JP4011164B2 - 光学フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶配向性および配向状態のガラス固定化が容易でかつ液晶配向状態の保持能力に優れ、光学素子への応用に好適な新規光学フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
高分子液晶は、高弾性、高剛性、耐熱性、成形性の良さといった力学的特性を利用して高性能材料分野において種々開発され、商品化も成されている。また高分子液晶が、液晶の持つ構造的かつ光学的な異方性と高分子に由来する配向の固定化能を兼ね備える性質を持っていることは周知である。近年では、当該性質を利用して高分子液晶を例えば液晶表示素子用光学部材などの機能性材料分野に用いるための研究開発が活発に成されている。
【0003】
ここで高分子液晶の持つ光学的異方性を最大限活用するためには、液晶分子を十分に配向させる必要がある。液晶分子の配向性を高めるためには、高分子液晶の構造単位が2官能性化合物から得られる構造単位であって、これらの構造単位が互いに直線上に配置するような分子構造をとることが好ましい。このような観点から、光学素子に用いられている従来の高分子液晶は、特開平6−220176号、特開平7−233249号公報などで示されるように2官能性化合物から得られる構造単位のみから構成されている。しかしながらこれらの高分子液晶から作製された光学素子は、ガラス転移点以上の温度で外力が加わった場合、配向が乱れてしまい配向保持能という点では十分ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、液晶配向のガラス固定化が容易でかつ配向保持能に優れた高分子液晶を見出し、当該高分子液晶を用いたフィルムを開発することにより上記課題を解決するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、主鎖をなす高分子鎖に特定の構造単位を導入した液晶性ポリエステルを用いて、フィルム化することにより、配向能、配向保持能に優れる新たな光学フィルムを発明した。
すなわち本発明は、下記に示す構造単位(A)および(B)を必須構造単位として有し、液晶転移点より高い温度においては液晶状態、液晶転移点より低い温度においてはガラス状態を呈し、かつフェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(重量比60/40)中、30℃で測定した対数粘度ηが0.04〜0.4dl/gの液晶性ポリエステルから実質的に形成されることを特徴とする光学フィルムに関する。
【0006】
【化2】
【0007】
但しXは独立にOまたはC=Oを示す。またYは独立にF、Cl、Brおよび炭素数1から4のアルキル基から選ばれる基を表す。さらにnは0または1である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に供される液晶性ポリエステルは、下記(A)および(B)で示される構造単位を必須構造単位として含有するものである。
構造単位(A)は、ベンゼントリカルボン酸またはトリヒドロキシベンゼン、具体的には、トリメシン酸(1,2,5−ベンゼントリカルボン酸)、トリメルティック酸(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸)、フロログリシノール(1,3,5−トリヒドロキシベンゼン)など、およびこれらの誘導体から形成される構造単位である。本発明では特にトリメシン酸およびその誘導体から形成される単位が好ましい。
【0009】
構造単位(A)は、液晶性ポリエステルを構成する構造単位中、通常0.05〜15モル%、好ましくは0.10〜7.5モル%、特に好ましくは0.20〜5モル%含まれる。0.05モル%より少ない場合、配向保持能の向上は得られない恐れがある。また15モル%より多い場合には、配向能が著しく低下する恐れがある。
次いで構造単位(B)は、カテコールおよびその誘導体から形成される構造単位である。具体的には、
【0010】
【化3】
【0011】
などを挙げることができる。
これらの中でも本発明では特に
【0012】
【化4】
【0013】
が好ましい。
構造単位(B)は、液晶性ポリエステルを構成する構造単位中、通常5〜60モル%、好ましくは7〜60モル%含む。5モル%より少ない場合、液晶配向のガラス固定化ができない恐れがある。
本発明に供される液晶性ポリエステルは、上記構造単位(A)および(B)を必須構造単位として、当該構造単位を主鎖をなす結合中に含まれているものであれば他の構造単位は特に限定されない。ポリエステル構造を形成しうる適宜の構造単位が用いられる。構造単位(A)および(B)以外の構造単位としては、例えば下記構造単位(C)、(D)、(E)および(F)などの芳香族系構造単位を挙げることができる。
【0014】
【化5】
【0015】
上記化学式中、AおよびBは各々カルボニル結合(C=O)または酸素(O)を示し、同一でも異なってもよい。またX、Yは各々F、Cl、Brおよび炭素数1〜4のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などを挙げることができる)からなる群から選ばれ、同一でも異なってもよく、mおよびnは0〜4の整数を示し、同一でも異なってもよい。
