JP4059584B2 - マグネット式ヒーター - Google Patents
マグネット式ヒーター Download PDFInfo
- Publication number
- JP4059584B2 JP4059584B2 JP01059099A JP1059099A JP4059584B2 JP 4059584 B2 JP4059584 B2 JP 4059584B2 JP 01059099 A JP01059099 A JP 01059099A JP 1059099 A JP1059099 A JP 1059099A JP 4059584 B2 JP4059584 B2 JP 4059584B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- conductor
- magnet
- housing
- medium fluid
- drive shaft
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- General Induction Heating (AREA)
- Air-Conditioning For Vehicles (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に寒冷時や極寒時におけるディーゼルエンジンやガソリンエンジンを動力源とする主に自動車などの各種車両用エンジンの起動性向上や電気自動車を含む各種車両や船舶のキャビン暖房などに使用されるエンジン冷却水などの熱媒体用流体の補助加熱手段として用いられ、またエンジン駆動される発電機、溶接機、コンプレッサー、建設機械などのエンジン冷却水の予熱あるいは急速昇温(ウォーミングアップ時間の短縮)に用いるマグネット式ヒーターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
寒冷地などにおける始動時のエンジン冷却水の暖房に利用される自動車などの車両用補助暖房熱源として、ビスカス式ヒーターが知られている(特開平2−246823号公報、実開平4−11716号公報、特開平9−254637公報、特開平9−66729号公報、特開平9−323530公報など参照)。
ビスカス式ヒーターは、シリコンオイルなどの粘性流体をせん断により発熱させ、ウォータージャケット内を循環する循環水に熱交換して暖房熱源に利用する方式であって、その構造としては、例えばハウジング内部に発熱室と、この発熱室の外域にウォータージャケットを形成し、ハウジングには軸受装置を介して駆動軸が回動可能に支承され、駆動軸には発熱室内で回動可能なロータが固定されており、発熱室の壁面とロータとの間隙にシリコンオイルなどの粘性流体が封入され、ウォータージャケット内では循環水が入水ポートから取入れられ、出水ポートから外部の暖房回路へ送り出されるべく循環されている。
【0003】
車両の暖房装置に組込まれたこのビスカス式ヒーターでは、駆動軸がエンジンにより駆動されれば、発熱室内でロータが回動するため、粘性流体が発熱室の壁面とロータの外面との間隙でせん断により発熱し、この発熱がウォータージャケット内の循環水に熱交換され、加熱された循環水が暖房回路でエンジン冷却水など車両の暖房に供されることとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記したビスカス式ヒーターは、シンプルな構造により、小型化と低コストを実現でき、また摩耗のない非接触式の機構で高い信頼性と安全性を確保することができ、さらに水温が上昇し、補助ヒーターが不要になると温度制御により自動的に運転が停止するため、無駄なエネルギーは使用しないなどの特徴を有するが、粘性流体として用いるシリコンオイルの耐熱性は240℃程度が限界であり、シリコンオイルの温度をあまり高くできないことと、始動時シリコンオイルが撹拌されて高温に発熱するまでに時間がかかるとともに、シリコンオイルの温度が上昇すると粘度が低下することによりせん断抵抗が低下して単位時間当りの発熱量が次第に減少する傾向があるためにエンジン冷間時間での急速な暖房効果が得られないという難点がある。このため、特にディーゼルエンジン搭載の寒冷地仕様車の場合、このようなビスカス式ヒータは有効性において十分とはいえず、より短時間にかつ効率よく熱媒体用流体を高温に加熱することができる補助ヒータが望まれていた。
【0005】
