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JP4064668B2 - 複合型ワイヤロープ - Google Patents

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JP4064668B2
JP4064668B2 JP2001395307A JP2001395307A JP4064668B2 JP 4064668 B2 JP4064668 B2 JP 4064668B2 JP 2001395307 A JP2001395307 A JP 2001395307A JP 2001395307 A JP2001395307 A JP 2001395307A JP 4064668 B2 JP4064668 B2 JP 4064668B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエレベータ用やクレーンなどの荷役用として好適な複合タイプのワイヤロープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エレベータは一般にロープとシーブとの摩擦力を利用してロープに連結したかごを上下に動かすシステムであり、この吊り上げ及び駆動を行なうメインロープとして、従来のエレベータ用ロープは、一般に中心に繊維芯を配した6×S(19)、8×S(19)、6×W(19)、8×W(19)、6×Fi(25)、8×Fi(25)の構造の直径約12mm、破断荷重64.4kNクラスのワイヤロープが用いられていた。また、ロープを構成する素線材質に関し、シーブが高価で交換に多大な手間と時間がかかることを考慮してシーブの摩耗を防止すべく低炭素鋼を使用していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のエベータ用ロープは、ロープの素線径が太いためにシーブの径が500mm程度と大きなものになり、これに関連してモータなどの駆動機械類も大型化していた。このため、屋上に設置される機械室の小型化を図ることができず、ことにビルが高層化すると、ロープの自重増加により設備がさらに大型化することを避けられなかった。
【0004】
さらに、従来のエレベータ用ロープでは、シーブの摩耗を防止するために低炭素鋼を使用して硬さを意図的に抑えていたため、ロープの強度の向上が制約を受け、これがまた高層ビルへの適用上問題となっていた。
【0005】
また、従来のエレベータ用ロープは、錆の発生や疲労性向上のために塗油が必要であり、その結果摩擦係数が小さくなり、シーブとロープの間に滑りが生じやすい。この滑りによりモータの回転によるシーブの回転運動がロープに正確に伝わらず、シーブの回転運動とかごの上下運動が連動しなくなり、かごの正確な位置制御ができなくなる。そこで、従来では、シーブの溝にアンダーカットを形成する特別な加工を施したり、ダブルラップ方式でロープを巻回したりしており、このため、設備コストが高価になったり、ロープの取り付け及び交換作業に非常に手間がかかるという問題があった。
【0006】
一方、従来のクレーン用ロープについても、同様な理由からシーブ径やドラム径が大きくなって大型化を避けられず、金属同士の接触であるため摩耗が多く、シーブ、ドラムおよびロープの寿命が短くなり、またさびの発生が起りやすく、これを低減するため塗油を必要とするので、油がシーブやドラムに多量に付着したり周囲に飛散し、クレーンボデイや周辺を汚すなどの問題があった。
【0007】
本発明は前記のような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、柔軟でロープ径が細く、それでいて単位断面積あたりの強度が高いとともに単位長さ当りの重量が軽く、動索として使用したときに、シーブ径を小さくしても必要な疲労性を維持しつつシーブとの良好な摩擦接触を実現することができ、システムの省スペースやコストダウンが可能な繊維複合型ワイヤロープを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の複合型ワイヤロープは、引張り強度280kg/mm 以上の高強度鋼素線を使用したワイヤロープにして、素線を撚り合わせ外周に高分子化合物被覆を施した芯部と、該芯部の外周に配され、素線を撚り合わせた撚合体の複数本からなる少なくとも1つの側層と、20g/d以上の高弾性率、500g/d以上の高強度を備えた高性能繊維の本体とこれの外周に設けた被覆層を有し、前記側層の外接円に囲まれた各撚合体間に充填された繊維条体と、側層の外周に施された高分子化合物からなる外装被覆とを備えていることを基本的特徴としている。
また、本発明は、上記構成にくわえて、20g/d以上の高弾性率、500g/d以上の高強度を備えた高性能繊維の本体とこれの外周に設けた被覆層を有し、前記芯部の外周と側層の各撚合体との間に充填された繊維条体を備えていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明は引張り強度280kg/mm 以上の高強度鋼素線を使用したワイヤロープにして、素線を撚り合わせ外周に高分子化合物被覆を施した芯部と、複数本の素線を撚り合わせた撚合体と、20g/d以上の高弾性率、500g/d以上の高強度を備えた高性能繊維の本体の外周に被覆層を設けた繊維条体とを周上に交互に配し外周が高分子化合物で被覆された複数の複合層を備えていることを特徴としている。
【0010】
本発明ワイヤロープは、シーブと良好な摩擦係数が得られるので、動力を伝達するエレベーター用(たとえば吊り上げ及び駆動を行なうメインロープ、異常速度検出用のガバナロープなど)に好適である。また、エレベータ用のほか、クレーンで代表される荷役設備、機械などの動索としても好適である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施態様について添付図面を参照して説明する。
図1(a)は本発明による複合型ワイヤロープを適用したトラクション式エレベータを模式的に示しており、1は本発明による複合型ワイヤロープ、aは前記ワイヤロープ1の端末に固定されたかご、bはワイヤロープ1の他端末に固定されたカウンターウエイト、cはワイヤロープ1の移動を制御する駆動シーブ、dは駆動シーブcを駆動するモータ、eはそらせ用のガイドシーブである。
【0012】
図1(b)は本発明による複合型ワイヤロープを適用したクレーンの一例を示しており、fは走行体、gはブーム、hは巻き上げドラム、iはブーム伏仰ドラムであり、本発明ロープ1は巻き上げドラムからブーム頂のシーブjを経由して導かれており、また別の本発明ロープ1はブーム伏仰ドラムiからブームgに連結されている。
【0013】
〔第1態様について〕芯シェンケル+側シェンケル
図2と図3は複合型ワイヤロープ1の第1態様の一例を拡大して示しており、図4ないし図10はその詳細を示している。この例では、全体として7×(7×19)の構造、詳しくは繊維条体を加えて表すと、〔{(1+6)+12}+6×{(1+6)+12}+6×F〕+6×〔{(1+6)+12}+6×{(1+6)+12}〕+6×Fからなっている。
ワイヤロープ1は、芯部としての被覆芯シェンケル7と、側層として被覆芯シェンケル7を囲む複数本(図面では6本)の側シェンケル8とを有し、しかも前記被覆芯シェンケル7は高分子化合物被覆9が施され、側シェンケル8間を含む外側には全体に高分子化合物の外装被覆10が施され、ロープ全体の断面が円形状をなしている。
【0014】
さらに、前記被覆芯シェンケル7と側シェンケル8で囲まれたスペース、すなわち被覆芯シェンケル7の外周における各側シェンケル8、8の谷間に相当する各部に、複数本(この例では6本)の繊維条体(以下、内層側繊維条体という)11を充填している。
【0015】
また、前記側シェンケル8と外装被覆10がない状態でのロープ外接円に囲まれたスペース、すなわち各側シェンケル8、8の谷間に相当する各部に、前記内層側繊維条体11よりも相対的に太い複数本(この例では6本)の繊維条体(以下、外層側繊維条体という)12を充填している。それら内層側繊維条体11と外層側繊維条体12はそれぞれ本体13とそのの外周を囲む被覆層14を有しており、ロープの撚りの最終工程で各シェンケルと同時に撚り込まれている。
【0016】
前記被覆芯シェンケル7は、図3のように、中心の芯ストランド7aのまわりに複数本(図面では6本)の側ストランド7bを配して撚合してなり、この状態で全体に高分子化合物被覆9が施されている。
各側シェンケル8は、同様に芯ストランド8aのまわりに複数本(図面では6本)の側ストランド8bを配して撚合することにより構成されており、高分子化合物被覆は施されていない。
【0017】
各部の構成を詳細に説明すると、芯シェンケル7の芯ストランド7aと側ストランド7b、側シェンケル8の芯ストランド8aと側ストランド8bは、それぞれ所要本数、たとえばこの例では19本の鋼素線(以下素線と称す)を撚り合わせて構成されている。
素線の径(WR)は、外装被覆10を施す前のロープ径(DR)との関係で、25≦DR/WR≦75の範囲のものが使用される。これは、25<DR/WRではシーブとの繰り返し曲げにより比較的早期に疲労限に達して安全性に問題が生ずるとともに短寿命になるためであり、DR/WR>75ではコスト高になるためである。好適には、33≦DR/WR≦75である。
【0018】
素線は、引張り強度280kg/mm以上の特性を有することが好適である。これは細径化によっても十分な破断荷重を実現するためであり、引張り強度280kg/mm未満では、この目的を達成しがたいからである。かかる素線は、一般的に、炭素含有量が0.80wt%以上の炭素鋼線材を伸線することによって作られる。そして、素線の表面には薄い耐食性被覆層たとえば、亜鉛、あるいは亜鉛・アルミニウム合金めっき、黄銅めっきなどのいずれかを有している。こうした素線の条件は以下に述べる各態様のすべての素線についても同様である。
【0019】
芯シェンケル7の芯ストランド7aは、図4(a)(b)のように、中心の芯素線700と、これよりも相対的に径の細い多数の側素線701,702から構成されている。かかる構成を得るには、芯素線700と側素線701,702を一括して撚り合わせてもよい。しかし、好ましくは回転性が生じないようにするため、2工程撚りにて構成する。
【0020】
図4(a)(b)はこの芯シェンケル7の芯ストランド7aの製作工程を示しており、図4(a)のように、一本の芯素線700の周りにこれよりも相対的に径の細い複数本(図面では6本)の側素線701を配して所定の撚りピッチで撚り合わせる第1工程により1+nからなる内層70aを作り、図4(b)のように、前記内層70aの外周に複数本(図面では12本)の側素線702を配して所定の撚りピッチで撚り合わせる第2工程により外層70a’を形成している。この場合、第1工程の撚り方向と第2工程の撚り方向は同一方向(たとえばZ方向)とする。 なお、内層70aの側素線701と外層70a’の側素線702は同等の径であってもよい。
【0021】
図5(a)(b)は芯シェンケル7の各側ストランド7bの製作工程を示しており、一本の芯素線703の周りにこれよりも相対的に径の細い複数本(図面では6本)の側素線704を配して所定の撚りピッチで撚り合わせる第1工程により1+nからなる内層70bを作る。この内層70bの外周に外層となるべき複数本m(図面では12本)の側素線705を配して所定の撚りピッチで撚り合わせる第2工程{(1+n)+m}により側ストランド7bが得られる。この場合、第1工程と第2工程の撚り方向は同一方向であるが、前記芯ストランド7aとの関係では逆方向(たとえばS方向)とする。撚りピッチは芯ストランド7aと側ストランド7bとも同じである。
【0022】
