JP4026002B2 - 分析装置および分析方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体粒子を内部に収納する反応室を有する流路を複数備えた分析装置、及び該分析装置を用いる分析方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、分析化学の分野では、マイクロ化技術(Micro Electro−Mechanical System、以下本明細書では、MEMSと記載する。)の研究が急速に進歩しており、分析計のマイクロ化(μ−TAS;Micro Total Analytical System,あるいはLab ona chipなどと呼ばれている。)の動きがタンパク質、遺伝子、生化学などの分析分野に波及し、研究が進められている。
【0003】
免疫反応、酵素反応等を行うバイオMEMS分析装置として、例えば、固体微粒子を反応固相としてマイクロチップを用いて分析する試みが報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。この方法によると、反応固相としてビーズのような固体粒子を導入することにより、抗体を固定する表面積を大きくし、より高感度の分析が可能となっている。
【0004】
【非特許文献1】
「BioMEMSを利用した煙道中のダイオキシン測定システムの開発、成果報告書(初年度)」、新エネルギー・産業技術総合開発機構、平成14年3月
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、非特許文献1に記載された分析装置では、1試料ずつの測定について記載されており、複数の試料を同時に測定するための特段の工夫はなされていない。従って、測定時間が10分〜1時間を要するバイオ分析では、複数試料の分析に処理時間がかかる問題があった。また、標準物質と測定対象試料との比較において各濃度の試料溶液の測定時刻が異なるため信頼性が低くなる可能性があった。また、バイオ分析では、測定の信頼性を向上させるため、測定対象試料をもとに希釈率の異なる複数の試料溶液を準備し、それらの希釈率に対する分析値から測定試料の分析結果を算出する手法をしばしば用いるが、この場合も、従来の分析装置による分析では測定に時間を要し、かつ各濃度の試料溶液の測定時刻が異なるため、測定の条件を均一化することが難しく、信頼性が低くなる可能性があった。
【0006】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、複数試料等の測定を容易にかつ効率的に行うことができる分析装置、および該分析装置を用いる分析方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、固体粒子を収納する反応室と、反応室から流出した溶液を光分析するための検出部とが設けられた流路を複数並列して備え、各検出部を光分析するための検出手段を設けることによって、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第一の発明は、固体粒子を収納する反応室と、該反応室の上流側の試料液導入部と、該反応室の下流側の検出部と、前記反応室と前記試料液導入部との間に形成された上流側堰部と、前記反応室と前記検出部との間に形成された下流側堰部とを有する流路を複数備える分析装置であって、前記複数の流路の上流側堰部および下流側堰部は、各々前記固体粒子を堰き止めかつ液体を通過させるための堰部であり、かつ、前記複数の流路の検出部は、各々光ファイバが接続される第1検出部と、CCDカメラにより撮影される第2検出部とを有し、前記第1検出部は、光ファイバを各々に接続可能とする距離以上に互いに離間して並列して形成されており、前記第2検出部は、CCDカメラによる撮影を可能とする距離以内に互いに近接して並列して形成されていることを特徴とする分析装置である。
【0009】
第1の発明において、前記複数の流路の上流側堰部および下流側堰部は、各々前記固体粒子の粒子径より狭い幅でかつ前記反応室の深さと略同一の深さで流れ方向に形成されたスリット状の堰部であることが好ましい。
【0010】