【0016】
これらの構造単位は、テレフタル酸またはその誘導体、置換テレフタル酸またはその誘導体、ヒドロキノンまたはその誘導体、置換ヒドロキノンまたはその誘導体、4−ヒドロキシ安息香酸またはその誘導体、置換4−ヒドロキシ安息香酸またはその誘導体、イソフタル酸またはその誘導体、置換イソフタル酸またはその誘導体、レゾルシノールまたはその誘導体、置換レゾルシノールまたはその誘導体、3−ヒドロキシ安息香酸またはその誘導体、置換3−ヒドロキシ安息香酸またはその誘導体、4,4’−ビフェニルジカルボン酸またはその誘導体、置換4,4’−ビフェニルジカルボン酸またはその誘導体、4,4’−ビフェノールまたはその誘導体、4,4’−置換ビフェノールまたはその誘導体、4’−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸またはその誘導体、置換4’−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸またはその誘導体、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはその誘導体、置換2,6−ナフタレンジカルボン酸またはその誘導体、2,6−ナフタレンジオールまたはその誘導体、置換2,6−ナフタレンジオールまたはその誘導体、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸またはその誘導体、置換6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸またはその誘導体から形成される単位であり、具体的には次のような単位を例示できる。
【0017】
【化6】
【0018】
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】
【化9】
【0021】
これらの中でも、
【0022】
【化10】
【0023】
【化11】
【0024】
【化12】
【0025】
が本発明に供される液晶性ポリエステルを構成する構造単位として有効である。
さらに上記構造単位以外として、
【0026】
【化13】
【0027】
などの構造単位も本発明に供される液晶性ポリエステルを構成する当該単位として有効である。
ここで本発明に供される好適な液晶性ポリエステルとしては、上述の如き、
(ア) 構造単位(A)であるトリメシン酸から誘導される単位(以下、トリメシン酸構造単位とよぶ)、
(イ) 構造単位(B)であるカテコール類から誘導される単位(以下、カテコール構造単位とよぶ)、
(ウ) ジカルボン酸類より誘導される単位(以下、ジカルボン酸構造単位とよぶ)、
(エ) カテコール以外のジオール類より誘導される単位(以下、ジオール構造単位という)、
(オ) 一つの構造単位中にカルボキシル基と水酸基を同時にもつオキシカルボン酸類より誘導される単位(以下、オキシカルボン酸構造単位とよぶ)、から通常構成されるものである。
【0028】
当該ポリエステルの構造としては、
(ア)+(イ)+(ウ)型、
(ア)+(イ)+(ウ)+(エ)型、
(ア)+(イ)+(ウ)+(オ)型、
(ア)+(イ)+(ウ)+(エ)+(オ)型
などを挙げることができる。
【0029】
液晶性ポリエステル中に占める各構造単位の好ましい割合は、当該ポリエステルを構成する構造単位により各構造単位の割合の最適値は異なるため一概には特定できない。通常ジオール構造単位とカテコール構造単位の官能基数の総和とジカルボン酸構造単位とトリメシン酸構造単位の官能基数の総和の比としては、0.90〜1.20の範囲、好ましくは0.95〜1.10の範囲、特に好ましくは1.00〜1.05の範囲である。またトリメシン酸構造単位のジカルボン酸単位とトリメシン酸単位の総和に占める割合は、通常10〜100モル%の範囲、好ましくは20〜100モル%の範囲、特に好ましくは30〜100モル%の範囲である。カテコール構造単位のジオール構造単位とカテコール構造単位の総和に占める割合は、通常10〜100モル%の範囲、好ましくは20〜100モル%の範囲、特に好ましくは30〜100モル%の範囲である。さらにヒドロキシカルボン酸構造単位の全構造単位に占める割合としては、通常0〜60モル%の範囲、好ましくは0〜50モル%の範囲、特に好ましくは0〜40モル%の範囲である。
ここで本発明に供することのできる好適な液晶性ポリエステルの具体的な構造を以下に例示する。なお本発明は、以下の液晶性ポリエステルに何ら限定されるものではない。
【0030】
【化14】
【0031】
(2e+2f)/(2c+3d)=0.90〜1.20、好ましくは0.95〜1.10、特に好ましくは1.00〜1.05
d/(c+d)=0.005〜0.30、好ましくは0.01〜0.15、特に好ましくは0.02〜0.10
f/(e+f)=0.3〜1.0、好ましくは0.4〜1.0
a/b=100/0〜0/100
(a+b)/(a+b+c+d+e+f)=0〜0.6
