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JP4080766B2 - Nb3Sn化合物系超電導線 - Google Patents

Nb3Sn化合物系超電導線 Download PDF

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JP4080766B2
JP4080766B2 JP2002055971A JP2002055971A JP4080766B2 JP 4080766 B2 JP4080766 B2 JP 4080766B2 JP 2002055971 A JP2002055971 A JP 2002055971A JP 2002055971 A JP2002055971 A JP 2002055971A JP 4080766 B2 JP4080766 B2 JP 4080766B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化合物系超電導線に関するものであり、詳しくは、優れた加工性および耐破断性を有する低融点金属拡散防止材を備えた化合物系超電導線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、Cu含有マトリックス中に低融点金属を導入してなる超電導複合材と、その周囲に配置されたCu含有安定化材とを備えてなる化合物系超電導線は知られている。このような化合物系超電導線は、例えばCu含有マトリックス中に低融点金属としてのSn線とNb線を挿入し、その周囲にCu含有安定化材を配置し複合組立し、続いてこれを断面減少加工(いわゆる線引き加工)し、ついで熱処理を施して低融点金属であるSnを拡散させることにより製造されている。
【0003】
ところが、この熱拡散により、低融点金属が安定化材内まで達して安定化材を汚染し、安定化材の電気伝導性および熱的伝導性が低下し、超電導コイルの働きが不安定になるという欠点がある。そこで、超電導複合材とCu含有安定化材との間にTaまたはTa基合金からなる低融点金属拡散防止材を設けることが行われている。
【0004】
しかしながら、従来のTaまたはTa基合金からなる低融点金属拡散防止材は、加工性および耐破断性に劣るという問題点がある。すなわち、このような低融点金属拡散防止材は、一方の面がCu含有マトリックスに、他方の面がCu含有安定化材と接触するが、約1/100まで断面減少加工したときに、CuとTaの加工性の差により、Cuのみが加工され、TaまたはTa基合金はほとんど加工されないことがあり、結果として低融点金属拡散防止材や、さらには超電導線そのものが破断してしまうということがある。
【0005】
前記現象についてさらに詳しく説明する。
図8および図9は、このような破断した従来の低融点金属拡散防止材を説明するための図である。図8において、線引き加工率の増加にしたがってCu含有マトリックス101およびCu含有安定化材102間に挟まれたTaまたはTa基合金103が柿種状に破断していくことが分かる。図9は、線引き加工後の超電導線の断面図であり、Cu含有マトリックス101’およびCu含有安定化材102’間に挟まれたTaまたはTa基合金103’は変形・破断しその機能を発揮することができない。
【0006】
この理由は、CuとCuの中間にTaが存在し、その組み合わせた材料が冷間で圧延されるという単純な状態を考えることで説明できる。CuとTaではその加工に対する変形抵抗が異なる。例えば単純な引張試験においてCuおよびTaの引張強さは各々20kgf/mmおよび30kgf/mmである。両者の材料を圧延により塑性変形させ、板厚減少率あるいは圧延圧下率で90%のひずみを与えると、CuおよびTaの引張強さは各々45kgf/mmおよび90kgf/mmに増加する。このように両者の変形抵抗特性は大きく異なる。また、超電導線に用いる各材料を複合組立したとき、CuとTaとは初期接着がなく、機械的に接触している状態である。そのため、そのような状態での複合体を線引き加工すると、両材料間に相対すべりが生じ、強度の小さいCuのみが変形することになる。すなわち、Taは圧延ロールからCuを介して伝達される板厚方向圧縮応力とTaとCu境界面に沿ったせん断応力によって塑性変形が進み、内部のTaがくびれを生じ、最終的に柿種状に破断してしまうことになる。