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JP3660319B2 - ワイヤロープ - Google Patents

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JP3660319B2
JP3660319B2 JP2002064146A JP2002064146A JP3660319B2 JP 3660319 B2 JP3660319 B2 JP 3660319B2 JP 2002064146 A JP2002064146 A JP 2002064146A JP 2002064146 A JP2002064146 A JP 2002064146A JP 3660319 B2 JP3660319 B2 JP 3660319B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエレベータ用やクレーンなどの荷役用として好適な高密度タイプのワイヤロープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エレベータは一般にロープとシーブとの摩擦力を利用してロープに連結したかごを上下に動かすシステムであり、エレベータかごとカウンターウェイトがシーブを経由して結合されている。
この吊り上げ及び駆動を行なうメインロープとして、従来のエレベータ用ロープは、一般に中心に繊維芯を配した6×S(19)、8×S(19)、6×W(19)、8×W(19)、6×Fi(25)、8×Fi(25)の構造にして、直径約12mm、破断荷重64.4kNクラスのワイヤロープが用いられていた。また、ロープを構成する素線材質に関し、シーブが高価で交換に多大な手間と時間がかかることを考慮してシーブの摩耗を防止すべく低炭素鋼を使用していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のエベータ用ロープは、ロープの素線径が太いためにシーブの径が500mm程度と大きなものになり、これに関連してモータなどの駆動機械類も大型化していた。このため、屋上に設置される機械室の小型化を図ることができず、ことにビルが高層化すると、ロープの自重増加により設備がさらに大型化することを避けられなかった。
【0004】
さらに、従来のエレベータ用ロープでは、シーブの摩耗を防止するために低炭素鋼を使用して硬さを意図的に抑えていたため、ロープの強度の向上が制約を受け、これがまた高層ビルへの適用上問題となっていた。
【0005】
また、従来のエレベータ用ロープは、錆の発生や疲労性向上のために塗油が必要であり、その結果摩擦係数が小さくなり、シーブとロープの間に滑りが生じやすい。この滑りによりモータの回転によるシーブの回転運動がロープに正確に伝わらず、シーブの回転運動とかごの上下運動が連動しなくなり、かごの正確な位置制御ができなくなる。そこで、従来では、シーブの溝にアンダーカットを形成する特別な加工を施したり、ダブルラップ方式でロープを巻回したりしており、このため、設備コストが高価になったり、ロープの取り付け及び交換作業に非常に手間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は前記のような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、柔軟でロープ径が細く、それでいて単位断面積あたりの強度が高く、エレベーターなどに適用した場合に、シーブ径を小さくしても必要な疲労性を維持しつつシーブとの良好な摩擦接触を実現することができ、システムの省スペースやコストダウンが可能なワイヤロープを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、高強度鋼素線を使用したワイヤロープにして、素線を撚り合わせて構成した芯ストランドの周りに複数本の側ストランドを配して撚り合わせかつ外周に高分子化合物被覆を施した1本の被覆芯シェンケルと、それぞれが素線を撚り合わせた芯ストランドの周りに複数本の側ストランドを配して撚り合わせて構成され前記被覆芯シェンケルの周りに配された複数本の側シェンケルと、高分子化合物で外周を被覆されて構成され前記被覆芯シェンケルと側シェンケルで囲まれたスペースに充填された細径の複数本の第1フィラーストランドと、高分子化合物で外周を被覆されて構成され、前記側シェンケル間の外径側の谷間に充填された細径の複数本の第2フィラーストランドと、前記側シェンケルを囲む高分子化合物の外装被覆を備えていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、高強度鋼素線を使用したワイヤロープにして、素線を撚り合わせて構成した芯ストランドの周りに複数本の側ストランドを配して撚り合わせかつ外周を高分子化合物被覆を施した1本の被覆芯シェンケルと、素線を撚り合わせた芯部の周りに複数本の側素線を配して複層に撚り合わせて構成され前記被覆芯シェンケルの周りに配された複数本の側ストランドと、高分子化合物で外周を被覆されて構成され前記被覆芯シェンケルと側ストランドで囲まれたスペースに充填された細径の複数本の第1フィラーストランドと、高分子化合物で外周を被覆されて構成され、前記側ストランド間の外径側の谷間に充填された細径の複数本の第2フィラーストランドと、前記側ストランドを囲む高分子化合物の外装被覆を備えていることを特徴としている。
【0009】
さらに本発明は、高強度鋼素線を使用したワイヤロープにして、素線を撚り合わせた芯部の周りに複数本の側素線を配して複層に撚り合わせて構成されかつ外周を高分子化合物被覆を施した1本の被覆芯ストランドと、素線を撚り合わせた芯部の周りに複数本の側素線を配して複層に撚り合わせて構成され前記被覆芯ストランドの周りに配された複数本の側ストランドと、高分子化合物で外周を被覆されて構成され前記被覆芯ストランドと側ストランドで囲まれたスペースに充填された細径の複数本の第1フィラーストランドと、高分子化合物で外周を被覆されて構成され、側ストランド間の外径側の谷間に充填された細径の複数本の第2フィラーストランドと、前記側ストランドを囲む高分子化合物の外装被覆を備えていることを特徴としている。
【0010】
本発明ワイヤロープは、シーブと良好な摩擦係数が得られるので、動力を伝達するエレベーター用(たとえば吊り上げ及び駆動を行なうメインロープ、異常速度検出用のガバナロープなど)に好適である。また、エレベータ用のほか、クレーンで代表される荷役設備、機械などの動索としても好適である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施態様を添付図面を参照して説明する。
図1は本発明によるワイヤロープを適用したトラクション式エレベータを模式的に示しており、1は本発明による高密度ワイヤロープ、2は前記高密度ワイヤロープ1の端末に固定されたかご、3は高密度ワイヤロープ1の他端末に固定されたカウンターウエイト、4は高密度ワイヤロープ1の移動を制御する駆動シーブ、5は駆動シーブ4を駆動するモータ、6はそらせ用のガイドシーブである。
【0012】
〔第1態様について〕
図2と図3は前記高密度ワイヤロープ1の第1態様の第1例を拡大して示しており、図4ないし図13はその詳細を示している。第1例は、全体として7×(7×19)の構造、詳しくは、〔{(1+6+12)+6×(1+6+12)}+6×{(1×4)}〕+6×〔{(1+6+12)}+6×(1+6+12)}〕+6×(1+6+12)からなっている。
高密度ワイヤロープ1は、中心の被覆芯シェンケル7と、これを囲む複数本(図面では6本)の側シェンケル8とを有し、しかも前記被覆芯シェンケル7は高分子化合物被覆9が施され、側シェンケル8間を含む外側には全体に高分子化合物の外装被覆10が施され、ロープ全体の断面が円形状をなしている。
【0013】
さらに本発明は、前記被覆芯シェンケル7と側シェンケル8で囲まれたスペース、すなわち被覆芯シェンケル7の外周における各側シェンケル8、8の谷間に相当する各部に、細い複数本(この例では6本)の第1フィラーストランド11を充填している。
【0014】
また、前記側シェンケル8と外装被覆10がない状態でのロープ外接円に囲まれたスペース、すなわち各側シェンケル8、8の谷間に相当する各部に、前記第1フィラーストランド11よりも相対的に太い複数本(この例では6本)の第2フィラーストランド12を充填している。それら第1フィラーストランド11と第2フィラーストランド12は撚りの最終工程で各シェンケルと同時に撚り込まれている。
第1フィラーストランド11と第2フィラーストランド12は、それぞれ高分子化合物13,14で外周を被覆されている。
【0015】
前記被覆芯シェンケル7は、図3のように、中心の芯ストランド7aのまわりに複数本(図面では6本)の側ストランド7bを配して撚合してなり、この状態で全体に高分子化合物被覆9が施されている。
各側シェンケル8は、同様に芯ストランド8aのまわりに複数本(図面では6本)の側ストランド8bを配して撚合することにより構成されており、高分子化合物被覆は施されていない。
【0016】
各部の構成を詳細に説明すると、芯シェンケル7の芯ストランド7aと側ストランド7b、側シェンケル8の芯ストランド8aと側ストランド8bは、それぞれ所要本数、たとえばこの例では19本の鋼素線(以下素線と称す)を撚り合わせて構成されている。
素線の径(WR)は、外装被覆10を施す前のロープ径(DR)との関係で、15≦DR/WR≦100の範囲のものが使用される。これは、15<DR/WRではシーブとの繰り返し曲げにより比較的早期に疲労限に達して安全性に問題が生ずるとともに短寿命になるためであり、DR/WR>100ではコスト高になるためである。好適には、33≦DR/WR≦75である。