第1の発明の分析装置は、レーザー光源および検出器と、該レーザー光源および検出器と前記複数の流路の各検出部とを連絡する光ファイバとを備えてもよい。また、レーザー光源と、該レーザー光源からのレーザー光をスキャンして前記複数の流路の各検出部に分散させるためのポリゴンミラーと、前記検出部を撮影するCCDカメラとを備えてもよい。また、レーザー光源と、該レーザー光源からのレーザー光を前記複数の流路の各検出部に分散させるためのシリンドリカルレンズと、前記検出部を撮影するCCDカメラとを備えてもよい。
【0012】
本発明の第一の発明の分析装置は、固体粒子を収納する反応室と、前記固体粒子を堰き止めかつ液体を通過させるための上流側堰部および下流側堰部が設けられている。これにより、固体粒子が反応室から流出することを防ぎ、固体粒子を反応固相として用いる反応を効率的に行うことができる。また、前記複数の流路の上流側堰部および下流側堰部を、各々前記固体粒子の粒子径より狭い幅でかつ前記反応室の深さと略同一の深さで流れ方向に形成されたスリット状の堰部とすることにより、試料液等が反応室の底面に滞留することを防ぐことができる。さらに、このような堰部は、表面からの加工により容易に製造できるため好ましい。
【0013】
本発明の第二の発明は、前記分析装置を用いる分析方法であって、前記固体粒子に、試料液中の測定対象成分又はこれを複合化した複合体を固定化し、該固定化した測定対象成分又は複合体と発色試薬液とを反応させ、これにより発色した該発色試薬液を、並列する複数の検出部において光分析することを特徴とする分析方法である。
第二発明の分析方法によると、複数試料等の分析を容易にかつ短時間で効率的に行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。なお、この実施形態は本発明の要旨を説明するためのものであり、特に限定のない限り本発明を限定するものではない。
【0015】
図1〜2は、本発明にかかる分析装置に含まれるマイクロチップの一実施形態を示したもので、図1は基板部の平面模式図、図2は蓋部の平面模式図である。本実施形態のマイクロチップ1は、略平面板状の基板2に蓋3が積層され、これらが陽極接合により一体化されて概略構成されており、全体の形状は略板状となっている。
【0016】
基板2としては、シリコン製や石英ガラスの平板が用いられ、好ましくはシリコン基板が用いられる。
蓋3の素材としては、パイレックス(登録商標)ガラスや、石英ガラスが用いられ、好ましくは、パイレックスガラスが用いられる。
ここで、基板2としてシリコン基材、蓋としてパイレックスガラスを用いる組み合わせが、陽極接合により容易に一体化できるため好ましい。
【0017】
基板2には、エッチング加工が施され、複数の線状の溝が形成されている。すなわち、図1に示すように、断面矩形の細線状の溝4本が並列して形成され、流路10、20、30、40となっている。
流路10は、上流側から順に、試料液導入部11、上流側堰部12、反応室13、下流側堰部14、第一検出部15、第二検出部16、試料液流出部17を有している。
反応室13は、断面矩形の溝が直線状に形成されて、多数の固体粒子Pが収納されるようになっている。反応室13の上流側および下流側には、上流側堰部12および下流側堰部14が設けられている。上流側堰部12および下流側堰部14には、流れ方向に沿って、深さが反応室13の深さと略同一で、各幅が固体粒子Pの直径より細幅である断面矩形のスリットが、反応室13の幅側全体に略均等に多数形成されている。下流側堰部14の下流側には、光ファイバによる分析を行う部位となる第一検出部15と、CCDカメラによる分析を行う部位となる第二検出部16とが設けられている。
流路20,30,および40についても、流路10と同様に、上流側から順に、試料液導入部21,31,41、上流側堰部22、32、42、反応室23、33,43、下流側堰部24、34,44、第一検出部25、35、43、第二検出部26、36,46、および試料液流出部27,37,47が設けられている。
【0018】
また、流路10、20、30、40の各反応室13,23,33,43の上流側には、断面矩形の細線状の溝である固体粒子流路50が形成されている。この固体粒子流路50は、上流側は1本の流路50aからなっており、次いで下流に向けて2本に枝分かれした流路50b,50c、さらに最下流側は、流路50b,50cのそれぞれが2本ずつに枝分かれした流路50d,50e,50f,50gからなっている。そして、流路50d,50e,50f,50gの末端は、それぞれ反応室13,23,33,43の上流端13a,23a,33a,43aに接続されている。