本発明は、このようなビスカス式ヒーターの有する問題点にかんがみなされたもので、ビスカス式ヒーターに比しより高温にしかも短時間に熱媒体用流体の温度を上昇させることができ、かつ耐熱性に優れたマグネット式ヒーターを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るマグネット式ヒーターは、磁石と導体間に形成される磁路をせん断することにより導体側に発生するスリップ発熱を熱媒体用流体に熱交換する方式であり、その要旨は、磁石と導体を僅かなギャップを隔てて対向配置し、該磁石と導体を相対的に回転させることにより導体に生じるスリップ発熱で熱媒体用流体を加熱する方式であって、その第1の実施態様は駆動軸に軸受装置を介して支承されたハウジングの内部に永久磁石と、該永久磁石と僅かなギャップを隔てて対向配置した導体を有する熱媒体用流体ジャケットが前記駆動軸により回動可能に設けられ、前記熱媒体用流体ジャケットの回動により導体に生じるスリップ発熱により、前記ハウジングの内部に導入された熱媒体用流体が加熱される構造となしたことを特徴とし、第2の実施態様は駆動軸に軸受装置を介して支承されたハウジングの内部に間隔を隔てて対向配置した左右一対の永久磁石と、該永久磁石の間に介在し各永久磁石と僅かなギャップを隔てて対向配置した左右一対の導体を有しかつ内部に熱媒体用流体通路が設けられた熱媒体用流体ジャケットが前記駆動軸により回動可能に設けられ、前記熱媒体用流体ジャケットの回動により導体に生じるスリップ発熱により前記ハウジングの内部に導入された熱媒体用流体が加熱される構造となしたことを特徴とし、第3の実施態様は駆動軸に軸受装置を介して支承されたハウジングに永久磁石が取付けられ、ハウジング内部に前記永久磁石と僅かなギャップを隔てて対向する円盤状の導体が前記駆動軸により回動可能に設けられ、前記円盤状の導体の回動により当該導体に生じるスリップ発熱により、前記ハウジングの内部に導入された熱媒体用流体が加熱される構造となしたことを特徴とし、また前記永久磁石に替えてサーマルフェライトまたは電磁石を用いたり、前記導体にエディカレント材を磁石側表面に設けた磁性材、ヒステリシス材またはエディカレント材を用いたりするものである。なお、前記ギャップは特に限定するものではないが、通常0.3〜1.0mmである。
【0007】
すなわち、基本的には永久磁石、サーマルフェライトまたは電磁石などの磁石と、磁気ヒステリシスの大きな材料(以下「ヒステリシス材」と呼ぶ)やエディカレント材などの導体(発熱体)の2つの部材で構成され、この2つの部材が僅かなギャップを隔てて向かい合い、磁石と導体を相対的に回転させて磁路をせん断することにより導体側に発生するスリップ発熱を利用したもので、発熱体にエディカレント材またはヒステリシス材を用いることによって数秒〜数十秒で200〜600℃の温度に発熱させることができるという特徴を有する。
【0008】
なお、上記した「スリップ発熱」とは前記磁石により発生した磁界内で、該磁界を切る方向に導体を動かす(回転させる)と、当該導体内に渦電流(エディカレント)が発生し、この渦電流の導体内における電気抵抗により発熱することを主に意味する。
【0009】
ハウジングの内部に導入された熱媒体用流体は、永久磁石と導体が1組(シングル構造)の場合は固定の永久磁石と回動する導体とのギャップ間を通流する際に導体に直接または間接に接触して熱交換が行われ、永久磁石と導体が2組(ダブル構造)の場合は固定の永久磁石と回動する導体とのギャップ間を通流する際に2組の導体に直接または間接に接触して熱交換が行われるとともに、熱媒体用流体ジャケット内を通流する際にも導体に直接または間接に接触して熱交換が行われる。
【0010】
また、本発明における回転駆動源としては、エンジンによりプーリなどを介して駆動軸を駆動する方式、あるいはエンジンとは別設の専用のモーターや風力、水力などを用いることができる。
【0011】
さらに、本発明のマグネット式ヒーターのON/OFF制御手段としては、電磁クラッチ、サーマルフェライト、電磁ブレーキ、電磁コイルなどを用いることができる。なお、サーマルフェライトは、永久磁石にソフトフェライトを貼り付けたものが一般的であり、ある温度以上に発熱すると磁路がソフトフェライト中を通るようになり、反対に発熱温度がある温度以下に下がると磁路がソフトフェライトの外側に形成されるという特性を有する磁石であるため、永久磁石に替えてサーマルフェライトを用いた場合は、自動的にON/OFF制御が可能となるので、ON/OFF制御系は不要である。また、永久磁石に替えて電磁石を用いる場合は、給電ケーブルなどによって通電する方法をとることはいうまでもない。
