JP4058588B2 - 排気浄化用触媒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は排気浄化用触媒に関し、特に、NOx(窒素酸化物)及びHC(炭化水素)の双方を浄化する機能を備えた触媒に関する。
【0002】
【関連する背景技術】
一般に、エンジンは排気中の有害物質を浄化する排気浄化装置を備えるが、排気浄化装置は触媒たとえば三元触媒が活性化温度(ライトオフ温度)に達するまでは浄化性能を十分に発揮できないので、三元触媒をエンジン本体に近接配置するなどして早期活性化を図るようにした場合にも、エンジンの冷態始動時に排出されるHCの浄化が問題になる。この問題を解決するため、HC吸着に有効なゼオライト層上に触媒層を備えた吸着触媒の製造方法が特願平5−273780号公報および特願平5−273781号公報に提案されている。また、この種の吸着触媒のHC浄化能を更に改良するべく、特許第3052710号公報に記載の排ガス浄化装置では、三元触媒層をコーティングした触媒を排気流入側に配置し、また、ゼオライト層上に活性セリアおよび/またはアルミナを主成分した粉末に白金、パラジウム、ロジウムなどの貴金属を含む触媒層をコーティングした吸着触媒を排気流出側に配置している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように三元触媒とHC吸着触媒とを有した排ガス浄化装置をエンジンに装備することにより、理論空燃比付近でのエンジン運転域における排ガス浄化ならびにエンジン冷態始動時のHC浄化を図れるが、燃費向上などを企図してリーン空燃比でエンジンを運転する場合には排ガス中のNOxを十分に浄化できないという別の問題が発生する。
【0004】
そして、この様な問題は、リーン空燃比域で排ガス中のNOxを吸蔵すると共に理論空燃比域あるいはリッチ空燃比域でNOxを還元する機能を奏するNOx吸蔵触媒を排ガス浄化装置に設けることにより解消可能であるが、三元触媒およびHC吸着触媒に加えてNOx吸蔵触媒を有した排ガス浄化装置は、構成が複雑であり、また、コンパクト化の要請を満たすことが困難になる。
【0005】
本発明の目的は、HC及びNOxの双方を浄化する機能を備えた排気浄化用触媒を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の排気浄化用触媒は、白金、ロジウムおよびパラジウムからなる群から選択される少なくとも一つの貴金属とゼオライトとを含む第1触媒層と、この第1触媒層の表面に形成され且つ白金、ロジウムおよびパラジウムからなる群から選択される少なくとも一つの貴金属とアルカリ金属またはアルカリ土類金属とを含む第2触媒層とを担体上に備えた排気浄化用触媒であって、担体と第1触媒層との間に形成され、第2触媒層に含まれたアルカリ金属またはアルカリ土類金属の担体への移動を抑制する抑制層を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の排気浄化用触媒において、第1触媒層に含まれるゼオライトはHCなどの還元物質を吸着する能力に優れ、エンジンの冷態始動時においても良好なHC吸着作用を奏する。そして、排気温度上昇につれてゼオライトから放出されるHCは第1及び第2触媒層とくに第1触媒層に含まれる貴金属の存在下で良好に浄化される。この様に、本発明の触媒はHC浄化性能に優れる。また、第2触媒層に含まれるアルカリ金属またはアルカリ土類金属はNOxを吸蔵する能力に優れ、リーン空燃比域でのエンジン運転に伴って排出される排ガス中に含まれるNOxを良好に吸蔵する。そして、理論空燃比域やリッチ空燃比域でのエンジン運転時の排ガス中に含まれる還元物質たとえばCOやHCによりNOxが第1及び第2触媒層とくに第2触媒層に含まれる貴金属の存在下で良好に浄化される。この様に、本発明の触媒はNOx浄化性能にも優れる。
【0008】
上述のように、主にHC浄化機能を奏する第1触媒層と主にNOx浄化機能を奏する第2触媒層とからなる2つの触媒層を設けてなる本発明の排気浄化用触媒は、HCおよびNOxの双方を浄化する機能を奏する。着目すべきは、HC吸着能に優れたゼオライトと共に貴金属を第1触媒層に含め、これによりHC浄化性能を向上させた点にある。すなわち、HC吸蔵剤としてのゼオライトの近くに貴金属が存在することによりHC吸蔵作用が高められる。
