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JP4079748B2 - 液晶積層体および液晶積層連続体 - Google Patents

液晶積層体および液晶積層連続体 Download PDF

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JP4079748B2
JP4079748B2 JP2002307606A JP2002307606A JP4079748B2 JP 4079748 B2 JP4079748 B2 JP 4079748B2 JP 2002307606 A JP2002307606 A JP 2002307606A JP 2002307606 A JP2002307606 A JP 2002307606A JP 4079748 B2 JP4079748 B2 JP 4079748B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、液晶積層体および液晶積層連続体に関し、特にたとえば、偽造を防止することができる積層体として用いて好適な液晶積層体および液晶積層連続体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ラベルの記録層は、感熱記録、感熱発色、印刷等で形成されているために、比較的容易にラベルの偽物を作りやすく、偽物と本物との違いは、見た目には分かりにくい構造を備えている。また、紫外線や赤外線等を照射すると発光する材料を用いたラベルは、紫外線や赤外線を照射することによってはじめて、ラベルが偽物と分かるものであって、目視のみでは、真正性の判別が難しかった。
そこで、特開2002−205471に開示された、真正性識別性ラベルのような、真正性の識別できるラベルが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の真正性識別性ラベルは、従来ラベルの表示材料としては殆ど用いられていないコレステリック液晶顔料を含有する表示材料を用いるために、これら材料に対する知識がないと、その材料の機能を発揮させ得ないために、偽造防止用ラベルとしては、その偽造が困難なゆえに、適するものとなる。
しかしながら、発明の目的を実現するのが難しい構成であるがゆえに、ラベルのコストも高くなり、たとえば、単価の低い部品の偽造防止用ラベルとして用いるには適さないし、また柔軟性に乏しい。すなわち、液晶層等の層の上に、その層が未だ粘着性を失わないうちに、直径が10〜100μm、好ましくは50μm以下の微小球状体透明ビーズ、好ましくはガラス製の(硬い)ビーズを均一に、好ましくは2層以上重ならないように、1層に形成しなければならないという制御の困難な操作を伴うので、製造の再現性に問題があり、歩留まりが低くならざるを得ず、製造コストが高騰し、柔軟性も不十分である。
したがって、微小ビーズを整列させる操作や、液晶層に粘着性をもたせた状態で他の層を積層するような操作を採用しないものの方が、同じ性能のラベルの再現性が高く、歩留まりよく、比較的低コストで製造することができ、且つ、見る方向を変えてラベルを観察するだけで、汎用のラベルとの違いを直ちに識別できる、偽造防止用ラベルを製造し易い。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、しなやかで、被着体の面に沿って貼着し易く、比較的低コストで製造することができ、偽造防止用積層体として用いることが可能な、液晶積層体および液晶積層連続体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる請求項1に記載の液晶積層体は、基材と、基材の裏面側に形成された液晶層と、液晶層の基材側とは反対側の面に形成された熱接着性接着剤層とからなり、熱接着性接着剤層が加熱され被着体に接着されるとき、基材と液晶層とが剥離するように形成された液晶積層体において、基材に表面処理が施されていないPETフィルムを用い、PETフィルムの表面処理が施されていない裏面側に直接、コレステリック相を形成し得る液晶分子を塗工し、液晶分子がコレステリック相を形成する温度に塗工物を加熱してコレステリック相液晶を形成させ、コレステリック相液晶を含む塗工物に紫外線を照射することにより液晶分子を架橋させてコレステリック相液晶を固定することによって、固定されたコレステリック相液晶層を形成してなる、液晶積層体である。
この発明にかかる請求項2に記載の液晶積層体は、基材と、基材の裏面側に形成された液晶層と、液晶層の基材側とは反対側の面に形成された熱接着性接着剤層とからなり、熱接着性接着剤層が加熱され被着体に接着されるとき、基材と液晶層とが剥離するように形成された液晶積層体において、基材に表面処理が施されていないPETフィルムを用い、PETフィルムの表面処理が施されていない裏面側に直接、ネマチック相を形成し得る液晶分子とキラル化合物の混合物を塗工し、キラル化合物の混合された液晶分子がコレステリック相を形成する温度に塗工物を加熱してコレステリック相液晶を形成させ、コレステリック相液晶を含む塗工物に紫外線を照射することにより液晶分子を架橋させてコレステリック相液晶を固定することによって、固定されたコレステリック相液晶層を形成してなる、液晶積層体である。
この発明にかかる請求項3に記載の液晶積層体は、液晶層の基材側とは反対側の面に背景層を形成し、背景層の液晶層側とは反対側の面に熱接着性接着剤層を形成してなる、請求項1または請求項2に記載の液晶積層体である。
この発明にかかる請求項4に記載の液晶積層連続体は、基材と、基材の裏面側に形成された液晶層と、液晶層の基材側とは反対側の面に形成された熱接着性接着剤層とからなり、熱接着性接着剤層が加熱され被着体に接着されるとき、基材と液晶層とが剥離するように形成され、基材の表面を外側とし、熱接着性接着剤層を内側として巻回された液晶積層連続体において、基材に表面処理が施されていないPETフィルムを用い、PETフィルムの表面処理が施されていない裏面側に直接、コレステリック相を形成し得る液晶分子を塗工し、液晶分子がコレステリック相を形成する温度に塗工物を加熱してコレステリック相液晶を形成させ、コレステリック相液晶を含む塗工物に紫外線を照射することにより液晶分子を架橋させてコレステリック相液晶を固定することによって、固定されたコレステリック相液晶層を形成してなる、液晶積層連続体である。
