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JP4000687B2 - 爆薬組成物の製造方法 - Google Patents

爆薬組成物の製造方法 Download PDF

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    • C06EXPLOSIVES; MATCHES
    • C06BEXPLOSIVES OR THERMIC COMPOSITIONS; MANUFACTURE THEREOF; USE OF SINGLE SUBSTANCES AS EXPLOSIVES
    • C06B47/00Compositions in which the components are separately stored until the moment of burning or explosion, e.g. "Sprengel"-type explosives; Suspensions of solid component in a normally non-explosive liquid phase, including a thickened aqueous phase
    • C06B47/14Compositions in which the components are separately stored until the moment of burning or explosion, e.g. "Sprengel"-type explosives; Suspensions of solid component in a normally non-explosive liquid phase, including a thickened aqueous phase comprising a solid component and an aqueous phase
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は隧道堀進、採石、採鉱等の産業用の爆破作業に利用される爆薬や地雷、機雷等に利用される炸薬などに使用可能な爆薬組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
産業用爆薬としては、ポーラスプリル硝安と油剤とからなる硝安油剤爆薬や、ニトログリセリンを含有する膠質ダイナマイト、油中水滴型(以下、W/O型と略す)エマルション爆薬を始めとする含水爆薬などがある。
硝安油剤爆薬は雷管1本では起爆できないため、ブースターとよばれる伝爆薬が使用される。これは、硝安油剤爆薬の起爆感度が、他の一般爆薬に比べて鈍感であるからであり、それだけ安全性が高いともいえる。
一方、含水爆薬は有機液体燃料からなる連続相、無機酸化塩の水溶液からなる分散相、乳化剤および気泡保持剤を含む組成が一般的であり、気泡保持剤としては通常微小中空球体が用いられる。この含水爆薬組成物中には火薬類が含まれないことから膠質ダイナマイトに比べて取扱い時の安全性に優れ、次第にその使用が広まっている。
【0003】
また、特公平6−41397号公報には、特定の乳化剤を用い、5重量%以下の水分量で安定性の悪いW/O型エマルション爆薬を形成させた後、それを所定の成形型に注型し、冷却することによって無機酸化塩を結晶化させた爆薬組成物が開示されている。
また、地雷や機雷等、炸薬用の爆薬組成物としては、従来からトリニトロトルエン(以下、TNTと略記する)やコンポジションB(ヘキソーゲン(以後、RDXと略記する)60重量%、TNT40重量%、ワックス(外割1重量%))、ペントライト(TNTとペンスリットとの混合物)などニトロ化合物を主体とする爆薬や、RDXやヘキサメチレンテトラニトロアミン(以後、HMXと略記する)を樹脂バインダーで分散させたいわゆる熱可塑性爆薬(以後、PBXと略記する)などがある。
