JP4082204B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者により行われるステアリングホイール等の操舵部材の操作に応じて車両を操舵せしめるための車両用操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の操舵は、運転者によりなされる操舵部材の操作(一般的にはステアリングホイールの回転操作)を、操舵用の車輪(一般的には左右の前輪)を操舵するために車室の外部に配した舵取機構に伝えて行われる。
【0003】
このような車両用操舵装置として、近年、前記操舵部材と前記舵取機構とを機械的に分離させて備えると共に、舵取機構の一部に、操舵アクチュエータとしての操舵モータを付設してなり、この操舵モータを、操舵部材の操作方向及び操作量の検出結果、更には、車速の高低、旋回の有無、加減速の有無等の走行状態の検出結果に基づいて動作させ、舵取機構に操舵を行わせる構成とした分離式の操舵装置、所謂、ステアバイワイヤ式の操舵装置が提案されている。
【0004】
また、この車両用操舵装置においては、舵取機構から分離された操舵部材に反力付与手段を付設し、該反力付与手段の動作により付与される操作反力に抗して操舵部材の操作を行わせるようにしている。反力付与手段は、操舵部材の回転軸に減速装置を介して伝動構成された反力モータにより構成することができ、該反力モータを、舵取機構に実際に加わる反力の検出結果、更には、車速の高低、旋回の有無、加減速の有無等の走行状態の検出結果に基づいて動作させ、操舵部材を操作する運転者に良好な操舵感を体感させるようにしてある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−211885号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
さて、以上の如きステアバイワイヤ式の操舵装置においては、操舵モータ、該操舵モータを制御する操舵制御部、及びこの制御に用いる各種のセンサに対するフェイル対策が重要であり、従来から、操舵モータ、センサ及び操舵制御部を二重系とし、更には、操舵部材と舵取機構との間に、電磁クラッチ等の連結手段を介装し、この連結手段をフェイル発生時に連結動作させて、操舵部材の操作力を舵取機構に機械的に伝達可能とする等の種々のフェイル対策がなされている。
【0007】
同様に、操舵部材に前述した操作反力を付与する反力付与手段においても、反力モータ、該反力モータを制御する反力制御部、及びこの制御に用いる各種のセンサに対するフェイル対策が必要であるが、このフェイル対策については、操舵不能を引き起こす操舵モータの周辺に対する前述したフェイル対策に比して重要視されておらず、例えば、操舵部材を中立位置に戻すべく備えられた中立ばねのばね力を利用し、フェイル発生時には、前記ばね力を操作反力として操舵部材の操作を行わせる程度のフェイル対策が施されているに過ぎない。
【0008】
しかしながら、車両の走行中に反力付与手段にフェイルが発生した場合、操舵部材に加わる操作反力が急減し、運転者による操舵部材の思わぬ操作がなされる虞れがあり、これを回避すべく、前記中立ばねのばね力を大きく設定した場合、定常的に加わる前記ばね力の作用により、通常操舵時の操舵感の悪化を招来するという問題があり、フェイルの発生時にのみ適度な操作反力を操舵部材に付与することができる簡易なフェイル対策が切望されている。
【0009】
また、このようなフェイル対策は、ステアバイワイヤ式の操舵装置に限らず、例えば、油圧式のパワーステアリング装置において、操舵部材に走行状態に応じた付加的な操作反力を付与すべく備えられた反力付与手段に対しても、フェイル発生に伴う操作反力の急減を防止するために必要である。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、操舵部材に操作反力を付与すべく設けられた反力付与手段のフェイル時に適度な操作反力の付与が可能であり、急激な操舵感の変化を防止し得る車両用操舵装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1発明に係る車両用操舵装置は、操舵のために操作される操舵部材に、操作反力を付与する反力付与手段を備える車両用操舵装置において、前記操舵部材の操作に応じて液室内部の作動液の抵抗下にて回転する抵抗体を有するロータリダンパと、前記反力付与手段のフェイル時に前記液室内に作動液を供給すべく動作する給液手段とを有し、前記操舵部材に前記操作反力を付与可能な第2反力付与手段を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、操舵部材に操作反力を付与可能な第2反力付与手段を備え、この第2反力付与手段を、操舵部材に定常的に操作反力を付与する反力付与手段のフェイル時に動作させて、操舵部材に適度な操作反力を加え、操作反力の急減による操舵感の急変を未然に防止する。