(a、b、c、d、e、fは各々モル組成比を示す)
【0032】
【化15】
【0033】
(2e+2f)/(2c+3d)=0.90〜1.20、好ましくは0.95〜1.10、特に好ましくは1.00〜1.05
d/(c+d)=0.005〜0.30、好ましくは0.01〜0.15、特に好ましくは0.02〜0.10
f/(e+f)=0.3〜1.0、好ましくは0.4〜1.0
a/b=100/0〜0/100
(a+b)/(a+b+c+d+e+f)=0〜0.6
(a、b、c、d、e、fは各々モル組成比を示す)
【0034】
【化16】
【0035】
(2e+2f)/(2c+3d)=0.90〜1.20、好ましくは0.95〜1.10、特に好ましくは1.00〜1.05
d/(c+d)=0.005〜0.30、好ましくは0.01〜0.15、特に好ましくは0.02〜0.10
f/(e+f)=0.3〜1.0、好ましくは0.4〜1.0
a/b=100/0〜0/100
(a+b)/(a+b+c+d+e+f)=0〜0.6
(a、b、c、d、e、fは各々モル組成比を示す)
【0036】
【化17】
【0037】
(2e+2f)/(2c+3d)=0.90〜1.20、好ましくは0.95〜1.10、特に好ましくは1.00〜1.05
d/(c+d)=0.005〜0.30、好ましくは0.01〜0.15、特に好ましくは0.02〜0.10
f/(e+f)=0.3〜1.0、好ましくは0.4〜1.0
a/b=100/0〜0/100
(a+b)/(a+b+c+d+e+f)=0〜0.6
(a、b、c、d、e、fは各々モル組成比を示す)
【0038】
【化18】
【0039】
2f/(2c+2d+3e)=0.90〜1.20、好ましくは0.95〜1.10、特に好ましくは1.00〜1.05
e/(c+d+e)=0.005〜0.30、好ましくは0.01〜0.15、特に好ましくは0.02〜0.10
a/b=100/0〜0/100
(a+b)/(a+b+c+d+e+f)=0〜0.6
(a、b、c、d、e、fは各々モル組成比を示す)
【0040】
【化19】
【0041】
2f/(2c+2d+3e)=0.90〜1.20、好ましくは0.95〜1.10、特に好ましくは1.00〜1.05
e/(c+d+e)=0.005〜0.30、好ましくは0.01〜0.15、特に好ましくは0.02〜0.10
a/b=100/0〜0/100
(a+b)/(a+b+c+d+e+f)=0〜0.6
(a、b、c、d、e、fは各々モル組成比を示す)
【0042】
【化20】
【0043】
(2e+2f)/(2c+3d)=0.90〜1.20、好ましくは0.95〜1.10、特に好ましくは1.00〜1.05
d/(c+d)=0.005〜0.30、好ましくは0.01〜0.15、特に好ましくは0.02〜0.10
f/(e+f)=0.3〜1.0、好ましくは0.4〜1.0
a/b=100/0〜0/100
(a+b)/(a+b+c+d+e+f)=0〜0.6
(a、b、c、d、e、fは各々モル組成比を示す)
【0044】
【化21】
【0045】
2e/(2c+3d)=0.90〜1.20、好ましくは0.95〜1.10、特に好ましくは1.00〜1.05
d/(c+d)=0.005〜0.30、好ましくは0.01〜0.15、特に好ましくは0.02〜0.10
a/b=100/0〜0/100
(a+b)/(a+b+c+d+e+f)=0〜0.6
(a、b、c、d、e、fは各々モル組成比を示す)
【0046】
【化22】
【0047】
(2e+2f)/(2b+2c+3d)=0.90〜1.20、好ましくは0.95〜1.10、特に好ましくは1.00〜1.05
d/(b+c+d)=0.005〜0.30、好ましくは0.01〜0.15、特に好ましくは0.02〜0.10
f/(e+f)=0.3〜1.0、好ましくは0.4〜1.0
a/(a+b+c+d+e+f)=0〜0.6
(a、b、c、d、e、fは各々モル組成比を示す)
【0048】
【化23】
【0049】
(2e+2f)/(2c+3d)=0.90〜1.20、好ましくは0.95〜1.10、特に好ましくは1.00〜1.05
d/(c+d)=0.005〜0.30、好ましくは0.01〜0.15、特に好ましくは0.02〜0.10
f/(e+f)=0.3〜1.0、好ましくは0.4〜1.0
a/b=100/0〜0/100
(a+b)/(a+b+c+d+e+f)=0〜0.6
(a、b、c、d、e、fは各々モル組成比を示す)
【0050】
【化24】
【0051】
(2e+2f)/(2c+3d)=0.90〜1.20、好ましくは0.95〜1.10、特に好ましくは1.00〜1.05
d/(c+d)=0.005〜0.30、好ましくは0.01〜0.15、特に好ましくは0.02〜0.10
f/(e+f)=0.3〜1.0、好ましくは0.4〜1.0
a/b=100/0〜0/100
(a+b)/(a+b+c+d+e+f)=0〜0.6
(a、b、c、d、e、fは各々モル組成比を示す)
【0052】
【化25】
【0053】
(2e+2f)/(2b+2c+3d)=0.90〜1.20、好ましくは0.95〜1.10、特に好ましくは1.00〜1.05
d/(b+c+d)=0.005〜0.30、好ましくは0.01〜0.15、特に好ましくは0.02〜0.10