【0019】
次に、図2に示すように、蓋3には、表面から裏面に貫通する孔11b,15b,17b,21b,25b,27b,31b,35b,37b,41b,45b,47b,51b,および52bの14個の孔が形成されている。孔11bは基板2の試料液導入部11の上流端の接続部11aと、孔15bは流路10の第一検出部15の略中央部の接続部15aと、孔17bは試料液流出部17の下流端の接続部17aと、それぞれ連通している。同様にして、孔21b,25b,27bは基板2の接続部21a,25a,27aと、孔31b,35b,37bは基板2の接続部31a,35a,37aと、孔41b,45b,47bは基板2の接続部41a,45a,47aと、孔51b,52bは基板2の接続部51a,52aと、それぞれ連通している。
【0020】
蓋3の孔11bの上には、配管接続用のグラスファイバーチューブジョイント11cが接着されて、流路10の上流端11aに連通した液体導入路が形成されている。同様にして、孔21b,31b,41bの上にもグラスファイバーチューブジョイント21c,31c,41cがそれぞれ接着されて、液体導入路が形成されている。また、同様に、孔17b,27b,37b,47bの上にもグラスファイバーチューブジョイント17c,27c,37c,47cがそれぞれ接着されて、液体排出路が形成されている。さらに、同様に孔51b,52bの上にもグラスファイバーチューブジョイント51c,52cがそれぞれ接着されて、固体粒子導入排出路が形成されている。
そして、蓋3の孔15bの上には、光ファイバ接続用のプラスチックホルダ15cが接着されて、流路10の第一検出部15に光ファイバが接続されるようになっている。同様にして、孔25b,35b,45bの上にもプラスチックホルダ25c,35c,45cがそれぞれ接着されて、各々光ファイバが接続接続されるようになっている。
【0021】
さらに、本実施形態の分析装置には、上述のマイクロチップ1の各流路の第一検出部および第二検出部を分析するための手段が設けられている。
すなわち、第一検出部15,25,35,45には、光ファイバが接続されており、各光ファイバはジョイントを介して図示しないレーザー光源および検出器に接続されている。
また、図3に示すように、第二検出部16,26,36,46の上部にはポリゴンミラー70が設置されており、別途設けられているレーザー光源60からの光をスキャンさせるようになっている。また、第二検出部16,26,36,46を撮影するためのCCDカメラ80が設置されている。なお、ポリゴンミラー70の代わりにシリンドリカルレンズを設置し、レーザー光源60からの光を第二検出部16,26,36,46に分散させてもよい。
【0022】
本実施形態のマイクロチップ1において、基板2の厚さは、好ましくは、200〜1000μm、さらに、400〜500μm程度が好ましい。蓋3の厚さは、好ましくは、200〜1000μm、さらに、400〜500μm程度が好ましい。
また、反応室13,23,33,43及び第一検出部15,25,35,45並びに第二検出部16,26,36,46の幅は、各々好ましくは、50〜2000μm、さらに好ましくは、500〜1000μmである。反応室13,23,33,43及び光ファイバ検出部15a,25a,35a,45a並びに第二検出部16,26,36,46の深さは、好ましくは、10〜500μm、さらに好ましくは、40〜150μmである。上記以外の流路幅は、好ましくは、50〜2000μm、さらに好ましくは、500〜1000μmである。上記範囲より幅及び/又は深さ及び/又は各流路幅が大であると、必要となる試料液及び試薬液の量が多くなり、マイクロ化の効果が少なくなるため好ましくない。また、上記範囲より幅及び/又は深さ及び/又は各流路幅が小であると、収納される固体粒子量が少なくなり、反応固相の表面積が少なくなるため好ましくない。
【0023】
上流側堰部12,22,32,42及び下流側堰部14,24,34,44のスリット幅は、反応固相として用いる固体粒子の直径よりも小さければよく、この構造により固体粒子の流出をせき止めることができる。
