JP4063464B2 - 鱗片状シリカ粒子、硬化性組成物、それからなる硬化体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自己造膜性を有し、常温においても強固なシリカ被膜を形成しうる鱗片状のシリカ粒子に関し、さらに詳しくは、耐酸性、耐アルカリ性及び耐熱性を併せ有する強固なシリカ被膜を形成しうる鱗片状のシリカ粒子若しくはこれを含有する硬化性組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
この硬化性組成物は、粒子結着剤(バインダー)、建物や構築物の外装用あるいは内装用塗料・コーテング剤、熱的機能(耐熱、断熱、防火・難燃など)を有する塗料・コーティング剤、光学的機能(紫外線遮蔽、光選択吸収、発光・蛍光など)を有する塗料・コーティテング剤、電気・磁気的機能(電気絶縁、導電性、帯電防止、電波吸収、電磁波遮蔽など)を有する塗料・コーティング剤、吸着機能(水分の吸着・脱着、ガスの吸着・脱着、薄層クロマトグラフィーなど)を有する塗料・コーティング剤及び吸着剤粒子の粒子結着剤(バインダー)、触媒機能(光触媒など)を有する塗料・コーティング剤及び触媒粒子の粒子結着剤(バインダー)、対生物機能(抗菌、防黴、船底防汚、水産栄養、細胞培養など)を有する塗料・コーティング剤、芳香、消臭機能を有する塗料・コーティング剤などの種々の用途に有用なものである。
【0003】
【従来の技術】
従来より有機系の塗料やコーティングは、フッ素樹脂塗料やアクリルシリコン樹脂塗料などの高耐久性塗料をはじめとして、種々の材料が利用されている。しかしながら、一方では、有機系塗料等では、これらに特有の問題、例えば耐自然汚染性の付与、透湿性・呼吸性の付与、有機溶媒からの脱却、室内における揮発性有機化合物(VOC)による空気汚染等多くの問題を考慮することが必要である。また、抗菌・汚れ防止に光触媒粒子を利用する場合に、粒子を基体に保持するため有機系の塗料やバインダーが使用されているが、これらは一般的に耐久性に乏しく、さらに防火・難燃性上の問題などの多くの問題がある。従って、これらの問題が本質的に少ない、無機系の塗料やコーティング剤の開発が指向されてきた。
【0004】
無機系の塗料・コーテイング剤あるいは粒子結着剤(バインダー)としては、人体や環境への安全性の観点からケイ素系材料が多く使用されている。ケイ素系材料のうち、塗膜形成機能あるいは粒子結着性を有する材料としては、▲1▼ケイ酸アルカリ(水ガラス系)水溶液、▲2▼コロイダルシリカ、▲3▼オルガノアルコキシシラン、▲4▼ベントナイト、スメクタイトなどが知られている。
【0005】
しかしながら、▲1▼ケイ酸アルカリの水溶液は、高アルカリ性であって作業上の安全性に問題を有し、また硬化させるには熱風処理や加熱処理を必要とし、常温硬化は困難である。▲2▼コロイダルシリカは、粒子結着剤やコーティング剤に適しており、広く用いられているが、コロイダルシリカ単独で形成できる塗膜厚みは、一般的には10μm未満、通常は5μm未満であり、それ以上の膜厚では、膜にひび割れが多くなり丈夫な塗膜が得られない。しかも一般的には、塗膜の強度向上には、加熱処理が必要である。また、コロイダルシリカは、非晶質シリカであるために、耐酸性はあるが、耐アルカリ性は乏しいという欠点を有する。
【0006】
▲3▼オルガノアルコキシシランは、硬化には加熱処理を必要とすることと、耐アルカリ性が乏しいという欠点を有する。また、これらは本質的には有機物であるため、得られる硬化体は、難燃性を有していない。▲4▼なお、ベントナイト及びスメクタイトは、いずれも耐水性、耐酸性、耐アルカリ性に乏しい。
【0007】
また、ケイ素系材料の中でシリカ(=二酸化ケイ素)も公知であるが、シリカゲル、含水ケイ酸(いわゆるホワイトカーボン)、クオーツ、クリストバライト、トリジマイトなどの、コロイダルシリカ以外のシリカは、粒子結着剤(バインダー)なしでは、塗膜形成機能(自己造膜性)が極めて乏しいと云う問題を有する。
【0008】
いずれにせよ、上記のごとく、従来のシリカ系の被膜形成材料においては、常温硬化性、厚塗り性、自己造膜性(コーティング性及びバインダー性)をすべて有し、かつ、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性のすべてを備えたシリカ被膜を形成しうるものは無かった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来のケイ素系材料の有していたこれらの欠点を基本的に解決した微小鱗片状シリカ(=二酸化ケイ素)、それを単独あるいは含有する硬化性組成物、さらに、それよりなる硬化体及びその製造方法を提供することにある。上記硬化体は、塗料・コーティング剤、成型体用の粒子結着剤等に適する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題の重要性に鑑み鋭意検討した結果、微小鱗片状の低結晶性シリカを合成するにあたり、その粒子形態の微細構造を制御し、微小鱗片状シリカの粒子形態が、薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向して複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子から実質的になることを特徴とする積層構造の粒子形態の微小鱗片状シリカを使用することにより、驚くべきことに、上記問題が基本的に解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明に従えば、以下の発明が提供される。
(鱗片状シリカ)
(1) 鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子から実質的になり、互いに独立に存在することを特徴とする積層構造の粒子形態を有する鱗片状シリカ粒子。
【0012】
(硬化性組成物)
(2) (1) に記載の積層構造の粒子形態を有する鱗片状シリカ粒子と揮発性液体からなることを特徴とする硬化性組成物。
ここで揮発性液体とは、水及び/又は水以外の揮発性液体(揮発性有機溶媒等)を意味する。
【0013】
(3) (1) に記載の揮発性液体が揮発する温度で、実質的に揮発しない低揮発性物質を更に含む硬化性組成物。
【0014】
(硬化体)
(4) 鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子が、さらに2次粒子どうしが平行的に積層されて構成されたことを特徴とする硬化体。
(5) 硬化体中に前記低揮発性物質をさらに含む (4) に記載の硬化体。
【0015】
(粒子の製造方法)
(6) 硬化性組成物用の鱗片状シリカ粒子の製造方法であって、
(i)シリカヒドロゲル、活性ケイ酸または含水ケイ酸のいずれかをアルカリ金属塩の存在下に水熱処理し、薄片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なった葉状シリカ2次粒子と、当該2次粒子が3次元的に不規則に重なり合って形成される間隙を有する3次粒子からなる鱗片状シリカ3次凝集体粒子を形成する工程、及び
(ii)上記シリカ3次凝集体粒子を解砕・分散化し、3次粒子が実質的に存在しない実質的に2次粒子からなる葉状シリカ粒子とする工程からなることを特徴とする、葉状シリカ2次粒子から実質的になる積層構造の粒子形態を有する鱗片状シリカ粒子の製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
1.(積層構造の粒子形態を有する鱗片状シリカ粒子)
まず、本発明の鱗片状シリカ粒子及びその製造方法について述べる。
【0018】
本発明の鱗片状シリカ粒子は、薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向して複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子から実質的になる積層構造の粒子形態を有する鱗片状シリカ(以下本発明の葉状シリカ2次粒子とも称する。)である。
【0019】
薄片1次粒子は、その厚さが0.001〜0.1μmのものである。このような薄片1次粒子は、互いに面間が平行的に配向して1枚または複数枚重なった葉状シリカ2次粒子を形成するが、当該2次粒子の厚さは、0.001〜3μm、好ましくは0.005〜2μmであり、厚さに対する葉状2次粒子(板)の最長長さの比(アスペクト比)は、少なくとも10、好ましくは30以上、さらに好ましくは50以上のものであり、厚さに対する葉状2次粒子(板)の最小長さの比は、少なくとも2、好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上を有するような鱗片状のシリカである。なお、当該2次粒子は、融着することもなく互いに独立に存在している。
【0020】
葉状2次粒子の厚さが0.001μm未満の場合には、葉状2次粒子の機械的強度が不十分となり好ましくない。一方、葉状2次粒子の厚さが3μmより大きくなると、硬化体用途に使用した場合に硬化体としての特徴を充分発現することができない。
【0021】
なお、葉状2次粒子の厚さに対する最長長さの比及び最小長さの比の上限は、特に規定するものではないが、前者は300以下、好ましくは200以下が実際的であり、後者は150以下、好ましくは100以下が実際的である。
【0022】
上記のように、本発明に云う葉状2次粒子の厚さ及び長さは、特に断らないかぎり、その2次粒子についての平均値を意味する。
【0023】
本発明において、鱗片状とは、粒子が実質的に薄い板状の形態を有しているものであればよく、これがさらに、部分的又は全体的に曲がったり、ねじれていてもよい。
【0024】
このような、葉状2次粒子が、さらに3次元的に不規則に重なりあって形成される間隙を有するシリカの凝集体粒子(3次粒子)自体は、所謂シリカ−X(以下Si O2 −Xとも表示する。)やシリカ−Y(同様にSi O2 −Yとも表示する。)等と称して、従来から学術的研究の対象としては、すでにその存在が知られていたものである。
【0025】
本発明の葉状シリカ2次粒子は、このようなシリカの凝集体粒子(3次粒子)(例えばSi O2 −XやSi O2 −Y)を後記する特定の手段で葉状の2次粒子まで解砕したものである。
【0026】
これらシリカの3次凝集体粒子であるシリカ−X等は、無定形( アモルファス )のシリカを水熱処理して、クリストバライトや石英( クオーツ )を形成させる過程で生じる、中間的なまたは準安定な相であり、シリカの準結晶質とも言うべき微弱な結晶相である。
【0027】
なお、シリカーXとシリカーYは、X線回折パタ−ンは、異なるが、電子顕微鏡で観察される粒子外観は極似しており、いずれも本発明の葉状シリカ2次粒子を得る目的に好ましく使用できるものである。
【0028】
シリカXやシリカY自体は、公知であるが、従来の典型的なシリカ−X等の製造方法は、シリカゲル( シリカキセロゲル )やエアロジル、沈降性シリカ等を出発物質とし、これを水熱処理するものであるが、反応時間が極めて長いという問題があった。例えば、シリカ−Xを最初に見出したHeydemann は、沈降性シリカ及びエアロジル(SiCl4 を高温熱分解して得られる超微粒子の非晶質シリカ)を出発原料としているが、これをオートクレーブ中でシリカーXに変換するのに180℃で1.5〜24日という極めて長時間を要している(Heydemann, A., Beitr. Mineral. Petrogr ., 10 , 242-259 (1964) )。
【0029】
一方、シリカ−Yについては、Mitsyuk らが比表面積600〜700m2 /gのシリカゲルを出発物質として用い、NaOH等の溶液中で145〜155℃で、長時間( 200〜220時間 )水熱処理することによりシリカ−Yを得ており( Mitsyuk,B.A.et al.Geochem.Int.13,101-111(1976))、また、Kitaharaらは、比表面積600m2 /gのシリカゲル(和光純薬(株)製シリカゲル(G)を出発物質として用い、NaCl含有KOH溶液中で、150〜160℃でやはり長時間(70〜170時間)水熱処理することにより、シリカ−Yを得ている(Kitahara S, etal . Proc. Inst. Symp. Hydrotherm. React. 1st (1983) )。
【0030】
このように、シリカゲルを出発物質とし水熱処理してシリカ−X等に変換させる方法は、工業的に適用するには、極めて長い反応時間( 水熱処理時間 )が必要であると云う問題があった。もちろん、水熱処理の温度を上げれば、時間を短縮することは、可能であるが、その場合は、操作範囲の安定性が失われ、石英(クオーツ)やクリストバライトが生成し易くなるという大きな問題を惹起する。
かくして、本発明の葉状シリカ2次粒子を得るために必要なシリカの凝集体粒子(3次粒子)であるシリカ−X等を、より低温度で、しかも工業的に実施するのに十分短い時間で、クオーツ等を生成させることなしに製造する技術が望まれる。
【0031】
(1)シリカの凝集体粒子(3次粒子)生成
本発明の葉状シリカ2次粒子は、シリカの3次凝集体粒子(3次粒子)(以下本発明におけるシリカ3次凝集体粒子とも称する。)を解砕して得るものであるが、まずその前駆粒子となるシリカ3次凝集体粒子の製造方法について説明する。
【0032】
本発明者らは、かかる観点から、従来のシリカゲル( シリカキセロゲル )を出発物質として使用する方法の代わりに、本発明におけるシリカ3次凝集体粒子を製造する、より好ましい二つの方法を提案した。
【0033】
第一の方法は、シリカ源及びアルカリ源を特定量含むシリカゾル、すなわちコロイダルシリカの水分散体を出発原料として水熱処理せしめることにより、シリカ−X等のシリカ3次凝集体粒子を、より短時間で安定性よく工業的に製造する方法である( 特開平11−29317号 )。この方法に従えば、本発明の葉状シリカ2次粒子が3次元的に不規則に重なり合って形成される間隙を有する3次粒子である凝集体(すなわ本発明におけるシリカ3次凝集体粒子)がそのまま得られるという利点を有する。
【0034】