TNTやRDXなどのニトロ化合物を主とする爆薬は融点、あるいは共融点以上に加熱されたものが弾殻に溶填されるが、PBXは可塑剤とともに混和されたRDXやHMXが弾殻に真空あるいは常圧注型され、その後熱硬化させられる。PBXは混和・注型温度が低く、安全性に優れることが特長である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
硝安油剤爆薬は、通常ポーラスプリル硝安に軽油を染み込ませた形態の爆薬であるため、流動性に優れ、砕石や石灰石採掘などを始めとした明かり発破のみならず、鉱山や土木トンネルの発破現場でも使用されている。
しかしながら、この爆薬は耐水性に劣るため、爆破用ボアホール内に水が存在したり、湧水のある現場においては使用することが困難である。明かり発破現場では、予め装薬孔内の水を排出して、耐水性のあるプラスチック製のチューブを装薬孔に挿入し、そこへ硝安油剤爆薬を流し込むといった非常に面倒な作業が必要であるという問題があった。
また、硝安油剤爆薬に温度負荷が加わった場合、ポーラスプリル硝安の粒子が崩れ粉化したり、あるいは水分の吸着による固化等が発生し、発破現場での使用が困難であるとの問題があった。
【0005】
W/O型エマルション爆薬は本質的に熱力学的に不安定な系であるため、極低温から高温といった温度負荷が加わった場合、エマルションが破壊して起爆感度が低下し、正常に起爆しないという問題があった。
また特公平6−41397号公報に開示された爆薬組成物では、含有される水の量が少ないため、製造段階での安全性が悪いという問題があった。しかも、W/O型エマルション爆薬の安定性が悪いことから、粒子径が揃わず、結晶化した無機酸化塩が温度負荷に対して不安定であるという問題もあった。
【0006】
また、従来の炸薬にあっては、TNT、コンポジションB、ペントライトなど、溶填式の炸薬でもPBX系炸薬でも、いったん弾殻に成型されたものは、その廃棄時に爆発以外の方法で処理するのが困難であるという問題があった。
この発明は以上のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、取り扱い時の安全性に優れ、結晶化した硝酸塩または無機過塩素酸塩の粒子径が均一で、温度負荷に対して安定で、かつ幅広い温度帯域において長期に渡り安定であり、また、温水により容器内の爆薬を脱薬することが容易な爆薬組成物の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、硝酸塩または無機過塩素酸塩と有機液体燃料とを特定の形態とし、これに吸水性物質を添加混合することにより、これらの問題が解決されることを見出し、この発明を完成した
【0008】
第1の発明の爆薬組成物の製造方法は、硝酸塩または無機過塩素酸塩、5〜10重量%の水、及びソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル又はその混合物を含む有機液体燃料を混合乳化して油中水型エマルションを形成する工程と、油中水型エマルション中に吸水性物質及び必要により微小中空球体を混和する工程と、この混和物を常温以下に冷却して硝酸塩または無機過塩素酸塩を結晶化させる工程とからなる爆薬組成物の製造方法である。
第2の発明の爆薬組成物の製造方法は、第1の発明において、吸水性物質がポリアクリル酸ソーダ架橋物、部分ケン化ポリビニルアルコール/酢酸ビニル/アクリル酸メチルの懸濁共重合体の加水分解物(ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸系)、ポリウレタン樹脂である。
第3の爆薬組成物の製造方法は、第1又は第2の発明において、冷却を−50℃に保持できる冷却装置により行うものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。本発明の爆薬組成物は、硝酸塩または無機過塩素酸塩、5〜10重量%の水、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル又はその混合物を含む有機液体燃料及び吸水性物質、必要により微小中空球体よりなり、前記硝酸塩または無機過塩素酸塩が結晶化し、その結晶化した粒子の周囲が有機液体燃料で被覆されていることを特徴とするものである。