【0017】
素線は、引張り強度280kg/mm2以上の特性を有することが好適である。これは細径化によっても十分な破断荷重を実現するためであり、引張り強度280kg/mm2未満では、この目的を達成しがたいからである。かかる素線は、一般的に、炭素含有量が0.80wt%以上の炭素鋼線材を伸線することによって作られる。そして、素線の表面には薄い耐食性被覆層たとえば、亜鉛、あるいは亜鉛・アルミニウム合金めっき、黄銅めっきなどのいずれかを有している。
【0018】
芯シェンケル7の芯ストランド7aは、図4(a)(b)のように、中心の芯素線700と、これよりも相対的に径の細い多数の側素線701,702から構成されている。かかる構成を得るには、芯素線700と側素線701,702を一括して撚り合わせてもよい。しかし、好ましくは回転性が生じないようにするため、2工程撚りにて構成する。
【0019】
図4(a)(b)はこの芯シェンケル7の芯ストランド7aの製作工程を示しており、図4(a)のように、一本の芯素線700の周りにこれよりも相対的に径の細い複数本(図面では6本)の側素線701を配して所定の撚りピッチで撚り合わせる第1工程により1+nからなる内層70aを作り、図4(b)のように、前記内層70aの外周に複数本(図面では12本)の側素線702を配して所定の撚りピッチで撚り合わせる第2工程により外層70a’を形成している。この場合、第1工程の撚り方向と第2工程の撚り方向は同一方向(たとえばZ方向)とする。
なお、内層70aの側素線701と外層70a’の側素線702は同等の径であってもよい。
【0020】
図5(a)(b)は芯シェンケル7の各側ストランド7bの製作工程を示しており、一本の芯素線703の周りにこれよりも相対的に径の細い複数本(図面では6本)の側素線704を配して所定の撚りピッチで撚り合わせる第1工程により1+nからなる内層70bを作る。この内層70bの外周に外層となるべき複数本m(図面では12本)の側素線705を配して所定の撚りピッチで撚り合わせる第2工程{(1+n)+m}により側ストランド7bが得られる。この場合、第1工程と第2工程の撚り方向は同一方向であるが、前記芯ストランド7aとの関係では逆方向(たとえばS方向)とする。撚りピッチは芯ストランド7aと側ストランド7bとも同じである。
【0021】
側ストランド7bの芯素線703の径は、好ましくは芯ストランド7aの芯素線701の直径よりも相対的に小さく、たとえば、芯ストランド7aの側素線701,702と同等とする。側ストランド7bの側素線704,705の径は芯ストランド7aの側素線701,702の径よりも小さく、それにより、芯ストランド7aの直径d1を側ストランド7bの直径d2よりも適度に大きくしている。なお、「ストランドの直径」とはストランドを構成する外層の素線群の外接円を意味する。
【0022】
上記のように芯ストランド7aの直径d1を側ストランド7bの直径d2よりも大きくするのは、芯シェンケルを作ったときに、各側ストランド7b間に高分子化合物の浸透を許容する隙間を形成するためであり、その(d1−d2)/d2×100は、通常、約1.4〜6.8%である。
【0023】
上記のようにして得た1本の芯ストランド7aの周りに複数本(図面では6本)の側ストランド7bを配して撚り合わせる。この場合の撚りピッチは一般に仕上げシェンケル径の6〜9倍程度とし、撚り方向は芯ストランド7aの撚り方向と同じにする。これは製造が容易であり、工程の変動に対して型崩れが少ないからである。
以上により図6(a)のような素芯シュンケル7Pが作られる。
【0024】
そして本発明は、この素芯シュンケル7Pを高分子化合物にて被覆し、図6(b)のように高分子化合物被覆9を形成する。この高分子化合物は、鉄鋼との接着性がよく、耐摩耗性、耐油性、耐水性、温度特性、耐侯性、柔軟性(耐ストレスクラック性)の各特性を有していることが好ましく、代表的な高分子化合物としてはポリエチレン、ポリプロピレン、弗素樹脂などの汎用合成樹脂が挙げられるが、そのほかエンジニアリングプラスチックを使用してもよい。あるいは、ジエン系、オレフイン系、ウレタン系などのゴムであってもよい。
【0025】
高分子化合物被覆9は、素芯シュンケル7Pと側シェンケル8とのフレッティングを防止するとともに、フィラーストランドを充填するのに十分なスペース)を確保することができるように被覆厚さtを設定する。
高分子化合物は各側ストランド7b,7b間の隙間を通して芯ストランド7aの表面に達することにより、緩衝性能のある膜を形成する。
前記高分子化合物被覆9の形成方法は任意であり、溶解物中に素芯シュンケル7Pを連続的に通過させてもよいし、素芯シュンケル7Pの周りに押出し機により押し出してもよい。
高分子化合物の一部90は側ストランド7bの素線間にも浸透し、また芯ストランド7aの素線間にも浸透していてもよい。
【0026】
次に、側シェンケル8の芯ストランド8aと側ストランド8bについて説明すると、側シェンケル8の芯ストランド8aは、図7(a)(b)のように、中心の芯素線800と、これよりも相対的に径の細い多数の側素線801,802から構成されており、素線径は芯シュンケル7のそれと同じでよい。
図7(a)(b)はかかる芯ストランド8aの製作工程を示しており、芯シュンケル7の場合と同様に、一本の芯素線800の周りにこれよりも相対的に径の細い複数本(図面では6本)の側素線801を配して所定の撚りピッチで撚り合わせる第1工程により1+nからなる内層80aを作り、第2工程として、内層80aの外周に外層となるべき複数本m(図面では12本)の側素線802を配して所定の撚りピッチで撚り合わせる{(1+n)+m}ことにより形成している。
この場合、第1工程と第2工程の撚り方向は同一であるが、芯シュンケル7の芯ストランド7aとは逆方向(たとえばS方向)とされる。
【0027】
図8(a)(b)は側シェンケル8の側ストランド8bの製作工程を示しており、一本の芯素線803の周りにこれよりも相対的に径の細い複数本(図面では6本)の側素線804を配して所定の撚りピッチで撚り合わせる第1工程により1+nからなる内層80bを作り、第2工程として、内層80bの外周に外層となるべき複数本m(図面では12本)の側素線805を配して所定の撚りピッチで撚り合わせる{(1+n)+m}ことにより形成している。この場合、第1工程と第2工程の撚り方向は同一方向であるが、芯ストランド8aとの関係では逆方向(たとえばZ方向)とする。撚りピッチは芯ストランド8aと側ストランド8bとも同じである。
【0028】
側ストランド8bの芯素線803の径は芯ストランド8aの芯素線800よりも適度に小さく、側ストランド8bの側素線804,805の径は同等で芯ストランド8aの側素線801,802の直径よりも小さくし、それにより、芯ストランド8aの直径d3を側ストランド8bの直径d4よりも適度に大きくしている。基本的には素線の径関係は前記芯シュンケル7の芯ストランド7aと側ストランド7bと同じでよい。
【0029】
そして、1本の芯ストランド8aの周りに複数本(図面では6本)の側ストランド8bを配し、撚り合わせる。この場合の撚りピッチは一般に仕上げシェンケル径の6〜9倍程度とし、撚り方向は芯ストランド7aの撚り方向と同じ(たとえばS方向)にする。これは製造が容易であり、工程の変動に対して型崩れが少ないからである。
以上の行程により図9のような側シュンケル8が作られる。この側シェンケル8の外径は素芯シェンケル7Pとほぼ同じでよいが、高分子化合物被覆9を設けないので、その分だけ外径が小さくなっている。
【0030】
次に、第1フィラーストランド11は、図10(a)に示されるように、複数本(通常3〜5本から選択される)の素線110を所定の撚りピッチで側シェンケル8の最終撚り工程と同じ方向(たとえばS方向)に撚り合わせ、この素第1フィラーストランド11Pを高分子化合物にて被覆し、図10(b)のように高分子化合物被覆13を形成している。
素線110の太さは、他の素線たとえば側シェンケル8の側ストランド8bを構成する芯素線803の径と同一径でもよいし、異なる径としてもよい。高分子化合物被覆13の材質と形成方法は、前記芯シェンケル7と同じでよい。
【0031】
第2フィラーストランド12は、図11(a)に示されるように、複数本の素線120,121,122を所定の撚りピッチで撚り合わせ、このこの素第2フィラーストランド12Pを図11(b)のように高分子化合物にて被覆して高分子化合物被覆14を形成することで作られている。撚り工程は図5と基本的に同じであるから、これに関する説明を援用する。また、高分子化合物被覆13の材質と形成方法は、前記芯シェンケル7と同じであるから、説明を省略する。
この第2フィラーストランド12は、通常、図5と図8の芯シェンケル7や側シェンケル8の側ストランド7b、8bと同じ構成であり、工程も同じとしてよい。素線径、撚り方向も芯シェンケル7の側ストランド7bと同じとしてもよく、こうすれば特に固有の第2フィラーストランド12を作成しなくてよいので、製造が容易である。
【0032】
上記のようにして得られた各要素を組み合わせ、チューブラー型撚線機を使用してロープを撚る。すなわち、図12のように、被覆芯シェンケル7の周りに第1フィラーストランド11を等間隔で配し、これら第1フィラーストランド11の各配置隙間に各側シュンケル8を配し、各側シュンケル8の外径側の各谷間に第2フィラーストランド12を配し、この状態でそれらを撚り合わせて本発明ロープとする。
この最終撚りの撚りピッチは撚り構造と素線径に応じて適宜選択するが、通常、仕上げロープ径の6〜9倍程度とし、かつ撚り方向を被覆芯シェンケル7の撚り方向と一致させて行なう。たとえばこの例ではZ方向とする。このようにして図12に示す素ロープ1Pが完成する。
