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JP4085835B2 - 発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法 - Google Patents

発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法 Download PDF

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JP4085835B2 JP2003038588A JP2003038588A JP4085835B2 JP 4085835 B2 JP4085835 B2 JP 4085835B2 JP 2003038588 A JP2003038588 A JP 2003038588A JP 2003038588 A JP2003038588 A JP 2003038588A JP 4085835 B2 JP4085835 B2 JP 4085835B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は発泡性熱可塑性粒子の予備発泡方法に関するものであって、高発泡倍率の予備発泡粒子、あるいは使用有機揮発成分が少なく環境に及ぼす影響の少ない予備発泡粒子、あるいは残留有機揮発分量が少なく環境に及ぼす影響の少ない予備発泡粒子、あるいは予備発泡終了から成形までの時間が短い予備発泡粒子、あるいはブロッキングの少ない予備発泡粒子の発泡方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂に代表される熱可塑性樹脂の発泡性熱可塑性樹脂粒子を用いた成形では、発泡性熱可塑性樹脂粒子(以下、原料粒子と呼ぶことがある)を成形前に一度所定倍率の発泡粒子とし、そのうえで成形に供することが一般的である。この原料粒子を成形前に一度所定倍率の発泡粒子となす方法を予備発泡方法と呼び、得られた発泡粒子を予備発泡粒子と呼ぶ。
【0003】
この予備発泡方法には大別してバッチ法と連続法がある。このうち、予備発泡槽内に発泡性熱可塑性粒子を投入し、該予備発泡槽を大気圧下に開放した状態にして攪拌しながら開放流通させ実質的な加圧のない蒸気または0.01〜0.03MPa(ゲージ圧)の加圧蒸気を流通させて加熱発泡させ、発泡が進行して、発泡粒子が所定の発泡倍率に達すると蒸気加熱を停止し、空気を吹き込んで冷却・乾燥した後、予備発泡粒子となる当該粒子を予備発泡槽より取り出すバッチ法が最も一般的な方法として実用に供されている。以下本発明ではこの予備発泡方法を通常の予備発泡方法と呼ぶ。また、以下特に説明しないかぎり本発明の圧力はゲージ圧で表現する。
【0004】
本通常の予備発泡方法に対しては特公昭43−18635号公報、特開昭56−25424号公報、特公昭56−5176号公報、特公昭47−27144号公報、特公昭62−10165号公報など、種々の改良方式が提案されている。
【0005】
特に近年、発泡成形品より逸散する有機揮発性化学物質の量の低減が要望されるようになっている。このため熱可塑性樹脂発泡体からのこうした逸散化学物質を低減させるため、種々の試みが提案されている。これら化学物質を低減しようとすると結果的には発泡剤量も低減し、発泡しずらい原料粒子となる。しかし、このような原料粒子を用いても、従来と同様またはそれ以上の高発泡倍率の発泡倍率を有する予備発泡粒子を、短時間で得る方法の開発が強く望まれるようになっている。
【0006】
しかしこれまで改良されてきた前記方法は、もっぱら安定的に予備発泡粒子を得る目的や発泡倍率制御に関するものであったため、多少なりとも高倍率の予備発泡粒子を得たり、揮発成分の少ない状態で通常発泡倍率あるいは高発泡倍率の予備発泡粒子を得るについては、長時間の加熱を必要とする傾向があり問題であった。また、得られる発泡倍率もさほど高くはならない傾向があった。さらに、長時間の連続的な加熱を行うと、原料粒子の発泡槽内での融着が発生しやすくなり、当該方法による高倍率発泡には、種々の改善の必要性が指摘されている。以下、本発明ではこの融着現象をブロッキングと呼ぶ。
【0007】
こうした状況下、特開平6−25458号公報では、少量の発泡剤と、2〜5の多段に分割された予備発泡工程と、特定の分子量分布を有するポリスチレン高発泡性重合体と主として発泡剤にペンタンを使用した高倍率予備発泡粒子の発泡方法が開示されている。
【0008】
本方法によれば高倍率が得られるとされているが、実質的には各予備発泡工程の終了後に次の工程に進むまでに予備発泡粒子を安定化させるために待機する熟成時間がそれぞれ1〜80時間必要であるとされ、最終的な予備発泡粒子を得るに要する時間が前記した通常の予備発泡方法に比べて大幅に延長されてしまい、生産性に関して大きな課題を残している。
【0009】
また、本発明の出願人は、特開平3−131635号公報において予備発泡槽内で発泡性熱可塑性粒子の加熱発泡を所定の発泡倍率レベルで一旦停止した後、該予備発泡槽内に冷却用の空気を吹き込んで一度該粒子を冷却し、その後そのまま再度加熱発泡させ、比較的高倍率の予備発泡粒子を得る方法を提案している。
【0010】
