以下、本発明を循環式水洗トイレシステム1に適用した第1の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態である循環式水洗トイレシステム1の概念図であり、図2は、本発明の第1の実施形態である循環式水洗トイレシステム1の構成図である。なお、本発明の第1の実施形態の循環式水洗トイレシステム1は、水洗便器5から排出される汚水を、生物処理および脱色処理し、その処理水を水洗便器5の洗浄水として再度使用できる無排水型のトイレシステムである。
はじめに、循環式水洗トイレシステム1の概略構成について説明する。図1および図2に示すように、循環式水洗トイレシステム1は、水洗便器5と、水洗便器5から排出される汚水を受け入れ、微生物による有機物分解およびアンモニアの硝化・脱窒処理を行う生物処理槽6と、当該生物処理槽6で処理された生物処理水をろ過するろ過槽7と、当該ろ過槽7でろ過されたろ過水を貯留し、そのろ過水の一部を蒸発させる蒸発槽8と、当該蒸発槽8と連通し、ろ過水をオゾンによって脱色処理(酸化処理)する脱色槽9と、当該脱色槽9によって脱色処理された処理水を、水洗便器5に洗浄水として供給するポンプ12とから構成されている。
さらに、図1および図2に示すように、循環式水洗トイレシステム1には、生物処理槽6に圧縮空気を供給するブロワー23、蒸発槽8に圧縮空気を供給するブロワー25、ろ過槽7に圧縮空気を供給するブロワー24が各々設けられている。また、生物処理槽6および蒸発槽8には、各槽の水位を検出するためのフロートスイッチが複数設けられ、生物処理槽6内には、上限フロートスイッチ30および下限フロートスイッチ33、蒸発槽8内には、下限フロートスイッチ41が設けられている。さらに、ろ過槽7には、生物処理水のpH(水素イオン濃度)を検出するpHセンサ4が設けられている。そして、生物処理槽6および蒸発槽8の各水位と、ろ過槽7のpHに基づいて、各ブロワーの動作を各々制御する制御装置11が設けられている。また、生物処理槽6,ろ過槽7,蒸発槽8および脱色槽9から回収して得られた水蒸気を凝縮して凝縮水を生成し、その凝縮水を生物処理槽6に供給する凝縮装置50が設けられている。さらに、トイレの入り口には、トイレ使用者に使用禁止を報知する警告ランプ45が設けられている。
次に、生物処理槽6について説明する。この生物処理槽6では、水洗便器5からの汚水が流入し、微生物による有機物分解と、硝化・脱窒処理とが各々行われる。図2に示すように、生物処理槽6の、汚水が流入する側の内壁面6aには、上面が開口する箱型の除去スクリーン3が設けられている。この除去スクリーン3は、網目状になっており、汚水中の大きな夾雑物を除去する。そして、生物処理槽6の底面の略中央には、水中ポンプ14が設けられている。この水中ポンプ14は、モータを駆動させて水流を形成することにより、生物処理槽6内の汚泥を撹拌する。さらに、水中ポンプ14の上方には、複数の生分解性プラスチック板を内部に収納する収納ケース18が、チェーン21,21によって、生物処理槽6の上部から吊るされている。この収納ケース18は網目状になっているため、水中ポンプ14が形成する汚泥の流れはケース内を通過できる。なお、生分解性プラスチック板は、収納ケース18内に10枚収納されており、収納ケース18内の底面に対して垂直に立つようにして並列に収納されている。したがって、収納ケース18内を通過する汚泥は、生分解性プラスチック板の表面および裏面に接触しながら、収納ケース18内を通過する。なお、生分解性プラスチック板の役割については後述する。
さらに、図2に示すように、生物処理槽6の底部には、散気管23a,23bが、水中ポンプ14を中央に挟むようにして設けられている。そして、散気管23aは、除去スクリーン3の下方に位置するように設けられている。さらに、除去スクリーン3の下方からは、散気管23aから放出される気泡が上昇し、除去スクリーン3の網目を通過する。したがって、除去スクリーン3の網目には夾雑物による目詰まりが生じにくい。そして、散気管23a,23bは、ブロワー23に接続され、ブロワー23は制御装置11に接続されている。このブロワー23は、制御装置11の制御により、圧縮空気を生成し、その圧縮空気を散気管23a,23bに各々供給する。そして、散気管23a,23bからは多数の気泡が放出され、生物処理槽6内の汚泥が曝気されるようになっている。