【0009】
更に、本発明によれば、HCおよびNOxの浄化に際して上記2つの触媒層を有した触媒を使用すれば足りるので、HC吸着触媒とNOx吸蔵触媒の双方を設ける場合に比べて排気浄化装置の構成が簡易になり、またそのコンパクト化を図ることができる。
また、抑制層により、第2触媒層に含まれたアルカリ金属またはアルカリ土類金属の担体への移動が抑制されるので、アルカリ金属またはアルカリ土類金属と担体の組成成分との反応が抑制され担体でのクラック発生が防止される。
請求項2に記載の排気浄化用触媒は、抑制層が二酸化珪素またはゼオライトを含んで形成されたことを特徴とする。これにより、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の担体への移動が確実に阻止される。
請求項3に記載の排気浄化用触媒は、第1触媒層に含まれたゼオライトがβ型ゼオライトであることを特徴とする。これにより、特にエンジン冷態始動時におけるHC浄化性能が向上する。
請求項4に記載の排気浄化用触媒は、第1触媒層がアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むことを特徴とする。
【0010】
この好適態様では、リーン空燃比域でのエンジン運転時の排ガス中に含まれるNOxが、第1及び第2触媒層の双方に含まれるアルカリ金属またはアルカリ土類金属により良好に吸蔵され、その後の理論空燃比域またはリッチ空燃比域でのエンジン運転時に排ガス中に含まれる還元物質により貴金属の存在下で良好に浄化される。すなわち、請求項4に記載の触媒はNOx浄化性能に優れる。
【0011】
本発明において、好ましくは、第2触媒層または第1及び第2触媒層に含めるアルカリ金属またはアルカリ土類金属として、NOx吸着性能に優れたバリウムやカリウムを用い、これによりNOx浄化性能の更なる向上を図る。
【0012】
NOx吸蔵剤とくにカリウムは、触媒の触媒層中を移動して触媒の担体の組成成分と反応して酸化物を形成するが、本発明では第1触媒層中のゼオライトによりカリウムの移動が抑制され、酸化物形成によるクラックの発生ひいては触媒の耐久性低下が防止される。
【0013】
好ましくは、第1または第2触媒層あるいはその双方に、酸化性能とくにオレフィン系HCを酸化する能力に優れたパラジウムを含める。この好適態様では、エンジン冷態始動時の排ガス中に含まれるHCとくにオレフィン系HCをゼオライトで吸着し、その後の排気温度上昇時にゼオライトから放出されるHCをパラジウムの存在下で良好に浄化可能である。
【0014】
好ましくは、本発明の排気浄化用触媒は、エンジン排気系において同触媒の上流側に配された三元触媒と共に使用され、排ガス浄化性能に優れた排気浄化装置を構成する。この場合、熱劣化を来さない範囲で三元触媒をエンジン本体にできるだけ近接して配置して活性化温度に早期に到達可能にするのが好ましい。また、エンジン排気系において本発明の排気浄化用触媒の下流側に三元触媒を設けて排ガス浄化性能の更なる向上を図るようにしても良い。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の参考形態に係る排気浄化用触媒を有した排気浄化装置を説明する。
この排気浄化装置は、例えば、エンジン運転域に応じて理論空燃比またはリーン空燃比で運転される吸気管噴射型エンジンに装備されるものになっている。
【0016】
図1に示すように、エンジン本体1の排気ポート1aには排気マニホールド2を介して排気管3が接続され、排気管3内には床下触媒として構成された排気浄化装置が配されている。
この排気浄化装置は、理論空燃比下で一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)を酸化還元する機能を備えた上流側三元触媒10と、HC及びNOxの双方を浄化する機能を備えた本参考形態に係る排気浄化用触媒20と、上流側三元触媒10と同様の浄化作用を奏する下流側三元触媒30とを有している。三元触媒10、30は従来公知の如く構成され、その説明を省略する。
【0017】