上流側堰部12,22,32,42及び下流側堰部14,24,34,44のの長さは、任意であるが、0.5〜5mmが好ましく、さらに、1〜2mmであることが好ましい。
【0024】
流路10,20,30,40の接続部15a,25a,35a,45aを有する位置においては、蓋3上に光ファイバ用のプラスチックホルダ15c,25c,35c,45cが接着できるようにするために、互いに所定の距離以上離間している。この離間距離としては、好ましくは、0.5〜10mm、さらに、1〜5mm程度が好ましい。
また、流路10,20,30,40の第二検出部16,26,36,46の一部は、ポリゴンミラーまたはシリンドリカルレンズによるレーザー光の分散範囲内であって、かつCCDカメラによる撮影範囲内に近接して設けられている。この近接距離としては、好ましくは、0.1〜5mm、さらに、0.2〜2mm程度が好ましい。
【0025】
本実施形態のマイクロチップ1の外形は、例えば、5.8cm×3.8cm×厚さ1・0mmの板状であるが、形状や寸法はこれに限定されず任意であり、この他に、例えば、柔軟なフィルム状(シート状、リボン状などを含む。以下同様)、チューブ状、その他複雑な形状の成型物などであり得る。しかし、成形しやすさの点から、板状であることが好ましい。
【0026】
本発明に用いる固体粒子Pとしては、公知のものを使用することができるが、試料液中の測定対象成分又は測定対象成分を複合化した複合体を固体粒子上に固定化するための試薬が、固体粒子表面にあらかじめコーティングされているものが好ましい。例えば、表面にアビジンのような反応試薬を固定化したものを使用することが好ましい。固体粒子の直径は、好ましくは10〜1000μm、さらに10〜100μmが好ましい。1000μmより大きいと、反応固相としての表面積が不十分となり、10μmより小さいと、固体粒子を堰き止めるための堰部の製造が困難となり、また堰部で十分にせき止めることができす、反応室からビーズが流出してしまうことがあるからである。
【0027】
次に本実施形態の分析装置1の製造方法を説明する。
まず、シリコン製の基板2(例えば、厚さ470μm)に、ICPエッチングにより流路10,20,30,40の試料液導入部11,21,31,41、反応室13,23,33,43、第一検出部15,25,35,45、第二検出部16,26,36,46、試料排出部17,27,37,47、および固体粒子流路50となるべき溝(例えば、幅500μm)を形成する。さらに、ICPエッチングにより、上流側堰部12,22,32,42、下流側堰部14,24,34,44となる部分に、流れ方向に沿って、深さが反応室の深さと同じであるスリットを形成する。
【0028】
一方、基板2と平面形状が同一であるパイレックスガラス製の蓋3(例えば、厚さ500μm)に、表面から裏面に貫通する孔を穿つ加工を施す。すなわち、基板2と蓋3を積層させたときに、流路10,20,30,40の上流端11a,21a,31a,41aそれぞれに相当する位置に孔11b,21b,31b,41bを、それぞれサンドブラストで加工する。また、下流端17a,27a,37a,47aそれぞれに相当する位置に孔17b,27b,37b,47bを穿つ。さらに、固体粒子流路50の流路50aの下流部分にある51aおよび上流端52aそれぞれに相当する位置に孔51b,52bを穿つ。また、第一検出部15a,25a,35a,45aそれぞれに相当する位置に孔15b,25b,35b,45bを穿つ。
次いで、孔11b,21b,31b,41b,17b,27b,37b,47b,51b,52bのそれぞれの上にグラスファイバーチューブジョイント11c,21c,31c,41c,17c,27c,37c,47c,51c,52cを接合する。また、孔15b,25b,35b,45bのそれぞれの上にプラスチックホルダ25c,25c,35c,45cを接合する。
【0029】
最後に、上記のように別々に加工が施された基板2と蓋3を積層させ、陽極接合により一体化させる。これによって、流路10,20,30,40の上流端11a,21a,31a,41aにそれぞれ連通した液体導入路が形成される。また、流路10,20,30,40の下流端17a,27a,37a,47aにそれぞれ連通した液体排出路が形成される。さらに、固体粒子流路50aの下流部分51aおよび50aの上流端52aにそれぞれ連通した固体粒子導入排出路が形成される。また、第一検出部15a,25a,35a,45aにそれぞれ光ファイバを接続することができる。
以上のようにして本実施形態の分析装置に含まれるマイクロチップ1が製造される。
【0030】
次に、本実施形態の分析装置を用いる分析方法を説明する。
本実施形態の分析方法では、固体粒子に、試料液中の測定対象成分又はこれを複合化した複合体を固定化し、該固定化した測定対象成分又は複合体と発色試薬液とを反応させ、これにより発色した該発色試薬液を、並列する複数の検出部において光分析する。
まず、反応固相となる固体粒子Pを、固体粒子導入排出路から導入し、マイクロチップ1内の反応室13,23,33,43に収納する。このとき、反応室13,23,33,43には、それぞれ上流側堰部12,22,32,42および下流側堰部14,24,34,44が設けられているため、固体粒子Pが反応室から流出することを防ぐことができる。
【0031】
次に、試料液、試薬液等を反応室13,23,33,43に導入する。これには、まず、キャリア液を、試料液導入部11,21,31,41を経て連続的にマイクロチップ1内の各流路10,20,30,40に導入する。次いで、試料液を試料液導入部11,21,31,41から導入する。これにより、試料液がキャリア液と共に試料液導入部11,21,31,41から、上流側堰部12,22,32,42を経て、反応室13,23,33,43に導入される。同様にして、試薬液をキャリア液と共に反応室13,23,33,43に導入する。
【0032】
このとき、試料液と試薬液を反応室13,23,33,43に導入する順序は、任意でよいが、試料中の測定対象成分、及びその分析のための反応機構に応じた順序とすることが好ましい。また、予め試料液と試薬液を混合し、試料試薬混合液としてから、反応室13,23,33,43に導入することもできる。試薬液は、試料中の測定対象成分、及びその分析のための反応に応じて選ばれるものであり、1種でもよいし、複数でもよい。
反応室13,23,33,43に導入された試料液及び試薬液は、そのまま反応室13,23,33,43を通過させて試料液流出部17,27,37,47を経て、廃液槽等へ排出してもよいが、反応に一定の時間を要する場合は、所定の時間液体の流出を止めて反応を行うか、キャリア液の流量を調整して反応を行う。
【0033】
試料液と試薬液を順次導入する場合は、各反応が終了するごとに反応室13,23,33,43内を洗浄することが好ましい。洗浄によって、余剰の試料液や試薬液を除くことができ、次段階の反応を阻害することを防ぐと共に、定量性を確保することができるからである。洗浄液としては、純水、リン酸緩衝液、トリス緩衝液等が好ましく用いられるが、純水が特に好ましく用いられる。
【0034】
上述のようにして反応室13,23,33,43に導入された試料液中の測定対象成分は、固体粒子上にあらかじめコーティングされた試薬と反応して、固体粒子上に固定化される。または、固定化された後、続いて試薬液中の試薬と反応し、固体粒子上で複合体が形成される。または、試料液と試薬液が混合された状態で複合体を形成し、この複合体が固体粒子上に固定化される。さらに、最初に試薬液中の試薬が固体粒子上に固定化された後、試料液中の測定対象成分と反応して、固体粒子上に複合体が形成される場合もある。すなわち、試料液中の測定対象成分に適した反応を選択し、該反応に適した試薬を使用することにより、測定対象成分又はこれを複合化した複合体を固体粒子上に固定化するのである。
【0035】
次いで、発色試薬を上記と同様にして反応室13,23,33,43に導入する。導入された発色試薬は、固体粒子上に固定化された測定対象成分又はこれを複合化した複合体と反応して、発色試薬液が発色する。なお、本実施形態では発色試薬を最後に導入したが、測定対象成分によっては、発色試薬を試料液や他の試薬液よりも先に導入してもよい。
以上のようにして、反応室13,23,33,43に収納されている固体粒子上に固定化された測定対象成分又はこれを複合化した複合体と発色試薬とが反応して、発色した試薬液を、下流側堰部14,24,34,44を通過した後、第一検出部15,25,35,45および/または第二検出部16,26,36,46において光分析する。