この発明にかかる請求項5に記載の液晶積層連続体は、基材と、基材の裏面側に形成された液晶層と、液晶層の基材側とは反対側の面に形成された熱接着性接着剤層とからなり、熱接着性接着剤層が加熱され被着体に接着されるとき、基材と液晶層とが剥離するように形成され、基材の表面を外側とし、熱接着性接着剤層を内側として巻回された液晶積層連続体において、基材に表面処理が施されていないPETフィルムを用い、PETフィルムの表面処理が施されていない裏面側に直接、ネマチック相を形成し得る液晶分子とキラル化合物の混合物を塗工し、キラル化合物の混合された液晶分子がコレステリック相を形成する温度に塗工物を加熱してコレステリック相液晶を形成させ、コレステリック相液晶を含む塗工物に紫外線を照射することにより液晶分子を架橋させてコレステリック相液晶を固定することによって、固定されたコレステリック相液晶層を形成してなる、液晶積層連続体である。
この発明にかかる請求項6に記載の液晶積層連続体は、液晶層の基材側とは反対側の面に背景層を形成し、背景層の液晶層側とは反対側の面に熱接着性接着剤層を形成してなる、請求項4または請求項5に記載の液晶積層連続体である。
請求項1ないし請求項6の発明によれば、たとえば、連続性を有する基材の表面に液晶層と熱接着性接着剤層とを積層された液晶積層体をもって、たとえばホットスタンピングすることにより、容易に被着体に液晶層積層体を接着することができる。また、基材と液晶層とが剥離した後は、転写体の液晶層が光輝性を示し、意匠効果とともに偽造防止の役割を果たす。
請求項3及び6の発明によれば、たとえば、連続性を有する基材の裏面に液晶層と背景層と熱接着剤層とを積層された液晶積層体および液晶積層連続体は、その取り扱いが容易で、たとえば被着体にホットスタンピング等によって適宜転写することができ、基材を液晶層から剥離した後は、転写体の液晶層が光輝性を示すので、意匠性と偽造防止性を有する貼着体とすることができる。
そして、被着体に転写された転写体の液晶層が光輝性を示すので、より一層意匠性と偽造防止に資する貼着体を得ることができる。
また、液晶層の基材側とは反対側の面に部分的に背景層を形成することにより、液晶層の表面から、部分的に形成された背景層による、たとえば、文字等の画線を目視することができ、意匠性に優れた液晶積層体を得ることができる。
また、基材の裏面に部分的に形成された液晶層、背景層および熱接着性接着剤層によって、たとえば、被着体に貼着したときは、転写体が全体的に文字等の画線を表し且つ液晶層が示す光輝性によって、意匠性に優れた偽造防止に資する貼着体を得ることができる。
さらに、請求項4ないし請求項6の発明によれば、液晶層積層連続体によって、たとえば、ホットスタンピングをする装置によって、連続的に液晶層と熱接着性接着剤層または液晶層と背景層と熱接着性接着剤層とからなる転写体を被着体に連続して貼着することができ、被着体への貼着作業が極めて能率的に行うことができる。
【0006】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一実施の形態である液晶積層体の断面図解図である。
この液晶積層体10は、ポリエステルフィルム等のような合成樹脂製シートまたはフィルムからなる帯状の基材12と、基材12の裏面側に形成されたコレステリック相を示す液晶(キラルネマチック液晶)が固定されてなる液晶層14と、前記液晶層14の基材12側とは反対側の面に形成され、前記液晶層14の光輝性を際立たされるために形成された背景層16と、前記背景層16の液晶層14側とは反対側の面に形成された熱接着性接着剤を塗布してなる熱接着性接着剤層18とからなる。
【0008】
基材12は、PETフィルムやシートを用いる、特に液晶層14を形成する側の基材12の面(すなわち、基材12の裏面)は、熱接着性接着剤層18を加熱してこの液晶積層体10を被着体Aに貼着したとき基材12と液晶層14、背景層16および熱接着性接着剤層18とが液晶層14との間において層間剥離し易いようにするために、平滑性に優れていることが望ましい。さらに、基材12と液晶層14の間において層間剥離しやすくするために、液晶層14を形成する表面側は表面処理がなされていないことが望ましい
【0009】
液晶層14を構成する液晶組成物としては、コレステリック液晶が選択され、コレステリック液晶(キラルネマチック液晶)は、螺旋構造のコレステリック相あるいはキラルネマチック相(図2参照)を示す化合物を塗工してなる。
コレステリック相を示す化合物としては、コレステリルノナノエート、コレステリルミリステート等のほか、表1に示すようなものがある。
【0010】
【表1】
Figure 0004079748
(表1の注)Cは結晶性固体、Sはスメクチック相、ScはキラルスメクチックC相、Chはコレステリック相、N*はキラルネマチック相、Iは等方性液体を表す。
【0011】
また、表2に示す単独でネマチック相を示す化合物に、表3に示すキラル化合物を加えてもキラルネマチック相を形成する(以下、コレステリック相、キラルネマチック相の区別をせずに、コレステリック相と総称する)。
【0012】
【表2】
Figure 0004079748
(表2の注)Cは結晶性固体、Nはネマチック相、Iは等方性液体を表す。
【0013】
【表3】
Figure 0004079748
(表3の注)ネマチック相を示す液晶にキラル分子を添加すると、キラルネマチック相(N*)が得られる。この場合、その混合液晶のピッチの逆数1/Pは、キラル分子のモル濃度XBが小さい領域では、XBに比例する。それゆえ、1/PXBのことを、キラルのねじり力という。