【0012】
本発明は導体側の回転により当該導体が発熱し、磁石も導体からの輻射熱により磁力は少し弱まり、駆動トルクは多少減少するが、前記したビスカス式ヒーター程の比ではなく、発熱量は高い値を維持し続けることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るマグネット式ヒーターの第1の実施例(シングル構造)を示す縦断側面図、図2は本発明に係るマグネット式ヒーターの第2の実施例(シングル構造)を示す縦断側面図、図3は本発明に係るマグネット式ヒーターの第3の実施例(シングル構造)を示す縦断側面図、図4は本発明に係るマグネット式ヒーターの第4の実施例(ダブル構造)を示す縦断側面図、図5は本発明に係るマグネット式ヒーターの第5の実施例(ダブル構造)を示す縦断側面図であり、1、11は駆動軸、2、12は前部ハウジング、2−1、12−1は後部ハウジング、3は永久磁石、4、4−1、14は回動式ウォータージャケット、5、15は導体、6、16は軸受装置、7、17は軸封装置、8−1、8−2、8−3は入水ポート、9−1、9−2、9−3は出水ポート、10、20は締結ボルト、22は一体型のハウジング、31、41はプーリ、33は電磁石、34は給電ケーブル、35はバックプレートをそれぞれ示す。
【0014】
図1に示すマグネット式ヒーターは、駆動軸1の外周に軸受装置6および軸封装置7を介して支承された前部ハウジング2と後部ハウジング2−1内に永久磁石3が収納されている。この永久磁石3はドーナツ状で、ヨーク3aを介して前部ハウジング2に取付けられている。このハウジング内には、前記駆動軸1に嵌着された回動式ウォータージャケット4が設けられ、このウォータージャケットには前記永久磁石3と僅かなギャップを隔てて対向する導体5がその背面を後部ハウジング2−1側に露出させて取付けられている。前記導体5はヒステリシス材、好ましくは鉄板、鋳鉄、鋳鋼などの磁性材の磁石側表面にエディカレント材を貼着して構成されたものあるいはエディカレント材そのものである。後部ハウジング2−1側の背面には熱交換効率をよくするために円弧状フィン5aまたは放射状フィン5bが設けられている。ウォータージャケット4の付け根部には熱媒体用流体としての循環水の通孔4−1aが穿設されている。永久磁石3および回動式ウォータージャケット4を収納するハウジングには、入水ポート8−1および出水ポート9−1が設けられ、入水ポート8−1と出水ポート9−1は該ハウジング内に連通されている。一方、駆動軸1には締結ボルト10によりプーリ31が取付けられ、車両のエンジンによりベルトで回転されるようになっている。駆動源はエンジンに替えて専用のモーターや風水力などを使用することも可能であることはいうまでもない。
【0015】
上記構成のマグネット式ヒーターにおいて、駆動軸1がプーリ31を介してエンジンにより駆動されると、前部ハウジング2および後部ハウジング2−1内でウォータージャケット4が回動し導体5が回動することにより、ハウジング内に収納されている永久磁石3との間に形成されている磁路がせん断されて導体5にスリップ発熱が生じる。この導体5の発熱は、前部ハウジング2および後部ハウジング2−1内の熱媒体用流体としての循環水に熱交換され、加熱された循環水が暖房回路で車両の暖房に供されることとなる。
【0016】
つぎに、図2に示すマグネット式ヒーターは、永久磁石に替えて電磁石を使用し、この電磁石により回転側の導体にスリップ発熱を生じさせる方式を例示したもので、ヒーター自体の構造は図1に示すものと同様、駆動軸1の外周に軸受装置6および軸封装置7を介して支承された前部ハウジング2と後部ハウジング2−1内に単一の電磁石33が収納されている。なお電磁石の場合はヨークは不要である。前記ハウジング内には、前記駆動軸1に嵌着された回動式ウォータージャケット4が設けられ、このウォータージャケットには前記電磁石33と僅かなギャップを隔てて対向する導体5がその背面を後部ハウジング2−1側に露出させて取付けられている。電磁石33には給電ケーブル34より通電されるように構成されている。
【0017】
図2に示すマグネット式ヒーターの場合も、図1に示すものと同様、駆動軸1がプーリ31を介してエンジンにより駆動されると、前部ハウジング2および後部ハウジング2−1内でウォータージャケット4が回動し導体5が回動することにより、ハウジング内に収納されている電磁石33との間に形成されている磁路がせん断されて導体5にスリップ発熱が生じ、前部ハウジング2および後部ハウジング2−1内の熱媒体用流体としての循環水に熱交換される。
