JP4001499B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気テープ等の磁気記録媒体に関し、特に強磁性粉末や結合剤を主体とする磁性塗料を支持体上に塗布して磁性層を形成した塗布型の磁気記録媒体に関連し各種環境下で使用・保存された時、出力低下が少なく,走行性が安定した磁気記録媒体に関連する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録技術は、媒体の繰り返し使用が可能であること、信号の電子化が容易であり周辺機器との組み合わせによるシステムの構築が可能であること、信号の修正も簡単にできること等の他の記録方式にはない優れた特長を有することから、ビデオ、オーディオ、コンピューター用途等を始めとして様々な分野で幅広く利用されてきた。
【0003】
そして、機器の小型化、記録再生信号の質の向上、記録の長時間化、記録容量の増大等の要求に対応するために、記録媒体に関しては、記録密度、信頼性、耐久性をより一層向上させることが常に望まれてきた。
例えば、オーディオ、ビデオ用途にあっては、音質及び画質の向上を実現するデジタル記録方式の実用化、ハイビジョンTVに対応した録画方式の開発に対応するために、従来のシステムよりも一層、短波長信号の記録再生ができかつヘッドと媒体の相対速度が大きくなっても信頼性、耐久性が優れた磁気記録媒体が要求されるようになっている。またコンピューター用途も増大するデータ量を保存するために大容量のデジタル記録媒体が開発されることが望まれている。
塗布型の磁気記録媒体の高密度記録化のために、従来使用されていた磁性酸化鉄粉末に代わり、鉄又は鉄を主体とする合金磁性粉末を使用したり、磁性粉末の微細化等磁性体の改良及びその充填性と配向性を改良して磁性層の磁気特性を改良すること、強磁性粉末の分散性を向上させること、磁性層の表面性を高めること等の観点から種々の方法が検討され提案されてきた。
例えば、磁気特性を高めるために強磁性粉末に六方晶系フェライト粉末や六方晶系フェライトを使用する方法が特開昭58−122623号公報、特開昭61−74137号公報、特公昭62−49656号公報、特公昭60−50323号公報、米国特許4629653号、米国特許4666770号、米国特許4543198号等に開示されている。
【0004】
また、強磁性粉末の分散性を高めるために、種々の界面活性剤(例えば特開昭52−156606号公報,特開昭53−15803号公報,特開昭53−116114号公報等に開示されている。)を用いたり、種々の反応性のカップリング剤(例えば,特開昭49−59608号公報、特開昭56−58135号公報、特公昭62−28489号公報等に開示されている。)を用いることが提案されている。
更に、磁性層の表面性を改良するために、塗布、乾燥後の磁性層の表面形成処理方法を改良する方法(例えば特公昭60−44725号公報に開示されている)が提案されている。
【0005】
六方晶系フェライト粉末磁性粉の製造法はすでに種々の方法が提案されている。すなわち塩化鉄,アルカリ土類塩及び必要に応じて置換元素の塩化物などの金属イオン水溶液とNaOHなどのアルカリ溶液を接触させ金属イオンの沈澱を生成させ、水洗乾燥後この金属イオンを高温にて結晶化させる共沈法、上記金属イオンを含む水溶液を高温高圧容器中にて金属イオンを結晶化させ、必要に応じて高温にて加熱する水熱合成法(特開昭56−160328号公報)、NaCl、BaCl2などの融剤とに鉄やアルカリ土類を含む化合物を高温にて結晶化後融剤を除去して磁性粉を得する融剤法、BaOやB2O3,SiO2などのガラス形成物質と鉄やバリウム必要に応じて置換元素を含む化合物とからガラスを作成し高温にて結晶化後ガラス形成物質を除去して磁性粉を得るガラス結晶化法(特開昭56−67904号公報)などがある。特開昭60−240107号公報,特開平3−78209号公報には,磁性粉から溶出するBaイオンが塗膜の耐磨耗性を劣化させること,出力,走行性,耐久性に対する信頼性を劣化させるので,溶出するBaイオンを対策するために硫酸イオン,炭酸ガスを含有する水で処理することが提案されている。
【0006】
機器の小型化、記録再生信号の質の向上、記録の長時間化、記録容量の増大等が実現されるにつれて、磁気記録媒体が使用される環境は従来よりも拡大している。各種環境で使用および保管された時、通常の環境で使用する場合と同等の安定した走行性が必要である。支持体上に非磁性粉末と結合剤を主体とする非磁性層及び強磁性粉末と結合剤を主体とする磁性層が該非磁性層の上側にある少なくとも2層以上の複数の層を設けた磁気記録媒体は、原理的に自己減磁が少なくかつ表面粗さが小さいのでスペーシングロスが少ない高性能な磁気記録媒体である。しかしながら、上層に使用される六方晶系フェライト粉末及び下層に使用する非磁性粉末の表面特性、含有不純物により高温高湿条件で保存した後,電磁変換特性を測定すると出力が低下したり、走行させると摩擦係数が増加し、極端な場合は張り付き現象が発生し走行停止することがわかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、各種環境下で使用・保存された時,出力低下が少なく,走行性が優れた磁気記録媒体を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持体上に六方晶系フェライト粉末と結合剤を含む磁性層を少なくとも1層設けた磁気記録媒体において、該六方晶系フェライト粉末は平均板径が15〜35nmであるマグネトプランバイト型であり、かつアルカリ土類/Fe(ESCA強度比)が0.10〜0.15であることを特徴とする磁気記録媒体である。
【0009】
発明者らは、特に支持体上に2層以上の塗布層を形成させるとき磁性層に使用する六方晶系フェライト粉末と下層に使用する非磁性粉末の表面特性、不純物に着目して組み合わせを変化させて、各種環境で使用・保存された時、出力低下が少なく、走行性に優れた磁気記録媒体を得るために鋭意研究した。磁性層に使用するマグネトプランバイト型(M型とも記す)の六方晶系フェライト粉末の表面をESCAで測定し、その表面に存在するアルカリ土類原子とFe原子の存在比に注目して,各種環境下での出力,走行性の改良を行い,本発明を成し遂げたのである。
【0010】
本発明におけるアルカリ土類/鉄(ESCA強度比)の測定は、以下の通りである。ESCA(X線光電子分光法)用装置AXIS−ULTRA(KRATOS社製、X線源はMgアノード、加速電圧12kV、電源10mA)を使用し、粉末測定用サンプルホルダーに試料(M型六方晶系フェライト粉末)を押し付け、2mm×2mmの面積をArエッチングしつつ元素を分析する。分析元素ピークはバルクの組成分析を行い0.05原子%以上含有される元素を選択する。例えば、Ba 3d、Fe 3p、O 1s、C 1s、Al 2p、Co 2p、Zn 2p、Nd 3dであり、これらのピークデータの取り込み間隔を0.1eVとし、ピーク強度を測定する。感度係数を使用し、元素数に変換し、元素の総和を100(Feも含む)として、比率で表し、鉄に対する原子数の比率を求めることができる。M型六方晶系フェライト粉末表面に存在する特定元素のFeに対する原子数の比率[特定元素/Fe(ESCA強度比)と記す]は、エッチング時間によって変化するので、エッチング時間0secのC存在割合が1/3〜1/5となるエッチング時間90〜150secの測定点の平均よりM型六方晶系フェライト粉末表面に存在する元素の当該比率とした。分析元素ピークの測定範囲は以下の通りである。本発明における、アルカリ土類/鉄(ESCA強度比)の値は、上記比率の特定元素がアルカリ土類である場合であり、アルカリ土類が複数の場合にはその総和を指す。
【0011】
【表1】
【0012】
本発明は、保存性に関し詳細にアルカリ土類/Fe(ESCA強度比)の好ましい範囲を検討したところ、0.10〜0.15にすることにより保存による出力低下が改善されることを見いだしたものである。