第2反力付与手段は、操舵部材の操作に応じて液室内にて回転する抵抗体を備えるロータリダンパと、反力付与手段のフェイル時に給液手段を動作させ、ロータリダンパの液室内に作動液を供給する簡素な構成により実現する。反力付与手段の正常動作時には、空の液室内にて回転する抵抗体により操舵部材への操作反力の付与はなされず、反力付与手段のフェイル時には、作動液が満たされた液室内にて粘性抵抗下にて回転する抵抗体により操舵部材に適度な操作反力が付与される。
【0015】
また本発明の第2発明に係る車両用操舵装置は、操舵のために操作される操舵部材に、操作反力を付与する反力付与手段を備える車両用操舵装置において、予圧が加えられた軸受により支持され、該軸受の摩擦抵抗下にて回転する抵抗軸と、前記反力付与手段のフェイル時に前記操舵部材と前記抵抗軸とを連結すべく動作する連結手段とを有し、前記操舵部材に前記操作反力を付与可能な第2反力付与手段を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、操舵部材に操作反力を付与可能な第2反力付与手段を備え、この第2反力付与手段を、操舵部材に定常的に操作反力を付与する反力付与手段のフェイル時に動作させて、操舵部材に適度な操作反力を加え、操作反力の急減による操舵感の急変を未然に防止する。第2反力付与手段は、予圧が加えられた軸受により支持された抵抗軸を操舵部材に並設し、反力付与手段のフェイル時に連結手段を動作させ、操舵部材と抵抗軸とを連結する簡素な構成により実現する。反力付与手段の正常動作時には、回転しない抵抗軸により操舵部材への操作反力の付与はなされず、反力付与手段のフェイル時には、操舵部材との連結により前記軸受の摩擦抵抗下にて回転する抵抗軸により操舵部材に適度な操作反力が付与される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る車両用操舵装置の第1の実施の形態の全体構成を示す模式図である。
【0018】
図示の車両用操舵装置は、車体の左右に配された一対の操舵用の車輪10,10に舵取動作を行わせるための舵取機構1と、該舵取機構1から機械的に分離して配され、操舵のために回転操作されるステアリングホイール(操舵部材)2とを備えるステアバイワイヤ式の操舵装置として構成されており、舵取機構1に付設された操舵モータM1 、ステアリングホイール2の操作に応じた操舵を実現すべく操舵モータM1 を制御する操舵制御部3、ステアリングホイール2に付設された反力モータM2 、及び舵取機構1に実際に加わる反力をステアリングホイール2に加えるべく反力モータM2 を制御する反力制御部4を備え、更に、反力付与手段を構成する反力モータM2 、反力制御部4等のフェイル発生時に、ステアリングホイール2に所定の操作反力を加えるべく動作する第2反力付与手段5を備えている。
【0019】
舵取機構1は、図示しない車体の左右方向に延設された筒形をなすハウジングH1 の内部に支持され軸長方向に移動する操舵軸11を備え、ハウジングH1 の両側に突出する操舵軸11の両端部を各別のタイロッド13,13を介して操舵用の車輪10,10のナックルアーム12,12に連結し、操舵軸11の両方向への移動によりタイロッド13,13を介してナックルアーム12,12を押し引きし、前記車輪10,10を左右に操舵する構成となっている。
【0020】
この操舵を行わせるための操舵モータM1 は、ハウジングH1 の一側半部に設けた大径部14に、該大径部14の内周面に固設されたステータと、該ステータの内側に面して操舵軸11と同軸上にて回転自在に支持された筒形のロータとを備える3相ブラシレスモータとして構成されており、前記ロータの一側に連設されたボールねじ機構等の運動変換機構を介して操舵軸11の中途に伝動構成されている。このような操舵モータM1 及び運動変換機構の構成は、特許文献1として提示した本願出願人による特開平10−211885号公報等に開示されている。なお、操舵モータM1 はハウジングH1 の外部に取り付け、ギヤ、ベルト等の伝動手段を介してハウジングH1 の内部の運動変換機構に伝動構成してもよい。
