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JP4010286B2 - 有機elディスプレイの製造方法 - Google Patents

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Description

近年、情報通信の高速化と応用範囲の拡大が急速に進んでいる。この中で、表示デバイスに関して、携帯性や動画表示の要求に対応可能な低消費電力・高速応答性を有する高精細な表示デバイスの考案が広くなされている。
中でもカラー化方式に対して、薄膜トランジスタ(TFT)を用いた駆動方式のカラー表示装置が考案されている。この場合、TFTが形成されている基板側に光を取り出す方式では、配線部分の遮光効果により開口率が上がらないため、最近ではTFTが形成されている基板とは反対側に光を取り出す方式、いわゆるトップエミッション方式が考案されてきている。
トップエミッション方式と、分離配置した蛍光体に励起光を吸収させてそれぞれの蛍光体から多色の蛍光を発光させる色変換方式とを組み合わせることにより、高精細かつ高輝度の有機ELディスプレイを提供できる可能性が示されてきている(特許文献1および2参照)。
従来技術の有機ELディスプレイの構造を示す断面概略図を図3に示す。基板602の上に、TFT604、下部電極606、有機EL層608、上部電極610を形成する。一方、透明基板616の上に色変換フィルタ層612およびブラックマスク614を形成する。次に基板602の周辺に、たとえば室温硬化型二液エポキシ系接着剤を使用して外周封止層618を形成し、透明基板616との貼り合わせを行う。この時、2枚の基板の間には内部空間620が形成される。
この構造では、内部空間620と上部電極610との界面および/または内部空間620と色変換フィルタ層612との界面において、有機EL層608からの発光の一部が反射され、ディスプレイの発光効率が低下する恐れがある。
一方、トップエミッション方式EL素子の上部に、該素子の全面に配置される接着剤を用いてカバー基板を貼り合わせる際に、カバー基板を凸面状に湾曲させた状態で貼り合わせることが試みられている(特許文献3参照)。このような工程を用いることにより、EL素子とカバー基板との間に気泡(微細な内部空間に相当する)が入ることを防止している。
特開平11−251059号公報 特開2000−77191号公報 特開平11−283739号公報 特開平5−134112号公報 特開平7−218717号公報 特開平7−306311号公報 特開平5−119306号公報 特開平7−104114号公報 特開平6−300910号公報 特開平7−128519号公報 特開平8−279394号公報 特開平9−330793号公報 特開平5−36475号公報
したがって、有機EL発光素子と色変換フィルタを貼り合わせて形成されるディスプレイにおいて、該ディスプレイ内部における反射を抑制し、発光効率を向上させることが望まれている。
ディスプレイ内部での反射を抑制するためには、有機EL発光素子と色変換フィルタとを接触させるようにして貼り合わせることが考えられる。しかしながら、その場合には、接着時に印加される圧力によって有機EL発光素子および色変換フィルタの変形およびそれに伴う故障、あるいは接触面における気泡の混入が発生するために好ましくない。そこで、内部空間に充填材料を充填することが有効である。
内部空間に充填材料を充填する場合には、有機EL発光素子および/または色変換フィルタとの接触面において気泡を発生させないこと、および接着時に充填材料が変形して有機EL発光素子の基板と色変換フィルタの基板とを平行に保持できることが重要である。なぜなら、そのような気泡において有機EL発光素子からの光の反射および屈折が起こり、発光効率および表示品質の低下が起こるからである。
1つの方法としては、いずれかの基板上に充填材料を配置した後に、真空環境下で有機EL発光素子と色変換フィルタとを加圧接着する方法がある。この方法では気泡の原因となる空気を排除することができるが、真空装置を必要とし、工程が複雑になる。
別の方法としては、いずれかの基板の周縁部に設ける接着層に充填材料の注入口(開口部)を設けて貼り合わせ、その後に注入口より充填材料を注入し、充填後に注入口を封止(エンドシール)することが考えられる。この方法では、接着層に対する注入口を設置およびエンドシールのような工程が追加されるので、コストアップを招く。
以上のことから、有機EL発光素子と色変換フィルタを貼り合わせて形成されるディスプレイの製造において、有機EL発光素子と色変換フィルタとの間に、気泡を発生させることなしに充填材料を簡便な方法で充填して、得られるディスプレイの発光効率および表示品質を向上させることができる方法が望まれている。
本発明の有機ELディスプレイの製造方法は、基板上に、第1電極と、有機EL層と、第2電極とを形成して、有機EL発光素子を準備する工程と;透明基板上に色変換フィルタ層を形成する工程と;前記色変換フィルタ層の上にテーパー形状の充填剤層を形成して、色変換フィルタを準備する工程と;前記色変換フィルタの周縁部に外周封止層を形成する工程と;前記有機EL発光素子と前記色変換フィルタとを、前記基板と前記透明基板とが略平行の状態で貼り合わせる工程と;前記外周封止層を硬化させる工程とを含むことを特徴とする。上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
以上に述べたとおり、本発明の記載のように、貼り合わせ前の充填剤層をテーパー形状に成形することにより、貼り合わせ時の気泡の封入を防止することができる。本発明の方法は、大気圧下で実施することが可能であり、真空装置あるいは外周封止層のエンドシール工程を用いない簡便な工程によって、表示品質に優れたディスプレイの形成を可能とする。