側ストランド7bの芯素線703の径は、好ましくは芯ストランド7aの芯素線701の直径よりも相対的に小さく、たとえば、芯ストランド7aの側素線701,702と同等とする。側ストランド7bの側素線704,705の径は芯ストランド7aの側素線701,702の径よりも小さく、それにより、芯ストランド7aの直径d1を側ストランド7bの直径d2よりも適度に大きくしている。なお、「ストランドの直径」とはストランドを構成する外層の素線群の外接円を意味する。
【0023】
上記のように芯ストランド7aの直径d1を側ストランド7bの直径d2よりも大きくするのは、芯シェンケルを作ったときに、各側ストランド7b間に高分子化合物の浸透を許容する隙間を形成するためであり、その(d1−d2)/d2×100は、通常、約1.4〜6.8%である。
【0024】
上記のようにして得た1本の芯ストランド7aの周りに複数本(図面では6本)の側ストランド7bを配して撚り合わせる。この場合の撚りピッチは一般に仕上げシェンケル径の6〜9倍程度とし、撚り方向は芯ストランド7aの撚り方向と同じにする。これは製造が容易であり、工程の変動に対して型崩れが少ないからである。
以上により図6(a)のような素芯シュンケル7Pが作られる。
【0025】
本発明は、この素芯シュンケル7Pを高分子化合物にて被覆し、図6(b)のように高分子化合物被覆9を形成する。この高分子化合物は、鉄鋼との接着性がよく、耐摩耗性、耐油性、耐水性、温度特性、耐侯性、柔軟性(耐ストレスクラック性)の各特性を有していることが好ましく、代表的な高分子化合物としてはポリエチレン、ポリプロピレン、弗素樹脂などの汎用合成樹脂が挙げられるが、そのほかエンジニアリングプラスチックを使用してもよい。あるいは、ジエン系、オレフイン系、ウレタン系などのゴムであってもよい。
【0026】
前記高分子化合物被覆9の形成方法は任意であり、溶解物中に素芯シュンケル7Pを連続的に通過させてもよいし、素芯シュンケル7Pの周りに押出し機により押し出してもよい。高分子化合物被覆9は、素芯シュンケル7Pと側シェンケル8とのフレッティングを防止するとともに、繊維条体11、12を充填するために十分なスペースを確保することができるよう、被覆厚さtを設定する。
高分子化合物は各側ストランド7b,7b間の隙間を通して芯ストランド7aの表面に達することにより、緩衝性能のある膜を形成する。高分子化合物の一部90は側ストランド7bの素線間にも浸透し、また芯ストランド7aの素線間にも浸透していてもよい。
【0027】
次に、側シェンケル8の芯ストランド8aと側ストランド8bについて説明すると、側シェンケル8の芯ストランド8aは、図7(a)(b)のように、中心の芯素線800と、これよりも相対的に径の細い多数の側素線801,802から構成されており、素線径は芯シュンケル7のそれと同じでよい。
図7(a)(b)はかかる芯ストランド8aの製作工程を示しており、芯シュンケル7の場合と同様に、一本の芯素線800の周りにこれよりも相対的に径の細い複数本(図面では6本)の側素線801を配して所定の撚りピッチで撚り合わせる第1工程により1+nからなる内層80aを作り、第2工程として、内層80aの外周に外層となるべき複数本m(図面では12本)の側素線802を配して所定の撚りピッチで撚り合わせる{(1+n)+m}ことにより形成している。
この場合、第1工程と第2工程の撚り方向は同一であるが、芯シュンケル7の芯ストランド7aとは逆方向(たとえばS方向)とされる。
【0028】
図8(a)(b)は側シェンケル8の側ストランド8bの製作工程を示しており、一本の芯素線803の周りにこれよりも相対的に径の細い複数本(図面では6本)の側素線804を配して所定の撚りピッチで撚り合わせる第1工程により1+nからなる内層80bを作り、第2工程として、内層80bの外周に外層となるべき複数本m(図面では12本)の側素線805を配して所定の撚りピッチで撚り合わせる{(1+n)+m}ことにより形成している。この場合、第1工程と第2工程の撚り方向は同一方向であるが、芯ストランド8aとの関係では逆方向(たとえばZ方向)とする。撚りピッチは芯ストランド8aと側ストランド8bとも同じである。
【0029】
側ストランド8bの芯素線803の径は芯ストランド8aの芯素線800よりも適度に小さく、側ストランド8bの側素線804,805の径は同等で芯ストランド8aの側素線801,802の直径よりも小さくし、それにより、芯ストランド8aの直径d3を側ストランド8bの直径d4よりも適度に大きくしている。基本的には素線の径関係は前記芯シュンケル7の芯ストランド7aと側ストランド7bと同じでよい。
【0030】
そして、1本の芯ストランド8aの周りに複数本(図面では6本)の側ストランド8bを配し、撚り合わせる。この場合の撚りピッチは一般に仕上げシェンケル径の6〜9倍程度とし、撚り方向は芯ストランド7aの撚り方向と同じ(たとえばS方向)にする。これは製造が容易であり、工程の変動に対して型崩れが少ないからである。
以上の行程により図9のような側シュンケル8が作られる。この側シェンケル8の外径は素芯シェンケル7Pとほぼ同じでよいが、高分子化合物被覆9を設けないので、その分だけ外径が小さくなっている。
【0031】
次に、内層側繊維条体11と外層側繊維条体12について説明する。それら内層側繊維条体11と外層側繊維条体12は、高弾性率(20g/d以上)、高強度(500g/d以上)で、かつ曲げ疲労に強く、低伸度、耐摩耗性、耐候性、耐薬品性などの特性を備えた高性能繊維が好適に使用される。具体的には、パラ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、芳香族ポリエステル繊維、ポリパラフェニレンベンゾヒスオキサゾール(PBO),PBZT,PBSなどが挙げられる。また炭素繊維で代表される無機繊維であってもよい。
【0032】
内層側繊維条体11と外層側繊維条体12は、ヤーンを平行に引き揃えたもの、ヤーンを複数本集めた撚合体(ストランド)を複数本撚り合わせるかあるいは編組したものなどから選択される本体13を備えている。その本体13は、繊維のままでもよいが、通常は、潰れないようにマトリックスとして変性エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、不飽和アルキド樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸結着させることによりコンポジット化されている。さらに、本体13は外周に被覆層14を有している。被覆層14は高分子化合物による膜状の被覆が一般的であるが、場合によっては繊維による被覆たとえば編組構造であってもよい。
【0033】
膜状の被覆は耐摩耗性、耐油性、耐水性、温度特性、耐侯性、柔軟性(耐ストレスクラック性)の各特性を有していることが好ましく、代表的な高分子化合物としてはポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、弗素樹脂などの汎用合成樹脂が挙げられるが、そのほかエンジニアリングプラスチックを使用してもよい。あるいは、ジエン系、オレフイン系、ウレタン系などのゴムであってもよい。
前記高分子化合物の被覆の形成方法は任意であり、溶解物中に連続的に通過させてもよいし、周りに押出し機により押し出してもよい。
【0034】
図10(a)ないし(h)は内層側繊維条体11と外層側繊維条体12の例を示しており、(a)はヤーンを平行に引き揃えた本体13に被覆層14を設けている。(b)はストランドを3つ打ちした本体13の外周に被覆層14を設けている。(c)はストランドを7本1+6の形態に撚り合せ本体13の外周に被覆14を設けている。(d)はストランドを1×8に編組して本体13とし、外周に被覆14を設けている。(e)はストランドを2×4に編組した本体13の外周に被覆14を設けている。(f)は同じく2×6に編組した本体13の外周に被覆14を設けている。(g)は(b)や(c)のような撚り構造体を芯とし、これの周りに編組体を設け、外周に被覆14を設けている。(h)は編組体を芯とし、その周りに編組体を設け、外周に被覆14を設けている。 なお、後述する各態様において「繊維条体」の構成は上記したものを指す。
【0035】
上記のようにして得られた各要素を組み合わせ、チューブラー型撚線機を使用してロープを撚る。すなわち、被覆芯シェンケル7の周りに内層側繊維条体11を等間隔で配し、これら内層側繊維条体11の各配置隙間に各側シュンケル8を配し、各側シュンケル8の外径側の各谷間に外層側繊維条体12を配し、この状態でそれらを撚り合わせて本発明ロープとする。
この最終撚りの撚りピッチは撚り構造と素線径に応じて適宜選択するが、通常、仕上げロープ径の6〜9倍程度とし、かつ撚り方向を被覆芯シェンケル7の撚り方向と一致させて行なう。たとえばこの例ではZ方向とする。このようにして素ロープが完成する。
【0036】
素ロープは最終的に全体を高分子化合物によって被覆し、外装被覆10を形成する。この外装被覆10は、シーブとの摩擦係数の調整、素線とシーブとの金属接触の回避、側シュンケル8の側ストランド間及び素線間のフレッテイングの低減を図るためのもので、高分子化合物は耐摩耗性、耐侯性がよく、適度の弾性を持ち摩擦係数が比較的高い特性を有し、かつ加水分解しない特性であることが好ましい。その例としては、ポリウレタン系、エーテル系のポリウレタンエラストマーなどの合成樹脂、あるいはゴムが挙げられる。
【0037】
高分子化合物100は外層側繊維条体12と側シェンケル8との隙間を埋め、外層側繊維条体12と側シェンケル8との配置を固定する。また、側シェンケルの外径(外接円)から所定の厚さTの層101を形成する。外装被覆10の厚さTは、これがあまり薄いと耐久性に乏しくまた摩耗寿命も低下する。厚すぎるとロープの柔軟性が損なわれるばかりかロープ径が大きくなり、強度効率が低下するので、通常0.3〜1.0mmとすることが好ましい。外装被覆10の形成方法はたとえば押出し機を使用するなど任意である。
好ましくは、高分子化合物100は、さらに一部が内層側繊維条体11の高分子化合物被覆13と、また被覆芯シュンケル7の表面と接着される。これは、ロープを最終撚りするときに、同時に撚り口で高分子化合物を注入しながら被覆を行う方法を採用することで実現できる。
【0038】
なお、製造上は、素ロープを撚る工程で千鳥状に配置した3本程度のロール間に側シェンケル8、内層側繊維条体11および外層側繊維条体12を通過させて螺旋状の型付けを行い、ボイス通過後、ならしロールを通すことによって行われる。型付率は0.60〜0.90程度より好ましくは、0.65〜0.85で行なえばよい。ここで、型付率とは、ロープ径とロープからシェンケルを取り出したときの、シェンケルの高さの比をいう。この工程により、ロープの回転性を防止するとともにばらけを防止し、かつ側シェンケル間の隙間を均等で最適なものに調整することができる。
【0039】
〔第2態様について〕芯シェンケル+側ストランド
図11ないし図14は第2態様の複合型ロープ1の一例を示しており、芯部として被覆芯シェンケル7を用いるが、これを囲む側層としては、側シェンケルに代えて側ストランド8’を使用していることを特徴としている。
図17は全体として(7×7)+8×(3+9+15)の構造、詳しくは、繊維条体Fを加味して、{(1+6)+6×(1+6)+8×F}+8×{(3+9+15)+8×F}の構造式のストランドタイプロープからなっている。
【0040】
詳述すると、中心の高分子化合物被覆9が施された被覆芯シェンケル7と、これを囲むように配置された複数本(図面では8本)の側ストランド8’とを有し、側ストランド8'間を含む外側には全体に高分子化合物からなる外装被覆10が施され、断面が円形状をなしている。
【0041】
