JP4052803B2 - 画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像情報に基づいて、照明光を制御可能とする複数の画素が二次元的に配置されている画像表示用素子を、レンズにより拡大した画像または直接の画像として観察する画像表示装置に関し、特に、光路をシフトさせて実画素数を増倍させる画素シフト方式により、高精細な画像を表示せしめる画像表示装置に関する。
また、本発明に係る画像表示装置は、プロジェクションディスプレイ,ヘッドマウントディスプレイなどの電子ディスプレイ装置にも応用することができる。
【0002】
【従来の技術】
画像情報に基づいて照明光を制御可能とする複数個の画素を有する画像表示用素子をレンズで拡大した画像として観察する画像表示装置は、既に、フロントプロジェクタ,リアプロジェクタ,ヘッドマウンテッドディスプレイ等の商品名により広く使用されている。また、かかる画像表示用素子としては、CRT(Cathode Ray Tube),液晶パネル,DMD(Digital Micro-mirror Device:テキサスインストルメント社(米国)製の画像表示装置の商品名)等が、既に、商品として使用されており、また、無機EL(Electro-Luminescence),無機LED(Light Emitting Diode),有機LED等も研究されている。
【0003】
一方、小型の画像表示用素子をレンズで拡大した画像として観察するのではなく、等倍で観察する画像表示装置としては、既述のCRT,液晶パネル,無機EL,無機LED,有機LED以外に、プラズマディスプレイ,蛍光表示管等が、既に、商品として使用されており、また、FED(Field Emission Display:フィールドエミッションディスプレイ),PALC(Plasma Addressing Liquid Crystal Display:プラズマアドレッシング液晶ディスプレイ)等も研究されている。なお、画像表示装置としては、自発光型と空間光変調器型との2つの型に大きく分類されるが、いずれの型においても、照明光を制御可能とする複数個の画素を有しているものである。
【0004】
かかる画像表示装置において共通の課題は、高解像度化、つまりは、大画素数化であり、既に、ブロードキャスト表示を目的とした走査線1000本程度のHDTV(High Definition Television)用の画像表示装置が商品化され、また、ワークステーションコンピュータの高解像度表示を目的とした走査線2000本程度の開発品(たとえば、‘98フラットパネルディスプレイ展における日本IBM社製画像表示装置のQSXGA即ち走査線2048本、‘99電子ディスプレイ展における東芝社製画像表示装置のQUXGA即ち走査線2400本等)についても、液晶パネルを用いた技術として発表されている。しかしながら、このような実際の画素数を増加させる場合においては、液晶パネルの歩留まりを低下させ、また、開口率を減少させるなどにより、コストが上昇したり、輝度やコントラストが低下したり、あるいは、消費電力が増加したりと課題が多い。
【0005】
かかる問題に対する解決策として、特開平4−113308号公報「投影表示装置」,特開平5−289004号公報「光スイッチ」,特開平6−324320号公報「画像表示装置、画像表示装置の解像度改善方法、撮像方法、記録装置及び再生装置」等においては、単一の画像表示用素子を用いて、見かけ上の画素数を実画素数の2倍の画素数とするインタレース表示を行なう画像表示装置が開示されている。また、特開平7−36054号公報「光学装置」においては、単一の画像表示用素子を用いて、実画素数の4倍以上となる見かけ上の画素数を有する画像表示装置が開示されている。これらの画像表示装置は、いずれの場合においても、画像表示用素子から出射した光の光路を時分割で高速に偏向させ、見かけ上の画素数を増大させる方法、いわゆる、画素シフト技術を採用している。
【0006】
画像表示素子の画像数を見かけ上増倍して高解像度の画像表示とする、いわゆる、画素シフト技術の具体的な実施例としては、たとえば、前記の特開平6−324320号公報「画像表示装置、画像表示装置の解像度改善方法、撮像方法、記録装置及び再生装置」や、特開平10−020242号公報「投射型表示装置」、米国特許第6082862号「IMAGE TILING TECHNIQUE BASED ON ELECTRICALLY SWITCHABLE HOLOGRAMS」等に、具体的な記述がなされている。
【0007】
特開平6−324320号公報において開示されている画素シフト技術は、LCD等の画像表示装置の画素数を増加させることなく、画像フィールド毎に、光路を光学部材により切り換えることにより、表示画像の解像度を、見かけ上向上させるものである。即ち、縦方向及び横方向に配列された複数個の画素の各々が、表示画素パターン(即ち、表示画像情報)に応じて発光することにより、画像が表示される画像表示装置において、観測者またはスクリーンとの間に、光路を画像フィールド毎に偏向させる光学部材を配する。また、前記画像フィールド毎に、前記光路の偏向に応じて表示位置がずれている状態の前記表示画素パターンを画像表示装置に表示することにより、画像表示装置の解像度を改善させんとするものである。
【0008】
また、特開平10−020242号公報において開示されている画素シフト技術は、画像表示素子とマイクロレンズアレイとを組み合わせ、マイクロレンズアレイを振動させることにより、画素シフトを行なうものである。即ち、マイクロレンズアレイが、光変調素子から投射レンズに至る光路上に配置され、光変調素子の4画素に対応して、一つの凸レンズが形成されている。一方、アクチュエータは、前記マイクロレンズアレイの各マイクロレンズを垂直方向と水平方向とに振動させるものから構成されていて、前記光変調素子に供給するフィールド信号に同期させてアクチュエータを駆動させることにより、前記マイクロレンズアレイに入射する光の光軸に直交する水平/垂直方向に前記マイクロレンズアレイを移動または振動させて、画素シフトを行なわせるように構成されている。
【0009】
また、米国特許第6082862号において開示されている画素シフト技術は、電気的スイッチングが可能なホログラフィック光学素子を用いたプロジェクションシステムに適用されるものであり、液晶材料から成るホログラフィック光学素子により光路の角度を高速に変化させ、表示画像の位置を高速にシフトさせるように構成するものである。
【0010】
また、たとえば、「液晶を利用した焦点可変レンズ」(佐藤進;光技術コンタクト,VOL32,No.11,p.24〜p.28,1994)には、円形状の穴抜き電極パターンを持つ液晶マイクロレンズアレイを利用して、画像フィールド信号に同期させて選択的に電圧を印加してレンズの形成位置を変化させる技術が記述されている。
【0011】
一方、このような画素シフト技術を実現するための光路偏向手段としては、たとえば、特開平6−324320号公報「画像表示装置、画像表示装置の解像度改善方法、撮像方法、記録装置及び再生装置」においては、電気光学素子と複屈折材料との組合わせ機構,レンズシフト機構,バリアングルプリズム,回転ミラー,回転ガラス等が開示されており、また、特開平5−313116号公報「投影機」においては、圧電素子などからなるアクチュエータを用いて画像表示用素子自体を画素ピッチよりも小さい距離だけ高速に機械的に揺動させる光路偏向手段が開示されている。
【0012】
また、特開平7−104278号公報「光軸変換装置及びビデオプロジェクタ」においては、水晶板のような複屈折素子を利用する光路偏向手段の他に、傾斜面を所定間隔で対向させた1対のウェッジプリズムの一方を機械的に振動させることにより光路を偏向させる手段が開示されている。
【0013】
また、特開平10−133135公報「光ビーム偏向装置」においては、光ビームの進行路上に配置される透光性の圧電素子と、該圧電素子の表面に設けられた透明の電極と、該圧電素子の光ビーム入射面と光ビーム出射面との間の光路長を変化させて光ビームの光軸を偏向させるために、前記電極を介して該圧電素子に電圧を印加する電圧印加手段と、を備える構成とすることにより、圧電素子の光路長である厚みを変化させて、光路をシフトさせる方式が提案されている。
即ち、特開平10−133135号公報に係る発明は、回転機械要素を不要とし、全体の小型化、高精度・高分解能化を実現でき、しかも外部からの振動の影響を受け難い光ビーム偏向装置を提供することを目的としているものである。
【0014】
更には、特開平6−208345号公報「画像表示装置」においては、特開平6−324320号公報の場合と同様に、透明な板状の屈折板を用いて、透明屈折板の厚さや光軸との傾斜角度を切り換えることによって、光路のシフト量を変化させる方法が記載されており、かかる切換え手段として、透明屈折板を一枚の円形回転体の厚さや傾斜角度が部分的に異なる構成とし、該円形回転体を、回転ガラスにより構成する例が示されている。
【0015】
更に、本出願人により特許出願がなされた特願2000−362090号「画像表示装置」においては、光路偏向手段としてポリマー分散液晶によるブラッグ回折素子を用いる技術を提案している。該技術は、光利用効率向上のためには画素縮小素子が別途必要になるが、微小な液晶滴構造に基づく高速応答性を有するという特徴を有している。
【0016】
更に、液晶を用いた光偏向技術としては、“LIGHT SCANNER EMPLOYING A NEMATIC LIQUID CRYSTAL”(IBM Technical Disclosure Bulletin,Vol.15,No.8(1973))に記載されている技術があり、該技術は、ネマチック液晶の配向角度を変化させて直線偏光の光路を曲げさせるものである。
【0017】
また、液晶を用いた光偏向技術の別の開示例としては、“LARGE−ANGLE BEAM DEFLCTOR USING LIQUID CRYSTAL”(ELECTRONICS LETTERS,Vol.11,No.16(1975))に記載されている技術があり、該技術は、ネマチック液晶に不均一電界を与えて直線偏光の光路を曲げさせるものである。
【0018】
更に、液晶マイクロレンズに関する技術としては、「液晶マイクロレンズ」(O Plus E,Vol.20,No.10(1998))、特許第03016744号「液晶マイクロレンズ」、特開平11−109303号公報「光結合器」、特開平11−109304号公報「光結合器」等において開示されている技術がある。
【0019】
「液晶マイクロレンズ」(O Plus E,Vol.20,No.10(1998))において開示されている技術は、電極分割構造の液晶マイクロレンズを用いて、電界分布を非対称的にすることにより、光軸方向以外に焦点を移動することができるものである。
【0020】
また、特許第03016744号において開示されている技術は、ネマチック液晶中で光重合によりポリマーを形成するものであり、メモリ性があり、レンズ特性が可変にできる特徴を有している。
【0021】
また、特開平11−109303号公報及び特開平11−109304号公報において開示されている技術は、円形状の穴抜きパターン電極をアレイ状に配置した液晶マイクロレンズを用いることにより、焦点距離が可変なレンズとし、光インターコネクション素子の光の結合効率を可変とするものであり、分割電極により焦点位置の制御も可能とするものである。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のごとき従来の技術として開示されている各種の光路偏向手段は、以下に示すごとき問題を有している。
たとえば、電気光学効果を示す部材と複屈折材料との組み合わせ機構による光路偏向手段は、応答速度も早く、従来から光通信分野での光分配,光スイッチとして用いられている光路偏向手段であり、既に公知の技術である。しかしながら、電気光学素子と複屈折材料との組合わせ機構による光路偏向手段は、比較的大きな結晶の複屈折材料を必要とするため、装置コストが上昇するという問題を有している。
【0023】
また、光路偏向手段として、レンズシフト機構を用いる場合つまりレンズを機械的に往復直線運動させる場合や、回転ミラーを回転運動させる機構を採用する場合においては、かかる運動の駆動系として、ボイスコイル,圧電素子,バイモルフ,ステップモータ,ソレノイドコイル等が、特開平6−324320号公報に記載されており、また、ウェッジプリズムを振動させる場合の駆動系としては、圧電素子やムービングコイルを用いる例が、特開平7−104278号公報に記載されている。しかしながら、いずれの駆動系を用いる場合であっても、数十から数百Hz程度の周期で、レンズやプリズム等を機械的に繰り返し運動させるものであり、振動や雑音の発生源となる問題が伴ってしまう。
【0024】
また、光路偏向手段として、カメラ一体型VTRのいわゆる手ぶれ防止用として用いられているバリアングルプリズムを利用する場合においても、プリズムの頂角を変更させるべく2枚の基板をつないだ蛇腹が往復運動を行なうため、やはり、振動や雑音の発生が問題となる。
【0025】
また、特開平5−313116号公報における画像表示素子自体を高速に機械的に揺動させる方式は、光学系が固定されているので、諸収差の発生が少なく、高精細に表示できる利点はあるものの、画像表示素子自体を正確かつ高速に平行移動させる必要があるため、該画像表示素子の可動部の精度や耐久性が要求されるのみならず、機械的な高速振動動作を行なわしめるものであるので、やはり、振動や雑音の発生が問題となる。
【0026】
また、特開平10−133135公報における透明圧電素子の光路長を変化させる方式は、比較的大きな透明圧電素子を必要とし、装置コストの上昇を招く問題がある。
【0027】
また、特開平6−208345号公報や特開平6−324320号公報における回転ガラスを用いた円形回転体により光路長を変化させる方式は、一枚の円形回転体で構成するだけでは一次元方向のみの光路シフトに限られてしまうこと、また、比較的大きな円形回転体を必要とすることから、光学系全体が大型化してしまうという問題がある。
【0028】
また、液晶を用いた光路偏向や液晶マイクロレンズを画像表示素子に適用した従来の技術においても、次のような問題がある。
たとえば、「液晶を利用した焦点可変レンズ」(佐藤進;光技術コンタクト,VOL32,No.11,p.24〜p.28,1994)にて開示されているように、円形状の穴抜き電極パターンを持つ液晶マイクロレンズアレイを利用してレンズの形成位置を変化させる光路偏向手段を用いる場合は、光軸方向に対して焦点距離を変化させることは比較的容易であるが、液晶マイクロレンズアレイの配列面方向で集光位置(即ち、焦点位置)を変化させることができないという問題を有す。
【0029】
そこで、液晶マイクロレンズアレイの配列面方向での集光位置を変化させることを可能とする技術として、特開平11−109303号公報「光結合器」及び特開平11−109304号公報「光結合器」において、分割電極による制御技術が開示されている。しかしながら、分割電極を有する液晶マイクロレンズをアレイ状に配置した場合、各分割電極への配線が複雑となるため、液晶マイクロレンズの形成間隔を比較的広く設定しなければならなくなる。
従って、半導体レーザアレイと複数の光ファイバとの結合のように、比較的設置間隔が広くても良い場合には適しているが、画像表示素子の画素ピッチのように、比較的設置間隔が狭い場合には、レンズ形成部の開口率が小さくなってしまうという問題を有する。
【0030】
更に、液晶を用いた光偏向技術として、“LIGHT SCANNER EMPLOYING A NEMATIC LIQUID CRYSTAL”(IBM Technical Disclosure Bulletin,Vol.15,No.8(1973)),“LARGE−ANGLE BEAM DEFLCTOR USING LIQUID CRYSTAL”(ELECTRONICS LETTERS,Vol.11,No.16(1975))等に記載されているように、ネマチック液晶の配向角度を変化させたり、または、ネマチック液晶に不均一電界を与えることにより、直線偏光の光路を曲げさせる技術は、いずれも、単一ビームの偏向器に適用されるものであり、そのままでは、二次元画像の画素シフトには適用することができない問題がある。
【0031】
更に、液晶マイクロレンズに関する技術として、「液晶マイクロレンズ」(O Plus E,Vol.20,No.10(1998))に記載のように、電界分布を非対称的とした電極分割構造の液晶マイクロレンズ技術は、単一ビームの偏向方向を二次元的に制御する場合には適しているが、アレイ化する場合には電極配線が複雑になるため、画像表示素子のようにアレイ状のビームの偏向装置への応用には向いていない。
【0032】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、機械的な振動機構を設けることなく、電気光学的な効果を利用して、比較的簡単な電極構成であっても、光路シフトを行なわしめ、かつ、光の利用効率を低下させることなく、見かけ上の画素増倍による高精細画像を得ることができる画像表示装置を実現することを目的とするものである。
【0033】
即ち、第1の課題は、現状の比較的低解像度の画像表示素子をそのまま用いても、機械的(メカニカル)な移動機構を用いるのではなく、液晶層内に不均一電界を形成させることにより生じる液晶層内の屈折率分布により、比較的簡単な構成で、光路の偏向を実現させ、低コストで、振動や雑音の発生が無く、かつ、高解像度の画像表示を可能とする画像表示装置を提供することにある。
【0034】
また、第2の課題は、現状の比較的低解像度の画像表示素子をそのまま使用する場合であっても、簡単な構成で、画像表示素子の画素からの画像光の光路を集光させると同時に、集光位置をシフトさせる液晶マイクロレンズ効果を実現させることにより、画素シフト機能と画素縮小機能とを両立させて、低コストで、見かけ上、高解像度化し、かつ、光利用効率が高く明るい画像表示装置を実現することにある。
【0035】
また、第3の課題は、液晶マイクロレンズ効果を有する光路偏向手段からの出射面側に凹レンズアレイを配設して、光路偏向手段からの出射光(即ち、偏向画像光)を平行光化させることにより、見かけ上、高解像度化した表示画像に関して、全表示画像領域に亘って画素ピッチが一定となる高精細な画質を実現することにある。
【0036】
また、第4の課題は、画像の横方向への画素シフトと縦方向への画素シフトとを組合わせて、二次元方向に見かけ上の画素増倍を行なうことにより、更に高精細度の画像表示が可能となる画像表示装置を提供することにある。
【0037】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、画像情報に基づいて、照明光を制御可能とする複数の画素が二次元的に配列されている画像表示素子と、前記画像情報の表示時間を示す画像フィールドを更に複数個の画像サブフィールドに時間的に分割して前記画像表示素子を駆動することができる表示駆動手段と、該表示駆動手段により前記画像サブフィールド毎に駆動される前記各画素から入射されてくる画像光の光路を偏向する光路偏向手段とを有することにより、前記画像表示素子の見かけ上の画素数を増倍して表示させることができる画像表示装置であって、前記光路偏向手段が、二枚の透明基板と、それぞれの前記透明基板上に配設される透明電極と、二枚の前記透明基板間に介在される液晶層とを有し、前記透明電極のうち、少なくとも一方の前記透明基板上に配設される前記透明電極が、前記画素の画素ピッチに対応させた配設ピッチで、アレイ状に形成されている透明電極アレイであり、前記液晶層が、前記透明電極アレイと他方の前記透明基板上の透明電極との間への電圧印加状態によって、屈折率分布の制御が可能となる液晶層であり、かつ、前記表示駆動手段と同期させて、前記画像サブフィールド毎に、前記透明電極アレイへの電圧印加状態を変化させる画像表示装置において、前記光路偏向手段が、あらかじめ定められた配設ピッチで配設された前記透明電極アレイへの電圧印加状態により、前記各画素から入射されてくる前記画像光を集光可能とする液晶マイクロレンズアレイを形成し、かつ、前記透明電極アレイのうち、電圧印加される透明電極の位置が、隣接する透明電極間で時間順次に切り換えられることにより、前記透明電極アレイの配列方向に沿って、該液晶マイクロレンズアレイの焦点位置を、時間順次に切り換えて移動させることを特徴とする画像表示装置である。
【0038】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像表示装置において、前記画素の画素ピッチに対応させた配設ピッチで、アレイ状に形成されている前記透明電極アレイの配設ピッチが、該画素ピッチと一対一となる間隔のみに限らず、該画素ピッチの整数倍、あるいは、整数分の一の間隔に一致させていることを特徴とする画像表示装置である。
【0039】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の画像表示装置において、前記透明電極アレイの前記配設ピッチが、複数個の透明電極を一組として、該一組の透明電極毎の配設ピッチとなっていることを特徴とする画像表示装置である。
【0041】
請求項4の発明は 請求項1に記載の画像表示装置において、前記光路偏向手段が、前記液晶マイクロレンズアレイによって集光された光を、光軸と平行な平行光として出射させることができる凹レンズアレイを、該光路偏向手段の出射面側に有していることを特徴とする画像表示装置である。
【0042】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像表示装置において、前記画素の二次元的な配列方向に対して、前記画素の第一の画素配列方向に沿って、入射されてくる前記画像光の光路の偏向、及び/または、該画像光の集光される焦点位置の移動が可能な第一の光路偏向手段と、前記画素の第二の画素配列方向に沿って、前記第一の光路偏向手段を介して入射されてくる前記画像光の光路の偏向、及び/または、該画像光の集光される焦点位置の移動が可能な第二の光路偏向手段とを有し、更には、直線偏光の偏光面の方向を、前記第一の画素配列方向から前記第二の画素配列方向に回転させることができる偏光面回転手段が、前記第一の光路偏向手段と前記第二の光路偏向手段との間に配置されていることを特徴とする画像表示装置である。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像表示装置の一実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る画像表示装置の一構成例の概要を示す構成概略図である。
図1において、1は、照明用の光源であり、白色あるいは任意の色の光を高速にON/OFFできるものであるならば、いかなる種類や型の光源であっても利用することができる。たとえば、LEDランプやレーザ光源、あるいは、白色のランプ光源などを2次元アレイ状に配列して、かかる光源に対して高速動作するシャッタを組み合わせたものなどを照明用の光源として用いることができる。2は、光源から出た光を均一に画像表示素子3に照射させるための照明装置であり、拡散板2a、コンデンサレンズ2bなどから構成される。
【0044】
また、3は、照明装置2から入射した均一の照明光を、画像フィールドを時間的に更に細分割した複数個の画像サブフィールド毎に、画像情報に基づいて空間光変調して、画像光として、出射する画像表示素子である。画像表示素子3としては、透過型液晶ライトバルブ、反射型液晶ライトバルブ、DMD素子などを用いることができる。
4は、前記画像サブフィールド毎に、画像表示素子3から出射される画像光の光路を偏向して、偏向画像光として、出射する光路偏向手段である。該光路偏向手段4により、前記画像サブフィールド毎の光路の偏向量に応じて、スクリーン6上に投射される画像表示位置がずらされる状態となる画像パターンを表示させることが可能となり、画像表示素子3の実際の画素数を見かけ上増倍した画素数として、画像表示させることができる。
【0045】
5,6は、画像表示素子3に表示された画像パターンを観察するための光学部材であり、それぞれ投射レンズ,スクリーンを示している。
更に、7は光源1を駆動するための光源駆動手段であり、8は画像表示素子3を駆動するための表示駆動手段であり、また、9は光路偏向手段4を駆動するための光路偏向駆動手段である。
また、10は、光源駆動手段7,表示駆動手段8,光路偏向駆動手段9などを含め画像表示装置全体を制御するための画像表示制御回路である。
【0046】
次に、図1に示す画像表示装置の動作について説明する。
光源駆動手段7で制御されて光源1から放射された光は、拡散板2aにより均一化された照明光となり、コンデンサレンズ2bにより、光源駆動手段7と同期して動作する表示駆動手段8により制御されている画像表示素子3をクリティカルに照明する。
ここでは、画像表示素子3の一例として、透過型液晶パネル即ち透過型液晶ライトバルブを用いている。該透過型液晶ライトバルブからなる画像表示素子3により空間光変調された照明光は、画像光として、光路偏向手段4に入射され、該光路偏向手段4から出射された出射光は、偏向画像光として、投射レンズ5で拡大された後、スクリーン6に投射される。即ち、透過型液晶ライトバルブからなる画像表示素子3の後方に配置されている光路偏向手段4によって、前記画像光は、光路偏向駆動手段9からの駆動信号に応じて、画素の配列方向に任意の距離だけシフト(偏向)された偏向画像光として出射されて、投射レンズ5を介して、スクリーン6上に投射される。
【0047】
なお、図1においては、透過型液晶ライトバルブからなる画像表示素子3の直後に、光路偏向手段4となる光路偏向素子を配置しているが、該光路偏向手段4の配置位置はかかる場合に限定されるものではなく、スクリーン6の直前などに配置することとしても良い。ただし、スクリーン6付近に配置する場合、光路偏向手段4を形成する光路偏向素子の大きさや、更には、該光路偏向素子を形成する透明電極の配設ピッチなどを、光路偏向手段4の配置位置における画面サイズや画素サイズに応じて設定することが必要になる。しかし、いかなる配置位置に光路偏向手段4を配置する場合であっても、前記偏向画像光の光路のシフト(偏向)量は、画素ピッチの整数分の1であることが好ましい。
【0048】
即ち、画素の配列方向に対して2倍の画素増倍を行なう場合は、前記偏向画像光の光路のシフト量は、画素ピッチの1/2とし、配列方向に対して3倍の画素増倍を行う場合は、画素ピッチの1/3とすることが望ましい。また、光路偏向手段4の構成によって、前記偏向画像光の光路のシフト量が画素ピッチよりも大きくなる場合には、該光路のシフト量を画素ピッチの(整数倍+整数分の1)の距離に設定しても良い。
本実施形態においては、図1の光路偏向手段4上、及び、スクリーン6上に示すように、光路偏向手段4により、画素の配列方向である水平方向(即ち、紙面と直交する表裏方向)に画素シフトを行なう例を示しているが、光路偏向手段4により、水平方向に偏向された画素のシフト位置に対応した画像サブフィールドの画像情報に基づいて、表示駆動手段8で透過型液晶ライトバルブからなる画像表示素子3を駆動することにより、図2に示すように、見かけ上の画素増倍効果が得られ、使用した透過型液晶ライトバルブの解像度以上の高精細な画像を表示させることができる。
【0049】
ここに、図2は、スクリーン6上に表示された見かけ上の画素倍増の一例を示す模式図であり、透過型液晶ライトバルブにおける実際の画素数の2倍に増加させた画素数に見せかけて、スクリーン6上に画像表示させている例を示している。即ち、図2において、画素ピッチとして表示されている横方向に互いに隣接する画素の間に、シフト量として表示されている量だけ、画素の配列方向である横方向に光路を偏向させて、見かけ上の画素を表示させることにより、透過型液晶ライトバルブの実画素数の2倍の解像度となる高精細な画像を表示させることができる。
【0050】
図1においては、光源1として単色LEDランプを用い、画像表示素子3として単板の透過型液晶ライトバルブを用いた単色の画像表示装置の例を示しているが、光源1,照明装置2としてそれぞれ三原色の光源,照明装置を用い、また、画像表示素子3として3枚の画像表示素子を用いることにより、三原色の画像を混合したフルカラー画像を表示させることもできる。
また、単板の画像表示素子3であっても、該画像表示素子3を時間順次に三原色光を発する光源1からの照明光で照明するフィールドシーケンシャル方式を用いることによって、フルカラー画像を表示させることもできる。かかる場合においては、三原色の光源1からの光路をクロスプリズムによって混合することにより照明することとしても良いし、白色ランプ光源と回転カラーフィルタとを組み合わせて時間順次の三原色光を生成することとしても良い。
【0051】
本実施形態においては、光路偏向手段4として、電圧印加によって屈折率分布の制御が可能な液晶セルを用いることを特徴としている。該液晶セルは、二枚の透明基板と、それぞれの前記透明基板上に配設される透明電極と、二枚の前記透明基板間に介在される液晶層とを有し、前記透明電極のうち、少なくとも一方の前記透明基板上に配設される前記透明電極が、前記画素の画素ピッチに対応させた配設ピッチで、アレイ状に形成されている透明電極アレイであり、前記液晶層が、前記透明電極アレイと他方の前記透明基板上の透明電極との間への電圧印加状態によって、屈折率分布の制御が可能となる液晶層である。更には、画像表示素子3を駆動する表示駆動手段8と同期させて、前記画像サブフィールド毎に、前記透明電極アレイへの電圧印加状態を変化させることができる光路偏向駆動手段9を有している。
【0052】
前記透明基板の材質としては、ガラス、プラスチック等の高透明性を有する材料を使用することができる。また、前記透明電極の材質としては、ITO(Indium Tin Oxide)等が利用できる。なお、前記透明電極層は、液晶相層側になるように設置する。
また、前記透明基板自身が導電性を有している場合は、該透明基板自身を電極として利用することができる。
更に、少なくとも一方の前記透明基板側においては、前記透明電極が画素ピッチに対応してアレイ状に形成されている。ここで、前記透明電極の電極アレイのピッチは、画素ピッチと一対一で対応している場合のみに限ることなく、所望の屈折率分布を得るために、画素ピッチの整数倍あるいは整数分の1に一致させる場合もありうる。また、複数本の前記透明電極のラインを一組として、当該一組毎を画素ピッチに対応させる場合もありうる。
【0053】
また、前記透明電極の液晶層に接する面は、液晶分子が配向するように配向処理することが好ましい。該配向処理としては、TN液晶、STN液晶等に用いられるポリイミド等の通常の配向膜を利用することができる。また、ラビング処理や光配向処理を施すことが好ましい。更に、前記透明電極の表面には絶縁膜を設けても良い。
【0054】
ここに、前記液晶層を形成する液晶材料としては、一般的なネマチック液晶を用いることができるが、複屈折率Δnや誘電率異方性Δεは大きい方が好ましい。特に、液晶材料の常光屈折率が、ガラス基板の屈折率に近い1.5〜1.6程度であり、一方、異常光屈折率が1.7〜1.8程度と大きいことが好ましい。
また、前記液晶層の厚さは、前記透明基板間に配設するスペーサ部材の厚さによって設定され、複屈折率Δnや誘電率異方性Δεに応じて、所望の光路偏向量や応答速度が得られるように最適化される。該スペーサ部材の配設位置は、前記液晶セル内の光の透過を阻害することが無いように、前記液晶層の周辺部にのみ配設されることが好ましい。
【0055】
次に、光路偏向手段4を形成する液晶セルにおける光路の偏向動作の詳細について、本発明の画像表示装置を説明するための参考例として示した図3,図4を用いて説明する。ここに、図3は、光軸に沿って光路偏向手段となる該液晶セルを切断した場合における該液晶セルの断面図を示すものであり、紙面の下から上方向に向かって、画像表示素子3からの出射光である画像光が入射されている。また、図4は、図3に示す該光路偏向手段4における直線偏光に対する屈折率分布を示す模式図であり、図3に示す光路偏向手段4を形成している液晶セルの上側の透明電極43(即ち、光路の下流側に配置されている透明電極アレイ)との位置関係を示す図と共に、液晶層45の屈折率分布を模式的に示している。
【0056】
図3において、41,42は、それぞれ液晶層45を内包させるための透明基板であり、43,44は、液晶層45に電界を印加するための透明電極である。なお、光路の下流側即ち紙面上側の透明基板41には、透明電極43のラインが、画像表示素子3の画素ピッチと対応させて、アレイ状に形成されている。
また、本実施形態においては、アレイ状に形成されている透明電極43のラインの配設位置に関し、隣接する電極間の間隔が広い場合と狭い場合とが交互に配置されている例を示している。即ち、間隔が広い2本の透明電極43(即ち、図3の右側にある透明電極43aと左側にある透明電極43b)の透明電極ラインを一組として、画像表示素子3の画素一つに対応させ、一組の透明電極ラインの中心が、画像表示素子の中心と一致する位置関係となるように配置されている。一方、透明電極43間の間隔が狭い部分は、画素間の境界部に対応させている。
【0057】
なお、図3の紙面下側に位置する透明電極44(即ち、光路の上流側に配置されている透明電極)は、透明基板42の全面に形成されている場合を示しているが、上側の透明電極43と対称な配列となるアレイ電極として形成させても、もちろん良い。
また、46は、液晶層45を形成している液晶分子である。
【0058】
図3(A)は、前記液晶セルの非動作状態時における液晶配向状態を模式的に示している。即ち、透明電極43,44に電圧を印加していなく、液晶セルが無電界の状態にあっては、各液晶分子46は透明基板41,42に沿って平行になるようにホモジニアス配向処理がなされている。ここに、図3(A)においては、液晶分子46の長軸が紙面の左右方向即ち透明基板41,42に対して平行な方向になるような配向処理を想定している。
かかる状態においては、紙面と平行な偏光面を有する直線偏光(即ち、画像表示素子3から出射された画像光)が、前記液晶セルのどの部位に入射されても、前記液晶セルを介して、該液晶セルから出射される出射光(即ち、偏向画像光)は、何ら、光路偏向されることなく、そのまま、直進して出射される。
【0059】
また、図3(B)(以下、状態αと記す)は、上側に配置されている透明電極43の前記一組の電極において、右側に配置されている透明電極43a(ハッチを施している電極)ラインにのみ、閾値以上の電圧を印加している場合を示している。電圧が印加された透明電極43a部の位置に配置されている液晶分子46は、印加電界によって長軸が90度回転して、紙面の上下方向即ち透明基板41,42に対して垂直となる方向に配向され、一方、電圧無印加の透明電極43b部の位置に配置されている液晶分子46は、紙面の左右方向即ち透明基板41,42に対して平行な方向に配向された状態のままになっている。
【0060】
液晶セル内部におけるかかる不均一電界によって生じる液晶分子46の配向方向の分布によって、異常光に対する屈折率分布が発生する。即ち、紙面と平行な偏光面を有する直線偏光(即ち、画像表示素子3から出射された画像光)を入射した場合には、液晶分子46の長軸が、透明基板41,42に垂直な配向となるに従って、実効的な屈折率が小さくなり、図4に示す実線(即ち、状態α)のような屈折率分布となる。
従って、状態αの状態にある前記一組の透明電極43(43a,43b)ラインに対応して配設されている画素の中心部に入射された直線偏光は、屈折率の傾斜による屈折効果によって、図3(B)に示すように、紙面の左側方向に偏向されて、偏向画像光として出射されることとなる。
【0061】
次に、図3(C)(以下、状態βと記す)は、上側に配置されている透明電極43の前記一組の電極において、左側に配置されている透明電極43b(ハッチを施している電極)ラインにのみ、閾値以上の電圧を印加している場合を示している。図3(C)に示す状態βのように、電圧を印加する透明電極43を、透明電極43aから透明電極43bのラインに切り換えると、液晶分子46の配向状態も変化することとなり、紙面と平行な偏光面を有する直線偏光に対する実効的な屈折率は、図4に示す破線(即ち、状態β)のような屈折率分布に変化する。
従って、状態βの状態にある前記一組の透明電極43(43a,43b)ラインに対応して配設されている画素の中心部に入射された直線偏光は、屈折率の傾斜による屈折効果によって、図3(C)に示すように、図3(B)の場合とは反対方向、即ち、紙面の右側方向に偏向されて、偏向画像光として出射されることとなる。
【0062】
光路偏向手段4に入射された直線偏光(即ち、画像表示素子3からの画像光)が、図3(B)から図3(C)の状態に変化される変化速度即ち応答時間は、液晶層45を形成する液晶材料の物性や印加される電界強度によって最適化される。画像表示装置として用いられる画素シフト方式においては、前記画像サブフレームの時間として10ミリ秒以下とすることが好ましいため、前記応答時間としては、数ミリ秒以下とすることが要求される。
ここに、前記液晶材料としてネマチック液晶を用いた場合には、2周波駆動法を用いることにより、高速応答化しても良い。ただし、該2周波駆動法を用いる場合には、光路偏向駆動手段9として、一つの透明電極43ラインに対して、駆動周波数の異なる電圧を印加することができる電極駆動手段を用いる必要がある。該2周波駆動法に限らず、何らかの手段による光路偏向駆動手段9を用いて、画像表示素子3を形成する透過型液晶ライトバルブに表示させる画像サブフレームの駆動タイミングに同期させて、状態αと状態βとを切り換えることにより、スクリーン6上における見かけ上の画素増倍作用を実現させることができる。
【0063】
図5は、画像表示素子3を形成する透過型液晶ライトバルブの四つの画素から出射されて来た直線偏光が図3に示す光路偏向手段4を形成する液晶セルに入射された場合の光路を示す模式図であり、紙面の下側方向から該液晶セルに入射される場合を示している。
【0064】
図5において、例えば、第一の画像サブフレームにおいて、画像表示素子3を形成する前記透過型液晶ライトバルブの四つの画素が、それぞれa,c,e,gの状態にある時、光路偏向手段4を形成する前記液晶セルを図3(B)に示す状態αの状態、即ち、上側に配置されている透明電極43の前記一組の電極(43a,43b)において、右側に配置されている透明電極43aラインにのみ、閾値以上の電圧を印加すると、前記液晶セルに対して、前記透過型液晶ライトバルブの各画素から入射された直線偏光(即ち、画像光)は、紙面の左側方向に偏向されて、偏向画像光として出射される。
【0065】
また、第二の画像サブフレームにおいて、前記透過型液晶ライトバルブの四つの画素が、それぞれb,d,f,hの状態に切り換えられ、該切換えに同期して、前記液晶セルを図3(C)に示す状態βの状態、即ち、上側に配置されている透明電極43の前記一組の電極(43a,43b)において、左側に配置されている透明電極43bラインにのみ、閾値以上の電圧を印加する状態に切り換えると、前記液晶セルに対して、前記透過型液晶ライトバルブの各画素から入射された直線偏光(即ち、画像光)は、紙面の右側方向に偏向されて、偏向画像光として出射される。
【0066】
図5に示すごとく、前記液晶セル中を斜めに進む直線偏光が、第一及び第二の画像サブフレーム間を数十Hzから数百Hzの周期で切り換えられることにより、偏向画像光として、前記液晶セルから出射する際には、見かけ上、a,b,c,d,e,f,g,hと配列されている八個の画素が形成されていることになる。
なお、前記液晶セルから出射された偏向画像光が、投射光学系の光軸に対して平行になる平行光とするような光学素子を、前記液晶セルの後段に設けることにしても良い。
【0067】
図6は、画像表示装置における光路偏向手段4の配置位置の概略を示す斜視図である。図6において、図1,図3と同じ部位に対しては、同一の符号を付している。なお、矢印3zは、画像表示素子3からの出射光(即ち、画像光)である直線偏光の偏光方向を示し、矢印4zは、光路偏向手段4により偏向される画素シフト方向を示しているが、本実施形態においては、矢印3z,4zは、共に、紙面の左右方向(即ち、画面の水平方向)であることを示している。また、4o1は、光路偏向手段4により、一方向(即ち、紙面の左右方向)にのみ画素増倍を施した場合の観察画像を示している。
【0068】
光路偏向手段4を構成する少なくとも一方の前記透明電極43アレイは、図6に示す光路偏向手段4内の紙面の手前側(即ち、光路の下流側)にあって、紙面の上下方向(即ち、画面の垂直方向)にライン状に形成されている。画像表示素子3を出射した画像光が紙面の左右方向(即ち、画面の水平方向)3zに偏光された直線偏光の場合には、前述の通り、光路偏向手段4によって、画像表示素子3の全体を、図6の紙面の左右方向(即ち、画面の水平方向)4zに画素シフトさせて、偏向画像光として出射させることができる。
従って、前述のごとく、比較的簡単な透明電極の構成によって、画面の横方向即ち水平方向における解像度が高い高精細な画像表示装置を実現することが可能となる。(請求項1乃至3のいずれかに記載の発明に対応)
【0069】
なお、図5に示すように、光路偏向手段4を構成する液晶セルにより、光路の方向のみが偏向される場合には、出射側の画素サイズ(即ち、光路偏向手段4から出射される偏向画像光の画素サイズ)に合わせて、入射側の画素サイズ(即ち、液晶表示素子3から入射される画像光の画素サイズ)を細かく調整しておく必要がある。
入射側の画素サイズの調整法としては、画素位置に対応した開口部を有するマスクを通して光路を規制する方法や、画素位置に対応して配置したマイクロレンズアレイによって集光する方法などを適用することもできる。しかしながら、前記マスクを使う方式は光利用効率が低下するし、一方、前記マイクロレンズアレイを新たに設けるとなると、画像表示装置のコストアップにつながる。そこで、本発明に係る画像表示装置の構成例では、一つの前記液晶セルに画素サイズの縮小機能(集光機能)と光路偏向機能(画素シフト機能)との双方の機能を同時に持たせる構成としている。
【0070】
次に、かかる画素縮小機能と光路偏向手段とを有する光路偏向手段4の構成例について、図7,8に基づいて説明する。図7は、本発明にかかる画像表示装置における光路偏向手段4の実施形態を示す断面図であり、画素縮小機能と光路偏向機能とを備えた液晶光偏向素子の概略を示すものである。なお、図7に示す光路偏向手段4の断面図は、図3における断面図の場合と同様に、光軸に沿って、光路偏向手段4となる液晶セルを切断した場合における該液晶セルの断面図を示している。また、図8は、図7に示す該光路偏向手段4における直線偏光に対する屈折率分布を示す模式図であり、該光路偏向手段4を形成している液晶セルの上側の透明電極43(即ち、光路下流側に配置されている透明電極アレイ)との位置関係を示す図と共に、液晶層45の屈折率分布を模式的に示している。
【0071】
図7に示す前記液晶セルに使用する材料や処理方法などに関する基本的な構成は、図3の場合と同様で良く、透明電極アレイの配設ピッチや幅のみを変更しているものである。図7において、図3と同じ機能を有する部位については、同じ符号を付して示している。即ち、図7においては、上側の透明基板41上に画像表示素子3の画素の画素ピッチと同じピッチで、前記各画素間の境界部に対応する位置に、それぞれ、透明電極43がアレイ状に形成されている例を示している。各透明電極43の液晶層45に対面する側の電極幅は、特に限定されるものではないが、光路偏向手段4となる前記液晶セル内における光路偏向量と画素縮小量とに対応して、前記液晶セル内が、所望の電界強度分布となるように設定される。
【0072】
図7(A)(以下、状態γと記す)に示すように、図3(B)に示す場合に比して、透明電極43ラインの配設間隔が広く、かつ、等間隔に配設されている。かかる透明電極43ラインにおいて、交互に配設されている一方の透明電極43c(ハッチを施している電極)ラインに閾値以上の電圧を印加している。該電圧が印加されると、図3,4において説明した場合と同様に、液晶分子46の配向方向が変化して、液晶層45に屈折率分布が生じる。即ち、紙面と平行な偏光面を有する直線偏光(即ち、画像表示素子3から出射された画像光)を入射した場合には、液晶分子46の長軸が、透明基板41,42に垂直な配向となるにしたがって、実効的な屈折率が小さくなり、図8に示す実線(即ち、状態γ)のような屈折率分布となる。
【0073】
ただし、図3に比べて、電圧を印加する透明電極43の配設間隔が大きいので、図8の実線(即ち、状態γ)のように、屈折率分布もピッチが比較的大きな凸レンズ状になっている(即ち、凸レンズ効果を呈している)。従って、図7(A)に示す透明電極43c(ハッチを施している電極)ラインに対して閾値以上の電圧が印加された状態γの場合、透明電極43c,43dが配置されている中間部に入射された直線偏光は、屈折率の傾斜による屈折効果(凸レンズ効果)によって、図7(A)に示すように、電圧が印加されていない透明電極43d側に向かって、紙面の左右方向にそれぞれ交互に偏向されると共に、集光されて、偏向画像光として、出射されることとなる。
【0074】
次に、図7(B)(以下、状態δと記す)は、交互に配置されていて、図7(A)とは異なる側の透明電極43d(ハッチを施している電極)ラインに対して閾値以上の電圧を印加している場合を示している。図7(B)に示す状態δのように、電圧を印加する透明電極43を、透明電極43cから透明電極43dのラインに切り換えると、液晶分子46の配向状態も変化することとなり、紙面と平行な偏光面を有する直線偏光に対する実効的な屈折率は、図8に示す破線(即ち、状態δ)のような屈折率分布に変化する。
従って、図7(B)に示す透明電極43d(ハッチを施している電極)ラインに対して閾値以上の電圧が印加された状態δの場合、透明電極43c,43dが配置されている中間部に入射された直線偏光は、屈折率の傾斜による屈折効果によって、図7(B)に示すように、電圧が印加されていない透明電極43c側に向かって、紙面の左右方向にそれぞれ交互に偏向されると共に、集光されて、偏向画像光として、出射されることとなる。
【0075】
前述のごとき透明電極43の配置状態においては、画像表示素子3の2画素に対して、一つの凸レンズ効果を持たせることが可能となり、簡単な素子構成で、光路偏向機能と画像縮小機能との双方を同時に実現させることができる構成としていることが、本発明のもう一つの特徴となっている。
【0076】
ここで、図5において示した説明図と類似の図を、図9に示して、前記凸レンズ効果について更に詳細に説明する。即ち、図9は、画像表示素子3を形成する透過型液晶ライトバルブの四つの画素から出射されて来た直線偏光が図7に示す光路偏向手段4を形成する液晶セルに入射された場合の光路を示す模式図であり、紙面の下側方向から該液晶セルに入射される場合を示している。
【0077】
本実施形態においては、光路偏向手段4を形成する前記液晶セルに入射される入射側画素のサイズは、図5の場合に比して、比較的大きく設定されている。
従って、例えば、第一の画像サブフレームにおいて、前記液晶セルが図7(A)に示す状態γにある時、画像表示素子3を形成する前記透過型液晶ライトバルブの四つの画素が、それぞれa,c,e,gの状態を表示すると、図8の実線(即ち、状態γ)の屈折率分布によって、図9に示すごとく、前記液晶セルの出射側画素(即ち、前記液晶セルを出射した偏向画像光の画素)は、aとc、eとgとが、それぞれ近接する方向で偏向されると同時に集光されて縮小されることとなる。即ち、かかる場合においては、屈折率分布により、図9上部に実線で示している出射側画素の位置に、図9下部に示す入射側画素サイズに比し、縮小された画素として表示される。しかし、出射側画素の画素ピッチは、一定ではなく、狭い間隔と広い間隔とが交互に配置される状態となる。
【0078】
次に、第二の画像サブフレームの表示タイミングに合わせて、前記液晶セルが図7(B)に示す状態δのように、電圧を印加する透明電極43を透明電極43cから透明電極43dに切り換えると、屈折率分布は、図8の破線(即ち、状態δ)のように切り換わる。ここで、該切換えに同期させて、第二の画像サブフレームとして、画像表示素子3を形成する前記透過型液晶ライトバルブの四つの画素が、それぞれb,d,f,hの状態を表示すると、図9上部に破線で示している出射側画素の位置に、図7(A)の場合から、縮小された画素が移動する。
【0079】
第一及び第二の画像サブフレームが数十Hzから数百Hzで切り換えられることにより、前記液晶セルを、偏向画像光として出射する際には、見かけ上、b,a,c,d,f,e,g,hと変則的に配列されている八個の画素が形成されていることになる。
なお、かかる変則的な配列となる画素シフトによる表示画像が、正常な画像として形成されるように、画像表示素子3上においては、表示駆動手段8により、あらかじめサブフィールド画像のデータを補正して表示させることとしている。
【0080】
以上述べたごとき構成により、非常に簡単な透明電極構成を用いて、液晶レンズ効果による集光作用としての画素縮小効果と、液晶レンズ形成位置の切換えによる画素シフト効果とを、同時に一つの液晶セルによって両立させることができる。従って、単純な素子構成で、集光機能を有する光路偏向手段を構成できるので、低コストで、かつ、光の利用効率の低下も防止した、明るい高精細の画像表示をすることができる。(請求項1乃至3のいずれかに記載の発明に対応)
【0081】
なお、図7または図9に示すごとき光路偏向手段4の構成においては、該光路偏向手段4から出射される偏向画像光の光路が、液晶レンズ効果によって集光された非平行光となるため、該光路偏向手段4を構成する液晶セルの出射側位置によって、出射される偏向画像光の画素サイズが変化してしまう。例えば、投射光学系を何ら用いずに、前記液晶セルの出射側に、拡散板などを配置して、直接画像を観察するような場合、前記液晶セルと該拡散板との位置がずれると、見かけ上の画素サイズが変わってしまうことになる。従って、前記液晶セルから出射される偏向画像光は、光軸に対して平行な平行光であることが望ましい。
また、拡大光学系を用いる場合においても、レンズ系の設計の点から、同様に、前記液晶セルから出射される偏向画像光が平行光であることが好ましい。
【0082】
そこで、本発明の更に他の構成例として、前記液晶セルから出射された偏向画像光が、投射光学系の光軸に対して平行になるような光学素子を設ける場合について、図10を用いて、次に説明する。
図10は、図9に示す光路偏向手段4において、該光路偏向手段4の出射側に光束平行化手段を配設している場合の一実施例を示す模式図であり、該光束平行化手段49として、凹レンズアレイを用いることにより、光路偏向手段から出射される偏向画像光が、平行光化されている例を示している。
【0083】
即ち、光路偏向手段4を形成する前記液晶レンズアレイの特性が、前述の図8に示すような凸レンズ効果を有する場合には、前記光学素子即ち光束平行化手段49としては、前記液晶セルから出射された偏向画像光の光路を平行光に戻すような凹レンズアレイであることが好ましい。従って、例えば、図10に示すように、光束平行化手段49として、凹レンズアレイを、入射側の画素ピッチに等しく、かつ、該光路偏向手段の入射側画素位置に対して半画素分ずつずらした位置(即ち、入射側各画素間の境界部に、各凹レンズの中心軸が配置されるごとき位置)に設置することとすれば、図9に示すごとき非平行な出射光(即ち、偏向画素光)が、該光束平行化手段49により、全画素において、光軸に対して平行な出射光(即ち、平行光化された偏向画像光)を得ることができる。
【0084】
図10に示す前記液晶セルを、図6に示す場合と同様の配置位置に配置することにより、画像表示素子3を出射した画像光が、紙面に対して左右方向(即ち、画面の水平方向)の直線偏光の場合には、画像表示素子3の全体を、紙面の左右方向(即ち、画面の水平方向)に、均一に画素シフトさせ、かつ、集光させた出射光(即ち、平行光化された偏向画像光)を得ることができる。
従って、前述のごとく、比較的簡単な透明電極の構成によって、画面の横方向即ち水平方向における解像度が高く、光利用効率が良く、更には、画素の位置精度が高い高精細な画像表示装置を実現することができる。(請求項4に記載の発明に対応)
【0085】
次に、本発明に係る画像表示装置における光路偏向手段として、更に異なる他の実施形態について、図11,図12を用いて説明する。ここに、図11は、光路偏向手段における上下双方の透明電極をアレイ状に配置した場合の構成を示す断面図であり、図12は、図11に示す光路偏向手段に、更に、補助透明電極アレイを追加した場合の構成を示す断面図である。
【0086】
図3や図7に示す光路偏向手段4を形成する液晶セルにおいては、上部側(即ち、光路の下流側)に位置する透明基板41上に配置されている透明電極43のみをアレイ状に形成しているが、図11に示すように、上下双方の透明基板41,42上にそれぞれ配置されている透明電極43,44の双方を共にアレイ状に形成することとしても良い。かかる場合においては、上下双方の透明電極43,44アレイの透明基板41,42上での配設位置を一致させるように、調整することが望ましい。
【0087】
更に、液晶層45内の電界分布を調整するために、図12において斜線部で示すような補助透明電極47のアレイを更に追加することにより、補助的に電圧を印加させることができる手段を備えさせることにしても良い。なお、図12においては、一画素に対して補助透明電極47のアレイを1本づつ追加している場合を示しているが、より細かく屈折率分布を調整するために、更に、一画素に対して補助透明電極47を複数本づつ追加して印加電圧を段階的に変化させる構成としても良い。
【0088】
以上に説明した各光路偏向手段の構成においては、一個の液晶セルを用いて、一方向にのみ画素増倍(前述の各実施例においては、たとえば、図6に示す紙面の横方向、即ち、画面の水平方向のみの画素増倍)を行なうことはできるが、より高精細な画像表示を行なうためには、縦・横即ち画面の水平・垂直の二方向に対して、画素増倍を行なう必要がある。
【0089】
次に、図13及び図14を用いて、かかる縦横二方向に画素増倍を行なう場合の画像表示装置の構成例について、説明する。ここに、図13は、本発明に係る画像表示装置における更なる他の構成例の概要を示す構成概略図であり、縦・横二方向に画素増倍を行なう光路偏向手段4の構成の一例を示している。また、図14は、図13に示す光路偏向手段4の配置位置の概略を示す斜視図である。
図13に示す光路偏向手段4は、互いに直交する縦横二方向に光路を偏向させる手段を有しており、光路を紙面の表裏方向(即ち、スクリーン6上の画面の水平方向)に偏向させる第一光路偏向手段4aと、紙面の上下方向(即ち、スクリーン6上の画面の垂直方向)に偏向させる第二光路偏向手段4cとを有している。
【0090】
即ち、図14の斜視図に示すごとく、光路を紙面の左右方向(即ち、画面の水平方向)に偏向させる第一光路偏向手段4aが光路の上流側に配置され、紙面の上下方向(即ち、画面の垂直方向)に偏向させる第二光路偏向手段4cが光路の下流側に配置されており、更に、第一及び第二の光路偏向手段4a,4cの間に、入射される直線偏光の偏光面を回転させる偏光面回転手段4bが配置されている。
【0091】
なお、第一及び第二の光路偏光手段4a,4cの内部の構成は、前述の図3,図7,図11,あるいは、図12に示す液晶セルのいずれかによる光路偏向手段4と同様の構成である。また、それぞれの光路偏向手段4a,4cによる偏向方向は、二次元的に配列されている画像表示素子3の画素配列の二方向のそれぞれに一致するように配設される。即ち、一般的には、画像表示素子3の画素配列の方向は、縦横二方向に互いに直交させて配列されているので、図14に示すように、第一及び第二光路偏向手段4a,4cの作用方向即ち光路偏向方向も互いに直交するように、各第一及び第二光路偏向手段4a,4cにおけるそれぞれの透明電極43,44アレイ(図14には、光路の下流側の透明電極43のみを示し、上流側の透明電極44は示していない)の方向や液晶層(図14には示していない)の配向処理の方向が設定されることになる。
【0092】
また、光路偏向手段4a,4cとして、液晶セルを用いる場合、各光路偏向手段4a,4cへの入射光である直線偏光の方向と該入射光の光路を偏向させる方向とが一致している必要があるため、二つの光路偏向手段4a,4cの間には、前述のごとく、偏光面回転手段4bを設けている。該偏光面回転手段4bにおいて、第一光路偏向手段4aからの出射光の直線偏光方向を、第二光路偏向手段4cの光路偏向方向と一致させるまで(本実施形態においては、90度)、回転させてから、第二光路偏向手段4cに入射させる。
【0093】
該偏光面回転手段4bの構成材料としては、TN液晶セルや強誘電性液晶セル、半波長板、あるいは、ファラデー回転子などを用いることができる。
なお、強誘電性液晶セルを用いる場合は、電圧印加によるスイッチングをする必要は無いので、透明電極は設けなくても良いが、透明基板表面の配向処理やその方向性を最適化する必要がある。
また、半波長板など波長依存性がある材料を用いる場合は、ダイクロイックミラーなどにより、入射光の各色毎に一旦光路を分離して、各色毎の半波長板を設け、再び合成することとしても良い。
また、1次元周期のサブ波長構造は複屈折を示すので、この性質を用いて色補償された複屈折位相板を作ることもできる。微細構造の位相板では、構造による強い波長分散特性を用いて位相差の波長依存を打ち消すことができる。例えば、波長が長くなるにつれて屈折率が小さくなる常分散の場合、その波長分散の度合いは偏光方向によって大きく異なる。そこで、周期構造を最適化することで、屈折率の差Δnが波長に比例する部分が現れる。位相差は波長に反比例するので、Δnが波長に比例することと打ち消しあって、波長依存性が解消できる。
【0094】
以上に説明したように、画像表示素子3上の画素配列方向と一致する二方向に光路を偏向させる光路偏向手段4a,4cを設け、更に、二つの光路偏向手段4a,4cの間に、偏光面回転手段4bを設けることにより、図14に示す観察画像4o2のごとく、互いに直交する縦横二方向に見かけ上の画素数が増倍した高精細な画像を表示させることができる。
従って、従来の技術のように、円形状の穴抜き電極パターンの液晶マイクロレンズを用いて、縦横二方向に光路偏向させるような複雑な電極構成にしなくても良く、比較的簡単な電極構成の素子を組合わせることにより、縦横二方向への光路偏向(即ち、画素シフト)を実現させることができる。(請求項5に記載の発明に対応)
【0095】
次に、本発明に係る画像表示装置の各実施形態に関し、更に具体的な構成例を示して、各種評価試験の結果について説明する。
【0096】
(評価試験例1)
図1に示した画像表示装置において、画像表示素子3として、対角0.9インチXGA(1024×768ドット)のポリシリコンTFT液晶パネルを用い、画素ピッチを縦横ともに約18μm、各画素の開口率を約50%としている。また、画像表示素子3の光源側にマイクロレンズアレイを設けて、照明光の集光率を高める構成とした。
【0097】
また、光源1として、RGB三原色のLED光源を用い、画像表示素子3を形成する一枚の前記ポリシリコンTFT液晶パネルに照射する照明光の色を高速に切り換えてカラー表示を行なわしめる、いわゆるフィールドシーケンシャル方式を採用している。画像表示のフレーム周波数が60Hzの場合、一般的には、1フレーム内をさらに3色分に分割するため、各色に対応した画像を180Hzで切り換えることになる。
【0098】
前記ポリシリコンTFT液晶パネルの各色の画像表示タイミングに合わせて、対応した色の前記LED光源をON/OFFすることにより、観察者には、見かけ上、フルカラー画像が表示されたように見える。かかる方式は、カラーフィルタを使用することなく、一枚の前記ポリシリコンTFT液晶パネルで構成できるので、画像の高精細化と合わせて、装置の小型化にも有利である。従って、本評価試験例1においては、フィールドシーケンシャル方式と画素シフト方式とを組み合わせて用いている。
【0099】
ここで、画面の横方向に2倍の画素増倍を行なわせるためには、画素位置を、画像表示のフレーム周波数の2倍となる120Hzの周期でシフトさせる必要があるので、サブフィールド画像の表示時間は8.3ミリ秒以内となる。該表示時間には、光路が切り換わるのに必要な時間(即ち、光路切換え時間)Δtと前記ポリシリコンTFT液晶パネルが画像表示に使用できる時間とが含まれている。
一方、画像表示に使用できる時間が長いほど、フィールドシーケンシャル方式のLED発光時間を長くすることができるため、LEDの発光輝度を小さくすることができ、LED光源に対する負担が小さくなる。
【0100】
従って、光路切換え時間Δtは、できるだけ短い方が好ましく、高速な光路切換え手段が必要になる。本評価試験例1に示す画像表示装置においては、スイッチング時間を1ミリ秒以下として高速に切り換えることができるネマチック液晶セルの二周波駆動方式を採用した。高速動作が可能な光路切換え手段としては、該二周波駆動方式以外にも、圧電アクチュエータなどの揺動機構を用いて、屈折板の傾斜角度を変化させる方式も可能ではあるが、前述したように、かかる揺動運動を用いることに伴って、振動や雑音が発生する場合があるため、好ましくない。
【0101】
次に、光路偏向手段4を形成する液晶マイクロレンズアレイの作製工程について、詳細に説明する。
まず、薄いガラス基板(3cm×4cm、厚さ0.15mm)上にITO(Indium Tin Oxide)蒸着膜をエッチングして、幅10μm、配設ピッチ18μmのITO透明電極ラインを形成した。
次いで、該ITO透明電極ラインの交互に同一電圧を印加できるように、交互に相互接続させた串形電極を形成した。
更に、前記ガラス基板面のうち、ITO透明電極ラインを形成した面側に、ポリイミド系の配向材料をスピンコートし、約0.1μmの配向膜を形成した。
その後、該ガラス基板のアニール処理後、ITO透明電極ラインに対して直角方向にラビング処理を行なった。
【0102】
かかる作製工程により作製した二枚のガラス基板を、ITO透明電極ライン形成面を対向させた状態として、上下に対向させて、該ガラス基板の周辺部に8μm厚のスペーサ部材を挟み込み、かつ、上下に対向させた二枚の前記ガラス基板上の形成されている双方のITO透明電極ラインの配設位置が一致するように、位置合わせをして貼り合わせて、中間部が空洞の空セルを作製した。
次いで、該空セルの中に、誘電率異方性が正の値を有するネマチック液晶を常圧下で注入し、液晶セルを作製した。ここで、上下二枚の前記ガラス基板それぞれに施されているラビング処理の方向が、一致しているので、前記図3(A)に示すように、液晶分子46は、全て同じ向きに配向された状態(図3(A)においては、液晶分子46の長軸が、紙面の左右方向に配向された状態)となる。
【0103】
次に、作製した前記液晶セルの動作確認のため、次の検証試験を実施した。即ち、画像表示装置において該液晶セルの前段に配置することになる透過型液晶ライトバルブを擬似して、開口幅13μm×13μm角の開口部を有し、該開口部の縦横の配置ピッチが18μmとなる遮光マスクを用意し、該遮光マスクを、前記液晶セルの入射側に配置した。
更に、前記遮光マスクの開口部の中心と前記液晶セルのITO透明電極ラインの中心の位置が一致するように位置合わせをした後、互いに貼り付けた。
【0104】
その後、前記遮光マスク側から、前記液晶セルに対して、垂直に入射される平行光を照射した状態で、該液晶セルの出射側から観察したところ、前記遮光マスクの開口部の形状がそのまま観察され、前記液晶セルが無電界である状態においては、入射平行光をそのまま透過させていることが確認された。
【0105】
更に、図7に示すように、交互のITO透明電極ラインのうち、一方のITO透明電極ラインに約3Vの電圧を印加したところ、液晶層45内に、図8に示すごとき液晶レンズ効果が現れた。即ち、前記液晶セルの出射側に薄い拡散層を有する拡散板を合わせて、前記液晶セルの出射面における拡散光を観察したところ、前記遮光マスクの開口部の開口幅が、13μm×13μm角から約4μm×13μmに縮小されて、たとえば、図9上部に記載している出射側画素の実線のような画素位置に配列されていることが確認できた。
次に、電圧を印加するITO透明電極ラインを切り換えて、他方のITO透明電極ラインに印加したところ、縮小された光路(即ち、13μm×13μm角から約4μm×13μmの開口幅)の焦点位置が移動して、図9上部に記載している出射側画素の破線のような画素位置に、移動して配列されていることが確認できた。
従って、前記液晶セルは、画像縮小効果(集光効果)と画素シフト効果(光路偏向効果)とを同時に併せ持つ液晶レンズ効果を有する液晶レンズセルとして動作していることが確認できた。
【0106】
次いで、かかる液晶レンズ効果を有する前記液晶レンズセルを、画像表示素子を構成する透過型液晶ライトバルブの直後に配置し、該画像表示素子の画素位置と前記液晶レンズセルのITO透明電極ラインとの位置関係が、図9に示すごとく、半画素分ずれた位置関係となるように調整して、液晶レンズセルを作製した。
【0107】
然る後、光源として、小型の白色ランプを用い、透過型液晶ライトバルブによる白黒表示の観察実験を行なった。即ち、透過型液晶ライトバルブを120Hzのサブフィールド画像信号によって駆動し、それに同期させて、液晶セルのITO透明電極ラインへの印加電圧の駆動周波数を切り換えながら、該ITO透明電極ラインへの電圧印加を交互に切り換えた。即ち、交互のITO透明電極ラインのうち、一方の透明電極ライン群には200Hzの低周波電圧を印加し、他方の透明電極ライン群には100KHzの高周波電圧を交互に印加した。かかる条件において、前記液晶レンズセルの切換え時間を測定したところ、0.8ミリ秒であり、目標通りの高速の切換えが可能であることが確認できた。
【0108】
なお、本評価試験例1においては、図9に示すように、各画素のシフト方向が、共通の方向とはならないので、透過型液晶ライトバルブのサブフィールド画像を補正して駆動している。
前記液晶レンズセルの出射側に薄い拡散層を有する拡散板を合わせて、前記液晶レンズセルの出射面における拡散光を拡大観察したところ、横方向即ち画面の水平方向の画素密度が2倍の高精細な表示画像が得られた。
【0109】
(評価試験例2)
しかしながら、評価試験例1の場合、画像周辺部付近において、画素サイズが不均一となっている部分が生じる場合があった。かかる不均一が生じる原因は、前記液晶レンズセルの出射面と拡散板との間の間隔が不均一となった結果、前記液晶レンズセルからの出射光が平行光となっていないことに伴って生じる光路の集光に起因して、拡散板上の画素サイズが変化したものである。
そこで、次に、前記液晶レンズセルの出射光(即ち、偏向画像光)を平行光化するための評価試験を実施した。
【0110】
まず、評価試験例1の場合と同様にして、液晶レンズセルを作製した。更に、作製した該液晶レンズセルの出射面に、図10に示すごとく、入射側の画素ピッチと等しい18μmピッチのシリンドリカルマイクロ凹レンズアレイを設けた。更に、図10に示すごとく、該凹レンズアレイを、入射側画素位置に対して、半画素分ずつずらした位置に設置し、更に、該凹レンズアレイからの出射光が、画面全体に亘って、均一な光路シフト量となるように、該凹レンズアレイの各凹レンズの焦点距離を調整した。即ち、前記液晶レンズセルから出射して集光される光が平行光となるように、各凹レンズの焦点距離を設定し、同一方向に向かって、出射光の光路シフトが可能となる光路偏向手段を作製した。
【0111】
然る後、評価試験例1の場合と同様に、拡散板を用いて、光路偏向手段の出射面における拡散光を、直接、及び、拡大観察したところ、評価試験例1の場合とは異なり、画面全面に亘って、画素サイズが一定で、かつ、横方向の画素密度が2倍の高精細な画像を観察することができた。
【0112】
(評価試験例3)
次に、縦横二方向に画素シフトを行なわしめる場合の評価試験を行なった。
まず、偏光面回転素子を作製するために、薄いガラス基板(3cm×4cm、厚さ0.15mm)上に、ポリイミド系の配向材料をスピンコートし、約0.1μmの配向膜を形成した後、該ガラス基板のアニール処理後、ラビング処理を行なった。
かかる作製工程で作製した二枚のガラス基板を上下に対向させた周辺部に8μm厚のスペーサ部材を挟み込み、ラビング方向が互いに直交するように上下二枚の前記ガラス基板を貼り合わせて、中間部が空洞の空セルを作製した。
その後、該空セルの中に、誘電率異方性が正の値を有するネマチック液晶にカイラル材を適量混合した材料を常圧下で注入し、液晶分子の配向が90度捻じれたTN液晶セルを作製した。該TN液晶セルは、電極を有していないため、単なる偏光面回転素子として機能することになる。
【0113】
更に、評価試験例2の場合と同様の光路偏向手段(即ち、液晶レンズセル)を2個作製し、第一光路偏向手段のITO透明電極ラインの方向と第二光路偏向手段のITO透明電極ラインの方向とが互いに直交するように配置すると共に、その中間に、前記偏光面回転素子を配置した。なお、2個の前記光路偏向手段のうち、照明光の入射側に配置した第一光路偏向手段から出射した光の偏光面と前記偏光面回転素子の入射面のラビング方向とが一致する(即ち、第一光路偏向手段の透明電極ラインの方向と前記偏光面回転素子の入射面のラビング方向とが直交する)ように、前記偏光面回転素子の向きを調整した状態で、前記偏光面回転素子が、二つの光路偏向手段の間に、挟んで配置されている。