これは、シリカ源及びアルカリ源を特定量含むシリカゾルを、水熱処理せしめる方法であって、シリカゾルとしては、シリカ/アルカリモル比( SiO2 /Me2 O、ここでMeはLi、NaまたはKなどのアルカリ金属を示す。以下、同じ。 )が、1.0〜3.4mol/molであるケイ酸アルカリ水溶液を、イオン交換樹脂法あるいは電気透析法などによって脱アルカリしたシリカゾルが好適に使用される。なお、ケイ酸アルカリ水溶液としては、例えば、水ガラスを適宜水で希釈したものなどが好ましい。
【0035】
シリカゾルのシリカ/アルカリモル比( SiO2 /Me2 O )は、3.5〜20mol/molの範囲が好ましく、4.5〜18mol/molの範囲がさらに好ましい。また、シリカゾル中のシリカ濃度は、2〜20質量%が好ましく、3〜15質量%が特に好ましい。
【0036】
シリカゾル中のシリカ粒子径は、平均粒子径を意味し、特に限定するものではないが100nm以下のものが好ましく、そのなかでも20nm以下の所謂活性ケイ酸と称されるものが特に好ましい。また粒径の下限値は、特に限定するものではないが、1.0nm以上のものが好ましい。粒子径が100nmを超えてあまり大きくなると、シリカゾルの安定性が低下するので好ましくない。
【0037】
シリカ粒子径の測定法は、この粒度が測定可能なものであれば特に限定するものではないが、レーザー光散乱粒度測定装置や透過型電子顕微鏡により撮影した粒子像サイズのスケール計測などで測定することができる。
【0038】
以上のごときシリカゾルを出発原料とし、これをオートクレーブ等の加熱圧力容器中で加熱して水熱処理を行い、本発明におけるシリカ3次凝集体粒子を生成せしめる。
【0039】
オートクレーブとしては、特にその形式を限定するものではないが、少なくとも加熱手段と攪拌手段、及び好ましくは、温度測定手段を備えたものであればよい。
【0040】
なお、シリカゾルを水熱処理するため、オートクレーブに仕込むに先立って、さらに蒸留水やイオン交換水のごとき精製水を加えることにより、シリカ濃度を所望の範囲に調製することも可能である。
【0041】
水熱処理は、反応速度をできるだけ大きく、かつ、結晶化の進行を小さくするため、150〜250℃の温度範囲で行われ、より好ましくは170〜220℃である。
【0042】
また、必要な水熱処理の時間は、水熱処理の温度や種晶の添加の有無等により変わりうるが、通常、3〜50時間、好ましくは、3〜40時間、より好ましくは5〜25時間程度である。
【0043】
なお、水熱処理を効率よく進め、処理時間を短くするためには、その添加は必須ではないが、0.001〜1質量%程度の種晶を添加することがより好ましい。種晶としては、シリカ−Xやシリカ−Y等をそのまま、または適宜粉砕して用いることができる。
【0044】
水熱処理終了後、水熱処理生成物をオートクレーブより取り出し、濾過、水洗する。水洗処理後の粒子は、10質量%の水スラリーとしたときのpHが5〜9であることが好ましく、より好ましいpHは、6〜8である。
【0045】
一方、第二の方法は、シリカヒドロゲルを出発物質として、アルカリ金属の存在下で水熱処理する方法であって、本発明におけるシリカ3次凝集体粒子であるシリカ−X、シリカ−Y等をより低温度・短時間反応で、クオーツ等の結晶を生成させること無く、しかも収率高く製造することができるため、より好ましい方法である(特願平10−291336号)。
【0046】
ここで出発原料として使用するのに適したシリカヒドロゲルは、粒子状シリカヒドロゲルである。シリカヒドロゲルの粒子形状は、真球状( 球状 )でも不定型粒状でもよく、また、その造粒方法は適宜選択できる。
【0047】
球状のシリカヒドロゲルの場合を例として示すと、古くから知られているように、シリカヒドロゾルを石油類その他の媒体中で、球形状に固化せしめて生成してもよいが、より好ましくは、特公昭48−13834号に記載されているように、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液を混合して、シリカゾルを短時間で生成させると同時に、気体媒体中に放出し、気体中でゲル化させる方法により製造されるものである。
【0048】
すなわち、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液とを、放出口を備えた容器内に別個の導入口から導入して瞬間的に均一混合し、SiO2 濃度換算で130g/l以上、pH7〜9であるシリカゾルを生成せしめ、これを、直ちに、上記放出口から、空気等の気体媒体中に放出させ、放物線を描いて滞空する間に空中でゲル化させるのである。落下地点には、水を張った熟成槽を置いておき、ここに落下せしめて数分〜数十分熟成させる。
【0049】
これに酸を添加してpHを下げ、水洗したものが本発明で使用するに好ましい球状のシリカヒドロゲルである。
【0050】
このシリカヒドロゲルは、粒径がよく揃った粒径2〜10mm程度の透明で弾力性を有する球状粒子であり、一例では、SiO2 に対して重量比で約4倍もの水を含有している( すなわち、SiO2 20質量%、水分80質量%程度 )ものである。
【0051】
なお、シリカヒドロゲル粒子は、実際上極めて多数の数nm程度の粒径のシリカ1次粒子の集合体であり、当該1次粒子の表面及び間隙に、この水が存在するものと推定されている。
【0052】
本発明で使用できるシリカヒドロゲル中のSiO2 濃度は、入手容易性及び反応性の点から、15〜75質量%(すなわち、水分量85〜25質量%)のものが好ましく、適宜乾燥してこの範囲で水分量を調節してもよい。なお、このシリカヒドロゲル中の水分量は、以下のようにして測定したものである。すなわち、シリカヒドロゲル試料を180Cで2時間乾燥後、残った試料質量を絶乾SiO2 量とし、質量減少量を試料シリカヒドロゲル中の水分量とするものである。
【0053】
ちなみに、このシリカヒドロゲル粒子を、150〜180°C程度の温度においてドライヤー等で十分乾燥し、間隙及び表面のヒドロゲル水分を除去したものが、工業的に製造・販売されている乾燥シリカゲル( シリカキセロゲル )であって、上述した従来のシリカ−X、シリカ−Yの製造法においては、この乾燥シリカゲルを水熱処理の出発原料シリカとして使用している。
【0054】
このようなシリカヒドロゲルを出発原料とし、これをシリカゾルを使用する第一の方法と同様に、オートクレーブ等の加熱圧力容器中で加熱して水熱処理を行い、本発明におけるシリカ3次凝集体粒子を生成させる。その場合、この球状シリカヒドロゲルをそのまま使用してもよいが、好ましくは、粉砕または粗粉砕して、粒径0.1〜6mm程度としたものが、オートクレーブ中での攪拌をより効果的に行えるために望ましい。
【0055】
なお、シリカヒドロゲルを水熱処理するために、オートクレーブに仕込む場合、蒸留水やイオン交換水のごとき精製水を加えることにより、シリカヒドロゲル濃度を所望の範囲に調整することが好ましい。オートクレーブ内の処理液中の総シリカ濃度は、攪拌効率、結晶生長速度、収率等を考慮して選択されるが、通常、全仕込み原料基準でSiO2 として1〜30質量%、好ましくは10〜20質量%である。ここで、処理液中の総シリカ濃度とは、系内の総シリカ濃度を意味し、シリカヒドロゲル中のシリカのみでなく、アルカリ金属塩としてケイ酸ナトリウム等を使用した場合は、これにケイ酸ナトリウム等により系に持ち込まれるシリカをも加えた値である。なお、総シリカ濃度は、第一のシリカゾルを使用する方法より高くすることができる。
【0056】
水熱処理においては、シリカヒドロゲルにアルカリ金属塩を共存させ、処理液のpHをアルカリ側に調節し、シリカ溶解度を適度に大きくし、所謂Ostwald の熟成に基づく晶析速度を高め、シリカヒドロゲルのシリカ−X等への変換を促進させる。
【0057】
ここでアルカリ金属塩とは、水酸化アルカリ、ケイ酸アルカリまたは炭酸アルカリ等を意味する。アルカリ金属としては、Li、Na、またはKが好ましい。系のpHとしては、好ましくはpH7以上、より好ましくはpH8〜13、さらに好ましくはpH9〜12.5である。
【0058】
好ましいアルカリの量を、シリカ/アルカリモル比( SiO2 /Me2 O )で表示すれば、4〜15mol/molの範囲であり、7〜13mol/molの範囲がさらに好ましい。なお、上記したように、シリカは、系内の処理液中の総シリカ量を示し、シリカヒドロゲルのシリカに、ケイ酸ナトリウム等により系に持ち込まれるシリカをも加えた値である。
【0059】
水熱処理は、150〜220℃の温度範囲で行われ、好ましくは160〜200℃、もっとも好ましくは170〜195℃である。
【0060】
これよりあまり温度が低いと、目的とする本発明におけるシリカ3次凝集体粒子を得るのにきわめて長時間を必要とすることになり、一方、これよりあまり高温では、目的とするシリカ3次凝集体粒子が、シリカ−Xやシリカ−Y等の単一相として得られにくくなるので好ましくない。これは、すでに述べたように、シリカ−X等が、中間相または準安定相と考えられ、水熱処理の進行とともに、逐次クリストバライトやクオーツに相転移する傾向があるところ、高温、特に220Cを超えるような場合は、結晶化速度が大きくなり、クリストバライトやクオーツとの混合物になるか、または、結晶化反応が速すぎて制御できず、すべてがクリストバライトやクオ−ツに変化してしまうためである。
【0061】
また、必要な水熱処理の時間は、水熱処理の温度や種晶の添加の有無等により変わりうるが、通常、3〜50時間、好ましくは、5〜40時間、より好ましくは5〜25時間程度、さらに好ましくは5〜12時間程度である。
【0062】
なお、水熱処理を効率よく進め、処理時間を短くするためには、その添加は必須ではないが、原料シリカヒドロゲルの仕込み量に対して、0.001〜1質量%程度の種晶を添加することがより好ましい。種晶としては、第一の方法と同じく、シリカ−XやシリカーY等をそのま、または、適宜粉砕して用いることが好ましい。
【0063】
本発明者らの検討によれば、シリカーXを種晶として使用する場合は、シリカーXからなる凝集体粒子が形成されやすく、シリカーYを種晶として使用する場合はシリカーYからなる凝集体粒子が形成されやすい。
水熱処理終了後、第一の方法と同じく、水熱処理生成物をオートクレーブより取り出し、濾過、水洗してpHを調整する。
【0064】
以上のごとくして、シリカゾルを水熱処理する第一の方法やシリカヒドロゲルを水熱処理する第二の方法で得られた水熱処理生成物のケーキを、濾過・水洗した状態の粒子を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察すると、個々の葉状2次粒子が3次元的に不規則に重なり合って形成される間隙を有する3次粒子であるシリカ凝集体粒子を形成していることが識別できる。これが本発明におけるシリカ3次凝集体粒子である。
【0065】
しかしながら、後記するように、走査型電子顕微鏡(SEM)では、極薄片粒子である1次粒子は識別できず、極薄片粒子である1次粒子が、面間が平行的に配向して複数枚重なった葉状2次粒子だけが識別できる。一方、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察すると、電子線が一部透過するような極薄片粒子である1次粒子が識別できる。この葉状2次粒子が本発明の葉状シリカ2次粒子であり、当該1次粒子が互いに面間が平行的に複数重なったもので形成されていることが識別できる。なお、1次粒子が層状に重なっている葉状2次粒子から、その構成単位である薄片状の当該1次粒子を1枚ずつ剥離し、単離することは実質的に不可能である。すなわち1次粒子の層状の重なりにおいて、各層間の結合は極めて強固であって完全に融合一体化しており、従って本発明の葉状2次粒子は、もはやそれ以上1次粒子に解砕することは困難なのである。
【0066】
なお、上記のように出発原料として、シリカゾル、シリカヒドロゲルを用いる方法以外に、含水ケイ酸(所謂ホワイトカーボン等)を用いても同様な方法で本発明におけるシリカ3次凝集体粒子を合成することができる。
【0067】
(シリカ3次凝集体粒子の葉状シリカ2次粒子への解砕)
本発明においては、このように一旦製造したシリカ3次凝集体粒子を、種々の手段により解砕して本発明の葉状シリカ2次粒子とするものである。
【0068】
本発明の葉状シリカ2次粒子としては、まず、当該葉状2次粒子を水スラリー(以下本発明の2次粒子スラリーと称する。)として得ることができる。例えば、以下の(2)または(3)のいずれかの方法を選定できる。
【0069】
(2)水スラリー状のシリカ3次凝集体粒子を解砕し、本発明の2次粒子スラリーとする方法
【0070】
上記の方法において、水スラリー状で得られるシリカ3次凝集体粒子は、次に、ベルトフィルター、濾布式遠心分離機、デカンターなどの固液分離・水洗装置を用いて、水洗・固液分離さらには、必要に応じて、さらに、水でリパルプすることにより、アルカリ金属塩を実質的に含まない平均粒子径1〜10μmの本発明におけるシリカ3次凝集体粒子からなるSiO2 濃度1〜20質量%の水スラリーとする。
【0071】
解砕は、上記スラリーを、媒体ビーズを用い機械的に高速撹拌する方式の湿式ビーズミル、湿式ボールミルなどの湿式粉砕装置(解砕装置)に供給して、鱗片状シリカ3次凝集体粒子を解砕処理することにより行う。その際に、葉状シリカ2次粒子を、極力粉砕・破壊しないで、解砕・分散化することが望ましく、上記の方法の中でも直径0.2〜1.0mmのアルミナ又はジルコニア等の媒体ビーズを用いる湿式ビーズミルが特に好ましい。かくして、この解砕工程により3次粒子から2次粒子まで解砕される。すなわち、得られるスラリーは、3次粒子を実質的に含まない薄片1次粒子が、互いに面間が平行的に配向して複数枚重なった本発明の葉状シリカ2次粒子から実質的になるスラリーである。
【0072】
湿式粉砕装置に供給するシリカスラリー中のSiO2 濃度が、1質量%に満たない場合は、固体濃度が稀薄すぎるために、後の工程で濃縮が必要となるなどの経済性に問題を生ずる。一方、SiO2 濃度が、20質量%を超えると、解砕されたスラリーの粘性が極端に大きくなり、ハンドリング面で問題が生ずる。
【0073】
