[go: up one dir, main page]

JP4024327B2 - 有機el発光装置 - Google Patents

有機el発光装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4024327B2
JP4024327B2 JP19280596A JP19280596A JP4024327B2 JP 4024327 B2 JP4024327 B2 JP 4024327B2 JP 19280596 A JP19280596 A JP 19280596A JP 19280596 A JP19280596 A JP 19280596A JP 4024327 B2 JP4024327 B2 JP 4024327B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic
light emitting
layer
light
emitting device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP19280596A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1022073A (ja
Inventor
一郎 鈴木
暢 栄田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP19280596A priority Critical patent/JP4024327B2/ja
Publication of JPH1022073A publication Critical patent/JPH1022073A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4024327B2 publication Critical patent/JP4024327B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Luminescent Compositions (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機EL発光装置に関する。さらに詳しくは、表示材料一般に好適に用いられる、高輝度,高効率,長寿命の有機EL発光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロルミネッセンス素子(以下EL素子と略記する)は、自発光のため視認性が高く、また完全固体のために耐衝撃性に優れるという特徴を有している。現在、有機、無機化合物を発光層に用いた様々なEL素子が提案され実用化が試みられている。この実用化の一つとしてEL素子を用いた発光装置を挙げることができる。
このような有機EL素子を用いた発光装置の持つ問題点としては、赤色発光素子の低効率,短寿命が挙げられる。赤色発光素子の例としては、青色系〜緑色系発光の無機EL素子と橙系〜赤色系蛍光体とを組み合わせたもの(特開昭−60−220597号公報、特開平02−158091号公報、特開平07−121121号公報)が挙げられる。しかしながら無機EL素子は印加電圧が高く、駆動回路が複雑になるといった問題点があるほか、効率、輝度も不十分である。また、最近赤色系発光有機EL素子が報告されている(特開平07−90254号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記赤色系有機EL素子も、効率の面では必ずしも十分に満足し得るものではなかった。
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、高輝度,高効率および長寿命の有機EL発光装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明によれば、支持基板と、二つの電極との間に、少なくとも発光層を有する有機物層を挟持した有機EL素子と、この有機EL素子からの発光を吸収して、可視光の蛍光を発光する蛍光体層とを備えた有機EL発光装置において、
前記有機EL素子が、緑色系発光をする緑色系発光有機EL素子であり、かつ前記蛍光体層が、橙色系〜赤色系の蛍光を発光するものであるとともに、そのエネルギー変換効率が30%以上であることを特徴とする有機EL発光装置が提供される。
【0005】
また、その好ましい態様として、前記蛍光体層が、吸収波長440nm〜510nmの間にOD(Optical Density )1.0以上の吸収を有するものであり、かつ、緑色蛍光色素を含有することを特徴とする有機EL発光装置が提供される。
【0006】
また、その好ましい態様として、前記緑色系発光有機EL素子の発光層が、金属キレートオキサノイド系化合物および/またはキナクリドン系化合物を発光材料として含有するものであることを特徴とする有機EL発光装置が提供される。
【0007】
また、その好ましい態様として、前記蛍光体層が、ローダミン系、シアニン系、およびピリジン系からなる群から選ばれる一以上の色素を含有するものであることを特徴とする有機EL発光装置が提供される。
【0008】
さらに、その好ましい態様として、前記有機EL発光装置と前記緑色系発光有機EL素子とからなることを特徴とする多色発光装置が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の有機EL発光装置およびその応用例としての多色発光装置の実施の形態を説明する。
本発明の有機EL発光装置としては、緑色系発光有機EL素子の緑色系発光が減衰、散乱されず、効率よく蛍光体層に吸収され、かつ、発光した可視光の蛍光が減衰、、散乱されず外部へ取り出すことができる構成であることが必要である。
この観点からすると、具体的には、図1に示す構成を挙げることができる。すなわち、透明支持基板2の一面上に透明電極1aと電極1cとの間に少なくとも発光層を有する有機物層1bを挟持した緑色系発光有機EL素子1を形成し、かつ透明支持基板2の他面上に、橙色系〜赤色系の蛍光を発光する蛍光体層3を形成し、さらに有機EL素子1の上方をガラス基板4aおよび接着剤4bからなる封止手段4で封止し、間隙5を不活性液体で充填した構成を挙げることができる。
なお、蛍光体による有機EL素子の発光色の変換は、有機EL素子の発光波長よりも長波長の発光色であればよく、以下の赤色、橙色に限定されるものではない。
さらに、図2に示すように、上記構成に加えて、赤色カラーフィルタ6〔R〕、緑色カラーフィルタ6〔G〕または橙色カラーフィルタ6〔O〕と透明支持基板2との間にそれぞれ赤色変換系蛍光体3〔R〕または橙色変換系蛍光体層3〔O〕を配置することにより、それぞれの蛍光体3〔R〕,3〔O〕から発光する赤色光、橙色光を色調整して色純度を高めることができる。
また、図2に示すように、前記蛍光体層3(3〔R〕,3〔O〕)の少なくとも間隙に、ブラックマトリックス7を配置して、有機EL素子1の発光の漏れ光を遮断して多色発光の一層の視認性を高めることもできる。
以下、本発明の有機EL発光装置を各構成ごとに具体的に説明する。
なお、この構成要素に用いられる材料は、必要最小限のものを記載するものであり、これに限定されるものではない。
【0010】
1 有機EL素子
本発明に用いられる有機EL素子としては、青緑色から黄緑色まで発光するものであることが好ましく、この発光を得るためには、たとえば以下の構造を挙げることがでりできる。
基本的には、二つの電極(透明電極(陽極)と電極(陰極))の間に有機物層の発光層を挟持した構造としてこれに応じた階層を介在させればよい。
具体的には、
(1)透明電極(陽極)/発光層/電極(陰極)
(2)透明電極(陽極)/正孔注入層/発光層/電極(陰極)
(3)透明電極(陽極)/発光層/電子注入層/電極(陰極)
(4)透明電極(陽極)/正孔注入層/発光層/電子注入層/電極(陰極)
などを挙げることができる。
【0011】
(1)透明電極(陽極)
陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属,合金,電気伝導性化合物またはこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI,ITO,SnO2 ,ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。
陽極は、これらの電極物質を蒸着法やスパッタリング法等の方法で、薄膜を形成させることにより作製することができる。
このように発光層からの発光を陽極から取り出す場合、陽極の発光に対する透過率が10%より大きくすることが好ましい。また、陽極のシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μm、10〜200nmの範囲が好ましい。