f/(e+f)=0.3〜1.0、好ましくは0.4〜1.0
a/(a+b+c+d+e+f)=0〜0.6
(a、b、c、d、e、fは各々モル組成比を示す)
【0054】
【化26】
【0055】
2e/(2c+3d)=0.90〜1.20、好ましくは0.95〜1.10、特に好ましくは1.00〜1.05
d/(c+d)=0.005〜0.30、好ましくは0.01〜0.15、特に好ましくは0.02〜0.10
a/b=100/0〜0/100
(a+b)/(a+b+c+d+e+f)=0〜0.6
(a、b、c、d、e、fは各々モル組成比を示す)
【0056】
【化27】
【0057】
(2e+2f)/(2c+3d)=0.90〜1.20、好ましくは0.95〜1.10、特に好ましくは1.00〜1.05
d/(c+d)=0.005〜0.30、好ましくは0.01〜0.15、特に好ましくは0.02〜0.10
f/(e+f)=0.3〜1.0、好ましくは0.4〜1.0
a/b=100/0〜0/100
(a+b)/(a+b+c+d+e+f)=0〜0.6
(a、b、c、d、e、fは各々モル組成比を示す)
【0058】
【化28】
【0059】
2e/(2c+3d)=0.90〜1.20、好ましくは0.95〜1.10、特に好ましくは1.00〜1.05
d/(c+d)=0.005〜0.30、好ましくは0.01〜0.15、特に好ましくは0.02〜0.10
a/b=100/0〜0/100
(a+b)/(a+b+c+d+e)=0〜0.6
(a、b、c、d、eは各々モル組成比を示す)
【0060】
【化29】
【0061】
(2e+2f)/(2c+3d)=0.90〜1.20、好ましくは0.95〜1.10、特に好ましくは1.00〜1.05
d/(c+d)=0.005〜0.30、好ましくは0.01〜0.15、特に好ましくは0.02〜0.10
f/(e+f)=0.3〜1.0、好ましくは0.4〜1.0
a/b=100/0〜0/100
(a+b)/(a+b+c+d+e+f)=0〜0.6
(a、b、c、d、e、fは各々モル組成比を示す)
【0062】
【化30】
【0063】
(2e+2f)/(2c+3d)=0.90〜1.20、好ましくは0.95〜1.10、特に好ましくは1.00〜1.05
d/(c+d)=0.005〜0.30、好ましくは0.01〜0.15、特に好ましくは0.02〜0.10
f/(e+f)=0.3〜1.0、好ましくは0.4〜1.0
a/b=100/0〜0/100
(a+b)/(a+b+c+d+e+f)=0〜0.6
(a、b、c,d、e、fは各々モル組成比を示す)
【0064】
上述の如き液晶性ポリエステルは、当該分野で公知の重合法、例えば溶融重合法または溶液重合法を適用することにより合成することができる。
【0065】
溶融重合法により液晶性ポリエステルを合成する場合、
例えば所定量のトリメシン酸(構造単位(A)形成モノマー)、カテコール類のアセチル化物(構造単位(B)形成モノマー)および任意にジカルボン酸(ジカルボン酸構造単位形成モノマー)、ジオールのアセチル化物(ジオール構造単位形成モノマー)、ヒドロキシカルボン酸のアセチル化物(ヒドロキシカルボン酸構造単位形成モノマー)などを高温、常圧下、減圧下または高真空下で共重合させることによって、容易に目的のポリエステルを得ることができる。
【0066】
当該ポリエステルを構成する各構造単位の仕込み比としては、上述にて説明したようにポリエステル中、トリメシン酸(構造単位(A)形成モノマー)を0.05〜15mol%、より好ましくは0.10〜7.5mol%、特に好ましくは0.20〜5mol%、カテコール類(構造単位(B)形成モノマー)を5〜60mol%、好ましくは7〜60mol%含まれるように設定する。その他の任意成分であるジカルボン酸(ジカルボン酸構造単位形成モノマー)、ジオール(ジオール構造単位形成モノマー)およびヒドロキシカルボン酸(ヒドロキシカルボン酸構造単位形成モノマー)についても同様に、
▲1▼ジオール構造単位とカテコール構造単位の官能基数の総和とジカルボン酸構造単位とトリメシン酸構造単位の官能基数の総和の比としては、0.90〜1.20の範囲、好ましくは0.95〜1.10の範囲、特に好ましくは1.00〜1.05の範囲、
▲2▼トリメシン酸構造単位のジカルボン酸単位とトリメシン酸単位の総和に占める割合は、通常0.005〜0.30モル%の範囲、好ましくは0.01〜0.15モル%の範囲、特に好ましくは0.02〜0.10モル%の範囲、
▲3▼カテコール構造単位のカテコール構造単位とジオール構造単位の総和に占める割合は、通常30〜100mol%、好ましくは40〜100mol%の範囲、
▲4▼ヒドロキシカルボン酸構造単位の全構造単位に占める割合としては、通常0〜60モル%の範囲、好ましくは0〜50モル%の範囲、特に好ましくは0〜40モル%の範囲となるように設定する。
【0067】