本方法によれば、通常の予備発泡方法に比較して高い発泡倍率が得られ、かつ、ブロッキングが少なく、成形性が良好な予備発泡粒子を得ることができる。しかしながら、その発泡倍率は極く通常の予備発泡方法に比較しては少し高いだけで限定的であり、より高い発泡倍率を得るにはさらなる改善が必要であった。また、理由は不明であるが得られる発泡倍率の安定性に欠ける現象が生じる傾向があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題に対処すべく、予備発泡槽等の設備上の大きな変更を行うこと無く、また、大幅な予備発泡時間の延長もなく、1)使用する有機揮発成分が少なく環境に及ぼす影響の少なく、予備発泡後の残留揮発分も少なくなる原料粒子を用いて、極く通常の予備発泡粒子と同等あるいはそれ以上に高い発泡倍率であってブロッキングの少ない性質を有する予備発泡粒子を得る方法を提供するもの、あるいはまた2)通常の発泡倍率を得るための原料粒子を用いて、通常の予備発泡粒子と比較してさらに高い高発泡倍率であってブロッキングの少ない性質を有する予備発泡粒子を得る方法を提供するものである。さらにまた本発明は、3)予備発泡後に予備発泡粒子を成形に供するまでに熟成養生する時間を短縮する方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、第一の予備発泡により粒子を一度加熱した後、さらに続いて同一予備発泡槽内で空気加圧および加熱からなる第二の予備発泡工程を1回以上繰り返した後、該予備発泡槽から取り出すことで、上記課題が容易に解決されることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
即ち、本発明は発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡槽に投入し、加熱発泡させる第一の予備発泡工程と、第一の予備発泡工程で得た粒子を加熱しさらに発泡させる第二の予備発泡工程とからなるところの同一予備発泡槽内で行う予備発泡方法であって、第二の予備発泡工程が、第一の予備発泡工程で得た予備発泡粒子に対して圧縮空気により加圧する空気加圧工程およびそれに続く加熱発泡工程を含み、第二の予備発泡工程を少なくとも1回以上行った後、予備発泡粒子を予備発泡槽より取り出すことを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法に関する。
【0014】
好ましい態様は、加熱により発泡させた発泡粒子を取り出すに際し、(1)予備発泡槽内を圧縮空気で加圧した後、予備発泡槽より取り出す
【0015】
他の好ましい態様は、加熱により発泡させた発泡粒子を取り出すに際し、(2)予備発泡槽内に60℃以上80℃以下の温風を吹き込み、一定時間経過した後取り出す
【0016】
さらに好ましい態様は、前記(1)及び(2)の取り出し方法を組み合わせる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される発泡性熱可塑性粒子の熱可塑性樹脂としては、型内発泡成形に用いられる熱可塑性樹脂であれば使用でき、例えばポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂が好ましい。
【0018】
ポリスチレン系樹脂としては一般的な発泡性ポリスチレン樹脂だけでなく、例えば、スチレン、又はメチルスチレンを50%以上含有してなるポリスチレン系樹脂、ハイインパクトポリスチレン系樹脂、スチレンとブタジエン、メチルメタクリレート、無水マレイン酸等との共重合樹脂等が挙げられ、これらは、単独、又は2種以上の組み合わせとして用いられる。
【0019】
本発明に用いることができる発泡性熱可塑性粒子の熱可塑性樹脂としては、特に経済性、外観性の面からポリスチレン系樹脂が好適であり、該ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン樹脂が入手の容易性、価格的経済性などより最も好適に用いることができる。
【0020】
本発明に用いる発泡性熱可塑性粒子には発泡剤が含有される。発泡剤としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサンあるいはそれらの1種以上の混合物などの通常発泡剤として用いることのできる脂肪族炭化水素を、熱可塑性樹脂100重量部に対し1〜10重量部、好ましくは3〜8重量部、さらに好ましくは4〜7重量部用いることができる。このうち前記樹脂に対する発泡剤の保持性等の点から、ノルマルブタン、イソブタンあるいはその混合物が特に好ましい。
【0021】
また、本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子には、ステアリン酸トリグリセライド、パルミチン酸トリグリセライド、ラウリン酸トリグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等の脂肪酸グリセライド、ヤシ油、パーム油、パーム核油等の植物性油脂、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の有機炭化水素類や流動パラフィン等の熱可塑性樹脂に対して可塑効果を示す物質を可塑剤として含有させることができ、これらは単独または併用することができる。尚、こうした可塑剤は予備発泡性の向上ならびに成形融着の向上等のため使用される。
【0022】
また、本発明に用いる発泡性熱可塑性粒子に含まれる発泡剤、可塑剤等の有機揮発成分の総量は、得ようとする予備発泡粒子の発泡倍率によって異なり一概に決めることができないが、次の様に減少させることができる。たとえば通常の予備発泡方法と同等の倍率を得ようとする場合、通常の予備発泡方法に用いる揮発成分重量に比較して10%〜70%少ない範囲で設定することができる。また通常の予備発泡方法よりも高倍率にしようとする場合は同じく10〜30%少ない範囲で設定することができる。
【0023】