また、生物処理槽6の底部には、生物処理槽6内の生物処理水を汲み上げ、ろ過槽7に供給する水中ポンプ15が設けられている。この水中ポンプ15は、水中ポンプ14と同種の一般的な水中ポンプである。さらに、生物処理槽6の槽内には、上限水位を検出する上限フロートスイッチ30と、下限水位を検出する下限フロートスイッチ33とが各水位地点に各々設けられている。これらの上限フロートスイッチ30,下限フロートスイッチ33は、一般的なフロートスイッチである。これらのフロートスイッチは、図示外の可動ウエイト,マグネット,リードスイッチからなるセンサを内部に備える。そして、生物処理槽6の水位に応じてリードスイッチのON、OFFが切り替わるようになっている。上限フロートスイッチ30は、生物処理槽6の水位が上限水位以下になるとオフ信号を、上限水位を超えるとオン信号を制御装置11に出力する。一方、下限フロートスイッチ33は、生物処理槽6の水位が下限水位以下になるとオフ信号を、下限水位を超えるとオン信号を制御装置11に出力する。さらに、このような上限フロートスイッチ30,下限フロートスイッチ33は、制御装置11に接続されている。また、制御装置11は、上限フロートスイッチ30および下限フロートスイッチ33が出力するオン、オフ信号に基づいて、生物処理槽6の水位を判断する。そして、以上のような構成からなる生物処理槽6には、硝化菌および脱窒菌などの微生物が常在する汚泥が貯留する。なお、図1および図2に示す上限フロートスイッチ30と、下限フロートスイッチ33とが、「第一の水位検出手段」に相当する。
次に、ろ過槽7について説明する。このろ過槽7では、生物処理槽6の水中ポンプ15から供給される生物処理水のろ過処理が行われる。図2に示すように、ろ過槽7での生物処理水の固液分離は、ろ過槽7の内部に設けられたろ過膜28によって行われる。ろ過槽7の水位は、蒸発槽8の水位より高めに設定されているため、ろ過槽7と蒸発槽8との水頭圧による圧力差が生じ、ろ過槽7の生物処理水は、ろ過膜28によって固液分離され、そのろ過水は、蒸発槽8に自然流入する。
また、図2に示すように、ろ過槽7には、pHセンサ4が設けられている。そして、pHセンサ4は、制御装置11に接続されている。このpHセンサ4は、生物処理水のpHを検出し、そのpHの検出値を検出信号に変換して、制御装置11に出力する。さらに、ろ過膜28およびpHセンサ4の下方には、ブロワー24に接続された散気管24aが設けられている。ブロワー24は常時稼働するため、ブロワー24から供給される圧縮空気は、散気管24aから放出され、気泡となって上昇する。そして、散気管24aから放出された気泡により、ろ過膜28およびpHセンサ4の電極周囲に付着する汚泥が取り除かれる。したがって、ろ過膜28の汚泥による目詰まりを防止でき、さらに、pHセンサ4の汚泥付着による感度不良などを防止できる。また、ろ過膜28で固液分離されて、ろ過槽7に残存する残留高濃度汚泥は、水中ポンプ15から生物処理水が供給される際に水量が増加し、ろ過槽7よりオーバーフローして、図示外の返送汚泥管により、生物処理槽6に返送される。
次に、蒸発槽8について説明する。この蒸発槽8では、ろ過槽7によってろ過されたろ過水を一時的に貯留し、そのろ過水の一部を蒸発させて、循環式水洗トイレシステム1の総水量の調整を行う。図2に示すように、蒸発槽8には、槽内の下限水位を検出する下限フロートスイッチ41が槽内に予め設定された下限水位地点に設けられている。さらに、下限フロートスイッチ41は、制御装置11に接続されている。そして、制御装置11は、下限フロートスイッチ41が出力する検出信号に基づいて、蒸発槽8の水位を判断する。なお、下限フロートスイッチ41は、上限フロートスイッチ30,下限フロートスイッチ33と同種のフロートスイッチを使用する。そして、下限フロートスイッチ41は、蒸発槽8の水位が下限水位以下になるとオフ信号を、下限水位を超えるとオン信号を制御装置11に出力する。なお、図2に示す下限フロートスイッチ41が、「第二の水位検出手段」に相当する。
さらに、図2に示すように、蒸発槽8の底部には、ブロワー25に接続された散気管25aが設けられている。そして、ブロワー25が、圧縮空気を生成し、その生成した圧縮空気を散気管25aに供給する。さらに、散気管25aから気泡が放出されると、蒸発槽8内のろ過水が曝気される。そして、蒸発槽8内のろ過水が曝気されることにより、水分が蒸発し、蒸発槽8内の水量が減少する。そして、ブロワー25の動作は、制御装置11によって制御されることにより、蒸発槽8内の水分の蒸発量が調整される。
次に、蒸発槽8と連通する脱色槽9について説明する。この脱色槽9では、ろ過槽7から供給されるろ過水のオゾンによる脱色および殺菌処理などが行われる。図2に示すように、蒸発槽8と、脱色槽9とを仕切る内壁の下部近傍には、互いの槽が連通する連通口47が設けられている。そして、蒸発槽8に貯留するろ過水は、連通口47を通じて、脱色槽9に自然に流入する。さらに、脱色槽9の底部には、オゾン発生器20に接続された散気管20aが設けられている。そして、オゾン発生器20が稼働する時、散気管20aからはオゾンの気泡が水中に連続的に放出される。さらに、ろ過水がオゾンによって酸化処理されると、ろ過水中の色度成分が分解されてろ過水が脱色される。なお、オゾン処理前のろ過水は、薄い黄色を呈しているが、オゾン処理されることにより、ほぼ透明の処理水を得ることができる。また、オゾンによる酸化処理の効果は、色素成分の分解(脱色)に加え、ろ過水中に含まれる難分解性有機物を易分解性有機物に変換する効果がある。さらに、生物処理槽6での硝化処理が十分ではなく、アンモニアから硝酸に変化しきれなかった亜硝酸に対して、オゾンから酸素を付与することにより硝酸に変換する効果がある。