〔図1〕は、かくして得られた本発明の葉状シリカ2次粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。走査型電子顕微鏡では、葉状2次粒子を識別できるが、極薄片1次粒子は識別できない。これより、当該葉状シリカ2次粒子は、融着や凝集することもなく互いに独立に存在していることがわかる。
【0074】
また〔図2〕は、本発明の葉状シリカ2次粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。TEMによれば、極薄片1次粒子及び該1次粒子が面間が平行的に配向して複数枚重なった葉状2次粒子であることが確認できる。
【0075】
(3)シリカ3次凝集体粒子からなる乾燥粉末を製造し、次いで、それを湿式粉砕(解砕)して、本発明の葉状シリカ2次粒子のスラリーとする方法
【0076】
上記の製造工程において、水スラリー状で得られるシリカ3次凝集体粒子は、次に、ベルトフィルター、濾布式遠心分離機、デカンターなどの固液分離・水洗装置を用いて、水洗・固液分離し、さらには必要に応じて、水でリパルプすることにより、アルカリ金属塩を実質的に含まない平均粒子径1〜10μmのシリカ3次凝集体粒子からなるSiO2 濃度1〜30質量%の水スラリーとする。
【0077】
この場合は、乾式解砕により分散化された葉状2次粒子を得るに先立ち、まず、平均粒子径1〜10μmの分散された本発明におけるシリカ3次凝集体粒子の微粉末を乾燥で得ることが必要である。しかしながら、このシリカ3次凝集体粒子は、乾燥操作の際に凝集体粒子同士が極めて凝集・融着しやすいという特異的な性質をもっている。本発明者らの検討によると、乾燥装置として、媒体流動層乾燥機を用いる場合に、初めて十分に分散した平均粒子径1〜10μmのシリカ3次凝集体粒子の乾燥微粉末が得られる。
【0078】
これに対して、その他の乾燥装置、例えば気流乾燥機、噴霧乾燥機、流動層乾燥機、攪拌型乾燥機、円筒乾燥機、箱型乾燥機、バンド乾燥機、熱風乾燥機、真空乾燥機、振動乾燥機などを用いた場合には、当該3次粒子が乾燥中にさらに凝集してしまい、葉状2次粒子の不規則な重なりによって形成される多数の間隙(空隙またはポケット)が殆んど認められない粒子形態となってしまい、本来の十分に分散した平均粒子径1〜10μmのシリカ3次凝集体粒子を得ることは困難である。
【0079】
〔図3〕は、かくして媒体流動層乾燥機で乾燥した得られた本発明におけるシリカ3次凝集体粒子を示す走査型電子顕微鏡( SEM )写真である。葉状2次粒子が不規則に重なり合い、この重なりによって作られる多数の間隙(空隙またはポケット)が存在するシリカ凝集体粒子(3次粒子)を形成している状態が明確に認められる。当該凝集体粒子は、見かけ上、キャベツ状、タマネギ状、花弁状、つぼみ状、巻き貝状等の、状態により種々に表現される形態をとりうるものである。
【0080】
次に、上記の十分に分散した平均粒子径1〜10μmのシリカ3次凝集体粒子の乾燥微粉末に水及び/又は液状有機媒体を添加し、SiO2 濃度1〜30質量%のスラリーとする。
【0081】
このスラリーを (2) と同様にして粉砕媒体ビーズを用い機械的に高速撹拌する方式の湿式ビーズミル、湿式ボールミルなどの湿式粉砕装置(解砕装置)に供給して、シリカ3次凝集体粒子を解砕処理することにより、本発明の2次粒子スラリーが得られる。
【0082】
以上は、本発明の2次粒子スラリーを得るものであるが、これを乾燥粒子として得ることも出来る。
【0083】
本発明の葉状シリカ2次粒子の乾燥微粉末(以下本発明の2次粒子乾燥粉末とも称する。)を得る方法としては、例えば以下の(4)、(5)、(6)等のいずれかの方法を選定できる。
【0084】
(4)上記(2)の葉状シリカ2次粒子の水スラリーから本発明の2次粒子乾燥粉末を得る方法
【0085】
単分散された葉状2次粒子乾燥粉末は、非水溶媒系のコーティング剤として、平均粒子径1〜10μmの葉状シリカ2次粒子を使用しようとする場合に必要となるものである。
【0086】
(2)で述べた本発明の葉状シリカ2次粒子の水スラリーは、すでに述べたように乾燥操作の際に粒子同士が極めて凝集しやすいという特異的な性質をもっている。
【0087】
従って乾燥装置として、気流乾燥機、流動層乾燥機、媒体流動層乾燥機、攪拌型乾燥機、円筒乾燥機、箱型乾燥機、バンド乾燥機、熱風乾燥機、真空乾燥機、振動乾燥機などを用いた場合には、葉状2次粒子が凝集してしまい、単分散した葉状シリカ2次粒子を得ることは、極めて困難である。
【0088】
この場合、乾燥装置として、噴霧乾燥機を用いて、(2)で得られた本発明の葉状シリカ2次粒子からなる水スラリーを乾燥し、かつ、供給スラリー中のSiO2 濃度を、1〜5質量%、好ましくは1〜3質量%に調整して噴霧乾燥することにより、初めて、十分に分散した平均粒子径1〜10μmの葉状2次粒子が得られることが見出されたのである。噴霧乾燥機への供給スラリー中のSiO2 濃度が、1質量%に満たない場合は、シリカに対して、蒸発させるべき水量が過大となり、経済性の面で問題が大きい。一方、スラリー中のSiO2 濃度が、5質量%を超える場合は、乾燥時の凝集が促進されるため葉状2次粒子が凝集・融着してしまい、単分散した葉状シリカ2次粒子が得られなくなる。
【0089】
(5)上記(3)の葉状2次粒子の水スラリーから乾燥された本発明の葉状シリカ2次粒子を得る方法
【0090】
単分散された葉状シリカ2次粒子の乾燥粉末は、 (3) の水スラリーを (4) と同様に噴霧乾燥機に、水スラリーを供給し乾燥することにより得られる。但し、この場合は、同様な理由により供給スラリー中のSiO2 濃度は、1〜7質量%、好ましくは1〜5質量%に調整して噴霧乾燥することが好ましい。
【0091】
(6)シリカ凝集体粒子からなる乾燥粉末を製造し、次いで、それを乾式粉砕(解砕)して、本発明の葉状シリカ2次粒子の微粉末とする方法
【0092】
上記(1)で得られた平均粒子径1〜10μmの本発明におけるシリカ3次凝集体粒子の乾燥粉末を、乾式粉砕機能と乾式分級機能との組合せからなる乾式粉砕・分級機、例えば、ジェットミルと高速回転式分級機又は風力分級機の両方を組み合わせて用いて、平均粒子径1〜10μmの分散した葉状2次シリカ粒子へと連続的に解砕できる。すなわち、連続的にジェットミルに原料を供給し、ジェットミルからの粉砕品を乾式分級機で分級し、所望の粒径より大きい粗粒は、ジェットミルに連続的にリサイクルし、所定以下に粉砕されたものを連続的に系外に取りだすシステムを形成するものである。
【0093】
以上の (1) 〜 (6) に記載した方法のうち、上記の(1)に記載した方法としては、シリカゾル(活性ケイ酸等)を出発原料として用いる方法よりも、シリカヒドロゲルを出発原料とする方法の方が生産性が良く、より好ましい。
【0094】
また、上記に記載した本発明の葉状シリカ2次粒子の水スラリーを得る方法としては、(2)に記載した方法が、硬化性組成物により適した葉状2次粒子の水スラリーが得られるので、より好ましい。
【0095】
一方、上記に記載した葉状シリカ2次粒子の乾燥微粉末を得る方法としては、(4)に記載した方法が、硬化性組成物に最も適した葉状2次粒子の乾燥微粉末が得られるので、より好ましい。
【0096】
以下、得られた発明の葉状シリカ2次粒子の基本物性について述べる。
このシリカ2次粒子におけるシリカのSiO2 純度は、99.0質量%以上である。pHは、6.0〜8.0であり、X線回折のスペクトルとしては、米国のASTM(American Society for Testing and Materials)に登録されているカード(以下単にASTMカードと称する。)番号16−0380に該当する2θ=4.9°、26.0°、及び28.3°の主ピークを特徴とするシリカ−X及び/またはASTMカード番号31−1233に該当する2θ=5.6°、25.8°及び28.3°の主ピークを特徴とするシリカーYからなるシリカである。コールターカウンター(コールターエレクトロニクス社製)による平均粒子径は、1〜10μmである。吸油量(JISK5101)は、100〜150ml/100gである。
【0097】
このシリカ2次粒子の細孔分布をBET法(日本ベル社製、商品名ベルソープ−28型)により測定すると、細孔容積は、0.05〜0.15ml/g、比表面積は、30〜80m2 /gである。
【0098】
とくに注目すべきは、細孔分布曲線からは、細孔直径2〜6nm、特には3.5〜4.0nm付近に鋭い大きなピークが認められることである。
【0099】
これは、メソ細孔領域(ミクロとマクロの中間の細孔直径2〜50nmの領域)の細孔が顕著に存在することを示している。すなわち、本発明の葉状シリカ2次粒子は、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なった積層構造またはラメラ構造の粒子形態を有しているが、この重なり合う薄片と薄片の間に形成される空隙部が、上記のメソ領域の大きさの細孔として測定されると推察される。
【0100】
また、当該シリカ(熱処理していない常温でのSiO2 )の赤外吸収スペクトル(FT−IR)は、3600〜3700cm-1、3400〜3500cm-1にそれぞれ1つの吸収帯をもつシラノール基をもつシリカである。また、BET法による比表面積当たりのシラノール基の量は、50〜70μmol/m2 という大きな値を有している(シリカゲルの数倍)。このようなシラノール基を有することにより、化学修飾が容易に行われる。また、本発明のシリカ2次粒子から形成した塗膜を400〜600℃程度で加熱処理することにより、シラノール基を縮合等反応させ、塗膜強度を向上させることもできる。
【0101】
本発明の葉状シリカ2次粒子の耐熱性については、空気雰囲気下、500〜1000℃で、1時間加熱後、走査型電子顕微鏡で粒子の形態・寸法の変化を観察したが、特段の変化は認められなかった。
【0102】
酸水溶液及びアルカリ水溶液に対する20℃での飽和溶解度は低い。すなわち、溶解SiO2 濃度は、10質量%のHCl水溶液に対しては、0.008質量%、イオン交換水に対しては、0.006質量%、5質量%NaOH水溶液に対しては、0.55質量%、10質量%NaOH水溶液に対しては、0.79質量%であり、酸、アルカリのいずれに対しても、小さな溶解度であり、耐酸性、耐アルカリ性を有することを示す。特に、シリカゲルやコロイダルシリカに比較して、非常に小さなアルカリ水溶液への溶解度であり、耐アルカリ性を有することを示す。
【0103】
本発明の葉状シリカ2次粒子は、請求項1で規定するような積層構造の粒子形態を有するものである。
【0104】
そしてかかる形態に起因してきわめて特異な自己造膜性を有し、常温においても容易に強固なシリカ被膜を形成しうる。例えば、本発明の2次粒子スラリー(これは請求項4に相当する揮発性液体、すなわち水及び/又は水以外の揮発性液体(揮発性有機溶媒等)を含む硬化性組成物である。)を、ステレンレス鋼やガラス基体上に塗布し、これを常温で乾燥すると、なんらバインダーや造膜助剤等を使用することなしに硬化し、容易に強靱な塗膜が形成される。この塗膜は、極めて強固であり、容易に剥離することはない。
【0105】
これは、実は驚くべき現象であって、例えば本発明と同じSiO2 粒子からなり非晶質多孔質粒子であるシリカゲルの水スラリーを、同様にして基体上に塗布・乾燥すると、一応塗膜は形成されるものの、この塗膜は、本発明の2次粒子スラリーからなる塗膜とは、似ても似つかない極端に脆弱な塗膜であって、手で軽く触れただけでぱらぱらと崩れてしまうものであり、全く商品価値など有しないものであることと比較して、著しい対照をなしているのである。
【0106】
この強い自己造膜性及び形成された被膜の強固性は、次のような理由によるものと考えられる。
【0107】
〔図4〕は、本発明の2次粒子スラリーを基体上に塗布・乾燥して形成された葉状シリカ2次粒子からなる塗膜断面のSEM写真である。これを見ると、葉状シリカ2次粒子は、基本的には当該粒子どうしが平行的に積層されて構成されているが、より具体的には、その粒子形態がそれぞれ適度の曲がりを有し、曲がった状態で配向し、密に重なりあっていることが明瞭に認められる。このように互いに曲がって波状に密に重なっているので、長手方向(面方向)には摺動し難いと考えられる。また、粒子表面には多数の微量な凹凸が形成されているので、これらが互いに鉤のように絡みあって、あたかもアンカーやマジックファスナーのような係止作用を示しているため、断面方向(長手方向に垂直な方向)にも固定され、全体として強固な膜が形成されているものと思われる。
【0108】
また、当該2次粒子は、薄片状の1次粒子が重なって形成されているものであるが、この薄片1次粒子同士は、通常の手段ではこの構成単位の個々の薄片に剥離することが困難な程度に互いに強固に結合一体化して本発明の葉状シリカ2次粒子を構成している。これが当該2次粒子を構成単位(すなわち所謂ビルディング・ブロック)として形成されている本発明の葉状シリカ2次粒子からなる塗膜が極めて強固である理由であると考えられる。
【0109】
また、剃刀を用いて基体から剥離した塗膜表面のX線回折図と、その塗膜を形成するのに用いた微粉末の粉末X線回折図とを比較した。
【0110】
シリカ−Xを例にすると、ASTMカード16−0380に該当する二つの主ピーク、すなわち、2θが4.9°のピーク高さに対する、2θが26.0°のピーク高さの比は、粉末においては、1〜5であるのに対して、塗膜においては、0.0〜0.5という小さな値であった。これは、塗膜における結晶粒子の顕著な配向を示しているものと思われる。ここでピーク高さとは、零カウントのベースラインからの高さをいう。
【0111】
これに対し、本発明の葉状シリカ2次粒子がさらに3次元的に不規則に重なって形成される粒子(シリカ3次凝集体粒子)では、自己造膜性もほとんど無く、強固な被膜を形成することができない。〔図5〕は、当該シリカ3次凝集体粒子からなる塗膜断面のSEM写真であるが、この場合は、基本的に粒子形態が本発明の2次粒子のごとく葉状ではないため、互いに積層して密に重なり合うことができず、密な塗膜を形成することは困難なことが明瞭に観察される。
【0112】
また、本発明の葉状シリカ2次粒子と乾燥可能な液状有機媒体からなる硬化性組成物(これも本発明の2次粒子スラリーであって請求項4に相当するものである。)も同様に自己造膜性を有し、乾燥・硬化させることにより容易に強靱な塗膜を形成する。なお、塗膜に限らず、本発明の請求項4又は5に規定する硬化性組成物は、これを成形して乾燥・硬化させることにより、任意の形体の硬化体を形成することができる。また、この硬化は、室温において乾燥しただけで充分に行われるが、所望により塗膜等の硬化体を熱処理することにより、よりその強度を向上させることも可能である。