前記硝酸塩または無機過塩素酸塩は、従来からW/O型エマルション爆薬に用いられているものすべてが包含される。
その具体例としては、例えば硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の硝酸塩や過塩素酸アンモニウム、過塩素酸ナトリウム等の無機過塩素酸塩、硝酸ヒドラジン、硝酸モノメチルアミン等の水溶性アミン硝酸塩等が挙げられる。
これらのうち、溶解温度が低く、かつ溶解量が多い点から、硝酸アンモニウム単独または硝酸アンモニウムと他の硝酸塩または無機過塩素酸塩との混合物が好ましい。その際、他の硝酸塩または無機過塩素酸塩の硝酸アンモニウム100重量部に対する割合は、通常100重量部以下が好ましい。
【0010】
これら硝酸塩または無機過塩素酸塩の全組成物中に占める配合割合は、通常20〜90重量%、好ましくは40〜90重量%である。20重量%未満の場合は爆薬の爆発力が弱く、逆に90重量%を越える場合はW/O型エマルション爆薬を形成する際の温度が高くなり、製造に適さなくなる傾向にある。
また、前記硝酸塩または無機過塩素酸塩は、予め均一な水溶液にした後、他の成分を加えて混合乳化しW/O型エマルションに形成される。その時にはまだ液滴状であるが、次に、冷却によりエマルション構造が破壊されて結晶化した固体の状態となる。
このような硝酸塩または無機過塩素酸塩の結晶化した微粒子の直径は本発明の爆薬組成物ないし鋳造爆薬組成物としての目的を達成できる限り特に制限はないが、1〜10μm程度の範囲にあることが好ましい。
水の配合割合は、5〜10重量%である。
水の配合割合を少なくする程、W/O型エマルション爆薬の衝撃感度が高くなる傾向にあり、逆に水の配合割合を多くする程、温度負荷が与えられることによって結晶化した硝酸塩または無機過塩素酸塩が再溶解して結晶が大きく成長し、爆薬としての感度が低下するとともに、爆薬としてのエネルギーが低下する傾向にある。
【0011】
次に有機液体燃料は、ワックス単独ないしワックスと乳化剤との混合物である。前記ワックスは、例えば、ポリエチレンワックス等の合成ワックス、パラフインワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油質ワックス、モンタンワックス等の鉱物系ワックス等から選ばれる。
加熱に要するエネルギーや設備の点から、融点が70℃〜130℃のものが好ましく、さらに好ましくは前記の点に加えて、尿素非付加率が30%以下のもので、例えば、n-パラフィンやポリエチレンワックスである。
【0012】
最も好ましいワックスは、さらに油分が1重量%以下のものから選ばれる。例えば、ポリエチレンワックスである。
前記ワックスは単独もしくは混合物として用いられる。
ワックスの全組成物中に占める割合は、通常0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。0.1重量%未満ではW/O型エマルション爆薬の形成が困難であり、一方、10重量%を越える場合は、エマルション中の分散液滴を囲む油相の膜厚が大きくなり反応性が低下する傾向にある。
前記融点の測定は、パラフィンワックスやモンタンワックスなど、融点が比較的低いものについてはJIS K 2235に示された、溶融試料の冷却法により、また、融点の高いポリエチレンワックスについてはDSC(示差走査熱量計法)によって行われる。
【0013】
尿素非付加率の測定は、試料をベンゼンに溶解し、かき混ぜながらメチルエチルケトン付加した尿素を加えて尿素付加物を作る。次に、これを濾過し、濾液中の溶剤を蒸発させて残油の重量(重量%)を尿素非付加物とする。(たとえば産業図書株式会社出版雨宮登三編「石油化学」の534〜548頁に記されている)。
油分の測定は、JIS K 2235に示されている方法である。すなわち、試料をメチルエチルケトンに溶解し、−32℃に冷却して析出するワックスを濾過し、濾液中の溶剤を蒸発させて残油の量をはかり、油分を算出する方法である。
【0014】