【0033】
素ロープ1Pは最終的に全体を高分子化合物によって被覆し、外装被覆10を形成する。この外装被覆10は、シーブとの摩擦係数の調整,素線とシーブとの金属接触の回避、側シェンケルのストランド間及び素線間のフレッティングの低減などを図るためのもので、高分子化合物は耐摩耗性、耐侯性がよく、適度の弾性を持ち摩擦係数が比較的高い特性を有し、かつ加水分解しない特性であることが好ましい。その例としては、ポリウレタン系、エーテル系のポリウレタンエラストマーなどの合成樹脂、あるいはゴムが挙げられる。
【0034】
外装被覆10の形成方法はたとえば押出し機を使用するなど任意である。高分子化合物100は第2フィラーストランド12と側シェンケル8との隙間を埋め、第2フィラーストランド12と側シェンケル8との配置を固定する。好ましくは、さらに一部が各側シェンケル8,8間の隙間を通して浸透し、第1フィラーストランド11の高分子化合物被覆12と、また被覆芯シュンケル7の表面と接着される。これは、ロープを最終撚り線するときに、同時に撚り口で高分子化合物を注入しながら被覆することで実現できる。
また、高分子化合物100は側シェンケルの外径(外接円)から所定の厚さTの層101を形成する。外装被覆10の厚さTは、これがあまり薄いと耐久性に乏しくまた摩耗寿命も低下する。厚すぎるとロープの柔軟性が損なわれるばかりかロープ径が大きくなり、強度効率が低下するので、通常0.3〜1.0mmとすることが好ましい。
【0035】
なお、製造上は、素ロープ1Pを撚る工程で千鳥状に配置した3本程度のロール間に側シェンケル8、第1フィラーストランド11および第2フィラーストランド12を通過させて螺旋状の型付けを行い、ボイス通過後、ならしロールを通すことによって行われる。型付率は0.60〜0.90程度より好ましくは、0.65〜0.85で行なえばよい。ここで、型付率とは、ロープ径とロープからシェンケルを取り出したときの、シェンケルの高さの比をいう。この工程により、ロープの回転性を防止するとともにばらけを防止し、かつ側シェンケル間の隙間を均等で最適なものに調整することができる。
【0036】
図13ないし図15は、第一態様の第2例を示している。
この実施例の高密度ロープは、全体として7×(7×12)の構造、詳しくは、〔{(1×12)+6×(1×12)}+6×(1×3)〕+6×{(1×12)+6×(1×12)}〕+6×(1+6)からなっており、第1例と同様に、被覆芯シェンケル7と側シェンケル8で囲まれたスペース、すなわち被覆芯シェンケル7の外周において各側シェンケル8、8の谷間に相当する各部に、複数本(この例では6本)のそれぞれが高分子化合物13で被覆された第1フィラーストランド11を充填し、また、前記側シェンケル8と外装被覆10がない状態でのロープ外接円に囲まれたスペースすなわち各側シェンケル8、8の谷間に相当する各部に、複数本(この例では6本)のそれぞれ高分子化合物14で被覆された第2フィラーストランド12を充填している。それら第1フィラーストランド11と第2フィラーストランド12は撚りの最終工程で各シェンケルと同時に撚り込まれている。
【0037】
この第2例は、第1例と同様の被覆芯シェンケル7と側シェンケル8を主構成要素とするタイプであるので、同じ部分に同じ符号を付し、相違する部分について説明する。
第2例においては、芯シェンケル7の芯ストランド7aおよび側ストランド7bが、複数本(図面では12本)の素線を一括撚りして作られている。また、側シェンケル8の芯ストランド8aおよび側ストランド8bが、複数本(図面では12本)の素線を一括撚りして作られている。
【0038】
芯シェンケル7の芯ストランド7aは、図15(a)に示すように、相対的に太い複数本(図面では3本)の素線706の周りに相対的に細い複数本(図面では9本)の素線707を配してたとえばZ方向に一括撚りして作られる。これに対して、芯シェンケル7の側ストランド7bは、図15(b)に示すように、相対的に太いが前記芯ストランド7aの素線706よりも細い複数本(図面では3本)の素線708の周りに相対的に細い複数本(図面では9本)の素線709を配し、たとえばS方向に一括撚りして作られる。
そして、前記のような芯ストランド7aの周りに6本の側ストランド7bを配し、たとえばZ方向に撚り合わせることにより素芯シェンケルが作られ、その後、第1例と同様に高分子化合物被覆9が施される。
【0039】
側シェンケル8の芯ストランド8aは、撚り方向が逆(たとえばS方向)であることを除いて、前記芯シェンケル7の芯ストランド7aと同じである。また、側シェンケル8の側ストランド8bも、撚り方向が逆(たとえばZ方向)であることを除いて、前記芯シェンケル7の側ストランド7bと同じである。そして、側シェンケル8は、前記のような芯ストランド8aの周りに6本の側ストランド8bを配し、芯シェンケル7の場合と逆方向たとえばS方向に撚り合わせることにより作られる。
【0040】
第1フィラーストランド11は複数本(この例では3本)の素線を被覆芯シェンケル7と逆のより方向たとえばS方向に撚り合わせて構成され、第2フィラーストランド12は、複数本(図面では12本)の素線を一括撚りして作られている。第2フィラーストランド12の構成は,撚り方向が逆たとえばS方向であることを除いて前述した芯シェンケルの芯ストランド7aと同じであってよい。
他の構成は第1例と同じである。なお、第1フィラーストランド11と第2フィラーストランド12は、この実施例に示すものに限らず、第1例と同じ構成のものを使用してもよい。
【0041】
図16は第1態様の第3例として、7×(7×7)構造とした本発明ロープを示している。詳しくは、構造式は、〔{(1+6)+6×(1+6)}+6×(1×3)〕+6×{(1+6)+6×(1+6)}+6×(1+6)からなっている。
このロープにおいても、被覆芯シェンケル7と側シェンケル8で囲まれたスペース、すなわち被覆芯シェンケル7の外周において各側シェンケル8、8の谷間に相当する各部に、複数本(この例では6本)のそれぞれが高分子化合物13で被覆された第1フィラーストランド11を充填し、前記側シェンケル8と外装被覆10がない状態でのロープ外接円に囲まれたスペースすなわち各側シェンケル8、8の谷間に相当する各部に、複数本(この例では6本)のそれぞれ高分子化合物14で被覆された第2フィラーストランド12を充填している。それら第1フィラーストランド11と第2フィラーストランド12は撚りの最終工程で各シェンケルと同時に撚り込まれている。
【0042】
この第3例は、第1例と同様のタイプであるので、同じ部分に同じ符号を付し、相違する部分について説明する。
この第3例では、芯シェンケル7の芯ストランド7aは1本の芯素線700の周りに6本の側素線701を配してたとえばZ方向に撚り合わせ、側ストランド7bは同じく1本の芯素線703の周りに6本の側素線704を配してたとえばS方向に撚り合わせることにより作られている。芯ストランド7aの各素線700,701は同径であってもよく、側ストランド7bの各素線703,704は同径であってもよいが、好ましくは芯ストランド7aの各素線700,701よりも相対的に細いものを使用する。
【0043】
側シェンケル8の芯ストランド8aは、芯シェンケル7の芯ストランド7aの場合と撚り方向が逆(S方向)であることを除いて同じであり、側ストランド8bも、芯シェンケル7の側ストランド7bの場合と撚り方向が逆(Z方向)であることを除いて同じである。
第1フィラーストランド11は複数本(この例では3本)の素線を芯シェンケル7と逆のより方向たとえばS方向に撚り合わせて構成され、第2フィラーストランド12は、前記側芯シェンケル8の芯ストランド8aと同じものであってよい。
他の構成は第1例と同じである。なお、第1フィラーストランド11と第2フィラーストランド12は、第1例や第2例と同じ構成のものを使用してもよい。
【0044】
〔第2態様について〕
図17ないし図22は第2態様の高密度ロープ1の一例を示しており、被覆芯シェンケル7を用いるが、これを囲む側シェンケルに代えて側ストランド8’を使用していることを特徴としている。
図17は全体として(7×7)+8×(3+9+15)の構造、詳しくは、{(1+6)+6×(1+6)}+8×{(3+9+15)}の構造式のストランドタイプロープからなっている。
【0045】
詳述すると、中心の高分子化合物被覆9が施された被覆芯シェンケル7と、これを囲むように配置された複数本(図面では8本)の側ストランド8’とを有し、側ストランド8'間を含む外側には全体に高分子化合物からなる外装被覆10が施され、断面が円形状をなしている。
【0046】
この態様においても、被覆芯シェンケル7と側ストランド8’で囲まれたスペース、すなわち被覆芯シェンケル7の外周において各側ストランド8’、8’の谷間に相当する各部に、複数本(この例は8本)の第1フィラートランド11を充填している。
また、前記側ストランド8’と外装被覆10がない状態でのロープ外接円に囲まれたスペースすなわち各側ストランド8’、8’の谷間に相当する各部に、複数本(この例では8本)の第2フィラーストランド12を充填している。それら第1フィラーストランド11と第2フィラーストランド12は撚りの最終工程で各シェンケルと同時に撚り込まれている。第1フィラーストランド11と第2フィラーストランド12は、それぞれ高分子化合物13,14で外周を被覆されている。
【0047】
前記被覆芯シェンケル7は、図17のように、中心の芯ストランド7aのまわりに複数本(図面では6本)の側ストランド7bを配して撚合してなり、この状態で全体に高分子化合物被覆9が施されている。