【0113】
(7)本発明のシリカ2次粒子を単独で塗料・コーティング剤用の硬化性組成物として使用する方法
【0114】
本発明の葉状シリカ2次粒子は、揮発性液体、すなわち、水及び/又は水以外の揮発性液体(揮発性有機溶媒等)に分散させた状態で、すなわち、水スラリー及び/又は有機溶媒スラリー状で、金属、ガラス、セラミックス、プラスチックスなどの基体上に塗膜等の硬化体を形成させるための硬化性組成物として使用することができる。ここで揮発性液体とは、室温〜200℃、好ましくは室温〜100℃、さらに好ましくは室温〜80℃で容易に乾燥しうる水及び/又は有機溶媒であり、例えば、水、ベンゼン、トルエン、キシレン、灯油、軽油等である。これは、請求項4に相当する硬化性組成物であり、組成物中のSiO2 濃度は、1〜80質量%であることが好ましい。
【0115】
(8)本発明のシリカ2次粒子を他の材料と配合して、塗料・コーティング剤用の硬化性組成物として使用する方法
【0116】
本発明の葉状シリカ2次粒子は、例えば、請求項5に規定するように、乾燥操作を受けて生成するシリカ硬化体中に液体又は固体として残存する低揮発性物質を更に含む形態で使用することができる。ここに云う乾燥操作を受けてとは、揮発性液体、すなわち水及び/又は水以外の揮発性液体(揮発性有機溶媒等)が上記条件で、乾燥されることを云う。具体的には、このような残存物質とともに水または他の有機溶媒に分散させた状態で、金属、ガラス、セラミックス、プラスチックスなどの基体上に塗膜等の硬化体を形成するための塗料・コーティング剤用の硬化性組成物として使用する。
【0117】
かかる硬化性組成物中においては、SiO2 濃度は、0.1〜60質量%であることが好ましい。
【0118】
なお、このような乾燥後における硬化体中の低揮発性残存物質の例としては、高沸点の液体物質、例えばテルペン化合物、炭素数12以上の飽和炭化水素、グリセリン等が挙げられる。また、他の例としては、有機高分子物質又は重合反応によって有機高分子物質を形成する前駆体物質であり、特にこの有機高分子物質が樹脂エマルション状物質である場合が挙げられる。他の残存物質の例としては、水分の吸着及び脱着機能を有する物質であり、特に当該物質が触媒機能を有する物質であり、より具体的には、これが光酸化触媒機能を有する物質であり、最も好ましくは、これが酸化チタンである。
【0119】
また、硬化体中に残存する低揮発性物質が光学的機能を有する物質であってもよく、特にこの物質が紫外線遮蔽機能を有する物質であり、最も好ましくは、これが酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、及び酸化ジルコニウムからなる群から選択される1種または2種以上の微粒子であるものである。さらに硬化体中に残存する低揮発性物質は、請求項18で規定するように、本発明における鱗片状シリカとは異なる非晶質の二酸化ケイ素及び/又は二酸化ケイ素以外の金属化合物であってもよい。特に当該金属化合物が当該鱗片状シリカとは異なる非晶質の二酸化ケイ素例えばシリカゲルやケイ素のアルコキシドから得られる非晶質の二酸化ケイ素であるものである。これらは、コロイド粒子であってもよく、特に好ましくは、当該コロイド粒子がコロイダルシリカであるものである。当然これらは、形成された硬化体中に残存物質として含まれることになる。
【0120】
なおここで、硬化性組成物中におけるコロイド粒子は、硬化体中では、平均粒子径がコロイド状態におけるコロイド粒子サイズとほぼ同径の1〜200nmの超微粒子として存在することになる。硬化体中におけるコロイド粒子とは、このような意味を有するものとして解釈される。
【0121】
(9)本発明の葉状シリカ2次粒子を単独で又は他の材料と配合して湿式成形による成形体用の硬化性組成物として使用する方法
【0122】
なお、本発明の葉状シリカ2次粒子は、塗膜を形成するだけでなく、特定の型の中で硬化させることにより、任意の成形体をも形成しうる。
【0123】
すなわち、本発明の葉状シリカ2次粒子を、水または他の揮発性溶媒の存在下で混練し、圧縮成形や押出し成形等の成形手段により形成後、乾燥して硬化し、成型体とすることができる。この場合の組成物中のSiO2 濃度は、1〜80質量%、好ましくは20〜80質量%である。
【0124】
また、当該シリカ2次粒子を、硬化後に成形体中に残存する材料物質とともに水または他の有機溶媒の存在下で混練し、同様に成形して成形体を得ることができる。これらは、所謂湿式成形である。
【0125】
(10)該シリカを単独あるいは他の材料と配合して、乾式成形される硬化性組成物として使用する方法
【0126】
本発明の葉状シリカ2次粒子を単独で、あるいは他の材料とともに乾式で混合し、打錠成形等の乾式成型により成型体とされる乾式成型体用の硬化性組成物として使用することもできる。この場合の組成物中のSiO2 含有量は、1〜100質量%である。
【0127】
2.(本発明の葉状シリカ2次粒子のシリカの硬化性組成物あるいは硬化体への利用)
【0128】
本発明の葉状シリカ2次粒子は、有機塗料の性能向上分野、熱的機能分野、光学的機能、電気・磁気的機能、吸着機能、触媒機能、対生物機能、芳香・消臭機能等の種々の分野に応用を有する。
【0129】
すなわち、本発明のシリカ2次粒子は、単独で、あるいは他の材料とともに、塗料・コーティング剤、成型体などの分野における硬化性組成物として用いられ、硬化体を製造するために使用できる。
【0130】
本発明のシリカ2次粒子と溶媒及び/または他の材料とを混合して組成物とする混合手段としては、特定するものではなく、例えばスラリーの攪拌羽根を用いる機械的攪拌混合手段が適用される。攪拌羽根として、櫂型、プロペラ型、タービン型、アンカー型、ファウドラー型などが、適宜使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0131】
シリカ2次粒子と他の材料とを溶媒の存在下で配合し、特に均一分散させて硬化性組成物を形成する場合の手段としては、湿式ビーズミル、湿式ボールミルなどが、適宜使用できるが、これに限定されるものではない。
【0132】
本発明のシリカ2次粒子を含有する硬化性組成物を基体へ塗布し、塗膜を形成させる手段としては、特定のものではなく、刷毛による塗装、バーコーターによる塗装、噴霧塗装、静電塗装など一般の塗料の塗装に使用される手段を使用できる。塗装後の乾燥に塗装後の乾燥についても、特定するものではなく、一般の塗料において、適用される手段を使用できる。
【0133】
本発明のシリカ2次粒子を単独で、あるいは他の材料とともに、水または他の有機溶媒の存在下で、混練する手段としては、ニーダーなどが使用できる。また、成型する手段としては、特定するものではなく、一般に使用されている脱水プレス成形機、押出し成形機、押出し造粒機、球形造粒機などが使用できる。
【0134】
本発明のシリカ2次粒子の乾燥粉末を単独で、あるいは他の乾燥粉末状の材料とともに、混合後、乾式成形する手段としては、特定するものではなく、一般に使用されている臼式打錠成形機、ローラー式ペレッター、プレス成形機などが使用できる。
【0135】
以下に本発明のシリカ2次粒子の各種分野への利用について述べる。
1)本発明の葉状シリカ2次粒子添加による従来の有機塗料の性能向上
【0136】
当該シリカ2次粒子は、従来の有機塗料(アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、スチレン樹脂系、シリコン樹脂系、フッ素樹脂系及びこれらの共重合樹脂系などの非水溶媒系塗料・コーティング剤や水エマルション系の塗料・コーティング剤)とともに配合使用することにより、耐候性の向上、透湿性・通気性の向上、難燃性の向上などに利用できる。
【0137】
2)熱的機能
本発明のシリカ2次粒子は、耐熱性に優れるので、当該シリカ粒子の単独使用、あるいは、請求項22に規定しているようにコロイダルシリカとの併用により、耐熱性塗料・コーティング剤に利用できる。また、当該シリカ粒子は、断熱機能を有するガラスマイクロバルーン、ゾノトライト、発泡シリカ、断熱無機繊維(シリカアルミナ繊維等)などと併用することにより、断熱性塗料・コーティング剤に利用できる。
【0138】
また、当該シリカ2次粒子は、従来の有機塗料と難燃剤とを併用することにより、難燃性を向上させた塗料・コーティング剤にも利用できる。
【0139】
3)光学的機能
本発明の葉状シリカ2次粒子は、有機系紫外線遮蔽剤あるいは無機系紫外線遮蔽剤(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、酸化ジルコニウムなど)とともに併用することにより、紫外線遮蔽機能をもつ塗料・コーティング剤に利用できる。また、当該シリカ粒子は、赤外線吸収などの光選択透過機能物質(酸化スズ、複合金属水酸化物縮合ケイ酸塩など)と併用することにより、光選択透過機能をもつ塗料・コーティング剤に利用できる。蛍光顔料や蛍光体等の蛍光機能をもつ物質とともに併用することにより、蛍光機能を有する塗料・コーティング剤の形成に利用できる。
【0140】
4)電気・磁気的機能
本発明のシリカ2次粒子は、電気絶縁性をもつ塗料・コーティング剤に利用できる。また、当該シリカ粒子は、導電性材料または帯電防止材料と併用することにより、導電性又は帯電防止塗料・コーティング剤に利用できる。また、当該シリカ粒子は、電波吸収機能または電磁波遮蔽機能を付与するフィラー材料(金属粉末、カーボン粉末、フェライト粉末など)と併用することにより、電波吸収機能または電磁波遮蔽機能をもつ塗料・コーティング剤に利用できる。また、当該シリカ粒子は、特定の誘電率をもつ材料と併用することにより、特定の誘電率をもつ塗料・コーティング剤に利用できる。
【0141】
5)吸着機能
本発明のシリカ2次粒子は、シリカゲルや合成ゼオライト(Na−A型ゼオライト、Ca−A型ゼオライト等)のような水分吸着剤と併用することにより、水分吸着あるいは吸湿・放湿機能をもつ硬化体、塗料・コーティング剤に利用できる。また、水分吸着のみの用途では、この硬化体、塗料・コーティング剤は、例えば複層ガラス用の内部乾燥剤にも利用できる。また、当該シリカ2次粒子は、ガスの吸着機能を有する材料(活性炭、アルカリ土類金属置換A型合成ゼオライト、アルカリ土類金属置換X型合成ゼオライト、シリカゲルなど)と併用することにより、ガスの吸着機能をもつ硬化体、塗料・コーティング剤に利用できる。また、当該シリカ2次粒子は、各種吸着剤の成形粒子用の粒子結着剤(バインダー)として利用できる。
【0142】
また、本発明のシリカ2次粒子は、液体クロマトグラフィ用のシリカゲル微粒子(粒子形状が真球状又は不定形のどちらでもよい。)の粒子結着剤(バインダー)として使用して、基板上に塗膜を形成させることにより、薄層クロマトグラフィ用分離材料として利用することができる。なお、この際、展開溶媒の展開速度を向上させるため、本発明のシリカ2次粒子と共に、粒子結着剤として、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子を併用することもできる。
【0143】
6)触媒機能
本発明のシリカ2次粒子は、触媒材料(例えば、酸化チタン等の光酸化触媒材料など)と併用することにより、触媒機能をもつ塗料・コーティング剤に利用できる。また、当該シリカ粒子は、各種触媒粒子用の粒子結着剤(バインダー)として利用できる。なお、所望により形成した塗膜を200〜600℃程度に加熱することにより、塗膜強度や耐水性を向上させることができる。
【0144】
上記の光酸化触媒の粒子結着剤用途では、光酸化触媒及び光触媒的に表面を超親水性にする用途にも利用できる。また、光透過性をもつ充填剤(例えばガラス製ラシヒリング等)の表面に本発明のシリカ2次粒子の自己造膜性を利用して、これと酸化チタンからなる塗膜を形成せしめたものを用いて、排水のBOD、CODを除去する水処理用触媒として利用できる。
【0145】
7)対生物機能
本発明のシリカ2次粒子は、抗菌機能を有する材料(金属銀、銀化合物、銀置換合成ゼオライト、亜鉛置換合成ゼオライトなど)と併用することにより、抗菌機能をもつ塗料・コーティング剤に利用できる。また、当該シリカ粒子は、防黴剤と併用すれば、防黴機能をもつ塗料・コーティング剤に利用できる。さらに当該シリカ粒子は、その他の対生物機能用途(船底防汚塗料、水産栄養物徐放基体、細胞培養基体など)にも利用できる。
【0146】
8)芳香・消臭機能
本発明のシリカ2次粒子は、香料や消臭機能をもつ材料と併用することにより、芳香・消臭機能をもつ塗料・コーティング剤に利用できる。
【0147】
9)プラスチック製の基体の保護機能
本発明のシリカ2次粒子は、プラスチック製の基体(フィルム、板等)上に塗膜を形成させることにより、当該基体の耐擦傷性の向上や、当該基体を光触媒反応などによる化学的劣化から保護すること等に利用できる。
【0148】
3.(本発明の積層構造の葉状2次粒子の他の分野への利用)
本発明の葉状シリカ2次粒子は、上記した硬化性組成物、硬化体の以外の用途にも利用できる。他の用途としては、例えば各種の化粧品の分野の用途に使用できる。本発明者らが先に出願した特許(特開平11−5716号、特開平11−11927号、特願平10−164401号)で提案したような化粧料用途と同様な、すなわち、清浄用化粧料、頭髪用化粧料、基礎化粧料、メークアップ化粧料、日焼け・日焼け止め化粧料、爪化粧料、アイライナー化粧料、口唇化粧料、口腔化粧料、入浴用化粧料などに使用できる。
【0149】
また、本発明のシリカ2次粒子の硬化性組成物、硬化体の以外の他の用途としては、当該シリカが、積層構造またはラメラ構造をしており、上述したように細孔径3.5〜4.0nmのメソ領域の細孔の顕著な存在が認められる材料であり、いわゆる、メソポ−ラスシリカに属するものであるので、インターカレーション反応のホストとして利用できる。
【0150】
さらに、本発明の葉状シリカ2次粒子は、メソ細孔を利用した吸着・分離剤、触媒、触媒担体などに利用できる。
【0151】