そして、図2に示すように、脱色槽9でオゾン処理された処理水は、ポンプ12によって汲み上げられ、洗浄水として水洗便器5に供給される。なお、トイレの使用頻度が低い場合には、水洗便器5では洗浄水が使用されない上、ろ過槽7から蒸発槽8にろ過水が供給され続けるため、脱色槽9は処理水で満タン状態になる。この場合、オゾン処理水の一部はオーバーフロー水として、図示外の配管により再度生物処理槽6に返送される。したがって、返送されたオーバーフロー水中の易分解性有機物および硝酸は、生物処理槽6において、易分解性有機物は分解され、硝酸は脱窒菌により脱窒される。
次に、警告ランプ45について説明する。この警告ランプ45は、使用者にわかりやすい位置(例えば、トイレの入り口付近)に設けられる。図1および図2に示すように、警告ランプ45は、制御装置11に接続されている。そして、警告ランプ45は、制御装置11から出力される制御信号に基づいて点灯する。さらに、制御装置11は、生物処理槽6の水位が上限水位を超えた場合に、警告ランプ45を点灯させる。そして、使用者にトイレの使用禁止を報知する。したがって、生物処理槽6から汚水が溢れるのを事前に防止することができる。なお、第1の実施形態の循環式水洗トイレシステム1の警告を報知する警告手段は、警告ランプ45であるが、警告ランプ45に併せて音声ブザーなどを設けてもよく、警告ランプ45にかえて音声ブザーのみを設けてもよい。なお、図1および図2に示す警告ランプ45が、「警報手段」に相当する。
次に、制御装置11について説明する。この制御装置11には、ブロワー23,25、上限フロートスイッチ30,下限フロートスイッチ33,下限フロートスイッチ41,pHセンサ4および凝縮装置50が各々接続されている。そして、制御装置11は、生物処理水のpHに基づくブロワー23の制御と、生物処理槽6および蒸発槽8の各水位に基づくブロワー25の制御とをそれぞれ行っている。また、制御装置11は、凝縮装置50の動作を制御することにより、各槽から蒸発する水蒸気を凝縮水に変換して生物処理槽6に供給する。また、図示しないが、制御装置11は、中央処理演算装置としてのCPUと、各種プログラムなどを記憶する読み出し専用のメモリであるROMと、実行中のプログラムを一時的に記憶したり、各種データなどを記憶する読み出しおよび書き込み可能なメモリであるRAMとを備えている。なお、制御装置11の制御動作については後述する。なお、図2に示す、制御装置11が、「蒸発制御手段」、「凝縮制御手段」に相当する。
次に、凝縮装置50について説明する。この凝縮装置50は、生物処理槽6、ろ過槽7、蒸発槽8および脱色槽9から回収して得られる水蒸気を凝縮し、凝縮して得られた凝縮水を生物処理槽6に供給する。そして、生物処理槽6には、生物処理槽6内の水蒸気が流入する流入管54が設けられ、ろ過槽7には、ろ過槽7内の水蒸気が流入する流入管55が設けられている。さらに、蒸発槽8には、蒸発槽8内の水蒸気が流入する流入管56が設けられ、脱色槽9には、脱色槽9内の水蒸気が流入する流入管57が設けられている。そして、流入管54,55,56および57の水蒸気が通過する下流側の各先端部は、一本の流入管52に連結され、その流入管52の下流側先端部は、凝縮装置50に接続されている。したがって、各槽から蒸発する水蒸気は、流入管54〜57を各々通過して、流入管52で合流し、さらに凝縮装置50に流れ込むようになっている。そして、凝縮装置50では、流入した水蒸気が凝縮されて凝縮水に変換され、変換された凝縮水は、凝縮水供給管51から生物処理槽6に供給される。なお、図1および図2に示す凝縮装置50が、「凝縮手段」に相当する。
そして、図1および図2に示すように、凝縮装置50は、制御装置11に接続され、制御装置11の制御信号に基づいて、凝縮装置50の動作が制御されている。また、凝縮装置50が動作しない場合は、凝縮装置50に流入する水蒸気は、凝縮装置50に設けられた排気口(図示外)から外部に放出される。さらに、凝縮装置50の水蒸気の凝縮方法は、様々な形態のものが適用可能であり、例えばコンプレッサーで水蒸気に圧力をかけ、凝縮してもよい。また、コンピュータのCPUの冷却装置や、冷蔵庫などに利用されているペルチェ素子などを用いて、冷却して液化するようにしてもよい。なお、制御装置11の凝縮装置50の制御については後述する。