また、M型六方晶系フェライト粉末として、水可溶性Naが好ましくは、0〜100ppm/g(M型六方晶系フェライト粉末)、更に好ましくは、0〜60ppm/g(M型六方晶系フェライト粉末)、水可溶性アルカリ土類が総和で好ましくは、0〜50ppm/g(M型六方晶系フェライト粉末)、更に好ましくは、0〜40ppm/g(M型六方晶系フェライト粉末)であるものを用いることにより脂肪酸塩の生成を抑制し、出力やC/N等の電磁変換特性の悪化もなく、優れた保存性を有した磁気記録媒体を提供できる。
【0013】
一方、保存性に関し下層非磁性層(下層ともいう)に含まれる非磁性粉末につき検討したところ、鉄を含有しない物質では水可溶性のアルカリ金属(主としてNa)や水可溶性のアルカリ土類が少ないことが好ましいことがわかっていた。下層に使用する非磁性粉末、特に非磁性鉄化合物粉末の場合は、水可溶性Naが好ましくは、0〜150ppm/g(非磁性粉末)、更に好ましくは、0〜100ppm/g(非磁性粉末)、水可溶性アルカリ土類が総和で好ましくは、0〜50ppm/g(非磁性粉末)、更に好ましくは、0〜40ppm/g(非磁性粉末)であり、非磁性粉末の鉄錯体形成量が好ましくは、0〜10ppm/g、更に好ましくは、0〜6.0ppm/gのとき、上層に水可溶性不純物が少なくアルカリ土類/Fe(ESCA強度比)が0.10〜0.15であるM型六方晶系フェライト粉末を使用した磁気記録媒体は、走行性、耐久性、保存性等の実用特性の中で特に保存性に優れた磁気記録媒体が得られる。
【0014】
本発明において、六方晶系フェライト粉末のアルカリ土類/Fe(ESCA強度比)を本発明範囲に制御する方法は、特に限定されるものではなく任意の方法が採用できるものである。
本発明者は、アルカリ土類/Fe(ESCA強度比)を制御するため、各種要因を検討した。
その結果、六方晶系フェライト粉末の表面に水和アルミナ層や水和アルミナ層と酸化亜鉛層を形成すると、アルカリ土類/Fe(ESCA強度比)が0.10〜0.15であっても保存後の出力低下が少ないことが判明した。また、スピネル型フェライト層を粒子内に複合化させたり、粒子表面に形成した場合、アルカリ土類/Fe(ESCA強度比)が0.1以下となるが、均一に複合化させることが困難なのでSFD(スイッチング・フィールド・ディストリビューション)が劣化し、短波長出力が低下した。アルカリ土類/Fe(ESCA強度比)が0.16以上の場合、信号を記録し湿熱保存後、出力を測定すると出力が低下していた。テープ表面を観察すると脂肪酸金属塩が生成しており、スペーシングロスの原因となっていた。
【0015】
非磁性粉末、中でもα−Fe2O3、α−FeOOH等の非磁性鉄化合物粉末の鉄錯体形成量を0〜10ppm/gとするには、得られたα−Fe2O3,α−FeOOHを充分水洗し、硫酸イオン、リン酸イオン等を除去することが有効である。さらにアルカリで洗浄することで表面の硫酸イオン、リン酸イオンを除去後、水洗し、α−Fe2O3,α−FeOOHのpHを中性からアルカリ性にすることが好ましい。α−Fe2O3,α−FeOOHをAl化合物および/またはZn化合物で表面処理することも鉄錯体形成量の低減に効果が認められた。Al化合物および/またはZn化合物の表面処理を行いかつpHを中性からアルカリ性にすることが好ましい。Al化合物および/またはZn化合物による表面処理は塩基性点を制御するので樹脂で分散した時の分散性を改良するだけでなく、吸着脂肪酸量を制御し、最終的には磁気記録媒体表面の遊離脂肪酸量を決定する。アルカリ側にしたとき鉄錯体形成量が減少する理由は明確ではないが、Fe(OH)3の溶解度はpHが増加するとともに減少するので鉄錯体形成量が減少するのではないかと考えている。またアルカリ土類はpHが高いと水に溶出しにくくなるのでこの観点からも好ましい方向である。α−Fe2O3,α−FeOOHのpHは、JIS−A法で測定したpHが6.0〜10であることが好ましく、pH6.5〜9.5が更に好ましい。
すなわち、磁性層に使用するM型六方晶系フェライト粉末のアルカリ土類/Fe(ESCA強度比)を0.10〜0.15とし、下層に使用する非磁性粉末の鉄錯体形成量を0〜10ppm/gとし、かつ水可溶性Na量、水可溶性アルカリ土類量を特定量以下とすることにより、脂肪酸鉄、脂肪酸Ba塩、脂肪酸Sr塩、脂肪酸Ca塩、脂肪酸Mg塩、脂肪酸Na塩等の析出を防止し、出力やC/Nなどの電磁変換特性の劣化もなく、すぐれた保存性、低い摩擦係数が得られるのである。
本発明において六方晶系フェライト粉末または非磁性粉末の水可溶性Na量、水可溶性アルカリ土類量は、六方晶系フェライト粉末または非磁性粉末5gを蒸留水100mlに加え1時間撹拌抽出し、上澄みを濾過した濾液を使用し、Kは原子吸光法、Kを除くアルカリ金属、アルカリ土類はICP(誘導結合プラズマ発光分析装置)で測定した値を指し、ppm/g(六方晶系フェライト粉末または非磁性粉末1g当たりの質量濃度)で表したものである。
また、非磁性粉末の鉄錯体形成量とは、非磁性粉末2gを精製したベンゾヒドロキサム酸のエタノ−ル溶液0.05mol/l 50mlに浸漬し25℃で20時間保持後、溶液を瀘過し濾液の吸光度を測定し、検量線より非磁性粉末1gあたり形成されたベンゾヒドロキサム酸鉄錯体の鉄イオン質量を算出したものである。
【0016】
磁気記録媒体を複層構造とした場合、下層は表面粗さが小さいことが好ましく、使用する非磁性粉末は微細粒子を使用することが好ましい。非磁性粉末のなか、特に無機物粒子は微細になるに従い表面の触媒活性が増加すると懸念されるので、その対策として、例えば酸化チタンの微粒子は光触媒作用を低減させるために、Al、Fe等3価のイオンを固溶させさらにアルミナ、シリカ・アルミナ等で表面処理することが知られている。また針状α−Fe2O3をAl化合物、Al−Si化合物、Al−P化合物、Al−Ti化合物、Al−Ni化合物、Al−Zn化合物で表面処理することが特開平6−60362号公報に提案されている。
非磁性粉末のpHは、非磁性粉末の組成、微量不純物、表面処理条件(種類、処理量など)により変化する。具体的には非磁性粉末をアルカリ性懸濁液とし加熱(例えば60〜200℃)したり、無機物で表面処理すること、両者を併用したりしてpHを6〜10とすることができる。また走行性の観点からは、磁気テープ表面に遊離した潤滑剤の量を制御して存在させる必要があることが知られている。保存性を良化するためには、鉄錯体形成量が少なく高pHが有利であるが、非磁性粉末のpHが高すぎると脂肪酸が非磁性粉末に吸着する量が増加し、磁気記録媒体処方中の脂肪酸が増大し、脂肪酸の遊離量が減少するので摩擦係数が高くなり走行性が劣化する。摩擦係数を制御するために脂肪酸よりも吸着力が強い酸性の官能基をもつ有機物で分散前に処理し、遊離の脂肪酸を増加させると、摩擦係数が小さくなりかつ保存性も良好である。脂肪酸よりも吸着力が強い酸性の官能基をもつ有機物としては、有機リン酸化合物、有機フォスホン酸化合物、有機スルホン酸化合物、有機ヒドロキサム酸化合物などが好適である。このような有機物は、非磁性粉末100質量部に対し、通常、0.5〜6.0質量部、好ましくは、1.0〜5.0質量部用いられる。
【0017】
非磁性粉末は、非磁性粉末の鉄錯体形成量、および、好ましくは、pHが上記の範囲であれば単独または組み合わせで使用される。これら非磁性粉末の粒子サイズは0.01〜0.5μmが好ましいが、必要に応じて粒子サイズの異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。使用する結合剤樹脂との相互作用を大きくし分散性を改良するために、使用する非磁性粉末が表面処理されていてもよい。表面処理物としては、Al塩、Si塩、Zn塩,シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物による処理でも、カップリング剤、例えば、末端に官能基をもつシランカップリング剤、チタンカップリング剤等による処理でもよい。タップ密度は0.3〜1.5g/cc、含水率は0.2〜5質量%、比表面積は5〜150m2/gが好ましい。前記非磁性粉末の形状は針状、球状、サイコロ状、板状のいずれでも良い。また、本発明で使用される非磁性粉末の素材としては、特に制限はなく従来公知のものが挙げられ、具体的にはα−Fe2O3,α−FeOOHや二酸化チタン等の無機化合物の他、有機化合物が挙げられる。
