JP4068449B2 - 塗膜形成装置及び塗膜形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、円筒形状、円柱形状、無端状ベルト形状等の被塗装物へ塗膜を形成する塗膜形成装置及び塗膜形成方法に関し、特に膜厚の均一化を図ることが可能な塗膜形成装置及び塗膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真の原理に基づく複写機およびプリンタにおいて、用紙を挟圧し、熱によりトナーを溶融し、用紙に定着させる定着プロセスが存在する。近年その定着プロセスで用いられる部品、例えば定着ローラあるいは定着ベルトには耐熱性ゴム、例えばシリコンゴムによる弾性層を形成することが、トレンドとなっている。この弾性層を形成するには、基体、例えばアルミ、鉄などの金属円筒形状の芯金やポリイミド、Niなどのベルト状基体上にプライマ、例えば接着剤を塗布して、シリコンゴムなどの耐熱性ゴムによる弾性層を100〜300μm程度の厚さに形成する。
【0003】
この弾性層はトナー定着時の圧力を均一にし画像の粒状度をあげることが一般的に必要とされている。この弾性層は厚みにより画像に影響を及ぼし、またゴムの熱伝導性の関係から定着ローラの立ち上がり時間(所定の温度に達する時間)などに影響を及ぼすことからある程度の範囲で厚さを均一にすることが求められる。
【0004】
従来、このような弾性層の膜厚を均一に形成するための工法としては、スプレーコーティング塗装が一般的に用いられてきた。しかしスプレーコーティング塗装では、このような厚膜を形成するには塗装回数が非常に多くなり、加工タクトが長く量産性が低い。またスプレーガンで霧化して噴霧するには粘度が低いことが前提である。
【0005】
しかしシリコンなどのゴム材は一般的に加硫前の状態は液体と言えども高粘度であり、スプレーで噴霧できる状態ではない。そこでスプレー塗装するためにゴム材を溶媒(トルエン、キシレンなどの有機溶剤)と混ぜ合わせることにより塗装時に粘度を下げることが必要不可欠となる。しかし溶剤を使いスプレー塗装を行うと、塗装現場の作業環境は悪化し作業者の人体に影響を及ぼすので、局所排気することが求められる。
【0006】
この場合、当然そのミストは大気中にそのまま排出することはできず、規制値以下に押さえることが法的に求められる。そのため廃棄脱臭装置として活性炭を用いた脱臭システムなどを導入するが、先述のように塗装回数が多いとフィルターのランニングコストなどが高額になり部品の価格とそれを生産する消耗品費のバランスがとれず、採算性が無い。また近年では環境への関心の高まりから、大量の有機溶剤を用いる加工は避ける機運が社会的にも強まっていることからも、上記のような工法は避けることが望ましい。
【0007】
液状のゴムを希釈せず原液のままゴム層に加工できる工法として注型や射出成型が挙げられる。これはローラの場合、芯金と型との間にゴムを流し込み固める方法であるが、この方法は従来は比較的膜の厚い物(3〜5mm)に限られ、金型や芯金の精度の問題から均一な膜が形成できるのは少なくともゴムの膜圧が300μm以上になる時に限られた。
【0008】
また近年ではブレードにより基体の塗料を均し、掻きとることにより膜を形成するブレード塗工法で均一なゴム膜を形成する事例も存在する。この方法は、はじめに基体上に塗料を供給しそれをブレードで均し、掻きとることにより所定の膜厚を形成する方法である。
【0009】
この時の問題点としては塗料の供給方法にある。従来技術の多数はノズルから塗料を垂らし基体に供給しているが、基体一面に同時に塗布することができず、ノズルを軸方向に操作して供給を行う。この方法として、例えば特許第2691284号公報や特開平10−5674号公報に記載された方法が知られている。
【0010】