前記乳化剤は、従来からW/O型エマルション爆薬に使用されているものいずれもが使用できる。例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレート、ソルビタンジオレート、ソルビタントリオレート等のソルビタン脂肪酸エステル、ステアリン酸モノグリセライド等の脂肪酸のモノまたはジグリセライド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキサゾリン誘導体、イミダゾリン誘導体、リン酸エステル、脂肪酸アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、1級、2級もしくは3級アミン塩等であり、これらは、1種または2種以上の混合物として使用される。
【0015】
これらの中でエマルション生成時の乳化性及び分散液滴の微細化という点で、ソルビトール脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとの混合物が好ましい。特に結晶性の高い(常温で固体)もの、例えば、ソルビタンイソステアレートは乳化性が良好であるが、温度降下により硝酸塩または無機過塩素酸塩が結晶化しやすいためより好ましい。
これら乳化剤の全組成物中に占める配合割合は、通常10重量%以下、好ましくは0.1〜5重量%である。製造工程で一度乳化物を形成後、冷却してエマルション構造を破壊するので、乳化剤は少ない方が好ましい。10重量%を越える場合はW/O型エマルション爆薬の粘性が高くなり、エマルションの破壊が困難になる傾向にある。また、酸素バランスが著しくマイナスとなるため、爆薬としての威力が低下する傾向にある。
【0016】
前記吸水性物質の具体例としては、デンプン/ポリアクリル酸グラフト共重合体、デンプン/ポリアクリル酸ソーダグラフト共重合体等のデンプン系吸水性ポリマー、セルロース/ポリアクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物等のセルロース系吸水性ポリマー、部分ケン化ポリビニルアルコール/酢酸ビニル/アクリル酸メチルの懸濁共重合体の加水分解物(ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸系)、ポリアクリル酸ソーダ架橋物及びポリウレタン樹脂等の合成ポリマー系吸水性ポリマー等が挙げられる。
また、無機の吸水性物質として例えばベントナイト、シリカゲル等が挙げられる。
【0017】
また、前記硝酸塩または無機過塩素酸塩の結晶化粒子の一部が温度負荷等により成長した場合、隣接するゲル化物粒子(吸水した吸水性物質)に圧力が加わる。特に前記爆薬組成物を容器に鋳造すると、圧力が解放されないため、ゲル化物粒子には常に外的な圧力が加わった状態になる。そのことにより、ゲル化物粒子が吸水した水を維持できずに放水した場合、前記硝酸塩または無機過塩素酸塩の結晶化粒子は短時間で成長し、爆薬の性能は極端に低下する。
そのため、前記ゲル化物粒子はこのような圧力が加わった場合でも、水を吸水保持し続ける強靱性を有することが好ましい。
具体的には吸水し膨潤したゲル化物粒子のゲル強度が104dyne/cm2以上(カードメーター法)のものが好ましいものである。
【0018】
また、前記硝酸塩または無機過塩素酸塩の結晶化粒子を安定に保つには、排出された水を瞬時に吸水保持する必要がある。そのため、吸水性物質の吸水速度は速い方が好ましく、また保水能力としては500Gの遠心力を、吸水した吸水性物質のゲル化物粒子に加えた場合に、保水率が50重量%以上であるものが好ましい。また、長期間排出された水を保持する必要があるため、経時による吸水能力及び保水能力の低下の少ないものが好ましい。
また、排出された水には若干量の硝酸塩または無機過塩素酸塩が溶解しているため、このような塩の存在下でも十分に吸水する能力のあるものが好ましい。
【0019】
以上詳述した強靱性、吸水速度や保水能力等の点から、前記吸水性物質の中では、ポリアクリル酸ソーダ架橋物、部分ケン化ポリビニルアルコール/酢酸ビニル/アクリル酸メチルの懸濁共重合体の加水分解物(ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸系)、ポリウレタン樹脂が好ましいものである。