該揮発成分の量は発泡性熱可塑性粒子の製造段階で投入する各成分量で仕込量として把握可能であり、また、予備発泡前に例えば、該粒子を150℃で30分程度、特に揮発性が低い物質を含む場合はさらに例えば減圧雰囲気下で、加熱溶融せしめ、加熱前後の重量変化を測定した差量より簡易的に測定・把握することができる。
【0024】
さらに本発明の発泡性熱可塑性粒子には、難燃剤、造核剤等、一般に発泡性熱可塑性粒子に用いることのできるその他の添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜添加することができる。
【0025】
本発明に用いる予備発泡槽は、通常の予備発泡方法に用いる予備発泡槽を用いることができる。また、本発明に用いる予備発泡槽に付帯する設備、例えば蒸気弁、空気弁、計量器等等も、使用あるいは測定しようとするする範囲が当該設備の使用範囲に適合すればそのまま用いることができる。
【0026】
ただし、通常例えば後述の蒸気パージのみの加熱しか行わず、実質的に大気圧以上にならないため耐圧設計が比較的低い予備発泡槽の場合、あるいは減圧に対する耐力がない場合などは構造補強することが好ましいことは当然である。また、自動運転により予備発泡する場合には、一般にシーケンサあるいはプログラマブルコントローラと呼ばれる制御機器等のプログラムについて、通常の予備発泡方法と異なる部分に関し、これを変更し、本発明の手順に沿った工程が選択・実施できるよう変更あるいは新設しなければならないことも当然である。
【0027】
本発明の予備発泡方法は、原料粒子である発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡槽へ投入し、第一と第二の二段よりなる予備発泡工程、およびこの予備発泡工程の後、予備発泡槽から予備発泡粒子を取り出す取り出し工程より成る。
【0028】
この二段よりなる予備発泡工程は、投入された原料粒子を加熱により一度発泡させる第一の予備発泡工程および、同一発泡槽内でそれに続いて、圧縮空気による加圧を行いその後加熱発泡を行うことよりなる第二の予備発泡工程より構成される。
【0029】
第一の予備発泡工程は、原料粒子を加熱して目標発泡倍率に達しない程度に一度加熱発泡させる工程である。
【0030】
第一の予備発泡工程における加熱発泡は、予備発泡槽を大気開放状態とし、蒸気を流通させ実質的な加圧なしに原料粒子を一定時間加熱発泡する方法、または、蒸気を一定圧力幅および時間で加え加圧しながら原料粒子を発泡する方法、あるいはその両方の実施で達成することができる。
【0031】
前者の実質的な加圧なしに原料粒子を一定時間加熱発泡する方法は、例えば予備発泡槽の排気弁などの大気と連通する弁を大気開放し、その状態で予備発泡槽内に蒸気を送り込む方法で容易に達成することができる。以下この方法を蒸気パージと呼ぶ。本蒸気パージの表現は、次に述べる第二の予備発泡工程においても同様に使用する。
【0032】
例えばスチレン系樹脂の場合、0.1〜0.3MPa、好ましくは0.12〜0.25MPa程度の圧力の蒸気を、例えば排気弁の如く大気と接続された弁を開放し、内部が実質的に大気圧付近となった予備発泡槽内に20秒乃至40秒程度導入することが好ましい。
【0033】
後者の蒸気を一定圧力幅および時間で加え加圧しながら原料粒子を発泡する方法は、予備発泡槽の排気弁及び予備発泡粒子の排出弁等の大気と連通する弁を閉じ予備発泡槽内を密閉した後、予備発泡槽に接続された蒸気弁を開け蒸気を流入させ、予備発泡槽内が所定上限圧力になった段階で蒸気弁を閉めて蒸気の流入を停止し、蒸気の凝集により予備発泡槽内の圧力が自然に下がるのを待つか、あるいは排気弁や圧力の微調整が可能な調圧弁などを開いて圧力を下げて、圧力が下限所定値まで下がった段階で再度蒸気弁を開き蒸気を流入させ予備発泡槽内を再度加圧するという方法をとることで達成することができる。以下この方法を蒸気調圧方法1と呼ぶ。あるいはまた、予備発泡槽に接続された蒸気弁を開け蒸気を流入させ予備発泡槽内が所定上限圧力になった段階で、蒸気弁は開いたまま排気弁、調圧弁などを開いて圧力を下げて、圧力が下限所定値まで下がった段階で該排気弁、調圧弁等を閉じ再度蒸気のみが流入するようにし予備発泡槽内を再度加圧するという方法を取ることもできる。これを蒸気調圧方法2と呼ぶ。
【0034】
このような蒸気調圧方法の1及び/または2を所定時間の間繰り返すことで原料粒子の発泡を達成することができる。こうした蒸気調圧方法1及び/または2の方法を行う操作を蒸気調圧と呼ぶ。即ち、この蒸気調圧では予備発泡槽内の圧力を一定範囲で調整しつつ、一定時間それを維持することになる。この蒸気調圧の表現は次に述べる第二の予備発泡工程においても同様に使用する。
【0035】
蒸気調圧においては、蒸気調圧方法1の方法を採用することが、圧力の下がりが早く、一定時間内の蒸気調圧の繰り返し回数を増すことができるので好ましい。
【0036】
また、蒸気調圧の下限圧力と上限圧力を接近させて設定することで圧力幅を極めて小さくして、圧力調整操作を頻繁に行うことにより、実質的に一定加圧状態にしても良いが、圧力調整に幅がある方が発泡しやすい傾向があるため、より好ましい。
【0037】
蒸気調圧における圧力範囲及び時間は得ようとする発泡倍率により異なるため一概に決めることができないが、例えばスチレン系樹脂の場合、通常の予備発泡方法に相当する倍率を得ようとする場合であって、例えば最終的に40〜60倍の発泡倍率を得ようとする場合であれば、予備発泡槽内の圧力を0.0025MPa〜0.025MPa、好ましくは0.005MPa〜0.02MPaに20〜240秒好ましくは25〜135秒程度維持することが好ましい。また、通常の予備発泡方法によるものよりも高い倍率を得ようとする場合であって、例えば最終的に100倍以上の発泡倍率を得ようとする場合は、予備発泡槽内の圧力を0.0075MPa〜0.045MPa、好ましくは0.01MPa〜0.035MPaに20〜240秒好ましくは25〜235秒程度と、通常の発泡倍率を得ようとする場合に比較して圧力をやや高く調整・維持することが好ましい。