この態様においても、被覆芯シェンケル7と側ストランド8’で囲まれたスペース、すなわち被覆芯シェンケル7の外周において各側ストランド8’、8’の谷間に相当する各部に、複数本(この例は8本)の内層側繊維条体11を充填している。
また、前記側ストランド8’と外装被覆10がない状態でのロープ外接円に囲まれたスペースすなわち各側ストランド8’、8’の谷間に相当する各部に、複数本(この例では8本)の外層側繊維条体12を充填している。それら内層側繊維条体11と外層側繊維条体12は撚りの最終工程で各シェンケルと同時に撚り込まれている。内層側繊維条体11と外層側繊維条体12は、それぞれ外周に被覆層14を有している。
【0042】
前記被覆芯シェンケル7は、図12のように、中心の芯ストランド7aのまわりに複数本(図面では6本)の側ストランド7bを配して撚合してなり、この状態で全体に高分子化合物被覆9が施されている。
各側ストランド8’は、複層すなわちこの例では芯部(第1層)8cと、これのまわりに複数本の素線を配して撚合することにより構成した第2層8dと、該第2層8dのまわりに複数本の素線を配して撚合した第3層8eとからなっており、各側ストランド8’は個別的に高分子化合物被覆は施されていない。
【0043】
各部の構成について製作工程を加味して詳細に説明すると、芯シェンケル7の芯ストランド7aと側ストランド7bは、それぞれ所要本数たとえばこの例では7本の鋼素線を撚り合わせて構成されている。また、側ストランド8’の各層8c,8d,8eはそれぞれ複数本この例では3本と、9本と15本の鋼素線を3工程で撚り合わせることにより構成されている。
芯シェンケル7、側ストランド8’における鋼素線の径(WR)および引張り強度は第1態様の場合と同じである。
【0044】
芯シェンケル7の芯ストランド7aは、図12(a)のように、中心の芯素線700と、これと同等かあるいは相対的に径の細い複数(図面では6本)の側素線700’から構成されている。同じく芯シェンケル7の側ストランド7bは、図12(b)のように、中心の芯素線701と、これと同等かあるいは相対的に径の細い複数数の側素線701’から構成されている。かかる構成は、中心の芯素線700、701と側素線700’、701’を一括して撚り合わせることにより得られる。
前記芯ストランド7aの撚り方向と側ストランド7bの撚り方向は同じ方向たとえばS方向となっている。
【0045】
側ストランド7bの芯素線701の直径は、好ましくは芯ストランド7aの芯素線700の直径よりも相対的に小さくし、それにより、芯ストランド7aの直径d1を側ストランド7bの直径d2よりも適度に大きくする。その理由は第1態様で述べた理由と同じである。
【0046】
上記のようにして得た1本の芯ストランド7aの周りに複数本(図面では6本)の側ストランド7bを配して撚り合わせる。この場合の撚りピッチは一般に仕上げシェンケル径の6〜9倍程度とし、撚り方向は芯ストランド7aおよび側ストランド7bの撚り方向と異なる方向すなわちこの例ではZ方向とする。これは製造が容易であり、工程の変動に対して型崩れが少ないからである。
以上により図13(a)のような素芯シュンケル7Pが作られる。なお図では1つの側ストランドのみ素線を示し、他は省略している。そしてこの素芯シュンケル7Pを高分子化合物9にて被覆し、図13(b)のように被覆芯シェンケル7を形成する。高分子化合物は第1態様に述べたものと同じであり、被覆の形成方法も同様である。
【0047】
次に、側ストランド8’について説明すると、基本的には複層構造であれば構造を問わず、また製作法も問わない。図14(a)(b)(c)はかかる側ストランド8’の1本の製作工程を例示している。側ストランド8’の芯部(第1層)8cは、径が同等の複数本(図面では3本)の素線800から構成されており、それら素線径はたとえば芯シュンケル7の芯ストランド7aの素線と同等かまたは適度に小さく、側ストランド7bの素線よりも適度に大きい。第1工程としてまず図14(a)のように、そうした複数本の素線800を所定の撚りピッチで撚り合わせる。
【0048】
次いで、図14(b)のように、第2工程として、前記芯部(第1層)8cの周りに芯部素線と同等または適度に細い径の複数本(図面では9本)の側素線801を配して所定の撚りピッチで撚り合わせて第2層8dを形成する。ついで、第3工程として、第1層+第2層からなる撚合体の外周に、第2層の素線と同等かまたは適度に細い所要数(図面では15本)の素線802を配し、所定の撚りピッチで撚り合わせ、これで図14(c)に示す側ストランド8’を得る。この場合、第1工程の撚り方向と第2工程の撚り方向は同一(たとえばZ方向)であるが、第3工程の撚り方向は逆方向(たとえばS方向)とされる。
【0049】
この側ストランド8’の外径D2は被覆芯シェンケル2の外径D1よりも小さく、好ましくは、素芯シェンケル7’の外径よりも小さくする。それにより側ストランド8’,8’間に後述する外装被覆層10のための高分子化合物を浸透させることができる。
【0050】
内層側繊維条体11と外層側繊維条体12は、被覆層14の材質と形成方法を含めて前記第1態様と同様であるからその説明を援用する。外層側繊維条体12の太さは、内層側繊維条体11よりも太くし、スペースの大きさで選定する。
【0051】
そして、最後に被覆芯シェンケル7の周りに、内層側繊維条体11を等間隔で配し、これら内層側繊維条体11が谷間に位置するように側ストランド8’を複数本(図示するものでは8本)配し、それら各側ストランド8’の谷間に外層側繊維条体12を配し、チューブラー型撚線機などで所定のピッチで撚り合わせる。
この最終撚りの撚りピッチは撚り構造と素線径に応じて適宜選択するが、通常、仕上げロープ径の6〜9倍程度とし、かつ撚り方向を芯シェンケル7の撚り方向と一致させて行なう。たとえばこの例ではZ方向とする。このようにして素ロープが完成する。素ロープは最終的に全体を高分子化合物によって被覆し、外装被覆10を形成する。この外装被覆10の材質は第1態様と同様である。外装被覆10の外径、被覆厚さおよび被覆の形成方法は第1態様の場合と同様である。
【0052】
〔第3態様について〕芯ストランド+側ストランド
図15は本発明の第3態様を示している。
この第3態様は、全体がストランド構成、すなわち、側層として側ストランド8’を使用するとともに、芯部として芯シェンケル7に代わって芯ストランド7’を採用している点が特徴であり、全体として7×(3+9+15)の構造、詳しくは、(3+9+15)+6×(3+9+15)、繊維条体Fを加味して、{(3+9+15)+6×F}+6×{(3+9+15)+6×F}の構造式のストランドタイプロープからなっている。
【0053】
このロープ1は、高分子化合物で被覆が施された被覆芯ストランド7’と、これを囲むように配置された複数本(図面では6本)の側ストランド8'とを有し、側ストランド8’間を含む外側には高分子化合物からなる外装被覆10が施され、断面が円形状をなしている。
【0054】
そして、この態様でも前記被覆芯ストランド7’と側ストランド8’で囲まれたスペース、すなわち被覆芯ストランド7’の外周において各側ストランド8’、8の谷間に相当する各部に、それぞれ被覆層14を有する複数本(この例では6本)の内層側繊維条体11を充填している。
また、前記側ストランド8’と外装被覆10がない状態でのロープ外接円に囲まれた各側ストランド8’、8’の谷間に相当する各部に、それぞれ被覆層14が施されている複数本(この例では6本)の外層側繊維条体12を充填している。それら内層側繊維条体11と外層側繊維条体12は、撚りの最終工程で各シェンケルと同時に撚り込まれている。
【0055】
芯ストランド7’と側ストランド8’は、基本的には複層構造であれば構造を問わず、また製作法も問わないが、一例を挙げると、図14に示した前記第2態様における側ストランドと製作工程を含めて同じとする。
すなわち、芯ストランド7’と側ストランド8’の芯部(第1層)7c、8cは、第1工程としてまず図14(a)のように、複数本の素線800を所定の撚りピッチで撚り合わせる。
【0056】
次いで、第2工程として、前記芯部(第1層)7c、8cの周りに複数本(図面では9本)の側素線801を配し、所定の撚りピッチで撚り合わせて図14(b)のように第2層7d、8dを形成する。ついで、第3工程として、第1層+第2層からなる撚合体の外周に、所要数(図面では15本)の素線802を配し、所定の撚りピッチで撚り合わせて第3層7e、8eを形成し、これで芯ストランド7’と側ストランド8’を得る。
芯ストランド7’と側ストランド8’は、いずれも第1工程の撚り方向と第2工程の撚り方向は同一であるが、第3工程の撚り方向は逆方向とされる。ただし、芯ストランド7’と側ストランド8’は撚り方向が逆であり、たとえば芯ストランド7’がS−S−Zであれば,側ストランド8’はZ−Z−Sとされる。
【0057】
側ストランド8’の外径は外装被覆10のための高分子化合物を浸透させることができるように、被覆芯ストランド7’の外径D1よりも小さい。側ストランドは素芯ストランドの外径と同等でもよいが、小さくてもよい。
【0058】
最後に、高分子化合物で被覆された被覆芯ストランド7’の周りに、内層側繊維条体11を等間隔で配し、これら内層側繊維条体11が谷間に位置するように側ストランド8’を配し、それら各側ストランド8’の谷間に外層側繊維条体12を配し、チューブラー型撚線機などで所定のピッチで撚り合わせる。
この最終撚りの撚りピッチは撚り構造と素線径に応じて適宜選択するが、通常、仕上げロープ径の6〜9倍程度とし、かつ撚り方向を芯ストランド7’の撚り合わせ方向と一致させて行なう。たとえばこの例ではZ方向とする。このようにして素ロープが完成する。
素ロープは最終的に全体を高分子化合物によって被覆し、外装被覆10を形成する。この外装被覆10は第1態様と同様である。
【0059】
〔第4態様〕芯ストランド+素線層+繊維複合層
図16〜図23は本発明の複合ロープの第4態様を示している。
この第4態様は、撚合体としてのストランド(またはシェンケル)を層状に撚り合わせたタイプとし、鋼素線の撚合体と繊維条体15を周上で交互に配置して複合層を構成したことを特徴としている。
図17はその例として(1×37)+26+32+40+46+(4×24)+(4×30)+(4×38)の本発明ロープを示しており、詳しくは、{(1+6+12+18)+26+32+40+46}+24×(1×4、F)+30×(1×4、F)+38×(1×4、F)の構造、繊維条体Fを加味して{(1+6+12+18)+26+32+40+46}+{12×(1×4)+12×F}+{15×(1×4)+15×F}+{19×(1×4)+19×F}としている。
【0060】
ワイヤロープ1は全体の断面が円形形状をなし、芯部としての被覆芯ストランド20と、少なくとも1層の素線層30A,30Bと、最外層の素線層30Bの外周に層状に設けられた1以上の繊維複合撚合体層(図面では3層)30C,30D,30Eとを有している。
【0061】
前記被覆芯ストランド20は外周に高分子化合物被覆4を有し、素線層30A,30Bにもそれぞれ高分子化合物被覆6が施され、ストランド層30C,30Dにもそれぞれ高分子化合物被覆6が施され、最外層(ストランド層)30Eには高分子化合物からなる外装被覆6’が施されている。
【0062】
各部の構成について製作工程を加味して詳細に説明すると、図18(d)のように、被覆芯ストランド20は、複数本の素線を撚り合わせた芯部20aと、これを取り囲んで撚り合わされた第1側層20bと、この第1側層20bを取り囲んで撚り合わされた第2側層20cとを有している。芯ストランド20の製作に使用する鋼素線は既述した第1態様と同様であるから、説明は援用する。
【0063】
被覆芯ストランド20の芯部20aは、図18(a)のように1本の素線200の周りに複数本(図面では6本)の素線200’を配して撚合したもので、各素線200,200’は同径でもよい。