【0018】
図3に示すマグネット式ヒーターは、ハウジング内に設ける回動式ウォータージャケット全体を導体で構成したもので、ヒーターの構造は駆動軸1の外周に軸受装置6および軸封装置7を介して支承された一体型のハウジング22に永久磁石3が当該ハウジング内部に一面が露出するごとく取付けられている。ハウジング22内には、前記駆動軸1に固着された円盤状の回動式ウォータージャケット4−1が前記永久磁石3と僅かなギャップを隔てて対向するごとく取付けられている。この円盤状の回動式ウォータージャケット4−1は全体を導体で構成したもので、該導体は前記したごとくヒステリシス材、好ましくは鉄板、鋳鉄、鋳鋼などの磁性材の磁石側表面にエディカレント材を貼着して構成されたものあるいはエディカレント材そのものである。駆動軸1にはプーリ41が取付けられ、車両のエンジンによりベルトで回転されるようになっている。回動式ウォータージャケット4−1を収納する一体型のハウジング22には、入水ポート8−2および出水ポート9−2が設けられている。なお、バックプレート35は永久磁石3により発生した磁界をより効果的に回動式ウォータージャケット4−1に集中させるためのコア材であり、必ずしも必要とするものではないが設けた方が好ましい。
【0019】
図3に示すマグネット式ヒーターの場合は、駆動軸1がプーリ41を介してエンジンにより駆動されると、一体型のハウジング22内で全体が導体の円盤状のウォータージャケット4−1が回動することにより、永久磁石3との間に形成されている磁路がせん断されて該ウォータージャケット4−1にスリップ発熱が生じ、一体型のハウジング22内の熱媒体用流体としての循環水に熱交換される。
【0020】
つぎに、図4に示すダブル構造のマグネット式ヒーターは、駆動軸11の外周に軸受装置16および軸封装置17を介して支承された前部ハウジング12と後部ハウジング12−1内に所定の間隔を隔てて対向配置した左右一対の永久磁石3が収納されている。この永久磁石3はドーナツ状で、ヨーク3aを介して取付けられている。このハウジング内には、前記永久磁石3間に前記駆動軸11に嵌着された回動式ウォータージャケット14が設けられ、このウォータージャケット14には前記左右一対の永久磁石3と僅かなギャップを隔てて対向する左右一対の導体15が取付けられている。このウォータージャケット14には熱媒体用流体としての循環水の通路が穿設されている。この通路は当該ウォータージャケット14の付け根部に軸方向に穿設した通路14−1aと、この通路14−1aに連通しかつ左右の導体間を通るように放射状に、好ましくは扇状に設けた複数の通路14−1bとからなっている。なお導体15の背面を通路14−1aに露出させると熱交換が一層促進されて好ましい。永久磁石3および回動式ウォータージャケット14を収納するハウジングには、入水ポート8−3および出水ポート9−3が設けられ、入水ポート8−3と出水ポート9−3は該ハウジング内に連通されている。ウォータージャケット14には熱交換効率をよくするために外周部または放射状通路にフィン14aが設けられている。一方、駆動軸11には締結ボルト20によりプーリ51が取付けられ、車両のエンジンによりベルトで回転されるようになっている。駆動源はエンジンに替えて専用のモーターや風水力などを使用することも可能であることはいうまでもない。
【0021】
上記構成のマグネット式ヒーターにおいて、駆動軸11がプーリ51を介してエンジンにより駆動されると、前部ハウジング12および後部ハウジング12−1内でウォータージャケット14が回動し導体15が回動することにより、ハウジング内に収納されている左右一対の永久磁石3との間に形成されている磁路がせん断されて導体15にスリップ発熱が生じる。この導体15の発熱は、前部ハウジング12および後部ハウジング12−1内の熱媒体用流体としての循環水に熱交換され、加熱された循環水が暖房回路で車両の暖房に供されることとなる。
【0022】