なお、本発明においては、陽極として基板電極を用いているが、基板電極を陰極として用いてもよい。
【0012】
(2)発光層
有機EL素子の発光材料は主に有機化合物であり、具体的には所望の色調により種々の化合物を用いることができる。
本発明の緑色系発光有機EL素子の形成に使用するものとして特に好ましいのは、オキシンのキレート(一般的には、「8−キノリノール」または「8−ヒドロキシキノリン」とも称する)を初めとする金属キレートオキサノイド化合物である。このような化合物は性能が高い。具体的には、容易に薄膜に成膜できる使用できるオキサノイド化合物として、以下の構造式(一般式I)を満足するものを挙げることができる。
【0013】
【化1】
Figure 0004024327
【0014】
(式中、Meは金属を表わし、nは1〜3の整数であり、Zはそれぞれ独立して、少なくとも2個の縮合芳香族環を有する核を完成している原子を示す。)
上記のことか明らかなように金属は一価,二価または三価の金属である。金属は、たとえばリチウム,ナトリウム,カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムもしくはカルシウム等のアルカリ土類金属、またはホウ素もしくはアルミニウム等の金属であることができる。一般的には、有用な金属キレート化合物であることが知られている一価,二価,または三価の金属を用いることができる。Zは、少なくとも2個の縮合芳香族環(少なくとも1個はアゾールまたはアジン環である)を含有する複素環核である。必要におうじて、脂肪族環と縮合芳香族環を含めたさらなる環と縮合できる。機能を向上することなく分子の嵩が増加するのをを避けるために、環原子の数は18以下に維持することが好ましい。
以下、有用なキレート化オキサノイド化合物を列挙する。
CO−1 アルミニウムトリソキシン
[トリス(8−キノリノール)アルミニウムとも称される]
CO−2 マグネシウムビオキシン
[ビス(8−キノリノール)マグネシウムとも称される]
CO−3 ビス[ベンゾ{f}−8−キノリノール]亜鉛
CO−4 アルミニウムトリス[5−メチルオキシン]
[トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウムとも称される]
CO−5 インジウムトリソキシン
[トリス(8−キノリノール)インジウムとも称される]
CO−6 リチウムオキシン
[8−キノリノールリチウムとも称される]
CO−7 ガリウムトリス(5−クロロオキシン)
[トリス(5−クロロ−8−キノリノール)ガリウムとも称される]
CO−8 カルシウムビス(5−クロロオキシン)
[ビス(5−クロロ−8−キノリノール)カルシウムとも称される]
CO−9 ポリ[亜鉛(II)−ビス(8−ヒドロキシ−5−キノリニル)メタン]
なおこれらの金属キレートオキサノイド化合物は、単独で発光材料として用いてもよいが、発光効率、発光の色純度を高めるために他の有機化合物と混合して用いることもできる。具体的な例として、特開平05−70773号公報記載のキナクリドン化合物(一般式II)またはキナゾリン化合物(一般式III) を[化2]に示す。
【0015】
【化2】
Figure 0004024327
【0016】
【化3】
Figure 0004024327
【0017】
以下、有用な四つのキナクリドン化合物を[化4]に、また一つのキナゾリン化合物を[化5]にそれぞれ具体的に示す。
【0018】
【化4】
Figure 0004024327
【0019】
【化5】
Figure 0004024327
【0020】
上記前記材料を用いて、発光層を形成する方法としては、例えば蒸着法,スピンコート法,LB法等の公知の方法を適用することができる。発光層は、特に分子堆積膜であることが好ましい。ここで分子堆積膜とは、気相状態の材料化合物から沈着され形成された薄膜や、溶液状態または液相状態の材料化合物から固体化され形成された膜のことであり、通常この分子堆積膜は、LB法により形成された薄膜(分子累積膜)とは凝集構造、高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区分することができる。
また、特開昭57−51781号公報に開示されているように、樹脂等の結着剤と材料化合物とを溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法等により薄膜化することによっても、発光層を形成することができる。
このようにして、形成される発光層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるた、通常5nm〜5μmの範囲が好ましい。
有機EL素子の発光層は以下の機能を併せ持つものである。すなわち、▲1▼注入機能;電界印加時に陽極または正孔注入層より正孔を注入することができ、陰極または電子注入層より電子を注入することができる機能、▲2▼輸送機能;注入した電荷(電子と正孔)を電解の力で移動させる機能、▲3▼発光機能;電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能、がある。但し、正孔の注入されやすさと電子の注入されやすさに違いがあってもよく、また正孔と電子の移動度であらわされる輸送能に大小があてもよいが、どちらか一方の電荷を移動することが好ましい。
【0021】
(3)正孔注入層
必要に応じて設けられる正孔注入層の材料としては、従来より光伝導材料の正孔注入材料として慣用されているものや有機EL素子の正孔注入層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。正孔注入層の材料は、正孔の注入、電子の障壁性のいづれかを有するものであり、有機物あるいは無機物のどちらでもよい。
【0022】
具体例としては、例えば
トリアゾール誘導体(米国特許3,112,197号明細書等参照)、
オキサジアゾール誘導体(米国特許3,189,447号明細書等参照)、
イミダゾール誘導体(特公昭37−16096号公報等参照)、
ポリアリールアルカン誘導体(米国特許3,615,402号明細書、同第3,820,989号明細書、同第3,542,544号明細書、特公昭45−555号公報、同51−10983号公報、特開昭51−93224号公報、同55−17105号公報、同56−4148号公報、同55−108667号公報、同55−156953号公報、同56−36656号公報等参照)、
ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体(米国特許第3,180,729号明細書、同第4,278,746号明細書、特開昭55−88064号公報、同55−88065号公報、同49−105537号公報、同55−51086号公報、同56−80051号公報、同56−88141号公報、同57−45545号公報、同54−112637号公報、同55−74546号公報等参照)、
フェニレンジアミン誘導体(米国特許第3,615,404号明細書、特公昭51−10105号公報、同46−3712号公報、同47−25336号公報、特開昭54−53435号公報、同54−110536号公報、同54−119925号公報等参照)、
アリールアミン誘導体(米国特許第3,567,450号明細書、同第3,180,703号明細書、同第3,240,597号明細書、同第3,658,520号明細書、同第4,232,103号明細書、同第4,175,961号明細書、同第4,012,376号明細書、特公昭49−35702号公報、同39−27577号公報、特開昭55−144250号公報、同56−119132号公報、同56−22437号公報、西独特許第1,110,518号明細書等参照)、
アミノ置換カルコン誘導体(米国特許第3,526,501号明細書等参照)、
オキサゾール誘導体(米国特許第3,257,203号明細書等に開示のもの)、スチリルアントラセン誘導体(特開昭56−46234号公報等参照)、
フルオレノン誘導体(特開昭54−110837号公報等参照)、
ヒドラゾン誘導体(米国特許第3,717,462号明細書、特開昭54−59143号公報、同55−52063号公報、同55−52064号公報、同55−46760号公報、同55−85495号公報、同57−11350号公報、同57−148749号公報、特開平2−311591号公報等参照)、
スチルベン誘導体(特開昭61−210363号公報、同61−228451号公報、同61−14642号公報、同61−72255号公報、同62−47646号公報、同62−36674号公報、同62−10652号公報、同62−30255号公報、同60−93445号公報、同60−94462号公報、同60−174749号公報、同60−175052号公報等参照)、