特許第2691284号公報に記載されたゴムローラ用コーティング装置は、ゴムローラの中心軸の両端面を回転可能に支持する一対のチャック装置と、コーティング材を前記ゴムローラ上に線引き状に定量塗布するために、ゴムローラの軸方向に沿って往復動可能に設けられたノズルを有する塗布装置と、この塗布装置によりコーティング材が塗布された前記ゴムローラの外周表面に対し一定の間隙を形成し、前記ゴムローラの回転により塗膜コーティング材の塗膜厚を均一にならすドクターナイフを有する、ゴムローラの中心軸を含む面内でゴムローラに向かって進退可能なドクターナイフ装置とからなる。
【0011】
また、特開平10−5674号公報に記載された方法は、円筒状又は円柱状の基材を水平に保持して回転せしめ、該基材表面に過剰量の塗布液をノズル列を有するノズルから塗着した後、塗膜表面形成部材の塗膜接触部を基材の回転軸に平行かつ所定距離の位置に近接して過剰な塗布液を掻き取り、塗膜によって得られる基材表面の寸法精度及び表面粗らさを改良し、次いで塗布液を硬化する塗膜形成方法において、塗膜接触部が回動軸によって回動可能に支持されたブレード状体で形成され、かつ、該ブレード状体が基材の回転と同じ方向に回動して塗布液から離脱するものである。
【0012】
【特許文献1】
特許第2691284号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献2】
特開平10−5674号公報(第6−7頁、図2)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許第2691284号公報に記載された方法では、ローラ全長300mm以上に渡って、ノズルを操作する必要があり、ワーク全周にわたり塗料を供給するのに時間がかかる。またノズルから出した塗料が均一な膜にはならないので、かなり余分に塗料を付着させ、それを後にブレードで掻きとることになるため、材料歩留まりが悪く無駄になる塗料が多い。
【0014】
また特開平10−5674号公報にはノズルを操作しなくても軸方向に同時に塗布が可能なように、ノズルを複数列配置した実施例が掲載されているが、この方法でも塗装時間の問題は解決するものの、先述の材料歩留まりの課題は解決されない。
【0015】
そこで本発明は、被塗装物の継ぎ目をなくすか最小とするとともに、加工時間が短く、材料歩留まりのよい塗膜形成装置及び塗膜形成方法を提供することをその目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意研究の結果、これらの問題を解決すべく、塗料供給のノズルとして、吐出口のスリットに連通して吐出圧を均一化するマニホールドを備えた、ダイコーティング用の塗布ノズルを用いた。ダイコーティングは従来シート物のような連続体の塗装には用いられてきた技術であり、膜厚の精度もよく、しかも軸方向にわたり同時に塗装することが可能であるが、円筒(円柱)基体やシームレスベルトに用いられてきた事例はない。それは塗布開始と塗布終了時に継ぎ目が生じてしまう課題が存在するためである。
【0017】
この継ぎ目をブレードで掻き取ることにより、円筒(円柱)基体やシームレスベルトの塗膜形成にダイコーティング用の塗布ノズルを用いても継ぎ目の発生が無いようにした。
【0018】
即ち、上記目的を達成するために請求項1の発明は、回転軸回りに回転する被塗装物に対して塗膜を形成する装置において、前記被塗装物を保持する保持機構と、該保持機構を前記被塗装物とともに回転させる回転機構と、該回転機構により回転する被塗装物に対向する先端が前記回転軸と平行なスリット形状に形成され、該スリットに連通して吐出圧を均一化するマニホールドを備え、前記被塗装物の軸方向にわたり同時に塗料を塗布することが可能な塗布ノズルと、前記被塗装物の表面に対して所定の隙間を保ち、前記被塗装物の回転によって形成された凸状の曲面の表面に形成された塗膜を掻き取るブレードとを備え、前記塗布ノズルと前記被塗装物との間に所定の隙間を設定し、その隙間を塗装中に保持することが可能な保持機構を備え、かつ、前記塗布ノズルと被塗装物との間の前記隙間の大きさをH、塗布ノズルにより被塗装物上に塗布した塗料の膜厚をhとしたとき、H≦hの関係を満足することを特徴とする塗膜形成装置である。
