JP3995345B2 - 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法及びそれにより得られた熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
熱可塑性エラストマー組成物の製造方法及びそれにより得られた熱可塑性エラストマー組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3995345B2 JP3995345B2 JP23538698A JP23538698A JP3995345B2 JP 3995345 B2 JP3995345 B2 JP 3995345B2 JP 23538698 A JP23538698 A JP 23538698A JP 23538698 A JP23538698 A JP 23538698A JP 3995345 B2 JP3995345 B2 JP 3995345B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- composition
- rubber
- thermoplastic elastomer
- melt viscosity
- modified butyl
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
- 0 C1C2C1CC*2 Chemical compound C1C2C1CC*2 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Tires In General (AREA)
- Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマー組成物の製造方法、特に詳しくは、ゴム比率の高い材料でドメインゴムの粒径を小さくできる、変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物の製造方法、及びそれから得られた前記熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴムと樹脂の混合系で加工時の粘度差に着目した事例は、従来から知られているが、中でもゴム/樹脂の溶融粘度を1に近づける(つまり、粘度差がない)状態でドメイン分散粒径が最も小さくできることが、S. Wu: polym. Eng. Sci., 27 (5), 1987 に報告されている。しかしながら、この技術を利用して、より柔軟で、強度・伸びも大きく耐久性にすぐれた熱可塑性エラストマーを作製するために、ゴム/樹脂の溶融粘度比を1に保ったままゴム比率を上げていくと、ゴムがマトリクスとなってしまい熱可塑性を示さなくなってしまう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明では、ゴム比率が50%以上であっても、ポリアミド樹脂成分が連続相(マトリクス)で変性ブチルゴム成分が分散相(ドメイン)である分散構造に逆転が起らずに、しかもより柔軟で、強度・伸びも大きく、耐久性にすぐれた特性を有する変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明では、この製造方法により作製した前記熱可塑性エラストマー組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、変性ブチルゴム組成物(A)/ポリアミド系樹脂(B)の所定温度及び所定剪断速度で測定した溶融粘度比が0.8〜1.2で、かつ式〔φA /φB 〕×〔ηB /ηA 〕<1.0(式中、φA:ゴム組成物(A)の体積分率、φB:樹脂(B)の体積分率、ηA:ゴム組成物(A)の溶融粘度、ηB:樹脂(B)の溶融粘度)の条件で混練した組成物(C)を、変性ブチルゴム組成物(D)/組成物(C)の前記溶融粘度比が0.8〜1.2で、かつ式〔φD /φC 〕×〔ηC /ηD 〕<1.0(式中、φD:ゴム組成物(D)の体積分率、φC:組成物(C)の体積分率、ηD:ゴム組成物(D)の溶融粘度、ηC:組成物(C)の溶融粘度)の条件で混練して作製する、変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物の製造方法が提供される。
【0005】
また、本発明によれば、前記製造方法によって得られる変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明では、ポリアミド系熱可塑性樹脂成分を連続相(マトリクス)とし、変性ブチルゴム成分を分散相(ドメイン)とする構造の熱可塑性エラストマー組成物の製造において、各混練段階における配合成分の所定温度及び所定剪断速度下での溶融粘度比及び体積分率×溶融粘度比をそれぞれ一定条件の下に2段階混練処理により混練、加硫すると、その配合ゴム比率が50重量%を越える範囲でも前記の分散構造を維持でき、かつドメインのゴム分散粒子が非常に小さくなり、それによって、柔軟で、強度・伸びも大きく、耐久性にも優れる、変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物が得られるという事実を見い出したものである。
【0007】