このように異種金属を組み合わせた材料の加工における変形状の問題については、文献(「塑性と加工」第29巻、第332号(1988)p.965、「塑性と加工」vol.15、no.157(1974)p.156)で報告されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の目的は、優れた加工性および耐破断性を有する低融点金属拡散防止材を備えた化合物系超電導線を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、Cu含有マトリックス中に低融点金属であるSnを導入してなるNb 3 Sn化合物系超電導複合材と、前記Nb 3 Sn化合物系超電導複合材の周囲に配置されたCu含有安定化材と、前記Nb 3 Sn化合物系超電導複合材と前記Cu含有安定化材との間に設けられた低融点金属拡散防止材とを備えてなるNb 3 Sn化合物系超電導線において、
前記低融点金属拡散防止材が、TaまたはTa基合金を含む第1板材の一対の相対向する表面の一方にCuからなる第2板材を積層し積層体を作製したのちこれを熱処理し、前記第2板材から前記第1板材にCuを熱拡散させた複合材料を所望の形状に成形したものであり、かつ
前記第1板材の板厚と前記第2板材との板厚が、第1板材:第2板材として1:4〜4:1の比率であることを特徴とするNb 3 Sn化合物系超電導線である。
請求項2の発明は、Cu含有マトリックス中に低融点金属であるSnを導入してなるNb 3 Sn化合物系超電導複合材と、前記Nb 3 Sn化合物系超電導複合材の周囲に配置されたCu含有安定化材と、前記Nb 3 Sn化合物系超電導複合材と前記Cu含有安定化材との間に設けられた低融点金属拡散防止材とを備えてなるNb 3 Sn化合物系超電導線において、
前記低融点金属拡散防止材が、TaまたはTa基合金を含む第1板材の一対の相対向する表面の双方にCuからなる第2板材および第3板材をそれぞれ積層し積層体を作製したのちこれを熱処理し、前記第2板材および前記第3板材から前記第1板材にCuを熱拡散させた複合材料を所望の形状に成形したものであり、かつ
前記第2板材と前記第3板材が同じ板厚であり、前記第1板材の板厚と前記第2板材の板厚が3:1〜0.5:1の比率であることを特徴とするNb 3 Sn化合物系超電導線である。
請求項3の発明は、前記第1板材が、Nbを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のNb 3 Sn化合物系超電導線である。
請求項4の発明は、前記第1板材が、Tiを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のNb 3 Sn化合物系超電導線である。
請求項の発明は、前記Nb 3 Sn化合物系超電導複合材が、SnまたはSn基合金の周囲にNbまたはNb基合金からなるフィラメントを配置してなる複合材料から作製される請求項1ないし4のいずれか1項に記載のNb 3 Sn化合物系超電導線である。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、線引き加工後の本発明の化合物系超電導線の一例の断面図である。図1において、Cu含有マトリックス11およびCu含有安定化材12間に挟まれたTaまたはTa基合金を含む低融点金属拡散防止材13は、図9の従来の超電導線とは異なり、変形・破断することがなくその機能を十分に発揮することができるものである。
【0010】
本発明における低融点金属拡散防止材は、第1の態様において、例えば図2に示すように、TaまたはTa基合金を含む第1板材21の一対の相対向する表面の一方に、Cuからなる第2板材22を積層し積層体を作製したのちこれを熱処理し、第2板材22から第1板材21にCuを熱拡散させた複合材料を所望の形状に成形することにより得られる。さらなる具体例を述べると、(1)TaまたはTa基合金から電子ビーム溶解法により製造されたインゴットを冷間鍛造により厚さ30mmのスラブとし、(2)次いで該スラブを冷間圧延および焼鈍工程で厚さ4〜6mmの第1板材とし、(3)該第1板材を1100〜1200℃の温度範囲で1時間程度焼鈍し、(4)次に、この材料と所定厚さの無酸素銅とを、無酸化環境下で900〜1000℃の温度範囲で熱拡散させ接合し、複合材料を作製し、(5)この複合材料に対し中間焼鈍をいれずに圧延圧下率90%以上の冷間圧延を行い、800〜1000℃の温度範囲で2時間の最終焼鈍を行い、この材料をブレーキプレスにより管状に加工することにより低融点金属拡散防止材を得ることができる。