【0019】
この構成では、スリットに連通して吐出圧を均一化するマニホールドにより、被塗装物の軸方向にわたり同時に塗料を塗布することが可能でり、1回転で被塗装物全域に塗料を塗布することが可能である。その結果、塗料供給口が軸方向に移動するタイプの塗膜形成装置と比較して塗装時間を短縮することが可能である。
【0020】
また、被塗装物と一定の隙間を保ち形成された塗膜を掻きとるブレードを備えているので、塗布ノズルによる塗膜の継ぎ目をブレードにより消去することが可能であり、塗膜の継ぎ目を除去もしくは低減することが可能である。
【0022】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の塗膜形成装置において、前記塗布ノズルと前記被塗装物との間に設定された前記隙間を形成する塗布ノズルの位置から、該塗布ノズルを被塗装物から離れる方向に退避することが可能な退避機構を備えていることを特徴としている。
【0023】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載の塗膜形成装置において、前記塗布ノズルと前記被塗装物との間に設定された前記隙間は、前記被塗装物の下半分の範囲内に配設されていることを特徴としている。
【0025】
また、請求項4の発明は、請求項2に記載の塗膜形成装置において、さらに前記回転機構に回転角度を検出する検出器を備え、前記塗布ノズルの退避を塗布開始した位置から前記被塗装物が1回転後に行うように構成されていることを特徴としている。
【0026】
また、請求項5の発明は、請求項1に記載の塗膜形成装置において、前記塗布ノズルから塗液が吐出され、その塗液が前記塗布ノズルと前記被塗装物とにより形成される任意の一定の隙間に充満してから前記被塗装物の回転が開始されることを特徴としている。
【0027】
また、請求項6の発明は、請求項1に記載の塗膜形成装置において、前記塗布ノズルの先端が前記被塗装物の前記先端に対向する部分の接線方向に平行な平面を有することを特徴としている。
【0028】
また、請求項9の発明は、回転軸回りに回転する被塗装物に対して塗膜を形成する方法において、前記被塗装物を保持して回転させ、該被塗装物に対向する先端が前記回転軸と平行なスリット形状に形成され、該スリットに連通して吐出圧を均一化するマニホールドを備え、前記被塗装物の軸方向にわたり同時に塗料を塗布することが可能な塗布ノズルにより、該塗布ノズルと前記被塗装物との間に所定の隙間を設定し、その隙間を塗装中に保持しながら、前記被塗装物の回転によって形成された凸状の曲面の軸方向にわたり同時に塗料を塗布し、その後に、ノズル塗布時より被塗装物の回転数を増加させ、前記被塗装物の表面に対して一定の隙間を保つブレードにより、前記被塗装物の表面に形成された塗膜を掻き取る塗膜形成方法において、前記塗布ノズルと被塗装物との間の前記隙間の大きさをH、塗布ノズルにより被塗装物上に塗布した塗料の膜厚をhとしたとき、H≦hの関係を満足させることを特徴としている。
【0029】
この構成では、スリットに連通して吐出圧を均一化するマニホールドにより、被塗装物の軸方向にわたり同時に塗料を塗布することが可能でり、1回転で被塗装物全域に塗料を塗布することが可能である。その結果、塗料供給口が軸方向に移動するタイプの塗膜形成装置と比較して塗装時間を短縮することが可能である。
【0030】
また、被塗装物と一定の隙間を保ち形成された塗膜を掻きとるブレードを備えているので、塗布ノズルによる塗膜の継ぎ目をブレードにより消去することが可能であり、塗膜の継ぎ目を除去もしくは低減することが可能である。
さらに、ブレードから被塗装物上の塗料が離脱する際の痕を直線状にすることができ、離脱の痕を小さくすることが可能である。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る一実施形態の塗膜形成装置の概略構成を示す斜視図である。
【0032】