第1側層20bは、図18(b)のように、前記素線200,200’と同等か好ましくは適度に径の細い複数本(図面では12本)の素線201を芯部20aの周りに配し、芯部20aと同じ撚り方向(たとえばS方向)に撚り合わせたものである。
【0064】
第2側層20cは、図18(c)のように、前記第1側層20bと同等の線径の複数本(図面では18本)の素線202を第1側層20bの周りに配し、第1側層20bと同じ撚り方向(たとえばS方向)に撚り合わせたものであり、これにより、タイトな撚り構造の素芯ストランド20’が得られる。なお、この実施例では芯部20aと第1側層20bと第2側層20cを同じ撚りピッチで3工程で撚り合わせているが、撚り方向が同じなので、場合によっては、一括撚りによって得てもよい。
【0065】
次いで、前記素芯ストランド20’に高分子化合物による被覆4を施し、被覆芯ストランド20を得る。使用する高分子化合物と被覆方法は第1態様と同様であるから、説明は援用する。
高分子化合物の被覆層4は、素芯ストランド20’とその外周の後述する第1素線層30Aとのフレッティングを防止するのに十分なスペースを確保することができるよう、被覆厚さtを設定する。
高分子化合物は第2側層20cの表面を覆うとともに第2側層20cの素線202の谷間を埋め、全体として円形状の緩衝性能のある膜を形成している。
【0066】
次に、第1素線層30Aは、この例では被覆2層構造からなっている。
図19(a)(b)はこの第1素線層30Aを得る工程を示しており、まず、前記被覆芯ストランド20の周りに所要本数(図面では26本)の素線300を配し、被覆芯ストランド20の撚り方向と逆方向(たとえばZ方向)に撚り合わせて第1層30aを得る。図19(a)はこの段階を示している。
【0067】
次いで、前記第1層30aの周りに所要本数(図面では32本)の素線301を配し、第1層30aと同じ撚り方向したがって、被覆芯ストランド20の撚り方向と逆方向(たとえばZ方向)に撚り合わせて第2層30a’とする。これで素第1素線層30A’が得られる。
素線300,301の径はいずれも同等で、たとえば、素芯ストランド20’の第1側層20bや第2側層20cの素線径と同等とする。第1層30aと第2層30a’の撚りピッチは同じで、かつ素芯ストランド20’の撚りピッチよりも大きい。
【0068】
そして最後に素第1素線層30A’に高分子化合物によりフレッティング防止用の被覆層6を形成し、図19(b)の第1素線層30Aが完成する。高分子化合物は被覆芯ストランド20に用いたものと同じものが好ましく、高分子化合物は第2層30a’の外周を覆うとともに、第2層30a’の各素線301の谷間を埋め、素線の線径と本数によっては第1層30aあるいはさらに被覆芯ストランド20にも達してこれの被覆4と接合する。
【0069】
次いで、第2素線層30Bを施す。この第2素線層30Bも第1層30bと第2層30b’および高分子化合物被覆6を有する被覆2層構造からなっている。
図20はこの第2素線層30Bを得た状態を示しており、基本的な工程は前記第1素線層30Aの場合と同じである。まず、前記第1素線層30Aの周りに所要本数(図面では40本)の素線300を配し、第1素線層30Aの撚り方向と逆方向(たとえばS方向)に撚り合わせて第1層30bを得る。
【0070】
次いで、前記第1層30bの周りに所要本数(図面では46本)の素線301を配し、第1層30bと同じ撚り方向に撚り合わせて第2層30b’とし、素第2素線層を得る。
素線300,301の径はいずれも同等でよく、第1層30bと第2層30b’の撚りピッチは同じで、かつ第1素線層30Aの撚りピッチよりも大きい。
【0071】
そして素第2素線層を高分子化合物で被覆してフレッティング防止用の被覆層6を形成し、第2素線層30Bが完成する。高分子化合物は第1素線層30Aに用いたものと同じものが好ましく、高分子化合物は第2層30b’の外周を覆うとともに、第2層30b’の各素線301の谷間を埋め、素線の線径と本数によっては第1素線層30Aにも達してこれの被覆と接合する。
【0072】
次に、前記第2素線層30Bの外周に、この例では第1繊維複合撚合体層30C、第2繊維複合撚合体層30Dおよび第3繊維複合撚合体層30Eを形成しており、それら第1繊維複合撚合体層30Cと第2繊維複合撚合体層30Dはそれぞれ高分子化合物の被覆層6を有している。 撚合体はストランドでもシェンケルでもよいが、この例ではストランドが用いられているので、以下の説明ではストランドと称呼する。
【0073】
第1繊維複合撚合体層30Cは、2本以上の比較的少ない本数(たとえばn≦7)の素線302を撚り合わせた所要本数(図面では12本)のストランド30cと、各ストランド30cと同一円周上に交互に配置された所要本数(図面では12本)の第1繊維条体15からなっており、ストランド30cは、この例では4本の素線302を芯ストランド20の芯部20aなどと同じピッチで撚り合わせて構成している。
第一繊維条体15は、第1態様に説明したコンポジット繊維本体13に被覆層14を設けたものである。詳細は第1態様の説明を援用する。第一繊維条体15は被覆層14を含んだ全体の径が各撚合体30c、30d、30eと同等程度に構成されている。
【0074】
各ストランド30cの素線径は前記第,第2素線層30A,30Bにおける素線と同径または適度に細いのものが用いられ、第2素線層30Bの第1層30bや第2層30b’と同じ撚り方向(たとえばS方向)に撚り合わされている。
前記ストランド30cと第一繊維条体15は、第2素線層30Bの外周に配され、撚り方向を第2素線層30Bの撚り方向と逆方向(たとえばZ方向)にして撚り合わされ、これで素第1ストランド層が作られる。
【0075】
そして、この状態で高分子化合物で被覆してフレッティング防止用の被覆層6を形成する。高分子化合物は第2素線層30Bに用いたものと同じものが好ましく、高分子化合物は素第1ストランド層の外周を覆うとともに、各ストランド30cと繊維条体15の谷間を埋め、さらにストランド30c間と繊維条体15間のすき間を通して第2素線層30Bにも達してこれの被覆と接合する。図21はこの状態を示している。
【0076】
図22は第2繊維複合撚合体層30Dを示している。該第2繊維複合撚合体層30Dは、前記第1繊維複合撚合体層30Cの素線302と同じ直径の素線303を撚り合わせた所要本数(図面では15本)の撚合体(ストランド)30dと各ストランド30dと同一円周上に交互に配置された所要本数(図面では15本)の第二繊維条体15からなっており、ストランド30dは、この例では4本の素線303を第1ストランド層30Cのストランド30cと同じピッチでかつ撚り方向は逆方向(たとえばZ方向)にして撚り合わせて構成している。
【0077】
前記ストランド30dと第二繊維条体15は第1繊維複合ストランド層30Cの外周に配され、撚り方向を第1層30Cのそれと逆方向(たとえばS方向)にして撚り合わされ、これで素第2ストランド層が作られる。この状態で高分子化合物で被覆してフレッティング防止用の被覆層6を形成する。
【0078】
図23は第3繊維複合撚合体層(最終層)30Eを示している。この第3繊維複合撚合体層30Eは、素線304を撚り合わせた所要本数(図面では19本)の撚合体(ストランド)30eと各ストランド30eと同一円周上に交互に配置された所要本数(図面では19本)の第三繊維条体15からなっている。ストランド30eは、この例では4本の素線304を第2繊維複合撚合体層30Dのストランド30dと同じピッチでかつ撚り方向は逆方向(たとえばS方向)にして撚り合わせて構成している。
【0079】
各ストランド30eと第三繊維条体15は第2繊維複合撚合体層30Dの外周に配され、撚り方向を第1繊維複合撚合体層30Dのそれと逆方向(たとえばZ方向)にして撚り合わされ、これで素第3繊維複合撚合体層3Eが作られ、同時に素ロープ1Pが完成する。
素ロープ1Pは全体を高分子化合物によって被覆され、外装被覆層6’を形成する。この外装被覆層6’は、シーブやドラムとの摩擦係数の調整等を図るためのもので、適した高分子化合物は第1実施例に述べたとおりである。
【0080】
高分子化合物は第3層30Eを覆い、厚さTの外層被覆層6’を形成するが、それとともに各ストランド30eの谷間を埋めるが、さらに一部がストランド30e間のすき間を通して第2層30Dにも達してこれの被覆6と接合されてもよい。この外装被覆6'の材質、外径、被覆厚さおよび被覆の形成方法は第1態様の場合と同様である。
【0081】
なお、前記第1繊維複合撚合体層30C〜第3繊維複合撚合体層30Eの各層の撚り工程は、チャーブラー撚線機を使用して行なえばよく、その詳細は第1態様で説明したとおりである。
【0082】
なお、上記はあくまでも一つの例であり、これに限定されるものではない。すなわち、被覆芯ストランド20の構成は任意である。さらに、素線層30A,30Bを2層としているが、1層でもよいし、3層以上であってもよい。さらに第1繊維複合撚合体層30C〜第3繊維複合撚合体層30Eの3層としているが、第1と第2の2層としてもよいし、4層以上としてもよい。
また、この例では最終繊維複合撚合体層30Eに個別的な高分子化合物被覆を施さず、全体被覆としているが、第2層30Dなどと同じように個別的な高分子化合物被覆を施し、その上に外装被覆を施してもよい。
【0083】
〔他の態様〕
上記したものはあくまでも本発明の幾つかの例であり、他にも種々の構成を採用することができる。
第1態様ないし第3態様において、内層側繊維条体11はなくてもよい。
第1態様や第2態様などにおいて、芯シェンケルの芯ストランドまたは側ストランドの一部を鋼素線から繊維条体に代えてもよい。また、芯シェンケルそのものや側シェンケルの半数(交互)を多数の繊維条体を撚り合わせた繊維シェンケルに代えてもよい。
【0084】
第1態様において、たとえば、図24のように、ロープ構造を7×(7×12)としてもよい。このロープ構造は、詳しくは、{(1×12)+6×(1×12)}+6×{(1×12)+6×(1×12)}からなっている。
また、図25のように、7×(7×7)としてもよい。構造式は、{(1+6)+6×(1+6)}+6×{(1+6)+6×(1+6)}からなっている。
【0085】
さらに、それ以外に種々の構造のものを含む。その例を挙げると次のとおりである。
▲1▼(7×12)+13×12+20×12+27×12
▲2▼{7×(3+9)}+13×(3+9)+20×(3+9)+27×(3+9)
▲3▼(7×19)+13×19+20×19+27×19
▲4▼(7×27)+13×27
▲5▼{7×(3+9+15)}+13×(3+9+15)
▲6▼(7×27)+13×27+20×27
▲7▼{7×(3+9+15)}+13×(3+9+15)+20×(3+9+15)
【0086】
また第2態様において、図26のようにロープ構造を(7×19)+10×(1+6+12+18)、詳しくは、繊維条体Fを加味して{(1+6+12)+6×(1+6+12)+10×F}+10×(1+6+12+18)+10×Fからなっている。
さらに、芯シェンケルの構成および側ストランドの構成は、実施例のもののほか、(1+6)+6×(1+6)+8×(1+6+12)などを含む。
【0087】
さらに、芯シェンケルや側ストランドの撚り形式は、多層撚り、平行撚り(各層同一撚りピッチ)のいずれも含んでいる。
多層撚りの例をあげると、次のとおりである。
▲1▼{(1+6)+6×(1+6)}+8×(3+9+15)
▲2▼(1+6+12)+6×{(1+6+12)}+10×{(1+6+12+18)
▲3▼{(1+6)+6×(1+6)}+8×(1+6+12)
▲4▼(1+6+12)+6×(1+6+12)
▲5▼(1+6+12+18)+6×(1+6+12+18)