【0014】
この発明にかかる液晶層14は、コレステリック相が固定されたものであり、その固定の方法としては、たとえば、液晶分子の両末端にアクリル基を有さしめ、これを基材12に塗工し、この塗工物をコレステリック相を形成し得る温度まで加熱し、コレステリック相を形成し、紫外線照射をすることにより、UV架橋してコレステリック相を固定する。
そのため、温度等、環境が変化しても、コレステリック相は安定して存在する。
あるいは、液晶分子と一般的に用いられるバインダーの混合物を塗工し、コレステリック相を形成し得る温度に加熱し、コレステリック相を形成し、乾燥し、バインダーでコレステリック相を固定してもよい。
【0015】
液晶層形成用塗液は、溶剤系でも非溶剤系でもよい。
溶剤系では、MEK,MIBK等のケトン類、トルエン、酢酸エチル等が好ましい。また、固形分濃度は、特に制限はないが、25〜67%が好ましい。25%を下回ると、画線を鮮明に形成できなくなるおそれがあり、乾燥に要する時間が長くなる。67%を超えると塗液を加熱しないと固体が析出するおそれがある。特に好ましい濃度範囲は、50〜65%である。塗液からの溶剤の蒸発等による固体の析出のおそれをなくすために、塗液を加熱しながら塗工することも行われる。
非溶剤系では、塗工組成物をコレステリック相を形成する温度以上、好ましくはコレステリック相を形成する温度領域の温度に加熱しながら塗工を行う。
溶剤系でも、非溶剤系でも、塗工物に形成されているコレステリック相の固定を行うため、コレステリック相を形成する温度範囲に液晶層形成用塗工物を保ったまま、架橋等を行う。これによって、コレステリック相は、温度環境等が変わっても、たとえば常温においても安定的に維持される。
【0016】
コレステリック相からなる液晶層14は、光輝性を示し、見る方向によって連続的に色調が変化する。たとえば、上から垂直に見たときにはグリーンに見え、水平に近い方向に見たときにはブルーに見えるといった如くである。
このコレステリック相を示す液晶層14は、広いスペクトル領域で入射する光の一部の波長領域のみが反射し、これ以外の領域の波長は、すべて透過するという特徴を有する。
【0017】
この液晶層14は、基材12の裏面に全面にわたって形成されている。
なお、螺旋のピッチP(図2図示)が大きくなると、長波長側の色が現われ、螺旋のピッチPが小さくなると、短波長側の色が現われる。このピッチを変えるには、キラル化合物を添加した系においては、キラル化合物の添加量を変更すればよい。
【0018】
背景層16は、墨インキや赤・青等の着色インキ等を、液晶層14の裏面に全面にわたって印刷・塗工することによって形成される。背景層16は、液晶層14の光輝性を際立たせるために形成されたもので、液晶層14を覆うように基材12の裏面全面にわたって形成されている。特に、背景層16としては、墨インキ等で形成された黒色が、液晶層14の光輝性を際立たせるために優れている。
また、背景層16の色彩によって、液晶層14の目視での色調が変化するので、背景層16を形成するインキの組成や色が重要である。たとえば、背景層16の色が黒のときは、液晶層14を目視すると、グリーンからブルーの光輝性を示すのに対し、背景層16が赤のときは、液晶層14を目視すると、オレンジから紫の光輝性を示し、また、背景層16が白に近い着色のときには、液晶層14は、乳白色またはパール調を示す。
したがって、背景層16を形成する色を2以上に区分けして形成すると、液晶層14を目視したとき、背景層16の色彩の変化に対応した彩り鮮やかな液晶積層体10となる。
【0019】
熱接着性接着剤層18は、EVA系樹脂、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂などのうち1または複数の樹脂を含む熱接着性接着剤を背景層16の裏面に塗布して形成されている。
これらの樹脂を含む熱接着性接着剤は、エマルジョンとして溶剤に溶解するかあるいは熱で溶融する等して、背景層16の裏面に塗工される。
その塗布の厚みは、1〜20μmが好ましく、より好ましくは1〜7μmである。
【0020】
前記液晶積層体10は、たとえば、図3(A)に示すように、被着体Aに熱接着性接着剤層18面を接合させ、適宜な文字や模様などの画線の凸版を備えた箔押板Bを加熱して液晶層14との表面側より押し当て(圧接する)、熱接着性接着剤層18を活性化させ、商品や商品等の保証書などのような被着体Aに溶着(ホットスタンピング)される。そして、図3(B)に示すように、溶着によって液晶層14と基材12とが剥離し、基材12のない液晶層14、背景層16、熱接着性接着剤層18からなる転写体が商品や保証書などの被着体Aに貼着する。
液晶積層体10を被着体Aにホットスタンプしたとき、液晶積層体10の基材12と液晶層14が剥離して、基材12を取り除くことができるようにするために、たとえば、次のような構成とする。
基材12と液晶層14の接着強度を、他の層間、すなわち液晶層14と背景層16間および背景層16と熱接着性接着剤層18間の接着強度、および各層(液晶層14、背景層16、熱接着性接着剤層18)の凝集破壊強度より弱く構成する。その方法としては、たとえば、液晶層形成用塗液にバインダーを全く用いずまたはバインダーの量を抑制して、基材12と液晶層14との接着強度を調整する方法がある。
また、液晶積層体10を被着体Aから剥がそうとしても、液晶積層体10から基材12が取り除かれているので、液晶積層体10を破壊せずに剥がして、他の品物に液晶積層体10を貼り替え、偽物を真正品と見せかけることは極めてむずかしい。さらに、液晶積層体10を被着体Aから剥がそうとしたとき、液晶積層体10が破壊して、他の偽物の品物に液晶積層体10を貼り替え、偽物を真正品と見せかけることができなくなるようにするために、たとえば次のような構成とすると一層効果的である。
背景層16と液晶層14との凝集破壊強度を異ならしめたり、液晶層14と背景層16と熱接着性接着剤層18間の接着強度を異ならしめるように構成するとよい。
【0021】