また、充填剤層として波長400〜800nmの光に対して50%以上の透過率および1.2〜2.5の屈折率を有する材料を用いることにより、有機EL層の発光を効率よく色変換フィルタ層へと透過することが可能となる。
本発明の有機ELディスプレイの構造およびその製造方法を図1および図2を参照して説明する。図1において、(a)は有機EL発光素子160を示し、(b)は外周封止層130を設けた色変換フィルタ150を示し、および(c)は色変換フィルタ150と有機EL発光素子160とを貼り合わせて製造される有機ELディスプレイ140を示す断面図である。図2は、本発明の別の製造方法を説明するための図であり、(a)は有機EL発光素子160(図1(a)のものと同一である)を示し、(b)は外周封止層130を設けた色変換フィルタ150を示し、および(c)は色変換フィルタ150と有機EL発光素子160とを貼り合わせて製造される有機ELディスプレイ140を示す断面図である。
[構成要素]
(1)第1の基板102
第1の基板102として、ガラスやプラスチックなどからなる絶縁性基板、または、半導電性や導電性基板に絶縁性の薄膜を形成した基板を用いることができる。
(2)TFT104
TFT104は、アクティブマトリクス駆動を行うためのスイッチング素子である。TFT104は、第1の基板102上にマトリクス状に配置され、各画素に対応した第1電極108にソース電極またはドレイン電極が接続される。好ましくは、TFT104は、ゲート電極をゲート絶縁膜の下に設けたボトムゲートタイプで、能動層として多結晶シリコン膜を用いた構造である。
TFT104のドレイン電極およびゲート電極に対する配線部、並びにTFT自身の構造は、所望される耐圧性、オフ電流特性、オン電流特性を達成するように、当該技術において知られている方法により作成することができる。また、トップエミッション方式を用いる本発明の有機ELディスプレイにおいてはTFT部を光が通過しないので、開口率を増加させるためにTFTを小さくする必要がなく、TFT設計の自由度を高くすることができるので、上記の特性を達成するために有利である。
(3)平坦化絶縁膜106
任意選択的ではあるが、TFT104の上部に平坦化絶縁膜106を形成することが好ましい。平坦化絶縁膜106は、TFT104のソース電極またはドレイン電極と第1電極108との接続およびその他の回路の接続に必要な部分以外に設けられ、基板表面を平坦化して引き続く層の高精細なパターン形成を容易にする。平坦化絶縁膜106は、当該技術に知られている任意の材料により形成することができる。好ましくは、無機酸化物または窒化物、あるいはポリイミドまたはアクリル樹脂から形成される。
(4)第1電極108
第1電極108は、陽極または陰極のいずれであってもよい。第1電極108を陽極として用いる場合、正孔の注入を効率よく行うために、仕事関数が大きい材料が用いられる。特に通常の有機EL素子では、陽極を通して光が放出されるために陽極が透明であることが要求され、ITO等の導電性金属酸化物が用いられる。本発明のトップエミッション方式では透明であることは必要ではないが、ITO、IZOなどの導電性金属酸化物を用いて第1電極108を形成することができる。さらに、ITOなどの導電性金属酸化物を用いる場合、その下に反射率の高いメタル電極(Al,Ag,Mo,Wなどの金属、NiP、NiB、CrP、CrBなどのアモルファス金属または合金、あるいはNiAlなどの微結晶性合金)を用いることが好ましい。このメタル電極は、導電性金属酸化物より抵抗率が低いので補助電極として機能すると同時に、有機EL層110にて発光される光を色変換フィルタ150側に反射して光の有効利用を図ることが可能となる。
第1電極108を陰極として用いる場合、仕事関数が小さい材料であるリチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属、またはこれらのフッ化物等からなる電子注入性の金属、その他の金属との合金や化合物が用いられる。前述と同様に、その下に反射率の高いメタル電極(前記と同様の材料を用いることができる)を用いてもよく、その場合には低抵抗化および反射による有機EL層110の発光の有効利用を図ることができる。
図1(a)および図2(a)に示されるようなTFTによるアクティブマトリクス駆動を行う場合、第1電極108は、TFT104それぞれに対応して分離した形態で平坦化絶縁膜106上に形成され、TFT104のソース電極またはドレイン電極と接続される。ソース電極と接続される場合は陽極として機能し、ドレイン電極と接続される場合は陰極として機能する。TFT104と第1電極108とは、平坦化絶縁膜内に設けられたコンタクトホールに充填された導電性プラグによって接続される。導電性プラグは、第1電極108と一体に形成されてもよいし、あるいは金、銀、銅、アルミニウム、モリブデン、タングステンなどの低抵抗の金属類を用いて形成されてもよい。
(5)有機EL層110
本発明の色変換方式の有機ELディスプレイにおいては、有機EL層110は近紫外から可視領域の光、好ましくは青色から青緑色領域の光を発する。そしてその光を色変換フィルタ層に入射させて、所望される色を有する可視光を放出する。
有機EL層110は、少なくとも有機EL発光層を含み、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有する。具体的には、下記のような層構成からなるものが採用される。
(1)有機EL発光層
(2)正孔注入層/有機EL発光層
(3)有機EL発光層/電子注入層
(4)正孔注入層/有機EL発光層/電子注入層
(5)正孔注入層/正孔輸送層/有機EL発光層/電子注入層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/有機EL発光層/電子輸送層/電子注入層
(上記において、陽極は有機EL発光層または正孔注入層に接続され、陰極は有機EL発光層または電子注入層に接続される)