排気浄化用触媒20は、多数のセルからなる多孔質ハニカム(モノリス)型のコージライト担体を有し、各セルは例えば四角形状に形成されている。図2は一つのセルの四半部を示している。コージライト担体21は、例えば、アルミナ源の粉末、シリカ源の粉末およびマグネシア源の粉末を、アルミナ、シリカ、マグネシアの割合がコージライト組成になるように混合したものを水に分散させ、その固形分をハニカム状に成形し、このハニカム成形体を焼成したものである。
【0018】
コージライト担体21には、下層(第1層)23と上層(第2層)24とからなる2層の触媒層22が形成されている。
本参考形態では、下層23は、貴金属として白金(Pt)及びパラジウム(Pd)を含み、アルカリ土類金属としてバリウム(Ba)を含み、アルカリ金属としてカリウム(K)を含み、更に、ゼオライトおよび二酸化チタン(TiO2)を含むものとなっている。また、本参考形態ではβ型ゼオライトが用いられる。
【0019】
ここで、β型ゼオライトはHCとくにオレフィン系HC(不飽和HC)を吸着する作用を有し、ゼオライトに吸着されたHCを貴金属である白金及びパラジウムの存在下で浄化するものとなっている。白金及びパラジウムはHCとくにパラフィン系HCおよびオレフィン系HCを吸着、酸化する能力をそれぞれ有している。また、バリウム及びカリウムはNOx吸蔵剤として機能し、貴金属の存在下でNOxを吸蔵、還元して浄化する。また、二酸化チタンは、ゼオライトと共に、触媒におけるNOx吸蔵剤の移動を抑制する作用を奏する。更に、二酸化チタンは、NOxの硫酸塩の脱離を促進する作用を有している。
【0020】
本発明者の知見によれば、カリウムがコージライト担体21内に浸透すると、高温の水蒸気存在下においてカリウムがコージライトと反応して、コージライトと熱膨張率を異にするカリウム、アルミニウム及び珪素の酸化物を形成し、担体にクラックを発生させて触媒の強度低下を招くが、本参考形態の触媒では、下層23に含まれた二酸化チタン及びゼオライトによりカリウムの移動が抑制され、カリウムの移動に伴うクラック発生やカリウムの消失によるNOx吸蔵性能の低下が防止される。
【0021】
一方、上層24は、貴金属として白金およびロジウムを含み、また、アルカリ土類金属としてバリウムを含み、アルカリ金属としてカリウムを含む。ここで、白金およびロジウムはHCとくにパラフィン系HCを吸着、酸化する作用を奏し、バリウム及びカリウムはNOx吸蔵剤の作用を奏する。
なお、貴金属としてパラジウムを下層23に更に添加しても良い。また、ロジウムと担体成分であるアルミナとの固溶体が触媒の耐熱性低下の要因になることを考慮して、下層23にロジウムを単に添加する代わりに、ロジウムをたとえば酸化ジルコニウム(ZrO2)に担持させたものを添加して触媒の耐熱性向上を図るようにしても良い。
【0022】
触媒層22は、例えば以下のようにして形成される。まず、白金、パラジウム、バリウム、カリウム、ゼオライトおよび二酸化チタンを主成分とするスラリーを調製してコージライト担体21をスラリー中に浸漬し、これを乾燥後に焼成すると、コージライト担体21の表面に下層23が形成される。次いで、白金、ロジウム、バリウムおよびカリウムを主成分とするスラリーを調製してコージライト担体21を浸漬し、これを乾燥後に焼成すると下層23の表面に上層24が形成される。
【0023】
ここで、下層23に添加されるβ型ゼオライトについて更に説明すれば、図3に示すように、β型ゼオライトは、FER型やZSM型のゼオライトに比べてゼオライト細孔径が大きくエンジン始動時におけるHC吸着量が多い。即ち、β型ゼオライトはHC吸着性能に優れる。また、図4に示すように、エンジン始動時におけるゼオライトのHC吸着量は、ゼオライトにおけるSiO2/Al2O3比が40ないし100の領域で最大になる。その一方、ゼオライトでのSiO2/Al2O3比が小さくなるほどゼオライトの耐熱性が低下する。そこで、本参考形態ではSiO2/Al2O3比を例えば100に設定している。また、図5に示すように、エンジン始動時におけるβ型ゼオライトのHC吸着量は、触媒容量1リットルあたりのβ型ゼオライト量が100ないし150グラムの領域で最大になる。本参考形態では、排気浄化装置の使用に伴ってβ型ゼオライトの吸着量が減少することを考慮して、β型ゼオライト量を例えば150グラム/リットルに設定している。要約すれば、本参考形態では、エンジン冷態始動時にも所要のHC浄化性能を達成できるように、下層23に添加すべきゼオライトの種別および添加量が選択、設定されている。