【0018】
本発明の磁性層中に使用されるM型六方晶系フェライト粉末の組成としては上記アルカリ土類/Fe(ESCA強度比)が0.10〜0.15であれば特に制限はない。加えて、水可溶性Na量、および水可溶性アルカリ土類量の上記範囲を満足するものが好ましい。本発明の上層に含まれるM型六方晶系フェライト粉末としてバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライトの各置換体、Co置換体等が挙げられる。その他所定の原子以外にAl、Si、S,Sc、Ti、V,Cr、Cu,Y,Mo,Rh,Pd,Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P,Co,Mn,Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般にはCo−Ti,Co−Ti−Zr、Co−Nb,Co−Ti−Zn,Co−Zn−Nb,Ni−Ti−Zn,Nb−Zn,Ni−Ti、Zn−Ti、Zn−Ni等の元素を添加した物を使用することができる。
【0019】
本発明で用いる六方晶系フェライト粉末は、M型を主体とするものであるが、本発明の効果を増強乃至妨げない範囲で複合型やスピネル型のものを併用することができる。SFDの観点からは、M型六方晶系フェライト粉末単独である方が、上記複合型やスピネル型を併用することよりも好ましい。尚、六方晶系フェライト粉末の抗磁力を制御するためには、組成、板径、板厚を制御する、六方晶系フェライト粉末のスピネル相の厚みを制御する、置換元素の量を制御する、置換サイトの場所を制御する、などの方法があり、本発明に適宜適用され得る。
本発明に用いられるM型六方晶系フェライト粉末は、通常六角板状の粉体であり、そのサイズは以下のようにして測定する。
【0020】
本明細書において、六方晶系フェライト粉末のように種々の粉体のサイズ(以下、「粉体サイズ」と言う)は、高分解能透過型電子顕微鏡写真及び画像解析装置より求められる。即ち、粉体サイズは、▲1▼粉体の形状が針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粉体を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、▲2▼粉体の形状が板状乃至柱状(ただし、厚さ乃至高さが板面乃至底面の最大長径より小さい)場合は、その板面乃至底面の最大長径で表され、▲3▼粉体の形状が球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粉体を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
【0021】
また、該粉体の平均粉体サイズは、上記粉体サイズの算術平均であり、約350個の一次粒子について上記の如く測定を実施して求めたものである。一次粒子とは、凝集のない独立した粉体をいう。
また、該粉体の平均針状比は、上記測定において粉体の短軸の長さ、即ち短軸長を測定し、各粉体の(長軸長/短軸長)の値の算術平均を指す。ここで、短軸長とは、上記粉体サイズの定義で▲1▼の場合は、粉体を構成する短軸の長さを、同じく▲2▼の場合は、厚さ乃至高さを各々指し、▲3▼の場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸長)は、便宜上1とみなす。
そして、粉体の形状が特定の場合、例えば、上記粉体サイズの定義▲1▼の場合は、平均粉体サイズを平均長軸長と言い、同定義▲2▼の場合は平均粉体サイズを平均板径と言い、(最大長径/厚さ乃至高さ)の算術平均を平均板状比という。同定義▲3▼の場合は平均粉体サイズを平均粒子径という。
【0022】
本発明では六方晶系フェライト粉末の平均板径は15〜35nmの範囲である。また、六方晶系フェライト粉末の平均厚さ(平均板厚)は通常、2〜15nmであるが特に4〜10nmが好ましい。更に平均板状比は好ましくは1.5〜4であり、更に好ましくは2〜3.8である。平均板径が10nm未満のとき、高比表面積となり、分散が困難となるため好ましくない。また、これら六方晶系フェライト粉末のBET法による比表面積(SBET)は通常25〜110m2/gであるが、40〜100m2/gが好ましい。25m2/gに満たないとノイズが高くなり、110m2/gを超えると分散が困難となり表面性が得にくく好ましくない。含水率は0.3〜2.0%とするのが好ましい。結合剤の種類によって該磁性粉の含水率は最適化するのが好ましい。六方晶系フェライト粉末のpHは用いる結合剤との組み合わせにより最適化することが好ましい。その範囲は5.0〜12であるが、好ましくは5.5〜10である。水可溶性Naが0〜150ppm/g、水可溶性アルカリ土類が総和で0〜50ppm/gの六方晶系フェライト粉末または非磁性粉末を得るための方法には、特に制限はないが、基本的には、該元素を含まないか含有量の少ない原料を選択使用するか、非磁性粉末および六方晶系フェライト粉末調製過程における各反応系において混入する該元素を洗浄等により適宜除去する工程を設けるか、あるいは該元素が生成しないような反応系を採用すればよい。
例えば、ゲ−タイト等の製造方法を選択すること又イオン交換法により各種生成反応系に含有するNa塩をCa塩に置換すること、その後蒸留水で洗浄することによりCa塩も減少させ、最終的にCa量もNa量も減少させる方法が挙げられる。また、ゲ−タイトを脱水しα−Fe2O3とし再度水洗することも有効であり、この時も先に述べたイオン交換法を使用することができる。
六方晶系フェライト粉末の飽和磁化は40A・m2/kg以上が好ましく、さらに好ましくは42〜65A・m2/kgである。六方晶系フェライト粉末の抗磁力(Hc)は通常、135〜440kA/m、好ましくは150〜400kA/mである。135kA/m未満では短波長領域で高出力が得られない。一方440kA/mを超えると、記録ヘッドに負荷がかかり十分に記録できなかったり、オーバーライト適性が劣るので好ましくない。
また、六方晶系フェライト粉末には後述する分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行うこともできる。具体的には、特公昭44−14090号公報、特公昭45−18372号公報、特公昭47−22062号公報、特公昭47−22513号公報、特公昭46−28466号公報、特公昭46−38755号公報、特公昭47−4286号公報、特公昭47−12422号公報、特公昭47−17284号公報、特公昭47−18509号公報、特公昭47−18573号公報、特公昭39−10307号公報、特公昭48−39639号公報、米国特許3026215号、同3031341号、同3100194号、同3242005号、同3389014号などに記載されている。
【0023】
六方晶系フェライト粉末の含水率は0.03〜2質量%とするのが望ましい。後述する結合剤の種類によって六方晶系フェライト粉末の含水率は最適化するのが望ましい。
【0024】
本発明の磁気記録媒体における磁性層の結合剤樹脂は、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が使用できる。
熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1000〜200000、好ましくは10000〜100000、重合度が約50〜1000程度のものである。このような結合剤樹脂としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコ−ル、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラ−ル、ビニルアセタ−ル、ビニルエ−テル、等を構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。