上記各層の材料としては、公知のものが使用される。青色から青緑色の発光を得るためには、有機EL発光層中に、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、べンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などが好ましく使用される。
(6)第2電極112
第2電極112は、有機EL層110に対して電子または正孔を効率よく注入することとともに、有機EL層110の発光波長域において透明であることが求められる。第2電極112は、波長400〜800nmの光に対して50%以上の透過率を有することが好ましい。
第2電極112を陰極として用いる場合、その材料は、電子を効率よく注入するために仕事関数が小さいことが求められる。さらに、有機EL層の発する光の波長域において透明であることが必要とされる。これら2つの特性を両立するためには、第2電極112を複数層からなる積層構造とすることが好ましい。なぜなら、仕事関数の小さい材料は、一般的に透明性が低いからである。すなわち、有機EL層110と接触する部位に、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属、またはこれらのフッ化物等からなる電子注入性の金属、その他の金属との合金や化合物の極薄膜(10nm以下)を用いる。これらの仕事関数の小さい材料を用いることにより効率のよい電子注入を可能とし、さらに極薄膜とすることによりこれら材料による透明性低下を最低限とすることが可能となる。該極薄膜の上には、ITOまたはIZOなどの透明導電膜を形成する。これらの導電膜は補助電極として機能し、第2電極112全体の抵抗値を減少させ有機EL層110に対して充分な電流を供給することを可能にする。
第2電極112を陽極として用いる場合、正孔注入効率を高めるために仕事関数の大きな材料を用いる必要がある。また、有機EL層110からの発光が第2電極を通過するために透明性の高い材料を用いる必要がある。したがって、この場合にはITOまたはIZOのような透明導電性材料を用いることが好ましい。
図1(a)および図2(a)に示されるようなアクティブマトリクス駆動有機EL発光素子の場合、第2電極112は、パターニングをされていない均一電極として形成することができる。
(7)パッシベーション層114
以上のように形成される第2電極112以下の各層を覆うパッシベーション層114が設けられる。パッシベーション層114は、外部環境からの酸素、低分子成分および水分の透過を防止し、それらによる有機EL層110の機能低下を防止することに有効である。パッシベーション層114は、任意選択の層であるが、上記目的のために設けることが好ましい層である。パッシベーション層114は、有機EL層110の発光を色変換フィルタ層へと透過させるために、その発光波長域において透明であることが好ましい。
これらの要請を満たすために、パッシベーション層114は、可視域における透明性が高く(400〜800nmの範囲で透過率50%以上)、電気絶縁性を有し、水分、酸素および低分子成分に対するバリア性を有し、好ましくは鉛筆硬度2H以上の膜硬度を有する材料で形成される。例えば、SiO、SiN、SiN、AlO、TiO、TaO、ZnO等の無機酸化物、無機窒化物等の材料を使用できる。該パッシベーション層の形成方法としては特に制約はなく、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法、ディップ法、ゾル−ゲル法等の慣用の手法により形成できる。
また、パッシベーション層として種々のポリマー材料を用いることができる。イミド変性シリコーン樹脂(特許文献4〜6参照)、無機金属化合物(TiO、Al、SiO等)をアクリル、ポリイミド、シリコーン樹脂等の中に分散した材料(特許文献7、8参照)、アクリレートモノマー/オリゴマー/ポリマーの反応性ビニル基を有した樹脂、レジスト樹脂(特許文献9〜12参照)、フッ素系樹脂(特許文献12、13参照)、または高い熱伝導率を有するメソゲン構造を有するエポキシ樹脂などの光硬化性樹脂および/または熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらポリマー材料を用いる場合にも、その形成法は特に制限はない。たとえば、乾式法(スパッタ法、蒸着法、CVD法など)、あるいは湿式法(スピンコート法、ロールコート法、キャスト法など)のような慣用の手法により形成することができる。
上述のパッシベーション層114は、単層であっても、複数の層が積層されたものであってもよい。パッシベーション層114の厚さ(複数の層の積層物である場合は全厚)は、0.1〜10μmであることが好ましい。
(8)透明基板116
透明基板116は、色変換フィルタ層によって変換された光に対して透明であることが必要である。また、透明基板116は、色変換フィルタ層およびブラックマスクの形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐えるものであるべきであり、さらに寸法安定性に優れていることが好ましい。透明基板116は、波長400〜800nmの光に対して50%以上の透過率を有することが好ましい。
透明基板116の材料として好ましいものは、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート等の樹脂を含む。ホウケイ酸ガラスまたは青板ガラス等が特に好ましいものである。
(9)色変換フィルタ層
