランスよく配合することにより、共重合体は接着力を損なうことなく、水に対して再分散性を有する粘着剤となるものである。
【0039】
また、上記の粘着剤に対し、キレート剤を添加することができる。添加するキレート剤としては、例えばEDTAの様なポリアミノカルボン酸類、クエン酸等のオキシカルボン酸類、縮合リン酸塩等が挙げられるが、炭酸カルシウムを多量に含む塗工紙や中性紙を基材に用いた場合のカルシウムイオンによる劣化を防止する効果が大きいので、EDTAの様なポリアミノカルボン酸類が好ましい。このキレート剤は、粘着剤の粘着物性を考慮して、粘着剤共重合体に対して10重量%以下、より好ましくは5重量%以下の割合で添加することが望ましい。
【0040】
なお、上記の共重合体の製造方法については、特に限定されるものではなく、例えば、水、溶剤、連鎖移動剤、重合開始剤等の存在下で溶液重合する方法や、乳化剤、連鎖移動剤、重合開始剤、分散剤等の存在下の水系でエマルジョン重合する方法などの公知の方法で製造される。
【0041】
重合の際に使用される重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等の過酸化物、過硫酸アンモニウムと亜硫酸ソーダ、酸性亜硫酸ソーダ等との組合せからなる、いわゆるレドックス系の重合開始剤等が挙げられる。重合開始剤の使用量は、通常重合に共するモノマー全量に対して、0.2〜2重量%、より好ましくは、0.3〜1重量%程度である。
【0042】
共重合に際して添加する連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸ノニル、チオグリコール酸−2−エチルヘキシル、β−メルカプトプロピオン酸−2−エチルヘキシル等のチオグリコール酸エステル類、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセン等を挙げることが出来る。特に、チオグリコール酸エステル類、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1−メチル−4−イソプロピリデン−1−シクロヘキセンを使用した場合には、得られる共重合体が低臭気となり好ましい。なお、連鎖移動剤の使用量は、重合させる全モノマーの0.001〜3重量%程度に調節される。
【0043】
重合時のモノマー濃度は、通常30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%程度が適当である。また、重合反応は、通常60〜100℃の温度条件下で、2〜8時間かけて行われる。さらに、濡れ剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤等を適宣添加することができる。また、特に望むならば、粘着剤の性能、特にポリオレフィン系被着体に対する接着力、凝集力等の物性を向上させる目的で、エチレン−酢ビ共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル系共重合体を添加することもできる。これらの物質は、粘着性と水再分散性のバランスを考慮して、共重合体に対して、3〜30重量%添加することが望ましい。
【0044】
上記の方法で得られた共重合体は、その共重合体中のカルボキシル基の50〜120モル%に相当するアルカリ金属の水酸化物で中和する必要がある。中和処理を施すことにより、機械安定性を改良でき、また粘度調整を行うことができる。さらに、炭酸カルシウムを多量に含む塗工紙や中性紙を基材に用いた場合の劣化を防止することができる。
【0045】
アルカリ金属の水酸化物とともに、共重合体の可塑剤としての機能も発現させることが可能なアルカノールアミンを併用することもできる。共重合体中のカルボキシル基の中和には、アンモニア等を使用する場合もあるが、それらの揮散と共に粘着剤の水再分散性が悪化するので、粘着シートに加工された後の経時での揮散による粘着性能の変化と水再分散性の劣化を防止することからもアルカリ金属の水酸化物、それと同時にアルカノールアミンの併用が好ましい。
【0046】
上記の共重合体のガラス転移温度は、−70〜−10℃の範囲のものであり、目的に応じて適宣選択される。因みに、共重合体のガラス転移温度が−70℃未満になると、得られる皮膜の凝集力が不十分となり、逆に−10℃を越えると、得られる共重合体の皮膜が硬くなりすぎて、実用性に乏しくなる傾向がある。
