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JP4034700B2 - 被削性に優れた高s快削鋼の製造方法及び高s快削鋼 - Google Patents

被削性に優れた高s快削鋼の製造方法及び高s快削鋼 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は人体に有害でリサイクルを困難にするPbを使用しない快削鋼(Pbフリー快削鋼)の技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
快削鋼に含まれるPbは、被削性改善に極めて有効な元素である。しかし、埋め立てられた廃棄スクラップから溶け出すおそれがあることや溶解すると人体に有害なPbガスが発生するので、リサイクルの障害となっていた。このため、鋼へのPb使用廃止が求められている。Pbを除いた場合、被削性が劣化するため、代わりの快削性元素を添加する必要がある。
【0003】
被削性(特に切屑処理性)を改善するためにはSの増量(高S快削鋼)が提案されており、例えば特許文献1ではSを0.4%超とすることを提案している。しかしこの特許文献1が指摘しているようにS含有率が高まると熱間加工性が低下するため、例えば圧延材の表面疵が増大する。そこでこの特許文献1ではMn含有率を増大することによってMn/S比を最大5.0まで高めることを推奨している。さらには鋼中の酸素含有率が低いとMnSが小型化して被削性が低減することに着目し、鋼中の酸素濃度を0.005〜0.040%程度に高めることも提案している。ところが後述の特許文献2の従来技術欄に記載されているように、この特許文献1の方法(Mn/S比の向上、鋼中酸素濃度の向上)によったとしても、なお仕上げ面粗さが不十分となっている。
【0004】
仕上げ面粗さを改善できた鋼として特許文献2がある。この特許文献2の発明は、Sを0.4%以上と高めた高S快削鋼であり、またMn/S比を最大5.0まで高めており、かつ鋼中酸素濃度を0.005〜0.040%まで高めている点で上記特許文献1と共通するが、悪い仕上げ面粗さを改善するためにSnを0.0015〜0.60%添加している点で改善されている。Snを用いれば、切削時に形成される構成刃先を脆くでき、切削面に付着する構成刃先のかけらが小さくなるためであるとしている。しかしSnは熱間加工性を劣化させるため、Mn/S比向上による熱間加工性向上効果(表面疵低減効果)を打ち消してしまう。従って特許文献2の方法によっても表面疵の低減と仕上げ面粗さの両立が困難となっている。
【0005】
Snを使用することなく仕上げ面粗さを改善した例として特許文献3がある。この特許文献3はSを0.5%程度まで高めている点、及び鋼中のO2を100〜300ppmと高くしている点で上記特許文献1〜2と共通しており、鋼中のO2が高くなってMnSサイズが大きくなる程、仕上げ面粗さが良好となることを特定の式を用いて示している。しかし、この特許文献3はMn/S比についての配慮がなされておらず、実施例の欄を参照すると、Mn/S比は最大でも3.3である。そのため表面疵の改善効果が不十分となっており、特許文献3の方法によっても表面疵の低減と仕上げ面粗さの両立が困難となっている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−319753号公報
【特許文献2】
特開2002−249848号公報
【特許文献3】
特開平5−345951号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、被削性(特に切屑処理性)を高めた高S快削鋼において、表面疵の発生防止と仕上げ面粗さの改善とを両立することのできる技術を確立することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
表面疵の発生防止と仕上げ面粗さの改善とを両立するには、特許文献3においてMn/S比を向上することが想定された。しかしMn/S比を増大するとMnSサイズが小さくなってしまい、仕上げ面粗さの改善効果を十分に得ることができなかった。しかもMnSサイズの低下は、特許文献1〜3が教示するように、鋼中の酸素濃度を0.005〜0.040%に制御したとしても同様であった。