また本発明のシリカ2次粒子は、表面修飾することによる構造・物性変化を利用した種々の機能性材料へ利用できる。
【0152】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
〔実施例1〕(ヒドロゲルを出発原料とするシリカ3次凝集体粒子の製造)
出発原料のシリカヒドロゲルは、ケイ酸ナトリウムをアルカリ源として次のようにして調整した。SiO2 /Na2 O=3.0(モル比)、SiO2 濃度21.0質量%であるケイ酸ナトリウム水溶液2000ml/minと、硫酸濃度20.0質量%の硫酸水溶液とを、放出口を備えた容器内に別個の導入口から導入して瞬間的に均一混合して、放出口から空中に放出される液のpHが7.5〜8.0になるように2液の流量比を調整し、均一混合されたシリカゾル液を放出口から連続的に空気中に放出させた。放出された液は、空気中で球形液滴となり、放物線を描いて約1秒間滞空する間に空中でゲル化した。落下地点には、水を張った熟成槽を置いておき、ここに落下せしめて熟成させた。
【0153】
熟成後、pHを6に調整し、さらに十分水洗して、シリカヒドロゲルを得た。得られたシリカヒドロゲル粒子は、粒子形状が球形であり、平均粒子径が6mmであった。このシリカヒドロゲル粒子中のSiO2 質量に対する水の質量比率は、4.55倍であり、シリカヒドロゲル粒子中の残存ナトリウムは、110ppmであった。
【0154】
上記シリカヒドロゲル粒子を、ダブルロールクラッシャーを用いて平均粒子径2.5mmに粗粉砕して、次工程の水熱処理工程に用いた。
【0155】
容量50000mlのオートクレーブ(電気加熱式、アンカ−型攪拌羽根付き)に、系内の総SiO2 /Na2 Oモル比が12.0なるように、上記粒径2.5mmのシリカヒドロゲル(SiO2 18質量%)23.7Kg及びケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2 28.75質量%、Na2 O9.3質量%、SiO2 /Na2 O=3.17(モル比)))5.5Kgを仕込み、これにイオン交換水を10. 7kgを加え、50rpmで攪拌しながら185℃で8時間水熱処理を行った。系内の総シリカ濃度は、SiO2 として15質量%であった。
【0156】
水熱処理後のスラリーは、濾布式竪型遠心分離機(東興機械社製、TU−18型)を用いて濾過水洗を行い、有姿含水率69.7質量%(固形分濃度30.3質量%)のシリカの湿ケーキを得た。
【0157】
上記湿ケーキに水を添加してリパルプし、SiO2 濃度7.0質量%のシリカのスラリーとした後、媒体流動層乾燥機(大川原製作所製、SFD−MINI型)を用いて、熱風温度300℃で乾燥し、5.6Kgの乾燥微粉末を得た。
【0158】
粉末X線回折スペクトルにより生成微粉末についての生成相の同定を行ったところ、X線回折スペクトルとして、ASTMカード番号16ー0380に該当する2θ=4.9゜及び26.0゜の主ピークを特徴とするシリカ−Xの主ピーク以外にASTMカード番号31ー1235、37ー0386に該当するピークが認められた。また、2θが4.9°のピーク高さに対する、2θが26.0°のピーク高さの比は、2.5であった。
【0159】
また、この微粉末の吸油量(JIS K 5101)を測定したところ、110ml/100gであった。
【0160】
生成粒子の形態を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、鱗片状の薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し、複数枚重なって葉状シリカ2次粒子が形成されていることが観察された。
【0161】
一方、生成粒子の形態を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、上記1次粒子は識別できず、上記の葉状シリカ2次粒子が1次粒子であるかのごときに観察された。当該葉状粒子の形状は鱗片状であり、これが不規則に重なり合って多数の間隙(空隙またはポケット)を有するシリカ3次凝集体粒子が形成されていることが観察された。これが本発明におけるシリカ3次凝集体粒子である。
【0162】
走査型電子顕微鏡(SEM)で観察されるこの葉状粒子(TEMでは、2次粒子に該当)の部分の平均厚さ0.06μmに対し、当該厚さに対する板の平均最長長さは、5.4μmでそのアスペクト比は90、板の平均最小長さは1.6μmで、アスペクト比は27であった。
【0163】
この微粉末(シリカ3次凝集体粒子)の平均粒子径をコールターカウンター(コールターエレクトロニクス社製、MAII型、アパーチャーチューブ径50μm(以下の実施例1〜9において同じ))を用いて測定したところ、6.1μmであった。
【0164】
さらに該微粉末の結晶型遊離ケイ酸量をX線回折分析法により測定したところ、検出限界以下(2%以下)であることがわかった。
【0165】
〔実施例2〕(ヒドロゲルを出発原料とするシリカ3次凝集体粒子の製造)
出発原料のシリカヒドロゲルは、NaOHをアルカリ源として次のようにして調整した。SiO2 /Na2 O=3.0(モル比)、SiO2 濃度21.0質量%であるケイ酸ナトリウム水溶液2000ml/minと、硫酸濃度20.0質量%の硫酸水溶液とを、放出口を備えた容器内に別個の導入口から導入して瞬間的に均一混合して、放出口から空中に放出される液のpHが7.5〜8.0になるように2液の流量比を調整し、均一混合されたシリカゾル液を放出口から連続的に空気中に放出させた。放出された液は、空気中で球形液滴となり、放物線を描いて約1秒間滞空する間に空中でゲル化した。落下地点には、水を張った熟成槽を置いておき、ここに落下せしめて熟成させた。
【0166】
熟成後、pHを6に調整し、さらに十分水洗して、シリカヒドロゲルを得た。得られたシリカヒドロゲル粒子は、粒子形状が球状であり、平均粒子径が6mmであった。このシリカヒドロゲ粒子中のSiO2 質量に対する水の質量比率は、4.38倍であり、シリカヒドロゲル粒子中の残存ナトリウムは、112ppmであった。
【0167】
上記シリカヒドロゲル粒子を、ダブルロールクラッシャーを用いて平均粒子径2.5mmに粗粉砕して、次工程の処理工程に用いた。
【0168】
容量5000mlのオートクレーブ(電気加熱式、アンカ−型攪拌羽根付き)に、系内の総SiO2 /Na2 Oモル比が11.0なるように、上記粒径2.5mmのシリカヒドロゲル(SiO2 18.6質量%)2688g及び水酸化ナトリウム水溶液(NaOH48.5質量%)126gを仕込み、これにイオン交換水1186gを加え、種晶0.5gを添加して、20rpmで攪拌しながら180℃で12時間水熱処理を行った。系内の総シリカ濃度は、SiO2 として12.5質量%であった。
【0169】
水熱処理後のスラリーは、濾布式竪型遠心分離機(東興機械社製、TU−18型)を用いて濾過水洗を行い、有姿含水率66.7質量%(固形分濃度33.3質量%)のシリカの湿ケーキを得た。
【0170】
次に上記湿ケーキに水を添加してリパルプし、SiO2 濃度7.0質量%のシリカのスラリーとした後、媒体流動層乾燥機(大川原製作所製、SFD−MINI型)を用いて、熱風温度300℃で乾燥し、408gの乾燥微粉末を得た。
【0171】
生成微粉末を粉末X線回折スペクトルにより生成相の同定を行ったところ、X線回折スペクトルとして、ASTMカード番号31−1233に該当する2θ=5.6゜、25.8°及び28.3゜の主ピークを特徴とするシリカ−Yの主ピーク以外にASTMカード番号35−63、25−1332に該当するピークが認められた。
【0172】
また、この微粉末の吸油量(JIS K 5101)を測定したところ、100ml/100gであった。
【0173】
生成粒子の形態を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、鱗片状の薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し、複数枚重なって葉状シリカ2次粒子が形成されていることが観察された。
【0174】
一方、生成粒子の形態を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、上記1次粒子は識別できず、上記の葉状シリカ2次粒子が1次粒子であるかのごときに観察された。その葉状粒子の形状は鱗片状であり、これが不規則に重なり合って多数の間隙(空隙またはポケット)を有する本発明におけるシリカ3次凝集体粒子が形成されていることが観察された。
【0175】
この走査型電子顕微鏡(SEM)で観察される葉状シリカ粒子(TEMでは、2次粒子に該当)の平均厚さ0.07μmに対し、当該厚さに対する板の平均最長長さは6.0μmでそのアスペクト比は86、板の平均最小長さは1.8μmで、アスペクト比は26であった。
【0176】
また、この微粉末の平均粒子径をコールターカウンター(コールターエレクトロニクス社製、MAII型)を用いて測定したところ、6.5μmであった。
【0177】
さらに該微粉末の結晶型遊離ケイ酸量をX線回折分析法により測定したところ、検出限界以下(2%以下)であることがわかった。
【0178】
〔実施例3〕(活性ケイ酸を出発原料とするシリカ3次凝集体粒子の製造)
Na2 O2.42質量%、SiO2 7.36質量%(SiO2 /Na2 O=3.13(モル比))のケイ酸ナトリウム水溶液を、5400g調整し、電気透析槽(旭硝子社製、DS−0型槽)を用いて、Na2 O1.35質量%、SiO2 9.16質量%(SiO2 /Na2 O=7.0(モル比))になるまで脱ナトリウムを行いシリカゾル(活性ケイ酸)を得た。
【0179】
得られた活性ケイ酸のコロイド状シリカの平均粒径は、大塚電子社製のレーザー散乱粒度測定装置で測定したところ、3nm以下であった。
【0180】
次に、水熱処理装置として容量5000mlのオートクレーブ(電気加熱式、アンカー型攪拌羽根付き)に、上記活性ケイ酸を2183gとイオン交換水1817gを仕込み、種晶を0.5g添加し、200rpmで攪拌しながら、200℃で8.5時間水熱処理を行った。
【0181】
水熱処理後のスラリーは、濾布式竪型遠心分離機(東興機械社製、TU−18型)を用いて濾過水洗を行い、有姿含水率68.7質量%(固形分濃度31.3質量%)のシリカの湿ケーキを得た。
【0182】
次に上記湿ケーキに水を添加してリパルプし、SiO2 濃度7.0質量%のシリカのスラリーとした後、媒体流動層乾燥機(大川原製作所製、SFD−MINI型)を用いて、熱風温度300℃で乾燥し、151gの乾燥微粉末を得た。
【0183】
生成微粉末を粉末X線回折スペクトルにより生成相の同定を行ったところ、X線回折スペクトルとして、ASTMカード番号16ー0380に該当する2θ=4.9゜及び26.0゜の主ピークを特徴とするシリカ−Xの主ピークの単一相であることがわかった。
【0184】
また、この微粉末の吸油量(JIS K 5101)を測定したところ、105ml/100gであった。
【0185】
生成粒子の形態を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、鱗片状の薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し、複数枚重なって葉状シリカ2次粒子が形成されていることが観察された。
【0186】
一方、生成粒子の形態を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、上記1次粒子は識別できず、上記の葉状シリカ2次粒子が1次粒子であるかのごときに観察される。その葉状粒子の形状は鱗片状であり、これが不規則に重なり合って多数の間隙(空隙またはポケット)を有する本発明におけるシリカ3次凝集体粒子が形成されていることが観察された。
【0187】
この走査型電子顕微鏡(SEM)で観察される葉状シリカ粒子(TEMでは、2次粒子に該当)の平均厚さ0.05μmに対し、該厚さに対する板の平均最長長さは3μmでそのアスペクト比は60、板の平均最小長さは1.2μmで、アスペクト比は、24であった。
【0188】
また、この微粉末の平均粒子径をコールターカウター(コールターエレクトロニクス社製、MAII型)を用いて測定したところ、5.1μmであった。
【0189】
さらに該微粉末の結晶型遊離ケイ酸量をX線回折分析法により測定したところ、検出限界以下(2%以下)であることがわかった。
【0190】
〔実施例4〕(実施例1の湿ケーキからスラリー状の本発明の葉状シリカ2次粒子の製造)
【0191】
実施例1に示した遠心分離機による濾過・水洗後の湿ケーキ1000g( 固形分濃度:30.3質量%) に水1020gを加えてリパルプし、 固形分15質量%のシリカスラリーを調製した。 このスラリーの状態では、コールターカウンターによる平均粒径は7.2μmであり、B型粘度計による粘度は、0.010Pa・sであった。
【0192】
次にこのスラリーを媒体攪拌ビーズミル(シンマルエンタープライゼズ社製、ダイノーミルKDL−PILOT A型 (ベッセル容量1.4L、直径0.5mmジルコニアビーズ80%充填) )でシャフト回転数3400rpm、流量30L/hで1passし、シリカ3次凝集体粒子の解砕・分散化を行った。
【0193】
解砕・分散化後のスラリー中の微粒子のコールターカウンターによる平均粒子径は1.6μmであった。また、このスラリーの粘度を、B型粘度計で測定したところ、0.13Pa・sであった。
【0194】
次に、当該スラリー中の微粒子の微粒子の状態に近い乾燥された葉状シリカ2次粒子の物性を調べるため、以下の方法で乾燥粉末を得た。
【0195】
当該スラリーは、乾燥により極めて凝集しやすいという特異な性質を有しているため、単分散された乾燥粉末を得るには、極めて薄い濃度の水スラリーにして凝集を防ぎながら乾燥をする必要がある。
【0196】
当該スラリー(固形分濃度15質量%)に水を添加し、固形分濃度0.3質量%にスラリー濃度を調整した。
【0197】
当該スラリーを小型のスプレードライヤー(ヤマト科学社製、GA32型)を用いて、スラリー供給量1.7ml/min、噴霧圧力0.3MPa (G)、熱風温度130℃で噴霧乾燥を行い乾燥微粉末を得た。