【0036】
本実施形態の分析装置においては、光分析を行う手段として、光ファイバ、レーザー光源、およびCCDカメラ、ならびにポリゴンミラーまたはシリンドリカルレンズが設置されている。従って、本実施形態の分析装置においては、種々の光分析を行うことができる。
具体的には、例えば、以下のような光分析が挙げられる。
(1)光ファイバにレーザーを導入し、光ファイバにより検出する方法。
(2)光ファイバにレーザーを導入し、CCDカメラにより検出する方法。
(3)レーザー光源の光をポリゴンミラーによりスキャンして、CCDカメラにより検出する方法。
(4)レーザー光源の光をポリゴンミラーによりスキャンして、光ファイバにより検出する方法。
(5)レーザー光源の光をシリンドリカルレンズにより分散して、CCDカメラにより検出する方法。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、本発明の分析装置を用いて分析を行うことにより、複数の試料の分析を容易にかつ効率的に行うことができる。すなわち、複数の並列した流路を有することにより、測定時間を短縮することができる。また、複数の検出部において同時に分析を行うことにより、標準物質と測定試料との分析結果の比較や、濃度の異なる試料の分析等の、データ取得の時間差が生じないため、分析の精度を向上させることができる。
さらに、本発明の分析装置は、上流側堰部および下流側堰部が設けられていることにより、固体粒子が反応室から流出するのを防ぐことができる。また、この上流側堰部および下流側堰部を、深さが反応室と略同一のスリット状の構造のものとすると、試料液、試薬液、洗浄水等の液体が反応室の底面に滞留することを効果的に防ぐことができる。
本発明の分析装置および分析方法は、固体粒子を反応固相とする種々の分析に対応させることができ、特に免疫反応等を用いるバイオアッセイに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる分析装置に用いられるマイクロチップの一実施形態の基板部の平面模式図である。
【図2】 図1に示すマイクロチップの蓋部の平面模式図である。
【図3】 本発明の分析装置における光分析手段の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1・・分析装置
2・・基板、3・・蓋
11、21、31、41・・試料液導入部
12、22、32、42・・上流側堰部
13、23、33、43・・反応室
14、24、34、44・・下流側堰部
15、25、35、45・・第一検出部
16、26、36、46・・第二検出部
17、27、37、47・・試料液流出部
Claims (3)
- 固体粒子を収納する反応室と、該反応室の上流側の試料液導入部と、該反応室の下流側の検出部と、前記反応室と前記試料液導入部との間に形成された上流側堰部と、前記反応室と前記検出部との間に形成された下流側堰部とを有する流路を複数備える分析装置であって、
前記複数の流路の上流側堰部および下流側堰部は、各々前記固体粒子を堰き止めかつ液体を通過させるための堰部であり、
かつ、前記複数の流路の検出部は、各々光ファイバが接続される第1検出部と、CCDカメラにより撮影される第2検出部とを有し、
前記第1検出部は、光ファイバを各々に接続可能とする距離以上に互いに離間して並列して形成されており、前記第2検出部は、CCDカメラによる撮影を可能とする距離以内に互いに近接して並列して形成されていることを特徴とする分析装置。 - 前記複数の流路の上流側堰部および下流側堰部は、各々前記固体粒子の粒子径より狭い幅でかつ前記反応室の深さと略同一の深さで流れ方向に形成されたスリット状の堰部である請求項1に記載の分析装置。
- 請求項1又は2の分析装置を用いる分析方法であって、前記固体粒子に、試料液中の測定対象成分又はこれを複合化した複合体を固定化し、該固定化した測定対象成分又は複合体と発色試薬液とを反応させ、これにより発色した該発色試薬液を、並列する複数の検出部において光分析することを特徴とする分析方法。
Priority Applications (1)
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