【実施例1】
基材として、特に表面処理が施されていない、幅160mm、厚さ50μmのPETフィルム(株式会社東洋紡製E−5000)を準備し、別途、基材の裏面に塗工されて液晶層を構成する塗液を準備する。
液晶層形成用塗液としては、次の混合塗液を用いる。
両末端にアクリル基を有するネマチック液晶(BASF社のPaliocolor LC242)・・・55.3重量%
キラル化合物(BASF社のPaliocolor LC756)・・・2.9重量%
紫外線重合開始剤(チバスペシャリティ−ケミカルズ社のIrgacure 369)・・・1.8重量%
溶媒としてのメチルエチルケトン(MEK)・・・40.0重量%
この液晶形成用塗液をもって、グラビア版により、乾燥後の厚さが3μmとなるように塗工して、乾燥ゾーン(110〜120℃)を15秒間通過させて乾燥させ、コレステリック相を形成する。その後直ちに、紫外線照射をして、紫外線UV硬化を行い、コレステリック相を固定する。ネマチック液晶を形成する温度は、59℃以上120〜124℃以下である。
これによって、基材上に、安定的なコレステリック相からなる液晶層を形成する(液晶層を形成するステップ)。
次に、背景層を形成するための墨インキ塗液(東洋インキ製造株式会社製PANN ECO)を準備し、この墨インキ塗液を基材の裏面に、液晶層を覆うように、グラビア版により乾燥後の平均厚さ3μmとなるよう塗工する。その後、乾燥ゾーン(70〜80℃)を3秒間通過させて、墨インキ塗液を乾燥する。
而して、液晶層を覆う背景層が基材の裏面に形成される(背景層を形成するステップ)。
【0022】
中央理科工業株式会社製熱接着性接着剤(EVA系樹脂、HA−1100)の固形分濃度45%のエマルジョンをワイヤーバー(No.5)で塗布し、50℃で2分間熱風乾燥機で乾燥させ熱接着性接着剤層を形成する(ドライ塗布厚は、2μmである)。
【0023】
この実施例の液晶積層体は、被着体(ポリプロピレンからなる)に熱接着性接着剤層を接合し、120℃に加熱された金属製凸版を数秒間圧着させて基材を液晶層表面より取り除き、版の凸部により圧着された部分の液晶側から見ると、見る方向によって、緑ないし青紫に変化する鮮やかな光輝性を示した。
また、この実施例においては、液晶層を構成する液晶層形成用塗液に、バインダーを全く用いずに液晶層を形成しているので、基材と液晶層の界面の接着強度を、他の層間の接着強度や各層の凝集破壊強度より弱くなっているために、被着体(ポリプロピレンからなる)に貼り付けし、基材と液晶層との間で剥離し、被着体に他の層が破壊することなく貼着することをできた。
この実施例においては、UV架橋(硬化)してあるために、箔押しするとき(通常100〜150℃程度の温度で行う)、120〜124℃以上に加熱しても、液晶層14がそのままの状態を保つ。もっとも、架橋していなくても、たとえば箔押しするとその温度を110℃位とすれば、液晶層14は液体相にならず、液晶相のまま保たれる。
また、バインダーを用いて液晶層14を固定した場合、少なくとも、バインダーが流動化する温度までは液晶相は保たれる。
なお、この実施例においては、液晶層14と背景層16との界面の接着強度を背景層16と熱接着性接着剤層18間の界面の接着強度や各層の凝集破壊強度を異ならしめて設計することができる。
たとえば、次のようにするとよい。
液晶層14に、バインダーが含まれないか少ない場合には、液晶層14は基材12に付着しているだけかあるいは弱く接着している。
液晶層14上に、印刷等によって背景層16が形成されるが、背景層16形成時に、墨インキ等の背景層16成分が液晶層14の微細な凹み等に入り込むので、液晶層14と背景層16の接着強度は、液晶層14と基材12との間の接着強度より強くなり、背景層16と熱接着性接着剤層18との間の接着強度より弱くなると推定される。
【0024】
図4は、この発明の液晶積層体の別の実施の形態である断面図解図である。
この液晶積層体110は、帯状の基材112と、前記基材112の裏面側に形成された液晶層114と、前記液晶層114の基材112側とは反対側の面に部分的に形成された背景層116と、前記背景層116の液晶層114側とは反対側の面に形成された熱接着性接着剤層118とからなる。
【0025】
この実施の形態の液晶積層体110は、前記実施の形態の液晶積層体10と、ほぼ同様の構成を有するが、背景層116が部分的に設けられてあり、前記実施の形態における背景層16を形成するインキと同様のインキによって印刷することによって形成されている。背景層116は、文字、絵等からなる画線が、背景層116を形成する着色用インキを印刷して凸文字や抜き文字が形成されることによって、画線を構成するように形成されている。もっとも、背景層116は、液晶層114の裏面に全面にわたって形成されていてもよい。背景層116は、隠蔽性を備え、液晶層114の表面側から見ても、液晶層114が光輝性を示すように形成されている。なお、背景層116は、白色でもよい。背景層116が白色の場合は、液晶層114を通過した殆ど全ての波長の光が反射するので、背景層116が形成されている部分は白っぽく見える。そして、被着体Aが、たとえば、黒色のとき、背景層116が形成されていない部分はグリーンからブルーの光輝性を示す。
【0026】
コレステリック相からなる液晶層114を形成するためには、コレステリック相を形成する温度範囲に加熱する必要があり、液晶層114を形成する際の温度がそれより高い温度でも低い温度でもコレステリック相を形成しない。塗工後の液晶層形成用塗膜を一旦コレステリック相を形成する温度領域よりも高い温度、すなわち液体化温度に加熱した後コレステリック相を形成する温度領域に温度を下げた場合、光輝性が低下するおそれがあり、また、画線の鮮明性も劣化するおそれがあるので、塗工後の乾燥は、液体化温度まで加熱しないことが好ましい。且つ、コレステリック相を形成する温度領域にあっては、できる限り高い温度にすると光輝性等において有利である。これは、コレステリック相の配向(形成)がすみやかに確実に行われることによると想像される。