【0047】
本発明は、この様な共重合体を粘着剤として用いることにより、古紙のリサイクル工程に混入可能な粘着シートが得られるものである。
【0048】
次に粘着シートに使用する表面基材としては、例えばフィルム類(セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル等)、紙類(上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、箔紙、クラフト紙、ポリエチレンラミネート紙、含浸紙、蒸着紙、低サイズ紙、水溶紙等)、金属フォイル、合成紙類、不織布などの支持体や、さらにこれらに感熱記録層、熱転写記録用受像層、インクジェット記録用インク受容層などの各種記録層、各種印刷層、着色層、隠蔽層等の層を設けたものなどが適宣使用できる。
【0049】
粘着シートのリサイクル適性を考慮すると、上記紙類の上質紙、アート紙、コート紙、キャスト紙、クラフト紙、含浸紙、低サイズ紙、水溶紙、クラフト紙または上質紙等に、例えばカゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル共重合体等の天然または合成樹脂および/または顔料とを主成分とした目止め層を設けた基材等の紙類や、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の水溶性高分子より成形した水溶性フィルム、或いは、乳酸またはラクチドとグリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等のヒドロキシカルボン酸との共重合やポリ乳酸等の乳酸系ポリマーより成形したアルカリ水溶液で容易に加水分解するフィルム等を使用することが望ましい。
【0050】
なお、上記紙類は特に限定されるものではなく、バージンパルプを用いて抄紙した酸性抄紙、中性抄紙等や、古紙を原料とした再生紙を用いてもよい。特に炭酸カルシウムを塗工層の顔料または紙層中の灰分・填料として含む紙であっても粘着性能の劣化が少なく好適に使用できる。
【0051】
次に粘着シートの剥離シートに使用するダイレクトタイプ基材とは、ポリエチレン等をラミネートしていない剥離紙基材のことであって、クレーコート紙、グラシン紙やクラフト紙または上質紙等に、例えばカゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル共重合体等の天然または合成樹脂および/または顔料とを主成分とした目止め層を設けた基材などを挙げることができる。
【0052】
また、樹脂および/または顔料を主成分とする目止め層としては特に限定するものではないが、例えばカゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、アクリル酸エステル共重合体等の天然または合成樹脂および/またはカオリン、炭酸カルシウム、クレー、タルク、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、ホワイトカーボン等の無機顔料、或いはポリスチレン樹脂微粒子、尿素ーホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機合成顔料等を用いることができる。
【0053】
上記目止め層を設けた基材の他に、例えばアート紙、コート紙、キャスト塗被紙等のような紙の表面に顔料を主成分とした顔料塗被層を設けた基材を用いても良い。
【0054】
なお、上記顔料塗被層を設ける場合には、顔料塗被液に、顔料以外に顔料同士および顔料と基材の表面とを固着させるために接着剤を使用する。かかる接着剤としては、例えばカゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル共重合体等の、天然または合成の接着剤が、水溶液または水分散液(エマルジョン)の形で使用される。なお、顔料塗被液にはこれら顔料や接着剤の他に、その性質を阻害しない範囲で、消泡剤、分散剤、防腐剤、染料等の種々の助剤を必要に応じて、添加することもできる。
【0055】