シラザン誘導体(米国特許第4,950,950号明細書)、
ポリシラン系(特開平2−204996号公報)、
アニリン系共重合体(特開平2−282263号公報)、
特開平1−211399号公報に開示されている導電性高分子オリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)等を挙げることができる。
【0023】
正孔注入層の材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物(特開昭63−2956965号公報等に開示のもの)、芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物(米国特許第4,127,412号明細書、特開昭53−27033号公報、同54−58445号公報、同54−149634号公報、同54−64299号公報、同55−79450号公報、同55−144250号公報、同56−119132号公報、同61−295558号公報、同61−98353号公報、同63−295695号公報等参照)、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
【0024】
上記ポルフィリン化合物の代表例としては、
ポルフィン、
1,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン銅(II)、1,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン亜鉛(II)、
5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−21H,23H−ポルフィン、
シリコンフタロシアニンオキシド、
アルミニウムフタロシアニンクロリド、
フタロシアニン(無金属)、
ジリチウムフタロシアニン、
銅テトラメチルフタロシアニン、
銅フタロシアニン、
クロムフタロシアニン、
亜鉛フタロシアニン、
鉛フタロシアニン、
チタニウムフタロシアニンオキシド、
Mgフタロシアニン、
銅オクタメチルフタロシアニン
等を挙げることができる。
【0025】
また、前記芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物の代表例としては、
N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル、
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(以下TPDと略記する)、
2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、
1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、
N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノフェニル、
1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、
N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、
N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニルエーテル、
4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、
N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、
4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−[4(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、
4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、
3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、
N−フェニルカルバゾール、
米国特許第5,061,569号に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有する、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下NPDと略記する)、また、特開平4−308688号公報で記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4''−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(以下MTDATAと略記する)等を挙げることができる。
また、発光層の材料として示した前述の芳香族ジメチリディン系化合物p型−Si,p型SiC等の無機化合物も正孔注入層の材料として使用することができる。
正孔注入層は、上述した化合物を、例えば真空蒸着法,スピンコート法,キャスト法,LB法等の公知の方法により薄膜化することにより形成することができる。正孔注入層としての膜厚は、特に制限されないが、通常は5nm〜5μmである。この正孔注入層は、上述した材料の1種類または2種類以上からなる一層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる複数構造であってもよい。
【0026】
(4)電子注入層
必要に応じて設けられる電子注入層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
具体例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、特開昭57−149259号公報、同58−55450号公報、同63−104061号公報等に開示されているアントラキノジメタン誘導体、Polymer Preprints, Japan Vol.37. No.3(1988) p.681 等に記載されているジフェニルキノン誘導体,チオピランジオキシド誘導体,ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、Japanese Journal of Applied Physics, 27, L269(1988)、特開昭60−696657号公報、 同61−143764号公報、 同61−148159号公報等に開示されているフレオレニリデンメタン誘導体、特開昭61−225151号公報、同61−233750号公報等に開示されているアントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、Appl. Phys. Lett., 55, 15. 1489 や前述の第38回応用物理学関係連合会で浜田らによって開示されたオキサジアゾール誘導体、特開昭59−194393号公報に開示されている一連の電子伝達性化合物が挙げられる。なお、特開昭59−194393号方法では前記電子伝達性化合物を発光層の材料として開示しているが、本発明者の検討によれば、電子注入層の材料としても用いることができることが明らかとなった。
また、上記オキサジアゾール環の酸素原子とイオウ原子に置換したチアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有したキノキサリン誘導体を挙げることができる。また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、具体的には、
トリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下Alqと略記する)、
トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、
トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、
ビス(8−キノリノール)亜鉛(以下Znqと略記する)、
これらの金属錯体の中心金属が、In,Mg,Cu,Ca,Sn,GaまたはPbに置き代わった金属錯体も電子注入層の材料として用いることができる。
その他に、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基,スルホン酸基等で置換されているものも好ましい。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子注入材料として用いることができる。また、正孔注入層と同様に、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も用いることができる。