【0088】
平行撚りの例を挙げると、次のとおりである。
▲1▼{(1+6)+6×(1+6)}+8×(27)
▲2▼{(1+6+12)+6×{(1+6+12)}+10×(37)
▲3▼{(1×19)+6×(19)}+10×(37)
▲4▼{(1+6)+6×(1+6)}+8×(19)
▲5▼(1×19)+6×(19)
▲6▼(1×37)+6×(37)
▲7▼{(1+6)+6×(1+6)}×6or8{S(19),W(19),Fi(25)}
このような平行撚り形式とした場合、内外層の素線が互いに相接して線接触の状態となり、ストランドの締りがよいため形崩れを起しにくく、またストランドの内部摩耗が少なく、さらに素線間の空隙が少なく有効断面積が大きくなるので、切断荷重が大となる利点がある。
【0089】
第4態様の多層ストランドタイプにおいて、多層構造および繊維条体の使用形態は必ずしも図17に示す例に限られない。
すなわち、図27〜図33のように芯シェンケルと多層ストランドから構成し、それら芯シェンケルと多層ストランドを構成している各ストランドの谷間に繊維条体15を配して撚り合わせてもよい。
【0090】
図28は第4態様の多層ストランドタイプロープ1の他の例を示しており、全体として(7×7)+12×7+19×7+26×7の構造、詳しくは、{(1+6)+6×(1+6)}+12×(1+6)+19×(1+6)26×(1+6)の層状繊維複合ロープからなっている。
このロープ1は芯部としての被覆芯シェンケル2と、側層としての複数の撚合体層(図面では3層)3A,3B,3Cとを有している。
しかも前記被覆芯シェンケル2と各撚合体層3A,3B,3Cには複数本の繊維条体15が配置され、各撚合体層3A,3B,3Cには繊維条体15を内包するようにそれぞれ高分子化合物からなる被覆6,6,6が施されている。最外層には高分子化合物からなる外装被覆6’が施されている。
【0091】
前記被覆芯シェンケル2は、図30(b)のように、中心の芯ストランド2aのまわりに複数本(図面では6本)の側ストランド2bを配し、かつ側ストランド2bの外接円の内側で側ストランド2b、2b間に繊維条体15を配して撚合してなり、この状態で全体に高分子化合物被覆4が施されている。
側の各撚合体層3A,3B,3Cは、それぞれ2本以上の鋼素線を撚り合わせた撚合体3a,3b,3cを複数本(この例では12本と、19本と、26本)を配列し、かつそれぞれ外接円内の各撚合体3a,3b,3c間に繊維条体15を配して撚り合わせ、この状態でそれぞれ高分子化合物被覆6,6,6を施してなる。撚合体はストランドでもシェンケルでもよい。この例ではストランドを用いているため、以下ストランドと称呼する。
【0092】
各部の構成詳細に説明すると、被覆芯シェンケル2の芯ストランド2aは、図29(a)のように中心の芯素線200と、これと同等かあるいは相対的に径の細い多数の側素線200’から構成されている。同じく芯シェンケル2の側ストランド2bは、図29(b)のように、中心の芯素線201と、これと同等かあるいは相対的に径の細い多数の側素線201’から構成されている。かかる構成は、中心の芯素線200,201と側素線200’,201’を一括して撚り合わせることにより得られる。
前記芯ストランド2aの撚り方向と側ストランド2bの撚り方向は逆方向たとえば芯ストランド2aがZ方向であれば、側ストランド2bはS方向となっている。
【0093】
上記のようにして得た1本の芯ストランド2aの周りに図30(a)のように、複数本(図面では6本)の側ストランド2bと複数本の繊維条体15(図面では6本)を配して撚り合わせる。この場合の撚りピッチは一般に仕上げシェンケル径の6〜9倍程度とし、撚り方向は芯ストランド2aの撚り方向と同じ方向すなわちこの例ではZ方向とする。これは製造が容易であり、工程の変動に対して型崩れが少ないからである。
以上により図30(a)のような素芯シュンケル2’が作られる。そして、この素芯シュンケル2’を高分子化合物4にて被覆し、図30(b)のように高分子化合物より被覆された被覆芯シェンケル2を形成する。
【0094】
次に、側の撚合体層(この例ではストランド層)3A,3B,3Cは図31ないし図33に製作工程を例示しており、第1ストランド層3Aの各ストランド3aは、径が同等の複数本(図面では7本)の素線301,301’から構成されており、それら素線径は芯シュンケル2の側ストランド2bの素線と同等かまたは適度に小さい。
第1工程として、図29(b)と同じように、芯に1本の素線301を配し、その周りに複数本(図面では6本)の素線301’を配し、所定の撚りピッチで撚り合わせる。撚り方向は芯シェンケル2の側ストランド2bとは逆方向(たとえばZ方向)である。
【0095】
次いで、第2工程として、前記各ストランド3aを前記被覆芯シェンケル2の周りに配し、その素各ストランド3aの谷間に繊維条体15を配し、それらを芯シェンケル2’の撚り方向と逆方向(たとえばS方向)に撚り合わせる。この状態が図31(a)である。これで素第1ストランド層3A’が得られる。次いで、この素第1ストランド層3A’に高分子化合物を被覆し、第1ストランド層3Aを得る。これが図31(b)の状態である。
高分子化合物6は素第1ストランド層3A’の外周を覆うほか、各ストランド3a,3aと繊維条体15のすき間を埋め、好ましくは各ストランド3a,3aのすき間から内部に浸透し、芯シェンケル2の被覆と接合し、一体化される。
【0096】
次いで、第2ストランド層3Bを形成する。この工程は、第1ストランド層3Aの場合と同じように、第1工程として所要数(この例では19本)のストランド3bを作る。
このストランド3bは径が同等の複数本(図面では7本)の素線301,301’から構成されており、それら素線径は芯シュンケル2の側ストランド2bの素線と同等かまたは適度に小さい。撚り方向はストランド層3Aのストランド3aと逆、したがって、第1芯シェンケル2の側ストランド2bと同じ方向(S方向)とする。
【0097】
次いで、得られた所要本数のストランド3bを第1ストランド層3Aの外周に配し、各ストランド3b間の谷間に繊維条体15を配して撚合する。このときの撚り方向は第1ストランド層3Aの撚り方向と逆方向(Z方向)とする。これで素第2ストランド層が得られるので、次いでこの素第2ストランド層に高分子化合物を被覆し、第2ストランド層3Bを得る。これが図32の状態である。
【0098】
次いで、第3ストランド層3C(実施例では最外層)を形成する。この工程は、第1工程として所要数(この例では26本)のストランド3cを作る。このストランド3cは径が同等の複数本(図面では7本)の素線301,301’から構成されており、それら素線径は芯シュンケル2の側ストランド2bの素線と同等かまたは適度に小さい。撚り方向は第2ストランド層3Bのストランド3bと逆、したがって、第1ストランド層3Aのストランド3aと同じ方向(Z方向)とする。
【0099】
前記所要数のストランド3cを第2ストランド層3Bの外周に配し、ストランド3cの各谷間に繊維条体15を配して撚合する。このときの撚り方向は第2ストランド層3Bの撚り方向と逆方向(S方向)とする。これで素第3ストランド層が得られる。次いで、この素第3ストランド層に高分子化合物を被覆し、第3ストランド層3Cを得る。これが図33の状態であり、素ロープ1’が完成する。素ロープ1’は最終的に全体を高分子化合物によって被覆し、外装被覆層6’を形成する。
【00100】
なお、第1ストランド層3A〜第2ストランド層3Cの3層である場合のほか、2層あるいは4層以上としてもよく、各ストランド層を構成するストランドの素線数も7本に限らず、3本,4本などとしてもよい。
また、最外層ストランド3Cの被覆を個別被覆6と外装被覆6’の二重としているが、一重の全体被覆としてもよい。
【0101】
第4態様のロープはそのほか種々の構造のものを含む。その例を挙げると次のとおりである。
▲1▼(7×12)+13×12+20×12+27×12
▲2▼{7×(3+9)}+13×(3+9)+20×(3+9)+27×(3+9)
▲3▼(7×19)+13×19+20×19+27×19
▲4▼(7×27)+13×27
▲5▼{7×(3+9+15)}+13×(3+9+15)
▲6▼(7×27)+13×27+20×27
▲7▼{7×(3+9+15)}+13×(3+9+15)+20×(3+9+15)
【0102】
【作用】
〔各態様共通〕
本発明の複合型ワイヤロープは、伸びが4〜6%と少ないためエレベータ用や荷役用として適切である。可撓性は従来の繊維芯タイプが600〜700であるのに対して、1000〜1800であるため曲げやすい。弾性係数は従来の繊維芯タイプが40000〜60000N/mmであるのに対して、74000N/mm以上であり、これもエレベータ用や荷役用として好適な特性である。S曲げ疲労試験においては、D/d=20、SF=10すなわち計算破断荷重の1/10の荷重でのテストの条件で従来の繊維芯タイプが20000〜40000回であるが、本発明ロープは400000回を越えるきわめて高い耐疲労性を示す。
また、直径が小さな高強度鋼線材からなる素線を多数本撚り込み、こらと繊維条体との複合構造としているので、繊維ロープで製作されたロープと異なり、鋭い刃物などで簡単に切れず、せん断力やせん断傷で簡単に断線することがなく、安全である。
【0103】
〔第1態様について〕
ロープは、直径が小さな高強度鋼線材からなる素線を多数本撚り込むことにより芯シュンケル7と側シェンケル8を構成しているので、要求強度を実現できつつロープの径を細くして軽量化することができる。
さらに良好な疲労性を実現し得るため、シーブの径を小さくすることができる。すなわちたとえば被覆も含めてロープ重量を従来比で20%以上軽くすることができるため、シーブの径SDを従来比の50%以下とすることができる。また、シーブの小型化によりこれを駆動するモーター類のトルクを小さくすることができるので、寸法を小さくすることができる。またロープを軽量化することができるので、モーター類の容量も小さいものにすることができる。クレーンに使用した場合には、クレーンを小型化することができる。
【0104】
しかも、芯シェンケル7と側シェンケル8に囲まれたスペースに高分子化合物で外周を被覆した内層側繊維条体11を配するとともに、側シェンケル8とロープ外接円で囲まれたスペースに、高分子化合物で外周を被覆した外層側繊維条体12を配し、それら内層側繊維条体11と外層側繊維条体12を撚りの最終工程で芯シェンケル7と側シェンケル8に撚り込んでいるため、側シェンケル8、8の配置が安定し、偏りが生ずることがなく、かつ、ロープ径を増すことなくロープ単位面積あたりの強度を向上することができ、同時に強度はそのままでロープ単位長さあたりの重量を軽減することができる。
【0105】
芯シェンケル7と側シェンケル8は、撚り方向が逆であることを除いて同じ仕様のもので足りるのでコスト的に有利である。すなわち、芯シュンケル7のみに高分子化合物被覆9を施して外径を増径することにより、側シェンケル相互間に隙間を形成することができ、また、全体被覆をするときに前記側シェンケル相互間の隙間から高分子化合物が内部に入りやすくなる。そして、芯シュンケル7の径を変えることなく被覆径すなわち高分子化合物被覆9の厚さを変えてやるだけで、側シェンケル相互間の隙間寸法を容易にコントロールすることができる。
【0106】
芯シュンケル7が高分子化合物被覆9を有し、その高分子化合物被覆9の周りに側シェンケル8を配し、しかもさらに、芯シェンケル7と側シェンケル8に囲まれたスペースに高分子化合物で外周を被覆した内層側繊維条体11を配するとともに、側シェンケル8とロープ外接円で囲まれたスペースに高分子化合物で外周を被覆した外層側繊維条体12を配しているので、各側シェンケル8、8間の金属接触を防止することができ、これにより疲労性を向上し、ロープ寿命を向上させることができる。