本明細書において、色変換フィルタ層は、カラーフィルタ層118、色変換層120、およびカラーフィルタ層118と色変換層120との積層体の総称である。色変換層120は、有機EL層110にて発光される近紫外領域ないし可視領域の光、特に青色ないし青緑色領域の光を吸収して異なる波長の可視光を蛍光として発光するものである。フルカラー表示を可能にするためには、少なくとも青色(B)領域、緑色(G)領域および赤色(R)領域の光を放出する独立した色変換フィルタ層が設けられる。RGBそれぞれの色変換層は、少なくとも有機蛍光色素とマトリクス樹脂とを含む。
1)有機蛍光色素
本発明において、好ましくは、少なくとも赤色領域の蛍光を発する蛍光色素の1種類以上を用い、さらに緑色領域の蛍光を発する蛍光色素の1種類以上と組み合わせてもよい。これは、光源として青色ないし青緑色領域の光を発光する有機EL層110を用いる場合、有機EL層110からの光を単なる赤色フィルタに通して赤色領域の光を得ようとすると、元々赤色領域の波長の光が少ないために極めて暗い出力光になってしまうからである。
したがって、有機EL層110からの青色ないし青緑色領域の光を、蛍光色素によって赤色領域の光に変換することにより、十分な強度を有する赤色領域の光の出力が可能となる。発光体から発せられる青色から青緑色領域の光を吸収して、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えばローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジニウムパークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
発光体から発せられる青色ないし青緑色領域の光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えば3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノ−クマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素、あるいはクマリン色素系染料であるベーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
さらに、青色領域の光に関しては、有機EL層110が発する近紫外光または青緑色光の波長分布変換を行って青色光を出力する青色変換層を含んでもよい。ただし、有機EL層110が青色から青緑色の光を発する場合、青色カラーフィルタ層のみを用いることが好ましい。
有機EL層110が白色発光する場合には、カラーフィルタ層のみにて所望の色を得ることができるが、各色変換層を用いることによりカラーフィルタ層のみの場合よりも高い効率で3原色の発光を得ることが可能となる。
なお、本発明に用いる有機蛍光色素を、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、アルキッド樹脂、芳香族スルホンアミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂およびこれらの樹脂混合物などに予め練り込んで顔料化して、有機蛍光顔料としてもよい。また、これらの有機蛍光色素や有機蛍光顔料(本明細書中で、前記2つを合わせて有機蛍光色素と総称する)は単独で用いてもよく、蛍光の色相を調整するために2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の色変換層120は、該色変換層の重量を基準として0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%の有機蛍光色素を含有する。前記含有量範囲の有機蛍光色素を用いることにより、濃度消光などの効果による色変換効率の低下を伴うことなしに、充分な波長変換を行うことが可能となる。
2)マトリクス樹脂
次に、本発明の色変換層に用いられるマトリクス樹脂は、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂(レジスト)を光および/または熱処理して、ラジカル種またはイオン種を発生させて重合または架橋させ、不溶不融化させたものである。また、色変換層のパターニングを行うために、該光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂は、未露光の状態において有機溶媒またはアルカリ溶液に可溶性であることが望ましい。
具体的には、マトリクス樹脂は、(1)アクロイル基やメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと、光または熱重合開始剤とからなる組成物膜を光または熱処理して、光ラジカルまたは熱ラジカルを発生させて重合させたもの、(2)ボリビニル桂皮酸エステルと増感剤とからなる組成物を光または熱処理により二量化させて架橋したもの、(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドとからなる組成物膜を光または熱処理してナイトレンを発生させ、オレフィンと架橋させたもの、および(4)エポキシ基を有するモノマーと酸発生剤とからなる組成物膜を光または熱処理により、酸(カチオン)を発生させて重合させたものなどを含む。特に、(1)のアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと光または熱重合開始剤とからなる組成物を重合させたものが好ましい。なぜなら、該組成物は高精細なパターニングが可能であり、および重合した後は耐溶剤性、耐熱性等の信頼性が高いからである。
本発明で用いることができる光重合開始剤、増感剤および酸発生剤は、含まれる蛍光変換色素が吸収しない波長の光によって重合を開始させるものであることが好ましい。本発明の色変換層において、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂中の樹脂自身が光または熱により重合することが可能である場合には、光重合開始剤および熱重合開始剤を添加しないことも可能である。