そして、本発明では、前記熱可塑性エラストマー組成物の製造に当って、第1段階の混練工程では、変性ブチルゴム組成物(A)/ポリアミド系樹脂(B)の前記した溶融粘度比が0.8〜1.2で、かつ式〔φA /φB 〕×〔ηB /ηA 〕<1.0(式中、φA:ゴム組成物(A)の体積分率、φB:樹脂(B)の体積分率、ηA:ゴム組成物(A)の溶融粘度、ηB:樹脂(B)の溶融粘度)の条件となるように選定した変性ブチルゴム組成物(A)とポリアミド系樹脂(B)を混練して、先ず組成物(C)を作製し、しかる後に、第2段階の混練工程により、変性ブチルゴム組成物(D)/組成物(C)の溶融粘度比が0.8〜1.2で、かつ式〔φD /φC 〕×〔ηC /ηD 〕<1.0(式中、φD:ゴム組成物(D)の体積分率、φC:組成物(C)の体積分率、ηD:ゴム組成物(D)の溶融粘度、ηC:組成物(C)の溶融粘度)の条件となるようなゴム組成物(D)と前記で得られる組成物(C)とを混練することによって、柔軟で、高強度、高伸長、耐久性にすぐれる、変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物を得ることに特徴を有する。
【0008】
本発明の変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物の作製に用いられる変性ブチルゴム組成物(A)は、当該ゴム成分に加硫系配合成分を含む通常のゴム配合剤を配合してなるゴム組成物としてもよいし、又は、当該ゴム成分に加硫系配合成分を除く通常のゴム配合成分を配合してなるゴム組成物であってもよい。当該ゴム成分としては、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR,Cl−IIR)及びイソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)などの変性ブチルゴムを使用することができる。
当該ゴム成分に加硫系配合成分を除いたゴム組成物を使用する場合は、第1段階の混練工程の後方で加硫系を配合するのが好ましい。
【0009】
また、本発明の変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物の作製に用いられる当該樹脂(B)成分としては、例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体などのポリアミド系樹脂を使用することができる。
【0010】
また、本発明の変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物の作製に用いられる第二段混練での変性ブチルゴム組成物(D)としては、当該ゴム成分に加硫系配合成分を含む通常のゴム配合剤を配合してなるゴム組成物、又は当該ゴム成分に加硫系配合成分を除く通常のゴム配合成分を配合してなるゴム組成物を使用してもよい。当該ゴム成分に加硫系配合成分を除いた場合には、第2段階の混練工程の後方でこの加硫系成分を配合する。
【0011】
また、前記変性ブチルゴム成分に使用される加硫剤としては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いることができる。具体的には、硫黄系加硫剤としては粉末硫黄、沈降性硫黄、高分散性硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等を例示でき、例えば、0.5〜4phr 〔ゴム成分(ポリマー)100重量部あたりの重量部〕程度用いることができる。
また、有機過酸化物系の加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例示され、例えば、1〜20phr 程度用いることができる。 更に、フェノール樹脂系の加硫剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が例示でき、例えば、1〜20phr 程度用いることができる。
その他として、酸化亜鉛(5phr 程度)、酸化マグネシウム(4phr 程度)、リサージ(10〜20phr 程度)、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(2〜10phr 程度)、メチレンジアニリン(0.2〜10phr 程度)が例示できる。
また、前記加硫剤には必要に応じて、加硫促進剤を添加してもよい。加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレア系等の一般的な加硫促進剤を、例えば、0.5〜2phr 程度用いることができる。
【0012】
本発明の変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、以下の手順で行なう。 先ず、所定の変性ブチルゴム成分と所定の配合剤成分を予め一般のニーダー、バンバリーミキサー等を用いて均一混合状態が得られるまで混練してゴム組成物(A)及び(D)を作製する。この際当該ゴム組成物には、カーボン、オイル、その他炭酸カルシウム等の充填剤を適当量添加することも可能である。
このようにして作製した変性ブチルゴム組成物(A)と所定のポリアミド系樹脂(B)を第1混練工程に用いる2軸混練機等に投入し、溶融混練を行なう。変性ブチルゴム組成物(A)に加硫系配合剤を除いたゴム組成物を用いた場合には、混練が十分になされた段階で加硫系配合剤を添加して更に混練を続け、当該ゴム組成物を動的架橋させて、連続相(マトリクス)を形成するポリアミド系樹脂中に変性ブチルゴム組成物が分散相(ドメイン)として分散した構造の組成物(C)を得る。しかる後にこの組成物(C)を取り出し、引続いてこれを第2混練工程に用いる2軸混練機に導びき、そこに変性ブチルゴム組成物(D)を添加して混練を行なう。当該ゴム組成物(D)に加硫系配合剤を除いたゴム組成物(D)を用いた場合は、混練が十分になされた段階で加硫系配合剤を添加して更に混練を続け、当該ゴム組成物を動的架橋する。このように2段階の混練操作を行なうことにより、変性ブチルゴムのゴム比率が高い状態でポリアミド系樹脂マトリクス中に非常に小さいゴム粒子が分散したドメインを有する、変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