【0020】
吸水性物質の形状としては、粉末形状、繊維形状、フレーク形状等の何れの形態でも良い。また、粒子を多孔質化し表面積を上げたものも、吸水速度が上がるため好ましい。また、その大きさは本発明の爆薬組成物ないし鋳造爆薬組成物としての目的を達成できる限り特に制限はないが、0.1〜5mmが好ましく、さらに好ましくは0.2〜3mmである。
粒子径が5mmを越える場合、有機燃料で被覆された硝酸塩または無機過塩素酸塩の結晶化粒子の集合体内に細かく分散した水を十分に吸水できなくなり、逆に0.1mm未満の場合は飛散し易いため、製造時における混和性が十分でなくなる傾向にある。吸水性物質の全組成中に占める配合割合は、通常0.1〜10重量%、好ましくは1〜3重量%である。0.1重量%未満の場合は十分な吸水効果が得られず、逆に10重量%を越える場合は爆薬の感度、威力が低下する傾向にある。
【0021】
前記吸水性物質の作用を以下に詳述する。
有機燃料で被覆された硝酸塩または無機過塩素酸塩の結晶化粒子の近傍ないし集合体内に分散させることで、排出された水を吸収保持し、水と硝酸塩または無機過塩素酸塩との接触及び集合体内における水の移動を抑制し、温度負荷を掛けた後も初期の粒子形状を維持することが可能となる。
それは次の理由による。
本発明の爆薬組成物は、結晶化した微細な硝酸塩または無機過塩素酸塩の粒子の周りを、有機液体燃料の薄い膜で覆った粒子が多数集合した構造となっている。そして硝酸塩または無機過塩素酸塩の結晶化した粒子は、硝酸塩または無機過塩素酸塩と水との混合物がエマルション形成時には液滴状であったものが、冷却により結晶化したものであるため、結晶化の際に水を結晶化粒子の周辺に排出している。その排出された水はその集合体内に分散して存在している。
【0022】
そして、硝酸塩または無機過塩素酸塩の水に対する溶解度は温度により異なるため、温度負荷により硝酸塩または無機過塩素酸塩の水への溶解、再結晶化が繰り返されるに従い、結晶化した粒子は益々大きく成長する。
また、粒子形状の変化に伴なう点在していた水の移動も粒子径を大きく成長させる要因となっている。
即ち、爆薬組成物の保存中における温度負荷の範囲が狭い場合は、粒子自体の強靭性により、粒子形状を維持できるが、温度負荷の範囲が広く、長期に渡って温度負荷が加わった場合には、粒子形状を維持できなくなり点在していた水の移動が起こるからである。
これらのことは爆薬としての性能、即ち爆薬としての感度やエネルギーの低下を引き起こす原因になる。
【0023】
また本発明の爆薬組成物は必要に応じて添加される微小中空球体により、その仮比重は0.8〜1.5に調整される。
微小中空球体としては、例えばガラス、アルミナ、頁岩、シラス、珪砂、火山岩、ケイ酸ナトリウム、ホウ砂、真珠岩、黒曜石等から得られる無機質微小中空球体、ピッチ、石炭等から得られる炭素質微小中空球体、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ポリスチレン等から得られる有機質微小中空球体等があり、空隙は1個づつ独立していても良いし、集合体であっても良い。これらの微小中空球体は1種又は2種以上の混合物として用いられる。また、前記有機質微小中空球体はその表面が撥水性物質でコーティングされていてもよい。そのコーティングに用いられる物質としては、例えば、低分子系シランカップリング剤、高分子系シランカップリング剤、フッ素系界面活性剤、ステアリン酸、含フッ素メタクリレート(又は含フッ素アクリレート)系潤滑剤などが挙げられる。
微小中空球体の配合割合は通常、使用する微小中空球体の比重等によるが、爆薬組成物中の全組成に対して通常8重量%以下、好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。
【0024】
また、本発明による爆薬組成物には、アルミニウム粉、マグネシウム粉等の金属粉末、木粉、澱粉等の有機粉末を爆発力の増大を図るために添加することができるが、その配合割合は爆薬組成物に対して通常50重量%以下である。