得られた乾燥微粉末のコールターカウンターによる平均粒径は、1.9μmであった。
【0198】
この微粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、シリカ3次凝集体粒子は、実質的に認められず、これは、本発明の葉状シリカ2次粒子から実質的になっていることが判明した。
【0199】
この微粉末を粉末X線回折スペクトルにより生成相の同定を行ったところ、X線回折スペクトルとして、ASTMカード番号16−0380に該当する2θ=4.9゜及び26.0゜の主ピークを特徴とするシリカ−Xの主ピーク以外にASTMカード番号31−1235、37−0386に該当するピークが認められた。
【0200】
また、2θが4.9°のピーク高さに対する、2θが26.0°のピーク高さの比は、1.4であった。
【0201】
生成粒子の形態を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、鱗片状の薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し、複数枚重なって本発明の葉状シリカ2次粒子が形成されていることが観察された。
【0202】
また、この微粉末をエポキシ樹脂に埋包し、ウルトラミクロトームで超薄切片を作成して、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、1次粒子の厚みは、1〜10nmと極めて薄いことがわかった。
【0203】
当該微粉体のBET法細孔分布測定装置(日本ベル社製、ベルソープ28型)による細孔容積は0.12ml/g、比表面積は、65m2 /gであり、細孔分布曲線では3.6nm付近にメソ細孔領域の鋭い大きなピークが認められた。
また、当該微粉末の赤外吸収スペクトル(ニコレージャパン社製、FT−IR510型)測定では、3600〜3700cm-1、3400〜3500cm-1にそれぞれひとつの吸収帯を持つシラノール基が認められた。
【0204】
また、シラノール基(SiOH)の量を、120℃・2時間での乾燥減量と1200℃・3時間での加熱減量との差(W質量%とする。)からシリカ単位質量当たりのシラノール基(SiOH)=W×1111.1(μmol/g)の計算式により求めると、3650μmol/gであり、BET法による比表面積当たりでは56.2μmol/m2 という大きな値を示した。
【0205】
耐熱性については、空気雰囲気下、500〜1000℃で、走査型電子顕微鏡での観察では特段の変化は認められなかった。
【0206】
酸水溶液及びアルカリ水溶液に対する20℃での飽和溶解度については、溶解SiO2 濃度は、10質量%、HCl水溶液に対しては、0.008質量%、イオン交換水に対しては、0.006質量%、5質量%NaOH水溶液に対しては、0.55質量%、10質量%NaOH水溶液に対しては、0.79質量%であった。特に耐アルカリに関しては、例えばシリカゲルに比較すると非常に小さな溶解度であった(シリカゲルの場合、3重量%NaOHに対しても溶解度は、6.5質量%である)。
【0207】
〔実施例5〕(実施例1の乾燥粉末からスラリー状の本発明の葉状シリカ2次粒子の製造)
【0208】
実施例1の媒体流動層乾燥機で得られた乾燥微粉末300gを水1700gに添加し、固形分15質量%スラリー(平均粒子径6.1μm、粘度0.008Pa・s) とした。
【0209】
次にこのスラリーを媒体攪拌ビーズミル(シンマルエンタープライゼズ社製、ダイノーミルKDL−PILOT A型 (ベッセル容量1.4L、直径0.5mmジルコニアビーズ80%充填) )でシャフト回転数3400rpm、流量30L/hで1passし、シリカ3次凝集体粒子の解砕・分散化を行った。
【0210】
解砕・分散化後のスラリー中の微粒子のコールターカウンターによる平均粒子径は1.6μmであった。また、このスラリーの粘度を、B型粘度計で測定したところ、0.029Pa・sであった。
【0211】
当該スラリー中の微粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ3次凝集体粒子は実質的に認められず、本発明の葉状シリカ2次粒子から実質的になっていることが判明した。
【0212】
〔実施例6〕(実施例3の湿ケーキからスラリー状の本発明の葉状シリカ2次粒子の製造)
【0213】
実施例3に示した遠心分離機による濾過水洗後の湿ケーキ1000g( 固形分濃度:31.3質量%) に水1087gを加えてリパルプし、 固形分15質量%のシリカスラリーを調整した。
【0214】
このスラリーの状態では、コールターカウンターによる平均粒径は6.1μmであり、B型粘度計による粘度は、0.010Pa・sであった。
【0215】
次にこのスラリーを媒体攪拌ビーズミル(シンマルエンタープライゼズ社製、ダイノーミルKDL−PILOT A型 (ベッセル容量1.4L、直径0.5mmジルコニアビーズ80%充填) )でシャフト回転数3400rpm、流量30L/hで1passし、シリカ3次凝集体粒子の解砕・分散化を行った。
【0216】
解砕・分散化後のスラリー中の微粒子のコールターカウンターによる平均粒子径は1.7μmであった。また、このスラリーの粘度を、B型粘度計で測定したところ、0.15Pa・sであった。
【0217】
当該スラリー中の微粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ3次凝集体粒子は実質的に認められず、本発明の葉状シリカ2次粒子から実質的になっていることが判明した。
【0218】
〔実施例7〕(実施例2の湿ケーキからスラリー状の本発明の葉状シリカ2次粒子の製造)
【0219】
実施例2に示した遠心分離機による濾過水洗後の湿ケーキ1000g( 固形分濃度:33.3質量%) に水1220gを加えてリパルプし、 固形分15質量%のシリカスラリーを調整した。
【0220】
このスラリーの状態では、コールターカウンターによる平均粒径は6.8μmであり、B型粘度計による粘度は、0.010Pa・sであった。
【0221】
次にこのスラリーを媒体攪拌ビーズミル(シンマルエンタープライゼズ社製、ダイノーミルKDL−PILOT A型 (ベッセル容量1.4L、直径0.5mmジルコニアビーズ80%充填) )でシャフト回転数3400rpm、流量30L/hで1passし、シリカ3次凝集体粒子の解砕・分散化を行った。
【0222】
解砕・分散化後のスラリー中の微粒子のコールターカウンターによる平均粒子径は1.6μmであった。また、このスラリーの粘度を、B型粘度計で測定したところ、0.16Pa・sであった。
【0223】
当該スラリー中の微粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ3次凝集体粒子は実質的に認められず、本発明の葉状シリカ2次粒子から実質的になっていることが判明した。
【0224】
〔実施例8〕(実施例4より得たシリカスラリー/噴霧乾燥機による本発明の葉状シリカ2次粒子の製造)
【0225】
実施例4で得られた媒体攪拌ビーズミルによる解砕分散化後のスラリー(固形分濃度15質量%)に水を添加し、固形分濃度3質量%にスラリー濃度を調整した。
【0226】
当該スラリーを小型のスプレードライヤー(ヤマト科学社製、GA32型)を用いて、スラリー供給量5ml/min、噴霧圧力 0.3MPa (G)、熱風温度200℃で噴霧乾燥を行い乾燥微粉末を得た。
【0227】
得られた微粉末のコールターカウンターによる平均粒径は、3.7μmであった。
当該スラリー中の微粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ3次凝集体粒子は極めて少なく、実質的に本発明の葉状シリカ2次粒子からなっていることが判明した。
【0228】
〔実施例9〕(実施例1より得たシリカ3次凝集体粒子から、乾式の粉砕・分級による本発明の葉状シリカ2次粒子の製造)
【0229】
実施例1で得られたシリカ3次凝集体粒子の乾燥粉末を、乾式粉砕としてジェットミルと乾式分級として高速回転式分級機との両方を備えたカウンタージェットミル(ホソカワミクロン社製、100AFG型、分級機50ATP型)を用いて、使用圧縮空気量0.69Nm3 /hr、空気圧0.6MPa、分級機回転数22000rpm、粉体処理量210g/hrという条件で連続的に解砕・分散化を行った。
【0230】
得られた微粒子のコールターカウンターによる平均粒径は、2.1μmであった。この微粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、シリカ3次凝集体粒子は、ほとんど認められず、本発明の葉状シリカ2次粒子から実質的になっていることが判明した。
【0231】
〔実施例10〕(実施例4のシリカスラリーからなる塗料・コーティング剤用の硬化性組成物から得られる塗膜)
【0232】
実施例4の媒体攪拌ビーズミルで処理後のスラリー(固形分濃度15質量%、平均粒子径1.6μm)を、50gビーカーに入れ、スターラーで十分攪拌混合した。
【0233】
次に、JIS K 5400に準拠したガラス板(ソーダライムガラス、70mm×150mm×2mm厚)を用意し、バーコーター塗り法(JIS K 5400)で、#100バーコーター(江藤器械社製)を使って、ガラス板に該スラリーを塗布し、室温で乾燥し試験片とした。塗布量は、固形分換算で20g/m2 であった。塗膜の外観は、平滑であり、ヒビ割れなどは、認められなかった。
【0234】
また、塗膜の破断面の走査型電子顕微鏡写真を、〔図4〕に示した。写真より、葉状シリカ2次粒子は、それぞれ適度の曲がりを有し、曲がった状態で互いに絡み合って、密に重なり合っている形態が観察される。また、塗膜を剃刀を用いて剥離して、その細孔構造をBET法細孔分布測定装置(日本ベルソープ社製、ベルソープ28型)を用いて測定したところ、細孔容積は0.13ml/g、比表面積は、66m2 /gであり、細孔分布曲線では、3.6nm付近にメソ細孔領域の鋭い大きなピークが認められた。これは、実施例4に示した葉状シリカ2次粒子の細孔構造に近い数値であり、上記形成した塗膜においては、葉状シリカ2次粒子が密に重なり合っていることを示すものと考えられる。また、上記のように、この塗膜は、多孔質構造であるため通気性を有することを示している。
【0235】
また、剃刀を用いて剥離した塗膜表面のX線回折測定を行ったところ、シリカXのASTMカード番号16−0380に該当する二つの主ピーク、すなわち、2θが4.9°のピーク高さに対する、2θが26.0°のピーク高さの比は、0.07という小さな値であり、塗膜を形成している結晶粒子が配向していることを示している。
【0236】
塗膜の評価としては、JIS K 5400に準拠して、鉛筆硬度、碁盤目剥離試験、及び耐水性(室温下、水中24時間)を測定し、結果を表1に示した。
【0237】
【表1】
【0238】
〔実施例11〕(実施例4のシリカスラリーからなる塗料・コーティング剤用の硬化性組成物(厚塗りの場合)から得られる塗膜)
【0239】
実施例4の媒体攪拌ビーズミルで処理後のスラリー(固形分濃度15質量%、平均粒子径1.6μm)を、50gビーカーに入れ、スターラーで十分攪拌混合した。
【0240】
次に、JIS K 5400に準拠したガラス板(ソーダライムガラス、70mm×150mm×2mm厚)を用意し、バーコーター塗り法(JIS K 5400)で、#120バーコーター(江藤器械社製)を使って、ガラス板に該スラリーを4回塗布し、室温で乾燥し試験片とした。塗布量は、固形分換算で100g/m2 であった。
【0241】
塗膜の評価としては、JIS K 5400に準拠して、鉛筆硬度、碁盤目剥離試験、及び耐水性(室温下、水中24時間)を測定し、結果を表1に示した。
【0242】
〔実施例12〕(実施例4のシリカスラリーからなる塗料・コーティング剤用の硬化性組成物(耐熱性があることを示す例)から得られる塗膜)
【0243】
実施例4の媒体攪拌ビーズミルで処理後のスラリー(固形分濃度15質量%、平均粒子径1.6μm)を、50gビーカーに入れ、スターラーで十分攪拌混合した。
【0244】
次に、石英ガラス板(100mm×100mm×2mm厚)を用意し、バーコーター塗り法(JIS K 5400)で、#100バーコーター(江藤器械社製)を使って、石英ガラス板に当該スラリーを塗布し、室温で乾燥した後、さらに600℃で1時間焼成して試験片とした。塗布量は、固形分換算で20g/m2 であった。
【0245】
塗膜の評価としては、JIS K 5400に準拠して、鉛筆硬度、碁盤目剥離試験、及び耐水性(室温下、水中24時間)を測定し、結果を表1に示した。表より、この塗膜は、かなり耐熱性があることが示されている。
【0246】
〔実施例13〕(実施例4のシリカスラリーにエポキシ系水性レジンエマルションを配合した塗料・コーティング剤用の硬化性組成物から得られる塗膜)
【0247】
250mlプラスチック瓶に、アデカレジンEM0460(旭電化工業社製のエポキシ系樹脂の水性エマルション、固形分濃度40質量%)9.68gと脱塩水38.70gを秤取し、プラスチック瓶を振って混合した。
【0248】
次に実施例4の媒体攪拌ビーズミルで処理後のスラリー(固形分含有量15質量%)145.40gを秤取し、全体が均一になるまで250mlプラスチック瓶を、振とう機(イワキ社製、V−5型)で振とうした後、やや発泡が認められたので、アスピレーターで減圧脱気して硬化性組成物を得た。
【0249】
次に、JIS K 5400に準拠したガラス板(ソーダライムガラス、70mm×150mm×2mm厚)を用意し、バーコーター塗り法(JIS K 5400)で、#120バーコーター(江藤器械社製)を使って、ガラス板に当該スラリーを塗布し、室温で乾燥し試験片とした。塗布量は、固形分換算で20g/m2 であった。塗膜の外観は、平滑でありヒビ割れなどは認められなかった。
【0250】
ここで、実施例4の葉状シリカ2次粒子と樹脂エマルションとの固形分での質量比は、85:15である。
塗膜の評価としては、JIS K 5400に準拠した鉛筆硬度、碁盤目剥離試験、及び耐水性(室温下、水中24時間)について行い、結果を表1に示した。
【0251】
〔実施例14〕(実施例4のシリカスラリーにアクリルウレタン系市販塗料を配合した塗料・コーティング剤用の硬化性組成物から得られる塗膜)