【0021】
操舵モータM1 は、操舵制御部3から図示しない駆動回路に与えられる制御指令に従って回転駆動される。操舵制御部3は、前記ステアリングホイール2の回転操作に応じた操舵を行わせるべく前記制御指令を発し、操舵モータM1 を駆動せしめる操舵制御動作を行う。
【0022】
このように駆動される操舵モータM1 の回転は、前記運動変換機構により直線運動に変換されて操舵軸11に伝えられ、この伝動に応じた操舵軸11の軸長方向の移動により前述した操舵がなされる。この操舵により変化する操舵用の車輪10,10の実舵角は、操舵軸11と一側のタイロッド13との連結部の変位を検出すべく構成された実舵角センサ17により検出され操舵制御部3に与えられている。また、一側のタイロッド13には、軸方向に作用する軸力を検出するタイロッド軸力センサ18が付設されており、この検出結果は、操舵に伴って舵取機構1に実際に加わる実反力を示す信号として、反力制御部4に与えられている。
【0023】
このような舵取機構1から分離して配されたステアリングホイール2は、その回転軸となるコラム軸20を回転自在に支持するコラムハウジングH2 を介して、図示しない車体の適宜部位に支持されている。該ステアリングホイール2に操作反力を加える反力モータM2 は、コラムハウジングH2 の外側に取り付けられ、ウォームギヤ機構等の減速機構(図示せず)を介してコラム軸20の中途部に伝動構成されており、反力モータM2 が回転駆動された場合、この回転力が前記減速機構により減速されてコラム軸20に付加され、更に、該コラム軸20の上端に固定されたステアリングホイール2に操作反力が付与されるようになしてある。
【0024】
反力モータM2 は、反力制御部4から図示しない駆動回路に与えられる制御指令に従って駆動される。反力制御部4は、舵取機構1に実際に加わる反力に対応する操作反力をステアリングホイール2に付与すべく前記制御指令を発し、反力モータM2 を駆動せしめる反力制御動作を行う。
【0025】
この操作反力に抗して回転操作されるステアリングホイール2の操作角は、コラムハウジングH2 の中途部に付設された操舵角センサ21により検出され、操舵制御部3に与えられている。更に、操舵制御部3には、車速、ヨーレート、横加速度、前後加速度等、操舵に影響を与える走行状態の検出結果が、車両の各部に設置された走行状態センサ22から与えられている。走行状態センサ22による走行状態の検出結果は、反力制御部4にも与えられている。
【0026】
このような反力モータM2 及び反力制御部4を備える反力付与手段のフェイル発生時に動作する第2反力付与手段5は、コラム軸20を支持するコラムハウジングH2 の下部に付設されている。反力制御部4は、前記反力制御動作に加えて、後述の如くなされるフェイル判定に従って第2反力付与手段5に動作指令を発するフェイル補償動作を行う。
【0027】
図2は、図1中に単純なブロックとして示された第2反力付与手段の概略構成を示す図である。本図に示す第2反力付与手段5は、ロータリダンパ6と、該ロータリダンパ6に作動液を供給する給液手段7とを備えてなる。
【0028】
ロータリダンパ6は、液密に封止された円形断面を有する液室60と、この液室60の内部に同軸的に支持された回転軸61、及びこの回転軸61に取り付けられた抵抗体62とを備えてなり、液室60の一側外部に延設された回転軸61の端部は、コラムハウジングH2 の下部に突出するコラム軸20の端部に連結されている。抵抗体62は、回転軸61の周面に半径方向外向きに突設された矩形平板であり、液室60の半部に、該液室60の両端壁及び周壁の内面との間にわずかな隙間を有して嵌め込まれ、この隙間を保ちつつ回転軸61の回転に伴って液室60内にて回転し得るようになしてある。
【0029】
給液手段7は、ロータリダンパ6の液室60の一側に給液路70を介して連通された給液シリンダ71と、前記給液路70の中途に介装された開閉弁72とを備え、更に排気路73を介して前記液室60の他側に連通された排気室74を備えてなる。
【0030】