重合条件は特に限定されないが、通常、温度150〜350℃、好ましくは200〜300℃、反応時間は30分以上、好ましくは1時間〜20時間程度である。また重合反応を促進させるために、例えば1−メチルイミダゾール、4−ジメチルアミノピリジンなどのアミン、アルカリ金属、Fe、Mn、Ti、Co、Sb、Snなどの金属塩を単独もしくは組み合わせて使用してもよい。またポリエステルの着色を低減させる目的で種々の酸化防止剤を添加しポリエステルを合成することもできる。さらに当該ポリエステルの分子量は、反応時間をコントロールすることにより等により通常の縮合反応同様容易に調整しうる。
【0068】
ここで液晶性ポリエステルの分子量は、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(重量比60/40)中、30℃で測定した対数粘度の値が通常0.04〜0.4dl/g、より好ましくは0.06〜0.3dl/gの範囲、特に好ましくは0.1〜0.25dl/gの範囲である。対数粘度が0.05dl/gより小さい場合には、ポリエステルから作成したフィルムの強度が弱くなる恐れがある。また0.4dl/gより大きい場合は、液晶形成時の粘度が高くなる恐れがある。粘度が高くなった場合、配向性の低下を招き配向に要する時間が長くなる等、当該ポリエステルをフィルム化する際に不都合が生じる可能性がある。
【0069】
さらに溶液重合法により本発明に供される液晶性ポリエステルを合成する場合、例えば所定量のトリメシン酸(構造単位(A)形成モノマー)、ジカルボン酸(ジカルボン酸構造単位形成モノマー)、及びヒドロキシカルボン酸(ヒドロキシカルボン酸構造単位形成モノマー)にチオニルクロライド等の塩素化剤を作用させてハライド化合物に変換した後、ピリジンなどの酸受容体の存在化溶媒に溶解したカテコール類、ジオール類を滴下し、室温または加熱下で反応させることにより、容易に目的のポリエステルを得ることができる。各モノマーの仕込み比は、上記溶融重合法と同様であり、トリメシン酸誘導体(構造単位(A)形成モノマー)を0.05〜15mol%、より好ましくは0.10〜7.5mol%、特に好ましくは0.20〜5mol%、カテコール類(構造単位(B)形成モノマー)を5〜60mol%、好ましくは7〜60mol%含まれるように設定する。その他の任意成分であるジカルボン酸(ジカルボン酸構造単位形成モノマー)、ジオール(ジオール構造単位形成モノマー)およびヒドロキシカルボン酸(ヒドロキシカルボン酸構造単位形成モノマー)についても同様に、
▲1▼ジオール構造単位とカテコール構造単位の官能基数の総和とジカルボン酸構造単位とトリメシン酸構造単位の官能基数の総和の比としては、0.90〜1.20の範囲、好ましくは0.95〜1.10の範囲、特に好ましくは1.00〜1.05の範囲、
▲2▼トリメシン酸構造単位のジカルボン酸単位とトリメシン酸単位の総和に占める割合は、通常10〜100モル%の範囲、好ましくは20〜100モル%の範囲、特に好ましくは30〜100モル%の範囲、
▲3▼カテコール構造単位のカテコール構造単位とジオール構造単位の総和に占める割合は、通常30〜100mol%、好ましくは40〜100mol%の範囲、
▲4▼ヒドロキシカルボン酸構造単位の全構造単位に占める割合としては、通常0〜60モル%の範囲、好ましくは0〜50モル%の範囲、特に好ましくは0〜40モル%の範囲となるように設定する。
【0070】
溶液重合する際に用いられる溶媒は特に限定されないが、例えばo−ジクロロベンゼン、ジクロロエタン、テトラクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)などの極性溶媒、テトラヒドロフラン(THF)ジオキサンなどのエーテル系溶媒などが挙げられる。また酸受容体としては、特に限定されないが、例えばピリジン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンなどが挙げられる。
【0071】
また溶液重合の際の反応条件は特に限定されないが、通常温度50〜200℃、好ましくは60〜150℃、反応時間は通常1時間以上、好ましくは2時間〜10時間程度である。さらに当該ポリエステルの分子量は、反応時間をコントロールすること等により通常の縮合反応同様容易に調整しうる。
【0072】
以上のようにして得られる液晶性ポリエステルは、組成比などにより異なるため一概には言えないが、通常液晶状態においてネマチック相、スメクチック相を形成しうる。さらに液晶状態にある当該液晶性ポリエステルを任意の冷却速度にて冷却した際、結晶相への相転移が実質的に発生しない。すなわち当該ポリエステルは、液晶状態においては例えばネマチック相またはスメクチック相を示し、かつ冷却することによりその配向状態を容易に固定化することができる。ここでネマチック相の固定化を行う場合について考える。ネマチック相の安定した固定化を行うためには、液晶の相系列で見た場合、ネマチック相より低温部に結晶相が存在すると、固定化のために冷却するときに必然的に結晶相を通過することになり、結果的に一度得られたネマチック配向が破壊されてしまう。本発明に供される液晶性ポリエステルは、基本的に液晶状態においてネマチック相またはスメクチック相を示し、液晶転移温度以下ではガラス状態を呈する。したがって液晶状態における分子配向状態、具体的にはネマチック配向状態またはスメクチック配向状態をそのま保持しうる特徴を有する。該特徴を利用することにより新たな光学フィルムを製造することができる。