【0024】
以下、上記構成の排気浄化装置の作用を説明する。
エンジンが冷態始動されると、炭化水素(HC)を含む排気ガスが排気管3内に配された上流側三元触媒10に流入し、更には触媒20及び下流側三元触媒30に流入する。一般に、冷態始動時の排気ガスにはパラフィン系HCと多量のオレフィン系HC(不飽和HC)とが含まれており、図1に示した排気浄化装置では、パラフィン系HCは、触媒20に含まれる白金及びロジウムにより選択的に吸着・酸化され、また、オレフィン系HCは、触媒20の下層23を構成するパラジウム及びβ型ゼオライトにより選択的に吸着される。その後、排気温度の上昇に伴ってβ型ゼオライトからオレフィン系HCが脱離、放出されるが、酸化能力に優れたパラジウムの存在下で、オレフィン系HCは良好に浄化される。この点からいえば、β型ゼオライトからのHC脱離温度と触媒20の活性化温度とが合致するように排気浄化装置を構成するのが望ましい。
【0025】
そして、エンジンの暖機完了後は、上流側三元触媒10、触媒20及び下流側三元触媒30により良好な排気浄化が行われる。すなわち、理論空燃比域でのエンジン運転中は三元触媒10、30により排気浄化が行われる。また、リーン空燃比域でのエンジン運転中、触媒20の触媒層22の下層23及び上層24に含まれたバリウム及びカリウムによりNOxが吸着される。そして、触媒に一旦吸着されたNOxは、理論空燃比域でのエンジン運転時の排ガス中に含まれる還元物質たとえばCOやHCによりNOxが触媒層22の下層23及び上層24に含まれた貴金属の存在下で良好に浄化される。
【0026】
本参考形態の排気浄化用触媒20において着目すべきは、HC吸着能に優れたβ型ゼオライトと共に貴金属を下層23に含めてHC浄化性能を向上させた点にある。
また、触媒20は上述のようにHCおよびNOxの双方を浄化する作用を有し、従って、HC吸着触媒とNOx吸蔵触媒の双方を設ける場合に比べて排気浄化装置の構成が簡易になり、またそのコンパクト化が図られる。
【0027】
以下、図6を参照して、本発明の第1実施形態による排気浄化用触媒について説明する。
この実施形態の触媒は、触媒内でのNOx吸蔵剤の移動を抑制する抑制層を担体と触媒層との間に形成して触媒の耐久性の向上を図ったものであり、連続高速運転される頻度が高いエンジンに特に好適である。
【0028】
図6に示すように、排気浄化用触媒120は、図1に示したコージライト担体21と同一のコージライト担体121と、図1の触媒層22と基本的には同一構成の触媒層122と、コージライト担体121と触媒層122との間に形成された抑制層125とを有し、触媒層122に添加されたNOx吸蔵剤の担体121内への侵入を抑制層125により確実に阻止するものとなっている。
【0029】
本実施形態の抑制層125は、NOx吸蔵剤であるカリウムとの反応性が高い二酸化珪素(SiO2)により構成され、触媒層122から抑制層125内へ移動したカリウムをコージライト担体121に到達する前に二酸化珪素との反応により消費させ、これにより、吸蔵剤と担体の組成成分との反応による酸化物の形成を抑制して酸化物形成に起因する担体でのクラック発生ひいては触媒の耐久性低下を防止する。
【0030】
本実施形態の触媒120は、触媒層122の下層123に例えば白金、パラジウム、バリウム、カリウム、二酸化チタンおよびゼオライトを含み、上層124に例えば白金、パラジウム、ロジウム、バリウムおよびカリウムを含み、図1に示した触媒20と同等のHC浄化性能およびNOx浄化性能を奏するものとなっている。
【0031】
以下、図7を参照して、本発明の第2実施形態による排気浄化用触媒について説明する。
この実施形態の触媒220は、コージライト担体221と触媒層222との間に抑制層225を設けて触媒の耐久性向上を図るようにした点で第1実施形態のものに共通する一方、抑制層225をゼオライトで構成した点が異なる。
【0032】
ゼオライトはカチオン交換能と分子ふるい作用を有し、吸蔵剤を固定する能力に優れる。触媒内を移動する吸蔵剤は、高温の水蒸気存在下においてイオン化された状態になることがあり、ゼオライト上の酸点のカチオン交換能によりイオンとして固定され、この吸蔵剤に向かって移動してくる後続の吸蔵剤を塩基性の同質性で反発して担体側への移動を阻止する。また、ゼオライトは、三次元網目状構造をもち、高い比表面積を有する。吸蔵剤は、この様な構造のゼオライト上で高分散化するので、特にゼオライトを触媒層222と担体221との間に設けた場合、吸蔵剤は担体221内へ浸入し難くなる。更に、ゼオライトはHC吸着能(より一般的には還元物質吸着能)に優れる。内燃機関がリーン運転状態にあっても排ガスには僅かなHCが含まれ、ゼオライト上に吸着されたHCによって吸蔵剤の硝酸塩や硫酸塩の分解が促進される。すなわち、リーン運転中においても、HC吸着能を有するゼオライトからなる抑制層225は、排ガス中に含まれる僅かなHCを利用して吸蔵剤の硝酸塩や硫酸塩を連続的に分解し、触媒のNOx吸蔵性能の回復に寄与する。
【0033】
抑制層225を構成するゼオライトとしては、β型、MFI型、Y型、X型、モルデナイト、フェリエライトなどの種々のタイプのゼオライトを使用可能であるが、吸着HC種との構造関連性を考慮して、排ガス組成に適合するものを選択することが好ましい。
また、ゼオライトのカチオン交換能及び耐熱性能は、ゼオライトの組成成分に依存する。すなわち、カチオン交換能はゼオライトでのSiO2/Al2O3比に反比例し、耐熱性はこの比に比例する。従って、例えば、上記の比をできるだけ大きくすることにより触媒の耐熱性向上を図ることができる。また、上記の比を小さくすることにより触媒の高温下での長時間運転に伴う吸蔵剤の消失量を低減して吸蔵性能を維持できる。
【0034】
好ましくは、抑制層225は、触媒物質たとえば貴金属を含まない。この場合、抑制層225内では触媒物質による触媒作用は奏されず、抑制層225に固定された吸蔵剤と排ガス中のSOxとの化学反応が生じ難くなるため、この化学反応に伴う吸蔵剤の消費が少なくなり、触媒のNOx吸蔵性能が維持される。
本実施形態の触媒220において、触媒層222の下層223は、例えば白金、パラジウム、バリウム、カリウム、二酸化チタン及びゼオライトを含み、上層224は、例えばロジウム、バリウム及びカリウムを含み、図1に示した触媒20と同等のHC浄化性能およびNOx浄化性能を奏するものとなっている。
【0035】
以下、図8を参照して、本発明の第3実施形態に係る排気浄化用触媒について説明する。
本実施形態の触媒320は、ゼオライトのイオン交換能を利用して下層323の一部においてパラジウムをゼオライトに担持させた点に特徴があり、この点で、ゼオライトと貴金属などとを混合して下層に添加した上記第1ないし第2実施形態の触媒と相違する。
【0036】
触媒320において、コージライト担体321の表面に形成される第1下層323Aには、イオン交換能によりパラジウムを担持してなるゼオライトが含まれ、また、第1下層323Aと共に下層323を構成する第2下層323Bには白金、バリウムおよびカリウムが含まれ、必要であればパラジウムが添加される。そして、上層324にはロジウム、バリウムおよびカリウムが含まれている。この触媒320は、図1に示した触媒20と同等のHC浄化性能およびNOx浄化性能を奏する。
【0037】
以上で本発明の実施形態の説明を終えるが、本発明は第1ないし第3実施形態に限るものではない。
例えば、上記実施形態では、本発明を吸気管噴射式エンジンの排気浄化装置に適用した場合について説明したが、本発明は筒内噴射式エンジンにも適用可能であり、この場合も、触媒により特にエンジン冷態始動時に良好なHC浄化作用が奏されると共にリーン空燃比域でのエンジン運転時の排ガス中に含まれるNOxを良好に浄化できる。
【0038】
上記実施形態では、触媒の下層にβ型ゼオライトを添加したが、β型ゼオライトに代えてその他のゼオライトたとえばFER型やZSM型のものを用いても良い。また、2種類以上のゼオライトを混合して用いても良い。また、上流側三元触媒10、排気浄化用触媒20、120、220または320及び下流側三元触媒30を床下触媒の形式で構成することは必須ではない。更に、上流側三元触媒10を床下触媒から分離してエンジン本体に近接配置可能であり、また、下流側三元触媒30は必須要素ではない。
【0039】
また、上記実施形態では、ハニカム型コージライト担体を用いたが、本発明は、コージライト以外の材料からなる担体を備えた排ガス浄化用触媒にも適用可能である。また、ハニカム型コージライト担体を用いる場合、コージライト担体のセルは四角形状のものに限定されず、例えば三角形状や六角形状のものでも良い。