【0252】
250mlプラスチック瓶に、水性ウレタンW#100(旭硝子コートアンドレジン社製のアクリルウレタン系樹脂の水性エマルション、固形分濃度51質量%)5.92gと脱塩水15.60gを秤取し、プラスチック瓶を振って混合した。
【0253】
これに実施例4の媒体攪拌ビーズミルで処理後のスラリー(固形分含有量15質量%)に苛性ソーダを添加しpH9.4に調整した後、113.3gを秤取し、上記プラスチック瓶に添加し、全体が均一になるまで250mlプラスチック瓶を、振とう機(イワキ社製、V−5型)で振とうした後、やや発泡が認められたので、アスピレーターで減圧脱気して硬化性組成物を得た。
【0254】
次に、JIS K 5400に準拠したガラス板(ソーダライムガラス、70mm×150mm×2mm厚)を用意し、バーコーター塗り法(JIS K 5400)で、#120バーコーター(江藤器械社製)を使って、ガラス板に当該スラリーを塗布し、室温で乾燥し試験片とした。塗布量は、固形分換算で20g/m2 であった。塗膜の外観は、平滑でありヒビ割れなどは認められなかった。
【0255】
ここで、実施例4の葉状シリカ2次粒子と樹脂エマルションとの固形分での質量比は、85:15である。
塗膜の評価としては、JIS K 5400に準拠した鉛筆硬度、碁盤目剥離試験、及び耐水性(室温下、水中24時間)について行い、結果を表1に示した。
【0256】
〔実施例15〕(実施例4のシリカスラリーにフッ素樹脂系市販塗料を配合した塗料・コーティング剤用の硬化性組成物から得られる塗膜)
【0257】
実施例4の媒体攪拌ビーズミルで処理後のシリカスラリー(固形分濃度15質量%)を250mlプラスチック瓶に250g採取し、界面活性剤イオネットS−20(三洋化成工業社製)1.25gを添加して、プラスチック瓶を振とう機(イワキ社製、V−5型)で振とうして混合し界面活性剤を含むシリカスラリーとした。この内、113.3gを分取し、それを以下の試験に用いた。
【0258】
上記250mlプラスチック瓶に、ボンフロンW#1500(旭硝子コートアンドレジン社製フッ素樹脂系樹脂の水性エマルション、固形分濃度51質量%)5.92gと脱塩水38.70gを秤取した。
【0259】
これに、上記の界面活性剤入りのシリカスラリー113.3gとシリコーンKS−508(信越化学工業社製)0.015gとを添加した後、全体が均一になるまで250mlプラスチック瓶を、振とう機(イワキ社製、V−5型)で振とうして混合して硬化性組成物を得た。
【0260】
なお、実施例4のシリカと樹脂エマルションとの固形分での質量比は、85:15である。
次に、JIS K 5400に準拠したガラス板(ソーダライムガラス、70mm×150mm×2mm厚)を用意し、バーコーター塗り法(JIS K 5400)で、#100バーコーター(江藤器械社製)を使って、ガラス板に該スラリーを塗布し、室温で乾燥し試験片とした。塗布量は、固形分換算で20g/m2 であった。塗膜の外観は、平滑であり、ヒビ割れなどは、認められなかった。
【0261】
塗膜の評価としては、JIS K 5400に準拠して、鉛筆硬度、碁盤目剥離試験、及び耐水性(室温下、水中24時間)を測定し、結果を表1に示した。
【0262】
〔実施例16〕(実施例4のシリカスラリーにシリコン樹脂系市販塗料を配合した塗料・コーティング剤用の硬化性組成物から得られる塗膜)
【0263】
実施例4の媒体攪拌ビーズミルで処理後のシリカスラリー(固形分濃度15質量%)を250mlプラスチック瓶に250g採取し、界面活性剤イオネットS−20(三洋化成工業社製)1.25gを添加して、プラスチック瓶を振とう機(イワキ社製、V−5型)で振とうして混合し界面活性剤を含むシリカスラリーとした。この内、113.3gを分取し、それを以下の試験に用いた。
【0264】
上記250mlプラスチック瓶に、オーデフレッシュSi−100(日本ペイント株社製、シリコン樹脂系樹脂の水性エマルション、固形分濃度54質量%)5.59gと脱塩水40.0gを秤取した。次に、これに、上記の界面活性剤入りのスラリー113.3gとシリコーンKS−508(信越化学工業社製)0.013gとを添加した後、全体が均一になるまで250mlプラスチック瓶を、振とう機(イワキ社製、V−5型)で振とう混合して硬化性組成物を得た。
なお、実施例4のシリカと樹脂エマルションとの固形分での質量比は、85:15である。
【0265】
次に、JIS K 5400に準拠したガラス板(ソーダライムガラス、70mm×150mm×2mm厚)を用意し、バーコーター塗り法(JIS K 5400)で、#100バーコーター(江藤器械社製)を使って、ガラス板に該スラリーを塗布し、室温で乾燥し試験片とした。塗布量は、固形分換算で20g/m2 であった。塗膜の外観は、平滑であり、ヒビ割れなどは、認められなかった。
【0266】
塗膜の評価としては、JIS K 5400に準拠して、鉛筆硬度、碁盤目剥離試験、及び耐水性(室温下、水中24時間)を測定し、結果を表1に示した。
【0267】
〔実施例17〕(実施例4のシリカスラリーに四弗化エチレン樹脂(以下PTFEと称する。)の水性エマルションを配合した塗料・コーティング剤用の硬化性組成物から得られる塗膜)
【0268】
250mlプラスチック瓶に、PTFEの水性エマルション( 旭硝子社製、商品名フルオンAD1、固形分濃度55質量%)1.8gを秤取り、実施例4の媒体攪拌ビーズミルで処理後のシリカスラリー( 固形分濃度15質量%)60gを上記プラスチック瓶に添加し、全体が均一になるまで250mlプラスチック瓶を振とう機( イワキ社製、 V−5型) で振とうした後、 スラリーをターブラーシェーカーミキサー(シンマルエンタープライゼズ社製、T2C型)に入れて、 30分間混合・分散させた。
【0269】
なお、実施例4のシリカとPTFEとの固形分での質量比率は、90:10とした。
次に、JIS K 5400に準拠したガラス板(ソーダライムガラス、70mm×150mm×2mm厚)を用意し、バーコーター塗り法(JIS K 5400)で、#100バーコーター(江藤器械社製)を使って、ガラス板に該スラリーを塗布し、室温で乾燥した後、さらに380℃で2時間熱処理して試験片とした。塗布量は、固形分換算で20g/m2 であった。塗膜の外観は、平滑であり、ヒビ割れなどは、認められなかった。
【0270】
塗膜の評価としては、JIS K 5400に準拠した鉛筆硬度、碁盤目剥離試験、耐酸性(室温下、5%硫酸中24時間)、耐アルカリ性(室温下、5%炭酸ナトリウム水溶液中24時間)、及び耐水性(室温下、水中24時間)について行い、結果を表2に示した。
【0271】
【表2】
【0272】
〔実施例18〕(実施例8のシリカ乾燥微粉末にフッ素樹脂塗料(非水系溶媒使用)を配合した塗料・コーティング剤用の硬化性組成物から得られる塗膜)
【0273】
250mlプラスチック瓶に、フッ素樹脂塗料( 旭硝子社製、商品名ルミフロンLF−200、固形分濃度60質量%)を25g、硬化剤(旭化成社製、デュラネートTPA−100)を2.5g、キシレン25gを秤り取った。
【0274】
次に、 実施例8で得られた葉状シリカ2次粒子の微粉末15gを上記プラスチック瓶に添加し、 全体が均一になるまで250mlプラスチック瓶を振とう機( イワキ社製、 V−5型) で振とうした後、スラリーをターブラーシェーカーミキサー(シンマルエンタープライゼズ社製、T2C型)に入れて、 30分間混合・分散させた。
【0275】
次に、JIS K 5400に準拠した鉄板(70mm×150mm×2mm厚)を用意し、バーコーター塗り法(JIS K 5400)で、#100バーコーター(江藤器械社製)を使って、鉄板に当該スラリーを塗布し、室温で乾燥して試験片とした。塗布量は、固形分換算で20g/m2 であった。
【0276】
なお、実施例8の葉状シリカ2次粒子とフッ素樹脂塗料との固形分での質量比率は、46:54である。
塗膜の評価としては、JIS K 5400に準拠した鉛筆硬度、碁盤目剥離試験、耐酸性(室温下、5%硫酸中24時間)、耐アルカリ性(室温下、5%炭酸ナトリウム水溶液中24時間)、及び耐水性(室温下、水中24時間)について行い、結果を表2に示した。
【0277】
〔実施例19〕(実施例4のシリカスラリーにシリカゾルを配合した硬化性組成物から得られる塗膜)
【0278】
実施例4の媒体攪拌ビーズミルで処理後のシリカスラリー(固形分濃度15質量%)45.34gを50mlガラス瓶に入れ、次いで、コロイダルシリカ(触媒化成工業社製、商品名カタロイドSI−30)を4.0g添加し、瓶を振って均一に混合し、硬化性組成物を得た。
【0279】
次に、JIS K 5400に準拠したガラス板(ソーダライムガラス、70mm×150mm×2mm厚)を用意し、バーコーター塗り法(JIS K 5400)で、#100バーコーター(江藤器械社製)を使って、ガラス板に該スラリーを塗布し、室温で乾燥して試験片とした。塗布量は、固形分換算で20g/m2 であった。塗膜の外観は、平滑であり、ヒビ割れなどは、認められなかった。
【0280】
なお、実施例4の葉状シリカ2次粒子とコロイダルシリカとの固形分での質量比は、85:15である。
塗膜の評価としては、JIS K 5400に準拠した鉛筆硬度、碁盤目剥離試験、及び耐水性(室温下、水中24時間)について行い、結果を表1に示した。
【0281】
〔実施例20〕(実施例4のシリカスラリーにシリカゲル粉末を配合した硬化性組成物から得られる吸湿性塗膜)
【0282】
実施例4の媒体攪拌ビーズミルで処理後のシリカスラリー固形分濃度15質量%)を40gとイオン交換水66gを200mlポリ容器に入れて混合した後、A型シリカゲル微粉末ゲル(洞海化学工業社製、平均粒子径4μm)54gを添加し、振とう機(イワキ社製、V−5型)で10分間振とう混合して硬化性組成物を得た。
【0283】
次に、JIS K 5400に準拠したガラス板(ソーダライムガラス、100mm×200mm×2mm厚)を用意し、バーコーター塗り法(JIS K5400)で、#100バーコーター(江藤器械社製)を使って、ガラス板に該スラリーを塗布し、室温で乾燥後、さらに110℃で1時間乾燥して試験片とした。塗布量は、固形分換算で100g/m2 であった。塗膜の外観は、平滑であり、ヒビ割れなどは、認められなかった。
【0284】
なお、実施例4の葉状シリカ2次粒子とA型シリカゲル微粉末との固形分での質量比は、10:90である。
この塗膜は、水分の吸着・脱離機能を有しているので、水分の吸着平衡をJIS 0701に準拠した方法として、25℃で相対湿度を調製したデシケーター内で48時間静置し吸湿させ、その質量増加率から平衡水分吸着率をもとめた。
【0285】
平衡水分吸着率は、試験片を、180℃で2時間乾燥後のシリカ塗膜(当該葉状シリカ2次粒子とA型シリカゲルの合計質量)の質量を基準にして計算した。結果を表3に示した。
【0286】
【表3】
【0287】
〔実施例21〕(実施例4のシリカスラリーにシリカゲル粉末を配合した硬化性組成物から得られる薄層クロマトグラフィ用分離材料)
【0288】
実施例4の媒体攪拌ビーズミルで処理後のスラリー(固形分濃度15質量%)19.5gとイオン交換水100gを200mlポリ容器に入れて混合した後、液体クロマトグラフィー用の微小真球シリカゲル(洞海化学工業社製、商品名MSゲル、EP−DF−7−60A、平均粒子径7μm)56gを添加し、振とう機(イワキ社製、V−5型)で10分間振とう混合して硬化性組成物を得た。
【0289】
次に、ガラス板(ソーダライムガラス、100mm×200mm×2mm厚)を用意して、アプリケーター(谷澤科学社製)を用いて膜厚0.5mmにセットして、上記のスラリーをガラス板の片面に塗布した。塗布されたガラス板は、常温で乾燥後、さらに、110℃で1時間乾燥した。
【0290】
なお、実施例4の葉状シリカ2次粒子と上記微小真球状シリカゲルとの固形分での質量比率は、5:95である。
塗膜の外観は、平滑でありヒビ割れなどは認められず丈夫であった。塗布量は、固形分換算で200g/m2 であり、塗膜厚みは、約250μmであった。
【0291】
この試験片を用いて、薄層クロマトグラフィとしての性能を、常法に従い測定評価した。展開槽内で親油系(ヘキサン:クロロホルム=1:1)を用いて分離を行った。
【0292】
分離サンプルは、市販の染料溶液(バイエル社製、マクロレックス・グリーン、マクロレックス・バイオレット、保土谷化学工業社製、SOTブルー、それぞれクロロホルム中濃度0.1%)の混合溶液を、キャピラリーを使用してプレート下端より15mmの所にスポットし展開距離は、スポットから150mm展開した。
【0293】
展開溶媒の距離と分離された各サンプルのスポットの中心の距離を計測し、展開溶媒の展開距離に対する各スポットの距離の比率を算出して、Rf値とした。評価結果を表4に示した。
【0294】
【表4】
【0295】
〔実施例22〕(実施例4のシリカスラリーに微粒子酸化チタンを配合した硬化性組成物から得られる紫外線遮蔽機能を有する塗膜)
【0296】
250mlプラスチック瓶にフッ素樹脂塗料( 旭硝子社製、 商品名ルミフロンLF−200、 固形分濃度60質量%)を25g、 硬化剤(旭化成社製、デュラネートTPA−100)を2.5g、キシレン12.5gを秤取り、 次に、 実施例8で得られた葉状シリカ2次粒子の微粉末を3.9g及び微粒子酸化チタン(石原産業社製、 TTO−51A、 平均粒子径0.01μm、ルチル型) 2.1gを、 上記プラスチック瓶に添加し、 全体が均一になるまで250mlプラスチック瓶を振とう機(イワキ社製、V−5型) で振とうした後、スラリーをターブラーシェーカーミキサー(シンマルエンタープライズ社製、T2C型)に入れて、 30分間振とう混合させた。
【0297】
次に、石英ガラス板(100mm×100mm×2mm厚)を用意し、バーコーター塗り法(JIS K 5400)で、#40バーコーター(江藤器械社製)を使って、石英ガラス板の片面に当該スラリーを塗布し、室温で乾燥して試験片とした。塗布量は、固形分換算で20g/m2 、塗膜厚みは30μmであった。
【0298】
なお、フッ素樹脂塗料と実施例8の葉状シリカ2次粒子微粉末と微粒子酸化チタンとの固形分での質量比率は、74.5:16.5:9.0である。