【0073】
当該光学フィルムは、以下に説明する配向基板および各工程を踏み製造することが本発明においては好ましい。
【0074】
配向基板としては、具体的にはポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、フェノール樹脂などのプラスチックフィルム基板、表面にラビング処理が施された上記プラスチックフィルム基板および表面をスリット状にエッチング加工したアルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、フリントガラスなどのガラス基板などの面内の異方性を有しているものが好ましく用いられる。
【0075】
本発明の光学フィルムは、上記の如き配向基板上に均一に上述に説明した液晶性ポリエステルを塗布し、次いで均一配向過程、配向形態の固定化過程を経て得られる。液晶性ポリエステルの配向基板への塗布手段としては、通常、当該ポリエステルを各種溶媒に溶解した溶液状態または該ポリエステルを溶融した溶融状態で行うことができる。製造プロセス上、液晶性ポリエステルを溶媒に溶解した溶液を用いて塗布する、溶液塗布が望ましい。
【0076】
溶液塗布について説明する。
本発明の液晶性ポリエステルを溶媒に溶かし、所定濃度の溶液を調製する。フィルムの膜厚(液晶性ポリエステルより形成される層の膜厚)は、該ポリエステルを基板に塗布する段階で決まるため、精密に濃度、塗布膜の膜厚などの制御をする必要がある。
【0077】
好ましい溶媒は、本発明の液晶性ポリエステルの組成比などによって異なるため一概には言えないが、通常はクロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素類、アセトン、酢酸エチル、tert−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素など、およびこれらの混合溶媒、例えばハロゲン化炭化水素類とフェノール類との混合溶媒などが用いられる。
【0078】
溶液の濃度は、用いる液晶性ポリエステルの溶解性や最終的に目的とする光学フィルムの膜厚に依存するため一概には言えないが、通常3〜50重量%の範囲で使用され、好ましくは7〜30重量%の範囲である。
【0079】
上記の溶媒を用いて所望の濃度に調整した液晶性ポリエステルの溶液を、次に上述にて説明した配向基板上に塗布する。塗布の方法としては、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法などを採用できる。
【0080】
塗布後、溶媒を除去し、配向基板上に膜厚の均一な当該ポリエステルの層を形成させる。溶媒除去条件は、特に限定されず、溶媒がおおむね除去でき、液晶性ポリエステルの層が流動したり、流れ落ちたりさえしなければ良い。通常、室温での乾燥、乾燥炉での乾燥、温風や熱風の吹き付けなどを利用して溶媒を除去する。
【0081】
乾燥した後、通常50℃〜300℃、好ましくは100℃〜260℃の範囲において熱処理を行い、液晶状態において当該液晶性ポリエステルを配向させる。熱処理時間は、使用する液晶性ポリエステルの組成比などによって異なるため一概にはいえないが、通常10秒〜120分、好ましくは30秒〜60分の範囲である。10秒より短い場合、液晶状態において均一配向が不十分となる恐れがある。また120分より長い場合は、生産性が低下する恐れがあり望ましくない。
【0082】
上記の如くして、液晶性ポリエステルを液晶状態において配向基板上全面にわたって均一配向を形成させることができる。
【0083】
なお、本発明においては上記の熱処理工程において、液晶性ポリエステルを均一配向させるために磁場や電場を利用しても特に構わない。
【0084】
熱処理によって形成した均一配向を、次に当該ポリエステルの液晶転移点以下の温度に冷却することにより、該配向の均一性を全く損なわずに固定化することができる。
【0085】
上記冷却温度は、液晶転移点以下の温度であれば特に制限はない。たとえば液晶転移点より10℃低い温度において冷却することにより、均一な配向を固定化することができる。冷却の手段は、特に制限はなく、熱処理工程における加熱雰囲気中から液晶転移点以下の雰囲気中、例えば室温中に出すだけで固定化される。また、生産の効率を高めるために、空冷、水冷などの強制冷却、除冷を行ってもよい。
以上の工程によって、本発明の光学フィルムを得ることができる。
【0086】
該光学フィルムの使用形態としては、
▲1▼上述の配向基板を該フィルムから剥離して、光学フィルム単体で用いる、
▲2▼配向基板上に形成したそのままの状態で用いる、
▲3▼配向基板とは異なる別の基板に光学フィルムを積層して用いる、
ということなどが挙げられる。
【0087】