給液シリンダ71の内部には、液室60の内部を満たし得る量の作動液(一般的には高粘性の油)が収容されており、加圧ばね75により付勢された加圧ピストン76により給液路70内に押し出す向きに加圧されている。開閉弁72は、反力制御部4から与えられる動作指令信号に応じて開動作する電磁弁であり、この開閉弁72が開放された場合、給液シリンダ71の内部の作動液が給液路70を経てロータリダンパ6の液室60内に導入されるようになしてある。排気室74は、以上の如き作動液の導入に伴って液室60から排気路73内に押し出される排気を受容すべく設けてある。
【0031】
第2反力付与手段5が非動作状態にあるとき、開閉弁72は閉止されており、作動液は、図2中に実線により示す位置にある加圧ピストン76により加圧されて給液シリンダ71内に留まっており、ロータリダンパ6の液室60の内部は空気により満たされている。このような非動作状態下での抵抗体62の回転は、液室60の内壁との間の隙間を通過する空気によるわずかな抵抗下にて滑らかに生じ、該抵抗体62をコラム軸20及び回転軸60を介して回転させるべく操作されるステアリングホイール2にはわずかな操作反力が付与されるのみである。
【0032】
このような第2反力付与手段5は、開閉弁72の開放により動作状態となり、このとき加圧ばね75により付勢された加圧ピストン76は、図2中に実線により示す位置から2点鎖線により示す位置まで移動し、この移動により給液シリンダ71の内部の作動液が給液路70を経てロータリダンパ6の液室60の内部に導入され、また液室60の内部の空気が排気路73を経て排気室74に排出されて、液室60の内部は作動液により満たされる。
【0033】
このような動作状態下での抵抗体62の回転は、高粘性の作動液が液室60の内壁との間の隙間を通流する際の大なる抵抗を伴って生じ、該抵抗体62をコラム軸20及び回転軸60を介して回転させるべく操作されるステアリングホイール2には大なる操作反力が付与される。
【0034】
以上の如く構成された本発明に係る車両用操舵装置において、操舵モータM1 を対象とする操舵制御部3の操舵制御動作は、例えば、前記操舵角センサ21により検出されるステアリングホイール2の操作角度に基づいて目標舵角を求め、この目標舵角と、前記実舵角センサ17により検出される操舵用の車輪10,10の実舵角との偏差に基づくフィードバック制御により行われる。このとき走行状態センサ22から与えられる走行状態の検出結果は、前記目標舵角の補正に用いられる。この補正は、例えば、車速の増大に伴って目標舵角を減じ、また、ヨーレート、横加速度により定まる車両の旋回程度の増大に伴って目標舵角を減じるようになされる。
【0035】
以上の操舵制御動作により操舵軸11は、前記運動変換機構を介して伝達される操舵モータM1 からの伝動により、ステアリングホイール2の操作角度に対応する目標舵角を得るべく軸長方向に移動せしめられ、この移動によりステアリングホイール2の操作に応じた操舵が実現される。また、走行状態に基づく前記目標舵角の補正により、ステアリングホイール2の操作角度と操舵軸11の移動量との対応関係が変わり、走行状態に応じた操舵特性が得られる。
【0036】
また反力モータM2 を対象とする反力制御部4の制御動作は、例えば、前記タイロッド軸力センサ18により検出される舵取機構1の実反力に基づいて目標反力を求め、この目標反力に対応する駆動電流を反力モータM2 に給電せしめて行われる。このとき走行状態センサ22から与えられる走行状態の検出結果は、前記目標反力の補正に用いられる。この補正は、例えば、車速及び旋回程度の増大に伴って目標反力を増し、また、前後加速度により定まる車両の減速程度の増大に伴って目標反力を増すように行われる。
【0037】
以上の反力制御動作によりステアリングホイール2には、コラム軸20に加わる反力モータM2 の回転力が操作反力として付与される。この操作反力は、舵取機構1に加わる実反力を走行状態に応じて補正したものであり、操舵のためにステアリングホイール2を回転操作する運転者に良好な操舵感を体感させることができる。
【0038】
以上の如き反力制御動作の実施中に反力制御部4は、反力付与手段を構成する反力モータM2 及び反力制御部4自身、更には、反力制御動作に使用する各センサに対するフェイル判定を行っており、このフェイル判定の結果、いずれかがフェイル状態にあると判定された場合、このフェイル状態下での誤った操作反力の付与を防止し、また操作反力の喪失によるステアリングホイール2の操作感の急変を防止するため、反力モータM2 に対する反力制御動作を停止すると共に、第2反力付与手段5に動作指令を発するフェイル補償動作を行う。