【0025】
次に、爆薬組成物の製造方法について説明する。
それは、硝酸塩または無機過塩素酸塩、水および有機液体燃料を含む油中水型エマルションを形成する工程と、吸水性物質および必要により微小中空球体、金属粉末や有機粉末等を混和する工程と、常温以下に冷却して硝酸塩または無機過塩素酸塩を結晶化させる工程とよりなる。
具体的には、まず、硝酸塩または無機過塩素酸塩の水溶液を、有機液体燃料中に高速攪拌することにより、W/O型エマルションが形成される。このW/O型エマルションは、微細な硝酸塩または無機過塩素酸塩の水溶液が有機液体燃料の薄い膜で覆われた構造を有し、そのような粒子が多数集合したものである。その後、吸水性物質および必要により微小中空球体等を加えて混和機で均一に攪拌混合してW/O型エマルション爆薬とする。
【0026】
これを高温のまま、成形型に流し込んだ後、常温以下、好ましくは−50℃以下に保持できる冷却装置によって冷却し、分散相中の硝酸塩または無機過塩素酸塩を結晶化させる。これにより、固化した硝酸塩または無機過塩素酸塩の表面を被覆している膜も同時に固定される。
冷却温度は、低ければ低いほど結晶が析出しやすくなり、例えば液体窒素の温度(沸点:−196℃)の雰囲気温度にすることが好ましい。冷却時間は冷却温度によって異なるが、製造効率の点から10分以下が望ましい。それを成形型から取り出したものが所定形状を有する鋳造爆薬組成物となる。
また、その形状はとくに限定されるものではなく、例えば円柱状、円盤状、角型容器等いずれでもかまわない。具体的には直径50mmのパイプ状のものや直径1mの球状のものが挙げられる。
また、前記爆薬組成物としては、1〜5mm程度の粒子に適宜粉砕し、すぐに重袋等に装填できる形態も含んでいる。
【0027】
【実施例】
本発明を実施例を掲げて、以下に更に詳しく説明する。%は重量%を示す。
実施例1
硝酸アンモニウム76.9重量部および硝酸ナトリウム4.8重量部、硝酸ヒドラジン4.8重量部を水8.7重量部に加えて加温することにより溶解させ、約90℃の硝酸塩の水溶液を得た。
一方、ソルビトールモノオレート0.8重量部とポリエチレンワックス(日本石油(株)製、商品名:日石レクスポール1B、融点84℃、尿素非付加率0%、油分0%)4.0重量部との混合物を加温して溶融させ約90℃の有機液体燃料を得た。これら硝酸塩の水溶液と有機液体燃料とを乳化装置に導き、W/O型エマルションを得た。
【0028】
このW/O型エマルションに真比重が0.02、平均粒子径が60μmのアクリロニトリル樹脂バルーン(松本油脂製薬(株)製、商品名:F−80ED)0.2重量部及びポリアクリル酸ソーダ架橋物(住友精化(株)製、商品名:アクアキープ10SH−P、粒子径:200〜300μm)3重量部を加え、縦型混和機を用いて混合し、W/O型エマルション爆薬を得た。
ここで、1%酸化剤水溶液を吸水した吸水性物質のゲル強度は3×104dyne/cm2であり、強度的には充分であった。
この爆薬組成物を内径40mm、長さ300mmの鉄製チャンバーにすぐさま流し込んだ。チャンバーのまま液体窒素に浸けて−196℃で10分間凍結した。常温に戻した後の様子を観察したところ、エマルション構造は破壊され、硝酸塩が結晶化していた。
また、平均粒径は5〜10μmでよく揃い、ポリアクリル酸ソーダ架橋物に水が吸収保持されている状態が観察された。
【0029】
そして、チャンバーのまま、+65℃で15時間、−40℃で5時間、その間の調温に各2時間、合計24時間を1サイクルとする温度負荷試験を15サイクル行った後、爆薬組成物の形状を観察した。
その結果、有機液体燃料で被覆された硝酸塩の結晶化粒子の粒子径は5〜10μmのままであり、結晶の大きな成長は見られなかった。
また、この爆薬の薬面にペントライトブースタを密着させて、−20℃で6号電気雷管で起爆したところ、全体が良好に爆轟した。
一方、温度負荷試験・起爆試験に供する前の試料について温水による脱薬を以下の手順で行った。まず、所定形状をなす爆薬の装薬されたチャンバーを、温度約90℃に調温された温水中に浸漬し、一昼夜放置した。チャンバーを観察したところ、内部の爆薬組成物は溶出し、脱薬されていることが確認された。