そして、かかる樹脂および/または顔料を主成分とする目止め層塗被液は、ブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ダイコーター、リップコーター等の通常の塗被装置で塗被される。この場合の塗被量は、固形分重量で2g/m2以上、好ましくは4〜30g/m2の範囲で調節される。
【0056】
次に本発明の粘着シートの剥離シート基材の一面に形成する剥離剤層に用いる剥離剤としては、特に限定はなく、一般に使用される水分散型、溶剤型あるいは無溶剤型のシリコーン樹脂やフッ素樹脂等を乾燥重量で0.05〜3g/m2程度塗被後、熱硬化、電離放射線硬化等によって剥離層を形成したものが使用される。中でも無溶剤型シリコーンは、剥離層形成時に有害な溶剤を使用することもなく、また水分散型に比べ、乾燥効率に優れるため、より好ましく使用される。
【0057】
粘着シートの形成方法は、通常、剥離シートの剥離剤表面上に粘着剤を塗被、乾燥して粘着剤層を設け、次いで表面基材と貼り合わせて仕上げられるが、直接表面基材に粘着剤を塗被して粘着剤層を設けてもかまわない。
【0058】
粘着シートを形成する場合、粘着剤は、水による希釈、或いは増粘等の手段によって、通常10〜9000センチポイズ程度の粘度に調節して剥離シートに塗被される。
【0059】
この場合の塗被装置としては、例えばリバースロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、スロットダイコーター、リップコーター、リバースグラビアコーター等が使用される。本発明の粘着シートおよび粘着テープにおいて、塗被装置として特に限定はなく、これらの一般の方法で製造される。粘着剤の塗被量は、5〜50g/m2程度の範囲で調節される。因みに、5g/m2未満では、得られる粘着シートの接着性能が不十分となり、一方50g/m2を越えると粘着シートの製造時に粘着剤がはみ出したり、剥離の際に凝集破壊の原因となる恐れがある。
【0060】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらに限定されるものではない。また例中の部、割合、塗被量等は特に断わらないかぎり、全て固形分重量で示すものである。
【0061】
実施例1
(粘着剤の製造)
まず乳化モノマー混合液として、
アクリル酸メトキシエチル:75部
アクリル酸カプロラクトン付加物(商品名:アロニックスM−5300/東亞合成社製):20部
アクリル酸−2−エチルヘキシル:220部
アクリル酸:45部
酢酸ビニル:20部
(メタ)アクリル酸メチル:20部
アニオン系乳化剤(商品名:エマールNC−35/花王社製):6部
イオン交換水:150部
を混合して、調製した。
【0062】
次ぎに攪拌機、クーラー、滴下ロート、窒素吸入管、温度計を付帯したフラスコに、イオン交換水150部、過酸化カリウム3部、オクチルメルカプタン3部を仕込み、窒素置換しながら80℃に昇温した後、上記乳化モノマー混合液を1/6滴下した。反応率が90%に達した時点で残りのモノマー混合液を3時間かけて滴下し重合を行った。滴下終了後、80℃で3時間熟成して反応を完結させた。次にフラスコ内容物を40℃に冷却し、10%KOH水溶液とトリエタノールアミンを共重合体中のカルボキシル基のそれぞれ50モル%に相当するだけ添加して中和反応を行い、反応終了後に、この粘着体100部に対してノニオン系の界面活性剤(商品名:エマルゲン810/花王石鹸社製):4部、エチレン−酢ビ−アクリル共重合体(商品名:スミカフレックスS−3110/住友化学工業社製):27部、EDTAのアンモニウム塩(和光純薬工業社製)2部を添加し、強攪拌して本発明に使用する粘着剤を製造した。
【0063】
(目止め層を設けた剥離紙基材の作成)
塗被液として、カオリン(商品名:HTクレー/エンゲルハード社製):50部、アクリル酸エステル共重合体(商品名:リカボンドET−84/中央理化社製):50部、潤滑剤(商品名:ノプコC−104/サンノプコ社製):0.5部、消泡剤(商品名:ノプコ1407K/サンノプコ社製):0.3部からなる組成物を、固形分濃度が50%になるように混合調製して、市販の米坪64g/m2の上質紙の上に乾燥重量が5g/m2となるように塗被、乾燥して目止め層を設けた。次いで、スーパーキャレンダーにて平滑仕上げを行い、剥離紙用の基材を得た。
【0064】