各側ストランド8’は、複層すなわちこの例では芯部(第1層)8cと、これのまわりに複数本の素線を配して撚合することにより構成した第2層8dと、該第2層8dのまわりに複数本の素線を配して撚合した第3層8eとからなっており、各側ストランド8’は個別的に高分子化合物被覆は施されていない。
【0048】
各部の構成を製作工程を加味して詳細に説明すると、芯シェンケル7の芯ストランド7aと側ストランド7bは、それぞれ所要本数たとえばこの例では7本の鋼素線を撚り合わせて構成されている。また、側ストランド8’の各層8c,8d,8eはそれぞれ複数本この例では3本と、9本と15本の鋼素線を3工程で撚り合わせることにより構成されている。
芯シェンケル7、側ストランド8’、第1フィラーストランド11および第2フィラーストランド12における鋼素線の径(WR)および引張り強度は第1態様の場合と同じである。
【0049】
芯シェンケル7の芯ストランド7aは、図18(a)のように、中心の芯素線700と、これと同等かあるいは相対的に径の細い複数(図面では6本)の側素線700’から構成されている。同じく芯シェンケル7の側ストランド7bは、図18(b)のように、中心の芯素線701と、これと同等かあるいは相対的に径の細い複数数の側素線701’から構成されている。かかる構成は、中心の芯素線700、701と側素線700’、701’を一括して撚り合わせることにより得られる。
前記芯ストランド7aの撚り方向と側ストランド7bの撚り方向は同じ方向たとえばS方向となっている。
【0050】
側ストランド7bの芯素線701の直径は、好ましくは芯ストランド7aの芯素線700の直径よりも相対的に小さくし、それにより、芯ストランド7aの直径d1を側ストランド7bの直径d2よりも適度に大きくする。その理由は第1態様で述べた理由と同じである。
【0051】
上記のようにして得た1本の芯ストランド7aの周りに複数本(図面では6本)の側ストランド7bを配して撚り合わせる。この場合の撚りピッチは一般に仕上げシェンケル径の6〜9倍程度とし、撚り方向は芯ストランド7aおよび側ストランド7bの撚り方向と異なる方向すなわちこの例ではZ方向とする。これは製造が容易であり、工程の変動に対して型崩れが少ないからである。
以上により図19(a)のような素芯シュンケル7Pが作られる。なお図では1つの側ストランドのみ素線を示し、他は省略している。そしてこの素芯シュンケル7Pを高分子化合物9にて被覆し、図19(b)のように被覆芯シェンケル7を形成する。高分子化合物は第1態様に述べたものと同じであり、被覆の形成方法も同様である。
【0052】
次に、側ストランド8’について説明すると、基本的には複層構造であれば構造を問わず、また製作法も問わない。図20(a)(b)(c)はかかる側ストランド8’の1本の製作工程を例示している。側ストランド8’の芯部(第1層)8cは、径が同等の複数本(図面では3本)の素線800から構成されており、それら素線径はたとえば芯シュンケル7の芯ストランド7aの素線と同等かまたは適度に小さく、側ストランド7bの素線よりも適度に大きい。第1工程としてまず図20(a)のように、そうした複数本の素線300を所定の撚りピッチで撚り合わせる。
【0053】
次いで、図20(b)のように、第2工程として、前記芯部(第1層)8cの周りに芯部素線と同等または適度に細い径の複数本(図面では9本)の側素線801を配して所定の撚りピッチで撚り合わせて第2層8dを形成する。ついで、第3工程として、第1層+第2層からなる撚合体の外周に、第2層の素線と同等かまたは適度に細い所要数(図面では15本)の素線802を配し、所定の撚りピッチで撚り合わせ、これで図20(c)に示す側ストランド8’を得る。この場合、第1工程の撚り方向と第2工程の撚り方向は同一(たとえばZ方向)であるが、第3工程の撚り方向は逆方向(たとえばS方向)とされる。
この側ストランド8’の外径D2は被覆芯シェンケル2の外径D1よりも小さく、好ましくは、素芯シェンケル7’の外径よりも小さくする。
【0054】
次に、第1フィラーストランド11は、図21(a)(b)のように複数本(この例では3本)の素線110を芯シェンケル7と同じ撚り方向たとえばZ方向に撚り合わせた素第1フィラーストランド11Pの外周に高分子化合物被覆13を形成している。
素線110の太さは、スペースの大きさに応じて選定する。高分子化合物被覆13の材質と形成方法は、前記芯シェンケル7と同じでよい。
【0055】
第2フィラーストランド12は、同様に複数本(図面では3本)の素線120を第1フィラーストランド11と同じ撚り方向たとえばZ方向に撚り合わせて構成されており、外周を高分子化合物にて被覆し、図21(c)のように高分子化合物被覆14を形成している。
素線120の太さは、第1フィラーストランド11の素線110よりも太くし、スペースの大きさで選定する。高分子化合物被覆14の材質と形成方法は、前記芯シェンケル7と同じでよい。なお、第1フィラーストランド11と第2フィラーストランド12は、第1態様の各例と同じ構成のものを使用してもよい。
【0056】
そして、最後に被覆芯シェンケル7の周りに、第1フィラーストランド11を等間隔で配し、これら第1フィラーストランド11が谷間に位置するように側ストランド8’を複数本(図示するものでは8本)配し、それら各側ストランド8’の谷間に第2フィラーストランド12を配し、チューブラー型撚線機などで所定のピッチで撚り合わせる。
この最終撚りの撚りピッチは撚り構造と素線径に応じて適宜選択するが、通常、仕上げロープ径の6〜9倍程度とし、かつ撚り方向を芯シェンケル7の撚り方向と一致させて行なう。たとえばこの例ではZ方向とする。このようにして図22に示す素ロープ1Pが完成する。
【0057】
素ロープ1Pは最終的に全体を高分子化合物によって被覆し、外装被覆10を形成する。この外装被覆10の材質は第1態様と同様である。
【0058】
高分子化合物は側ストランド8’の外径(外接円)から所定の厚さTの層を形成する。外装被覆10の被覆厚さTは、これがあまり薄いと耐久性に乏しくまた摩耗寿命も低下する。厚すぎるとロープの柔軟性が損なわれるばかりかロープ径が大きくなり、強度効率が低下するので、通常0.3〜1.0mmとすることが好ましい。外装被覆10の形成方法は第1態様の場合と同様である。
【0059】
〔第3態様について〕
図23は第3態様を示している。
この第3態様は、全体がストランド構成すなわち、側ストランド8’を使用するとともに、芯シェンケル7に代わって芯ストランド7’を採用している点が特徴であり、全体として7×(3+9+15)の構造、詳しくは
(3+9+15)+6×(3+9+15)&〔{(3+9+15)+6×(1×3)}+6×(3+9+15)〕+6×(1×3)の構造式のロープからなっている。
【0060】
この高密度ロープ1は、高分子化合物で被覆が施された被覆芯ストランド7’と、これを囲むように配置された複数本(図面では6本)の側ストランド8'とを有し、側ストランド8’間を含む外側には高分子化合物からなる外装被覆10が施され、断面が円形状をなしている。
【0061】
そして、この態様でも前記被覆芯ストランド7’と側ストランド8’で囲まれたスペース、すなわち被覆芯ストランド7’の外周において各側ストランド8’、8’の谷間に相当する各部に、それぞれ高分子化合物被覆13を有する複数本(この例では6本)の第1フィラーストランド11を充填している。
また、前記側ストランド8’と外装被覆10がない状態でのロープ外接円に囲まれたスペースすなわち各側ストランド8’、8’の谷間に相当する各部に、それぞれ高分子化合物被覆14が施されているされている複数本(この例では6本)の第2フィラーストランド12を充填している。それら第1フィラーストランド11と第2フィラーストランド12は、撚りの最終工程で各シェンケルと同時に撚り込まれている。
【0062】
芯ストランド7’と側ストランド8’は、基本的には複層構造であれば構造を問わず、また製作法も問わないが、一例を挙げると、前記第2態様における側ストランドと製作工程を含めて同じとする。
すなわち、芯ストランド7’と側ストランド8’の芯部(第1層)7c、8cは、第1工程としてまず図20(a)のように、複数本の素線700、800を所定の撚りピッチで撚り合わせる。
【0063】
次いで、第2工程として、前記芯部(第1層)7c、8cの周りに複数本(図面では9本)の側素線701を配して所定の撚りピッチで撚り合わせて第2層7d、8dを形成する。ついで、第3工程として、第1層+第2層からなる撚合体の外周に、所要数(図面では15本)の素線702、802を配し、所定の撚りピッチで撚り合わせて第3層7e、8eこれで図20(c)に示す芯ストランド7’と側ストランド8’を得る。
芯ストランド7’と側ストランド8’は、いずれも第1工程の撚り方向と第2工程の撚り方向は同一であるが、第3工程の撚り方向は逆方向とされる。ただし、芯ストランド7’と側ストランド8’は撚り方向が逆であり、たとえば芯ストランド7’がS−S−Zであれば,側ストランド8’はZ−Z−Sとされる。
【0064】
側ストランド8’の外径は外装被覆10のための高分子化合物を浸透させることができるように、被覆芯ストランド7’の外径D1よりも小さい。側ストランドは素芯ストランドの外径と同等でもよいが、小さくてもよい。
第1フィラーストランド11と第2フィラーストランド12は基本的構成は第2態様のものと同じであるが、第1態様に用いられている構成のものを使用してもよい。
【0065】
最後に、高分子化合物で被覆された被覆芯ストランド7’の周りに、第1フィラーストランド11を等間隔で配し、これら第1フィラーストランド11が谷間に位置するように側ストランド8’を配し、それら各側ストランド8’の谷間に第2フィラーストランド12を配し、チューブラー型撚線機などで所定のピッチで撚り合わせる。