【0030】
実施例2
まず硝酸アンモニウム74.2重量部および硝酸ナトリウム4.8重量部、硝酸ヒドラジン9.8重量部を水6.0重量部に加えて加温することにより溶解させ、約120℃の硝酸塩の水溶液を得た。一方、ソルビトールモノオレート1.0重量部とポリエチレンワックス(中国精油製、商品名:MP−80、融点85℃、尿素非付加率0%、油分0%)4.0重量部との混合物を加温して溶融させ約120℃の有機液体燃料を得た。
これら硝酸塩水溶液と有機液体燃料とを小型試験乳化装置に導き、W/O型エマルションを得た。
【0031】
このW/O型エマルションに真比重が0.25、平均粒子径が60μmのガラスマイクロバルーン(3M社製、商品名:K25)2.0重量部及びポリウレタン樹脂(日清紡(株)製、商品名:バイオコンタクトN、粒径1.5mm粉砕品)を加え、縦型混和機を用いて混合し、W/O型エマルション爆薬を得た。
ここで、1%酸化剤水溶液を吸水した吸水性物質のゲル強度は105dyne/cm2であり、強度的には充分であった。
この爆薬組成物の性能評価を、実施例1に準じて行った。その結果、実施例1と同様良好な結果を得た。
【0032】
実施例3
微少中空球体を配合しない他は実施例1に準じて爆薬組成物を得た。
ここで、1%酸化剤水溶液を吸水した吸水性物質のゲル強度は3×104dyne/cm2であり、強度的には充分であった。
この爆薬組成物の性能評価を、実施例1に準じて行ったところ、温度負荷試験後も平均粒径は5〜10μmと良好な状態を保持していた。
【0033】
比較例1
吸水性物質を配合しない他は実施例1に準拠して爆薬組成物を得た。得られた爆薬について、実施例1と同様の温度負荷試験を行ったところ5サイクルで、排出された水がチャンバー下部に溜まり、硝酸塩の結晶化粒子の粒子径も250〜550μmまで大きく成長していた。
また、この爆薬の薬面にペントライトブースタを密着させて、−20℃で6号雷管で起爆したところ、伝爆しなかった。
【0034】
【発明の効果】
この発明は、以下のように構成されているため、次のような効果を奏する。負荷温度の範囲が広い温度負荷を長期に渡って加えた場合にも、有機液体燃料で被覆された硝酸塩または無機過塩素酸塩の結晶化粒子は成長せず安定で、初期の爆薬性能を維持することができる。
また、結晶化した硝酸塩または無機過塩素酸塩の粒子径が均一で、爆薬としてのエネルギーを維持しつつ、爆薬の衝撃感度が適切で取り扱い時の安全性を向上させることができる。また、結晶化前の爆薬組成物に流動性があるため、成形型によって所定形状に成形可能であることから、地雷や機雷に使用する場合、成形を容易に行うことができる。
また、温水により、容器内の爆薬を脱薬することが可能であるため、廃棄が容易である。
また、爆薬組成物の製造方法によれば、容易にかつ安定した状態で製造することができる。

Claims (3)

  1. 硝酸塩または無機過塩素酸塩、5〜10重量%の水、及びソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル又はその混合物を含む有機液体燃料を混合乳化して油中水型エマルションを形成する工程と、油中水型エマルション中に吸水性物質及び必要により微小中空球体を混和する工程と、この混和物を常温以下に冷却して硝酸塩または無機過塩素酸塩を結晶化させる工程とからなる爆薬組成物の製造方法。
  2. 前記吸水性物質がポリアクリル酸ソーダ架橋物、部分ケン化ポリビニルアルコール/酢酸ビニル/アクリル酸メチルの懸濁共重合体の加水分解物(ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸系)、ポリウレタン樹脂である請求項1に記載の爆薬組成物の製造方法。
  3. 前記冷却を−50℃に保持できる冷却装置により行う請求項1又は2に記載の爆薬組成物の製造方法。
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