電子注入層は、上述した化合物を、例えば真空蒸着法,スピンコート法,キャスト法,LB法の公知の方法により薄膜化することにより形成することができる。電子注入層としての膜厚は、特に制限されないが、通常は5nm〜5μmである。この電子注入層は上述した材料の1種類または2種類以上からなる一層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる複数構造であってもよい。
【0027】
(5)電極(陰極)
陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(これを電子注入性金属と称する),合金電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23 )、インジウム、リチウム/アルミニウム、希土類金属などが挙げられる。好ましくは、電子注入性および電極としての酸化等に対する耐久性を考えると、電子注入性金属とこれにより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物が挙げられる。例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23 )、リチウム/アルミニウムなどを挙げることができる。
この陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。
有機EL素子を発光体とする多色発光装置では、通常、陽極のパターンラインに対して垂直の陰極パターンラインを形成する。陰極は、通常発光層等の有機化合物の薄膜上に形成するため、ウェットエッチングを行なうフォトリソグラフィー法では有機化合物の劣化が激しく、安定性がない。従って、通常は、上記材料の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介して陰極のパターンを形成する。
ここで、陰電極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、このEL素子においては、該陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であることが、発光を透過するため、発光の取り出し効率がよく好都合である。
【0028】
(6)有機EL素子の作製(例)
以上例示した材料および方法により発光層、陽極、必要に応じて正孔注入層、および必要に応じて電子注入層を形成し、さらに陰極を形成することにより、有機EL素子を作製することができる。
以下に基板上に陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極が順次設けられた構成の有機EL素子の作製例を記載する。
まず、適当な基板上に、陽極材料からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように蒸着やスパッタリング等の方法により形成して、陽極を作製する。次に、この陽極上に正孔注入層を設ける。正孔注入層の形成は、前述したように真空蒸着法,スピンコート法,キャスト法,LB法等の方法により行なうことができるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが発生しにくい等の点から、真空蒸着法により形成することが好ましい。真空蒸着法により正孔注入層を形成する場合、その蒸着条件は、使用する化合物(正孔注入層の材料)、目的とする正孔注入層の結晶構造や再結合構造等により異なるが、一般に蒸着源温度50〜450℃、真空度10-7〜10-3torr、蒸着速度0.01〜50nm/sec、基板温度−50〜300℃、膜厚5nm〜5μmの範囲で適宜選択することが好ましい。
次に正孔注入層上に発光層を設ける発光層の形成も、所望の有機発光材料を用いて、真空蒸着法,スパッタリング,スピンコート法,キャスト法等の方法により有機発光材料を薄膜化することにより形成できるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法により形成することが好ましい。真空蒸着法により発光層を形成する場合、その蒸着条件は、使用する化合物により異なるが、一般的に正孔注入層と同じ様な条件範囲の中から選択することができる。
次に、この発光層上に電子注入層を設ける。正孔注入層、発光層と同様、均質な膜を得る必要から真空蒸着法により形成することが好ましい。蒸着条件は、正孔注入層、発光層と同様条件範囲から選択することができる。
【0029】
最後に、陰極を積層して有機EL素子を得ることができる。
陰極は、金属から構成されるもので、蒸着法,スパッタリングを用いることができる。しかし、下地の有機物層を成膜時の損傷から守るためには、真空蒸着法が好ましい。
これまで記載してきた有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して陽極から陰極まで作製することが好ましい。
なお、有機EL素子に直流電圧を印加する場合、陽極を+、陰極を−の極性にして、5〜40Vの電圧を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れず、発光は全く生じない。さらに交流電圧を印加した場合には、陽極が+、陰極が−の極性になったときのみ均一な発光が観測される。印加する交流の波形は任意でよい。
【0030】
2 透明支持基板
本発明に用いられる透明支持基板としては、たとえば、ガラス板、プラスチック板(ポリカーポーネイト、アクリル等)、プラスチックフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフィド等)、石英板等の透明な(可視光透過率50%以上)材料であることが好ましい。また、板厚としては、この上に積層する薄厚ガラス板にそり、ゆがみを生じさせることがなく、補強できる程度の支持基板であるならば、特に制限はない。
【0031】
3 蛍光体層
(1)蛍光体層
本発明に用いられる蛍光体層としては、例えば、蛍光色素およびバインダー樹脂、または蛍光色素からなり、蛍光色素または顔料を樹脂中に溶解または分散させた固体状態のものを挙げることができる。
▲1▼蛍光色素
橙色〜赤色の発光に変換する色素については、例えば、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン110等のローダミン系色素、他にオキサジン系色素、シアニン系色素、ピリジン系色素等を挙げることができる。
しかし、これらの色素は510nmよりも短波長側に強い吸収を持たないため緑色系発光有機EL素子の発光の短波長成分を完全に吸収することができない。そのため橙色〜赤色系発光への変換効率は低いものとなる。本発明では、この問題点を解決するために440nm〜510nmにモル吸光係数が1×104 〜1×105 の吸収を持つ緑色系蛍光色素を上記の橙色〜赤色系蛍光色素と混合して440nm〜510nmにOD1.0以上の吸収を持つ蛍光体層を用いた。ODとモル吸光係数の関係は以下の式で表わされる。
OD=モル吸光係数(mol-1lcm-1)×濃度(mol/l)×光路長(cm)
ここで濃度は、緑色系蛍光色素の蛍光体層中での濃度を示し、光路長は蛍光体層の膜厚を表わす。濃度としては、0.01mol/l〜0.1mol/lの範囲が好ましく、膜厚としては、1μm〜100μmの範囲が好ましい。ここで緑色系蛍光色素の役割は、有機EL素子の発光を吸収し、それをエネルギー移動、吸収再発光などの経路により効率よく橙色〜赤色系蛍光色素に伝達することである。
440nm〜510nmにモル吸光係数が1×104 mol-1lcm-1〜1×105 mol-1lcm-1の吸収を持つ緑色系蛍光色素としては代表例としてクマリン系色素を挙げることができる。具体的には、クマリン314、クマリン510、、クマリン30、クマリン334、クマリン7、クマリン6等を挙げることができる。この他にもナフタルイミド系色素なども用いることができる。
また、緑色系色素、橙色系色素、赤色系色素はあらかじめ、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等で顔料化したものを用いてもよい。
なお、これらの色素は、単独または二種以上を混ぜたものであってもよいが、緑色系有機発光素子からの発光を完全に吸収するためには440nm〜510nmにモル吸光係数が1×104 mol-1lcm-1〜1×105 mol-1lcm-1の吸収を持つ色素を最低一種混合する必要がある。
なお、エネルギー変換効率とは、蛍光体層に入射した緑色系発光のエネルギー(Win)と蛍光体層からの発光エネルギー(Wout )の比を意味し、以下の式で表わすことができる。