この最終撚りの撚りピッチは撚り構造と素線径に応じて適宜選択するが、通常、仕上げロープ径の6〜9倍程度とし、かつ撚り方向を芯ストランド7’の撚り合わせ方向と一致させて行なう。たとえばこの例ではZ方向とする。このようにして素ロープ1Pが完成する。
素ロープ1Pは最終的に全体を高分子化合物によって被覆し、外装被覆10を形成する。この外装被覆10は第1態様と同様である。
【0066】
【実施例の作用】
本発明のワイヤロープは、伸びが4〜6%と少ないためエレベータ用や荷役用として適切である。可撓性は従来の繊維芯タイプが600〜700であるのに対して、900〜1700であるため曲げやすい。弾性係数は従来の繊維芯タイプが40000〜60000N/mm2であるのに対して、74000N/mm2以上であり、これもエレベータ用や荷役用として好適な特性である。S曲げ疲労試験においては、D/d=20、SF=10すなわち計算破断荷重の1/10の荷重でのテストの条件で従来の繊維芯タイプが20000〜40000回であるが、本発明ロープは400000回を越えるきわめて高い耐疲労性を示す。
【0067】
〔第1態様について〕
ロープは、直径が小さな高強度鋼線材からなる素線を多数本撚り込むことにより芯シュンケル7と側シェンケル8を構成しているので、要求強度を実現できつつロープの径を細くして軽量化することができる。
さらに良好な疲労性を実現し得るため、シーブの径を小さくすることができる。すなわちたとえば被覆も含めてロープ重量を従来比で20%以上軽くすることができるため、シーブの径SDを従来比の50%以下とすることができる。また、シーブの小型化によりこれを駆動するモーター類のトルクを小さくすることができるので、寸法を小さくすることができる。またロープを軽量化することができるので、モーター類の容量も小さいものにすることができる。クレーンに使用した場合には、クレーンを小型化することができる。
【0068】
しかも、芯シェンケル7と側シェンケル8に囲まれたスペースに高分子化合物で外周を被覆した第1フィラーストランド11を配するとともに、側シェンケル8とロープ外接円で囲まれたスペースに、高分子化合物で外周を被覆した第2フィラーストランド12を配し、それら第1フィラーストランド11と第2フィラーストランド12を芯シェンケル7と側シェンケル8に同時に撚り込んでいるため、側シェンケル8、8の配置が安定し、偏りが生ずることがなく、かつ、芯シェンケル7に近接した各側シェンケル8の各谷間および外径側の各側シェンケル8の各谷間に第1フィラーストランド分と第2フィラーストランド分の鋼材が充填されるので、ロープ径を増すことなく鋼材断面密度が高くなり、これにより単位断面積あたりの強度を向上することができる。
【0069】
芯シェンケル7と側シェンケル8は、撚り方向が逆であることを除いて同じ仕様のもので足りるのでコスト的に有利である。すなわち、芯シュンケル7のみに高分子化合物被覆9を施して外径を増径することにより、側シェンケル相互間に隙間を形成することができる。そして、芯シュンケル7の径を変えることなく被覆径すなわち高分子化合物被覆9の厚さを変えてやるだけで、側シェンケル相互間の隙間寸法を容易にコントロールすることができる。
【0070】
芯シュンケル7が高分子化合物被覆9を有し、その高分子化合物被覆9の周りに側シェンケル8を配して撚合しているので、芯シュンケル7と側シェンケル8とがメタルタッチせず、フレッティングが防止される。しかもさらに、芯シェンケル7と側シェンケル8に囲まれたスペースに高分子化合物で外周を被覆した第1フィラーストランド11を配するとともに、側シェンケル8とロープ外接円で囲まれたスペースに高分子化合物で外周を被覆した第2フィラーストランド12を配しているので、各側シェンケル8、8間の金属接触をも防止することができ、これにより疲労性を向上し、ロープ寿命を向上させることができる。
【0071】
また、全体被覆層10の高分子化合物が側シェンケル8,8間に充填不十分となった場合でも、高分子化合物被覆されている第1フィラーストランド11と第2フィラーストランド12により側シェンケル8,8同士の直接的な金属接触を防止することができる。したがって、全体被覆10の形成を厳密に行わなくてもよくなり、工程が楽になる。
【0072】
また、外装被覆10によりロープ表面を被覆しており、外装被覆層はシーブ4よりも硬さが小さいため、シーブの摩耗を防止することができ、また、高分子化合物の選択により自由に摩擦係数を制御することができ、シーブの溝は丸溝で足りることになるので、コストを低減することができる。それでいてモータの回転によるシーブの回転運動をロープに正確に伝えて、シーブの回転運動とかごの上下運動をよく連動させ、かごの正確な位置制御を行なえるので、乗り心地をよくすることができる。またロープ断面が円形状となるため、自転やねじれの影響(片荷重による部分断線)が軽減される。
【0073】
さらに、無給油とすることができるので、その手間が省けるとともにドラムやシーブに油が付着したり、周辺に飛散することがなくなるので機械室やクレーンなどの機械を清潔にすることができる。
【0074】
〔第2態様について〕
第2態様の基本的な作用は前記第1態様と同様であり、側シェンケルを側ストランドと読み替えることで援用し、特有の作用を述べることにする。
第2態様は、側ストランド8’を用いたストランド形であるため、第1例のように使用するストランド数が多くなるので、ロープの断面形状をより丸いものとすることができる。それにより、出来上がったロープの使用時に、側ストランドとシーブ間に介在する外装被覆10にかかる面圧を緩和することができる。その結果、外装被覆10とこれを有するロープの長寿命化を実現できるとともに、外装被覆10の変形が少なくなるため、エレベータに適用した場合に振動を減少することができる。
【0075】
第1態様のケーブルレイド形のロープよりも鋼材断面密度を高くすることができるので、ロープ径が小さくてもケーブルレイド形ロープと同一強度を得ることができ、これにより、ロープを巻収するドラムを小さくすることができ、ハンドリング性がよくなる。また、外装被覆を同じ厚さにした場合にも高分子化合物の量を少なくすることができ、コストを削減できる。ロープを同一寿命に設定した場合、シーブ径の小型化と動力系の小型化を図ることができる。
【0076】
また、側ストランド8’をフライヤー数の多い撚線機で一度に撚ることができるので、撚り線工程を減少させることができる。
ケーブルレイド形側シェンケルの場合のように複数本のストランドを作り、それらさらに撚り合わせるのでないため、各ストランドのフレッティングを減少させることができ、これにより摩耗による寿命低下を改善することができる。ことに平行撚りあるいはこれに準ずるものととすることによりフレッティングをさらに減じて寿命を伸ばすことができる。
【0077】
第3態様は、さらに芯構造がストランド7’からなり、芯ストランド7'と側ストランド8’が撚り方向を異にした同じ構造でよいので、製造工程がシンプルとなり、コストが低減される。
【0078】
【実施例】
実施例1
第1態様の第1例のロープを製作した。
(1)素線
原料として直径5.5mmの高炭素鋼線材(C:0.82%、Si:0.21%、Mn:0.48%残部鉄及び不可避的不純物)を用いた。
この鋼線材を次の工程で伸線して素線を得た。
酸洗い後、10回の冷間伸線を行って線径2.0mmとし、これを980℃程度で空気パテインティングし、酸洗い後、6パス程度の冷間伸線を行って線径1.2mmとし、980℃程度で加熱後、550℃程度で鉛パテンティングを行い、酸洗い、湯洗い後に電気亜鉛めっきを施し、水性タイプ潤滑剤を使用して20パス程度の湿式伸線を行い、最終径0.20mm〜0.210mmの素線を得た。各素線の特性は引張り強さ320kg/mm2、破断時伸び2%であった。
【0079】
(2)芯シェンケルの製作
2−1)芯シェンケルの芯ストランドの製作工程
第1工程:1+6
径0.208mmの芯素線1本と、径0.205mmの6本の側素線を、撚りピッチ6.3mmにてZ方向に撚り合せ、外径0.62mmの内層を作った。
第2工程:(1+6)+12
前記内層(1+6)の周りに外層用の径0.205mmの側素線12本を配し、撚りピッチ10mmでZ方向で撚り合せ、外径1.03mmの芯ストランドを得た。
【0080】
2−2)芯シェンケルの側ストランドの製作工程
第1工程:1+6
径0.205mmの芯素線1本と、径0.202mmの6本の側素線を、撚りピッチ6.3mmでS方向に撚り合せ、外径0.61mmの内層を得た。
第2工程:(1+6)+12
内層(1+6)の周りに、外層用の径0.202mmの12本の側素線を配し、撚りピッチ10.00mmでS方向に撚合せ、外径1.01mmの側ストランドを得た。
【0081】
2−3)芯シェンケル撚り工程{(1+6)+12}+6×{(1+6)+12}
前記1本の芯シェンケル芯ストランド(径1.03mm)の回りに、6本の芯シェンケル側ストランド(径1.01mm)を配し、撚りピッチ22.00mmでZ方向に撚り合せ、外径3.04mmの芯シェンケルを得た。
【0082】
(3)芯シェンケルの被覆
溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出し、前記芯シェンケル(径3.04mm)に0.30mmの厚さで被覆し、仕上げ径3.64mmの樹脂被覆芯シェンケルを得た。
【0083】
(4)側シェンケルの製作
4−1)側シェンケルの芯ストランドの製作工程
第1工程:1+6
径0.208mmの1本芯素線の周りに径0.205mmの6本の側素線を配し、撚りピッチ6.3mmでS方向に撚り合わせ、外径0.62mmの内層を得た。
第2工程:(1+6)+12
前記内層に、外層用の径0.205mmの12本の側素線を配し、撚りピッチ10mmでS方向で撚り合せ、外径1.03mmの芯ストランドを得た。
【0084】