この第1の態様において、第1板材21の板厚と第2板材22との板厚が、第1板材:第2板材として1:4〜4:1の比率であることが必要である。この比率の範囲外であると所望の効果が得られない。
【0011】
また本発明における低融点金属拡散防止材は、第2の態様において、例えば図3に示すように、TaまたはTa基合金を含む第1板材31の一対の相対向する表面の双方にCuからなる第2板材32および第3板材33をそれぞれ積層し積層体を作製したのちこれを熱処理し、第2板材32および第3板材33から第1板材31にCuを熱拡散させた複合材料を所望の形状に成形することにより得られる。さらなる具体例は前記第1の態様と同じであるが、この第2の態様において、第2板材32と第3板材33が同じ板厚であり、第1板材31の板厚と第2板材32の板厚が3:1〜0.5:1の比率であることが好ましい。この比率の範囲外であると所望の効果が得られない。
【0012】
また本発明における低融点金属拡散防止材は、第3の態様において、第1板材にNbまたはTiを一部含有させても所望の効果を得ることができる。TaとNbまたはTiとは相互に固溶体を形成するため複合材料の作製には問題を生じない。
この第3の態様における低融点金属拡散防止材は、例えば図4に示すように、TaまたはTa基合金を含む板材41の一対の相対向する表面の一方にNbまたはTiからなる板材42を積層し、600℃〜750℃で熱処理し、第1板材43を作製し、前記第1の態様または第2の態様と同様に複合材料を作製し、これを所望の形状に成形することにより得られる。この第3の態様において、板材42は、Tiを用いた場合は内側(Cu含有マトリックス側)に、Nbを用いた場合は外側(Cu含有安定化材側)に配置するのがよい。また、板材41と板材42の板厚の比率は例えば1:1が好ましい。なお44はCuからなる板材である。
【0013】
本発明において、低融点金属拡散防止材の寸法としては工業的観点で超電導線の線引き加工を容易にするという点から外径65mm以下、内径57mm以下であればよく、さらにTaの加工伸び特性を安定維持するという点から外径40mm以下、内径35mm以下であればよい。
【0014】
本発明の化合物系超電導線は、公知の方法にしたがって製造することができる。例えばCu含有マトリックス中に低融点金属としてのSn線とNb線を挿入し、その周囲に低融点金属拡散防止材およびCu含有安定化材を順次配置し複合組立し、続いてこれを断面減少加工(いわゆる線引き加工)し、ついで熱処理を施して低融点金属であるSnを拡散させることにより製造することができる。
【0015】
本発明の化合物系超電導線は、NbSn化合物系超電導線であるのが好ましい。すなわち、とくにSnはCuに拡散しやすいが、本発明化合物系超電導線によれば、Snの拡散を防止することができる。
【0016】
図5および図6は、線引き加工前の、Cu含有マトリックス中に低融点金属を導入してなる超電導複合材の断面図である。該複合材は、例えば図5に示すように、Cu含有マトリックス51中でSnまたはSn基合金52の周囲にNbまたはNb基合金からなるフィラメント53を配置し線引き加工する場合と、図6に示すように、CuおよびSnからなるブロンズマトリックス61中にNbまたはNb基合金からなるフィラメント62を配置し線引き加工する場合があるが、本発明によれば図5に示す超電導複合材が好ましい。該複合材を用いれば、Snの拡散をさらに防止することができる。
【0017】
【作用】
本発明における低融点金属拡散防止材によれば、CuとTaを予め接合した状態の材料がCu含有マトリックスとCu含有安定化材の間に挟み込まれているため、Ta単体を挟み込んだ状態とはその変形機構が異なってくる。まず、本発明の低融点金属拡散防止材において、Cu含有マトリックスとCu含有安定化材に接する材料はCuであり、両界面での相対すべりは小さくなる。また当該界面で相対する材料はともに金属学的組織構造が面心立方構造であり、変形時に伴う付加応力により、容易に接合してしまう、という利点がある。また、本発明の低融点金属拡散防止材の引張強さはTaまたはTa基合金より小さくなる。すなわち、相対すべりの低下による効果と引張強さの低下による効果のために、TaまたはTa基合金の線引き加工時の破断をなくすことができる。
【0018】
【実施例】
以下に、本発明を、実施例を用いて説明するがこれらのみに限定されない。
実施例1
電子ビーム溶解法により製造したTaインゴットを冷間鍛造により厚さ30mmのスラブとし、1050℃で1時間の中間焼鈍をし、さらに冷間圧延および焼鈍工程で厚さ4mmの板材とし、1100℃で1時間の焼鈍を行い、第1板材を得た。次に、この第1板材の一対の相対向する表面の一方に、表1に示す各種板厚の無酸素銅からなる第2板材とを図2に示すように積層し、無酸素雰囲気中で加圧・加熱した。加熱条件は900℃、1時間である。作製された複合材料はTa/Cuの形で接合している。この材料を中間焼鈍をいれずに冷間圧延を行い、所定板厚の板材を得、900℃で2時間、真空中で焼鈍を行った。さらにこの材料をブレーキプレスにより管状に加工し、外径25mmの低融点金属拡散防止材1〜8を得た。
【0019】
実施例2
電子ビーム溶解法により製造したTaインゴットを冷間鍛造により厚さ30mmのスラブとし、1050℃で1時間の中間焼鈍をし、さらに冷間圧延および焼鈍工程で厚さ4mmの板材とし、1100℃で1時間の焼鈍を行い、第1板材を得た。次に、表2に示す各種板厚の無酸素銅からなる第2板材および第3板材を第1板材の一対の相対向する表面の双方に図3に示すように積層し、無酸素雰囲気中で加圧・加熱した。加熱条件は900℃、1時間である。作製された複合材料はCu/Ta/Cuの形で接合している。この材料を中間焼鈍をいれずに冷間圧延を行い、所定板厚の板材を得、900℃で2時間、真空中で焼鈍を行った。さらにこの材料をブレーキプレスにより管状に加工し、外径25mmの低融点金属拡散防止材9〜15を得た。
【0020】
比較例1
電子ビーム溶解法により製造したTaインゴットを冷間鍛造により厚さ30mmのスラブとし、1050℃で1時間の中間焼鈍をし、さらに冷間圧延および焼鈍工程で厚さ4mmの板材とし、1100℃で1時間の焼鈍を行った。この材料を中間焼鈍をいれずに冷間圧延を行い、厚さ0.3mmの板材を得、900℃で2時間、真空中で焼鈍を行った。さらにこの材料をブレーキプレスにより管状に加工し、外径25mmの低融点金属拡散防止材16〜18を得た。
【0021】
実施例3
本発明の低融点金属拡散防止材を含む超電導線を線引き加工した際のTa層の破断を評価するために、図5に示すようにCuマトリックス51中にSn線52および直径0.15mmのNbフィラメント53を挿入してなる超電導複合材であって直径7.3mmのものを7本、前記低融点金属拡散防止材1〜18、および外径40mm、内径25mmのCuからなる安定化材を複合組立した。図7は、本実施例3で複合組立した超電導線の断面図である。図7において、71は超電導複合材、72は低融点金属拡散防止材、73は安定化材である。ついで、組立てた超電導線を線引加工し、直径0.7mmの図1に示すような超電導線の母材を得た。通常、この母材に600〜750℃の温度で50時間以上の熱処理を施すことにより、超電導線を得ることができる。
【0022】
ここで、光学顕微鏡を用いて線引き加工した超電導線の断面を観察し、Ta層の破断状況を評価した。Ta層の破断が著しい場合を1、Ta層が一部破断した場合を2、破断はしていないがくびれが大きい場合を3、くびれの程度が軽い場合を4、くびれがない場合を5として評価した。結果を表1および2に示す。
【0023】
【表1】
Figure 0004080766
【0024】
【表2】
Figure 0004080766
【0025】
実施例4
電子ビーム溶解法により製造したTaインゴットを冷間鍛造により厚さ30mmのスラブとし、1050℃で1時間の中間焼鈍をし、さらに冷間圧延および焼鈍工程で厚さ4mmの板材とし、1100℃で1時間の焼鈍を行い、板材を得た。次に、図4に示すように、該板材の一対の相対向する表面の一方にNbからなる板材を積層し、第1板材を作製し、さらに該第1板材の一対の相対向する表面の双方に無酸素銅板を積層した。すなわち、積層体は無酸素銅板、該第1板材、無酸素銅板がこの順で積層されている。この積層体を無酸素雰囲気中で加圧・加熱した。加熱条件は900℃、1時間である。作製された複合材料はCu/Ta/Nb/Cuの形で接合している。この材料を中間焼鈍をいれずに冷間圧延を行い、所定板厚の板材を得、900℃で2時間、真空中で焼鈍を行った。複合材料の各構成材の厚さはすべて0.15mmで全厚さは0.6mmであった。さらにこの材料をブレーキプレスによりTaを内側、Nbを外側になるようにして管状に加工し、外径25mmの低融点金属拡散防止材を得た。これを実施例3に示す如く組立後、線引き加工を行い、横断面を顕微鏡で観察した。Ta層の状況は同様に評価5となった。
【0026】
実施例5
実施例4において、第1板材を作製する際に、Nbからなる板材をTiからなる板材に変更した以外は、実施例4を繰り返した。なお、作製された複合材料はCu/Ta/Ti/Cuの形で接合しており、Taを外側、Tiを内側になるようにして管状に加工したTa層の状況は同様に評価5となった。
【0027】
なお前記実施例では、化合物系超電導線がSnまたはSn基合金の周囲にNbまたはNb基合金からなるフィラメントを設置してなる超電導複合材を用いて製作されたNbSn化合物系超電導線の場合について述べたが、本発明によれば、他の化合物系超電導線の場合にも同様の効果が得られる。
また、前記実施例では、材料にはそれぞれにNb、Ta、Snを用いたが、臨界電流特性を向上させるため、例えばNbにTiまたはTa等を添加したNb基合金、またはSnにTi、InまたはTa等を添加したSn基合金としても本発明により同様の効果が得られる。
またTaにZr等の添加があっても同様の効果が得られる。
また、第2板材、第3板材としてCuを用いてきたが、Sn等を添加したCu基合金としても同様の効果が得られる。
【0028】
【発明の効果】
請求項1の発明は、Cu含有マトリックス中に低融点金属であるSnを導入してなるNb 3 Sn化合物系超電導複合材と、前記Nb 3 Sn化合物系超電導複合材の周囲に配置されたCu含有安定化材と、前記Nb 3 Sn化合物系超電導複合材と前記Cu含有安定化材との間に設けられた低融点金属拡散防止材とを備えてなるNb 3 Sn化合物系超電導線において、前記低融点金属拡散防止材が、TaまたはTa基合金を含む第1板材の一対の相対向する表面の一方にCuからなる第2板材を積層し積層体を作製したのちこれを熱処理し、前記第2板材から前記第1板材にCuを熱拡散させた複合材料を所望の形状に成形したものであり、かつ前記第1板材の板厚と前記第2板材との板厚が、第1板材:第2板材として1:4〜4:1の比率であることを特徴とするNb 3 Sn化合物系超電導線であるので、低融点金属の拡散を一層良好に抑制することができ、優れた加工性および耐破断性を有する低融点金属拡散防止材を備えたNb 3 Sn化合物系超電導線を提供することができる。
【0029】
請求項2の発明は、Cu含有マトリックス中に低融点金属であるSnを導入してなるNb 3 Sn化合物系超電導複合材と、前記Nb 3 Sn化合物系超電導複合材の周囲に配置されたCu含有安定化材と、前記Nb 3 Sn化合物系超電導複合材と前記Cu含有安定化材との間に設けられた低融点金属拡散防止材とを備えてなるNb 3 Sn化合物系超電導線において、前記低融点金属拡散防止材が、TaまたはTa基合金を含む第1板材の一対の相対向する表面の双方にCuからなる第2板材および第3板材をそれぞれ積層し積層体を作製したのちこれを熱処理し、前記第2板材および前記第3板材から前記第1板材にCuを熱拡散させた複合材料を所望の形状に成形したものであり、かつ
前記第2板材と前記第3板材が同じ板厚であり、前記第1板材の板厚と前記第2板材の板厚が3:1〜0.5:1の比率であることを特徴とするNb 3 Sn化合物系超電導線であるので、低融点金属の拡散を一層良好に抑制することができ、一層優れた加工性および耐破断性を有する低融点金属拡散防止材を備えたNb 3 Sn化合物系超電導線を提供することができる。
【0031】
請求項の発明は、前記第1板材が、Nbを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の化合物系超電導線であるので、優れた加工性および耐破断性を有する低融点金属拡散防止材を備えた化合物系超電導線を提供することができるとともに、コスト的に有利である。
【0032】
請求項の発明は、前記第1板材が、Tiを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の化合物系超電導線であるので、優れた加工性および耐破断性を有する低融点金属拡散防止材を備えた化合物系超電導線を提供することができるとともに、コスト的に有利である。
【0034】
請求項の発明は、前記Nb 3 Sn化合物系超電導複合材が、SnまたはSn基合金の周囲にNbまたはNb基合金からなるフィラメントを配置してなる複合材料から作製される請求項1ないし4のいずれか1項に記載のNb 3 Sn化合物系超電導線であるので、Snの拡散を一層良好に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 線引き加工後の本発明の化合物系超電導線の一例の断面図である。
【図2】 TaまたはTa基合金を含む第1板材の一対の相対向する表面の一方に、Cuからなる第2板材を積層した図である。
【図3】 TaまたはTa基合金を含む第1板材の一対の相対向する表面の双方にCuからなる第2板材および第3板材をそれぞれ積層した図である。
【図4】 TaまたはTa基合金を含む板材の一対の相対向する表面の一方にNbまたはTiからなる板材を積層した図である。
【図5】 線引き加工前の、Cu含有マトリックス中に低融点金属を導入してなる超電導複合材の断面図である。
【図6】 線引き加工前の、Cu含有マトリックス中に低融点金属を導入してなる超電導複合材の断面図である。
【図7】 実施例3で複合組立した超電導線の断面図である。
【図8】 破断した従来の低融点金属拡散防止材を説明するための図である。
【図9】 破断した従来の低融点金属拡散防止材を説明するための図である。
【符号の説明】
11,51 Cu含有マトリックス、12,73 Cu含有安定化材、13,72 低融点金属拡散防止材、21,31,43 第1板材、22,32 第2板材、33 第3板材、52 SnまたはSn基合金、53 NbまたはNb基合金からなるフィラメント、61 CuおよびSnからなるブロンズマトリックス、62 NbまたはNb基合金からなるフィラメント、71 超電導複合材。

Claims (5)

  1. Cu含有マトリックス中に低融点金属であるSnを導入してなるNb 3 Sn化合物系超電導複合材と、前記Nb 3 Sn化合物系超電導複合材の周囲に配置されたCu含有安定化材と、前記Nb 3 Sn化合物系超電導複合材と前記Cu含有安定化材との間に設けられた低融点金属拡散防止材とを備えてなるNb 3 Sn化合物系超電導線において、
    前記低融点金属拡散防止材が、TaまたはTa基合金を含む第1板材の一対の相対向する表面の一方にCuからなる第2板材を積層し積層体を作製したのちこれを熱処理し、前記第2板材から前記第1板材にCuを熱拡散させた複合材料を所望の形状に成形したものであり、かつ
    前記第1板材の板厚と前記第2板材との板厚が、第1板材:第2板材として1:4〜4:1の比率であることを特徴とするNb 3 Sn化合物系超電導線。
  2. Cu含有マトリックス中に低融点金属であるSnを導入してなるNb 3 Sn化合物系超電導複合材と、前記Nb 3 Sn化合物系超電導複合材の周囲に配置されたCu含有安定化材と、前記Nb 3 Sn化合物系超電導複合材と前記Cu含有安定化材との間に設けられた低融点金属拡散防止材とを備えてなるNb 3 Sn化合物系超電導線において、
    前記低融点金属拡散防止材が、TaまたはTa基合金を含む第1板材の一対の相対向する表面の双方にCuからなる第2板材および第3板材をそれぞれ積層し積層体を作製したのちこれを熱処理し、前記第2板材および前記第3板材から前記第1板材にCuを熱拡散させた複合材料を所望の形状に成形したものであり、かつ
    前記第2板材と前記第3板材が同じ板厚であり、前記第1板材の板厚と前記第2板材の板厚が3:1〜0.5:1の比率であることを特徴とするNb 3 Sn化合物系超電導線。
  3. 前記第1板材が、Nbを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のNb 3 Sn化合物系超電導線。
  4. 前記第1板材が、Tiを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のNb 3 Sn化合物系超電導線。
  5. 前記Nb 3 Sn化合物系超電導複合材が、SnまたはSn基合金の周囲にNbまたはNb基合金からなるフィラメントを配置してなる複合材料から作製される請求項1ないし4のいずれか1項に記載のNb 3 Sn化合物系超電導線。
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