エネルギー変換効率=Wout /Win
エネルギー変換効率は、蛍光体層が緑色系発光を吸収する能力と赤色系蛍光を発光する能力の積である。すなわち、赤色蛍光色素が同じ場合、緑色系発光有機EL素子の発光を吸収する能力の差がエネルギー変換効率の差となる。
本発明の緑色系蛍光色素を加えた蛍光体層は、緑色系蛍光色素を加えてない蛍光体層に比べ、はるかに変換効率が高くなった。このことは、明らかに緑色系蛍光色素を加えることにより、蛍光体層の緑色系有機EL素子の発光を吸収する能力が向上したことを示している。
【0032】
▲2▼バインダー樹脂
一方、バインダー樹脂は、透明な(可視光50%以上)材料が好ましい。たとえば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の透明樹脂(高分子)が挙げられる。
【0033】
なお、蛍光体層を平面的に分離配置するために、フォトリソグラフィー法が適用できる感光性樹脂も選ばれる。たとえば、アクリル酸系、メタクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト材料が挙げられる。また、印刷法を用いる場合には、透明な樹脂を用いた印刷インキ(メジウム)が選ばれる。たとえば、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂のモノマー、オリゴマー、ポリマーからなる組成物、また、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の透明樹脂を用いることができる。
【0034】
蛍光体層が主に色素からなる場合は、所望のカラーフィルタパターンのマスクを介して真空蒸着またはスパッタリング法で成膜され、一方、色素とバインダー樹脂からなる場合は、蛍光色素と上記樹脂およびレジストを混合、分散または可溶化させ、スピンコート、ロールコート、キャスト法等の方法で製膜し、フォトリソグラフィー法で所望のカラーフィルタパターンでパターニングしたり、印刷等の方法で所望のカラーフィルターのパターンでパターニングし、熱処理して硬化させるのが一般的である。
【0035】
4 封止手段
本発明に用いられる封止手段としては特に制限はなく、たとえば図1に示すように、ガラス基板4aと通常の接着剤4bによるものを挙げることができる。
この接着剤としては、具体的には、アクリレート系オリゴマー,メタクリレール系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化および熱硬化型接着剤、2−シアノアクリレートなどの湿気硬化型等のものを挙げることができる。また、エポキシ系などの熱および化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。
封止部分への接着剤の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
塗布後の光硬化について、可視光の場合はよいが、紫外線では、有機EL素子が劣化する場合がある。よって、紫外線照射時は、有機EL素子に照射されないようなマスキング等の方法が有効である。
【0036】
5 間隙
本発明において、図1に示すように、前記透明支持基板2および封止手段4と有機EL素子1との間に設けられる間隙は、有機EL素子への衝撃または応力を緩和するために用いられる。有機EL素子上に直接、封止手段の材料をベタ塗りすると、その材料の硬化時の応力により素子が破壊されやすい。
また、間隙には、空気だけでは素子が酸化される恐れがあるので、窒素,アルゴン等の不活性ガスや、フッ化炭化水素のような不活性液体を封入することが好ましい。
【0037】
6 ブラックマトリックス
本発明に用いられるブラックマトリックスとしては、たとえば、下記の金属および金属酸化物薄膜、並びに黒色色素を挙げることができる。
金属および金属酸化物薄膜の具体例としては、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等の金属およびその酸化物の薄膜を挙げることができる。
上記金属および金属酸化物の混合物としては、光学濃度3.0以上(膜厚100〜3000オングストローム)のものが好ましい。
【0038】
黒色色素の具体例としては、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラックまたはカラーフィルタの色素を混合して、黒色化したもの、またはカラーフィルタと同じように上記色素をバインダー樹脂中に溶解または分散させた固体状態のものを挙げることができる。
【0039】
金属および金属酸化物薄膜は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等により絶縁性基板全面か、マスキングの手法により少なくとも表示部全面に成膜後、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行って、ブラックマトリックスのパターンを形成することができる。
7 カラーフィルタ
本発明に用いられるカラーフィルタとしては、緑色系〜赤色系発光から色純度の高い緑色, 橙色または赤色の発光を取り出す機能を有するものであれば特に制限はなく、たとえば透明樹脂に顔料を分散したものを挙げることができる。
ここで、透明樹脂としては、ポリメチルメタクリレート,ポリカーボネート,ポリビニルアルコール,ポリアクリレートなどを挙げることができる。
緑色の発光を取り出す場合に用いる顔料としては、緑色顔料であり、フタロシアニン系,ハロゲン系フタロシアニンが好ましく、赤色顔料としては、ベリレン顔料などが好ましい。
なお、カラーフィルタを平面的に分離配置するために、透明樹脂としては、アクリル酸系,メタクリル酸系,ポリケイ皮酸ビニル系などのレジスト材により、フォトリソグラフを行なうのが好ましい。
【0040】
【実施例】
[実施例1]
25mm×75mm×1.1mm厚のガラス基板上に厚さ120nm,20Ω/cm2 の透明電極としてのITOを10mm×60mmの範囲がベタ成膜できるようなマスクを介して、スパッタリングにて成膜した。(基板A)。この基板Aをイソプロピルアルコールで5分間超音波洗浄し、さらに波純水中で5分間超音洗浄した後、UVイオン洗浄器(サムコインターナショナル社製)にて基板温度150℃で20分間洗浄した。
この基板Aを乾燥窒素ガスで乾燥して、市販の蒸着装置[日本真空技術社製]の基板ホルダーに固定し、モリブデン製の抵抗加熱ボードにN’N−ジフェニル−N’N−ビス−(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(以下、TPDと略記する)を正孔注入材料として、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下Alqと略記する)、[化6]に示すキクナリドン誘導体を発光材料として仕込み、電極の第二金属としてAgをタングステン製フィラメントに、電極の電子注入性金属としてMgをモリブデン製ボートに装着した。
その後、真空層を5×10-7torrまで減圧後、10mm×60mmの範囲がベタ成膜できるようなマスクを介して、正孔注入層、発光層、電極を積層した。この際TPDは3.5オングストローム/秒で50nm積層し、発光層はAlqを10オングストローム/秒で50nmで積層した。またこのとき前記キクナリドン誘導体の濃度は0.32重量%であった。また発光層上の陰極としては原子比Mg:Ag=10:1で150nmの厚さに蒸着した。
このようにして作製した有機EL素子に直流8Vの電圧を印加したところ20mA/cm2 の電流が流れた。発光輝度は3200cd/m2 ,発光効率は6.31m/W、CIE色度座標(JIS Z8701)はX=0.263、Y=0.619で緑色の発光が出ていることを確認した。
次に、この基板上の電極(10mm×60mmの範囲)の周辺部にディスペンサーにて、エポキシ系二液混合型接着剤(CIBA−GEIGY社製アラルダイト)を1mm程度の幅で一部隙間を開けて塗布した。(基板B)。
次に、この基板A上に25mm×75mm×1.1mmのガラス基板(基板C)を貼り合わせ、接着剤を硬化させた。次いで、窒素雰囲気下、フッ化炭化水素(住友スリーエム社製フロリナート)を注射針にて先の硬化した接着剤の隙間から、基板Cと基板Bの間隙に注入した。次いで、接着剤の隙間にさらに先の接着剤を充填し先と同様に硬化させた。
次に、0.7重量%のクマリン6、0.7重量%のベーシックバイオレット11および0.7重量%のローダミン6〔G〕を含むメラミン樹脂系顔料とポリ塩化ビニル系樹脂(分子量20,000)をシクロヘキサノンに溶かしたインキ(粘度8,000cp、メラミン樹脂の濃度は固形分中43%)を用い、基板A素子の作製されていない面上にスピンコートにて成膜し、風乾して17μm膜厚の蛍光体層を得た。