【0038】
尚、蒸気調圧においては圧力を下げる際、ドレン弁等の蒸気の凝集水を排出する弁を開いても良い。
【0039】
本発明の第一の予備発泡工程では、まず蒸気パージを行った後、さらに蒸気調圧も実施することが、安定的に高い発泡倍率が得られるようになり、さらに好ましい。
【0040】
第一の予備発泡工程の終了後、後述の第二の予備発泡工程の前に、予備発泡槽内に一度空気を導入することにより、さらに高い発泡倍率を安定的に得ることができる。以下この空気を導入する工程を中間空気導入と呼ぶ。
【0041】
中間空気導入における空気の導入方法としては、予備発泡槽の例えば排気弁及びドレン弁を開き予備発泡槽内を実質的に大気開放状態とし、圧縮空気あるいは送風機より排出される空気を該予備発泡槽内に導入することで容易に達成される。
【0042】
中間空気導入の導入空気源として圧縮空気を使用する場合の圧力および導入時間は一概に決定できないが、スチレン系樹脂の場合、空気の圧力は0.4〜0.8MPa、好ましくは0.5〜0.7MPaであることが好ましく、少なくとも15秒〜60秒好ましくは25秒〜40秒実施することが好ましい。
【0043】
上記圧力では中間空気導入工程の導入空気源に圧縮空気を使用する場合の圧縮空気の元圧力は大気圧より高いことになるが、前述のように排気弁を開き実質的に大気開放された予備発泡槽内に導入するため、予備発泡槽内の圧力はほとんど上昇しない。
【0044】
中間空気導入で予備発泡槽内に導入する空気は、温度調整された空気であっても良いし、室温空気であっても良いが、60〜80℃に温度調整された空気が予備発泡倍率が高くなる傾向があり、最も好ましい。
【0045】
中間空気導入が有効である理由は定かではないが、予備発泡粒子に付着した蒸気の凝縮水が予備発泡粒子の発泡倍率の高低に何らかの影響をおよぼしていると推察される。即ち、中間空気導入における空気の予備発泡槽内への導入は凝縮水の予備発泡粒子への付着ないし残留を軽減する傾向があると推察され、発泡倍率が安定するのではないかと推察される。
【0046】
本発明においては、中間空気導入は実施してもしなくても通常の予備発泡方法に比較して高い発泡倍率あるいは安定した発泡倍率が得られるが、中間空気導入を実施した方が中間空気導入を実施しない場合に比較して最終的に得られる予備発泡粒子の倍率が高くすることができたり安定した発泡倍率が得られる傾向があり好ましい。
【0047】
また、後述の第二の予備発泡工程は少なくとも1回以上実施するが、中間空気導入工程は、第二の予備発泡工程の各回の前にその都度実施することが最も好ましい。
【0048】
本発明の第二の予備発泡工程は、前記第一の予備発泡工程の後、予備発泡粒子を予備発泡槽外に一旦取り出すことなく、同一予備発泡槽内で実施される。
【0049】
第二の予備発泡工程は、第一の予備発泡工程で得た予備発泡粒子に対する空気加圧工程およびそれに続く加熱発泡工程よりなる。また、この第二の予備発泡工程は、第一の予備発泡工程の後、少なくとも1回以上繰り返し実施することにより達成される。
【0050】
第二の予備発泡工程の空気加圧工程は、圧縮空気により一定圧力を保持したまま一定時間維持することで達成される。即ち、第二の予備発泡工程の空気加圧工程は、予備発泡槽の排気弁、排出弁等を閉じ、実質的に密閉された予備発泡槽内に圧縮空気を導入し予備発泡槽内を空気加圧することで容易に達成される。その際、自然温度低下等により予備発泡槽内の圧力が低下していく場合には圧縮空気を導入する弁を開き圧縮空気をさらに予備発泡槽内に導入し予備発泡槽内の圧力を上昇させる。また、予備発泡槽内の残留熱量などで空気が膨張し圧力が上昇する場合には例えば大気などに接続された調圧弁あるいは排気弁を開け、予備発泡槽内の圧力を下げる。以上のような方法により一定圧力を保つことが好ましい。
【0051】
また第二の予備発泡工程の空気加圧工程の空気加圧を維持する時間については、前記予備発泡槽内の圧力変動が少なくなり、予備発泡槽内の圧力がほぼ一定値になるまで実施することが好ましい。
【0052】
第二の予備発泡工程の空気加圧工程における予備発泡槽内の好ましい圧力、ならびに圧力を維持する時間は、発泡性熱可塑性粒子の樹脂種あるいは構成、および得ようとする発泡倍率等により異なるため一概に決定できないが、例えばスチレン系樹脂の場合、圧力は0.02MPa〜0.045MPa、好ましくは0.025MPa〜0.035MPaとし、2分以上10分以下、好ましくは2.5分以上5分以下、さらに好ましくは3分以上4分以下保持することが好ましい。
【0053】
設定した圧力が上記範囲より低い場合あるいは予備発泡槽内の圧力が前述のように一定値に到達し安定する前に空気加圧を停止した場合でも、通常の予備発泡と比較して高い発泡倍率の予備発泡粒子を得ることはできるが、上記のように圧力を高めにした上で、予備発泡槽内の圧力が一定になるまで空気加圧した場合に比べて倍率がやや小さくなる傾向がある。
【0054】
第二の予備発泡工程における加熱発泡工程は、前記空気加圧工程に引き続いて実施される。
【0055】
第二の予備発泡工程における加熱発泡工程は、例えば第一の予備発泡工程と同様に、実質的に発泡槽内を大気圧とし蒸気を導入し加熱発泡させる蒸気パージ方法、あるいは一定幅一定時間の加圧・加熱を加えて加熱発泡させる蒸気調圧方法のいずれでも実施し得る。蒸気パージ方法を選択した場合得られる発泡倍率は、蒸気調圧に比べて同じ加熱時間では低く調整することができる。逆に蒸気調圧を行った場合は比較的高い発泡倍率となる。