次に、生物処理槽6における微生物処理について説明する。生物処理槽6における微生物処理は、汚水中の有機物分解に加え、硝化菌による硝化処理、および脱窒菌による脱窒処理が行われる。具体的には、水洗便器5から流入する汚水中のアンモニアは、硝化菌によって硝酸に変換される。そして、硝化されて生成した硝酸は、脱窒菌によって脱窒され、大気中に放出される。特に、脱窒菌は、汚水中の有機物を資化源(エネルギー源)として利用することにより、脱窒処理を行う。ここで例えば、循環式水洗トイレシステム1の使用頻度が低い場合は、生物処理槽6への汚水の流入量が減少するため、汚水中の有機物濃度は一時的に低下することがある。このように汚水中の有機物濃度が低い状態が継続する場合は、脱窒菌は十分な脱窒処理を行うことができない。そこで、汚水中の有機物濃度が低い場合、脱窒菌は、収納ケース18に収容された生分解性プラスチック板を資化源として利用する。したがって、生物処理槽6の汚水の有機物濃度は、生分解性プラスチック板の投入により、少なくとも脱窒菌が脱窒処理に必要な濃度に常時確保されている。また、生分解性プラスチック板は、微生物によって分解されるので、収納ケース18を水面より引き上げ、生分解性プラスチック板を定期的に補充する。なお、第1の実施形態の生分解性プラスチック板は、収納ケース18に10枚収納されているが、生分解性プラスチック板の枚数は、汚水中の有機物濃度を考慮して決定するのが好ましい。
次に、微生物活性とpHとの関係について説明する。上述したように、図2に示す生物処理槽6の汚水には、好気性の硝化菌と、嫌気性の脱窒菌とが存在する。そして、生物処理槽6の汚水を好気的条件下にすると、硝化菌の活性が優勢となり、硝化菌により生成された硝酸が汚水に蓄積され、pHは低下する。また、汚水を嫌気的条件下にすると、脱窒菌の活性が優勢となり、汚水に蓄積された硝酸は脱窒されるので、前者とは反対にpHは上昇する。また、これら硝化菌および脱窒菌の活性は、pHに大きく依存する。例えば、硝化菌の活性が最も高くなる至適pHは一般的に6.5〜8.0と言われ、脱窒菌の活性の至適pHは7.0〜8.5と言われている。したがって、pHが7〜8の範囲内にあれば、硝化・脱窒処理は安定して行われる。そこで、制御装置11は、ろ過槽7に設けられたpHセンサ4が検出する生物処理水のpHに基づいて、生物処理槽6のブロワー23の動作を制御する。そして、生物処理槽6の曝気量を制御し、pHが7〜8付近になるように調整する。なお、第一の実施形態の制御装置11では、ブロワー23を動作させるpHの閾値をpH7.5に設定して、生物処理槽6内のpHを制御している。
次に、制御装置11によるブロワー23の制御について、図2を参照して説明する。まず、ろ過槽7に設けられたpHセンサ4が、生物処理槽6から汲み上げられた生物処理水のpHを検出する。そして、pHセンサ4は、pH検出値を検出信号として、制御装置11に出力する。さらに、制御装置11は、そのpHセンサ4から出力された検出信号に基づくpH検出値が、7.5を超えているかどうかを判断する。そして、生物処理水のpHが7.5を超えている場合は、生物処理槽6内のpHが高いので、汚水中の硝酸濃度が低く、脱窒処理が進んでいることが考えられる。さらに、硝化処理を行う硝化菌の活性が低下しているとも考えられる。そこで、制御装置11は、ブロワー23に動作を「オン」とするための制御信号を送信する。すると、ブロワー23が動作を開始し、ブロワー23から供給される圧縮空気は、散気管23a,23bから生物処理槽6内に放出される。すると、汚水が好気的条件下になり、好気性菌である硝化菌の活性が高くなり、嫌気性菌である脱窒菌の活性が抑えられるので、pHが低下する。
また、生物処理水のpHが7.5以下の場合は、生物処理槽6内のpHが低いので、汚水中の硝酸濃度が高く、硝化処理が進んでいることが考えられる。さらに、脱窒処理を行う脱窒菌の活性が低下していることも考えられる。そこで、制御装置11は、ブロワー23に動作を「オフ」とするための制御信号を送信する。すると、ブロワー23は動作を停止する。そして、汚水が嫌気的条件下になり、嫌気性菌である脱窒菌の活性が高くなり、好気性菌である硝化菌の活性が抑えられるので、pHが上昇する。こうして制御装置11は、pHセンサ4の検出結果と、pHの閾値とを比較して、ブロワー23の動作を制御することにより、生物処理槽6内のpHを制御し、硝化菌および脱窒菌の活性を調整する。
次に、本発明の要部である生物処理槽6の水位の調整について説明する。第1の実施形態の循環式水洗トイレシステム1では、トイレの使用頻度が高い場合、水洗便器5から生物処理槽6への汚水の流入量は多くなる。そして、汚水の流入量が多いと、生物処理槽6の水位は上昇し、それに伴ってシステム内の総水量が多くなる。さらに、生物処理槽6の水位が上昇した場合、放っておけば、生物処理槽から汚水が溢れてしまい、トイレの使用を中止しなければならない。そこで、本発明の第1の実施形態である循環式水洗トイレシステム1の制御装置11は、生物処理槽6および蒸発槽8の各水位を検出し、その検出された水位に基づいて、蒸発槽8に設けられたブロワー25の動作を制御する。そして、ブロワー25によって、蒸発槽8内のろ過水が曝気され、ろ過水から蒸発する水蒸気量が調整されることにより、システム内の総水量が適正に調整される。