同じく図5に示すダブル構造のマグネット式ヒーターは、永久磁石に替えて電磁石を使用し、この電磁石により回動側の導体にスリップ発熱を生じさせる方式を例示したもので、ヒーター自体の構造は図3に示すものと同様、駆動軸11の外周に軸受装置16および軸封装置17を介して支承された前部ハウジング12と後部ハウジング12−1内に所定の間隔を隔てて対向配置した左右一対の電磁石33が収納されている。なお電磁石の場合はヨークは不要である。前記ハウジング内には、電磁石33間に前記駆動軸11に嵌着された回動式ウォータージャケット14が設けられ、このウォータージャケットには前記左右一対の電磁石33と僅かなギャップを隔てて対向する左右一対の導体15が取付けられている。このウォータージャケット14には、当該ウォータージャケット14の付け根部に軸方向に穿設した通路14−1aと、この通路14−1aに連通しかつ左右の導体間を通るように放射状に、好ましくは扇状に設けた複数の通路14−1bとからなる循環水の通路が穿設されている。なお導体15の背面を通路14−1bに露出させると熱交換が一層促進されて好ましい。電磁石33および回動式ウォータージャケット14を収納するハウジングには、入水ポート8−3および出水ポート9−3が設けられ、入水ポート8−3と出水ポート9−3は該ハウジング内に連通されている。ウォータージャケット14には熱交換効率をよくするためにフィン14aが設けられている。左右一対の電磁石33には、給電ケーブル34より通電されるように構成されている。なお、駆動軸11にはボルト20によりプーリ51が取付けられ、車両のエンジンによりベルトで回転されるようになっている。
【0023】
図5に示すマグネット式ヒーターの場合も、図4に示すものと同様、駆動軸11がプーリ51を介してエンジンにより駆動されると、前部ハウジング12および後部ハウジング12−1内でウォータージャケット14が回動し導体15が回動することにより、ハウジング内に収納されている左右一対の電磁石33との間に形成されている磁路がせん断されて導体15にスリップ発熱が生じる。この導体15の発熱は、前部ハウジング12および後部ハウジング12−1内の熱媒体用流体としての循環水に熱交換され、加熱された循環水が暖房回路で車両の暖房に供されることとなる。
【0024】
上記図1、図3、図5に示す構成のマグネット式ヒーターにおけるON/OFF制御手段としては、プーリ31、41、51を電磁クラッチなどに置換える方式や、永久磁石に替えてサーマルフェライトなどを用いてON/OFF制御する方式を用いることができる。
【0025】
図6は本発明者が試験的に行った希土類エディカレント材発熱データを例示したもので、このデータは永久磁石とエディカレント材間のギャップを1.0mmに設定して対向配置し、エディカレント材側を固定した状態で磁石側の回転数を種々変えて測定した時間(sec)と温度の関係を示したものである。
このデータより、磁石と導体を僅かなギャップを隔てて対向配置し、該磁石と導体を相対的に回転させることにより、数秒〜数十秒で導体に200〜600℃のスリップ発熱が生じることがわかる。したがって、導体側にウォータージャケットを取付けた場合には、循環水との熱交換表面の温度を極短時間に200〜600℃の高温に加熱することができることとなる。
【0026】
なお、上記の各実施例では、熱媒体用流体として水を採用したが、これに限定されず、他の熱媒体用流体、例えば熱媒体油、シリコンオイル、冷媒あるいは空気などのガス体も採用できる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したごとく、本発明に係るマグネット式ヒーターは、永久磁石や電磁石、サーマルフェライトなどの磁石と、エディカレント材を磁石側表面に設けた磁性材、ヒステリシス材またはエディカレント材からなる導体とを組合わせ、熱媒体用流体中で導体側を回転させることにより当該導体に生じるスリップ発熱を利用したものであるから、構造をよりシンプルにでき、小型化と低コスト化を実現でき、また摩耗のない非接触式の機構でより高い信頼性と安全性を確保することができ、さらに熱媒体用流体中で導体にスリップ発熱を生じさせるので熱回収効率も高く、特に磁石と導体とを左右一対設けたダブル構造のマグネット式ヒーターの場合は導体の両側面から熱回収するのでより高い熱回収効率が得られ、例えばエンジン冷間時、急速に暖房が必要な場合、導体側をエンジンなどにより駆動することによりエンジン冷却水を急速に暖めるとともにエンジンの暖房機能を著しく向上させることができるという優れた効果を奏する。したがって、本発明はより短時間にかつ効率よく熱媒体用流体を高温に加熱することができる補助ヒータとして優れた効果を発揮し、特にディーゼルエンジン搭載の寒冷地仕様車などに極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマグネット式ヒーターの第1の実施例を示す縦断側面図である。