【0056】
第二の予備発泡工程の加熱工程において蒸気パージを行う場合の加熱時間は、25〜35秒程度であることが好ましい。
【0057】
また、第二の予備発泡工程の加熱工程において蒸気調圧を行う場合の蒸気の圧力および加熱時間は、得ようとする発泡倍率、発泡性熱可塑性樹脂粒子の樹脂種、可塑成分の含有量等によって異なるため一概に決定づけられないが、例えばスチレン系樹脂において最終的に40〜60倍前後の発泡倍率を所望する場合、蒸気調圧であれば、予備発泡槽内の圧力を0.0025〜0.02MPa、好ましくは0.005〜0.015MPaとし、25〜35秒程度続けることが好ましい。また、例えば100倍以上の高発泡倍率を所望する場合、圧力の調整範囲を0.005〜0.045MPa、好ましくは0.01〜0.03MPaとし、25〜35秒程度続けることが好ましい。
【0058】
第二の予備発泡工程の加熱工程においては、蒸気パージ、蒸気調圧のいずれの方法を用いた加熱であっても、加熱時間が25秒以下では発泡がほとんど進まず倍率が得にくい傾向があり、35秒以上とすると第二の予備発泡工程を後述のように複数回実施して最終的に所望倍率に調整しようとする場合、2回目以降の発泡倍率の伸びが悪くなる傾向がある。ただし、第二の予備発泡工程を1回しか実施しない場合、および、第二の予備発泡工程を複数回実施する場合の繰り返しの最後の回においては、若干のみさらに発泡倍率を増すだけであれば、繰り返し回数を増すよりも短時間で所望の発泡倍率に到達することがあり、ブロッキングを生じない範囲でさらに加熱時間を延長しても良い。
【0059】
なお、第二の予備発泡工程の空気加圧工程から加熱工程に移る際、一度排気弁を開き予備発泡槽内を大気圧付近に戻す必要がある場合がある。これは予備発泡槽内が加圧されたままであって、その圧力が加熱の際の圧力より高く保持されている場合には加熱が実施できないためである。
【0060】
第二の予備発泡工程は、少なくとも1回以上繰り返される。特に予備発泡粒子の倍率を高くしたい際、あるいは発泡剤量が少なく発泡しにくい場合など、所望の発泡倍率までの発泡がさせにくい条件がある場合等には、2回以上繰り返す事が好ましい。
【0061】
また前述のように、中間空気導入もそれに合わせて第二の予備発泡工程の空気加圧工程の前にその都度行う事が好ましい。
【0062】
本発明の予備発泡粒子の取り出し工程は、得られた予備発泡粒子を予備発泡槽外に取り出し成形に供することができる状態にするための工程である。
【0063】
該予備発泡粒子の取り出しに当たっては、その目的に応じて次に述べるいくつかの方法を選択して採用することができる。
【0064】
第一は、得られた予備発泡粒子を比較的時間を経ずに予備発泡槽から取り出す方法であり、取り出した予備発泡粒子は、例えば貯槽等の貯蔵設備で数時間乃至数日保存し、それから成形に使用する。本発明ではこの貯槽等での予備発泡粒子の保存を養生と呼ぶ。
【0065】
この第一の取り出し方法は、排気弁、および必要に応じてドレン弁を開放して予備発泡槽内に送風機からの空気、あるいは場合により圧縮空気を導入した後、予備発泡槽から貯槽へと予備発泡粒子を取り出す方法である。この方法を行う目的は、予備発泡槽内の予備発泡粒子をある程度冷却硬化させることで予備発泡粒子を貯槽へと取り出しても容易には潰れない程度の硬度としたり、予備発泡粒子に付着した水分をある程度除去することである。本発明では、この予備発泡粒子の取り出し工程において、予備発泡槽の排気弁、および必要に応じてドレン弁を開放して予備発泡槽内に送風機からの空気あるいは圧縮空気の導入することを、取り出し時空気冷却と呼ぶ。
【0066】
この第一の取り出し方法は、通常の予備発泡方法において用いられている取り出し方法である。この場合、成形に用いるまでに数時間乃至数日のある程度の時間は必要であるが、蒸気あるいは電気的コストを低く抑えることができる。本発明ではこの第一の取り出し方法を通常の取り出し方法と呼ぶ。
【0067】
第二は、取り出し時空気冷却した後、あるいは取り出し時空気冷却することなく、予備発泡粒子を予備発泡槽より取り出す前に予備発泡槽内を加圧してから取り出す方法がある。本発明ではこれを加圧取り出し方法と呼ぶ。
【0068】
この加圧取り出し方法は、得られた予備発泡粒子をできるだけ短時間のうちに成形に用いたい場合に用いる方法であり、第一の方法に比べて養生に要する時間を数分の一に短縮することができる。
【0069】
加圧取り出し方法における加圧は、発泡槽の排気弁・排出弁等を閉じ、予備発泡槽内を実質的に密閉し圧縮空気を導入し発泡槽内を加圧することで達成される。さらに、加圧前に予備発泡槽の排気弁及び必要に応じてドレン弁を開いて予備発泡槽内を大気開放した状態にした上で圧縮空気や送風機による送風空気を発泡槽内に一定時間導入し予備発泡粒子を冷却及び/または乾燥させた後、加圧を行うことで成形までの時間はさらに短縮される傾向がある。
【0070】
加圧取り出し方法における予備発泡槽内の好ましい圧力、ならびに該圧力を保持する時間は発泡性熱可塑性粒子の樹脂種あるいは構成、および得ようとする発泡倍率等により異なるため一概に決定できないが、例えばスチレン系樹脂の場合、圧力は0.02MPa〜0.045MPa、好ましくは0.025MPa〜0.035MPaとし、5分以上20分以下、好ましくは7分以上15分以下保持することが好ましい。
【0071】
第三は、取り出し時空気冷却した後、あるいは取り出し時空気冷却することなく、取り出し前に予備発泡槽内に加熱空気を導入してから取り出す方法である。本発明ではこれを加熱取り出し方法と呼ぶ。