次に、かくして得られた剥離紙基材の目止め層上に溶剤型のシリコーン剥離剤(商品名:LTC−300B/東レ・ダウコーニング社製):100部、触媒(商品名SRX−212/東レ・ダウコーニング社製):0.8部を乾燥重量が1.0g/m2となるように塗被、熱硬化した。
【0065】
(粘着シートの作製)
上記、剥離紙に、得られた粘着剤を乾燥重量で25g/m2となるように塗被、乾燥させた後、市販の米坪80g/m2の100%再生中性紙(商品名:エコG100/王子製紙社製)と貼り合わせて粘着シートを得た。
【0066】
実施例2
(粘着剤の製造)
まず乳化モノマー混合液として、
アクリル酸メトキシエチル:84部
アクリル酸カプロラクトン付加物(商品名:アロニックスM−5300/東亞合成社製):4部
アクリル酸−2−エチルヘキシル:200部
アクリル酸:72部
酢酸ビニル:20部
(メタ)アクリル酸メチル:20部
アニオン系乳化剤(商品名:エマールNC−35/花王社製):6部
イオン交換水:150部
を混合して、調製した。
次いで、実施例1と同様にして共重合体を製造し、10%KOH水溶液で共重合体中のカルボキシル基の100モル%相当分を添加して中和反応を行った。この粘着剤100部に対し、ノニオン系の界面活性剤(商品名:エマルゲン810/花王石鹸社製):4部、エチレン−酢ビ−アクリル共重合(商品名:スミカフレックスS−3110/住友化学工業社製):27部、EDTAのアンモニウム塩(和光純薬工業社製)2部を添加し、強攪拌して本発明に使用する粘着剤を製造した。
【0067】
剥離紙基材として、市販のグラシン紙(商品名:青グラシン<73>/安倍川製紙社製)を使用し、前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0068】
実施例3
まず乳化モノマー混合液として、
アクリル酸メトキシエチル:100部
アクリル酸カプロラクトン付加物(商品名:アロニックスM−5300/東亞合成社製):40部
アクリル酸−2−エチルヘキシル:200部
アクリル酸:20部
酢酸ビニル:20部
(メタ)アクリル酸メチル:20部
アニオン系乳化剤(商品名:エマールNC−35/花王社製):6部
イオン交換水:150部
を混合して、調製した。
次いで、実施例2と同様にして粘着剤を製造した。
【0069】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0070】
実施例4
表面基材として、下記に示す基材を用いた以外は実施例1と同様にして粘着シートを作成した。
【0071】
(表面基材の作成)
塗被液として、カオリン(商品名:UW−90/EMC社製):45部、炭酸カルシウム(商品名:ブリリアントS−15/白石工業社製):55部、ラテックス(商品名:L−1392/旭化成社製):21部、カゼイン(商品名:アラシッド/ニュージーランドカゼイン社製):5.43部、分散剤(商品名:ナンカリンS−1/燐化学社製):0.0675部、消泡剤(商品名:ビスマーFX−10/日新化学社製):0.3部、離型剤(商品名:ハイドリンZ−8/中京油脂社製)0.8部、硫酸亜鉛:3部から成る組成物を、固形分濃度47%となるように混合調製して、市販の米坪64g/m2の上質紙の上に乾燥重量が25g/m2となるよう塗被、乾燥し、スーパーキャレンダーにて平滑仕上げを行い、リウェット法により、前記塗被層が湿潤状態にある間、この塗被層面を加熱金属ドラムに圧接し、キャスト仕上げを行い、基材を得た。
【0072】
比較例1
実施例1と同様に共重合体を製造し、トリエタノールアミンを共重合体中のカルボキシル基の50モル%添加して中和反応を行い、反応終了後に強撹拌し、粘着剤を得た。本粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0073】
比較例2
(粘着剤の製造)
乳化モノマー混合液として、
アクリル酸メトキシエチル:60部
アクリル酸カプロラクトン付加物(商品名:アロニックスM−5300/東亞合成社製):20部
アクリル酸−2−エチルヘキシル:190部
アクリル酸:90部
酢酸ビニル:20部
(メタ)アクリル酸メチル:20部
アニオン系乳化剤(商品名:エマールNC−35/花王社製):6部
イオン交換水:150部
を混合して、調製した。
【0074】