コレステリック相を形成した後は、コレステリック相をそのまま安定的に維持するため、コレステリック相形成温度領域の温度において架橋を行う等により、コレステリック相を固定する必要がある。
したがって、このような制限のない墨インキや、赤色、青色等の隠蔽性のあるインキあるいは白色インキで画線を形成する背景層116を形成し、背景層116との間に液晶層114を全面に形成する構成とすると、画線をより鮮明に形成しやすい。
また、液晶層114を全面に形成してあるこの実施の形態においては、たとえばスムージングバーのようなもので基材112上に塗工された液晶層形成塗工物の表面を掻いて、塗工物にシェアをかける等により、より確実に配向したコレステリック相の形成を促進するコレステリック相形成促進化処理を行うこともできるという特徴も有する。
【0027】
また、基材112は、その厚さや材質について特に制限はないが、あまり薄くなると、液晶層形成用塗液や背景層形成用塗液等が塗工しにくくなり、基材112にシワ等が入り、変形しやすくなるので、25μm程度以上の厚さが、より好ましく、また、逆にあまり厚くなると、ゴワゴワとし、小さな部品等のように曲面等を備えたものの表面に貼着する場合、貼着しにくくなるので、150μm程度以下が、より好ましい。
また、背景層116は、それぞれ隠蔽効果を出したいときは、一定の厚み以上であればよく、たとえば、1μm以上が好ましく、さらには、2〜5μm程度が、より好ましい。
液晶層114は、光輝性が目視できる厚さ以上であればよく、2〜5μm程度が、より好ましく、1μmを下回ると、その濃度が薄くなるおそれがあるので、あまり好ましくはない。
【0028】
熱接着性接着剤層118は、EVA系樹脂、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂などのうち1または複数の樹脂を含む熱接着性接着剤を背景層116の裏面に塗布して形成されている。
これらの樹脂を含む熱接着性接着剤は、エマルジョンとして溶剤に溶解するかあるいは熱で溶融する等して、背景層116の裏面に塗工される。
その塗布の厚みは、1〜20μmが好ましく、より好ましくは1〜7μmである。
【0029】
前記液晶積層体110は、たとえば、図5(A)に示すように、被着体Aに熱接着性接着剤層118面を接合させ、適宜な文字や模様などの画線の凸版を備えた箔押板Bを加熱(通常100℃〜150℃の温度)して液晶層114の表面側より押し当て、熱接着性接着剤層118を活性化させ、商品や商品等の保証書などのような被着体Aに溶着(ホットスタンピング)される。そして、図5(B)に示すように、溶着によって液晶層114と基材112とが剥離し、基材112のない液晶層114、背景層116および熱接着性接着剤層118からなる転写体が商品や保証書などの被着体Aに貼着する。
液晶積層体110を被着体Aにホットスタンプしたとき、液晶積層体110の基材112と液晶層114が剥離して、基材112を取り除くことができるようにするために、たとえば、次のような構成とする。
基材112と液晶層114の接着強度を、他の層間、すなわち液晶層114と背景層116間および背景層116と熱接着性接着剤層118間の接着強度、および各層(液晶層114、背景層116、熱接着性接着剤層118)の凝集破壊強度より弱く構成する。その方法としては、たとえば、液晶層形成用塗液にバインダーを全く用いずまたはバインダーの量を抑制して、基材112と液晶層114との接着強度を調整する方法がある。
また、液晶積層体110を被着体Aから剥がそうとしたとき、液晶積層体110が破壊して、他の偽物の品物に積層体を貼り替え、偽物を真正品と見せかけることができなくなるようにするために、たとえば次のような構成とする。
背景層116と液晶層114との凝集破壊強度を異ならしめたり、液晶層114と背景層116と熱接着性接着剤層118間の接着強度を異ならしめるように構成するとよい。
たとえば、液晶層114に、バインダーが含まれないか少ない場合には、液晶層114は基材112に付着しているだけかあるいは弱く接着している。
液晶層114上に、印刷等によって背景層116が形成されるが、背景層116形成時に、墨インキ等の背景層116成分が液晶層114の微細な凹み等に入り込むので、液晶層114と背景層116の接着強度は、液晶層114と基材112との間の接着強度より強くなり、背景層116と熱接着性接着剤層118との間の接着強度より弱くなると推定される。
【0030】
望ましくは、この液晶積層体110を被着体Aから剥がそうとしたとき、液晶層114等が凝集破壊する等、液晶積層体110が破壊するように構成するとよい。
すなわち、被着体Aに貼られている積層体を剥がして、他の偽物の被着体Aに貼り付けすることを防止するように、液晶積層体110を剥がそうとすると、液晶積層体110が破壊するような構成とする。そのために、たとえば、次のような構成としてもよい。
液晶層114と背景層116間および/または背景層116と熱接着性接着剤層118間の接着強度を異ならしめたり各層の凝集破壊強度を異ならしめるように構成する。その方法としては、たとえば、液晶層形成用塗液にバインダーを全く用いずまたはバインダーの量を抑制して、液晶層114と背景層116との接着強度を調整する方法がある。
このようにすれば、液晶層114と背景層116との間で層間剥離をしたり、液晶層114、あるいは液晶層114および背景層116において、凝集破壊し、液晶積層体110を被着体Aから剥がそうとしたとき、液晶積層体110が破壊して、他の偽物の物品に積層体を貼り替えることができなくなる。もっとも、このような構成とするまでもなく、基材112が取り除かれて貼着されているので、液晶積層体110を破壊することなく被着体Aから剥がすのは極めてむずかしい。
【0031】