また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としてはフェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコ−ン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネ−トプレポリマ−の混合物、ポリエステルポリオ−ルとポリイソシアネ−トの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物等があげられる。
【0025】
前記の結合剤樹脂に、より優れた六方晶系フェライト粉末の分散効果と磁性層の耐久性を得るためには必要に応じ、COOM,SO3M、OSO3M、P=O(OM)2、O−P=O(OM)2、(以上につきMは水素原子、またはアルカリ金属塩基)、OH、NR2、N+R3(Rはアルキル基,アルケニル基,アシル基,アリル基)、エポキシ基、SH、CNなどから選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を共重合または付加反応で導入したものをもちいることが好ましい。このような極性基の量は10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10-2〜10-6モル/gである。
本発明の磁気記録媒体に用いられる結合剤樹脂は、六方晶系フェライト粉末に対し、5〜50質量%の範囲、好ましくは10〜30質量%の範囲で用いられる。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜100質量%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は2〜50質量%、ポリイソシアネ−トは2〜100質量%の範囲でこれらを組み合わせて用いるのが好ましい。
【0026】
また、磁性層の六方晶系フェライト粉末の充填度は、使用した六方晶系フェライト粉末の最大飽和磁化量σs及び最大磁束密度Bmから計算でき(Bm/4πσs)となり、本発明においてはその値は、望ましくは1.7g/cc以上であり、更に望ましくは1.9g/cc以上、最も好ましくは2.1g/cc以上である。
本発明において、ポリウレタンを用いる場合はガラス転移温度が−50〜100℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は通常、0.05〜10Kg/mm2(≒0.49〜98MPa)、降伏点は0.05〜10Kg/mm2(≒0.49〜98MPa)が好ましい。
【0027】
本発明に用いるポリイソシアネ−トとしては、トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネ−ト、o−トルイジンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、トリフェニルメタントリイソシアネ−ト等のイソシアネ−ト類、また、これらのイソシアネ−ト類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネ−ト等を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製、コロネートL、コロネ−トHL,コロネ−ト2030、コロネ−ト2031、ミリオネ−トMR、ミリオネ−トMTL、武田薬品社製、タケネ−トD−102、タケネ−トD−110N、タケネ−トD−200、タケネ−トD−202、住友バイエル社製、デスモジュ−ルL,デスモジュ−ルIL、デスモジュ−ルN、デスモジュ−ルHL,等がありこれらを単独または硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せでもちいることができる。
【0028】
本発明の磁気記録媒体の磁性層中には、通常、潤滑剤、研磨剤、分散剤、帯電防止剤、可塑剤、防黴剤等などを始めとする種々の機能を有する素材をその目的に応じて含有させる。
本発明の磁性層に使用する潤滑剤としては、ジアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個)、ジアルコキシポリシロキサン(アルコキシは炭素数1〜4個)、モノアルキルモノアルコキシポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個、アルコキシは炭素数1〜4個)、フェニルポリシロキサン、フロロアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個)などのシリコンオイル;グラファイト等の導電性微粉末;二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ほう素、弗化黒鉛などの無機粉末;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン塩化ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン等のプラスチック微粉末;α−オレフィン重合物;脂肪酸、例えば、常温で固体の飽和脂肪酸(炭素数10から22);常温で液状の不飽和脂肪族炭化水素(n−オレフィン二重結合が末端の炭素に結合した化合物、炭素数約20);炭素数12〜20個の一塩基性脂肪酸と炭素数3〜12個の一価のアルコールから成る脂肪酸エステル類、ポリグリコール、アルキル燐酸エステル、フッ素アルコール、フルオロカーボン類等が使用できる。
【0029】
上記の中でも飽和脂肪酸と脂肪酸エステルが好ましく、両者を併用することがより好ましい。脂肪酸エステルの原料となるアルコールとしてはエタノール、ブタノール、フェノール、ベンジルアルコール、2−メチルブチルアルコール、2−ヘキシルデシルアルコール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、sec−ブチルアルコール等のモノアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ソルビタン誘導体等の多価アルコールが挙げられる。同じく脂肪酸としては酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、アラキン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、パルミトレイン酸等の脂肪族カルボン酸またはこれらの混合物が挙げられる。
脂肪酸エステルとしての具体例は、ブチルステアレート、sec−ブチルステアレート、イソプロピルステアレート、ブチルオレエート、アミルステアレート、3−メチルブチルステアレート、2−エチルヘキシルステアレート、2−ヘキシルデシルステアレート、ブチルパルミテート、2−エチルヘキシルミリステート、ブチルステアレートとブチルパルミテートの混合物、ブトキシエチルステアレート、2−ブトキシ−1−プロピルステアレート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルをステアリン酸でエステル化したもの、ジエチレングリコールジパルミテート、ヘキサメチレンジオールをミリスチン酸でアシル化してジオールとしたもの、グリセリンのオレエート等の種々エステル化合物を挙げることができる。
【0030】
さらに、磁気記録媒体を高湿度下で使用するときしばしば生ずる脂肪酸エステルの加水分解を軽減するために、原料の脂肪酸及びアルコールの分岐/直鎖、シス/トランス等の異性構造、分岐位置を選択することがなされる。
これらの潤滑剤は結合剤100質量部に対して0.2〜20質量部の範囲で添加される。特に、脂肪酸は、六方晶系フェライト粉末および/または非磁性粉末100質量部に対し、通常、0.1〜2.0質量部、好ましくは、0.3〜1.5質量部用いられ、脂肪酸エステルは、六方晶系フェライト粉末および/または非磁性粉末(下層用)100質量部に対し、通常、0.5〜3.0質量部、好ましくは、0.7〜2.5質量部用いられる。