マトリクス樹脂(色変換層)は、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂、有機蛍光色素および添加剤を含有する溶液または分散液を、支持基板上に塗布して樹脂の層を形成し、そして所望される部分の光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を露光することにより重合させて形成される。所望される部分に露光を行って光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂を不溶化させた後に、パターニングを行う。該パターニングは、未露光部分の樹脂を溶解または分散させる有機溶媒またはアルカリ溶液を用いて、未露光部分の樹脂を除去するなどの慣用の方法によって実施することができる。
3)構成および形状
赤色に関しては、赤色変換層120Rのみから形成されてもよい。しかし、蛍光色素による変換のみでは十分な色純度が得られない場合は、図1(a)に示されるように赤色変換層120Rとカラーフィルタ層118Rとの積層体としてもよい。カラーフィルタ層118Rを併用する場合、カラーフィルタ層118Rの厚さは1〜1.5μmであることが好ましい。
また、緑色に関しては、緑色変換層120Gのみから形成されてもよい。しかし、蛍光色素による変換のみでは十分な色純度が得られない場合は、図1(a)に示されるように緑色変換層120Gとカラーフィルタ層118Gとの積層体としてもよい。カラーフィルタ層118Gを併用する場合、カラーフィルタ層118Gの厚さは1〜1.5μmであることが好ましい。あるいはまた、有機EL層110の発光が緑色領域の光を充分に含む場合には、カラーフィルタ層118Gのみとしてもよい。カラーフィルタ層118Gのみを用いる場合、その厚さは0.5〜10μmであることが好ましい。
一方、青色に関しては、図1に示されるようにカラーフィルタ層118Bのみとすることができる。カラーフィルタ層118Bのみを用いる場合、その厚さは0.5〜10μmであることが好ましい。
色変換フィルタ層の形状は、よく知られているように各色ごとに分離したストライプパターンとしてもよいし、各画素のサブピクセルごとに分離させた構造を有してもよい。
(10)ブラックマスク122
各色に対応する色変換フィルタ層の間の領域には、ブラックマスク122を形成することが好ましい。ブラックマスクを設けることによって、隣接するサブピクセルの色変換フィルタ層への光の漏れを防止して、にじみのない所望される蛍光変換色のみを得ることが可能となる。後述する有機ELディスプレイの封止を妨げないことを条件として、透明基板116上の色変換フィルタ層が設けられている領域の周囲にブラックマスクを設けてもよい。ブラックマスク122は、好ましくは0.5〜2.0μmの厚さを有する。
(11)オーバーコート層124
色変換フィルタ層を覆うオーバーコート層124は、色変換フィルタ層の機能を損なうことなく形成することができ、かつ適度な弾力性を有する材料から形成することができる。好ましい材料は、表面硬度が鉛筆硬度2H以上であり、0.3MPa以上のヤング率を有し、色変換フィルタ層上に平滑な塗膜を形成することができ、色変換層120の機能を低下させないポリマー材料である。より好ましくは、該材料は、可視域における透明性が高く(400〜800nmの範囲で透過率50%以上)、電気絶縁性を有し、水分、酸素および低分子成分に対するバリア性を有するポリマー材料である。オーバーコート層124は、任意選択の層であるが、上記目的のために設けることが好ましい層である。
そのようなポリマー材料の例は、イミド変性シリコーン樹脂(特許文献4〜6参照)、無機金属化合物(TiO、Al、SiO等)をアクリル、ポリイミド、シリコーン樹脂等の中に分散した材料(特許文献7、8参照)、アクリレートモノマー/オリゴマー/ポリマーの反応性ビニル基を有した樹脂、レジスト樹脂(特許文献9〜12参照)、フッ素系樹脂(特許文献12、13参照)、または高い熱伝導率を有するメソゲン構造を有するエポキシ樹脂などの光硬化性樹脂および/または熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらポリマー材料を用いてオーバーコート層124を形成する方法には、特に制限はない。たとえば、乾式法(スパッタ法、蒸着法、CVD法など)、あるいは湿式法(スピンコート法、ロールコート法、キャスト法など)のような慣用の手法により形成することができる。
オーバーコート層124は、1〜10μm程度の厚さを有することができる。キャスト法あるいはスピンコート法で形成する場合には、オーバーコート層124は、好ましくは3〜5μm程度の厚さを有する。
(12)充填剤層128
充填剤層128は、従来法のディスプレイ(図3)において形成される内部空間620を充填して、有機EL層110の発光の内部空間界面における反射を抑制し、該発光を色変換フィルタへと効率よく透過させるために設けられる。
図1(b)および図2(b)に示される貼り合わせ前の充填剤層128’は、気泡を取り込むことのないようにテーパー形状に形成される。本発明におけるテーパー形状とは、最大厚さを有する点または直線を有し、その点または直線から周縁部へ向かって膜厚が単調減少するような形状を意味する。たとえば、貼り合わせ前の充填剤層128’は、図1(b)に示すように中央部分に稜線200(最大厚さを有する直線)を有して、そこから周縁に向かって膜厚が単調減少する形状であってもよい。あるいはまた、図2(b)に示すように、一方の端部を稜線200として、そこから他端に向かって膜厚が単調減少する形状であってもよい。あるいはまた、中央部に頂点(最大厚さを有する点)を有して、そこから周縁部に向かって膜厚が単調減少する錐状の形状であってもよい。本発明において、稜線200ないし頂点の位置は適宜選択することができるが、その場合にも、貼り合わせ前の充填剤層128’の膜厚が、稜線200ないし頂点から周縁部に向かって単調減少することが必要である。