次いで、実施例1と同様にして共重合体を製造し、10%KOH水溶液で共重合体中のカルボキシル基の40モル%相当分を添加して中和反応を行った。この粘着剤100部に対し、ノニオン系の界面活性剤(商品名:エマルゲン810/花王石鹸社製):4部、エチレン−酢ビ−アクリル共重合(商品名:スミカフレックスS−3110/住友化学工業社製):27部を添加し、強攪拌して本発明に使用する粘着剤を製造した。
【0075】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0076】
比較例3
(粘着剤の製造)
乳化モノマー混合液として、
アクリル酸メトキシエチル:80部
アクリル酸カプロラクトン付加物(商品名:アロニックスM−5300/東亞合成社製):30部
アクリル酸−2−エチルヘキシル:240部
アクリル酸:10部
酢酸ビニル:20部
(メタ)アクリル酸メチル:20部
アニオン系乳化剤(商品名:エマールNC−35/花王社製):6部
イオン交換水:150部
を混合して、調製した。
【0077】
次いで、実施例1と同様にして共重合体を製造し、10%KOH水溶液で共重合体中のカルボキシル基の100モル%相当分を添加して中和反応を行った。この粘着剤100部に対し、ノニオン系の界面活性剤(商品名:エマルゲン810/花王石鹸社製):4部、エチレン−酢ビ−アクリル共重合(商品名:スミカフレックスS−3110/住友化学工業社製):27部を添加し、強攪拌して本発明に使用する粘着剤を製造した。
【0078】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0079】
比較例4
(粘着剤の製造)
実施例1と同様に共重合体を製造し、10%KOH水溶液で共重合体中のカルボキシル基の150モル%相当を中和し、この粘着剤100部に対し、エチレン−酢ビ−アクリル共重合(商品名:スミカフレックスS−3110/住友化学工業社製):27部を添加し、強攪拌して本発明に使用する粘着剤を製造した。
【0080】
前記粘着剤を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0081】
比較例5
粘着剤として、水およびアルカリ水溶液に不溶なアクリル系粘着剤(商品名:ニカゾールL−145/日本カーバイド工業社製)を乾燥重量で22g/m2となるように塗被、乾燥した以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0082】
このようにして得られた粘着シートについて、下記の評価を行い、得られた結果を表1に示した。
【0083】
(評価試験項目)
〔接着力〕
JIS−Z−0237の常態粘着力の測定方法に準拠し、下記の二つの条件で保存した後の接着力をそれぞれ測定した。(単位:g/25mm)
条件A:粘着シートの製造後、温度23±2℃、関係湿度65±5%の雰囲気下に7日間保存した後、その接着力を測定した。
条件B:粘着シートの製造後、温度40±2℃、関係湿度90±5%の雰囲気下に7日間保存した後、その接着力を測定した。
【0084】
〔粘着剤水再分散性〕
粘着シートの粘着剤層面を、20℃の水に浸しながら指で10回擦った時の粘着剤の挙動を下記の評価基準にて評価した。
○:粘着剤層が粘着性のない細かい微粒子状に再分散した。
△:粘着剤層の粘着性は低下するが、細かく分散しないか凝集する。
×:粘着剤層の粘着性に変化はなく、粘着剤層皮膜が凝集した。
【0085】
〔リサイクル適性〕
下記の二つの条件で保存した後のリサイクル適性をそれぞれ評価した。
条件A:粘着シートの製造後、温度23±2℃、関係湿度65±5%の雰囲気下に7日間保存した後、そのリサイクル適性を評価した。
条件B:粘着シートの製造後、温度40±2℃、関係湿度90±5%の雰囲気下に7日間保存した後、そのリサイクル適性を評価した。
【0086】
(評価試料の作成)
剥離シートも含んだ粘着シートの形態での古紙リサイクルを想定して、粘着シートそのものを評価用試料とした。
【0087】
(評価)
約20mm角の大きさにカットした試料45gに対して、水1500mlを加え、さらにNaOH1gを加えてTAPPI離解機にて150000回転処理した後、パルプ濃度が15%になるまで60メッシュのナイロンスクリーンで脱水し、18%濃度のNaOH水溶液を1.5g、脱墨剤(商品名:DI−600/花王社製)10%濃度溶液を1.8gそれぞれ添加し、40℃で20分間放置し、次にパルプ濃度が25%になるまで60メッシュのナイロンスクリーンで脱水し、30%濃度のNaSiO3水溶液を3.85g、6%濃度のH2O2水を5gそれぞれ添加、次いで双腕式ニーダーで5分間ニーディング処理を行った。