また、それとは反対に、トイレの使用頻度が低い場合、または各槽から蒸発する水蒸気量が多い場合は、システム内の総水量が少なくなり、特に生物処理槽6の水位が低下した場合は、微生物処理能力の低下を招く。このような場合、制御装置11は凝縮装置50を動作させる。そして、各槽から蒸発する水蒸気を回収して、凝縮装置50にて水蒸気を凝縮させることにより、凝縮水を生成する。次いで、その凝縮水を生物処理槽6に供給することにより、水量の減少を抑えることができる。
次に、制御装置11における、ブロワー25、凝縮装置50および警告ランプ45の制御について、図2乃至図4を参照して説明する。図3は、生物処理槽6および蒸発槽8の各水位領域に基づく、ブロワー25、凝縮装置50および警告ランプ45の動作について示した表であり、図4は、制御装置11の、ブロワー25、凝縮装置50および警告ランプ45の制御について示すフローチャートである。図2に示すように、生物処理槽6には、上限フロートスイッチ30、下限フロートスイッチ33が設けられている。そして、図3に示すように、生物処理槽6の水位において、上限水位と、下限水位とを各々設定する。さらに、上限水位を超える領域を「領域A」,下限水位を超えて上限水位以下までの領域を「領域B」,下限水位以下の領域を「領域C」として設定する。また、図2に示すように、蒸発槽8にも同様に、下限フロートスイッチ41が設けられている。そして、図3に示すように、蒸発槽8の水位において、下限水位を設定する。さらに、下限水位を超える領域を「領域ア」,下限水位以下の領域を「領域イ」として設定する。そして、図3に示すように生物処理槽6の水位および蒸発槽8の水位が、領域A〜Cおよび領域ア、イのいずれに該当するかを制御装置11が判断することにより、ブロワー25、凝縮装置50および警告ランプ45の動作を制御する。
図4のフローチャートに示すように、具体的には、まず、生物処理槽6において、上限フロートスイッチ30,下限フロートスイッチ33のオン、オフ信号を各々受信する。そして、受信したオン、オフ信号より、生物処理槽6の水位が、図3に示す「領域A」、「領域B」、「領域C」のいずれの領域に該当するか判断する(S1)。さらに、蒸発槽8において、下限フロートスイッチ41のオン、オフ信号を各々受信する(S2)。そして、受信したオン、オフ信号より、蒸発槽8の水位が、図3に示す「領域ア」、「領域イ」のいずれの領域に該当するか判断する。
そして、生物処理槽6の水位が、領域A内かどうかを判断する(S3)。生物処理槽6の水位が領域A内にあれば(S3:YES)、生物処理槽6に予め設定された上限水位を超えている。水位が上限水位を超えると、生物処理槽6から汚泥が溢れてしまう危険性があり、トイレの使用を禁止する必要性があると判断するものである。したがって、警告ランプ45に運転信号を送信し、運転信号を受けた警告ランプ45は点灯する(S7)。警告ランプ45が点灯することにより、トイレの使用禁止を使用者に報知する。よって、生物処理槽6には、水洗便器5から汚水が流入することがないので、生物処理槽6の水位が、これ以上上昇するのを防止することができる。
次に、蒸発槽8の水位が、領域ア内かどうかを判断する(S8)。蒸発槽8の水位が領域ア内にあると、蒸発槽8の予め設定された下限水位を超えている。よって、生物処理槽6および蒸発槽8の水位はいずれも高いため、システム内の総水量を減少させる必要があると判断するものである。そして、蒸発槽8の水位が領域ア内であれば(S8:YES)、ブロワー25を運転させて、凝縮装置50を停止させる(S13)。ブロワー25の運転により、蒸発槽8内のろ過水の一部が蒸発する。よって、蒸発槽8の水位が低下し、システム全体の総水量が減少する。さらに、生物処理槽6の水位も低下する。また、蒸発槽8の水位が領域ア内でない場合は(S8:NO)、水位は領域イ内であるので、蒸発槽8内の水位は予め設定された下限水位以下である。蒸発槽8の水位が下限水位以下になると、全体の水量が減少していると判断するものである。よって、ブロワー25,凝縮装置50を停止させる(S12)。
また、生物処理槽6の水位が、領域A内にはない場合(S3:NO)、水位は、上限水位以下であるので、警告ランプ45に停止信号を送信し、警告ランプ45を消灯させる(S4)。そして、生物処理槽6の水位が、領域B内であるかどうかを判断する(S5)。水位が領域B内であれば(S5:YES)、生物処理槽6の水位は、予め設定された下限水位を超えている。さらに、生物処理槽6に併せ、蒸発槽8の水位が領域ア内かどうかを判断する(S6)。蒸発槽8の水位が、領域ア内であれば(S6:YES)、蒸発槽8の水位も下限水位を超えているので、生物処理槽6の水位をこれ以上上昇させないためにも、システム内の水量を低下させる必要があるものと判断し、ブロワー25を運転させ、凝縮装置50を停止させる(S11)。よって、蒸発槽8のろ過水の一部は蒸発するので、システム内の総水量が減少する。また、蒸発槽8の水位が、領域ア内にない場合(S6:NO)、領域イ内にあるので、ブロワー25、凝縮装置50を共に停止させる(S10)。