このように、この液晶積層体110は、液晶層114の裏面に、背景層116が形成されることにより、通常の印刷技術や複写技術では真正に近い積層体を作製し得ず、また、高度の印刷技術を有していたとしても、液晶、特にコレステリック相からなる液晶に関する知識がないと、コレステリック相が高度に配向した安定した液晶層が得られないので、積層体を偽造することが極めて難しくなり、且つ、積層体を貼り替えようとすると、積層体が破壊するために、積層体を偽物に貼り替え、偽物の被貼着体を本物に見せかけることも難しくなる。
【0032】
【実施例2】
基材として、特に表面処理が施されていない、幅160mm、厚さ50μmのPETフィルム(株式会社東洋紡製E−5000)を準備する。
次に基材の裏面に塗工されて液晶層を構成する塗液を準備する。
液晶層形成用塗液としては、次の混合塗液を用いる。
両末端にアクリル基を有するネマチック液晶(BASF社のPaliocolor LC242)・・・55.3重量%
キラル化合物(BASF社のPaliocolor LC756)・・・2.9重量%
紫外線重合開始剤(チバスペシャリティ−ケミカルズ社のIrgacure 369)・・・1.8重量%
溶媒としてのメチルエチルケトン(MEK)・・・40.0重量%
次いで、基材裏面の全面にわたって、グラビア版により液晶層形成用塗液を塗工して、塗工後の平均厚さ3μmとなる液晶層を形成する。
そして、液晶層上に、墨インキ塗液を、グラビア版により、乾燥後の厚さ2.5μmとなるように塗工し、凸文字と抜き文字を設けて、背景層を形成する(背景層を形成するステップ)。
これ以外、すなわち、熱接着性接着剤層を形成するステップは、前記実施例1と同様にして液晶積層体を作成した。
その結果得られた液晶積層体は、実施例1と同様な効果を奏した上に、背景層が形成された部分においては、凸文字や抜き文字が視読できた。
【0033】
なお、実施例2における凸文字、抜き文字は、グラビア印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、スクリーン印刷等を用いて形成することができるが、その中でも、グラビア印刷、フレキソ印刷が、画線をクリアに形成し易い等のため好ましく、より好ましくは、グラビア印刷によって形成することである。
また、全面塗工(ベタ)は、前記したいずれの印刷方法によって形成してもよく、さらに、ナイフコーター、バーコータ等の方法によって塗工することもできる。
【0034】
図6は、この発明の液晶積層体の別の実施の形態である断面図解図である。
この液晶積層体210は、帯状の基材212と、前記基材212の裏面側に部分的に形成された液晶層214と、前記液晶層214の基材212側とは反対側の面に形成された背景層216と、前記背景層216の液晶層214側とは反対側の面に形成された熱接着性接着剤層218とからなる。
液晶層214と背景層216と熱接着性接着剤層218とは、平面形状が略同一の形状となるように形成されている。
【0035】
この実施の形態の液晶積層体210は、前記実施の形態の液晶積層体10と、ほぼ同様の構成を有するが、液晶層214、背景層216および熱接着性接着剤層218が文字、絵等からなる画線が凸文字や抜き文字が形成されることによって、画線を構成するように形成されている。液晶層214は、文字、絵等からなる画線が、液晶層214を形成する液晶層形成用塗液を印刷して凸文字や抜き文字が形成されることによって、構成されるように形成されている。背景層216は、前記実施の形態の背景層16を形成するインキと同様のインキによって印刷して凸文字や抜き文字が形成されることによって、画線を構成するように形成されている。もっとも、液晶層214は、基材212の裏面に全面にわたって形成されていてもよい。背景層216は、隠蔽性を備え、液晶層214の表面側から見ても、液晶層214が光輝性を示すように形成されている。なお、背景層216は、白色でもよい。背景層216が白色の場合は、液晶層214を通過した殆ど全ての波長の光が反射するので、背景層216が形成されている部分は白っぽく見える。そして、被着体Aが、たとえば、黒色のとき、背景層216が形成されていない部分はグリーンからブルーの光輝性を示す。
【0036】
コレステリック相からなる液晶層214を形成するためには、コレステリック相を形成する温度範囲に加熱する必要があり、液晶層214を形成する際の温度がそれより高い温度でも低い温度でもコレステリック相を形成しない。塗工後の液晶層形成用塗膜を一旦コレステリック相を形成する温度領域よりも高い温度、すなわち液体化温度に加熱した後コレステリック相を形成する温度領域に温度を下げた場合、光輝性が低下するおそれがあり、また、画線の鮮明性も劣化するおそれがあるので、塗工後の乾燥は、液体化温度まで加熱しないことが好ましい。且つ、コレステリック相を形成する温度領域にあっては、できる限り高い温度にすると光輝性等において有利である。これは、コレステリック相の配向(形成)がすみやかに確実に行われることによると想像される。
コレステリック相を形成した後は、コレステリック相をそのまま安定的に維持するため、コレステリック相形成温度領域の温度において架橋を行う等により、コレステリック相を固定する必要がある。
【0037】
また、基材212は、その厚さや材質について特に制限はないが、あまり薄くなると、液晶層形成用塗液や背景層形成用塗液等が塗工しにくくなり、基材212にシワ等が入り、変形しやすくなるので、25μm程度以上の厚さが、より好ましく、また、逆にあまり厚くなると、ゴワゴワとし、小さな部品等のように曲面等を備えたものの表面に貼着する場合、貼着しにくくなるので、150μm程度以下が、より好ましい。
また、背景層216は、それぞれ隠蔽効果を出したいときは、一定の厚み以上であればよく、たとえば、1μm以上が好ましく、さらには、2〜5μm程度が、より好ましい。
液晶層214は、光輝性が目視できる厚さ以上であればよく、2〜5μm程度が、より好ましく、1μmを下回ると、その濃度が薄くなるおそれがあるので、あまり好ましくはない。
【0038】
熱接着性接着剤層218は、EVA系樹脂、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂などのうち1または複数の樹脂を含む熱接着性接着剤を背景層216の、あるいは液晶層214および背景層216の裏面に塗布して形成されている。
これらの樹脂を含む熱接着性接着剤は、エマルジョンとして溶剤に溶解するかあるいは熱で溶融する等して、背景層216の裏面に塗工される。
その塗布の厚みは、1〜20μmが好ましく、より好ましくは1〜7μmである。
【0039】
前記液晶積層体210は、たとえば、図7(A)に示すように、被着体Aに熱接着性接着剤層218面を接合させ、熱板や熱ロールを加熱して液晶層214の表面側より押し当て、熱接着性接着剤層218を活性化させ、商品や商品等の保証書などのような被着体Aに溶着(ホットスタンピング)される。そして、図7(B)に示すように、溶着によって液晶層214と基材212とが剥離し、基材212のない液晶層214、背景層216および熱接着性接着剤層218からなる転写体が商品や保証書などの被着体Aに貼着する。したがって、液晶層214、背景層216および熱接着性接着剤層218の順次形成された液晶積層体210によって画線等が表される。
液晶積層体210を被着体Aにホットスタンプしたとき、液晶積層体210の基材212と液晶層214が剥離して、基材212を取り除くことができるようにするために、たとえば、次のような構成とする。
基材212と液晶層214の接着強度を、他の層間、すなわち液晶層214と背景層216間および背景層216と熱接着性接着剤層218間の接着強度、および各層(液晶層214、背景層216、熱接着性接着剤層218)の凝集破壊強度より弱く構成する。その方法としては、たとえば、液晶層形成用塗液にバインダーを全く用いずまたはバインダーの量を抑制して、基材212と液晶層214との接着強度を調整する方法がある。
また、液晶積層体210を被着体Aから剥がそうとしたとき、液晶積層体210が破壊して、他の偽物の品物に積層体を貼り替え、偽物を真正品と見せかけることができなくなるようにするために、たとえば次のような構成とする。
背景層216と液晶層214との凝集破壊強度を異ならしめたり、液晶層214と背景層216と熱接着性接着剤層218間の接着強度を異ならしめるように構成するとよい。もっとも、このような構成とするまでもなく、基材212が取り除かれて貼着されているので、液晶積層体210を破壊することなく被着体Aから剥がすのは極めてむずかしい。
【0040】
望ましくは、この液晶積層体210を被着体Aから剥がそうとしたとき、液晶層214等が凝集破壊する等、液晶積層体210が破壊するように構成するとよい。
すなわち、被着体Aに貼られている積層体を剥がして、他の偽物の被着体Aに貼り付けすることを防止するように、液晶積層体210を剥がそうとすると、液晶積層体210が破壊するような構成とする。そのために、たとえば、次のような構成としてもよい。
液晶層214と背景層216間および/または背景層216と熱接着性接着剤層218間の接着強度を異ならしめたり各層の凝集破壊強度を異ならしめるように構成する。その方法としては、たとえば、液晶層形成用塗液にバインダーを全く用いずまたはバインダーの量を抑制して、液晶層214と背景層216との接着強度を調整する方法がある。
このようにすれば、液晶層214と背景層216との間で層間剥離をしたり、液晶層214、あるいは液晶層214および背景層216において、凝集破壊し、液晶積層体210を被着体Aから剥がそうとしたとき、液晶積層体210が破壊して、他の偽物の物品に積層体を貼り替えることができなくなる。
【0041】
このように、この液晶積層体210は、液晶層214の裏面に、背景層216が形成されることにより、通常の印刷技術や複写技術では真正に近い積層体を作製し得ず、また、高度の印刷技術を有していたとしても、液晶、特にコレステリック相からなる液晶に関する知識がないと、コレステリック相が高度に配向した安定した液晶層が得られないので、積層体を偽造することが極めて難しくなり、且つ、積層体を貼り替えようとすると、積層体が破壊するために、積層体を偽物に貼り替え、偽物の被貼着体を本物に見せかけることも難しくなる。
【0042】
前記実施の形態の説明においては、背景層について説明したが、被着体が黒色等の場合には被着体の表面が背景層の代わりの機能を有しているので、背景層を形成しなくてもよい。
【0043】
図8は、この発明の液晶積層体の更に別の実施の形態である断面図解図である。
この液晶積層体310は、帯状の基材312と、前記基材312の裏面側に部分的に形成された液晶層314と、前記液晶層314の基材312側とは反対側の面に部分的に形成された熱接着性接着剤層318とからなる。
液晶層314と熱接着性接着剤層318とは、略同一の平面形状に形成されている。
【0044】
この実施の形態の液晶積層体310は、前記実施の形態の液晶積層体10と、ほぼ同様の構成を有するが、液晶層314および熱接着性接着剤層318が文字、絵等からなる画線が、凸文字や抜き文字が形成されることによって、画線を構成するように形成されている。なお、液晶層314と熱接着性接着剤層318は全面(ベタ)に形成することもできる。前記液晶積層体310は、被着体Aに熱接着性接着剤層318面を接合させ、適宜な熱板や熱ロールを加熱して液晶層314の表面側より押し当て、熱接着性接着剤層318を活性化させ、その表面が黒色等の商品などのような被着体Aに溶着(ホットスタンピング)される。そして、溶着によって液晶層314と基材312とが剥離し、基材312のない液晶層314と熱接着性接着剤層318とからなる転写体が商品などの被着体Aに貼着する。
この実施の形態の液晶積層体310は、被着体Aが黒色をしていて前記実施の形態の背景層16の代わりをして、液晶層314が光輝性を示す。
液晶積層体310を被着体Aにホットスタンプしたとき、液晶積層体310の基材312と液晶層314が剥離して、基材312を取り除くことができるようにするために、たとえば、次のような構成とする。