これらの試験片の塗膜評価では、鉛筆硬度は3Hであり、碁盤目剥離試験評価点は、8点であった。
【0299】
同様にして、石英ガラス板(100mm×100mm×2mm厚)を用意し、バーコーター塗り法(JIS K 5400)で、#80バーコーター(江藤器械社製)を使って、石英ガラス板の片面に当該スラリーを塗布し、室温で乾燥して試験片とした。塗布量は、固形分換算で30g/m2 、塗膜厚みは45μmであった。
【0300】
また同様にして、石英ガラス板(100mm×100mm×2mm厚)を用意し、バーコーター塗り法(JIS K 5400)で、#100バーコーター(江藤器械社製)を使って、石英ガラス板の片面に当該スラリーを塗布し、室温で乾燥して試験片とした。塗布量は、固形分換算で37g/m2 、塗膜厚みは55μmであった。
【0301】
これらの各試験片について、自記分光光度計(日立製作所社製、U−4000型)を用いて、各波長での透過率を測定し紫外線遮蔽性能を求めた。評価結果を表5に示した。
【0302】
【表5】
【0303】
〔実施例23〕(実施例4のシリカスラリーに微粒子酸化チタンを配合した硬化性組成物から得られる光酸化触媒機能を有する塗膜)
【0304】
250mlプラスチック瓶に実施例4の媒体攪拌ビーズミルで処理後のスラリー(固形分濃度15質量%)を秤取り、次に超微粒子酸化チタン(石原産業社製、ST−01、平均粒子径0.01μm、アナターゼ型)12.1gを上記プラスチック瓶に添加し、全体が均一になるまで250mlプラスチック瓶を振とう機(イワキ社製、 V−5型) で振とうした後、 スラリーをターブラーシェーカーミキサー(シンマルエンタープライズ社製、T2C型)に入れて、 30分間混合・分散させた。
【0305】
次に、ガラス板(ソーダライムガラス、100mm×100mm×2mm厚)を用意し、バーコーター塗り法(JIS K 5400)で、#80バーコーター(江藤器械社製)を使って、石英ガラス板の片面に当該スラリーを塗布し、室温で乾燥して試験片とした後、さらに、500℃で1時間熱処理して試験片とした。
【0306】
塗布量は、固形分換算で30g/m2 であった。塗膜の鉛筆硬度は、Bであり、碁盤目剥離試験の評価点は、10点であった。
【0307】
この試験片を塗布側が上になるように、33.3mg/Lメタノール水溶液500mlの入ったシャーレ( 内径200mm、深さ50mm) 中に塗布面が液面より下になるように浸積した。さらに、スターラーで液を攪拌しながら液面から空気が溶解できるようにしつつ、紫外線ランプ(30W)を液面の真上から、液面との距離30cmで、60時間照射した。
【0308】
比較のためのブランクとして、塗布していない同寸法のガラス板を用いて、試験片と同条件で試験した。
照射後のメタノール水溶液を、 JIS K 0120のCOD測定法で液中COD値を測定した。結果を表6に示す。
【0309】
【表6】
【0310】
〔実施例24〕(実施例4のシリカ単独での湿式圧縮成型(脱水圧縮成形)による成形体)
【0311】
実施例4の媒体攪拌ビーズミルで処理後のスラリー(固形分濃度15質量%)を、攪拌下、減圧で水分を蒸発濃縮して、固形分濃度32.8質量%の柔らかい湿ケーキを調整した。
【0312】
当該湿ケーキを、13g秤量し、ペレットプレス機( 内径20mm×ストローク50mm)のシリンダー内に充填した。なお、シリンダー下部には、濾紙を敷いて脱水できるようにした。
【0313】
ピストンを装着して、ハンドプレスで加圧して、ゆっくり1.96MPaから19.6MPaまで加圧して、成形体として円柱状の湿ペレット(直径20mm、高さ10mm)を得た。これを箱型乾燥機を用いて、120℃で2時間乾燥し、質量4.1gの乾燥ペレット(直径20mm、高さ10mm)を得た。
【0314】
乾燥ペレットの圧縮強度の測定は、圧縮強度試験機(九州丸東社製、980N圧縮強度試験機) に、押し込み棒(先端直径3mm)を取り付けて、ペレットを圧縮して破壊し、その時のリング変位をマイクロメーターで読み荷重に換算した。ペレットを10個測定し、ペレット破壊時の圧縮荷重の平均値を求めたところ710Nであった。
【0315】
〔実施例25〕(実施例8のシリカ単独での乾式圧縮成形による成形体)
実施例8のシリカ乾燥微粉末を3.2g秤り取り、ペレットプレス機( 内径20mm×ストローク50mm)のシリンダー内に充填した。ピストンを装着して、ハンドプレスで加圧して、ゆっくり1.96MPaから19.6MPaまで加圧して、成形体として3.2gのペレット(直径20mm、高さ10mm)を得た。
【0316】
ペレットの圧縮強度測定は、実施例24と同じ方法で行い、ペレット破壊時の圧縮荷重の平均値は、284Nであった。
【0317】
〔実施例26〕(実施例4のシリカとA型シリカゲル混合品の湿式圧縮成形(脱水圧縮成形)による水分吸着機能を有する成形体)
【0318】
実施例24と同じ湿ケーキ(固形分濃度32.8質量%)2.77gとA型シリカゲル水スラリー(固形分濃度17.8質量%、平均粒子径4μm)10.23gとを混合した後、ペレットプレス機のシリンダー内に充填した。
【0319】
ピストンを装着して、ハンドプレスで加圧して、ゆっくり1.96MPaから19.6MPaまで加圧して、5.18gの湿ペレットを得た。これれを箱型乾燥機で、120℃で2時間乾燥し、成形体として質量3.2gの乾燥ペレット(直径20mm、、高さ10mm)を得た。ペレットの圧縮強度測定は、実施例24と同じ方法で行い、ペレット破壊時の圧縮荷重の平均値は、108Nであった。当該ペレット中の葉状シリカ2次粒子とA型シリカゲルとの質量比率は、33.3:66.7である。
【0320】
上記の乾燥ペレットの水分吸着平衡値を、JIS Z 0701に準拠して測定した。測定結果を表3に示した。
【0321】
〔実施例27〕(実施例8のシリカとA型シリカゲル混合品の乾式圧縮成形による水分吸着機能を有する成形体)
【0322】
実施例8の葉状シリカ2次粒子の乾燥微粉末1.1gとA型シリカゲル微粉末(洞海化学工業社製、平均粒子径4μm)2.1gとを混合した後、ペレットプレス機のシリンダー内に充填した。
【0323】
ピストンを装着して、ハンドプレスで加圧して、ゆっくり1.96MPaから19.6MPaまで加圧して、湿ペレットを得た。これれを箱型乾燥機で、120℃で2時間乾燥し、成形体として質量3.2gの乾燥ペレット(直径20mm、高さ10mm)を得た。ペレットの圧縮強度測定は、実施例24と同じ方法で行い、ペレット破壊時の圧縮荷重の平均値は、88.2Nであった。当該ペレット中の葉状シリカ2次粒子とA型シリカゲルとの質量比率は、33.3:66.7である。
【0324】
上記の乾燥ペレットの水分吸着平衡値を、JIS Z 0701に準拠して測定した。測定結果を表3に示した。
【0325】
【発明の効果】
本発明の葉状シリカ2次粒子は、自己造膜性を有し、常温においても耐酸性、耐アルカリ性及び耐熱性を併せ有する強固なシリカ被膜を形成しうるものであり、塗料や粒子結着剤(バインダー)として、建物や構築物の外装用あるいは内装用塗料・コーテング剤に有用であり、さらには、熱的機能、光学的機能、吸着機能触媒機能(光触媒など)、対生物機能等を有する塗料・コーティング剤、芳香発生機能を有する塗料・コーティング剤などの種々の用途に有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の葉状シリカ2次粒子を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明の葉状シリカ2次粒子を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明におけるシリカ3次凝集体粒子を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明の葉状シリカ2次粒子からなる塗膜断面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】シリカ3次凝集体粒子からなる塗膜断面の走査型電子顕微鏡写真である。
Claims (32)
- 水熱反応により形成したシリカ3次凝集体粒子を解砕して得られ、シリカX及び/又はシリカYからなる厚さが0.001〜0.1μmの鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子からなり、当該2次粒子の厚さは、0.001〜3μmであり、厚さに対する葉状2次粒子(板)の最長長さの比(アスペクト比)は、少なくとも10、厚さに対する葉状2次粒子(板)の最小長さの比は、少なくとも2であり、互いに独立に存在する積層構造の粒子形態を有し、かつ、自己造膜性を有することを特徴とする鱗片状シリカ粒子。
- 窒素吸着法(BET)法による細孔分布測定において、細孔直径が2〜6nmに鋭いピークを有するものである請求項1に記載の鱗片状シリカ粒子。
- シリカ粒子のX線回折分析での主ピークがシリカ−X及び/又はシリカ−Yに該当するシリカである請求項1又は2に記載の鱗片状シリカ粒子。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の積層構造の粒子形態を有し、かつ、自己造膜性を有する鱗片状シリカ粒子と揮発性液体からなることを特徴とする硬化性組成物。
- 前記揮発性液体が揮発する温度で、実質的に揮発しない低揮発性物質を更に含む請求項4に記載の硬化性組成物。
- 鱗片状シリカの含有量がSiO2換算で1〜80質量%である請求項4又は5に記載の硬化性組成物。
- 前記低揮発性物質が有機高分子物質又は重合反応によって有機高分子物質を形成する前駆体物質である請求項5に記載の硬化性組成物。
- 前記低揮発性物質が吸着及び脱着機能を有する物質である請求項5に記載の硬化性組成物。
- 前記低揮発性物質が触媒機能を有する物質である請求項5に記載の硬化性組成物。
- 前記低揮発性物質が光学的機能を有する物質である請求項5に記載の硬化性組成物。
- 前記低揮発性物質が金属化合物である請求項5に記載の硬化性組成物。
- 請求項4に記載の硬化性組成物の塗膜または成形体を乾燥・硬化して得られる鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子が、さらに2次粒子どうしが平行的に積層されて構成されたことを特徴とする硬化体。
- 硬化体中に、更に前記低揮発性物質を含む請求項12に記載の硬化体。
- 硬化体中に、有機高分子物質又は重合反応によって有機高分子物質を形成する前駆体物質を含有する請求項13に記載の硬化体。
- 硬化体中に、吸着及び脱着機能を有する物質を含有する請求項13に記載の硬化体。
- 硬化体中に、触媒機能を有する物質を含有する請求項13に記載の硬化体。
- 硬化体中に、紫外線遮蔽機能、光選択透過機能、及び蛍光機能から選択される光学的機能を有する物質を含有する請求項13に記載の硬化体。
- 硬化体中に、鱗片状シリカとは異なる非晶質の二酸化ケイ素及び/又は二酸化ケイ素以外の金属化合物を含有する請求項13に記載の硬化体。
- 吸着及び脱着機能を有する物質がシリカゲルである請求項15に記載の硬化体。
- 触媒機能を有する物質が酸化チタンである請求項16に記載の硬化体。
- 光学的機能を有する物質が酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、及び酸化ジルコニウムからなる群から選択される1種または2種以上の微粒子である請求項17に記載の硬化体。
- 鱗片状シリカとは異なる非晶質の二酸化ケイ素及び/又は二酸化ケイ素以外の金属化合物がコロイド粒子である請求項18に記載の硬化体。
- 硬化体が塗膜である請求項12〜22のいずれかに記載の硬化体。
- シリカ粒子のX線回折分析での主ピークがシリカ−X及び/又はシリカ−Yに該当するシリカである請求項12〜23のいずれかに記載の硬化体。
- シリカ−Xの硬化体表面について測定したX線回折図において、2θが4.9°のピーク高さに対する、2θが26.0°のピーク高さの比が0.0〜0.5である請求項24に記載の硬化体。
- 請求項4に記載の硬化性組成物用の鱗片状シリカ粒子の製造方法であって、(1)シリカヒドロゲルまたはシリカゾルをアルカリ金属塩の存在下に水熱処理し、薄片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なった葉状シリカ2次粒子と、当該2次粒子が3次元的に不規則に重なり合って形成される間隙を有する3次粒子からなる鱗片状シリカ3次凝集体粒子を形成する工程、及び(2)上記シリカ3次凝集体粒子を湿式解砕装置または乾式粉砕・分級機に供給して当該3次凝集体粒子を2次粒子まで解砕・分散化し、3次粒子が存在しない2次粒子からなる葉状シリカ粒子とする工程からなることを特徴とする、葉状シリカ2次粒子からなる積層構造の粒子形態を有し、かつ、自己造膜性を有する鱗片状シリカ粒子の製造方法。
- SiO2 濃度が15〜75質量%のシリカヒドロゲルを使用する請求項26に記載の鱗片状シリカ粒子の製造方法。
- シリカヒドロゲルを水熱処理するとともに、当該水熱処理温度が150〜220℃、処理液中の総シリカ/アルカリモル比(SiO2/Me2 O(Meはアルカリ金属を示す))が4〜15mol/molである請求項26又は27に記載の鱗片状シリカ粒子の製造方法。
- シリカ3次凝集体粒子の解砕・分散化を湿式解砕装置を用いて行う請求項26〜28のいずれかに記載の鱗片状シリカ粒子の製造方法。
- シリカ3次凝集体粒子の解砕・分散化を媒体ビーズを用いる高速機械撹拌式湿式粉砕装置を用いて行う請求項29に記載の鱗片状シリカ粒子の製造方法。
- シリカ3次凝集体粒子乾燥粉末の解砕・分散化を行う乾式粉砕・分級機としてジェットミルと乾式分級機との組合せを使用して連続的に行う請求項26〜28のいずれかに記載の鱗片状シリカ粒子の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の積層構造の粒子形態を有し、かつ、自己造膜性を有する鱗片状シリカ粒子をシリカゲル微粒子の結着剤として用いて、基体上に当該シリカゲル微粒子及び鱗片状シリカ粒子を含有する塗膜が形成されたことを特徴とする薄層クロマトグラフィ用分離材料。
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