【0031】
本発明の磁性層に用いられる研磨剤としては、一般に使用される材料でα、γアルミナ、溶融アルミナ、コランダム、人造コランダム、炭化珪素、酸化クロム(Cr2O3)、ダイアモンド、人造ダイアモンド、ザクロ石、エメリー(主成分:コランダムと磁鉄鉱)、αFe2O3等が使用される。これらの研磨剤はモース硬度が6以上である。具体的な例としては住友化学社製、AKP−10、AKP−12、AKP−15、AKP−20、AKP−30、AKP−50、HIT−50、HIT−60A、HIT−60G、HIT−70、HIT−80、HIT−82、HIT−100、日本化学工業社製、G5,G7、S−1、酸化クロムK、上村工業社製UB40B、不二見研磨剤社製WA8000、WA10000、戸田工業社製TF100、TF140、TF180などが挙げられる。平均粒子径が0.02〜2μmである場合に効果があり、好ましくは0.03〜1.0μmである。
これら研磨剤の合計量は六方晶系フェライト粉末100質量部に対して1〜20質量部、望ましくは1〜15質量部の範囲で添加される。1質量部より少ないと十分な耐久性が得られず、20質量部より多すぎると表面性、充填度が劣化する。これら研磨剤は、あらかじめ結合剤で分散処理したのち磁性塗料中に添加してもかまわない。
【0032】
本発明の磁気記録媒体の磁性層中には、前記の他に帯電防止剤として導電性粒子を含有することもできる。しかしながら複層構造の場合は最上層の飽和磁束密度を最大限に増加させるためにはできるだけ最上層への添加は少なくし、最上層以外の塗布層に添加するのが好ましい。帯電防止剤としては特に、カーボンブラックを添加することは、磁気記録媒体全体の表面電気抵抗を下げる点で好ましい。本発明に使用できるカ−ボンブラックはゴム用ファ−ネス、ゴム用サ−マル、カラ−用ブラック、導電性カーボンブラック,アセチレンブラック等を用いることができる。比表面積は5〜500m2/g、DBP吸油量は10〜1500ml/100g、粒子径は5nm〜300nm、pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/cc、が好ましい。本発明に用いられるカ−ボンブラックの具体的な例としてはキャボット社製、BLACKPEARLS2000、1300、1000、900、800,700、VULCAN XC−72、旭カ−ボン社製、#80、#60,#55、#50、#35、三菱化学工業社製、#3950B、#2700、#2650、#2600、#2400B、#2300、#900,#1000,#95、#30,#40、#10B、MA230、MA220、MA77、コロンビアカ−ボン社製、CONDUCTEX SC、RAVEN 150、50、40、15、ライオンアグゾ社製ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックECDJ−500、ケッチェンブラックECDJ−600などがあげられる。カ−ボンブラックを分散剤などで表面処理したり、カーボンブラックを酸化処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カ−ボンブラックを磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。磁性層にカ−ボンブラックを使用する場合は六方晶系フェライト粉末に対する量は0.1〜30質量%でもちいることが好ましい。さらに非磁性層には全非磁性粉末に対し3〜20質量%含有させることが好ましい。
一般的にカ−ボンブラックは帯電防止剤としてだけでなく、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカ−ボンブラックにより異なる。従って本発明に使用されるこれらのカ−ボンブラックは、その種類、量、組み合わせを変え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的に応じて使い分けることはもちろん可能である。使用できるカーボンブラックは例えば「カ−ボンブラック便覧」カ−ボンブラック協会編を参考にすることができる。
【0033】
本発明の磁気記録媒体の層構成は、支持体上に少なくとも磁性層を1層設けたものであれば、特に制限はない。例えば、磁性層と支持体の間に非磁性層を設けたもの、磁性層或いは更に非磁性層を2層以上で構成したもの等が挙げられる。
本発明においては、支持体上に2層以上の塗布層を形成させることが高記録密度の磁気記録媒体を製造する上で有効であり、同時塗布方式は超薄層の磁性層を作り出すことができるので特に優れている。塗布層を2層以上設けた場合、支持体に近い方から下層、上層ともいう。その同時塗布方式としてウェット・オン・ウェット方式の具体的な方法としては、
(1)磁性塗料で一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布装置によりまず下層を塗布し、その層がまだ湿潤状態にあるうちに、例えば、特公平1−46186号公報、特開昭60−238179号公報及び特開平2−265672号公報に開示されている支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により上層を塗布する方法、
(2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17971号公報及び特開平2−265672号公報に開示されているような塗布液通液スリットを二つ内蔵した塗布ヘッドにより、下層の塗布液及び上層の塗布液をほぼ同時に塗布する方法、
(3)特開平2−174965号公報に開示されているバックアップロール付きエクストルージョン塗布装置により、上層及び下層をほぼ同時に塗布する方法、等が挙げられる。
ウェット・オン・ウェット方式で上層が磁性層、下層が非磁性層を塗布する場合、磁性層用塗布液と非磁性層用塗布液の流動特性はできるだけ近い方が、塗布された磁性層と非磁性層の界面の乱れがなく厚さが均一な厚み変動の少ない磁性層を得ることができる。塗布液の流動特性は、塗布液中の粉末粒子と結合剤樹脂の組み合わせに強く依存するので、特に、非磁性層に使用する非磁性粉末の選択に留意する必要がある。また支持体上に下層をもうけ,乾燥,巻き取り後必要によりカレンダー処理を行った後、磁性層を塗布してもよい。
【0034】
本磁気記録媒体の支持体は、通常1〜100μm、テ−プ用として望ましくは3〜15μm、フレキシブルディスク媒体用としては30〜80μmである。磁性層厚みは、通常0.03〜2.5μm、好ましくは0.04〜2.0μm、更に好ましくは0.04〜0.5μmである。非磁性層厚みは、0.5〜5μm、好ましくは0.5〜3.0μmである。また、前記磁性層及び前記非磁性層以外の他の層を目的に応じて形成することもできる。例えば、支持体と下層の間に密着性向上のための下塗り層を設けてもかまわない。この厚みは0.01〜2μm、好ましくは0.05〜0.5μmである。また、支持体性の磁性層側と反対側にバックコ−ト層を設けてもかまわない。この厚みは0.1〜2μm、好ましくは0.3〜1.0μmである。これらの下塗り層、バックコ−ト層は公知のものが使用できる。円盤状磁気記録媒体の場合、片面もしくは両面に上記層構成を設けることができる。
【0035】
本発明で使用される支持体には特に制限はなく、通常使用されているものを用いることができる。支持体を形成する素材の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等の各種合成樹脂のフィルム、およびアルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を挙げることができる。
【0036】