充填剤層128を形成するための充填剤は、有機EL発光素子および色変換フィルタの特性に悪影響を及ぼさない不活性物質である。また、充填剤は、貼り合わせ前のテーパー形状を維持することができ、かつ貼り合わせ時に印加される圧力によって円滑に変形することができる粘稠度を有する。また、充填剤は、貼り合わせまたは外周封止の後の刺激(UV、可視光、熱など)によって硬化ないし増粘する物質であってもよい。貼り合わせ後に硬化ないし増粘することによって、得られるディスプレイの構造を安定にすることが可能となる。貼り合わせ後に硬化ないし増粘させる場合には、硬化ないし増粘した充填剤は1.0MPa以下、好ましくは0.1MPa以下の弾性率を有することが好ましい。このような弾性率を有することにより、本発明により製造される有機ELディスプレイに外部応力が加わった場合に、その外部応力が有機EL層110に集中するのを緩和することが可能となる。さらに、本発明において用いられる充填剤は、接着の機能を有するものではない。なぜなら、本発明においては、接着の機能は外周封止層130によって提供されるからである。
充填剤として用いられる不活性物質は、波長400〜800nmの光に対して20%〜95%、好ましくは60%〜95%の可視光透過率と、1.2〜2.5の屈折率とを有する。貼り合わせまたは外周封止の後に硬化ないし増粘する物質の場合には、硬化ないし増粘の後に前述の可視光透過率および屈折率を有するべきである。前記の屈折率を有することにより、充填剤層と有機EL発光素子との界面および充填剤層と色変換フィルタとの界面における反射を抑制することが可能となる。さらに、前記の可視光透過率を有することにより、充填剤層128を通して有機EL発光素子の光を色変換フィルタへと効率よく透過させることができる。
このような充填剤の例は、UV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、フッ素系不活性液体、およびフッ素系オイルなどを含む。熱硬化性樹脂には、加熱によってゲル化が進行するシリコーン系樹脂を含む。本発明における好ましい充填剤は、シリコーン系樹脂を含む。
充填剤の所要量は、当業者によって容易に決定され得るものである。充填剤は、少なくとも、有機EL発光素子160からの光が通過する区域、すなわち色変換フィルタ150の色変換フィルタ層が設けられている区域を完全に充填することが可能な量を用いることが必要である。また、外周封止層130によって封止される空間の体積を超えないことを条件として、光が通過する区域を完全に充填するよりも多い量の充填剤を用いてもよい。たとえば、図1(b)または図2(b)に示すように、1つの稜線200を有し、そこから周縁部に向かって厚さが直線的に減少するテーパー形状を用いる場合、稜線200の部分の厚さは、得られるディスプレイの充填剤層128の厚さの少なくとも2倍以上である必要がある。また、1つの頂点を有し、そこから周縁部に向かって厚さが直線的に減少する錐状のテーパー形状を用いる場合、頂点部分の厚さは、得られるディスプレイの充填剤層128の厚さの少なくとも3倍以上である必要がある。視野角依存性の減少および充填剤層中での光の拡散を考慮すると、得られるディスプレイの充填剤層128の厚さは1〜10μmであることが好ましい。したがって図1(b)または図2(b)に示すテーパー形状の稜線200の部分の厚さは10〜20μmであることが好ましい。また、1つの頂点を有する錐状のテーパー形状を用いる場合、頂点部分の厚さは15〜30μmであることが好ましい。
(13)外周封止層130
外周封止層130は、色変換フィルタ150の外周部に設けられ、有機EL発光素子160と色変換フィルタ150を接着するとともに、内部の各構成要素を外部環境の酸素、水分などから保護する機能を有する。外周封止層130は紫外線硬化型接着剤から形成される。そのような紫外線硬化型接着剤は、硬化する前は粘度変化あるいはゲル化などを起こさず、有機EL発光素子160と色変換フィルタ150との相対的移動により、色変換フィルタ層と有機EL発光素子の発光部との精密なアライメントを可能にする。
ひとたびアライメントが完了したならば、紫外線を照射して、紫外線硬化型接着剤を硬化させる。例えば、100mW/cmの紫外線を照射した際に、10〜60秒以内に硬化することが好ましい。この時間範囲内で硬化させることにより、紫外線照射による他の構成要素への悪影響をもたらすことなしに、紫外線硬化型接着剤が充分に硬化して適切な接着強さを発現させることが可能となる。また、生産工程の効率の観点からも、前述の時間範囲内であることが好ましい。
また、前記紫外線硬化型接着剤は、直径5〜50μm、好ましくは直径5〜20μmのガラスビーズ、シリカビーズなどを含んでもよい。これらのビーズ類は、有機EL発光素子160と色変換フィルタ150との貼り合わせにおいて、基板間距離(基板102と透明基板116との間の距離)および充填剤層128の膜厚を規定するとともに、接着のために印加される圧力を負担する。さらに、ディスプレイ駆動時に発生する応力(特にディスプレイ外周部における応力)も負担して、該応力によるディスプレイの劣化を防止する。
なお、図1および図2には色変換フィルタ150の透明基板116上に外周封止層130を設けた場合を図示したが、必要に応じて有機EL発光素子160の基板102上に外周封止層を設けてもよい。
[製造方法]
本発明の1つの製造方法は、図1に示されるように、有機EL発光素子160と色変換フィルタ150とを貼り合わせて、有機ELディスプレイ140を形成する。