また、生物処理槽6の水位が、領域A内にも領域B内にもない場合(S3:NO、S5:NO)、水位は領域C内にある。生物処理槽6の水位が領域C内にある場合、トイレの使用頻度が低く、生物処理槽6に汚水がほとんど流入していないか、夏場などで気温が高く、水分の蒸発量が多いことが考えられる。このような場合は、ブロワー25を停止させ、凝縮装置50を運転させる(S9)。凝縮装置50が運転すると、各槽から蒸発する水蒸気は、凝縮装置50により凝縮され、凝縮水となって、生物処理槽6に供給される。したがって、システム内の総水量が適切に保持される。
このように、ブロワー25,凝縮装置50は、生物処理槽6および蒸発槽8の各水位に基づいて動作し、循環式水洗トイレシステム1内の総水量を、曝気および凝縮により調整する。なお、循環式水洗トイレシステム1内の各槽に貯留する汚水または処理水は、季節によって、水分が蒸発しやすい時期と、蒸発しにくい時期とがある。したがって、夏場のように水分が蒸発しやすい時期には、生物処理槽6に設定される下限水位を高めに設定する。すると、ブロワー25の運転により、水分が過度に蒸発するのを防ぐことができる。また、夏場とは反対に冬場のように水分が蒸発しにくい場合には、下限水位を低めに設定して、蒸発量が多くなるように設定する。また、下限水位は、生物処理槽6の下限水位のみならず、蒸発槽8の下限水位も、状況に応じて設定を変えるようにしてもよい。
以上説明したように、第1の実施形態の循環式水洗トイレシステム1によれば、制御装置11は、生物処理槽6の水位、および蒸発槽8の水位を、各フロートスイッチにより検出する。そして、生物処理槽6および蒸発槽8の各水位が高い場合は、ブロワー25を動作させ、蒸発槽8内のろ過水を曝気して、ろ過水の一部を蒸発させる。そして、ろ過水の蒸発量を調整することにより、生物処理槽6の水位を適正に調整し、循環式水洗トイレシステム1内の総水量を適正に調整することができる。さらに、生物処理槽6から汚水が溢れたりするのを未然に防ぐことができるので、循環式水洗トイレシステム1全体の運転を停止させる必要がない。
また、トイレの使用頻度が低く、生物処理槽6および蒸発槽8の水位が低い場合、凝縮装置50を運転させる。凝縮装置50が運転されると、各槽から蒸発する水蒸気は、凝縮装置50により凝縮され、凝縮水となって、生物処理槽6に供給される。そして、システム内の総水量が適切に保持される。さらに、ブロワー25は生物処理槽6には設けず、蒸発槽8に設けられているので、生物処理槽6の汚水中の水素イオン濃度に影響を与えない。したがって、微生物活性に影響を与えることなく、生物処理槽6の水位を調整することができる。このように、循環式水洗トイレシステム1内を循環する水量は、適切に調整されるため、微生物処理を安定して行うことができる。
次に、本発明の第2の実施形態の循環式水洗トイレシステム100について説明する。第2の実施形態の循環式水洗トイレシステム100では、生物処理槽6の水位および蒸発槽8の水位に基づいて、蒸発槽8に設けられた3つの蒸発手段(ブロワー25,ブロワー26,ヒータ27)を各々制御する。また、生物処理槽6の水位において、上限水位、下限水位に加え、これらの間で第1の水位と、第2の水位とを各々設定し、水位領域をさらに細かく分割することにより、各水位領域に応じた適切な蒸発量を調整するものである。
はじめに、第2の実施形態である循環式水洗トイレシステム100の概略構成について図5を参照して説明する。図5は、本発明の第2の実施形態である循環式水洗トイレシステム100の構成図である。図5に示すように、循環式水洗トイレシステム100の構成は、第1の実施形態の循環式水洗トイレシステム1の構成とほぼ同じ構成からなり、生物処理槽6および蒸発槽8において異なる構成を備える。なお、以下の説明において、第1の実施形態の循環式水洗トイレシステム1と異なる構成についてのみ説明し、同じ構成部分は省略するものとする。図5に示すように、第2の実施形態の循環式水洗トイレシステム100の蒸発槽8には、ブロワー25に接続された散気管25aと、ブロワー26に接続された散気管26aと、ヒータ27とが設けられている。そして、これらのブロワー25、ブロワー26およびヒータ27は、制御装置110に接続されている。また、ヒータ27は、加熱することにより、ろ過水を蒸発させるものである。なお、散気管25a、または散気管26aは、固定型の散気管であるが、蒸発槽8の水位に合わせて移動し、水面付近を曝気する(上部曝気)移動型の散気管を用いてもよい。
そして、生物処理槽6の水位を検出するフロートスイッチは、第1の実施形態では上限フロートスイッチ30および下限フロートスイッチ33の2つであったが、第2の実施形態の生物処理槽6では、上限フロートスイッチ30と下限フロートスイッチ33との間に、第1フロートスイッチ31、第2フロートスイッチ32が設けられている。そして、第1フロートスイッチ31は、上限水位側の水位地点に設けられ、第2フロートスイッチ32は下限水位側の水位地点に設けられている。そして、第1フロートスイッチ31,第2フロートスイッチ32は、他のフロートスイッチ(第1フロートスイッチ31、第2フロートスイッチ32)と同様に、制御装置110に接続されている。こうして、制御装置110は、上限フロートスイッチ30、第1フロートスイッチ31、第2フロートスイッチ32および下限フロートスイッチ33の検出信号に基づいて、生物処理槽6の水位を検出する。