【図2】本発明に係るマグネット式ヒーターの第2の実施例を示す縦断側面図である。
【図3】本発明に係るマグネット式ヒーターの第3の実施例を示す縦断側面図である。
【図4】本発明に係るマグネット式ヒーターの第4の実施例を示す縦断側面図である。
【図5】本発明に係るマグネット式ヒーターの第5の実施例を示す縦断側面図である。
【図6】本発明者が試験的に行った希土類エディカレント材発熱データの一例を示す図である。
【符号の説明】
1、11 駆動軸
2、12 前部ハウジング
2−1、12−1 後部ハウジング
3 永久磁石
4、4−1、14 回動式ウォータージャケット
5、15 導体
6、16 軸受装置
7、17 軸封装置
8−1、8−2、8−3 入水ポート
9−1、9−2、9−3 出水ポート
10、20 締結ボルト
22 一体型ハウジング
31、41、51 プーリ
33 電磁石
34 給電ケーブル
Claims (5)
- 磁石と導体を僅かなギャップを隔てて対向配置し、該磁石と導体を相対的に回転させることにより導体に生じるスリップ発熱で熱媒体用流体を加熱する方式であって、駆動軸に軸受装置を介して支承されたハウジングの内部に永久磁石と、該永久磁石と僅かなギャップを隔てて対向配置した導体を有する熱媒体用流体ジャケットが前記駆動軸により回動可能に設けられ、かつ前記導体は背面に円弧状フィンまたは放射状フィンを有し、前記熱媒体用流体ジャケットの回動により導体に生じるスリップ発熱により、前記ハウジングの内部に導入された熱媒体用流体が加熱される構造となしたことを特徴とするマグネット式ヒーター。
- 磁石と導体を僅かなギャップを隔てて対向配置し、該磁石と導体を相対的に回転させることにより導体に生じるスリップ発熱で熱媒体用流体を加熱する方式であって、駆動軸に軸受装置を介して支承されたハウジングの内部に間隔を隔てて対向配置した左右一対の永久磁石と、該永久磁石の間に介在し各永久磁石と僅かなギャップを隔てて対向配置した左右一対の導体を有しかつ内部に熱媒体用流体通路が設けられた熱媒体用流体ジャケットが前記駆動軸により回動可能に設けられ、前記熱媒体用流体ジャケットの回動により導体に生じるスリップ発熱により、前記ハウジングの内部に導入された熱媒体用流体が加熱される構造となしたことを特徴とするマグネット式ヒーター。
- 永久磁石に替えてサーマルフェライトを用いることを特徴とする請求項1または2に記載のマグネット式ヒーター。
- 導体にエディカレント材を磁石側表面に設けた磁性材、ヒステリシス材またはエディカレント材を用いることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載のマグネット式ヒーター。
- 永久磁石に替えて、電磁石を用いることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載のマグネット式ヒーター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01059099A JP4059584B2 (ja) | 1998-06-01 | 1999-01-19 | マグネット式ヒーター |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10-167723 | 1998-06-01 | ||
JP16772398 | 1998-06-01 | ||
JP01059099A JP4059584B2 (ja) | 1998-06-01 | 1999-01-19 | マグネット式ヒーター |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000058239A JP2000058239A (ja) | 2000-02-25 |
JP4059584B2 true JP4059584B2 (ja) | 2008-03-12 |
Family
ID=26345894
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP01059099A Expired - Fee Related JP4059584B2 (ja) | 1998-06-01 | 1999-01-19 | マグネット式ヒーター |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4059584B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107148725B (zh) * | 2014-11-06 | 2020-01-07 | 日本制铁株式会社 | 涡流式发热装置 |