【0107】
また、芯シュンケル7が高分子化合物被覆9の分だけ増径されることで側シェンケル8,8間に全体被覆層10の高分子化合物が浸透充填しやすい隙間を形成することができるが、その全体被覆層10の高分子化合物が側シェンケル8,8間に充填不十分の場合でも、高分子化合物被覆されている内層側繊維条体11と外層側繊維条体12により側シェンケル8,8同士の直接的な金属接触を防止することができる。したがって、全体被覆10の形成を厳密に行わなくてもよくなり、工程が楽になる。
【0108】
また、外装被覆10によりロープ表面を被覆しており、外装被覆層はシーブ4よりも硬さが小さいため、シーブの摩耗を防止することができ、また、高分子化合物の選択により自由に摩擦係数を制御することができ、シーブの溝は丸溝で足りることになるので、コストを低減することができる。それでいてモータの回転によるシーブの回転運動をロープに正確に伝えて、シーブの回転運動とかごの上下運動をよく連動させ、かごの正確な位置制御を行なえるので、乗り心地をよくすることができる。またロープ断面が円形状となるため、自転やねじれの影響(片荷重による部分断線)が軽減される。
さらに、無給油とすることができるので、その手間が省けるとともにドラムやシーブに油が付着したり、周辺に飛散することがなくなるので機械室やクレーンなどの機械を清潔にすることができる。
【0109】
〔第2態様について〕
第2態様の基本的な作用は前記第1態様と同様であり、側シェンケルを側ストランドと読み替えることで援用し、特有の作用を述べることにする。
第2態様は、側ストランド8’を用いたストランド形であるため、使用するストランド数が多くなるので、ロープの断面形状をより丸いものとすることができる。それにより、出来上がったロープの使用時に、側ストランドとシーブ間に介在する外装被覆10にかかる面圧を緩和することができる。その結果、外装被覆10とこれを有するロープの長寿命化を実現できるとともに、外装被覆10の変形が少なくなるため、エレベータに適用した場合に振動を減少することができる。
【0110】
第1態様のケーブルレイド形のロープよりも鋼材断面密度を高くすることができるので、ロープ径が小さくてもケーブルレイド形ロープと同一強度を得ることができ、これにより、ロープを巻収するドラムを小さくすることができ、ハンドリング性がよくなる。また、外装被覆を同じ厚さにした場合にも高分子化合物の量を少なくすることができ、コストを削減できる。ロープを同一寿命に設定した場合、シーブ径の小型化と動力系の小型化を図ることができる。
【0111】
また、側ストランド8’をフライヤー数の多い撚線機で一度に撚ることができるので、撚り線工程を減少させることができる。
ケーブルレイド形側シェンケルの場合のように複数本のストランドを作り、それらさらに撚り合わせるのでないため、各ストランドのフレッティングを減少させることができ、これにより摩耗による寿命低下を改善することができる。ことに平行撚りあるいはこれに準ずるものととすることによりフレッティングをさらに減じて寿命を伸ばすことができる。
【0112】
第3態様は、芯構造もストランド7’からなり、芯ストランド7'と側ストランド8’が撚り方向を異にした同じ構造でよいので、シンプルで、製造工程が短縮され、コストが低減される。
【0113】
第4態様の図17の例においては、中心の撚り芯体が芯ストランド20からなっていて高分子化合物被覆4を有し、その高分子化合物被覆4の周りに高分子化合物の被覆6を有する第1素線層30A、さらに高分子化合物の被覆6を有する第2素線層30Bを配し、それの外周にそれぞれが高分子化合物の被覆6を有する撚合体層30C,30D,30Eを配しているため、各層ごとがメタルタッチせず、かつまた、各撚合体層30C,30D,30Eの各撚合体30c、30d、30e間に、高分子化合物などで被覆された繊維条体15が交互に配されているので、撚合体相互が金属接触せず、これらによりフレッティングが防止されるので、ロープ寿命を向上させることができる。また、外装被覆層6によりロープ表面を被覆しているので、ロープがシーブやドラムと金属接触せず、両者の摩耗が低減され、これによってもロープやシーブやドラムの長寿命化を図ることができる。
【0114】
第4態様の図27の例によれば、芯シュンケル2が高分子化合物被覆4を有し、その高分子化合物被覆4の周りに高分子化合物の被覆6を有する第1撚合体層3Aを配し、この第1撚合体層3Aの外周に同じく高分子化合物の被覆6を有する第2撚合体層3Bを配し、その外周に同じく高分子化合物の被覆6を有する第3撚合体層3Cを配しているので、各層ごとがメタルタッチせず、また、各撚合体層の各撚合体の谷間に高分子化合物などで被覆された繊維条体15が配されているので、各撚合体相互の金属接触も防止され、これらによりフレッティングが防止され、ロープ寿命を向上させることができる。さらに、外装被覆層6’によりロープ表面を被覆しているので、ロープがシーブやドラムと金属接触せず、両者の摩耗が低減され、これによってもロープやシーブやドラムの長寿命化を図ることができる。
【0115】
前記いずれの例とも素線や素線本数の少ないストランドを層状に撚り合わせているので、そうした素線や素線本数の少ないストランドの層数の増減あるいはストランドを構成する素線数の選択により、所望の径と強度を持つ長寿命のロープを自在に作ることができる。
【0116】
また、図27の例においては、使用する素線の径として2種類程度で足り、芯シェンケル2の側ストランド2bと第2撚合体層3Bの撚合体として同じ仕様(撚り方向、撚りピッチ)のものを、また第1撚合体層3Aと第3撚合体層の撚合体として同じ仕様(撚り方向、撚りピッチ)のものを使用することができるので、製造工程が短縮され、製造コストを安くすることができる。
【0117】
図17の例においても、同様に使用する素線の径として2種類程度で足り、かつ、第1撚合体層30Cと第3撚合体層30Eの撚合体として同じ仕様(撚り方向、撚りピッチ)のものを使用することができるので、製造コストを安くすることができる。
また、交互に撚り方向を変えてゆくことにより回転性の極めて小さいロープとすることができる。これにより、使用時に、シーブ上での回転が少なくなるので、シーブおよびロープの回転方向の摩耗を低減することができる。また、回転によるストランドと被覆材の高分子化合物の間のせん断応力を低減することができるため、高分子化合物の摩耗や劣化を抑えることができる。また、クレーンロープに適用した場合、吊り荷の回転を抑えることができる。
【0118】
【実施例】
実施例1
第1態様のロープを製作した。
(1)素線
原料として直径5.5mmの高炭素鋼線材(C:0.82%、Si:0.21%、Mn:0.48%残部鉄及び不可避的不純物)を用いた。
この鋼線材を次の工程で伸線して素線を得た。
酸洗い後、10回の冷間伸線を行って線径2.0mmとし、これを980℃程度で空気パテインティングし、酸洗い後、6パス程度の冷間伸線を行って線径1.2mmとし、980℃程度で加熱後、550℃程度で鉛パテンティングを行い、酸洗い、湯洗い後に電気亜鉛めっきを施し、水性タイプ潤滑剤を使用して20パス程度の湿式伸線を行い、最終径0.20mm〜0.21mmの素線を得た。各素線の特性は引張り強さ320kg/mm、破断時伸び2%であった。
【0119】
(2)芯シェンケルの製作
2−1)芯シェンケルの芯ストランドの製作工程
第1工程:1+6
径0.208mmの芯素線1本と、径0.205mmの6本の側素線を、撚りピッチ6.3mmにてZ方向に撚り合せ、外径0.62mmの内層を作った。
第2工程:(1+6)+12
前記内層(1+6)の周りに外層用の径0.205mmの側素線12本を配し、撚りピッチ10mmでZ方向で撚り合せ、外径1.03mmの芯ストランドを得た。
【0120】
2−2)芯シェンケルの側ストランドの製作工程
第1工程:1+6
径0.205mmの芯素線1本と、径0.202mmの6本の側素線を、撚りピッチ6.3mmでS方向に撚り合せ、外径0.61mmの内層を得た。
第2工程:(1+6)+12
内層(1+6)の周りに、径0.202mmの12本の側素線を配し、撚りピッチ10.00mmでS方向に撚合せ、外径1.01mmの側ストランドを得た。
【0121】
2−3)芯シェンケル撚り工程{(1+6)+12}+6×{(1+6)+12} 前記1本の芯シェンケル芯ストランド(径1.03mm)の回りに、6本の芯シェンケル側ストランド(径1.01mm)を配し、撚りピッチ22.00mmでZ方向に撚り合せ、外径3.04mmの芯シェンケルを得た。
【0122】
(3)芯シェンケルの被覆
溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出し、前記芯シェンケル(径3.04mm)に0.30mmの厚さで被覆し、仕上げ径3.64mmの樹脂被覆芯シェンケルを得た。
【0123】
(4)側シェンケルの製作
4−1)側シェンケルの芯ストランドの製作工程
第1工程:1+6
径0.208mmの1本芯素線の周りに径0.205mmの6本の側素線を配し、撚りピッチ6.3mmでS方向に撚り合わせ、外径0.62mmの内層を得た。
第2工程:(1+6)+12
前記内層に、径0.205mmの12本の側素線を配し、撚りピッチ10mmでS方向で撚り合せ、外径1.03mmの芯ストランドを得た。
【0124】
4−2)側シェンケルの側ストランドの製作工程
第1工程:1+6
径0.205mmの芯素線の周りに径0.202mmの側素線を6本配し、撚りピッチ6.3mmでZ方向に撚り合わせて外径0.61mmの内層を得た。
第2工程:(1+6)+12
内層に対して、径0.202mmの側素線を12本配し、撚りピッチ10.00mmでZ方向に撚り合せ、外径1.01mmの側ストランドを得た。
【0125】
4−3)側シェンケルの撚り工程{(1+6)+12}+6×{(1+6)+12}
1本の芯シェンケル芯ストランド(径1.03mm)の回りに、6本の芯シェンケル側ストランド(径1.01mm)を配し、ピッチ22.0mmでS方向で撚り合せ、外径3.04mmの側シェンケルを得た。
【0126】
(5)繊維インサートの製作
5−1)内層側繊維条体の製作工程
パラ系アラミド繊維を使用し、これを図10(a)に示す構造とし,変性エポキシ樹脂によりコンポジット化し、外径0.49mmの本体を得た。この本体に溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出して、0.05mmの厚さで被覆し、仕上げ径0.59mmの樹脂被覆繊維条体を得た。
【0127】
5―2)外層側繊維条体の製作工程
同じくパラ系アラミド繊維を使用し、これを図10(a)に示す構造とし,変性エポキシ樹脂によりコンポジット化し、外径1.01mmの本体を得た。この本体に溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出して、0.1mmの厚さで被覆し、仕上げ径1.21mmの樹脂被覆繊維条体を得た。
【0128】
(6)ロープ撚り工程
チューブラー型撚線機を使用し、前記被覆芯シェンケルの周りに、被覆内層側繊維条体を等間隔で6本配し、それら被覆内層側繊維条体の各間隔内に側シェンケルを6本配し、それら側シェンケルの谷間に被覆外層側繊維条体を6本配し、撚りピッチ70.0mm、撚り方向Zにて撚り合せ、外径径9.73mmの素ロープを得た。
【0129】
(7)型付けおよびならし
撚線機に直径が10.0mmの3本のロールを千鳥状に配置した型付装置を配し、ボイスの下流に直径が60mmの上下で対をなす9+10組のならしロールを配しておき、型付率平均70%程度の型付けとならしを行なった。
【0130】
(8)全体被覆