【0088】
次に55゜Cに保ちながら120分攪拌した後、パルプ濃度が17.5%になるまで水で希釈し、次いで2回目のニーディング処理を同様に行った。その後更にパルプ濃度が1%になるまで水で希釈した。次に、この1%濃度のパルプ分散液をフローテーターにて10分間浮上分離処理を行い、その際発生する泡をスクレーパーにて取り除き、もう一度60メッシュのナイロンスクリーンで脱水後、水1000mlで洗浄し13%濃度になるまで脱水した。この様にして得られたパルプ分散液を0.3%濃度になるまで水を加えて手抄きシートを作成し、未離解物の残存状態を目視し、指触によるべと付きを観察して下記評価基準にて判定した。
【0089】
(リサイクル適性評価基準)
○:未離解物がほとんどなく、べと付きもない。
△:未離解物が僅かにあるが、べと付きはなく実用上問題ないレベル。
×:未離解物がかなり目立つ、あるいはべと付きがある。
【0090】
〔総合評価〕
上記の各評価を総合して本発明のリサイクル可能な粘着シートとしての性能を評価した。
◎:長期保存後も粘着シートのままでも十分な古紙リサイクルが可能であり、なお且つ粘着剤の接着性能において、接着力が良好で、熱湿劣化が少ない。
○:離解後に未離解物が残るが粘着性はなく、古紙リサイクルが可能であり、なお且つ粘着剤の接着性能において、接着力が良好で、熱湿劣化が少ない。
△:粘着シートのままでも古紙リサイクルは可能であるが、粘着剤の接着性能の面で問題がある。
×:接着性能の優劣に関係なく、保存性の点からも古紙リサイクルは不可能である。
【0091】
【表1】
*表中、リサイクル適性は、粘着ラベル/粘着シートのそれぞれの場合で評価した結果である。
【0092】
【発明の効果】
表1の如く、本発明の粘着シートは、粘着剤が水に容易に再分散することでパルプのリサイクル適性が優れており、且つ貼り付け時には必要な接着力を示し、粘着シートのままでリサイクル工程に混入しても容易に工程外へ除去され、さらにこれまでは粘着シートの保存性の点で使用できなかった炭酸カルシウムを多く含む塗工紙や中性紙などを用いても、粘着剤の粘着性能や離解性が劣化しない粘着シートであった。
Claims (5)
- 表面基材、粘着剤層および剥離シートを積層してなる粘着シートにおいて、
粘着剤層が、共重合体のモノマー成分として(a)エチレン性不飽和カルボン酸モノマー4〜20重量%、(b)C4〜C18アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー40〜70重量%、(c)アルコキシ(メタ)アクリレート類、下記〔化1〕の一般式で表される(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物及び下記〔化2〕の一般式で表されるカルボン酸変性ロジンエステル及び(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種のモノマー5〜50重量%を含有する水中で再離解可能な共重合体と、該共重合体中のカルボキシル基に対し50〜120モル%のアルカリ金属水酸化物と、該共重合体に対して10重量%以下の割合の親水性可塑化物質とを含有する、水中で再離解可能な粘着剤層であることを特徴とする粘着シート。
- 該粘着剤中にアルカノールアミンを含有していることを特徴とする請求項1記載の粘着シート。
- 該粘着剤中に、粘着剤固形分に対し、キレート剤を10重量%以下の割合で含有していることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着シート。
- 表面基材が炭酸カルシウムを塗工層の顔料または紙層中の灰分・填料として含む紙であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着シート。
- 剥離シートが再生可能剥離紙であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着シート。
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