【0009】
そこで本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、鋼中の酸素濃度はMnSサイズと直接的な関係がないことを発見し、さらに鋭意研究を重ねた結果、鋳造直前のフリー酸素濃度がMnSサイズに大きく影響しており、該フリー酸素濃度を低減するとMn/S比を増大しながらも大きなサイズのMnSを生成させることができ、表面疵の発生防止と仕上げ面粗さの改善とを両立できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明に係る被削性に優れた高S快削鋼の製造方法は、C:0.01〜0.25%(質量%の意。以下、同じ)、Si:0.01%以下(0%を含まない)、Mn:1.3〜3.5%、P:0.2%以下(0%を含まない)、S:0.38〜0.8%、Al:0.01%以下(0%を含まない)、N:0.007%以上、O:0.008%以上を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、Mn/S比(質量比)が3.5以上である高S快削鋼の製造方法において、鋳造直前の溶鋼のフリー酸素濃度を0.004%以上にする点に要旨を有するものである。溶鋼のフリー酸素濃度を0.004%以上とするためには、脱酸剤としてのSi及びAlを添加しないのが有効である。このようにして得られる高S快削鋼では、MnSの平均面積が10μm2以上となっており仕上げ面粗さが改善されている。本発明の高S快削鋼は、連続鋳造法又は造塊法によって製造されるが、造塊法によればMnSサイズを大きくするのに有利である。この高S快削鋼を切削することによって鋼部品を製造できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明では、後述する脱酸操作以外は常法に従って溶鋼の成分調整を行い、次いで必要により分塊圧延した後、熱間圧延することによってC:0.01〜0.2%(質量%の意。以下、同じ)、Si:0.01%以下、Mn:1.3〜3%、P:0.2%以下、S:0.38〜0.8%、Al:0.01%以下、N:0.007%以上、O:0.008%以上を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、Mn/S比(質量比)が3.5以上である高S快削鋼を製造している。各成分の限定理由は以下の通りである。
【0012】
C:0.01〜0.25%
Cは鋼の基本強度を決定する為に不可欠な元素であり、また所定量以上添加することによって仕上げ面粗さを改善する作用も有する。しかし過剰に添加すると工具寿命が低下する。C量は、鋼の他の構成要件(他の成分、後述するMnSサイズなど)に応じて適切な範囲に設定されるが、本発明では0.01%以上(好ましくは0.03%以上、さらに好ましくは0.05%超)、0.25%以下(好ましくは0.20%以下、さらに好ましくは0.17%以下)とする。
【0013】
Si:0.01%以下(0%を含まない)
後述するように、本発明では基本的には脱酸剤としてのSiを添加しない。しかしSiは原料(鉄鉱石、スクラップなど)に含まれており脱Si処理をしてもSiO2として混入してくる。また他の鋼を製造する場合には脱酸剤として頻繁に使用されているため、製造設備からもSiO2として混入してくる。SiO2としての混入であれば脱酸剤としての機能を喪失しており、特にSi量は制限されないが、通常、Siは0.01%以下(例えば0.009%以下、特に0.007%以下)程度である(なお実際上、0%となることはない)。
【0014】
Mn:1.3〜3.5%
MnはMnSを形成して被削性を高めるため、本発明では不可欠な元素である。またFeSの生成による圧延中の液相の発生を抑制するため、表面疵を低減する点でも効果がある。しかしMnが過剰となると工具寿命が低下する。Mn量は、1.3%以上(好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは2.0%以上)、3.5%以下(好ましくは3.2%以下、さらに好ましくは3.0%以下)程度である。