【0072】
加熱取り出し方法における加熱空気の温度および時間は発泡性熱可塑性粒子の樹脂種あるいは構成、および得ようとする発泡倍率等により異なるため一概に決定できない。しかしながら、例えば予備発泡倍率60倍前後のスチレン系樹脂の予備発泡粒子の場合、温度50〜90℃、好ましくは60〜80℃に調整した温風を排気弁および必要に応じてドレン弁を開いた予備発泡槽内に導入し、5〜30分、好ましくは10〜20分維持することが好ましい。
【0073】
上記空気の温度調節は、ヒーター付きの送風機を用いること、あるいは圧縮空気の温度調節においては圧縮空気の配管や場合により圧縮空気を一時的に貯めておく空気タンクを加温することで、容易に達成することができる。
【0074】
理由は不明であるが、前記の加圧取り出し方法および加熱取り出し方法を採用することにより、成形までの養生時間を前記通常取り出し方法に比べて短縮することができる。
【0075】
本発明の取り出し工程においては、以上の第一から第三の取り出し方法の内の2種以上の方法を適宜組み合わせて実施することもでき、このうち、第二に示した加圧取り出し方法および第三に示した加熱取り出し方法を組み合わせることが最も好ましい態様である。この場合、温風空気による空気加圧を行った加熱・加圧取り出し方法となる。
【0076】
尚、本発明の取り出し工程における上記加圧取り出し方法および加熱取り出し方法は、本発明の予備発泡方法ではない通常の予備発泡方法についても適用することができ、この場合も養生に要する時間を通常の予備発泡方法における養生時間に比較して短縮することができる。しかしながらこれら前記加圧取り出し方法、加熱取り出し方法を、本発明の予備発泡方法に併用することにより、例えば、高倍率の予備発泡粒子や揮発分量の少ない予備発泡粒子を得た上でさらに成形に供するまでの時間も短縮し得るため、さらに大きな工業的効果が得られる。
【0077】
本発明による予備発泡粒子は、通常の予備発泡方法に比較すると、蒸気パージ、蒸気調圧等の時間の合計が同等であれば、通常の予備発泡方法に比較してブロッキングの発生を少なくすることができる。
【0078】
また、前述ように、通常の予備発泡方法に比較して同等の発泡倍率であれば、揮発成分量の量を少なくでき、結果として残留する揮発成分量を少なくできる。
【0079】
さらにまた、通常の予備発泡方法よりも高い発泡倍率を有する予備発泡粒子を容易に得ることができる。
【0080】
また本発明の方法による予備発泡方法で得た予備発泡粒子は、通常の予備発泡方法で得た予備発泡粒子に比較すると、粒子内の残留揮発成分を少なくすることが可能であるため、成形に際して金型内で予備発泡粒子の加熱膨張度合いが少なく、金型内で成形体を例えば水冷等により金型より取り出せる状態まで冷却する冷却時間が短縮され、結果として成形に要するサイクルタイムを短縮することができる。これに対し通常の予備発泡方法では、予備発泡粒子の残留揮発分が本発明の予備発泡方法による予備発泡粒子の揮発分に比較して多くなることから、成形に際して予備発泡粒子の加熱膨張が大となり、取り出し後に変形が生じることがある。このため、冷却は十分に実施されなければならず、これにより、成形に要するサイクルタイムが長くなって工業上極めて不利になる。
【0081】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【0082】
本実施例および比較例では、大開工業株式会社製BHP−110型予備発泡機を用いて予備発泡を実施した。該予備発泡機のシーケンサのプログラムは各例の動作方法に基づきプログラムを都度変更し、一連の工程を自動運転で実施した。
【0083】
また、発泡性熱可塑性樹脂粒子である原料粒子としてポリスチレン系樹脂を樹脂成分とした鐘淵化学工業株式会社製のJIS A9511燃焼試験合格の自己消火性を有するカネパールFHMおよび比較的均一な原料粒径を有するグレードであるカネパールSBBを用いた。原料粒子の揮発分を低くする場合は原料粒子をタバイエスペック株式会社製P−11型均熱乾燥機にて45℃で乾燥し、揮発分を逸散させて低揮発分の原料粒子を得た。
【0084】
BHP−110型予備発泡機に導入する蒸気および圧縮空気の圧力はそれぞれ0.2MPaおよび0.7MPaとした。
【0085】
実施例および比較例では、原料投入後後述する各例の工程に従って予備発泡粒子を得たうえで、下記各評価項目について評価した。
【0086】
1)発泡倍率
原料粒子の比重を1.04g/cm3とし、下記式に基づいて発泡倍率を計算した。
(発泡倍率)=(得られた予備発泡粒子の嵩比重)/1.04
【0087】
2)養生効果
予備発泡槽から予備発泡粒子を取り出した直後を0時間とし、以降5分毎に発泡粒子の硬度を高分子計器株式会社製CS型ゴム硬度計(指標値0〜100)で24時間測定する。24時間の測定結果に対し、90%以上の硬度を示した時間をもって養生効果とした。
【0088】
4)加熱時間
予備発泡において、蒸気パージ及び蒸気調圧を実施した時間の合計時間で評価した。
【0089】
3)ブロッキング
発泡槽から予備発泡粒子を取り出した際、予備発泡粒子500ccをサンプリングし、その中に10粒子以上が融着し固まった予備発泡粒子のブロックが存在するかどうかを確認し、存在する場合にブロッキング有りとする。
【0090】
4)予備発泡粒子揮発分
得られた予備発泡粒子を150℃の雰囲気下に30分放置し、予備発泡粒子の元重量に対する放置前後での重量変化を測定する。この減量率を予備発泡粒子の揮発分とした。
【0091】
6)原料粒子の揮発分
原料粒子を150℃の雰囲気下に30分放置し、原料粒子の元重量に対する放置前後での重量変化を測定し原料粒子の揮発分とした。