色変換フィルタ150は、透明基板116上に、RGB各色に対応する色変換フィルタ層と、それらの間および周囲に位置するブラックマスク122と、テーパー形状を有する充填剤層128とを形成することにより得られる。図1に示される実施形態において、赤色変換フィルタ層は、赤色カラーフィルタ層118Rと赤色変換層120Rからなり、緑色変換フィルタ層は、緑色カラーフィルタ層118Gと緑色変換層120Gからなり、および青色変換フィルタ層は、青色カラーフィルタ層118Bからなる。各色変換フィルタ層およびブラックマスク122を形成した後に、必要に応じてそれらを覆うようにオーバーコート層124を形成する。次に、テーパー形状を有する充填剤層128を形成する。充填剤層128は、たとえば対応するテーパー形状の凹部を有するグラビアロールなどを用いて、充填剤を印刷することによって形成してもよい。あるいは、対応するテーパー形状に相当する凹部を有する基板(ポリマーフィルムなど)を用い、その凹部に充填剤を充填し、それを色変換フィルタ層上に転写することによって形成してもよい。以上のように色変換フィルタ150を得ることができる。
一方、当該技術において知られている手段を用いて、第1の基板102上に、TFT104、平坦化絶縁層106、第1電極108、有機EL層110、第2電極112およびパッシベーション層114を順次積層して、有機EL発光素子160を形成する。
次に、上記のように形成した色変換フィルタ150および有機EL発光素子160を乾燥窒素雰囲気(望ましくは、酸素および水分濃度ともに1ppm以下)内に配置する。そして、ディスペンサーロボットを用いて色変換フィルタ150の外周部に紫外線硬化型接着剤を塗布する。その後に、図1(c)に示されるように有機EL発光素子160と色変換フィルタ150とを密着させる。この密着工程は、大気圧以上の圧力、好ましくは大気圧において実施することができる。
このとき、有機EL発光素子160と色変換フィルタ150とは略平行に配置され、基板102と透明基板116とは略平行に配置され、その状態を維持しながら接近させる。好ましくは、基板102と透明基板116とを平行に配置し、その状態を維持しながら両基板を接近させる。最初に接触するのはテーパー形状の充填剤層128の稜線200である。その後、両基板がさらに接近するのに伴って、接触部分の境界線は稜線に平行な状態で左右の両端に向かって進行していく。同時に、パッシベーション層114と色変換フィルタ150との間に存在する気体もまた、左右いずれかの方向に押し出される。そして、テーパー形状の充填剤層128’の厚さは単調減少していくので、充填剤層128’と有機EL発光素子150(パッシベーション層114)との間に気体を捕捉するような閉鎖空間が形成されることがない。最終的に、外周封止層130が対向する基板に接触し、充填剤層128が所望の厚さになるまで両基板を接近させ、色変換フィルタ150に設けられた全ての色変換フィルタ層の上に均一な厚さの充填剤層128が形成される。
続いて、有機EL発光素子の発光部と色変換フィルタ層とのアライメントを行う。アクティブマトリクス駆動の場合には、第1電極108と色変換フィルタ層との位置合わせを行う。その後に、前述の紫外線硬化型接着剤に対して紫外線を照射して、該接着剤を硬化させて外周封止層130を形成する。紫外線照射は、例えば100mW/cmの照度で30秒間にわたって行うことが好ましい。
紫外線硬化型接着剤の硬化前、硬化後または硬化と同時に、充填剤層の硬化ないし増粘を行ってもよい。充填剤として熱硬化性樹脂またはシリコーン樹脂を用いた場合には、加熱によってそれらの硬化、増粘ないしゲル化を行ってもよい。また、充填剤としてUV硬化性樹脂を用いた場合には、前記の紫外線硬化型接着剤とともに紫外線に暴露させて、硬化ないし増粘を行ってもよい。
以上のように、充填剤層128および外周封止層130を用いて、充填剤層128の厚さが1〜10μmになるように固定することにより、外部環境からの水分の浸入を防止し、長期信頼性のある有機ELディスプレイ140を構成することができる。
あるいはまた、図2に示される本発明の別の方法は、貼り合わせ前の充填剤層128’の形状が異なることを除いて上記と同様に行われる。この場合にも充填剤層128’の稜線200が有機EL発光素子160に最初に接触し、有機EL発光素子160と色変換フィルタ150の接近に伴って、接触部分の境界線は稜線に平行な状態で左端に向かって進行していく。テーパー形状の充填剤層128’の厚さは単調減少していくので、充填剤層128’と有機EL発光素子150(パッシベーション層114)との間に気体を捕捉するような閉鎖空間が形成されることがない。
以上のように、テーパー形状を有する充填剤層128’を用いることによって、気泡の混入のない優れた特性を有する有機ELディスプレイ140をより簡便に作製することができる。
以上においては、スイッチング素子としてTFTを用いるアクティブマトリクス駆動ディスプレイを例として説明した。しかし、MIM等の当該技術において知られている素子をスイッチング素子としてもよい。あるいはまた、パッシブマトリクス駆動ディスプレイに対しても本発明の方法を用いることができる。
パッシブマトリクス駆動ディスプレイを形成する場合、TFT104および平坦化絶縁膜106を形成することなしに、基板102上に、ラインパターン形状を有する複数の部分に分割された第1電極108が形成される。この場合にも、第1電極を陽極あるいは陰極のいずれとしても利用することができる。第2電極112は、複数の部分に分割され、第1電極108のラインパターンと直交する方向に延びるラインパターン状に形成される。さらに、アライメント工程においては、第1電極および第2電極のラインパターンが交差する部分と色変換フィルタ層との位置合わせを行う。
ガラス基板上に、TFT、陽極、有機EL層、陰極、パッシベーション層を順次形成して、図1(b)に示される有機EL発光素子160を得た。陽極は、長辺方向300μm、短辺方向90μmの寸法の複数の部分に分割され、マトリクス状に配置された。陽極の複数に分割された部分相互間の間隔は、長辺方向のピッチ330μm、短辺方向のピッチ110μmとした。