4−2)側シェンケルの側ストランドの製作工程
第1工程:1+6
径0.205mmの芯素線の周りに径0.202mmの側素線を6本配し、撚りピッチ6.3mmでZ方向に撚り合わせて外径0.61mmの内層を得た。
第2工程:(1+6)+12
内層に対して、径0.202mmの側素線を12本配し、撚りピッチ10.00mmでZ方向に撚り合せ、外径1.01mmの側ストランドを得た。
【0085】
4−3)側シェンケルの撚り工程{(1+6)+12}+6×{(1+6)+12}
1本の芯シェンケル芯ストランド(径1.03mm)の回りに、6本の芯シェンケル側ストランド(径1.01mm)を配し、ピッチ22.00mmでS方向で撚り合せ、外径3.04mmの側シェンケルを得た。
【0086】
(5)インサートストランドの製作
5−1)第1フィラーストランドの製作工程
径0.205mmの素線を4本、撚りピッチ5.0mmにてS方向に撚り合せ、外径0.49mmのストランドを作った。これを6本用意し、それぞれに、溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出して、0.05mmの厚さで被覆し、仕上げ径0.59mmの樹脂被覆第1フィラーストランドを得た。
【0087】
5―2)第2フィラーストランドの製作工程
第一工程 1+6
径0.205mmの1本芯素線の周りに径0.202mmの6本の側素線を配し、撚りピッチ6.3mmでS方向に撚り合わせ、外径0.61mmの内層を得た。
第2工程:(1+6)+12
内層に対して、径0.202mmの側素線を12本配し、撚りピッチ10.00mmでS方向に撚り合せ、外径1.01mmのストランドを得た。これを6本用意し、それぞれに、溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出して、0.1mmの厚さで被覆し、仕上げ径1.01mmの樹脂被覆第2フィラーストランドを得た。
【0088】
(6)ロープ撚り工程
チューブラー型撚線機を使用し、前記被覆芯シェンケルの周りに、被覆第1フィラーストランドを等間隔で6本配し、それら被覆第1フィラーストランドの各間隔内に側シェンケルを6本配し、それら側シェンケルの谷間に被覆第2フィラーストランドを6本配し、撚りピッチ70.0mm、撚り方向Zにて撚り合せ、外径径9.73mmの素ロープを得た。
【0089】
(7)型付けおよびならし
撚線機に直径が10.0mmの3本のロールを千鳥状に配置した型付装置を配し、ボイスの下流に直径が60mmの上下で対をなす9+10組のならしロールを配しておき、型付率平均70%程度の型付けとならしを行なった。
【0090】
(8)全体被覆
型付けおよびならしを施した素ロープに溶融ポリウレタンをエクスチュルーダにて0.50mmの厚さに被覆し、径10.73mmの仕上げロープを得た。得られたロープの鋼材断面密度は38.1%、表面の摩擦係数は0.3μ、破断荷重は69kNであった。
比較のため、被覆第1フィラーストランドと被覆第2フィラーストランドを使用しないほかは前記仕様としたロープを製作したところ、鋼材断面密度は33.2%、破断荷重は63kNであり、本発明はこれに比べて大幅に強度が向上されたことがわかった。
【0091】
本発明ロープ3本を、かごとカウンターウエイトの重量2tonの模擬エレベータに使用したところ、径150mm、溝3個で溝R5.25mmの丸溝付きシーブを使用して、安全率10で円滑に運転することができた。
比較のため、素線径0.475〜0.955mmの低炭素鋼素線(C:0.42wt%)を用いた比較ロープ:構造8×S(19)、径12.5mm、強度63.5KN×3本を作成し、前記模擬エレベータに使用したところ、シーブ径500mm、シーブ溝3個、溝R6.2mmアンダーカット付きでなければ、円滑な運転ができなかった。
【0092】
実施例2
本発明を適用して第1態様の第2例のロープを製作した。素線としては0.245〜0.265mmのものを使用した。二次伸線を5パス程度の冷間伸線で2.0mm〜1.40mmにするほかは、素線の製造条件は実施例1と同じである。
【0093】
(1)芯シェンケルの製作
1−1)芯シェンケルの芯ストランドの製作工程 1×12
径0.265mmの芯素線3本と、径0.250mmの9本の側素線を、撚りピッチ14.5mmにてZ方向に撚り合せ、外径1.05mmの芯ストランドを作った。
1−2)芯シェンケルの側ストランドの製作工程 1×12
径0.260mmの芯素線3本と、径0.245mmの9本の側素線を、撚りピッチ14.5mmでS方向に撚り合せ、外径1.02mmの側ストランドを得た。
【0094】
1−3)芯シェンケル撚り工程{(1×12)+6×(1×12)}
前記1本の芯シェンケル芯ストランドの回りに、6本の芯シェンケル側ストランドを配し、撚りピッチ22.0mmでZ方向に撚り合せ、外径3.09mmの芯シェンケルを得た。
【0095】
(2)芯シェンケルの被覆
溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出し、前記芯シェンケルに0.3mmの厚さで被覆し、仕上げ径3.69mmの樹脂被覆芯シェンケルを得た。
【0096】
(3)側シェンケルの製作
3−1)側シェンケルの芯ストランドの製作工程 1×12
径0.265mmの芯素線3本と、径0.250mmの9本の側素線を、撚りピッチ14.5mmにてS方向に撚り合せ、外径1.05mmの芯ストランドを作った。
3−2)芯シェンケルの側ストランドの製作工程 1×12
径0.260mmの芯素線3本と、径0.245mmの9本の側素線を、撚りピッチ14.5mmでZ方向に撚り合せ、外径1.02mmの側ストランドを得た。
【0097】
3−3)側シェンケル撚り工程{(1×12)+6×(1×12)}
前記1本の側シェンケル芯ストランドの回りに、6本の側シェンケル側ストランドを配し、撚りピッチ22.0mmでS方向に撚り合せ、外径3.09mmの芯シェンケルを得た。
【0098】
(4)インサートストランドの製作
4−1)第1フィラーストランドの製作工程 1×3
径0.265mmの素線を3本、撚りピッチ10.0mmにてS方向に撚り合せ、外径0.57mmのストランドを作った。これを6本用意し、それぞれに、溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出して、0.05mmの厚さで被覆し、仕上げ径0.67mmの樹脂被覆第1フィラーストランドを得た。
【0099】
4―2)第2フィラーストランドの製作工程 1×12
径0.265mmの3本の芯素線の周りに径0.250mmの9本の側素線を配し、撚りピッチ14.5mmでS方向に撚り合わせ、外径1.05mmのストランドを得た。これを6本用意し、それぞれに、溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出して、0.1mmの厚さで被覆し、仕上げ径1.25mmの樹脂被覆第2フィラーストランドを得た。
【0100】
(5)ロープ撚り工程
チューブラー型撚線機を使用し、前記被覆芯シェンケルの周りに、被覆第1フィラーストランドを等間隔で6本配し、それら被覆第1フィラーストランドの各間隔内に側シェンケルを6本配し、それら側シェンケルの谷間に被覆第2フィラーストランドを6本配し、撚りピッチ70.0mm、撚り方向Zにて撚り合せ、外径径9.87mmの素ロープを得た。なお、型付けおよびならしは、第1実施例と同じ条件で行った。
【0101】
(6)全体被覆
型付けおよびならしを施した素ロープに溶融ポリウレタンをエクスチュルーダにて0.50mmの厚さに被覆し、径10.87mmの仕上げロープを得た。得られたロープの鋼材断面密度は36.0%、表面の摩擦係数は0.3μ、破断荷重は68kNであった。
比較のため、被覆第1フィラーストランドと被覆第2フィラーストランドを使用しないほかは前記仕様としたロープを製作したところ、鋼材断面密度は31.0%、破断荷重は62kNであり、本発明はこれに比べて大幅に強度が向上されたことがわかった。
【0102】
実施例3
本発明を適用して第1態様の第3例のロープ{7×(7×7)}を製作した。素線としては0.250〜0.260mmのものを使用した。他の素線条件は実施例2と同じである。
【0103】
(1)芯シェンケルの製作
1−1)芯シェンケルの芯ストランドの製作工程 1+6
径0.260mmの芯素線1本と、径0.260mmの6本の側素線を、撚りピッチ12.5mmにてZ方向に撚り合せ、外径0.78mmの芯ストランドを作った。
1−2)芯シェンケルの側ストランドの製作工程 1+6
径0.250mmの芯素線1本と、径0.250mmの6本の側素線を、撚りピッチ12.5mmでS方向に撚り合せ、外径0.75mmの側ストランドを得た。
【0104】
1−3)芯シェンケル撚り工程{(1+6)+6×(1+6)}
前記1本の芯シェンケル芯ストランドの回りに、6本の芯シェンケル側ストランドを配し、撚りピッチ20.0mmでZ方向に撚り合せ、外径2.28mmの芯シェンケルを得た。
【0105】
(2)芯シェンケルの被覆
溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出し、前記芯シェンケルに0.25mmの厚さで被覆し、仕上げ径2.78mmの樹脂被覆芯シェンケルを得た。
【0106】
(3)側シェンケルの製作
3−1)側シェンケルの芯ストランドの製作工程 1+6
径0.250mmの芯素線1本と、径0.250mmの6本の側素線を、撚りピッチ12.5mmでS方向に撚り合せ、外径0.78mmの側ストランドを得た。
3−2)芯シェンケルの側ストランドの製作工程 1+6
径0.250mmの芯素線1本と、径0.250mmの6本の側素線を、撚りピッチ12.5mmでZ方向に撚り合せ、外径0.75mmの側ストランドを得た。