フィルム単体として用いる場合には、配向基板を光学フィルムとの界面で、ロールなどを用いて機械的に剥離する方法、構造材料すべてに対する貧溶媒に浸漬した後機械的に剥離する方法、貧溶媒中で超音波をあてて剥離する方法、配向基板と該フィルムとの熱膨張係数の差を利用して温度変化を与えて剥離する方法、配向基板そのもの、または配向基板上の配向膜を溶解除去する方法などによって、フィルム単体を得る。剥離性は、用いる液晶性ポリエステルの組成比などと配向基板との密着性によって異なるため、その系に最も適した方法を採用すべきである。なお光学フィルム単体で光学素子として用いる場合、膜厚によっては自己支持性のないことがあるが、その際には光学性質上好ましい基板、例えばポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリアリレート、ポリイミド、アモルファスポリオレフィン、トリアセチルセルロースなどのプラスチック基板上に接着剤または粘着剤を介して固定して用いるほうが、光学フィルムの強度、信頼性などのために望ましい。
【0088】
次に、配向基板上に形成した状態で光学フィルムを用いる場合について説明する。配向基板が透明で光学的に等方であるか、あるいは光学素子として用いる際に該配向基板が該素子にとって必要な部材である場合には、そのまま目的とする光学素子として使用することができる。
【0089】
さらに配向基板上で液晶性ポリエステルを配向固定化して得られた本発明の光学フィルムは、該基板から剥離して、光学用途により適した別の基板上に積層して使用することもできる。すなわち、該フィルムと配向基板とは異なる別の基板とから少なくとも構成される積層体を例えば光学素子としてTN−LCDなどに組み込むことができる。具体的には次のような方法を採ることができる。
【0090】
目的とする光学素子に適した基板(以下、第2の基板という)と配向基板上の光学フィルムとを、例えば接着剤または粘着剤を用いて貼りつける。次いで、配向基板を本発明の光学フィルムとの界面で剥離し、該フィルムを光学素子に適した第2の基板側に転写して光学素子を得ることができる。
【0091】
転写に用いられる第2の基板としては、適度な平面性を有するものであれば特に限定されないが、ガラス基板や透明で光学的等方性を有するプラスチックフィルムが好ましく用いられる。かかるプラスチックフィルムの例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、アモルファスポリオレフィン、トリアセチルセルロースあるいはエポキシ樹脂などをあげることができる。なかでもポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、トリアセチルセルロースなどが好ましく用いられる。また光学的に異方性であっても、光学素子にとって必要な部材である場合には、光学的異方性フィルムも用いることができる。このような例としては、ポリカーボネートやポリスチレンなどのプラスチックフィルムを延伸して得られる位相差フィィルム、偏光フィルムなどがある。
【0092】
転写に用いられる第2の基板と、本発明の光学フィルムとを貼り付ける接着剤または粘着剤としては、光学グレードのものが好ましく、アクリル系、エポキシ系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ゴム系、ウレタン系、およびこれらの混合系などを使用することができる。また接着剤としては、熱硬化型、光硬化型、電子線硬化型などのいずれの接着剤でも光学的等方性を有していれば問題なく使用することができる。
【0093】
本発明の光学フィルムを光学素子に適した第2の基板への転写は、第2の基板を光学フィルムに接着した後、配向基板を該フィルムとの界面で剥離することにより行える。剥離方法は、上述でも説明したが、ロールなどを用いて機械的に剥離する方法、貧溶媒中で超音波をあてて剥離する方法、配向基板と該フィルムとの熱膨張係数の差を利用して温度変化を与えて剥離する方法、配向基板そのもの、または配向基板上の配向膜を溶解除去する方法などを例示することができる。剥離性は、用いる液晶性ポリエステルの組成比などと配向基板との密着性によって異なるため、その系にもっとも適した方法を採用すべきである。
【0094】
また本発明の光学フィルムは、表面保護、強度増加、環境信頼性向上などの目的のために透明プラスチックフィルムなどの保護層を設けることもできる。
【0095】
さらには当該光学フィルムに偏光板や位相差フィルムなどの他の光学部材と組み合わせることもできる。
【0096】
以上説明した本発明の光学フィルムを特徴付ける光学パラメーターとしては、膜厚および面内リターデーション値を挙げることができる。これら光学パラメーターは、本光学フィルムの用途により異なるため一概には言えないが、膜厚としては通常0.1μm〜20μm、好ましくは0.2μm〜10μm、特に好ましくは0.3μm〜5μmである。また面内リターデーション値は、550nmの単色光に対して、通常10nm〜4000nmの範囲、好ましくは20nm〜3000nmの範囲、特に好ましくは30nm〜2000nmの範囲である。ここで本発明でいう面内リターデーション値とは、フィルム面内の複屈折率と膜厚との積を意味する。
【0097】
以上の如き本発明の光学フィルムは、配向能に優れることは無論のこと、液晶配向のガラス固定化が容易であり、かつ液晶配向状態の保持能力に優れている。したがって高温耐久性を要求される各種光学素子、例えば位相差フィルム、視野角改善用フィルム、色補償フィルム、偏光板などの用途に広く用いることができ、その工業的利用価値は非常に大きい。