図1に示すように、この塗膜形成装置は、回転軸6回りに回転する被塗装物である定着ローラ芯金1に対して塗膜を形成する装置において、定着ローラ芯金1を保持する保持機構であるチャック機構2と、チャック機構2を定着ローラ芯金1とともに回転させるモータ5等の回転機構と、モータ5の駆動により回転する被塗装物に対向する先端が回転軸6と平行なスリット7c(図4参照)を有する形状に形成され、スリット7cに連通して吐出圧を均一化するマニホールド7eを備えた塗布ノズル7と、定着ローラ芯金1の表面に対して一定の隙間を保ち、定着ローラ芯金1の表面に形成された塗膜を掻き取るブレード15とを備えている。
【0033】
前記塗布ノズル7は、定着ローラ芯金1の軸方向にわたり同時に塗料を塗布することが可能な塗布ノズル、例えばダイコーティング用の塗布ノズルである。
前記定着ローラ芯金1の材質は、Al、Feなどの金属系で円筒形状をしており、シリコンゴム塗装部(胴部)の外周には接着用のプライマが施してある。そのワークとしての定着ローラ芯金1をチャック機構2で保持し、定着ローラ芯金1の軸心を中心として回転することが可能である。
【0034】
前記チャック機構2は直動ガイド3上に固定されており、エアシリンダ4により前後進動作が行われることにより、定着ローラ芯金1を保持したり開放したりすることが可能である。
【0035】
前記モータ5はチャック機構2によりチャックした定着ローラ芯金1を所定の回転数で回転することが可能であり、その回転力は回転軸6を通して伝達される。回転軸6にはスリット板6aとその回転角を検出するフォトマイクロ6bが取りつけられている。ブレード塗装では3〜100rpm程度の回転数の速度を可変できるモータ5を用いる。
【0036】
前記塗布ノズル7は定着ローラ芯金1上に塗料を供給するためのものであり、塗料はタンク8に補充され、タンク8からポンプ9により定量供給される。ポンプ9は特に所望の高粘度液体が送液可能であれば何でもかまわないが、本実施形態ではモーノポンプを用いている。またポンプ9から送られた塗料は配管10を通り、塗料ノズル7に供給される。配管10は清掃などを考慮して塗料が付着し難いテフロン(登録商標)チューブを用いている。塗料ノズル7はマイクロメータ11(図2参照)により高精度な位置決めが可能な微動テーブル12に固定されており、微動テーブル12はエアシリンダ13により駆動される粗動テーブル14上に固定されている2段テーブルの構造をしている。
【0037】
前記ブレード15は塗布ノズル7で芯金1上に形成した1次塗膜を掻きとり所定の膜厚の最終塗膜を形成するためのものである。このブレード15と定着ローラ芯金1との間の隙間(コーティングギャップH)により、所定の膜厚にすることが可能であり、本発明者の実験では通常膜厚はそのギャップの6〜7割程度になることが明らかになっている。
【0038】
図2は図1の塗膜形成装置の側面図である。
図2に示すように、ブレード15はその先端がシャープな形状をしており、角度は30〜45°で、先端部の幅は0.1mm以下にすることが望ましい。これは先端部分が広いとそのフラット部と定着ローラ芯金1との間に塗料が多く存在することとなり、塗料が接離する際にその部分の塗料が定着ローラ芯金1に乗り移り痕が大きくなるためである。
【0039】
ブレードホルダ16は微動テーブル17に固定されており、微動テーブル17はマイクロメータ18によりμm単位での位置決めが可能であり、定着ローラ芯金1の表面より数百μm下方の位置に正確にブレード先端を位置決めすることができる。粗動テーブル19は台形ネジ20により上下(図2中、矢印A方向)に駆動され、微動テーブル17の動けない範囲にブレードを移動させるときに用いる。アクチュエータ21はブレード11が取りつけられたユニット全体を前後進(図2中、矢印B方向)するための駆動源である。
【0040】