JP6372385B2 (ja) * | 2015-02-10 | 2018-08-15 | 新日鐵住金株式会社 | 渦電流式発熱装置 |
US11561032B2 (en) | 2019-11-12 | 2023-01-24 | Heat X, LLC | Magnetic induction water heater/chiller with separate heating/chilling zones |
-
1999
- 1999-01-19 JP JP01059099A patent/JP4059584B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000058239A (ja) | 2000-02-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3982656B2 (ja) | マグネット式ヒーター | |
KR100732922B1 (ko) | 자기 히터 | |
JPH07115581B2 (ja) | 車両用暖房装置 | |
JP4332873B2 (ja) | マグネット式ファンクラッチ・ヒーター装置 | |
JP4059584B2 (ja) | マグネット式ヒーター | |
JP4315305B2 (ja) | マグネット式ヒーター | |
JP4017266B2 (ja) | マグネット式ヒーター | |
JP2000123962A (ja) | マグネット式ヒーター | |
JP4315304B2 (ja) | マグネット式ヒーター | |
JP3982657B2 (ja) | マグネット式ヒーター | |
JP3988904B2 (ja) | マグネット式ヒーター | |
JP4247941B2 (ja) | マグネット式ヒーター | |
JP4306855B2 (ja) | マグネット式ヒーターシステム | |
JP4208105B2 (ja) | マグネット式ヒーター | |
JP4208103B2 (ja) | マグネット式ヒーター | |
JPH11312574A (ja) | マグネット式ヒーター | |
JPH11312573A (ja) | マグネット式ヒーター | |
JP3934398B2 (ja) | 車両用暖房装置 | |
JPH11329688A (ja) | マグネット式ヒーター | |
JP2000038022A (ja) | マグネット式ヒ―タ― | |
JP2000227025A (ja) | エンジン冷却水の温度制御装置 | |
JP2000168348A (ja) | マグネット式ヒーター | |
JPH1141862A (ja) | 駆動用電動機 | |
JP2000142088A (ja) | マグネット式ヒーター | |
JP2001297860A (ja) | マグネット式ヒーター付きファンクラッチ装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060118 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070823 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070828 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071025 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20071218 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20071218 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101228 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101228 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111228 Year of fee payment: 4 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |