JP4040831B2 - 液体燃料用バーナマット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体燃料と空気との混合気を面状に燃焼させる液体燃料用バーナマット(以下「バーナマット」という)において、特に、逆火を防止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、気体燃料と空気との混合気を面状に燃焼させるバーナマットがよく知られている。バーナマットの裏面に供給された混合気は、表裏連通した細孔を通過してその表面に供給され、表面近傍で燃焼する。このため、混合気は、バーナマットの表面全体で面状に燃焼することとなり、燃焼用空気の供給が十分行われることから、NOx低減効果が発揮される。
【0003】
バーナマットは、通常、金属繊維やセラミック繊維を素材とした不織布又は織布から形成される。これまで、バーナマットについては、その素材や形状,作製方法などについて、様々な工夫がなされてきた。例えば、特開昭60−213717号公報では、バーナマットに耐熱性を付与するため、その素材を改良した技術が提案されており、また、特開平2−279908号公報では、高負荷燃焼を可能にするため、バーナマットの空隙率,マット厚さ,繊維径及び繊維長さを見直した技術が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらのバーナマットは気体燃料を使用することを前提としているため、燃料として液体燃料たる灯油を使用すると、次のような不具合が発生するおそれがある。即ち、バーナマットに気化灯油と空気との混合気を供給すると、バーナマット裏面で灯油が再液化し、燃焼面の熱により再液化した灯油が着火して逆火が発生してしまう。一方、逆火を防止するために、灯油の再液化を防止すべく空気温度を高める方法も考えられるが、空気温度を高くしすぎると、灯油の自然発火温度に達し、同様に逆火が発生してしまう。また、このような方法で安定燃焼ができたとしても、燃焼を継続するうちに、バーナマットが油滴,コークスなどにより目詰まりを起こし、失火又は逆火が発生してしまう。
【0005】
そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、灯油などの液体燃料を使用しても、逆火が起こり難く、安定した表面燃焼を可能とした液体燃料用バーナマットを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の発明では、金属繊維又はセラミック繊維の不織布又は織布から形成され、その裏面に供給された液体燃料が表面に通過して、該表面で面状に燃焼する液体燃料用バーナマットにおいて、前記バーナマットの平均空隙率を、2.5×板厚+81以上にしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明では、前記バーナマットには、その厚さ方向に、直径0.5〜2mmの直線状の貫通孔が、平均して1cm2あたり2個以上形成されていることを特徴とする。
ここで、本発明の気体燃料用バーナマットの作用について説明する。
液体燃料としての灯油を気化すべく、灯油を自然発火温度より低い温度で加熱すると、その大部分が気化するが、灯油中にわずかに含有される高沸点留分は気化されないまま、油滴又はコークスの微粒子として残留してしまう。また、気化された気化灯油の一部は、低温部を通過する際に再液化することがある。このような油滴、微粒子又は再液化した灯油がバーナマットに供給されると、バーナマットの裏面に付着し、燃焼熱により着火して逆火が発生するおそれがある。
【0008】
しかし、請求項1に係るバーナマットでは、その平均空隙率が、2.5×板厚+81以上になるように形成されているので、裏面に付着した油滴等はバーナマットを通過し、その表面に供給される。このため、バーナマット裏面に付着した油滴等により逆火が発生することが防止され、安定した表面燃焼が行なわれるようになる。
【0009】
また、請求項2に係るバーナマットでは、その厚さ方向に、直径0.5〜2mmの直線状の貫通孔が、平均して1cm2あたり2個以上形成されているので、裏面に付着した油滴等の通過性能がさらに向上し、逆火の発生がより効果的に防止される。また、多孔化の副次的な効果として、NOx,CO,未燃炭化水素が低減され、排気性状も向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付された図面を参照して本発明を詳述する。
図1は、本発明に係るバーナマットを適用した液体燃料用面状バーナの全体構成を示す。なお、液体燃料用面状バーナでは、液体燃料として、例えば、灯油が使用される。
【0011】
液体燃料用面状バーナは、バーナマット10と、灯油供給ポンプ12と、気化器14と、ブロア16と、ケーシング18と、分散板20と、着火装置22と、を含んで構成される。
ケーシング18の一面には、燃焼用空気を供給するブロア16の吐出口が接続される。ブロア16の吐出口下流には、図示しない燃料タンクに貯留される灯油が、灯油供給ポンプ12及び気化器14を介して、気化された状態で供給される。灯油供給部下流にあたるケーシング18内部には、燃焼用空気と気化灯油との混合を促進すべく、隔壁により混合気通路が延長された混合部18aが形成される。混合部18aの出口下流には、混合気をケーシング18内部に略均一に分散させるべく、例えば、パンチ板により形成される分散板20が配設される。分散板20の下流にあたるケーシング18の他面は、外部に開口し、ここにバーナマット10が固定される。また、バーナマット10の下流には、供給された混合気を着火すべく、着火装置22が配設される。
【0012】
バーナマット10としては、金属繊維の不織布又は織布を焼結して成型したものや、コージェライト,チタニア,ムライト,アルミナ,シリカ,アルミナ−シリカなどのセラミック繊維の不織布又は織布が用いられる。
金属繊維は、引抜き法,溶融紡糸法,ワイヤ切削法,コイル材切削法,びびり振動切削法,コーティング法,ウイスカー法などの加工法により製造される。金属繊維の平均直径は、5〜200μmが好ましく、特に、10〜100μmがより好ましい。即ち、平均直径が5μm以下の金属繊維は、製造が困難であり、平均直径が200μm以上の金属繊維は、バーナマット10で灯油を燃焼させた際に、温度分布ができてしまうからである。
【0013】
金属繊維の素材の材質としては、Fe−Cr−Si,Fe−Cr−Alなどを用いる。この場合、素材を焼結処理後、酸化雰囲気中で熱処理し、表面にアルミナ層またはシリカ層を形成することで、高温耐熱性を向上させることができる。他の材質を用いる場合には、アルミナなどで表面をコーティングすることで、耐酸化性を向上させることができる。
【0014】
そして、このようにして製造された金属繊維は、マット状に成型され、真空又は非酸化性雰囲気中で800〜1200℃の温度条件下、10分〜10時間焼結され、バーナマット10が形成される。このとき、最終的に形成されるバーナマット10の平均空隙率が、2.5×板厚+81以上になるように、焼結時にマット全体に荷重を作用させる。なお、バーナマット10は、ケーシング18の形状に合わせて、円筒形や平板形など任意の形状に形成される。
【0015】
また、バーナマット10には、その厚さ方向に、直径0.5〜2mmの直線状の貫通孔を形成してもよい。この場合、バーナマット1cm2あたり、平均して2個以上の貫通孔を形成することが好ましい。貫通孔は、金属繊維の焼結後、ニードルパンチなどを用いて形成することが好ましいが、レーザ加工などの他の方法を用いて形成してもよい。
【0016】
次に、かかる構成からなる液体燃料用面状バーナの作用について説明する。
図示しない燃料タンクに貯蓄される灯油は、灯油供給ポンプ12により所定圧力に加圧され、気化器14に供給される。気化器14に供給された灯油は、金属製又はセラミック製の電気ヒータ等により加熱され気化灯油となり、ブロア16下流側に供給される。ブロア16下流側に供給された気化灯油は、ケーシング18内部に形成された混合部18aにおいて、ブロア16から供給される燃焼用空気と混合して混合気となる。混合気は、分散板20により分散され、ケーシング18に固定されたバーナマット10裏面に略均一に供給される。そして、混合気は、バーナマット10を通過して表面に供給され、着火装置22により着火されて、面状に燃焼する。
【0017】
ここで、バーナマット10の平均空隙率を、2.5×板厚+81以上にすることで、逆火が防止できることを実証する実験データについて説明する。なお、以下の実験データは、Fe−Cr−Siを主成分とした平均直径40μmの金属繊維を積層した不織布を焼結して形成したバーナマット10を使用したものである。
【0018】
実験は、図1に示す液体燃料用面状燃焼バーナにおいて、空気比1.1,表面積1m2あたりの燃焼量600kWとして、板厚を1〜4mm,平均空隙率を85〜95%に変化させて行なった。そして、各実験条件において、逆火が発生したか否かを確認した。その結果、表1に示すような実験データが得られた。なお、表中の「○」は逆火が発生せず、「×」は逆火が発生したことを示す。
【0019】
【表1】
【0020】
この表を見ると、板厚が1mmの場合には、実験した平均空隙率の範囲では逆火が発生していないが、板厚が厚くなるに従って、平均空隙率が小さい範囲で逆火が発生するようになる現象が把握できる。この現象を数値化すると、バーナマット10の平均空隙率が2.5×板厚+81以上のときには、逆火が発生せず、平均空隙率がそれ未満のときには、逆火が発生することがわかった。
【0021】
この現象は、次のようにして説明することができる。即ち、バーナマット10の平均空隙率を2.5×板厚+81以上にすると、コークスなどの微粒子又は再液化した灯油は、バーナマット10を通過して表面に供給されるようになる。このため、灯油などの液体燃料を使用しても、逆火が起こり難くなり、安定した表面燃焼を行なうことができるようなる。また、表面における火炎の長さが短くなるため、被加熱物との距離を短くすることができ、ボイラなどの燃焼機器全体をコンパクトにすることができる。さらに、ボイラなどの水管を加熱する場合には、水管の近くにバーナマット10を設置することができ、輻射エネルギーと排気熱エネルギーとを効率よく利用することができる。この他には、輻射エネルギーが通常の火炎燃料よりも多く発生するため、輻射型暖房機としても使用することができる。
【0022】
また、以上説明したバーナマット10に、1cm2あたり2.6個の割合で直径1.2mmの貫通孔を形成したところ、長時間連続しても逆火が発生することがなく、安定燃焼が行なわれることを確認した。これは、貫通孔を形成することで、再液化した灯油の通過性能がさらに向上したことによる。そして、多孔化の副次的な効果として、NOx,CO,未燃炭化水素の低減も認められ、排気性状も向上することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、バーナマットに付着した油滴等により逆火が発生することが防止され、安定した表面燃焼を行なうことができる。
請求項2記載の発明によれば、逆火の発生をより効果的に防止することができる。また、多孔化の副次的な効果として、NOx,CO,未燃炭化水素も低減され、排気性状も向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体燃料用バーナマットを適用した液体燃料用面状バーナの構成図である。
【符号の説明】
10 バーナマット
Claims (2)
- 金属繊維又はセラミック繊維の不織布又は織布から形成され、その裏面に供給された液体燃料が表面に通過して、該表面で面状に燃焼する液体燃料用バーナマットにおいて、
前記バーナマットの平均空隙率を、2.5×板厚+81以上にしたことを特徴とする液体燃料用バーナマット。 - 前記バーナマットには、その厚さ方向に、直径0.5〜2mmの直線状の貫通孔が、平均して1cm2あたり2個以上形成されていることを特徴とする請求項1記載の液体燃料用バーナマット。
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