以上のような構成の塗布装置を用いて定着ローラ芯金1の外周にシリコンゴムを塗布し、塗膜を形成する方法を説明する。塗布装置を稼働させる前に各設定を行う。塗布ノズル7およびブレード15は塗膜の所望の厚みに対して所定のギャップを形成しておく。これは上述の各微動テーブル12、17に備えられたマイクロメータ11、18により設定する。例えば210μmの最終膜厚がほしい場合、ブレード15と芯金1との間のギャップは300μmに設定する。1次膜はそれ以上の厚みで形成する必要があり、これは塗料ノズル7から塗出される液の吐出量で決定される。吐出量は予め定着ローラ芯金1に形成する1次膜の厚みから求めた体積と塗料の比重とから算出しておき、その吐出量に応じて定着ローラ芯金1の1回転で吐出可能なポンプ9の吐出速度を設定しておく。
【0041】
図3は実施結果による膜厚とコーティングギャップとの関係を示す図である。図3に示すように、塗布ノズル7と定着ローラ芯金1とにより形成されるコーティングギャップHは1次膜の厚さhより小さい値に設定する。これにより塗布部で気泡を巻きこむことなく塗布することが可能である(図3参照)。
【0042】
図5は上述した塗膜形成装置の塗装動作を示すフローチャートである。
次に塗装動作を順に説明する。
先ず、定着ローラ芯金1をチャック機構2により保持する。その後スタートボタンを押して塗膜形成装置を起動すると、まず塗布ノズル7がエアシリンダ13により粗動テーブル14ごと移動し、上述の設定した所定のコーティングギャップHが形成される位置に位置決めされ、ブレード15が加工待機位置に移動する(ステップS1)。このブレード15の移動と塗布ノズル7の移動とはどちらが先に移動してもよく、また同時に移動しても良い。
【0043】
その後ポンプ9に吐出開始指令がだされ、予め設定した吐出速度で塗料を塗布ノズル7から吐出する(ステップS2)。塗料が塗布ノズル7と定着ローラ芯金1により形成されるコーティングギャップHに充填された後に、定着ローラ芯金1はモータ5の回転がチャック機構2を介して伝達され回転を開始する(ステップS3)。回転開始のタイミングは塗料の粘度により異なり50〜200Pa・sのシリコンゴムを用いた場合、充填された後1〜3s程度である。
【0044】
また塗布ノズル7で形成する1次膜は通常はブレード15で掻きおとすことを見込んで、ブレード15と定着ローラ芯金1とで形成されるギャップより20〜30μm程度厚い膜を形成しておく必要がある。
【0045】
塗布ノズル7は定着ローラ芯金1の軸方向に同時に塗装することが可能なので定着ローラ芯金が1回転したところで定着ローラ芯金1の全域にわたり1次膜が形成される。ここでの定着ローラ芯金1の回転数は4〜6rpm(低回転)なので10〜15sで1回転する。上述の回転軸6に取りつけられたスリット板6aのスリットの個数をフォトマイクロ6bによりカウントし定着ローラ芯金1が塗布ノズル7により塗装を開始した位置から1回転(360°)したところで、シリンダ13により塗装ノズル7が退避するとともに、ポンプ9に運転停止信号が発信されポンプ9の運転が停止し、塗布ノズル7からの塗料の吐出は停止する(ステップS4)。
【0046】
次にブレ−ド15を近接するためにモータ5の回転数が切り替わり定着ローラ芯金1が20rpm(高回転)で回転する(ステップS5)。
次に、アクチュエータ21が前進し、ブレード15が定着ローラ芯金1の下面に所定のギャップを維持した状態で近接される(ステップS6)。
この状態でワークが3回転したところで定着ローラ芯金1上に塗布ノズル7で形成した1次膜の表層部が掻きとられ最終的な膜厚に仕上げられるとともに、塗布ノズルが退避する時に形成された継ぎ目がなくなる。ブレード15から塗料が離れる際の痕は最終的には残る場合もあるが、塗布ノズル7の継ぎ目と比較すると1/10以下の大きさであり、次の工程で表面を研磨する際に除去することが可能な大きさにすることができる。
【0047】
その後ブレード15はアクチュエータ21の後進に合わせて後退し加工待機位置にて停止し(ステップS7)、その後必要に応じてブレードを原点に移動し(ステップS8)、定着ローラ芯金1の回転も停止し(ステップS9)、チャック機構2が後退して塗装が完了する。
【0048】
図4は塗布ノズル先端部分の拡大図である。
次に、図4を参照して、塗布ノズル7による塗装で均一な塗膜が形成される原理を説明する。図4に示すように、塗布ノズル7は塗布ノズル半体7aと塗布ノズル半体7bとの2部品から構成されている。そして、塗布ノズル7は、配管10から塗料が供給される塗料供給口7fと、塗料供給口7fに連通するマニホールド7eと、マニホールド7eに連通するスリット7cとを備えている。
【0049】
前記塗布ノズル7は、その先端部のスリット7cから定着ローラ芯金1の軸方向に同時に一様に塗料22、本実施形態ではシリコンゴムが塗布される。塗布された塗料22はその後定着ローラ芯金1の回転により、塗布ノズル先端の定着ローラ芯金1の接線方向に平行な面7dにより、均一の膜厚になるように均される。本発明者の実験ではこの時、面7dと定着ローラ芯金1とにより形成されるコーティングギャップHと塗膜の厚さhとの間には図3のような関係が生じた。図3中に記す塗装不可能領域23の条件では塗膜中に気泡が混入し、また塗膜表面が波状になることがわかっている。
【0050】
本実施時の塗布条件は以下の通りである。定着ローラ芯金1の回転数は4rpm、定着ローラ芯金1の外径は40mm、先端部のスリット7cの幅は0.6mm、先端部のスリット7cの長さは290mm、ポンプ9のモータ回転数は各30,48,63rpm、シリコンゴム材料はDY35−2120(東レ(株)社製)である。
【0051】
本発明によれば、ダイコーティングをブレード塗装方式と組み合わせることにより、円筒(円柱)基体やシームレスベルトに用いられてきた時の課題となる継ぎ目をなくすか最小とすることができるとともに、加工時間が短く、材料歩留まりのよい塗装形成装置および塗膜形成方法を実現することが可能となる。
【0052】
図6は図1の塗膜形成装置を定着ベルトの塗膜形成に用いた場合の側面図である。
図6に示すように、塗膜を形成する定着ベルト基体25を図1と同様にチャックで保持された駆動ローラ26と従動するテンションローラ27との間に掛け渡し、上述したのと同様に塗膜を形成することができる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、被塗装物の継ぎ目をなくすか最小とすることができるとともに、加工時間が短く、材料歩留まりのよい塗膜形成装置を提供することができる。
【0054】
さらに、塗装中に塗布ノズルと被塗装物との間で空気を巻きこんだり、塗布表面が波状になることがなく、均一な塗膜を形成することが可能となる。
【0055】
また、請求項2の発明によれば、被塗装物を着脱する際に塗布ノズル先端の塗料が被塗装物に付着することがない。
【0056】
また、請求項3の発明によれば、塗布ノズルの先端が最高部となるので、塗布ノズル内部に塗料を充満させる際に空気を上側に押しだすことができ、その結果塗布ノズル内部に空気が残ることが無く、塗膜に空気を巻きこむことが無くなる。またノズルからの垂れた塗料が被塗装物に付着することも無い。
【0058】
また、請求項4の発明によれば、被塗装部表面に非塗装部が生ずることなく、また塗布ノズルと被塗装物とにより形成されるギャップで塗膜を削ることもない。
【0059】
また、請求項5の発明によれば、塗膜が波状になることがなく、均一なノズルによる塗布膜を形成することができる。
【0060】
また、請求項6の発明によれば、塗布ノズルの先端が被塗装物の先端に対向する部分の接線方向に平行な平面を有するので、塗布ノズルのスリットから被塗装物上に供給した塗料を均すことが可能であり、さらに均一な膜を形成することができ、ブレードで掻きおとす量をより低減し材料歩留まりを向上することができる。
【0061】
また、請求項7の発明によれば、被塗装物の継ぎ目をなくすか最小とすることができるとともに、加工時間が短く、材料歩留まりのよい塗膜形成方法を提供することができる。さらに、ブレードから被塗装物上の塗料が離脱する際の痕を直線状にすることができ、離脱の痕を小さくすることが可能である。
また、塗装中に塗布ノズルと被塗装物との間で空気を巻きこんだり、塗布表面が波状になることがなく、均一な塗膜を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態の塗膜形成装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】同塗膜形成装置の側面図である。
【図3】実施結果による膜厚とコーティングギャップとの関係を示す図である。
【図4】塗布ノズル先端部分の拡大図である。
【図5】塗装動作を示すフローチャートである。
【図6】図1の塗膜形成装置を定着ベルトに用いた場合の側面図である。
【符号の説明】
1 定着ローラ芯金(被塗装物)
2 チャック機構(保持機構)
5 モータ(回転機構)
6 回転軸
7 塗布ノズル
7c スリット
7d 面
7e マニホールド
15 ブレード
22 塗料
h 厚さ
H コーティングギャップ
Claims (7)
- 回転軸回りに回転する被塗装物に対して塗膜を形成する装置において、前記被塗装物を保持する保持機構と、該保持機構を前記被塗装物とともに回転させる回転機構と、該回転機構により回転する被塗装物に対向する先端が前記回転軸と平行なスリット形状に形成され、該スリットに連通して吐出圧を均一化するマニホールドを備え、前記被塗装物の軸方向にわたり同時に塗料を塗布することが可能な塗布ノズルと、前記被塗装物の表面に対して所定の隙間を保ち、前記被塗装物の回転によって形成された凸状の曲面の表面に形成された塗膜を掻き取るブレードとを備え、
前記塗布ノズルと前記被塗装物との間に所定の隙間を設定し、その隙間を塗装中に保持することが可能な保持機構を備え、かつ、
前記塗布ノズルと被塗装物との間の前記隙間の大きさをH、塗布ノズルにより被塗装物上に塗布した塗料の膜厚をhとしたとき、H≦hの関係を満足することを特徴とする塗膜形成装置。 - 請求項1に記載の塗膜形成装置において、前記塗布ノズルと前記被塗装物との間に設定された前記隙間を形成する塗布ノズルの位置から、該塗布ノズルを被塗装物から離れる方向に退避することが可能な退避機構を備えていることを特徴とする塗膜形成装置。
- 請求項1に記載の塗膜形成装置において、前記塗布ノズルと前記被塗装物との間に設定された前記隙間は、前記被塗装物の下半分の範囲内に配設されていることを特徴とする塗膜形成装置。
- 請求項2に記載の塗膜形成装置において、さらに前記回転機構に回転角度を検出する検出器を備え、前記塗布ノズルの退避を塗布開始した位置から前記被塗装物が1回転後に行うように構成されていることを特徴とする塗膜形成装置。
- 請求項1に記載の塗膜形成装置において、前記塗布ノズルから塗液が吐出され、その塗液が前記塗布ノズルと前記被塗装物とにより形成される任意の一定の隙間に充満してから前記被塗装物の回転が開始されることを特徴とする塗膜形成装置。
- 請求項1に記載の塗膜形成装置において、前記塗布ノズルの先端が前記被塗装物の前記先端に対向する部分の接線方向に平行な平面を有することを特徴とする塗膜形成装置。
- 回転軸回りに回転する被塗装物に対して塗膜を形成する方法において、前記被塗装物を保持して回転させ、該被塗装物に対向する先端が前記回転軸と平行なスリット形状に形成され、該スリットに連通して吐出圧を均一化するマニホールドを備え、前記被塗装物の軸方向にわたり同時に塗料を塗布することが可能な塗布ノズルにより、該塗布ノズルと前記被塗装物との間に所定の隙間を設定し、その隙間を塗装中に保持しながら、前記被塗装物の回転によって形成された凸状の曲面の軸方向にわたり同時に塗料を塗布し、その後に、ノズル塗布時より被塗装物の回転数を増加させ、前記被塗装物の表面に対して一定の隙間を保つブレードにより、前記被塗装物の表面に形成された塗膜を掻き取る塗膜形成方法において、
前記塗布ノズルと被塗装物との間の前記隙間の大きさをH、塗布ノズルにより被塗装物上に塗布した塗料の膜厚をhとしたとき、H≦hの関係を満足させることを特徴とする塗膜形成方法。
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