本発明の目的を有効に達成するには、支持体の表面粗さは、中心線平均表面粗さRa(カットオフ値0.25mm)で0.03μm以下、望ましく0.02μm以下、さらに望ましく0.01μm以下である。また、これらの支持体は単に前記中心線平均表面粗さが小さいだけではなく、1μm以上の粗大突起がないことが好ましい。また表面の粗さ形状は必要に応じて支持体に添加されるフィラ−の大きさと量により自由にコントロ−ルされるものである。これらのフィラ−の一例としては、Ca、Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機樹脂微粉末があげられる。本発明に用いられる支持体のウエブ走行方向のF−5値は好ましくは5〜50Kg/mm2(≒49〜490MPa)、ウエブ幅方向のF−5値は好ましくは3〜30Kg/mm2(≒29〜294MPa)であり、ウエブ長手方向のF−5値がウエブ幅方向のF−5値より高いのが一般的であるが、特に幅方向の強度を高くする必要があるときはその限りでない。
また、支持体のウエブ走行方向および幅方向の100℃、30分での熱収縮率は好ましくは3%以下、さらに望ましくは1.5%以下、80℃、30分での熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに望ましくは0.5%以下である。破断強度は5〜100Kg/mm2(≒49〜980MPa)、弾性率は100〜2000Kg/mm2(≒0.98〜19.6GPa)が望ましい。
【0037】
本発明で用いられる有機溶媒は任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン類、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、イソブチルアルコ−ル、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノール、などのアルコ−ル類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコ−ル等のエステル類、グリコ−ルジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、などのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、などの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等が使用できる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分がふくまれてもかまわない。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。本発明で用いる有機溶媒は必要ならば磁性層と非磁性層でその種類、量を変えてもかまわない。下層に揮発性の高い溶媒をもちい表面性を向上させる、下層に表面張力の高い溶媒(シクロヘキサノン、ジオキサンなど)を用い塗布の安定性をあげる、上層の溶解性パラメ−タの高い溶媒を用い充填度を上げるなどがその例としてあげられるがこれらの例に限られたものではないことは無論である。
【0038】
本発明の磁気記録媒体は、前記六方晶系フェライト粉末と結合剤樹脂、及び必要ならば他の添加剤と共に有機溶媒を用いて混練分散し、磁性塗料を支持体上に塗布し、必要に応じて配向、乾燥して得られる。
本発明の磁気記録媒体の磁性塗料を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていてもかまわない。本発明に使用する六方晶系フェライト粉末、結合剤、カ−ボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。
磁性塗料の混練分散に当たっては各種の混練機が使用される。例えば、二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、ゼグバリ(Szegvari)、アトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速衝撃ミル、ディスパー、ニーダー、高速ミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機などを用いることができる。
非磁性塗料も磁性塗料に準じて調製することができる。
【0039】
本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができることはもちろんであるが、混練工程では連続ニ−ダや加圧ニ−ダなど強い混練力をもつものを使用することにより更に本発明の磁気記録媒体の高い出力、C/Nを得ることができる。連続ニ−ダまたは加圧ニ−ダを用いる場合は六方晶系フェライト粉末と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結合剤の30%以上が好ましい)および六方晶系フェライト粉末100質量部に対し15〜500質量部の範囲で混練処理される。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開昭64−79274号公報に記載されている。本発明では、特開昭62−212933に示されるような同時重層塗布方式をもちいることによりより効率的に生産することが出来る。
本発明の磁気記録媒体の磁性層中に含まれる残留溶媒は好ましくは100mg/m2以下、さらに好ましくは10mg/m2以下であり、磁性層に含まれる残留溶媒が非磁性層に含まれる残留溶媒より少ないほうが好ましい。
【0040】
空隙率は下層、上層とも好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは20容量%以下である。非磁性層の空隙率が磁性層の空隙率より大きいほうが好ましいが非磁性層の空隙率が5容量%以上であれば小さくてもかまわない。
本発明の磁気記録媒体は下層と上層を有することができるが、目的に応じ下層と上層でこれらの物理特性を変えることができるのは容易に推定されることである。例えば、上層の弾性率を高くし走行耐久性を向上させると同時に下層の弾性率を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当りを良くするなどである。
このような方法により、支持体上に塗布された磁性層は必要により層中の六方晶系フェライト粉末を配向させる処理を施したのち、形成した磁性層を乾燥する。又必要により表面平滑化加工を施したり、所望の形状に裁断したりして、本発明の磁気記録媒体を製造する。
磁性層の0.5%伸びでの弾性率はウエブ塗布方向、幅方向とも望ましくは100〜2000Kg/mm2(≒980〜19600N/mm2)、破断強度は望ましくは10〜70Kg/mm2(≒98〜686N/mm2)、磁気記録媒体の弾性率はウエブ塗布方向、幅方向とも望ましくは100〜1500Kg/mm2(≒980〜14700N/mm2)、残留のびは望ましくは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は望ましくは1%以下、さらに望ましくは0.5%以下、もっとも望ましくは0.1%以下である。
【0041】
本発明の磁気記録媒体は、ビデオ用途、コンピューターバックアップ用途などのテープであってもデータ記録用途のフロッピーディスクや磁気ディスクであってもよいが、ドロップアウトの発生による信号の欠落が致命的となるデジタル記録用途の媒体に対しては特に有効である。上層の厚さを0.5μm以下とすることにより、特に電磁変換特性が高く、オ−バ−ライト特性が優れた、高密度で大容量の磁気記録媒体を得ることができる。
【0042】
【実施例】
本発明の新規な特徴を以下の実施例で具体的に説明する。尚、特に断らない限り、「部」は「質量部」を意味する。
<M型六方晶系フェライト粉末A〜Dの生成>
M型六方晶系フェライト製造原料として、各種の化合物を酸化物換算で以下の様に秤量した。
【0043】
B2O3 4.7モル
BaCO3 10.0モル
Fe2O3 11.3モル
CoCO3 0.56モル
ZnO 0.50モル
Nb2O5 0.12モル
【0044】