【0039】
このフェイル補償動作は、前記開閉弁72に動作指令を発し、該開閉弁72を開放せしめる動作であり、この開放によりロータリダンパ6の液室60の内部に作動液が満たされ、ステアリングホイール2には、前記作動液中にて抵抗体62が回転する際の抵抗が略一定の操作反力として付与される。これにより前述したフェイル判定の結果に基づいて反力制御動作が停止された状態での緊急の操舵が、第2反力付与手段5による付与反力下にてなされ、反力モータM2 による操作反力の喪失に伴うステアリングホイール2の操作感の急変を防止することができる。
【0040】
図2に示す第2反力付与手段5は、ステアリングホイール2のコラム軸20に連結されたロータリダンパ6と、該ロータリダンパ6に作動液を供給する給液手段7とを備える簡素な構成であり、操舵装置の全体構成の複雑化及び製品コストの増大を最小限に抑えつつ、反力付与手段のフェイル時にステアリングホイール2に適度な操作反力を確実に付与することが可能となり、例えば、路肩に寄せて停止させるまでの間、又は近くの修理工場に到着するまでの間の緊急の操舵を、操舵感の急変を伴うことなく、安全確実に行わせることができる。
【0041】
なお、以上の如きフェイル補償動作がなされる場合、ステアリングホイール2の操作感にある程度の変化が生じることは避けられないため、反力制御部4は、第2反力付与手段5への動作指令の出力に伴って図示しない警報手段に動作指令を発し、例えば、警報音の鳴動、音声メッセージの発生等の警報動作を行わせ、操舵感が変化することを運転者に報知して、ステアリングホイール2の操作を慎重に行いつつ所定の対応を促すようにするのが望ましい。
【0042】
図3は、第2反力付与手段5の第2の実施の形態の概略構成を示す図である。本図に示す第2反力付与手段5は、予圧が付加された軸受80によりハウジング81の内部に支持された抵抗軸8と、該抵抗軸8とステアリングホイール2のコラム軸20とを連結する連結手段9とを備えてなる。
【0043】
図示の如く軸受80は、支持対象となる抵抗軸8に適用可能な範囲内において可及的に大きい負荷容量を有するように選定されたアンギュラ玉軸受であり、抵抗軸8の軸端部に螺合する予圧ナット82の締め付けにより、ハウジング81との間にて大なる予圧を加え、この予圧下にて回転する抵抗軸8に所定の回転抵抗が付加されるようにしてある。
【0044】
連結手段9は、電磁クラッチ等、外部から与えられる動作指令信号により連結動作させ得るクラッチであればよく、ハウジング80の一側に並設されており、他側に突設する連結手段9の入力軸90は、コラムハウジングH2 の下部に突出するコラム軸20の端部に連結されている。
【0045】
以上の如く構成された第2反力付与手段5において、連結手段9は、前述したフェイル補償動作時に反力制御部4から与えられる動作指令に応じて連結動作をなし、この連結動作によりコラム軸20と抵抗軸8とが、連結手段9の入力軸90を介して連結される。このときコラム軸20には、予圧された軸受80により抵抗軸8に付加される回転抵抗が加わり、該コラム軸20に取り付けられた操舵部材としてのステアリングホイール2に前記回転抵抗に相当する操作反力が付与されることとなり、反力モータM2 による付与反力の喪失に伴う操舵感の急変を防止することができる。
【0046】
また連結手段9は、反力モータM2 を備える反力付与手段が正常動作している間には、非連結状態を保つ。このときステアリングホイール2の回転は、コラム軸20を介して連結手段9の入力軸90に伝わるのみであり、前記ステアリングホイール2には、第2反力付与手段5によるなんらの操作反力も付与されず、該ステアリングホイール2の操作は、反力制御部4により前述の如く制御される反力モータM2 の回転力を操作反力として行われる。
【0047】
なお、図3においては、抵抗軸8を支持する軸受80として単一のアンギュラ玉軸受を用いているが、複数のアンギュラ玉軸受を順列に並べて用いることも可能であり、また、予圧の付与により抵抗軸8に抵抗を付与し得る軸受であれば、スラスト玉軸受、円錐ころ軸受等のアンギュラ玉軸受以外の転がり軸受、更には、滑り軸受を用いることも可能である。
【0048】
また図3においては、コラムハウジングH2 と別体に構成されたハウジング81内に抵抗軸8を支持し、前記ハウジング81に連結手段9を連設した構成としてあるが、コラムハウジングH2 を下方に延長し、この延長部内に抵抗軸8及び連結手段9を構成してもよい。このことは、図2に示す第1の実施の形態においても同様であり、コラムハウジングH2 の延長部内にロータリダンパ6を構成し、更には、ロータリダンパ6及び給液手段7を構成してもよい。