透明ガラス基板上に、厚さ1.5μmのブラックマスク、それぞれの厚さが1.5μmである赤色、緑色および青色のカラーフィルタ層、およびそれぞれの厚さが10μmである赤色および緑色の色変換層を積層した。次に、ノボラック系樹脂をベースとする感光性フォトレジスト(日本ゼオン製、ZPN1100)をスピンコートし、フォトリソグラフ法を用いて色変換フィルタ層およびブラックマスクを覆うように成形して、厚さ5μmのオーバーコート層124を得た。そしてその上に、グラビアロールを用いて透明シリコーン樹脂(東芝シリコーン社製、TSE3051)を塗布して、中央部に稜線を有し、稜線部の高さが20μmである貼り合わせ前の充填剤層128’を形成して、図1(a)に示される色変換フィルタ150(外周封止層130を除く)を得た。各カラーフィルタ層および色変換層は、85×295μmの寸法を有した。
次に、上記のように形成した色変換フィルタ150および有機EL発光素子160をグローブボックス内の乾燥窒素雰囲気(望ましくは、酸素および水分濃度ともに1ppm以下)下に配置した。色変換フィルタ150の透明基板116の外周部に、ディスペンサーロボットを用いて、直径20μmのビーズを分散させた紫外線硬化型接着剤(スリーボンド社製、商品名30Y−437)を塗布した。
その後に、図1(c)に示されるように、基板102と透明基板116とを略平行に維持しながら、有機EL発光素子162と色変換フィルタ152とを密着させた。続いて、第1電極108(すなわち有機EL発光素子の発光部)と色変換フィルタ層とのアライメントを行った後に、100mW/cmの照度で30秒間にわたって紫外線を照射して、接着剤を硬化させて外周封止層130を形成した。さらに、60分間にわたる80℃での加熱処理を行い、前記透明シリコーン樹脂をゲル化させて、有機ELディスプレイ140を得た。
貼り合わせ前の充填剤層128’の稜線200の位置を、図2(b)に示す端部に変更したことを除いて、実施例1を繰り返して有機ELディスプレイを得た。
充填剤としてUV硬化性樹脂であるTUV6001(GE東芝シリコン製)を用い、60分間にわたる80℃での加熱処理を行わなかったことを除いて、実施例1を繰り返して有機ELディスプレイを得た。
本発明の有機ELディスプレイを示す概略断面図であり、(a)は有機EL発光素子160を示し、(b)は色変換フィルタ150を示し、および(c)は色変換フィルタ150と有機EL発光素子160とを貼り合わせて製造される有機ELディスプレイ140を示す断面図である。 別の方法で作製される本発明の有機ELディスプレイを示す概略断面図であり、(a)は有機EL発光素子160を示し、(b)は色変換フィルタ150を示し、および(c)は色変換フィルタ150と有機EL発光素子160とを貼り合わせて製造される有機ELディスプレイ140を示す断面図である。 従来技術の有機ELディスプレイを示す概略断面図である。
符号の説明
102、602 第1の基板
104、604 TFT
106 平坦化絶縁層
108 第1電極
110、608 有機EL層
112 第2電極
114 パッシベーション層
116、616 透明基板
118 カラーフィルタ層
120 色変換層
122、614 ブラックマスク
124 オーバーコート層
128 充填剤層
128’ 貼り合わせ前の充填剤層
130 外周封止層
140 本発明の有機ELディスプレイ
150 色変換フィルタ
160 有機EL発光素子
600 従来技術の有機ELディスプレイ
606 陽極
610 陰極
612 色変換フィルタ層
618 外周封止層
620 内部空間

Claims (7)

  1. 基板上に、第1電極と、有機EL層と、第2電極とを形成して、有機EL発光素子を準備する工程と、
    透明基板上に色変換フィルタ層を形成する工程と、
    前記色変換フィルタ層の上にテーパー形状の充填剤層を形成して、色変換フィルタを準備する工程と、
    前記色変換フィルタの周縁部に外周封止層を形成する工程と、
    前記有機EL発光素子と前記色変換フィルタとを略平行の状態で貼り合わせる工程と、
    前記外周封止層を硬化させる工程と
    を含むことを特徴とする有機ELディスプレイの製造方法。
  2. 前記充填剤層は、中央部に稜線を有するテーパー形状を有することを特徴とする請求項1に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
  3. 前記充填剤層は、端部に稜線を有するテーパー形状を有することを特徴とする請求項1に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
  4. 前記充填剤層は、頂点を有するテーパー形状を有することを特徴とする請求項1に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
  5. 前記充填剤層は、前記稜線において10〜20μmの膜厚を有することを特徴とする請求項2または3に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
  6. 前記充填剤層は、前記頂点において15〜30μmの膜厚を有することを特徴とする請求項4に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
  7. 前記充填剤層は、UV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、フッ素系不活性液体、およびフッ素系オイルからなる群から選択される材料を用いて形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機ELディスプレイの製造方法。
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