上記の組成物を粉末ミキサーにて十分混合した後、攪拌機の付属したPt−Rh製ルツボに入れ高周波誘導加熱炉で1300〜1350℃にて2時間溶融し、回転しているステンレス製冷却双ロール間に一定量を流し込み、急冷し非晶質体フレークを作成し、粉砕処理を行った。次いで非晶質体をセラミック容器に2cm厚にひろげ、550±5℃に保持した電気炉中に搬送し3時間保持後、700±5℃に保持した電気炉中にただちに搬送し4時間保持した。その後、室温の金属製ホッパーに処理物を投入し、冷却し結晶化粉末を得た。該結晶化粉末をボールミル粉砕し2mol/lの酢酸水溶液に浸漬し、80℃、5時間保持しガラス成分を除去し、ろ別し微結晶を回収した。微結晶をX線回折で分析するとマグネトプランバイト型であった。
1)磁性粉A
微結晶を硫酸イオン30ppmを含有する水中に撹拌後、静置し粒子を沈降させ上澄みを除去した。バリウムフェライト結晶の固形分に対し、Al2O3換算で1.0質量%となるようにAl2(SO4)3水溶液を添加し、混合した。懸濁液を撹拌しつつ30℃に保持し、NaOH水溶液を加え懸濁液のpHを8.5とした。フィルタープレスを使用し、濾別と水洗を行い、100℃で3時間乾燥した。
2)磁性粉B
微結晶を硫酸イオン30ppmを含有する水中に撹拌後、静置し粒子を沈降させ上澄みを除去した。バリウムフェライト結晶の固形分に対し、Al2O3換算で1.0質量%となるようにAl2(SO4)3水溶液を添加し、混合した。懸濁液を撹拌しつつ30℃に保持し、NaOH水溶液を加え懸濁液のpHを8.5とした。バリウムフェライト結晶の固形分に対し、ZnO換算で2.0質量%となるようにZnSO4溶液を添加し、NaOH水溶液を加え懸濁液のpHを8.0とした。懸濁液を180℃で60分間水熱処理を行った後、フィルタープレスを使用し、濾別と水洗を行い、100℃で3時間乾燥した。
3)磁性粉C
微結晶をイオン交換水に撹拌後、静置し粒子を沈降させ上澄みを除去した。スラリーをフィルタープレスを使用し、濾別と水洗を行い、100℃で3時間乾燥した。
4)磁性粉D
微結晶を硫酸イオン30ppmを含有する水中に撹拌後、静置し粒子を沈降させ上澄みを除去した。スラリーをフィルタープレスで濾別し、硫酸イオン30ppmを含有する水を使用してフィルタープレス水洗を行い、100℃で3時間乾燥した。
得られたM型バリウムフェライトの磁気特性測定、TEM観察による平均粉体サイズ、アルカリ土類/Fe(ESCA強度比)[即ち、Ba/Fe(ESCA強度比)]、Al/Fe(ESCA強度比)を求めた。また、M型六方晶系フェライト粉末につき、比表面積、水可溶性Na、Ca、Mg、Feを測定した。磁気特性は振動試料型磁力計(東英工業製)を使用して印加磁界800kA/mで測定した。窒素中250℃で30分脱水しカンターソ−ブ(カンタークロム社製)を使用してBET1点法で比表面積を測定した。結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
<M型六方晶系フェライト粉末E〜Kの生成>
M型六方晶系フェライト製造原料として、各種の化合物を酸化物換算で以下の様に秤量した。
B2O3 8.5モル
BaCO3 4.0モル
Fe2O3 11.3モル
CoCO3 0.56モル
ZnO 0.50モル
Nb2O5 0.12モル
【0047】
B2O3を除く組成物を120℃のクエン酸に溶解させ、約200℃に保ち原料を均一に混合させ、450℃で加水分解した。さらに空気中600℃で焼成し遊離の炭素を除去した。B2O3を加え、粉末ミキサーにて十分混合した後、攪拌機の付属したPt−Rh製ルツボに入れ1300〜1350℃で2時間溶融し、回転しているステンレス製冷却双ロール間に噴出させて非晶質体を得て,粉砕処理を行った。次いで非晶質体をセラミック容器に2cm厚にひろげ,表3記載の結晶化温度(設定温度±5℃)に保持した電気炉中に搬送し5時間保持した。その後、室温の金属製ホッパーに処理物を投入し、冷却し結晶粉末を得た。該結晶粉末を遊星ミルにより粉砕し2mol/lの酢酸水溶液に浸漬し、80℃、5時間保持しガラス成分を除去し、ろ別し微結晶を回収した。微結晶をX線回折で調べるとマグネトプランバイト型であった。微結晶を、硫酸イオン30ppmを含有する水中に撹拌後、静置し粒子を沈降させ上澄みを除去した。バリウムフェライト結晶の固形分に対し、Al2O3換算で1.0質量%となるようにAl2(SO4)3水溶液を添加し、混合した。懸濁液を撹拌しつつ30℃に保持し、NaOH水溶液を加え懸濁液のpHを8.5とした。フィルタープレスを使用し、濾別と水洗を行い、100℃で3時間乾燥した。
得られたM型バリウムフェライトの特性を上記と同様に測定した。結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
結晶化温度の相違により、平均板径が変化した。形状の変化に伴い同一原料組成であってもHc、σsが変化した。
【0050】
下層用非磁性粉末の製造例
窒素を吹込み酸化防止している20℃の硫酸第1鉄水溶液に珪酸ナトリウム(Si/Feの原子比で1%)を添加し、水酸化ナトリウム溶液を中和当量の60%を添加し、水酸化第1鉄を形成した。20℃に保持して空気酸化してゲータイト核晶を形成した。このスラリーに窒素を吹込み酸化防止し、40℃に保持し水酸化ナトリウム溶液を添加しつつ空気酸化しゲータイトを作成した。ゲータイトを水洗濾過し、ケーキを成形機に通したあと乾燥した。得られたゲ−タイトの比表面積は112m2/gであった。
焼成炉にゲータイトをいれ300℃に1時間保持し脱水しα−Fe2O3としたあと、さらに温度を680℃として2時間アニール処理した。得られたα−Fe2O3を0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液と混合しさらにサンドグラインダー処理し、水を加えてスラリー濃度2%の懸濁液を作成した。撹拌しつつ、懸濁液中のFeに対し所定量のAl量(表4、表面処理量のAl量、質量%で表示)を硫酸アルミニウム溶液で添加し、アンモニア水溶液を添加して懸濁液のpHを8.5とした後、60℃で1時間保持した後、濾過、水洗、乾燥し圧密処理した。
【0051】
該アニ−ル処理したα−Fe2O3を0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液と混合しさらにサンドグラインダー処理し、水を加えてスラリー濃度2%の懸濁液を作成した。撹拌しつつ、懸濁液中のFeに対し所定量(表4、表面処理量のAl量、質量%で表示)のAl量を硫酸アルミニウム溶液で添加し、水酸化ナトリウム溶液を添加して懸濁液のpHを8.0とした後、Feに対し所定量(表4、表面処理量のZn量、質量%で表示)のZnをZnSO4溶液として添加し、NaOH溶液を添加し懸濁液のpHを8.5とした。80℃で1時間保持した後、濾過、水洗、乾燥し圧密処理した(ヘマタイトB、C)。
【0052】
得られたα−Fe2O3のpH、鉄錯体形成量、比表面積、水可溶性Na、Ca、Mg、Feを測定した。比表面積はカンタークロム社のカンターソーブを使用し、250℃で30分脱気処理してBET1点法で測定した。水可溶性Na、Ca、Mg、Feは、α−Fe2O35gを蒸留水100mlに加え1時間撹拌抽出し、上澄みを濾過した濾液を使用し、Na、Ca、Mg、FeはICPで測定した。結果を表4に示す。
【0053】
【表4】
【0054】
実施例11〜19、比較例11〜13
磁気テープの製造1
作製した六方晶系フェライト粉末(磁性粉A,B,C,D)を使用した磁気テープを作成するため以下の磁性層の組成物を作成した。
【0055】
上記の六方晶系フェライト粉末、塩化ビニル共重合体、メチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤130部をニーダーで混練した後、上記の残りの組成物を添加混合し、次いで1mmφのジルコニアビーズを使用しサンドグラインダーで分散した。得られた分散液にポリイソシアネート6部を加え、さらにメチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤を20部加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを使用して濾過し、磁性層用の塗布液を調製した。