このようにして、有機EL赤色発光装置を作製し、直流8Vの電圧を陽極と陰極に印加すると蛍光体層(赤)から見える光の発光輝度は896cd/m2 ,発光効率は1.81m/W、CIE色度座標はX=0.634,Y=0.348であることを確認した。なおこの際の発光体層のエネルギー変換効率は43%であった。
以後二週間、大気下で保存しても輝度および色度座標に全く変化がなく、劣化とともに発生する黒点の発生もなく、均一な発光を維持していた他 初期300cd/m2 で連続駆動させたところ、3000時間経過後も顕著な輝度の低下はみられなかった。
【0041】
[比較例1]
実施例1で用いたガラス基板上に実施例1と同様に、正孔注入材料としてTPD、発光材料としてAlq、[化7]に示すジオキサジン系化合物、電極(陰極)としてマグネシウム−銀 電極を順次積層した。この際、Alqと前記ジオキサジン系化合物は異なる蒸着源から体積比100:0.8で50nmの厚さに成膜した。上記の様に作製した有機EL素子においては、両電極間に20V印加時に0.48mA/cm2 の電流が流れ、赤色発光が得られた。この際発光輝度は980cd/m2 で色純度座標はX=0.630Y=0.334であった。以上の結果からこの素子の発光効率は0.36lm/Wであり、実施例1の素子の1.8lm/Wの1/5程度の効率であった。
また、この赤色系発光素子は、初期300cd/m2 で連続駆動させたところ200時間経過後に発光輝度は半減しており、寿命という点でも実施例1の素子の性能には、はるかに及ばなかった。
【0042】
参考例
実施例1と同様な方法で有機EL素子を作製した。次に、1.0重量%のベーシックバイオレット11および1.0重量%のローダミン6〔G〕を含むメラミン樹脂系顔料とポリ塩化ビニル系樹脂(分子量20,000)をシクロヘキサノンに溶かしたインキ(粘度8,000cp、メラミン樹脂の濃度は固形分中43%)を用い、基板Aの素子の作製されていない面上にスピンコートにて成膜し、風乾して18.7μm膜厚の蛍光体層を得た。
このようにして、有機EL赤色系発光装置を作製し、直流8Vの電圧を陽極と陰極に印加すると蛍光体層(赤)から見える光の発光輝度は608cd/m,発光効率は1.21m/W、CIE色度座標はX=0.638,Y=0.303であることを確認した。この際の発光体層のエネルギー変換効率は36%であった。
【0043】
[実施例
25mm×75mm×1.1mmのガラス基板上に厚さ120nm,20Ω/cmの透明電極としてのITOを10mm×60mmの範囲において4.5mmピッチ(4.0mm、1.0mmギャップ)のストライプ状に成膜できるようなマスクを介して、スパッタリングにて成膜した(基板A)。この基板Aをイソプロピルアルコールで5分間超音波洗浄し、さらに純水中で5分間超音波洗浄した後、UVイオン洗浄器(サムコインターナショナル社製)にて基板温度150℃で20分間洗浄した。
この基板Aを乾燥窒素ガスで乾燥して、市販の蒸着装置[日本真空技術社製]の基板ホルダーに固定し、モリブデン製の抵抗加熱ボードにN’N−ジフェニル−N’N−ビス−(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(以下、TPDと略記する)を正孔注入材料として、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下Alqと略記する)、前記キクナリドン誘導体を発光材料として仕込み、電極の第二金属としてAgをタングステン製フィラメントに、電極の電子注入性金属としてMgをモリブデン製ボートに装着した。
その後、真空層を5×10−7torrまで減圧後、10mm×60mmの範囲がベタ成膜できるようなマスクを介して、正孔注入層、発光層を積層した。次に10mm×60mmの範囲において1.4mmのライン、3.1mmギャップのストライプ状に成膜できるようなマスクを介して電極のパターンを成膜した。なおここで、電極が透明電極と直交し、かつ、それぞれの電極の端子がとれるようにマスクを配置した。
このようにして、作製した有機EL素子に直流8Vの電圧を印加したところ20mA/cmの電流が流れ、透明電極(陽極)と電極(陰極)の交差部分が発光し、発光輝度は3200cd/m,CIE色度座標(JIS Z8701)はX=0.263,Y=0.619で緑色の発光がでていることを確認した。
次に、この基板上の電極と透明電極との交差範囲(10mm×60mmの範囲)の周辺部にディスペンサーにて、エポキシ系二液混合型接着剤(CIBA−GEIGY社製アラルダイト)を1mm程度の幅で一部隙間を開けて塗布したを1mm程度の幅で一部隙間を開けて塗布した。(基板B)。
次に、この基板A上に25mm×75mm×0.15mmのガラス基板(基板C)を貼り合わせ、接着剤を硬化させた。
次いで、窒素雰囲気下、フッ化炭化水素(住友スリーエム社製フロリナート)を注射針にて先の硬化した接着剤の隙間から、基板Cと基板Bの間隙に注入した。
次いで、接着剤の隙間にさらに先の接着剤を充填し先と同様に硬化させた。
次に基板Aの素子の作製されていない面上にハロゲン化銅フタシアニン系顔料(C.Iピグメントグリーン36)を22.5重量%、アゾ系顔料(C.Iピグメントイエロー83)を7.5重量%、ポリ塩化ビニル系樹脂(分子量20,000)70重量%の割合でシクロキサノンに分散したインキを用いて1.4mmライン、3.1mmギャップのストライプパターンが得られるスクリーン版を介し、有機EL素子の電極と位置合せしてスクリーン印刷し、風乾して1.5μm膜厚のカラーフィルタ(緑)のパターンを得た。
次に、0.7重量%のクマリン6、0.7重量%のベーシックバイオレット11および0.7重量%のローダミン6〔G〕を含むメラミン樹脂系顔料とポリ塩化ビニル系樹脂(分子量20,000)をシクロヘキサノンに溶かしたインキ(粘度8,000cp、メラミン樹脂の濃度は固形分中43%)を用いて、1.4mm、3.1mmギャップのストライプパターンが得られるスクリーン版を介し、カラーフィルタ(緑)のパターンからストライプの垂直方向に1.5mmずらしてスクリーン印刷し、風乾して17.2μm膜厚の蛍光体層(橙)を得た。
次に、1.0重量%のクマリン6および1.0重量%のローダミン6〔G〕を含むメラミン樹脂系顔料とポリ塩化ビニル系樹脂(分子量20,000)をシクロヘキサノンに溶かしたインキ(粘度8,000cp、メラミン樹脂の濃度は固形分中43%)を用いて1.4mmライン3.1mmギャップのストライプパターンが得られるスクリーン版を介し、カラーフィルタ(緑)のパターンと蛍光体層(橙)の間にスクリーン印刷し、風乾して15.2μm膜厚のパターン蛍光体層(赤)を得た。
このようにして、有機EL多色発光装置(ドットマトリクス型)を作製し、直流8Vの電圧を陽極と陰極に印加すると、電圧を印加した透明電極(陽極)と電極(陰極)の交差部分が発光し、カラーフィルタ(緑)から見える光の発光輝度は2600cd/m,CIE色度座標はX=0.30,Y=0.60で緑色の発光が出ていることを確認した。また、蛍光体層(橙)から見える光の発光輝度は1184cd/m,CIE色度座標はX=0.563,Y=0.436であり、蛍光体層(赤)から見える光の発光輝度は890cd/m,CIE色度座標はX=0.634,Y=0.348であることを確認した。
以後、二週間、大気下で保存しても輝度および色度座標に全く変化がなく、劣化とともに発生する黒点の発生もなく、均一な発光を維持していた。
【0044】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明においては、緑色系発光有機EL素子と蛍光変換法とを組み合わせることにより、赤色系発光素子を有する有機EL発光装置の高輝度,長寿命,高効率化を達成することができ、かつ多色発光装置に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL発光装置の一の実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の有機EL発光装置の他の実施形態を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 有機EL素子
1a 透明電極
1b 有機物層
1c 電極
2 透明支持基板
3 蛍光体層
3〔R〕 赤色変換系蛍光体層
3〔O〕 橙色変換系蛍光体層
4 封止手段
4a ガラス基板
4b 接着剤
5 間隙
6〔G〕 緑色カラーフィルタ
6〔R〕 赤色カラーフィルタ
6〔O〕 橙色カラーフィルタ
7 ブラックマトリックス
【化6】
Figure 0004024327
【化7】
Figure 0004024327