【0092】
(実施例1)
原料粒子揮発分7%である原料粒子FHMをBHP−110型予備発泡機に投入する。
【0093】
原料粒子投入後、第一の予備発泡工程として予備発泡機の予備発泡槽の排気弁を開き30秒間蒸気パージした後排気弁を閉じ、下限圧力0.01MPa〜上限圧力0.03MPaにて蒸気調圧を150秒間実施した。
【0094】
第一の予備発泡工程終了後、排気弁およびドレン弁を開いた状態で圧縮空気を予備発泡槽に導入する中間空気導入を30秒間実施した。
【0095】
その後第二の予備発泡工程として、排気弁およびドレン弁を閉じ予備発泡槽を密閉した状態で圧縮空気を予備発泡槽内に導入し、予備発泡槽内を概ね0.03MPaに180秒間維持する空気加圧工程を実施した後、一度排気弁を開いて予備発泡槽内を大気圧とし、その後再度排気弁を閉じて予備発泡槽を密閉し、下限圧力0.01MPa〜上限圧力0.025MPaでの蒸気調圧による加熱工程を30秒間実施した。
【0096】
本実施例では中間空気導入とそれに続く第二の予備発泡工程を合計3回繰り返した。
【0097】
第二の予備発泡工程が3回終了した後、取り出し工程として、排気弁およびドレン弁を開いた上で予備発泡槽内に圧縮空気を導入する取り出し時空気冷却を30秒間行った後予備発泡粒子を取り出す通常の取り出し方法を実施した。
【0098】
得られた予備発泡粒子の評価項目を表1に示す。
【0099】
得られた予備発泡粒子は比較例1に示す通常の予備発泡方法で同一加熱時間加熱した場合に比較して高い発泡倍率を示した。また、比較例3に示すように第二の予備発泡工程における空気加圧工程をとらない場合に比べて高い発泡倍率となった。ブロッキングは観察されなかった。また予備発泡粒子の揮発分は、比較例1の場合と比較して低くなった。
【0100】
(実施例2)
揮発分を調整し原料揮発分3.95%としたSBB原料粒子を用い、第一の予備発泡工程における蒸気調圧時間を60秒とし、第二の予備発泡工程における蒸気調圧の蒸気圧力範囲を下限圧力0.005MPa〜上限圧力0.02MPaとし、中間空気導入およびそれに続く第二の予備発泡工程の繰り返し回数を1回とした以外は実施例1と同様の方法で予備発泡粒子を得た。
【0101】
得られた予備発泡粒子の評価項目を表1に示す。
【0102】
得られた予備発泡粒子は、比較例2に示す原料揮発分が5.1%と高い通常のSBB原料粒子の場合と比較しても同等の倍率を示した。ブロッキングは観察されなかった。さらに養生効果は95分となり、比較例2の場合が360分であることに比較して、短縮された。また予備発泡粒子の揮発分は、比較例2の場合と比較して低くなった。
【0103】
(実施例3)
実施例2と同様に揮発分を調整し原料揮発分3.95%としたSBB原料粒子を用い、取り出し工程において、排気弁およびドレン弁を開き、予備発泡槽内に圧縮空気を30秒間導入する取り出し時空気冷却を実施した後、排気弁及びドレン弁を閉じ、圧縮空気を予備発泡槽内に導入し、予備発泡槽内を0.03MPaにて600秒間空気加圧した後、予備発泡粒子を取り出す加圧取り出し方法を実施した以外は実施例2と同様の方法にて予備発泡粒子を得た。
【0104】
得られた予備発泡粒子の評価項目を表1に示す。
【0105】
得られた予備発泡粒子は、比較例2に示す原料揮発分が5.1%と高い通常のSBB原料粒子の場合と比較しても同等の倍率を示した。ブロッキングは観察されなかった。さらに養生効果は30分となり、比較例2の場合の養生効果360分に比較して短縮された。また、通常の取り出しを実施した実施例2が95分であったことに比較してさらに短縮された。また予備発泡粒子の揮発分は、比較例2の場合と比較して低くなった。
【0106】
(実施例4)
実施例2と同様に揮発分を調整し原料揮発分3.95%としたSBB原料粒子を用い、取り出し工程において、排気弁およびドレン弁を開き、約80℃に温度調整された温風を予備発泡槽内に1200秒導入した後、予備発泡粒子を取り出す加熱取り出し方法を実施した以外は実施例2と同様の方法にて予備発泡粒子を得た。
【0107】
得られた予備発泡粒子の評価項目を表1に示す。
【0108】
得られた予備発泡粒子は、比較例2に示す原料揮発分が5.1%と高い通常のSBB原料粒子の場合と比較しても同等の倍率を示した。ブロッキングは観察されなかった。さらに養生効果は35分となり、比較例2の場合の養生効果360分に比較して短縮された。また、通常の取り出しを実施した実施例2が95分であったことに比較してさらに短縮された。また予備発泡粒子の揮発分は、比較例2の場合と比較して低くなった。
【0109】
(実施例5)
実施例2と同様に揮発分を調整し原料揮発分3.95%としたSBB原料粒子を用い、取り出し工程において、排気弁およびドレン弁を開き、BHP−110型予備発泡機の予備発泡槽内に圧縮空気を30秒間導入する取り出し時空気冷却を実施した後、排気弁及びドレン弁を閉じ、80℃に加熱した圧縮空気を予備発泡槽内に導入し、予備発泡槽内を0.03MPaにて600秒間加圧した後予備発泡粒子を取り出す加熱空気による加熱・加圧取り出し方法を実施した以外は実施例2と同様の方法にて予備発泡粒子を得た。実施例3とほぼ同様であるが、加圧取り出し方法に用いる圧縮空気が80℃の加熱空気である点が実施例3と異なる。
【0110】
得られた予備発泡粒子の評価項目を表1に示す。
【0111】
得られた予備発泡粒子は、比較例2に示す原料揮発分が5.1%と高い通常のSBB原料粒子の場合と比較しても同等の倍率を示した。ブロッキングは観察されなかった。さらに養生効果は20分となり、比較例2の場合の養生効果360分に比較して短縮された。また、通常の取り出しを実施した実施例2が95分であったこと、加圧取り出し方法を実施した実施例3が30分であったこと、加熱取り出し方法を実施した実施例4が35分であったことに比較してもさらに短縮された。また予備発泡粒子の揮発分は、比較例2の場合と比較して低くなった。