【0056】
【0057】
非磁性塗料は、針状ヘマタイト、α−アルミナ、カーボンブラック、塩化ビニル共重合体、メチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤120部をニーダーで混練した後、上記の残りの下層用組成物を添加混合し、次いでサンドグラインダーを使用して分散し調製した。得られた分散液にポリイソシアネートを下層用非磁性層の塗布液には5部、さらにメチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤を20部加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを使用して濾過し、下層用塗布液を調製した。
表5に示した六方晶系フェライト粉末と非磁性粉末の各塗布液の組み合わせで下記の通りの磁気記録媒体を作製した。得られた下層用の塗布液を乾燥後の厚さが1.5μmとなるように塗布し、さらにその直後下層用塗布層がまだ湿潤状態にあるうちに、その上に磁性層の厚みが0.10μmとなるように厚さ7μmのポリエチレンテレフタレート支持体上に磁性塗布液を湿式同時重層塗布し、両層がまだ湿潤状態にあるうちに配向装置を通過させ長手配向した。この時の配向磁石は希土類磁石(表面磁束500mT)を通過させた後、ソレノイド磁石(磁束密度500mT)中を通過させ、ソレノイド内で配向が戻らない程度まで乾燥させさらに乾燥部で磁性層を乾燥し巻き取った。その後、金属ロールより構成される7段カレンダーでロール温度を90℃にしてカレンダー処理を施して、ウェッブ状の磁気記録媒体を得、それを8mm幅にスリットして8mmビデオテープのサンプルを作成した。
【0058】
得られた磁気テ−プの磁気特性、表面粗さ、初期摩擦係数、60℃、90%RHに7日保存後に測定した保存後摩擦係数を表5に示す。
電磁変換特性の測定法は次の方法によった。
データー記録用8ミリデッキにMIGヘッド(ヘッドギャップ0.2μm、トラック幅17μm、飽和磁束密度1.5T、アジマス角20°)と再生用MRヘッド(SALバイアス、MR素子はFe−Ni、トラック幅6μm、ギャップ長0.2μm、アジマス角20°)を搭載した。MIGヘッドを用いて、テープとヘッドの相対速度を10.2m/秒とし、1/2Tb(λ=0.5μm)の入出力特性から最適記録電流を決めこの電流で信号を記録し、MRヘッドで再生した。C/Nは再生キャリアのピークから消磁ノイズまでとし、スペクトルアナライザーの分解能バンド幅は100kHzとした。比較例13のテープに対する特性で表わした。信号を記録し出力を測定したテープを60℃90%RHに10日保存した後、出力を測定し保存前後の出力変化を求めた。
【0059】
磁気特性は、振動試料型磁力計を使用し印加磁界800kA/mで測定した。SQは角形比を示す。
表面粗さは、WYKO社(USアリゾナ州)製の光干渉3次元粗さ計「TOPO−3D」を使用し250μm角の試料面積を測定した。測定値の算出にあたっては、傾斜補正、球面補正、円筒補正等の補正をJIS−B601に従って実施し、中心面平均粗さRaを表面粗さの値とした。
初期および保存後の各摩擦係数は、得られたテープとステンレスポールを50gの張力(T1)で巻きつけ角180度で接触させて、テープを3.3cm/sの速度で走行させるのに必要な張力(T2)を測定した。これらの測定値を使用し、次の計算式で摩擦係数を求めた。結果を表5に示す。
μ=1/π・ln(T2/T1)
【0060】
【表5】
【0061】
Ba/Fe(ESCA強度比)が高いM型六方晶系フェライト粉末を用いた比較例11〜13は、実施例に比較して出力、C/Nで劣るほか、保存後の摩擦係数が高くかつ出力変化が発生している。比較例のテープ表面を走査型顕微鏡観察すると筍状の突起が存在することが認められた。この突起がスペーシングロスの原因となり、出力が低下したと考えられる。
【0062】
実施例21〜25、比較例21〜22
磁気記録媒体の製造2
M型六方晶系フェライト粉末(表6に記載)と非磁性粉末(表6に記載)を使用した重層構成の磁気テープを作成するため以下の磁性層の組成物と下層用の組成物を作成した。
【0063】
【0064】
磁性塗料は、上記の六方晶系フェライト粉末、塩化ビニル共重合体、メチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤130部をニーダーで混練した後、上記の残りの磁性層組成物を添加混合し、次いでサンドグラインダーを使用して分散して調製した。
非磁性塗料は、針状ヘマタイト、α−アルミナ、カーボンブラック、塩化ビニル共重合体、メチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤120部をニーダーで混練した後、上記の残りの下層用非磁性組成物を添加混合し、次いでサンドグラインダーを使用して分散し調製した。得られた分散液にポリイソシアネートを下層用の塗布液には6部、磁性層塗布液には5部を加え、さらにメチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤を20部加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを使用して濾過し、下層用および磁性層用の塗布液を調製した。
【0065】
表6に示した六方晶系フェライト粉末と非磁性粉末の各塗布液の組み合わせで下記の通りの磁気記録媒体を作製した。
得られた下層用の塗布液を乾燥後の厚さが1.5μmとなるように塗布し、さらにその直後下層用塗布層がまだ湿潤状態にあるうちに、その上に磁性層の厚みが0.10μmとなるように厚さ7μmのポリエチレンテレフタレート支持体上に磁性塗布液を湿式同時重層塗布し、両層がまだ湿潤状態にあるうちに配向装置を通過させ長手配向した。この時の配向磁石は希土類磁石(表面磁束500mT)を通過させた後ソレノイド磁石(磁束密度500mT)中を通過させ、ソレノイド内で配向が戻らない程度まで乾燥しさらに乾燥部で磁性層を乾燥し巻き取った。その後金属ロールより構成される7段カレンダーでロール温度を90℃にしてカレンダー処理を施して、ウェッブ状の磁気記録媒体を得、それを8mm幅にスリットして8mmビデオテープのサンプルを作成した。
得られた各磁気テ−プを実施例11等と同様に評価した。結果を表6に示す。尚、出力、C/Nは比較例22のテープに対する特性で表わした。
【0066】
【表6】
【0067】
Ba/Fe(ESCA強度比)を満足しても平均板径が15nmよりも小さいM型六方晶系フェライト粉末を用いると分散が困難なためテープの表面粗さが大きくなり出力、C/Nが劣る。また、Ba/Fe(ESCA強度比)を満足しても平均板径が大きいと、ノイズが増加した。
【0068】
【発明の効果】
本発明は、平均板径が15〜35nmのM型六方晶系フェライト粉末の表面組成をESCAで測定したとき、アルカリ土類/Fe(ESCA強度比)を0.10〜0.15とすることで、高温、高湿下の保存に耐え、かつ電磁変換特性の良好な磁気記録媒体を安定して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁性粉A、C、DをESCAでエッチングしたときのBa/Fe(ESCA強度比)、Al/Fe(ESCA強度比)のエッチング時間に対する変化の様子を示す。
Claims (1)
- 支持体上に六方晶系バリウムフェライト粉末と結合剤を含む磁性層を少なくとも1層設けた磁気記録媒体において、該六方晶系バリウムフェライト粉末は平均板径が15〜35nmであって、置換元素を含むマグネトプランバイト型であり、かつ該六方晶系バリウムフェライト粉末のプレスサンプルをエッチングしつつESCAで測定しエッチング時間0secのC存在割合が1/3〜1/5となる測定点の平均より求めたBa/Fe(ESCA強度比)が0.10〜0.15であることを特徴とする磁気記録媒体。
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