次に、制御装置110における、ブロワー25、ブロワー26、ヒータ27、凝縮装置50および警告ランプ45の制御について、図5乃至図7を参照して説明する。図6は、生物処理槽6および蒸発槽8の各水位領域に基づく、ブロワー25、ブロワー26,ヒータ27、凝縮装置50および警告ランプ45の動作について示した表であり、図7は、制御装置11の、ブロワー25、ブロワー26、ヒータ27、凝縮装置50および警告ランプ45の制御について示すフローチャートである。図6に示すように、生物処理槽6の水位において、上限水位と、第1水位と、第2水位と、下限水位とが各々設定されている。そして、上限水位を超える領域を「領域A」,第1水位を超えて上限水位以下の領域を「領域B」、第2水位を超えて第1水位以下の領域を「領域C」、下限水位を超えて第2水位以下の領域を「領域D」、下限水位以下の領域を「領域E」として5つの領域に分割する。また、図6に示すように、蒸発槽8の水位においては、第1の実施形態と同様に、下限水位を設定することにより、下限水位を超える領域を「領域ア」,下限水位以下の領域を「領域イ」として設定する。そして、生物処理槽6および蒸発槽8の各水位に基づいて、ブロワー25、ブロワー26、ヒータ27、凝縮装置50および警告ランプ45の動作が予め設定されている。
次に、具体的な制御装置110の動作について、図6および図7を参照して説明する。まず、生物処理槽6において、上限フロートスイッチ30,第1フロートスイッチ31,第2フロートスイッチ32および下限フロートスイッチ33のオン、オフ信号を各々受信する(S21)。そして、受信したオン、オフ信号より、生物処理槽6の水位が、図6に示す「領域A」、「領域B」、「領域C」、「領域D」、「領域E」のいずれの領域に該当するかを判断する。さらに、蒸発槽8において、下限フロートスイッチ41のオン、オフ信号を各々受信する(S22)。そして、受信したオン、オフ信号より、蒸発槽8の水位が、図6に示す「領域ア」、「領域イ」のいずれの領域に該当するかを判断する。
そして、生物処理槽6の水位が、領域Aかどうかを判断する(S23)。生物処理槽6の水位が、領域A内にあれば(S23:YES)、警告ランプ45に運転信号を送信する(S28)。次いで、運転信号を受けて、警告ランプ45は点灯する。警告ランプ45が点灯することにより、トイレの使用禁止を使用者に報知する。よって、生物処理槽6には、水洗便器5から汚水が流入することがないので、生物処理槽6の水位が、これ以上上昇するのを防止することができる。
次に、蒸発槽8の水位が、領域アかどうかを判断する(S32)。そして、蒸発槽8の水位が領域ア内であれば(S32:YES)、ブロワー25,ブロワー26およびヒータ27を運転させて、凝縮装置50は停止させる(S41)。ブロワー25,ブロワー26およびヒータ27の全てを運転させるので、蒸発槽8内のろ過水の蒸発量を多くすることができる。そして、蒸発槽8の水位が低下し、システム全体の総水量が減少する。さらに、生物処理槽6の水位も低下する。また、蒸発槽8の水位が領域ア内でない場合は(S32:NO)、水位は領域イ内であるので、ブロワー25,ブロワー26,ヒータ27および凝縮装置50を停止させる(S40)。
また、生物処理槽6の水位が、領域A内にはない場合(S23:NO)、水位は、上限水位以下であるので、警告ランプ45に停止信号を送信し、警告ランプ45を消灯させる(S24)。そして、生物処理槽6の水位が、領域B内であるかどうかを判断する(S25)。水位が領域B内であれば(S25:YES)、生物処理槽6の水位は、予め設定された下限水位を超えている。また、生物処理槽6に併せ、蒸発槽8の水位が領域ア内かどうかを判断する(S31)。蒸発槽8の水位が、領域ア内であれば(S31:YES)、蒸発槽8の水位も下限水位を超えているので、システム内の水量を低下させる必要性があるものと判断し、ブロワー25,ブロワー26,ヒータ27の全てを運転させ、凝縮装置50は停止させる(S39)。よって、蒸発槽8のろ過水の一部は大量に蒸発するので、システム内の水量が急速に減少する。また、蒸発槽8内の水位が、領域ア内にない場合(S31:NO)、領域イ内にあるので、ブロワー25、ブロワー26,ヒータ27および凝縮装置50を全て停止させる(S38)。