【0040】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明による排気浄化用触媒は、白金、ロジウムおよびパラジウムからなる群から選択される少なくとも一つの貴金属とゼオライトとを含む第1触媒層と、この第1触媒層の表面に形成され且つ白金、ロジウムおよびパラジウムからなる群から選択される少なくとも一つの貴金属とアルカリ金属またはアルカリ土類金属とを含む第2触媒層とを備えるので、HCおよびNOxの双方を浄化する機能に優れ、特に、HC吸着能に優れたゼオライトと共に貴金属を第1触媒層に含めたので、HC浄化性能に優れる。
また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の移動を抑制する抑制層を担体と第1触媒層との間に形成したことで、第2触媒層に含まれたアルカリ金属またはアルカリ土類金属と担体の組成成分との反応による酸化物の形成を抑制して酸化物形成に起因する担体でのクラック発生ひいては触媒の耐久性低下を防止することができる。
請求項2に記載の排気浄化触媒は、抑制層が二酸化珪素またはゼオライトを含んで形成されるので、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を消費または吸着してアルカリ金属またはアルカリ土類金属の担体への移動を阻止することができる。
請求項3に記載の排気浄化触媒は、第1触媒層に含まれたゼオライトがHC吸着性能に優れたβ型ゼオライトであるので、特にエンジン冷態始動時におけるHC浄化性能の向上を図ることができる。
【0041】
請求項4に記載の排気浄化用触媒は、第1触媒層がアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むので、NOx浄化性能に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考形態による排気浄化用触媒を備えた排気浄化装置の概略図である。
【図2】 図1に示した排気浄化用触媒の一つのセルの四半部を示す部分拡大断面図である。
【図3】 エンジン始動時における排気浄化用触媒によるHC吸着量とこの触媒を構成するゼオライトの種類との関係を示す図である。
【図4】 エンジン始動時における排気浄化用触媒によるHC吸着量とこの触媒を構成するゼオライトでのSiO2/Al2O3比との関係を示す図である。
【図5】 エンジン始動時における排気浄化用触媒によるHC吸着量とこの触媒へのゼオライトの添加量との関係を示す図である。
【図6】 本発明の第1実施形態による排気浄化用触媒の一つのセルの四半部を示す部分拡大断面図である。
【図7】 本発明の第2実施形態の排気浄化用触媒に係る図6と同様の図である。
【図8】 本発明の第3実施形態の排気浄化用触媒に係る図6と同様の図である。
【符号の説明】
10 上流側三元触媒
20、120、220、320 排気浄化用触媒
21、121、221、321 コージライト担体
22、122、222、322 触媒層
23、123、223、323 下層
24、124、224、324 上層
30 下流側三元触媒
125、225 抑制層
Claims (4)
- 白金、ロジウムおよびパラジウムからなる群から選択される少なくとも一つの貴金属とゼオライトとを含む第1触媒層と、
上記第1触媒層の表面に形成され且つ白金、ロジウムおよびパラジウムからなる群から選択される少なくとも一つの貴金属とアルカリ金属またはアルカリ土類金属とを含む第2触媒層と、を担体上に備えた排気浄化用触媒であって、
上記担体と第1触媒層との間に形成され、上記第2触媒層に含まれたアルカリ金属またはアルカリ土類金属の上記担体への移動を抑制する抑制層を備えたことを特徴とする排気浄化用触媒。 - 上記抑制層は、二酸化珪素またはゼオライトを含んで形成されたことを特徴とする請求項1に記載の排気浄化用触媒。
- 上記第1触媒層に含まれたゼオライトはβ型ゼオライトであることを特徴とする請求項1または2に記載の排気浄化用触媒。
- 上記第1触媒層がアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の排気浄化用触媒。
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