Claims (4)

  1. 支持基板と、二つの電極との間に、少なくとも発光層を有する有機物層を挟持した有機EL素子と、この有機EL素子からの発光を吸収して、可視光の蛍光を発光する蛍光体層とを備えた有機EL発光装置において、
    前記有機EL素子が、緑色系発光をする緑色系発光有機EL素子であり、
    かつ前記蛍光体層が、橙色系〜赤色系の蛍光を発光するものであるとともに、そのエネルギー変換効率が30%以上であり、
    さらに前記蛍光体層が、緑色系蛍光色素と橙色〜赤色系蛍光色素を含有し、440nm〜510nmの間にOD(Optical Density)1.0以上の吸収を持つことを特徴とする有機EL発光装置。
  2. 前記緑色系発光有機EL素子の発光層が、金属キレートオキサノイド系化合物および/またはキナクリドン系化合物を発光材料として含有するものであることを特徴とする請求項1記載の有機EL発光装置。
  3. 前記蛍光体層が、ローダミン系、シアニン系、およびピリジン系からなる群から選ばれる一以上の色素を含有するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の有機EL発光装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の有機EL発光装置と前記緑色系発光有機EL素子とからなることを特徴とする多色発光装置。
JP19280596A 1996-07-03 1996-07-03 有機el発光装置 Expired - Lifetime JP4024327B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19280596A JP4024327B2 (ja) 1996-07-03 1996-07-03 有機el発光装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19280596A JP4024327B2 (ja) 1996-07-03 1996-07-03 有機el発光装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1022073A JPH1022073A (ja) 1998-01-23
JP4024327B2 true JP4024327B2 (ja) 2007-12-19