また、生物処理槽6の水位が、領域A内および領域B内にはない場合(S23:NO,S25:NO)、水位が領域Cにあるかどうかを判断する(S26)。水位が領域C内であれば(S26:YES)、生物処理槽6の水位は、上限水位と下限水位との中間水位辺りにある。さらに、生物処理槽6に併せ、蒸発槽8の水位が領域ア内かどうかを判断する(S30)。蒸発槽8の水位が、領域ア内であれば(S30:YES)、蒸発槽8の水位も下限水位を超えているので、システム内の水量を低下させる必要性があるものと判断し、ブロワー25およびブロワー26を運転させ、ヒータ27および凝縮装置50を停止させる(S37)。よって、蒸発槽8のろ過水の蒸発量はやや減少するので、システム内の水量はやや緩やかに減少する。また、蒸発槽8の水位が、領域ア内にない場合(S30:NO)、領域イ内にあるので、ブロワー25、ブロワー26,ヒータ27および凝縮装置50を全て停止させる(S36)。
また、生物処理槽6の水位が、領域A内,領域Bおよび領域C内にはない場合(S23:NO、S25:NO、S26:NO)、水位が領域D内にあるかどうかを判断する(S27)。水位が領域D内であれば(S27:YES)、生物処理槽6の水位は、上限水位と下限水位との中間水位よりもやや低い水位辺りにある。そして、生物処理槽6に併せ、蒸発槽8の水位が領域ア内かどうかを判断する(S29)。蒸発槽8の水位が、領域ア内であれば(S29:YES)、蒸発槽8の水位は下限水位を超えているので、システム内の水量を少し低下させる必要性があるものと判断し、ブロワー25のみを運転させ、ブロワー26,ヒータ27および凝縮装置50を停止させる(S35)。よって、蒸発槽8のろ過水の蒸発量は少量となり、システム内の水量はかなり緩やかに減少する。また、蒸発槽8内の水位が、領域ア内にない場合(S29:NO)、領域イ内にあるので、ブロワー25、ブロワー26,ヒータ27および凝縮装置50を全て停止させる(S34)。
また、生物処理槽6の水位が、領域A内,領域B,領域Cおよび領域D内にはない場合(S23:NO,S25:NO,S26:NO,S27:NO)、水位は領域Eにあると判断される(S27:NO)。この時、生物処理槽6の水位は、下限水位以下であるため、システム内の水量は不足していると判断するものである。したがって、蒸発槽8での曝気および加熱を止め、各槽から蒸発する水蒸気を回収して、生物処理槽6に戻すように制御する。そこで、ブロワー25、ブロワー26,ヒータ27を全て停止させ、凝縮装置50のみを運転させる(S33)。すると、蒸発槽8のろ過水の蒸発量は少量となり、一方、各槽から蒸発する水蒸気は、凝縮装置50にて凝縮水に変換され、生物処理槽6に供給される。こうして、システム内の水量は減少せず、生物処理槽6の水位の低下を抑えることができる。
以上説明したように、第2の実施形態の循環式水洗トイレシステム100よれば、生物処理槽6の水位および蒸発槽8の水位に基づいて、蒸発槽8に設けられた3つの蒸発手段(ブロワー25,ブロワー26,ヒータ27)を各々制御する。そして、生物処理槽6の水位において、上限水位、下限水位に加え、第1の水位と、第2の水位とを設定し、水位領域をさらに細かく分割することにより、各水位領域に対応した蒸発量を各々調整する。したがって、生物処理槽6の水位の変動に対して、蒸発量を細かく調整することができる。また、生物処理槽6の水位の変動を小さくすることができるので、汚水の微生物処理を安定して持続させることができる。
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されることなく、各種の変形が可能である。例えば、生物処理槽6のpHが低く、脱窒菌の活性が低いような場合、またはシステム立ち上げ時のような場合に、易分解性有機物を供給する供給ポンプを設けてもよい。また、それら供給ポンプを制御装置により制御するようにしてもよい。
また、第1および第2の実施形態の生物処理槽6は一槽からなるが、例えば二槽からなる生物処理槽を設け、曝気量制御によって、好気槽(硝化槽)と嫌気槽(脱窒槽)とに分けてもよい。また、二槽のみならず、複数の槽からなる生物処理槽を設けてもよい。そして、各槽にブロワーを設け、pHに応じて、各々の動作を制御するようにしてもよい。
さらに、第1および第2の実施形態の脱色槽9と水洗便器5との間に、オゾン脱色処理された処理水を一時的に貯蔵する処理水タンクなどを設けてもよい。
また、第1および第2の実施形態の制御装置11,110は、ブロワー23を動作させるpHの閾値をpH7.5に設定して、生物処理槽6内のpHを制御しているが、この閾値は自由に設定可能である。また、pHの閾値を複数設け、pHセンサにより検出されたpHと各閾値とを互いに比較することにより、複数のブロワーを各々制御するようにしてもよい。また、pHの上限値(例えば、pH8)および下限値(例えば、pH7)を設定して、検出されたpH値と、各設定値とを比較することにより、ブロワーを制御するようにしてもよい。
さらに、第1および第2の実施形態のpHセンサ4は、ろ過槽7に設けられているが、ろ過槽7,生物処理槽6,蒸発槽8および脱色槽9のいずれの槽に設けてもよい。また、このpHセンサ4を、ろ過槽7,生物処理槽6,蒸発槽8および脱色槽9の全ての槽に設けてもよい。さらに、pHセンサ4を、汚泥または処理水が流れる管路内に設けてもよい。