【0057】
なお、第2反力付与手段5は、以上の実施の形態に示す構成の外にも、例えば、磁気の作用により硬化する特性を有する粉体をハウジング内に収容し、外部から磁気を加えることによりブレーキ作用をなすパウダブレーキを用いた構成、また、磁界の作用により粘性を増す特性を有するMR流体(Magneto-Rheological Fluid )、又は電界の作用により粘性を増す特性を有するER流体(Electro-Rheological Fluid )をハウジング内に収容し、外部からの磁界又は電界の印加により抵抗を発生するようにした構成とすることができる。更には、ベルト、摩擦板を備える摩擦ブレーキを第2反力付与手段5とすることも可能である。
【0058】
また以上の実施の形態においては、舵取機構1から機械的に分離された操舵部材(ステアリングホイール2)を備えるステアバイワイヤ式の舵取装置への適用例について述べたが、本発明は、例えば、油圧式のパワーステアリング装置において、操舵部材に走行状態に応じた付加的な操作反力を付与すべく備えられた反力付与手段に対しても、フェイル発生に伴う反力の急減を防止するために適用することが可能であり、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0059】
更に以上の実施の形態においては、反力制御部4から与えられる動作指令により第2反力付与手段5が動作するようにしてあるが、例えば、反力付与手段のフェイル時になされる手動スイッチの操作に応じて第2反力付与手段5が動作するように構成してもよい。この場合、反力制御部4は、前述したフェイル判定に従って警報動作のみを行い、この警報を聴取した運転者が前記手動スイッチを操作するように構成すればよい。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明に係る車両用操舵装置においては、操舵部材に操作反力を付与する反力付与手段のフェイル時に、ロータリダンパ及び給液手段、又は予圧が加えられた軸受及び連結手段を有する簡素な構成の第2の反力付与手段が動作し、フェイル発生に伴う操作反力の喪失による操舵感の急変を簡素な構成にて有効に防止することができ、フェイル下での緊急の操舵を安全確実に行わせることが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る車両用操舵装置の第1の実施の形態の全体構成を示す模式図である。
【図2】 図1に示す第2反力付与手段の概略構成を示す図である。
【図3】 第2反力付与手段の第2の実施の形態の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
1 舵取機構
2 ステアリングホイール(操舵部材)
3 操舵制御部
4 反力制御部
5 第2反力付与手段
6 ロータリダンパ
7 給液手段
8 抵抗軸
9 連結手段
60 液室
62 抵抗体
80 軸受
M1 操舵モータ
M2 反力モータ
Claims (2)
- 操舵のために操作される操舵部材に、操作反力を付与する反力付与手段を備える車両用操舵装置において、
前記操舵部材の操作に応じて液室内部の作動液の抵抗下にて回転する抵抗体を有するロータリダンパと、前記反力付与手段のフェイル時に前記液室内に作動液を供給すべく動作する給液手段とを有し、前記操舵部材に前記操作反力を付与可能な第2反力付与手段を備えることを特徴とする車両用操舵装置。 - 操舵のために操作される操舵部材に、操作反力を付与する反力付与手段を備える車両用操舵装置において、
予圧が加えられた軸受により支持され、該軸受の摩擦抵抗下にて回転する抵抗軸と、前記反力付与手段のフェイル時に前記操舵部材と前記抵抗軸とを連結すべく動作する連結手段とを有し、前記操舵部材に前記操作反力を付与可能な第2反力付与手段を備えることを特徴とする車両用操舵装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002364477A JP4082204B2 (ja) | 2002-12-16 | 2002-12-16 | 車両用操舵装置 |
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