Family

ID=16297291

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19280596A Expired - Lifetime JP4024327B2 (ja) 1996-07-03 1996-07-03 有機el発光装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4024327B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4505067B2 (ja) * 1998-12-16 2010-07-14 淳二 城戸 有機エレクトロルミネッセント素子
US6700322B1 (en) 2000-01-27 2004-03-02 General Electric Company Light source with organic layer and photoluminescent layer
US7986087B2 (en) 2002-10-08 2011-07-26 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Color conversion media and EL-display using the same
DE602006020729D1 (de) * 2005-07-14 2011-04-28 Philips Intellectual Property Elektrolumineszente lichtquelle
CN109154732A (zh) * 2016-06-06 2019-01-04 陶氏环球技术有限责任公司 发光设备和包含其的电子装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1022073A (ja) 1998-01-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3962436B2 (ja) 多色発光装置
JP4493216B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法
JP4542646B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子およびフェニレンジアミン誘導体
JP2846571B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP4011649B2 (ja) 多色発光装置およびその製造方法
JP3187695B2 (ja) 多色発光装置およびその製造方法
JP4152173B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JPH02209988A (ja) 薄膜エレクトロルミネッセンス素子
JPH07119407B2 (ja) エレクトロルミネッセンス素子
JPH103990A (ja) 有機el発光装置
JP2838063B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JPH061973A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JPH1167451A (ja) 有機el発光装置及び多色発光装置
JP2007109988A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JPH05101884A (ja) 有機エレクトロルミネツセンス素子の封止方法及びパターン化方法
JPH11279426A (ja) ローダミン系色素、色変換膜および有機エレクトロルミネッセンス素子
JPH1012380A (ja) 多色発光装置およびその製造方法
JP3508805B2 (ja) 多色発光装置およびその製造方法
JP4112719B2 (ja) 芳香族炭化水素化合物およびそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子
JP3864009B2 (ja) エレクトロルミネッセンス表示装置
JPH07169569A (ja) 有機el素子およびその製造方法
JPH07119408B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP4022274B2 (ja) 有機el発光装置
JP4024327B2 (ja) 有機el発光装置
JP3983405B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060405

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061114

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070529

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070719

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071002

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071003

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101012

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101012

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111012

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111012

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121012

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121012

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131012

Year of fee payment: 6

EXPY Cancellation because of completion of term