型付けおよびならしを施した素ロープに溶融ポリウレタンをエクスチュルーダにて0.50mmの厚さに被覆し、径10.73mmの仕上げロープを得た。得られたロープの鋼材断面密度は33.2%(鋼材+繊維は39.8%)表面の摩擦係数は0.3μ、破断荷重は69kNであった。
比較のため、被覆内層側繊維条体と被覆外層側繊維条体を使用しないほかは前記仕様としたロープを製作したところ、破断荷重は63kNであり、本発明はこれに比べて大幅に強度が向上されたことがわかった。
【0131】
本発明ロープ3本を、かごとカウンターウエイトの重量2tonの模擬エレベータに使用したところ、径150mm、溝3個で溝R5.25mmの丸溝付きシーブを使用して、安全率10で円滑に運転することができた。
【0132】
実施例2
本発明を適用して第2態様のロープを製作した。
素線条件は、二次伸線工程で4パス程度の冷間伸線を行って線径を2.0mmから1.65mmにし、最終伸線で0.290〜0.310mmにするほか第1実施例と同じである。
【0133】
(1)芯シェンケルの製作
1−1)芯シェンケルの芯ストランドの製作工程
第1工程:1+6
径0.310mmの芯素線1本と、径0.310mmの6本の側素線を、撚りピッチ15.0mmにてS方向に撚り合せ、外径0.93mmの芯ストランドを作った。
【0134】
1−2)芯シェンケルの側ストランドの製作工程
第1工程:1+6
径0.290mmの芯素線1本と、径0.290mmの6本の側素線を、撚りピッチ15.0mmでS方向に撚り合せ、外径0.87mmの側ストランドを得た。
【0135】
1−3)芯シェンケル撚り工程(1×12)+6×(1×12)
1本の芯シェンケル芯ストランドの周りに6本の芯シェンケル側ストランドを配し、撚りピッチ22.0mmでZ方向に撚り合せ、外径2.67mmの芯シェンケルを得た。
【0136】
(2)芯シェンケルの被覆
溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出し、前記芯シェンケルに0.30mmの厚さで被覆し、仕上げ径3.27mmの樹脂被覆芯シェンケルを得た。
【0137】
(3)側ストランドの製作
3−1)第1工程:1×3
径0.300mmの3本の素線を撚りピッチ8.0mmでZ方向に撚り合わせ、外径0.65mmの芯部(第1層)を得た。
3−2)第2工程:第1層+第2層
前記第1層の周りに、径0.300mmの9本の素線を配し、撚りピッチ16.0mmでZ方向に撚り合せ、外径1.25mmの複層撚合体を得た。
【0138】
3−3)第3工程:第1層+第2層+第3層
前記第2層の周りに径0.300mmの素線を15本配し、撚りピッチ22.0mmでS方向に撚り合わせ、径1.85mmの側ストランドを得た。
【0139】
(4)繊維インサートの製作
4−1)内層側繊維条体の製作工程
パラ系アラミド繊維を使用し、これを図10の(a)に示す構造とし,変性エポキシ樹脂によりコンポジット化し、外径0.32mmの本体を得た。この本体に溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出して、0.05mmの厚さで被覆し、仕上げ径0.42mmの樹脂被覆繊維条体を得た。
【0140】
5―2)外層側繊維条体の製作工程
同じくパラ系アラミド繊維を使用し、これを図10(a)に示す構造とし,変性エポキシ樹脂によりコンポジット化し、外径0.54mmの本体を得た。この本体に溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出して、0.1mmの厚さで被覆し、仕上げ径0.72mmの樹脂被覆繊維条体を得た。
【0141】
(5)ロープ撚り工程
チューブラー型撚線機を使用し、前記被覆芯シェンケルの周りに、被覆内層側繊維条体を等間隔で8本配し、それら被覆内層側繊維条体の各間隔内に側ストランドを8本配し、それら側ストランドの谷間に被覆外層側繊維条体を8本配し、撚りピッチ50mm、撚り方向Zにて撚り合せ、外径6.97mmの素ロープを得た。なお、型付けおよびならしは、直径8.0mmの3ロールと直径50mmのならしロールを使用し、第1実施例と同じ条件で行った。
【0142】
(6)全体被覆
型付けおよびならしを施した素ロープに溶融ポリウレタンをエクスチュルーダにて0.50mmの厚さに被覆し、径7.97mmの仕上げロープを得た。得られたロープの鋼材断面密度は37.2%(鋼材+繊維は42.2%)、表面の摩擦係数は0.3μ、破断荷重は43kNであった。
比較のため、被覆内層側繊維条体と被覆外層側繊維条体を使用しないほかは同じ仕様としたロープを製作したところ、破断荷重は40kNであり、本発明はこれに比べて大幅に強度が向上されたことがわかった。
【0143】
本発明ロープ3本を、かごとカウンターウエイトの重量2tonの模擬エレベータに使用したところ、径150mm、溝3個で溝R5.25mmの丸溝付きシーブを使用して、安全率10で円滑に運転することができた。
【0144】
実施例3
本発明を適用して第4態様の(1×37)+26+32+40+46+(4×24)+(4×30)+(4×38)構造の動索用ロープを製作した。
素線条件は、二次伸線工程で5パス程度の冷間伸線を行って線径を2.0mmから1.40mmにし、20パス程度の最終伸線で0.250〜0.260mmにするほか第1実施例と同じである。
【0145】
(1)被覆芯ストランドの製作
1−1)第1工程:1+6(芯部)
径0.260mmの芯素線1本と、径0.260mmの6本の側素線を、撚りピッチ12.5mmにてS方向に撚り合せ、外径0.78mmの芯部を作った。
1−2)第2工程:(1+6)+12−第1側層
前記芯部(1+6)の周りに径0.250mmの側素線12本を配し、撚りピッチ12.5mmでS方向で撚り合せ、外径1.28mmの第1側層を得た。
【0146】
1−3)第3工程:第1側層+18−第2側層
前記第1側層の周りに径0.250mmの側素線18本を配し、撚りピッチ12.5mmでS方向で撚り合せ、外径1.78mmの第2側層を得た。
1−4)被覆工程
溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出し、前記第3側層に0.25mmの厚さで被覆し、仕上げ径2.28mmの被覆芯ストランドを得た。
【0147】
(2)第1素線層の製作
2−1)第1工程:被覆芯ストランド+26 −第1層
被覆芯ストランドの周りに径0.250の素線を26本配し、撚りピッチ22.0mmでZ方向に撚り合わせ、外径2.78mmの第1層を得た。
2−2)第2工程:第1層+32 −第2層
第1層の周りに径0.250mmの素線を32本配し、撚りピッチ22.0mmでZ方向に撚り合わせ、外径3.28mmの第2層(素第1素線層)を得た。
2−3)被覆工程
溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出し、前記第2層に0.25mmの厚さで被覆し、仕上げ径3.78mmの被覆第1素線層を得た。
【0148】
(3)第2素線層の製作
3−1)第1工程:被覆第1素線層+40 −第1層
被覆第1素線層の周りに径0.250の素線を40本配し、撚りピッチ32.0mmでS方向に撚り合わせ、外径4.28mmの第1層を得た。
3−2)第2工程:第1層+46 −第2層
第1層の周りに径0.250mmの素線を46本配し、撚りピッチ32.0mmでS方向に撚り合わせ、外径4.78mmの第2層(素第2素線層)を得た。
3−3)被覆工程
溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出し、前記第2層に0.25mmの厚さで被覆し、仕上げ径5.28mmの被覆第2素線層を得た。
【0149】
(4)第1繊維複合ストランド層の製作
4−1)ストランド製作工程:1×4
径0.250mmの4本の素線を撚りピッチ12.5mm、撚り方向S方向に撚り合わせ、外径0.60mmのストランドを得た。
4−2)繊維インサートの製作工程
パラ系アラミド繊維を使用し、これを図10(a)に示す構造とし,変性エポキシ樹脂によりコンポジット化し、外径0.50mmの本体を得た。この本体に溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出して、0.05mmの厚さで被覆し、仕上げ径0.60mmの樹脂被覆繊維条体を得た。
【0150】
4−3)撚り工程:
4−1)の工程で得たストランドを被覆第2素線層の周りに12本配し、各ストランドの間に樹脂被覆繊維条体(12本)を配し、撚りピッチ45.0mm、撚り方向Z方向にて撚り合わせ、外径6.48mmの素第1ストランド層を得た。
4−4)被覆工程:
溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出し、前記素第1ストランド層に0.25mmの厚さで被覆し、仕上げ径6.98mmの被覆繊維複合第1ストランド層を得た。
【0151】
(5)第2ストランド層の製作
5−1)ストランド製作工程:1×4
径0.250mmの4本の素線を撚りピッチ12.5mm、撚り方向Z方向に撚り合わせ、外径0.60mmのストランドを得た。
5−2)繊維インサートの製作工程
パラ系アラミド繊維を使用し、これを図10(a)に示す構造とし,変性エポキシ樹脂によりコンポジット化し、外径0.50mmの本体を得た。この本体に溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出して、0.05mmの厚さで被覆し、仕上げ径0.60mmの樹脂被覆繊維条体を得た。
【0152】
5−3)撚り工程
5−1)の工程で得たストランドを、被覆第1ストランド層の周りに15本配し、各ストランドの間に樹脂被覆繊維条体(15本)を配し、撚りピッチ58.0mm、撚り方向S方向にて撚り合わせ、外径8.18mmの素第2ストランド層を得た。
5−3)被覆工程:
溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出し、前記素第2ストランド層に0.25mmの厚さで被覆し、仕上げ径8.68mmの被覆第2ストランド層を得た。
【0153】
(6)第3ストランド層の製作
6−1)ストランド製作工程:1×4
径0.250mmの4本の素線を撚りピッチ12.5mm、撚り方向S方向に撚り合わせ、外径0.60mmのストランドを得た。
6−2)繊維インサートの製作工程
パラ系アラミド繊維を使用し、これを図10(a)に示す構造とし,変性エポキシ樹脂によりコンポジット化し、外径0.50mmの本体を得た。この本体に溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出して、0.05mmの厚さで被覆し、仕上げ径0.60mmの樹脂被覆繊維条体を得た。
6−3)撚り工程
6−1)の工程で得たストランドを被覆第2ストランド層の周りに19本配し、各ストランドの間に樹脂被覆繊維条体(19本)を配し、撚りピッチ70.0mm、撚り方向Z方向にて撚り合わせ、外径9.88mmの素第3ストランド層を得た。
【0154】
なお、前記各層の撚り線作業は、チューブラー型撚線機を使用し、型付装置として直径8.0mmの千鳥配置3ロールを使用し、整直ロールとして直径50mmで9+10組のならしロールを使用し、型付率平均70%前後の型付けとならしを行なった。
【0155】
(7)外装被覆工程
素第3ストランド層に溶融ポリウレタンをエクスチュルーダにて0.50mmの厚さに被覆し、径10.88mmの仕上げロープを得た。得られたロープの鋼材断面密度は29.0%(鋼材+繊維は29%)、表面の摩擦係数(μ)は0.3、破断荷重は59kNであった。
【0156】
上記のようにして得られた本発明ロープ3本を、かごとカウンターウエイトの重量2tonの模擬エレベータに使用したところ、径150mm、溝3個で溝R5.25mmの丸溝付きシーブを使用して、安全率10で円滑に運転することができた。
【0157】
【発明の効果】
以上説明した本発明の請求項1によるときには、高強度材質の細径の素線を多数撚り込んでいるため、疲労性が良好な細径で要求強度を満足するロープとすることができるうえに、前記側層の外接円に囲まれた各撚合体間に、20g/d以上の高弾性率、500g/d以上の高強度を備えた高性能繊維の本体とこれの外周に設けた被覆層からなる繊維条体を充填しているので、軽量で高強度、高弾性率の特性と曲げ疲労に強く、低伸度、耐摩耗性などの特性によりロープ径を増さずかつ重量を増加させずに単位面積当りの強度を高くすることができる。
【0158】
また、側層の外周に高分子化合物からなる外装被覆とを備えおり、この部分がシーブと接触するのでシーブの摩耗を防止することができるとともに、被覆高分子化合物により摩擦係数が高くなるので、シーブの特殊な溝加工やシーブに対するロープのダブルラップが不要になる。特にダブルラップが不要になることでシーブ軸に作用する力を軽減できるため、軸や軸受け小型化することができ、これによってもコストダウンを図ることができる。
【0159】
請求項2によれば、さらに芯部の外周と側層の各撚合体との間にも20g/d以上の高弾性率、500g/d以上の高強度を備えた高性能繊維の本体とこれの外周に設けた被覆層からなる繊維条体11を充填しているので、側層を構成する撚合体同士の直接的金属接触を確実に防止することができ、このため、側層を構成する撚合体間のフレッティングが緩和され、これらにより疲労性を改善し、ロープの寿命を向上することができるというすぐれた効果が得られる。
【0160】
請求項4によれば、芯部が芯シェンケル7と側ストランド8’との組合わせから構成されているため、前述した効果に加え、第1に鋼材断面密度を高くすることができ、これによりロープ径が小さくても高い強度を得ることができ、それによりハンドリング性がよくなり、被覆材としての高分子化合物の量を少なくすることができ、またシーブ径や動力系を一段と小型化することができる。第2に側ストランド8’を使用しているためその断面形状を丸い形状とすることができ、これによりシーブとの間に介在する外装被覆にかかる面圧を緩和することができ、それにより外装被覆の長寿命化を実現できるとともに外装被覆の変形が少なくなるため、エレベータに適用した場合に振動を減少することができる。第3に側がシェンケルタイプ(ストランドをさらに撚り合わせたたもの)ではなくストランドタイプであるため、フレッティングを減少させることができ、摩耗による寿命低下を改善することができる。
【0161】
請求項5によれば、芯部が芯ストランド7’と側ストランド8’との組合わせであるため、前述の効果に加え、芯ストランドと側ストランドは撚り方向を異にした同じ構造でよいので製造工程がシンプルとなり、製造コストの低減を図ることができるというすぐれた効果が得られる。
【0162】
請求項6によれば、素線を撚り合わせ外周に高分子化合物被覆を施した芯部と、複数本の素線を撚り合わせた撚合体と、20g/d以上の高弾性率、500g/d以上の高強度を備えた高性能繊維の本体と外周の被覆層を有する繊維条体とを周上に交互に配し、外周が高分子化合物で被覆された複数の複合層を備えた多層撚りロープであるため、請求項1の効果に加え、芯部と外周の撚合体層とのフレッティングおよび各撚合体層毎のフレッティングも減少させることができ、さらに、各撚合体層を構成する撚合体相互のフレッティングを防止できる。このため、疲労性がすぐれ、ロープ寿命を向上することができる。また、芯部を囲む撚合体層の増減により使用条件に即応したロープ径、強度を簡単に調整することができるという優れた効果がえられる。
請求項7によれば、軽量化を一段と図ることができるという優れた効果がえられる。
請求項9によれば、芯部でもフレッティングが減少するので、摩耗による寿命低下を改善することができるという優れた効果が得られる。
請求項10によれば、システムの省スペースやコストダウンが可能な実用性の高いエレベータ用ロープを提供できるというすぐれた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の複合型ロープを適用したエレベータの一例を模式的に示す説明図、(b)は本発明のロープを適用したクレーンの一例を示す説明図である。
【図2】本発明ロープの第1態様を示す部分切欠斜視図である。
【図3】図2の拡大断面図である。
【図4】(a)は第1態様における芯シェンケルの芯ストランドの製作第1工程を示す断面図、(b)は同じく第2工程を示す断面図である。
【図5】(a)は第1態様における芯シェンケルの側ストランドの製作第1工程を示す断面図、(b)は同じく第2工程を示す断面図である。
【図6】(a)は第1態様における芯シェンケルの断面図、(b)は被覆後の芯シェンケルの断面図である。
【図7】(a)は第1態様における側シェンケルの芯ストランドの製作第1工程を示す断面図、(b)は同じく第2工程を示す断面図である。
【図8】(a)は第1態様における側シェンケルの側ストランドの製作第1工程を示す断面図、(b)は同じく第2工程を示す断面図である。
【図9】第1態様の側シェンケルの断面図である。
【図10】(a)ないし(h)は本発明で用いられる繊維条体の各例を示す部分的斜視図である。
【図11】本発明の第2態様の拡大断面図である。
【図12】(a)は第2態様における芯シェンケルの芯ストランドの断面図、(b)は同じく芯シェンケルの側ストランドの断面図である。
【図13】(a)は素芯シェンケルの断面図、(b)は被覆芯シェンケルの断面図である。
【図14】(a)(b)(c)は第2態様における側ストランドの形成を段階的に示す断面図である。
【図15】本発明の第3態様の拡大断面図である。
【図16】本発明の第4態様の部分的斜視図である。
【図17】第4態様の拡大断面図である。
【図18】(a)は第4態様における芯ストランドの芯部の拡大断面図、(b)は第1側層を撚合した状態の断面図、(c)は第2側層を撚合した状態の断面図、(d)は被覆芯ストランドの断面図である。
【図19】(a)は第1素線層の第1層を得た状態の断面図、(b)は被覆第1素線層の完成状態を示す断面図である。
【図20】被覆第2素線層を得た状態を示す断面図である。
【図21】第1複合ストランド層の完成状態を示す断面図である。
【図22】第2複合ストランド層の完成状態を示す断面図である。
【図23】第3ストランド層を撚り合わせ、被覆を施した状態の断面図である。
【図24】第1態様の他の例を示す拡大断面図である。
【図25】第1態様の他の例を示す拡大断面図である。
【図26】第2態様の他の例を示す拡大断面図である。
【図27】第4態様の他の例を示す部分的斜視図である。
【図28】 図27のロープの拡大断面図である。
【図29】(a)は第1例の内側繊維条体の撚り合わせ状態を示す断面図、(b)は被覆状態を示す断面図である。
【図30】(a)は素芯シェンケルの断面図、(b)は被覆芯シェンケルの断面図である。
【図31】(a)は第1実施例における素第1複合ストランド層を得た状態の断面図、(b)は第1複合ストランド層が完成した状態の断面図である。
【図32】第2複合ストランド層の完成状態の断面図である。
【図33】第3複合ストランド層を施した状態の断面図である。
【符号の説明】
1 複合型ワイヤロープ
7 被覆芯シェンケル
7a 芯シェンケルの芯ストランド
7b 芯シェンケルの側ストランド
7’被覆芯ストランド
8 側シェンケル
8a 側シェンケルの芯ストランド
8b 側シェンケルの側ストランド
8’ 側ストランド
4,6、9 高分子化合物被覆
6'、10 外装被覆
11 内層側繊維条体
12 外層側繊維条体
13 本体
14 被覆層
15 繊維条体

Claims (10)

  1. 引張り強度280kg/mm 以上の高強度鋼素線を使用したワイヤロープにして、以下の構成を備えていることを特徴とする複合型ワイヤロープ。
    (a)素線を撚り合わせ外周に高分子化合物被覆を施した芯部と、
    (b)該芯部の外周に配され、素線を撚り合わせた撚合体の複数本からなる少なくとも1つの側層と、
    (c)20g/d以上の高弾性率、500g/d以上の高強度を備えた高性能繊維の本体とこれの外周に設けた被覆層を有し、前記側層の各撚合体間に充填された繊維条体と、
    (d)側層の外周に施された高分子化合物からなる外装被覆。
  2. 引張り強度280kg/mm 以上の高強度鋼素線を使用したワイヤロープにして、以下の構成を備えていることを特徴とする複合型ワイヤロープ。
    (a)素線を撚り合わせ外周に高分子化合物被覆を施した芯部と、
    (b)該芯部の外周に配され、素線を撚り合わせた撚合体の複数本からなる少なくとも1つの側層と、
    (c)20g/d以上の高弾性率、500g/d以上の高強度を備えた高性能繊維の本体とこれの外周に設けた被覆層を有し、前記芯部の外周と側層の各撚合体との間に充填された繊維条体と、
    (d)20g/d以上の高弾性率、500g/d以上の高強度を備えた高性能繊維の本体とこれの外周に設けた被覆層を有し、前記側層の各撚合体間に充填された繊維条体と、
    (e)側層の外周に施された高分子化合物からなる外装被覆。
  3. 芯部が、素線を撚り合わせて構成した芯ストランド7aの周りに複数本の側ストランド7bを配して撚り合わせかつ外周に高分子化合物被覆9を施した1本の被覆芯シェンケル7からなり、側層が、素線を撚り合わせた芯ストランド8aの周りに複数本の側ストランド8bを配して撚り合わせて構成され前記被覆芯シェンケルの周りに配された複数本の側シェンケル8からなっている請求項1または請求項2に記載の複合型ワイヤロープ。
  4. 芯部が、素線を撚り合わせて構成した芯ストランド7aの周りに複数本の側ストランド7bを配して撚り合わせかつ外周に高分子化合物被覆9を施した1本の被覆芯シェンケル7からなり、側層が、素線を撚り合わせた芯部の周りに複数本の側素線を配して複層に撚り合わせて構成され前記被覆芯シェンケル7の周りに配された複数本の側ストランド8´からなっている請求項1または請求項2に記載の複合型ワイヤロープ。
  5. 芯部が、素線を撚り合わせた芯部の周りに複数本の側素線を配して複層に撚り合わせて構成されかつ外周に高分子化合物被覆9を施した1本の被覆芯ストランド7´からなり、側層が、素線を撚り合わせた芯部の周りに複数本の側素線を配して複層に撚り合わせて構成され前記被覆芯ストランド7’の周りに配された複数本の側ストランド8´からなっている請求項1または請求項2に記載の複合型ワイヤロープ。
  6. 引張り強度280kg/mm 以上の高強度鋼素線を使用したワイヤロープにして、以下の構成を備えていることを特徴とする多層撚りの複合型ワイヤロープ。
    (a)素線を撚り合わせ外周に高分子化合物被覆を施した芯部と、
    (b)複数本の素線を撚り合わせた撚合体と、20g/d以上の高弾性率、500g/d以上の高強度を備えた高性能繊維本体の外周に被覆層を設けた繊維条体とを周上に交互に配し外周が高分子化合物で被覆された複数の複合層。
  7. 繊維条体が撚合体と同一円周上に交互に配されている請求項6に記載の多層撚りの複合型ワイヤロープ。
  8. 繊維条体が複合層の外接円に近接した各撚合体間の谷間に配されている請求項6に記載の多層撚り複合型ワイヤロープ。
  9. 芯部が、素線を撚り合わせて構成した芯ストランドの周りに複数本の側ストランドを配して撚り合わせた芯シェンケルからなっており、繊維条体が芯部の前記側ストランド間の谷間に配されている請求項6に記載の多層撚り複合型ワイヤロープ。
  10. エレベータ用ロープとして使用される請求項1ないし9のいずれかに記載のワイヤロープ。
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