【0107】
3−3)側シェンケル撚り工程{(1+6)+6×(1+6)}
前記1本の側シェンケル芯ストランドの回りに、6本の側シェンケル側ストランドを配し、撚りピッチ20.0mmでS方向に撚り合せ、外径2.28mmの芯シェンケルを得た。
【0108】
(4)インサートストランドの製作
4−1)第1フィラーストランドの製作工程 1×3
径0.20mmの素線を3本、撚りピッチ10.0mmにてS方向に撚り合せ、外径0.43mmのストランドを作った。これを6本用意し、それぞれに、溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出して、0.05mmの厚さで被覆し、仕上げ径0.53mmの樹脂被覆第1フィラーストランドを得た。
【0109】
4―2)第2フィラーストランドの製作工程 1+6
径0.260mmの1本の芯素線の周りに径0.260mmの6本の側素線を配し、撚りピッチ12.5mmでS方向に撚り合わせ、外径0.78mmのストランドを得た。これを6本用意し、それぞれに、溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出して、0.1mmの厚さで被覆し、仕上げ径0.98mmの樹脂被覆第2フィラーストランドを得た。
【0110】
(5)ロープ撚り工程
チューブラー型撚線機を使用し、前記被覆芯シェンケルの周りに、被覆第1フィラーストランドを等間隔で6本配し、それら被覆第1フィラーストランドの各間隔内に側シェンケルを6本配し、それら側シェンケルの谷間に被覆第2フィラーストランドを6本配し、撚りピッチ52mm、撚り方向Zにて撚り合せ、外径7.34mmの素ロープを得た。なお、型付けおよびならしは、直径8.0mmの3ロールと直径50mmのならしロールを使用し、第1実施例と同じ条件で行った。
【0111】
(6)全体被覆
型付けおよびならしを施した素ロープに溶融ポリウレタンをエクスチュルーダにて0.50mmの厚さに被覆し、径8.34mmの仕上げロープを得た。得られたロープの鋼材断面密度は36.3%、表面の摩擦係数は0.3μ、破断荷重は40kNであった。
比較のため、被覆第1フィラーストランドと被覆第2フィラーストランドを使用しないほかは前記仕様としたロープを製作したところ、鋼材断面密度は31.2%、破断荷重は36kNであり、本発明はこれに比べて大幅に強度が向上されたことがわかった。
【0112】
実施例4
本発明を適用して第2態様のロープを製作した。
素線条件は、二次伸線工程で4パス程度の冷間伸線を行って線径を2.0mmから1.65mmにし、最終伸線で0.290〜0.310mmにするほか第3実施例と同じである。
【0113】
(1)芯シェンケルの製作
1−1)芯シェンケルの芯ストランドの製作工程
第1工程:1+6
径0.310mmの芯素線1本と、径0.310mmの6本の側素線を、撚りピッチ15.0mmにてS方向に撚り合せ、外径0.93mmの芯ストランドを作った。
【0114】
1−2)芯シェンケルの側ストランドの製作工程
第1工程:1+6
径0.290mmの芯素線1本と、径0.290mmの6本の側素線を、撚りピッチ15.0mmでS方向に撚り合せ、外径0.87mmの側ストランドを得た。
【0115】
1−3)芯シェンケル撚り工程(1×12)+6×(1×12)
1本の芯シェンケル芯ストランドの周りに6本の芯シェンケル側ストランドを配し、撚りピッチ22.00mmでZ方向に撚り合せ、外径2.67mmの芯シェンケルを得た。
【0116】
(2)芯シェンケルの被覆
溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出し、前記芯シェンケルに0.30mmの厚さで被覆し、仕上げ径3.27mmの樹脂被覆芯シェンケルを得た。
【0117】
(3)側ストランドの製作
3−1)第1工程:1×3
径0.300mmの3本の素線を撚りピッチ8.0mmでZ方向に撚り合わせ、外径0.65mmの芯部(第1層)を得た。
3−2)第2工程:第1層+第2層
前記第1層の周りに、径0.300mmの9本の素線を配し、撚りピッチ16.0mmでZ方向に撚り合せ、外径1.25mmの複層撚合体を得た。
【0118】
3−3)第3工程:第1層+第2層+第3層
前記第2層の周りに径0.300mmの素線を15本配し、撚りピッチ22.0mmでS方向に撚り合わせ、径1.85mmの側ストランドを得た。
【0119】
(4)インサートストランドの製作
4−1)第1フィラーストランドの製作工程 1×3
径0.150mmの素線を3本、撚りピッチ5.0mmにてZ方向に撚り合せ、外径0.32mmのストランドを作った。これを8本用意し、それぞれに、溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出して、0.05mmの厚さで被覆し、仕上げ径0.42mmの樹脂被覆第1フィラーストランドを得た。
【0120】
4―2)第2フィラーストランドの製作工程 1×3
径0.250mmの素線を3本、撚りピッチ8.0mmにてZ方向に撚り合せ、外径0.54mmのストランドを作った。これを8本用意し、それぞれに、溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出して、0.1mmの厚さで被覆し、仕上げ径0.64mmの樹脂被覆第2フィラーストランドを得た。
【0121】
(5)ロープ撚り工程
チューブラー型撚線機を使用し、前記被覆芯シェンケルの周りに、被覆第1フィラーストランドを等間隔で8本配し、それら被覆第1フィラーストランドの各間隔内に側ストランドを8本配し、それら側ストランドの谷間に被覆第2フィラーストランドを8本配し、撚りピッチ50mm、撚り方向Zにて撚り合せ、外径6.97mmの素ロープを得た。なお、型付けおよびならしは、直径8.0mmの3ロールと直径50mmのならしロールを使用し、第1実施例と同じ条件で行った。
【0122】
(6)全体被覆
型付けおよびならしを施した素ロープに溶融ポリウレタンをエクスチュルーダにて0.50mmの厚さに被覆し、径7.97mmの仕上げロープを得た。得られたロープの鋼材断面密度は40.4%、表面の摩擦係数は0.3μ、破断荷重は43kNであった。
比較のため、被覆第1フィラーストランドと被覆第2フィラーストランドを使用しないほかは同じ仕様としたロープを製作したところ、鋼材断面密度は37.2%、破断荷重は40kNであり、本発明はこれに比べて大幅に強度が向上されたことがわかった。
【0123】
本発明ロープ3本を、かごとカウンターウエイトの重量2tonの模擬エレベータに使用したところ、径150mm、溝3個で溝R5.25mmの丸溝付きシーブを使用して、安全率10で円滑に運転することができた。
【0124】
第5実施例
本発明を適用して第3態様のロープ7×(3+9+15)を製作した。
素線の製造条件、線径、機械的性質は第4実施例と同じである。
(1)芯ストランドの製作
1−1)第1工程:1×3
径0.300mmの素線を3本、撚りピッチ8.0mmにてS方向に撚り合せ、外径0.65mmの芯部(第1層)を作った。
1−2)第2工程:第1層+第2層
前記第1層の周りに、径0.300mmの9本の素線を配し、撚りピッチ16.0mmでS方向に撚り合せ、外径1.25mmの複層撚合体を得た。
1−3)第3工程:第1層+第2層+第3層
前記第2層の周りに径0.300mmの素線を15本配し、撚りピッチ22.0mmでZ方向に撚り合わせ、径1.85mmの側ストランドを得た。
【0125】
(2)芯ストランドの被覆
溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出し、前記芯ストランドに0.30mmの厚さで被覆し、仕上げ径2.45mmの樹脂被覆芯ストランドを得た。
【0126】
(3)側ストランドの製作
3−1)第1工程:1×3
径0.300mmの3本の素線を撚りピッチ8.0mmでZ方向に撚り合わせ、外径0.65mmの芯部(第1層)を得た。
3−2)第2工程:第1層+第2層
前記第1層の周りに、径0.300mmの9本の素線を配し、撚りピッチ16.0mmでZ方向に撚り合せ、外径1.25mmの複層撚合体を得た。
【0127】
3−3)第3工程:第1層+第2層+第3層
前記第2層の周りに径0.300mmの素線を15本配し、撚りピッチ22.0mmでS方向に撚り合わせ、径1.85mmの側ストランドを得た。
【0128】
(4)インサートストランドの製作
4−1)第1フィラーストランドの製作工程 1×3
径0.150mmの素線を3本、撚りピッチ5.0mmにてZ方向に撚り合せ、外径0.32mmのストランドを作った。これを6本用意し、それぞれに、溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出して、0.05mmの厚さで被覆し、仕上げ径0.42mmの樹脂被覆第1フィラーストランドを得た。
【0129】
4―2)第2フィラーストランドの製作工程 1×3
径0.300mmの素線を3本、撚りピッチ8.0mmにてZ方向に撚り合せ、外径0.65mmのストランドを作った。これを6本用意し、それぞれに、溶融ポリエチレンをエクスチュルーダにて押出して、0.1mmの厚さで被覆し、仕上げ径0.85mmの樹脂被覆第2フィラーストランドを得た。
【0130】
(5)ロープ撚り工程
チューブラー型撚線機を使用し、被覆芯ストランドの周りに、被覆第1フィラーストランドを等間隔で6本配し、それら被覆第1フィラーストランドの各間隔内に側ストランドを6本配し、それら側ストランドの谷間に被覆第2フィラーストランドを6本配し、撚りピッチ50mm、撚り方向Zにて撚り合せ、外径6.15mmの素ロープを得た。なお、型付けおよびならしは、直径8.0mmの3ロールと直径50mmのならしロールを使用し、第1実施例と同じ条件で行った。