【0098】
【実施例】
以下に実施例を述べるが、本発明はこれらに制限されるものではない。なお、実施例で用いた各分析法は以下の通りである。
(1)液晶性ポリエステルの組成決定
ポリマーを重水化クロロホルムまたは重水素化トリフルオロ酢酸に溶解し、
400MHzの 1H−NMR(日本電子製JNM−GX400)で測定し決定した。
(2)対数粘度の測定
ウベローデ型粘度計を用い、フェノール/テトラクロロエタン(60/40重量比)混合溶媒中、30℃で測定した。
(3)液晶相系列の決定
DSC(Perkin Elmer DSC−7)測定および光学顕微鏡(オリンパス光学(株)製BH2偏光顕微鏡)観察により決定した。
(4)屈折率の測定
アッベ屈折計(アタゴ(株)製Type−4)により屈折率を測定した。
(5)偏光解析
(株)溝尻光学工業製エリプソメーターDVA−36VWLDを用いて行った。
(6)膜厚測定
SLOAN製SURFACE TEXTURE ANALYSIS SY−STEM Dektak 3030STを用いた。また、干渉波測定(日本分光(株)製 紫外・可視・近赤外分光光度計V−570)と屈折率のデータから膜厚を求める方法も併用した。
【0099】
〔実施例1〕
p−アセトキシ安息香酸100mmol、テレフタル酸85mmol、トリメシン酸10mmol、メチルヒドロキノンジアセテート50mmolおよびカテコールジアセテート50mmolを窒素気流下で280℃で8時間加熱攪拌しポリエステルを合成した。得られたポリエステルのηinh は0.200(dl/g)であった。DSC測定、偏光顕微鏡観察の結果、Tgは98℃でガラス相を有しており、Tgより高い温度においてはネマチック相を示した。このポリエステルの15wt%のフェノール/テトラクロロエタン(60/40重量比)混合溶媒溶液を調製し、ラビング処理したポリイミド膜を有するガラス上にスピンコート法により塗布した。70℃のホットプレート上で1時間乾燥したのち、200℃のクリーンオーブン中で30分間熱処理した後、オーブンから取り出し自然放冷した。得られたポリエステルフィルムの膜厚は、4.2μm、屈折率測定の結果複屈折率Δnは0.19であり、リターデーションは800nmであった。ガラス基板上に形成された液晶性ポリエステルフィルムは透明であり、偏光顕微鏡観察よりネマチック相が固定化されていることが分かった。
【0100】
次に、配向の保持能を調べるために以下の試験を行った。ガラス基板上のポリエステルフィルムの上にポリビニルブチラールシートを置き、さらにその上からガラスを置いた。このサンプルを減圧下80℃で30分保持した後、常圧、常温に戻した。
【0101】
次いで上記サンプルを8kgf/cm2 の加圧下、Tgより20℃高い温度である118℃で30分保持した後、常圧、常温に戻した。サンプルを偏光板に挟んで行う目視観察および偏光顕微鏡観察の結果、配向の乱れが無く試験前の配向状態が保持されていることが分かった。
【0102】
〔比較例1〕
p−アセトキシ安息香酸100mmol、テレフタル酸100mmol、メチルヒドロキノンジアセテート50mmolおよびカテコールジアセテート50mmolを原料とし、実施例1と同様の方法によりポリエステルを合成した。得られたポリエステルのηinh は0.202(dl/g)であった。DSC測定、偏光顕微鏡観察の結果、Tgは95℃でガラス相を有しており、Tgより高い温度においてはネマチック相を示した。実施例1と同様の方法によりガラス基板上にポリエステルフィルムを作製した。得られた液晶性ポリエステルフィルムの膜厚は、4.1μm、Δnは0.20であり、リターデーション値は820nmであった。ガラス基板上に形成された液晶性ポリエステルフィルムは透明であり、偏光顕微鏡観察によりネマチック相が固定化されていることが分かった。次に配向保持能を調べた。実施例1と同一条件の配向保持試験を行ったのち、サンプルを偏光板に挟んで目視観察を行った結果、配向の乱れが生じており配向保持性能が無いことが分かった。
【0103】
〔実施例2〜5〕
実施例1に準じて実施例2〜5のポリエステルを合成した。実施例1と同様の方法により液晶性ポリエステルフィルムを作製し、配向保持能試験に供した。得られたポリエステルの性状、配向保持能試験の条件、試験結果を表2に示したが、いずれも実施例1と同様にネマチック相の固定化が可能であり、配向保持能を有していることが分かった。
【0104】
〔比較例2〜5〕
実施例1に準じて比較例2〜5のポリエステルを合成した。実施例1と同様の方法により液晶性ポリエステルフィルムを作製し、配向保持能試験に供した。得られたポリエステルの性状、配向保持能試験の条件、試験結果を表2に示したが、いずれも比較例1と同様にネマチック相の固定化が可能であったが、配向保持能が無いことが分かった。
実施例および比較例の結果を次表に示す。
【0105】
【表1】
【0106】
【表2】
【0107】
【表3】
【0108】
【表4】
【0109】
【表5】
【0110】
【表6】
【0111】
【表7】
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