【0015】
P:0.2%以下(0%を含まない)
Pは過剰となると工具寿命を低下させるため低減することが推奨される。従ってPは0.2%以下、好ましくは0.15%以下、さらに好ましくは0.10%以下とする。なお実際上、Pを0%とすることは困難であり、またPは被削性の改善にも有効である。従ってPは好ましくは0.01%以上、さらに好ましくは0.05%以上とする。
【0016】
S:0.38〜0.8%
SはMnSを形成して被削性を高めるため、本発明では不可欠な元素である。またPb快削鋼と同等の被削性を得るためにはS量を十分に高める必要がある。従って本発明では、S量を0.38%以上、好ましくは0.40%以上、さらに好ましくは0.45%以上とする。しかしSが過剰になると表面疵の発生が認められるようになる。従ってS量は0.8%以下、好ましくは0.7%以下、さらに好ましくは0.65%以下程度とする。
【0017】
Al:0.01%以下(0%を含まない)
後述するように、本発明では基本的に脱酸剤としてのAlを添加しない。しかしAlは他の鋼を製造する場合には脱酸剤として頻繁に使用されているため、製造設備からAl23が混入してくる。Al23としての混入であれば脱酸剤としての機能を喪失しており、特にAl量は制限されないが、通常、Alは0.01%以下(例えば0.009%以下、特に0.006%以下)程度である(なお実際上、0%となることはない)。
【0018】
N:0.007%以上
Nが多くなるほど仕上げ面粗さが改善される。Nは0.007%以上、好ましくは0.008%以上、さらに好ましくはNは0.009%以上である。表面疵及び仕上げ面粗さの観点からはNの上限は限定されないが、Nが多くなるとブローホールが発生するため上限を設定するのが望ましい。好ましくはNは0.02%以下、さらに好ましくは0.015%以下、特に0.013%以下である。
【0019】
O:0.008%以上
後述するように本発明では鋳造直前の溶鋼中のフリー酸素濃度を高くすることが重要であり、鋼中の酸素濃度は特に設定されないが、通常、0.008%以上、好ましくは0.010%以上、さらに好ましくは0.013%以上程度である。なお表面疵及び仕上げ面粗さと鋼中の酸素濃度との直接の関係はないが、鋼中の酸素濃度が多い程、原料や製造設備由来の酸化物(SiO2、Al23など)が多くなっている傾向があり、工具寿命が低下する傾向がある。従って鋼中の酸素は、好ましくは0.03%以下、さらに好ましくは0.02%以下、特に0.018%以下程度とするのが推奨される。
【0020】
また本発明では、MnとSの比(Mn/S;質量基準)が3.5以上に設定されている。MnがSに比べて少なすぎると、表面疵の発生を防止できない。好ましいMn/S比(質量比)は、3.8以上、さらに好ましくは4.0以上である。
【0021】
上記のようにして鋼を製造するに際して、鋳造直前の脱酸操作(例えば取鍋精錬時のスラグ調整による脱酸操作)を工夫している点に本発明の特徴がある。取鍋精錬では、通常、SiやAlなどの脱酸剤を添加して脱酸を行っている。しかし本発明のようにMn/S比を高くすると、Mnが脱酸剤として働くため、溶鋼中のフリー酸素濃度が既に低減されている。ここで常法に従ってSiやAlなどを添加してしまうと、溶鋼中のフリー酸素濃度が著しく少なくなってしまい、鋳造時に析出するMnSが微細化してしまい、仕上げ面粗さが劣化していたのである。また従来の方法では鋼中の酸素を所定量以上確保することを考慮していたが、かかる思想はSiO2やAl23を鋼中に持ち込ませることなく十分に浮上させて酸化物を少なくした後で鋳造することを意味するに過ぎず、溶鋼中のフリー酸素は何ら制御されていなかったのであり、むしろSiやAlを脱酸剤として使用してしまっている以上、溶鋼中のフリー酸素は極めて少なくなっていたのである。これに対して、本発明ではフリー酸素濃度を低減し過ぎないようにしており、基本的には脱酸剤としてのSiやAlを添加しないこととしてMnSの微細化を防止している。MnSの微細化を防止することによって、仕上げ面粗さの劣化を防止できる。
【0022】
鋳造直前の溶鋼中のフリー酸素濃度は、0.004%以上、好ましくは0.0043%以上、さらに好ましくは0.0045%以上とする。なおかかるフリー酸素濃度を確保可能である限り、必要によってSiやAlを添加してもよい。またフリー酸素を過剰としなければ、MnSサイズが大きくなり過ぎるのを防止でき、表面疵の発生をさらに抑制できる。従ってフリー酸素濃度は、好ましくは0.01%以下、さらに好ましくは0.008%以下、特に0.006%以下程度とする。
【0023】
上記のようにして溶鋼中のフリー酸素濃度を制御すると、Mn/S比が高められているにも拘わらずMnSの微細化を防止できる。そのため表面疵の発生を防止できると共に、仕上げ面粗さをも改善できる。上記のようにして得られる本発明の鋼中のMnS介在物の平均面積は、10μm2以上、好ましくは20μm2以上、さらに好ましくは50μm2以上である。なおMnS介在物の平均面積は、好ましくは300μm2以下、さらに好ましくは200μm2以下、特に150μm2以下とすることが推奨される。
【0024】
鋳造方法は特に限定されず、連続鋳造法であってもよく造塊法であってもよい。連続鋳造法によれば生産性を高めることができる。また造塊法によれば、鋳造時の冷却速度を遅くでき、MnSサイズを大きくし易くなるため、仕上げ面粗さの改善にさらに有効である。造塊法による場合、1つの鋳片の大きさは、例えば5トン以上とすることが推奨される。
【0025】
上記のようにして得られる本発明の鋼は、高S快削鋼であるため被削性(特に切屑処理性)が高められており、Mn/S比が高められているために表面疵が抑制されており、さらには脱酸工程を工夫することによってMnS介在物が大きくなっているために仕上げ面粗さも改善されている。そのため快削鋼として極めて有用であり、種々の鋼部品[例えば、油圧用部品(例えば、アンチロックブレーキシステム(ABS)、オートマチックトランスミッション(AT)などの油圧制御部品など)など]を簡便にかつ精度よく製造できる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0027】
実験例1
高炉から出鋼した鋼を溶銑予備処理及び転炉精錬してC量、Si量、P量を調製した後、取鍋で合金元素(Mn)を添加して精錬することによって下記表1に示す化学成分の鋼を製造し、直ちに連続鋳造(鋳片サイズ:300mm×430mm)又は造塊(サイズ:8トン)によって鋳造した。次いで分塊圧延によって155mm×155mm×10mとした後、熱間圧延によって直径9.5mmの線材を得た。なお取鍋では、No.3〜5の例でのみSi又はAlを添加しており、それ以外の例ではSi及びAlの添加は行わなかった。線材は引き抜き加工して、直径8mm×長さ3mの磨棒材とした。
【0028】
得られた磨棒材の特性は、以下のようにして調べた。
[表面疵]
溶製1チャージ分から得られる全ての磨棒材について、表面の疵の有無を調べた。深さ0.2mm以上の疵があるものを不良品とし、下記基準で評価した。
○:不良品発生率5%以下
×:不良品発生率5%超
[MnSサイズ]
磨棒材を圧延方向に切断し、断面の光学顕微鏡画像(倍率30倍)を固体素子カメラに受像した。画像解析によってそれぞれのMnSの面積を測定し、幅が1μmを超えるものについてその平均値を算出し、下記基準に従って評価した。
○:MnSの面積(平均)が10μm2以上である
×:MnSの面積(平均)が10μm2未満である
[被削性]
線材を輪切りして3000個の試験材を作製し、この試験材を軸回りに回転させながらフォーミングバイト(ハイス SKH4A)を試験材の半径方向に送ることによって溝を形成する切削(切削速度90m/分、送り量0.03mm/rev、切り込み量:1.0mm)を行い、溝底部の仕上げ面粗さ(平均)と切屑処理性(平均)を調べた。
【0029】
試験材の仕上げ面粗さ及び切屑処理性は、同様の切削試験を株式会社神戸製鋼所製のPb複合快削鋼「12L14A」(成分規格:C:0.15%以下、Mn:0.85〜1.15、P:004〜0.09、S:0.28〜0.35、Pb:0.20〜0.35)に対して行い、このPb複合快削鋼「12L14A」の仕上げ面粗さ(十点平均粗さRzは10〜15μm2であった)及び切屑処理性の結果と比較することによって評価した。
○:「12L14A」と同等以上である
×:「12L14A」よりも劣る
結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
Figure 0004034700
【0031】
表1から明らかなように、Sが少なすぎる場合、Pb複合快削鋼に匹敵するような切屑処理性が得られない(No.1)。またSを多くしても、Mn/S比が小さいと表面疵が発生する(No.2)。さらにSを多くしてMn/S比も大きくしても、取鍋でのフリー酸素が少なくなっていると、MnSサイズが小さくなるため、Pb複合快削鋼に匹敵するような仕上げ面粗さが得られない(No.3〜5)。なおNo.2は鋼中のSi量が少なくなっているが、これは脱酸剤として添加したSiがスラグ(SiO2)として十分に除去されているためである。さらにNが少なすぎる場合にもPb複合快削鋼に匹敵するような仕上げ面粗さが得られない(No.6)。
【0032】
これらに対して化学成分を適切とし、かつ取鍋でのフリー酸素を十分に確保した場合には、MnSサイズを大きくできるため、表面疵を発生させることなくPb複合快削鋼に匹敵するような被削性(切屑処理性、仕上げ面粗さ)を達成できる(No.7〜17)。特に造塊法によって製造すると、連続鋳造法による場合よりも仕上げ面粗さを高めることができる(No.18)。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば被削性(特に切屑処理性)を高めた高S快削鋼において、Mn/S比が高められているために表面疵が抑制されている。さらにはMn/S比を高めると溶鋼中のフリー酸素濃度が下がって仕上げ面粗さが悪化し易くなるにも拘わらず、本発明では脱酸工程を工夫することによって溶鋼中のフリー酸素濃度の低減を抑制してMnS介在物を大きくしているため、仕上げ面粗さも改善できる。そのため表面疵の発生防止、仕上げ面粗さ(及び切屑処理性)の点でPb快削鋼に匹敵するPbフリー快削鋼を得ることができる。

Claims (5)

  1. C :0.01〜0.25%(質量%の意。以下、同じ)、
    Si:0.01%以下(0%を含まない)、
    Mn:1.3〜3.0%
    P :0.2%以下(0%を含まない)、
    S :0.38〜0.8%、
    Al:0.01%以下(0%を含まない)、
    N :0.007%以上0.02%以下
    O :0.008%以上0.03%以下を含有し、
    残部がFe及び不可避的不純物からなり、
    Mn/S比(質量比)が3.5以上である高S快削鋼の製造方法において、
    鋳造直前の溶鋼のフリー酸素濃度を0.004%以上0.01%以下にすることを特徴とする被削性に優れた高S快削鋼の製造方法。
  2. 脱酸剤としてのSi及びAlを添加しない請求項1に記載の高S快削鋼の製造方法。
  3. 連続鋳造法又は造塊法によって製造する請求項1又は2のいずれかに記載の高S快削鋼の製造方法。
  4. 脱酸剤としてのSi及びAlを添加せずに製造された鋼であって、
    C :0.01〜0.25%、
    Si:0.01%以下(0%を含まない)、
    Mn:1.3〜3.0%
    P :0.2%以下(0%を含まない)、
    S :0.38〜0.8%、
    Al:0.01%以下(0%を含まない)、
    N :0.007%以上0.02%以下
    O :0.008%以上0.03%以下を含有し、
    残部がFe及び不可避的不純物からなり、
    Mn/S比(質量比)が3.5以上であり、
    圧延方向の断面において、幅が1μmを超えるMnSの平均面積が10μm以上であることを特徴とする被削性に優れた高S快削鋼。
  5. 請求項4に記載の高S快削鋼を切削することによって得られる鋼部品。
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