【0114】
かかる配置の光学系において、評価試験例1および2と同様にして、第二光路偏向手段の出射光(即ち、偏向画像光)を、拡散板上で直接観察を行なった。本評価試験例3においては、縦横二方向に画素シフトを行なわしめる場合であるが、かかる場合であっても、縦横の各方向への画素シフトを行なう印加電圧の周波数は120Hzであり、一方向の画素シフトの場合と同じである。ただし、評価試験例3においては、更に、縦方向と横方向との位相を互いに90度ずつずらして、合わせて四方向に画素シフトするように、駆動タイミングを設定せしめた。従って、画像表示素子に表示するサブフィールド画像が240Hzの周期で書き換えられることとなり、縦横二方向に見かけ上の画素数が4倍に増倍して見える高精細画像を表示することができた。また、フリッカーの発生などは観測されなかった。
【0115】
なお、以上の評価試験例1,2,3においては、たとえば、図1に示す画像表示素子3の各画素を、光路偏向手段4の出射面側で、図6に示すごとく、直接、あるいは、拡大レンズ系を通して観察した評価結果を示しているが、図1の投射レンズ5を通して、スクリーン6上に投影して観察した場合においても、全く同様な効果が得られている。
【0116】
【発明の効果】
(請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の作用効果)
機械的(メカニカル)な移動機構を用いるのではなく、配設間隔を比較的広くした透明電極の交互に電圧を切り換えて印加することにより、液晶層内にレンズ状(たとえば、凸レンズ状)の屈折率分布を有し、かつ、該レンズの焦点位置を電気的に制御可能とする液晶マイクロレンズを形成させて、更には、電圧印加位置を交互に切り換えているので、画像表示素子の画素からの画像光の光路を集光させると同時に、焦点位置(即ち、集光位置)をシフトさせることができる。つまり、効率的な画素縮小機能と画素シフト機能とを一つの素子(液晶マイクロレンズ)により両立させることができる。このことにより、表示画素の位置を高速にシフトさせることができ、かつ、振動や雑音の発生を抑止することができる。
また、見かけ上の画素数を増倍させた高精細な画像を表示させることができる。
【0118】
また、開口率は高いが、画素ピッチが大きな画像表示素子を用いた場合であっても、光利用効率を低下させずに、画素増倍による高解像度化を実現させることができる。
従って、比較的低解像度の画像表示素子をそのまま使用しても、簡易な素子構成で、明るく高解像度の画像を低コストで実現させることができる。
【0119】
(請求項4に記載の発明の作用効果)
前記請求項1に記載の発明に係る液晶マイクロレンズにより、偏向され、更には、集光された光の光路は、光軸に対して、平行になってはいない。従って、かかる液晶マイクロレンズを適用した光学装置の位置精度が悪い場合においては、各画素毎に、画素サイズや画素ピッチが一定でなくなるおそれが生じる場合もありうる。しかしながら、本請求項4に係る発明のごとく、液晶層の凸レンズ効果により集光させた光は、液晶マイクロレンズの出射側に配置した凹レンズアレイにより、平行光化させることができるので、各画素毎に、画素サイズや画素ピッチを一定とすることが可能となり、全表示画像領域に亘って、高画質の画像表示を実現することができる。
【0120】
(請求項5に記載の発明の作用効果)
画像の横方向への画素シフトを行なう光路偏向手段と縦方向への画素シフトを行なう光路偏向手段とを組合わせることにより、二次元方向に対する画素増倍が可能となるが、かかる二つの光路偏向手段の組み合わせのみでは、互いに偏向できる直線偏光面が異なってしまうので、画素シフトを縦横二方向に行なわしめることはできない。而して、本請求項5に係る発明のごとく、二つの光路偏向手段の間に、偏光面回転手段を設けて、後段の光路偏向手段への入射光の直線偏光面を後段の光路偏向手段の画素シフト方向と一致させることにより、確実に二次元方向への画素シフトを行なわしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る画像表示装置の一構成例の概要を示す構成概略図である。
【図2】 スクリーン上に表示された見かけ上の画素倍増の一例を示す模式図である。
【図3】 本発明にかかる画像表示装置の参考例として、光軸に沿って光路偏向手段となる液晶セルを切断した場合における該液晶セルの断面図を示すものである。
【図4】 図3に示す光路偏向手段における直線偏光に対する屈折率分布を示す模式図である。
【図5】 画像表示素子を形成する透過型液晶ライトバルブの四つの画素から出射されて来た直線偏光が図3に示す光路偏向手段を形成する液晶セルに入射された場合の光路を示す模式図である。
【図6】 画像表示装置における光路偏向手段の配置位置の概略を示す斜視図である。
【図7】 本発明にかかる画像表示装置における光路偏向手段の実施形態を示す断面図である。
【図8】 図7に示す光路偏向手段における直線偏光に対する屈折率分布を示す模式図である。
【図9】 画像表示素子を形成する透過型液晶ライトバルブの四つの画素から出射されて来た直線偏光が図7に示す光路偏向手段を形成する液晶セルに入射された場合の光路を示す模式図である。
【図10】 図9に示す光路偏向手段において、該光路偏向手段の出射側に光束平行化手段を配設している場合の一実施例を示す模式図である。
【図11】 光路偏向手段における上下双方の透明電極をアレイ状に配置した場合の構成を示す断面図である。
【図12】 図11に示す光路偏向手段に、更に、補助透明電極アレイを追加した場合の構成を示す断面図である。
【図13】 本発明に係る画像表示装置における更なる他の構成例の概要を示す構成概略図である。
【図14】 図13に示す光路偏向手段の配置位置の概略を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…光源、2…照明装置、2a…拡散板、2b…コンデンサレンズ、3…画像表示素子、3z…直線偏光の偏光方向、4,4a,4c…光路偏向手段、4b…偏光面回転手段、4o1,4o2…観察画像、4z…画素シフト方向、5…投射レンズ、6…スクリーン、7…光源駆動手段、8…表示駆動手段、9…光路偏向駆動手段、10…画像表示制御回路、41,42…透明基板、43,44…透明電極、45…液晶層、46…液晶分子、47…補助透明電極、49…光束平行化手段。
Claims (5)
- 画像情報に基づいて、照明光を制御可能とする複数の画素が二次元的に配列されている画像表示素子と、前記画像情報の表示時間を示す画像フィールドを更に複数個の画像サブフィールドに時間的に分割して前記画像表示素子を駆動することができる表示駆動手段と、該表示駆動手段により前記画像サブフィールド毎に駆動される前記各画素から入射されてくる画像光の光路を偏向する光路偏向手段とを有することにより、前記画像表示素子の見かけ上の画素数を増倍して表示させることができる画像表示装置であって、前記光路偏向手段が、二枚の透明基板と、それぞれの前記透明基板上に配設される透明電極と、二枚の前記透明基板間に介在される液晶層とを有し、前記透明電極のうち、少なくとも一方の前記透明基板上に配設される前記透明電極が、前記画素の画素ピッチに対応させた配設ピッチで、アレイ状に形成されている透明電極アレイであり、前記液晶層が、前記透明電極アレイと他方の前記透明基板上の透明電極との間への電圧印加状態によって、屈折率分布の制御が可能となる液晶層であり、かつ、前記表示駆動手段と同期させて、前記画像サブフィールド毎に、前記透明電極アレイへの電圧印加状態を変化させる画像表示装置において、前記光路偏向手段が、あらかじめ定められた配設ピッチで配設された前記透明電極アレイへの電圧印加状態により、前記各画素から入射されてくる前記画像光を集光可能とする液晶マイクロレンズアレイを形成し、かつ、前記透明電極アレイのうち、電圧印加される透明電極の位置が、隣接する透明電極間で時間順次に切り換えられることにより、前記透明電極アレイの配列方向に沿って、該液晶マイクロレンズアレイの焦点位置を、時間順次に切り換えて移動させることを特徴とする画像表示装置。
- 請求項1に記載の画像表示装置において、前記画素の画素ピッチに対応させた配設ピッチで、アレイ状に形成されている前記透明電極アレイの配設ピッチが、該画素ピッチと一対一となる間隔のみに限らず、該画素ピッチの整数倍、あるいは、整数分の一の間隔に一致させていることを特徴とする画像表示装置。
- 請求項1または2に記載の画像表示装置において、前記透明電極アレイの前記配設ピッチが、複数個の透明電極を一組として、該一組の透明電極毎の配設ピッチとなっていることを特徴とする画像表示装置。
- 請求項1に記載の画像表示装置において、前記光路偏向手段が、前記液晶マイクロレンズアレイによって集光された光を、光軸と平行な平行光として出射させることができる凹レンズアレイを、該光路偏向手段の出射面側に有していることを特徴とする画像表示装置。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の画像表示装置において、前記画素の二次元的な配列方向に対して、前記画素の第一の画素配列方向に沿って、入射されてくる前記画像光の光路の偏向、及び/または、該画像光の集光される焦点位置の移動が可能な第一の光路偏向手段と、前記画素の第二の画素配列方向に沿って、前記第一の光路偏向手段を介して入射されてくる前記画像光の光路の偏向、及び/または、該画像光の集光される焦点位置の移動が可能な第二の光路偏向手段とを有し、更には、直線偏光の偏光面の方向を、前記第一の画素配列方向から前記第二の画素配列方向に回転させることができる偏光面回転手段が、前記第一の光路偏向手段と前記第二の光路偏向手段との間に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
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