【0131】
(6)全体被覆
型付けおよびならしを施した素ロープに溶融ポリウレタンをエクスチュルーダにて0.50mmの厚さに被覆し、径7.15mmの仕上げロープを得た。得られたロープの鋼材断面密度は37.2%、表面の摩擦係数は0.3μ、破断荷重は30kNであった。
比較のため、被覆第1フィラーストランドと被覆第2フィラーストランドを使用しないほかは同じ仕様としたロープを製作したところ、鋼材断面密度は33.3%、破断荷重は28kNであり、本発明はこれに比べて強度が向上されたことがわかった。
【0132】
【発明の効果】
以上説明した本発明の請求項1によるときには、次のようなすぐれた効果が得られる。
1)高強度材質の細径の素線を多数撚り込んでいるため、疲労性が良好な細径かつ軽量で要求強度を満足するロープとすることができ、しかも特に、ロープ断面において、被覆芯シェンケルと側シェンケルとの谷間および側シェンケル相互間の谷間の各スペースに、高分子化合物で外周を被覆した第1フィラーストランドと第2フィラーストランドを充填しているので、鋼材断面密度が高くなり、ロープ径はそのままで単位面積あたりの強度を高くすることができる。
【0133】
2)側シェンケル8の周りに高分子化合物被覆10を施しており、この部分がシーブと接触するのでシーブの摩耗を防止することができるとともに、被覆高分子化合物により摩擦係数が高くなるので、シーブの特殊な溝加工やシーブに対するロープのダブルラップが不要になる。特にダブルラップが不要になることでシーブ軸に作用する力を軽減できるため、軸や軸受け小型化することができ、これによってもコストダウンを図ることができる。
【0134】
3)芯シェンケル7が高分子化合物被覆されているため、側シェンケル8とのフレッティングが緩和され、ロープ寿命を向上することができるとともに、芯シェンケル7が高分子化合物被覆されて増径されているので、側シェンケル8,8間に隙間を形成することができ、その隙間に高分子化合物で外周を被覆13,14した第1フィラーストランド11と第2フィラーストランド12を充填しているので、側シェンケル8,8の直接的金属接触を防止することができ、このため、側シェンケル間8,8のフレッティングが緩和され、疲労性を改善し、ロープの寿命を向上することができる。
4)芯シェンケル7の径を変えることなく、高分子化合物の被覆厚さを変えるだけで側シェンル間の高分子化合物の侵入隙間を容易にコントロールすることができるので、全体被覆高分子化合物の性質などに即応することができる。これにより生産性を向上することができる。
【0135】
請求項2によれば、芯シェンケル7と側ストランド8’との組合わせであるため、請求項1の効果に加え、第1に鋼材断面密度を高くすることができ、これによりロープ径が小さくても高い強度を得ることができ、それによりハンドリング性がよくなり、被覆材としての高分子化合物の量を少なくすることができ、またシーブ径や動力系を一段と小型化することができる。第2に側ストランド8’を使用しているためその断面形状を丸い形状とすることができ、これによりシーブとの間に介在する外装被覆にかかる面圧を緩和することができ、それにより外装被覆の長寿命化を実現できるとともに外装被覆の変形が少なくなるため、エレベータに適用した場合に振動を減少することができる。第3に側がシェンケルタイプ(ストランドをさらに撚り合わせたたもの)ではなくストランドタイプであるため、フレッティングを減少させることができ、摩耗による寿命低下を改善することができる。
【0136】
請求項3によれば、芯ストランド7’と側ストランド8’との組合わせであるため、請求項1、2の効果に加え、芯ストランドと側ストランドは撚り方向を異にした同じ構造でよいので、シンプルとなり、製造が容易でコストの低減を図ることができるというすぐれた効果が得られる。
【0137】
請求項4によれば、システムの省スペースやコストダウンが可能な実用性の高いエレベータ用ロープを提供できるというすぐれた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をエレベータ用ロープに適用したエレベータの一例を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明ロープの第1態様の第1例を示す部分切欠斜視図である。
【図3】図2の拡大断面図である。
【図4】(a)は第1例における芯シェンケルの芯ストランドの製作第1工程を示す断面図、(b)は同じく第2工程を示す断面図である。
【図5】(a)は第1例における芯シェンケルの側ストランドの製作第1工程を示す断面図、(b)は同じく第2工程を示す断面図である。
【図6】(a)は第1例における芯シェンケルの断面図、(b)は被覆後の芯シェンケルの断面図である。
【図7】(a)は第1例における側シェンケルの芯ストランドの製作第1工程を示す断面図、(b)は同じく第2工程を示す断面図である。
【図8】(a)は第1例における側シェンケルの側ストランドの製作第1工程を示す断面図、(b)は同じく第2工程を示す断面図である。
【図9】第1例の側シェンケルの断面図である。
【図10】(a)は第1例の第1フィラーストランドの撚り合わせ状態を示す断面図、(b)は被覆状態を示す断面図である。
【図11】(a)は第1例の第2フィラーストランドの撚り合わせ状態を示す断面図、(b)は被覆状態を示す断面図である。
【図12】第1例の素ロープの拡大断面図である。
【図13】第1態様の第2例の部分切欠斜視図である。
【図14】第2例の拡大断面図である。
【図15】(a)は第2例の芯シェンケルの芯ストランドを示す断面図、(b)は芯シェンケルの側ストランドを示す断面図である。
【図16】第1態様の第3例ロープの拡大断面図である。
【図17】本発明の第2態様ロープの拡大断面図である。
【図18】(a)は第2態様における芯シェンケルの芯ストランドの断面図、(b)は同じく側ストランドの断面図である。
【図19】(a)は第2態様の素芯シェンケルの断面図、(b)は被覆状態の断面図である。
【図20】(a)は第2態様の側ストランドの第1層を示す断面図、(b)は第2層形成段階の断面図、(c)は側ストランドの断面図である。
【図21】(a)は第2態様の第1フィラーストランドの撚り合わせ状態を示す断面図、(b)は被覆状態を示す断面図、(c)は第2フィラーストランドの断面図である。
【図22】第2態様の素ロープの状態を示す断面図である。
【図23】本発明の第3態様を示す断面図である。
【符号の説明】
1 高密度ワイヤロープ
7 芯シェンケル
7P 素芯シェンケル
7a 芯シェンケルの芯ストランド
7b 芯シェンケルの側ストランド
7’被覆芯ストランド
8 側シェンケル
8a 側シェンケルの芯ストランド
8b 側シェンケルの側ストランド
8’ 側ストランド
9 高分子化合物被覆
10 外装被覆
11 第1フィラーストランド
12 第2フィラーストランド
13,14 高分子化合物被覆

Claims (4)

  1. 高強度鋼素線を使用したワイヤロープにして、素線を撚り合わせて構成した芯ストランド7aの周りに複数本の側ストランド7bを配して撚り合わせかつ外周に高分子化合物被覆9を施した1本の被覆芯シェンケル7と、それぞれが素線を撚り合わせた芯ストランド8aの周りに複数本の側ストランド8bを配して撚り合わせて構成され前記被覆芯シェンケルの周りに配された複数本の側シェンケル8と、高分子化合物で外周を被覆されて構成され前記被覆芯シェンケル7と側シェンケル8で囲まれたスペースに充填された細径の複数本の第1フィラーストランド11と、高分子化合物で外周を被覆されて構成され、前記側シェンケル8間の外径側の谷間に充填された細径の複数本の第2フィラーストランド12と、前記側シェンケル8を囲む高分子化合物の外装被覆10を備えていることを特徴とするワイヤロープ。
  2. 高強度鋼素線を使用したワイヤロープにして、素線を撚り合わせて構成した芯ストランド7aの周りに複数本の側ストランド7bを配して撚り合わせかつ外周を高分子化合物被覆9を施した1本の被覆芯シェンケル7と、素線を撚り合わせた芯部の周りに複数本の側素線を配して複層に撚り合わせて構成され前記被覆芯シェンケル7の周りに配された複数本の側ストランド8’と、高分子化合物13で外周を被覆されて構成され前記被覆芯シェンケル7と側ストランド8’で囲まれたスペースに充填された細径の複数本の第1フィラーストランド11と、高分子化合物14で外周を被覆されて構成され、前記側ストランド8’間の外径側の谷間に充填された細径の複数本の第2フィラーストランド12と、前記側ストランド8’を囲む高分子化合物の外装被覆10を備えていることを特徴とするワイヤロープ。
  3. 高強度鋼素線を使用したワイヤロープにして、素線を撚り合わせた芯部の周りに複数本の側素線を配して複層に撚り合わせて構成されかつ外周を高分子化合物被覆9を施した1本の被覆芯ストランド7’と、素線を撚り合わせた芯部の周りに複数本の側素線を配して複層に撚り合わせて構成され前記被覆芯ストランド7’の周りに配された複数本の側ストランド8’と、高分子化合物13で外周を被覆されて構成され前記被覆芯ストランド7’と側ストランド8’で囲まれたスペースに充填された細径の複数本の第1フィラーストランド11と、高分子化合物14で外周を被覆されて構成され、前記側ストランド8’間の外径側の谷間に充填された細径の複数本の第2フィラーストランド12と、前記側ストランド8’を囲む高分子化合物の外装被覆10を備えていることを特徴とするワイヤロープ。
  4. エレベータ用ロープとして使用される請求項1ないし3のいずれかに記載のワイヤロープ。
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