基材312と液晶層314の接着強度を、他の層間、すなわち液晶層314と熱接着性接着剤層318間の接着強度、および各層(液晶層314、熱接着性接着剤層318)の凝集破壊強度より弱く構成する。その方法としては、たとえば、液晶層形成用塗液にバインダーを全く用いずまたはバインダーの量を抑制して、基材312と液晶層314との接着強度を調整する方法がある。
【0045】
また、基材312の表面(液晶層314を形成させた面とは反対側の面)を外側とし、熱接着性接着剤層318を内側として巻回された液晶層積層連続体として、利用できる。
【0046】
【発明の効果】
この発明によれば、しなやかで、被着体の面に沿って貼着し易く、比較的低コストで製造することができ、偽造防止用積層体として用いることが可能な、液晶積層体および液晶積層連続体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態である液晶積層体の断面図解図である。
【図2】コレステリック相の分子配列を示す図解図である。
【図3】液晶積層体の被着体の圧着する方法を示す断面図解図である。
【図4】この発明の別の実施の形態である液晶積層体の断面図解図である。
【図5】図4図示の液晶積層体の被着体の圧着する方法を示す断面図解図である。
【図6】この発明の更に別の実施の形態である液晶積層体の断面図解図である。
【図7】図6図示の液晶積層体の被着体の圧着する方法を示す断面図解図である
【図8】この発明の液晶積層体の更に別の実施の形態である断面図解図である。
【符号の説明】
10 110 210 310 液晶積層体
12 112 212 312 基材
14 114 214 314 液晶層
16 116 216 316 背景層
18 118 218 318 接着剤層
A 被着体
B 箔押板

Claims (6)

  1. 基材と、
    前記基材の裏面側に形成された液晶層と、
    前記液晶層の基材側とは反対側の面に形成された熱接着性接着剤層とからなり、
    前記熱接着性接着剤層が加熱され被着体に接着されるとき、前記基材と液晶層とが剥離するように形成された液晶積層体において、
    前記基材に表面処理が施されていないPETフィルムを用い、
    前記PETフィルムの表面処理が施されていない裏面側に直接、コレステリック相を形成し得る液晶分子を塗工し、
    当該液晶分子がコレステリック相を形成する温度に該塗工物を加熱してコレステリック相液晶を形成させ、
    コレステリック相液晶を含む該塗工物に紫外線を照射することにより液晶分子を架橋させてコレステリック相液晶を固定することによって、固定されたコレステリック相液晶層を形成してなる、液晶積層体。
  2. 基材と、
    前記基材の裏面側に形成された液晶層と、
    前記液晶層の基材側とは反対側の面に形成された熱接着性接着剤層とからなり、
    前記熱接着性接着剤層が加熱され被着体に接着されるとき、前記基材と液晶層とが剥離するように形成された液晶積層体において、
    前記基材に表面処理が施されていないPETフィルムを用い、
    前記PETフィルムの表面処理が施されていない裏面側に直接、ネマチック相を形成し得る液晶分子とキラル化合物の混合物を塗工し、
    当該キラル化合物の混合された液晶分子がコレステリック相を形成する温度に該塗工物を加熱してコレステリック相液晶を形成させ、
    コレステリック相液晶を含む該塗工物に紫外線を照射することにより液晶分子を架橋させてコレステリック相液晶を固定することによって、固定されたコレステリック相液晶層を形成してなる、液晶積層体。
  3. 前記液晶層の基材側とは反対側の面背景層を形成し
    前記背景層の液晶層側とは反対側の面に前記熱接着性接着剤層を形成してなる、請求項1または請求項2に記載の液晶積層体。
  4. 基材と、
    前記基材の裏面側に形成された液晶層と、
    前記液晶層の基材側とは反対側の面に形成された熱接着性接着剤層とからなり、
    前記熱接着性接着剤層が加熱され被着体に接着されるとき、前記基材と液晶層とが剥離するように形成され
    前記基材の表面を外側とし、前記熱接着性接着剤層を内側として巻回された液晶積層連続体において、
    前記基材に表面処理が施されていないPETフィルムを用い、
    前記PETフィルムの表面処理が施されていない裏面側に直接、コレステリック相を形成し得る液晶分子を塗工し、
    当該液晶分子がコレステリック相を形成する温度に該塗工物を加熱してコレステリック相液晶を形成させ、
    コレステリック相液晶を含む該塗工物に紫外線を照射することにより液晶分子を架橋させてコレステリック相液晶を固定することによって、固定されたコレステリック相液晶層を形成してなる、
    液晶積層連続体。
  5. 基材と、
    前記基材の裏面側に形成された液晶層と、
    前記液晶層の基材側とは反対側の面に形成された熱接着性接着剤層とからなり、
    前記熱接着性接着剤層が加熱され被着体に接着されるとき、前記基材と液晶層とが剥離するように形成され
    前記基材の表面を外側とし、前記熱接着性接着剤層を内側として巻回された液晶積層連続体において、
    前記基材に表面処理が施されていないPETフィルムを用い、
    前記PETフィルムの表面処理が施されていない裏面側に直接、ネマチック相を形成し得る液晶分子とキラル化合物の混合物を塗工し、
    当該キラル化合物の混合された液晶分子がコレステリック相を形成する温度に該塗工物を加熱してコレステリック相液晶を形成させ、
    コレステリック相液晶を含む該塗工物に紫外線を照射することにより液晶分子を架橋させてコレステリック相液晶を固定することによって、固定されたコレステリック相液晶層を形成してなる、液晶積層連続体。
  6. 前記液晶層の基材側とは反対側の面背景層を形成し
    前記背景層の液晶層側とは反対側の面に前記熱接着性接着剤層を形成してなる、請求項4または請求項5に記載の液晶積層連続体
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