【0112】
(実施例6)
原料粒子揮発分7%であるFHM原料粒子を用い、中間空気導入を用いないこと以外は実施例1と同様の方法で予備発泡粒子を得た。
【0113】
得られた予備発泡粒子の評価項目を表1に示す。
【0114】
得られた予備発泡粒子は、実施例1で得た発泡倍率と比較すると発泡倍率は低くなったが、比較例1に示す通常の予備発泡方法で同一加熱時間加熱した場合に比較して高い発泡倍率を示した。また、比較例3に示すように第二の予備発泡工程における空気加圧工程をとらない場合に比べて高い発泡倍率となった。ブロッキングは観察されなかった。また予備発泡粒子の揮発分は、比較例1の場合と比較して低くなった。
【0115】
(比較例1)
原料粒子揮発分7%であるFHM原料粒子を用い、原料粒子をBHP−110型予備発泡機の予備発泡槽に投入後、直ちに排気弁およびを開き30秒間蒸気パージし、蒸気パージ終了後直ちに排気弁を閉じ下限圧力0.01MPa〜上限圧力0.03MPaにて蒸気調圧を240秒間実施する通常の予備発泡方法を実施した。その後、予備発泡槽の排気弁およびドレン弁を開き、予備発泡槽内に圧縮空気を30秒間導入する取り出し時空気冷却を実施した後、予備発泡粒子を取り出す通常の取り出し方法により予備発泡粒子を得た。
【0116】
得られた予備発泡粒子の評価項目を表1に示す。
【0117】
得られた予備発泡粒子は発泡倍率121倍であり、実施例1と比較して低くなった。また、ブロッキングが観察された。
【0118】
(比較例2)
比較例1と同様に原料粒子揮発分5.1%であるSBB原料粒子用い、蒸気調圧時間を120秒とした以外は比較例1と同様の方法で予備発泡粒子を得た。
【0119】
得られた予備発泡粒子の評価項目を表1に示す。
【0120】
原料粒子の揮発分は揮発分を逸散調整した実施例2〜4と比べ高かったが、得られた予備発泡粒子の発泡倍率63倍となり、実施例2〜4と同等程度に止まった。ブロッキングは観察されなかった。養生効果は240分であり、実施例2〜4と比較して長くなった。
【0121】
(比較例3)
原料粒子揮発分7%であるFHM原料粒子を用い、第二の予備発泡工程における空気加圧工程を行わないこと、第二の予備発泡工程における蒸気調圧による加熱工程の時間を90秒としたこと、並びに中間空気導入及びそれに続く第二の予備発泡工程の繰り返し数を1回とした以外は実施例1と同様の方法で実施し、予備発泡粒子を得た。
【0122】
得られた予備発泡粒子の評価項目を表1に示す。
【0123】
得られた予備発泡粒子の発泡倍率は、通常の予備発泡方法である比較例1の場合と比較すると高くなったが、実施例1および実施例6の場合と比較すると低くなった。ブロッキングは観察されなかった。
【0124】
以上の実施例および比較例により、本発明によれば同じ程度の加熱時間であれば、より高い倍率がブロッキングすることなく得られ、また原料揮発分が低くとも、通常予備発泡方法による予備発泡粒子と同等の発泡倍率が得られることが確認された。また、予備発泡粒子の取り出し時に、空気による加圧取り出し方法あるいは加温空気による加熱取り出し方法を採用することで、養生時間が短縮されることが確認された。
【0125】
【表1】
Figure 0004085835
【0126】
【発明の効果】
本発明によれば、同じ程度の加熱時間であれば、より高い倍率がブロッキングすることなく得られ、また原料揮発分が低くとも、通常予備発泡方法による予備発泡粒子と同等の発泡倍率が得られる。更に、予備発泡粒子の取り出し時に、空気による加圧取り出し方法あるいは加温空気による加熱取り出し方法を施すことで、養生時間が短縮される。

Claims (3)

  1. 発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡槽に投入し、加熱発泡させる第一の予備発泡工程と、第一の予備発泡工程で得た粒子を加熱しさらに発泡させる第二の予備発泡工程とからなるところの同一予備発泡槽内で行う予備発泡方法であって、第二の予備発泡工程が、第一の予備発泡工程で得た予備発泡粒子に対して圧縮空気により加圧する空気加圧工程およびそれに続く加熱発泡工程を含み、第二の予備発泡工程を少なくとも1回以上行った後、予備発泡粒子を予備発泡槽より取り出すことを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法。
  2. 発泡性熱可塑性樹脂粒子を予備発泡槽に投入し、加熱発泡させて予備発泡粒子を得る方法であって、請求項1記載の第一の予備発泡工程及び1回以上の第二の予備発泡工程を行った後、発泡させた予備発泡粒子を予備発泡槽より取り出すに際し、(1)前記予備発泡槽内を圧縮空気で加圧した後、予備発泡槽より取り出す予備発泡粒子の取り出し、または(2)前記予備発泡槽内に60℃以上80℃以下の温風を吹き込み、一定時間経過した後、予備発泡槽より取り出す予備発泡粒子の取り出し、を行うことを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法。
  3. 第一の予備発泡工程の終了後、第二の予備発泡工程の前に、予備発泡槽内に一度空気を導入する中間空気導入を行う請求項1または2に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の予備発泡方法。
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