【0013】
また、前記の変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物の製造では、2機の2軸混練機を用いたが、これを1機の2軸混練機を用いる方法で所期の変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物を得ることも可能である。その場合には、2軸混練機の前方において変性ブチルゴム組成物(A)とポリアミド系樹脂(B)の添加、混練の後、加硫系配合成分の添加と混練を行ない、更に引続いて同じ2軸混練機の後方において変性ブチルゴム組成物(D)の添加、混練をすることによって前記と同様の分散構造を有する変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
【0014】
また、当該ポリアミド系熱可塑性樹脂又は変性ブチルゴム組成物への各種配合剤(加硫系配合成分は除く)は、上記混練中に添加してもよいが、混練の前に予め混合しておいてもよい。変性ブチルゴム組成物(A)とポリアミド系樹脂(B)の混練、更にはそれらの混練物の組成物(C)と変性ブチルゴム組成物(D)との混練に使用する混練機としては特に限定はなく、スクリュー押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、2軸混練押出機等が使用可能である。なかでも、これらポリアミド系樹脂と変性ブチルゴム組成物との混練及び当該ゴム組成物の動的加硫には、2軸混練押出機を使用するのが好ましい。溶融混練の条件として、温度は当該ポリアミド系熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよい。また、混練時の剪断速度は、第1及び第2混練時とも500〜7500sec −1であるのが好ましく、混練時間は、第1及び第2混練時とも30秒から10分程度が好ましい。
【0015】
このようにして得られる変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物は、連続相を形成するポリアミド系熱可塑性樹脂のマトリクス中に不連続相を形成する極めて微小な変性ブチルゴム組成物が分散相(ドメイン)として分散した構造をとる。かかる状態の分散構造をとることにより、熱可塑の加工が可能となり、成形に際し熱可塑性樹脂と同等の成形加工性を得ることができるため、通常の樹脂用成形機、即ち押出成形、又はカレンダー成形、射出成形等によって成形加工することが可能となる。
【0016】
前記したポリアミド系熱可塑性樹脂と変性ブチルゴム組成物との相溶性が異なる場合は、第3成分として適当な相溶化剤を添加するのが好ましい。系に相溶化剤を混合することにより、当該熱可塑性樹脂とゴム組成物との界面張力が低下し、その結果、分散相を形成している変性ブチルゴム組成物の粒子が一層微細になることから両成分の特性はより有効に発揮されることになる。そのような相溶化剤としては一般的に当該熱可塑性樹脂又はゴムポリマーの両方又は片方の構造を有する共重合体、あるいは当該熱可塑性樹脂又はゴムポリマーと反応可能なエポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有した共重合の構造をとるものとすることができる。これらは混合される当該熱可塑性樹脂ポリマーとゴムポリマーの種類によって選定すればよいが、通常使用されるものにはスチレン/エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEBS)及びそのマレイン酸変性物、EPDM:EPDM/スチレン又はEPDM/アクリロニトリルグラフト共重合体及びそのマレイン酸変性物、スチレン/マレイン酸共重合体、反応性フェノキシ等をあげることができる。かかる相溶化剤の配合量には特に限定はないが、好ましくは当該ポリマー成分(当該熱可塑性樹脂ポリマーとゴムポリマーの総和)100重量部に対して、0.5〜10重量部とするのがよい。
【0017】
本発明の製造方法によって得られる変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物は、前記分散構造を有しているため、非常に柔軟で、かつ強度・伸びも大きく、耐久性にも優れ、また、これを薄膜成形した場合の薄膜は、空気透過防止性にも極めて優れているため、この薄膜を空気入りタイヤのインナーライナー層として有効に使用することができる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明を以下の実施例に限定するものでないことは言うまでもない。
【0019】
実施例及び比較例1〜3で用いた変性ブチルゴム組成物(A)及び同ゴム組成物(D)の配合成分及び配合割合(重量部)、並びにその温度230℃及び剪断速度1150/sでの溶融粘度の測定値を、以下の表1に示す。
【表1】
【0020】
また、実施例及び比較例1〜3で用いたポリアミド系樹脂(B)の配合成分及び配合割合(重量部)、並びにその温度230℃及び剪断速度1150/sでの溶融粘度の測定値を、以下の表2に示す。
【表2】
【0021】
実施例及び各比較例における評価に用いた試験法は、以下のとおりである。
溶融粘度
こゝで、溶融粘度とは、混練加工時の任意の温度、成分の溶融粘度をいい、各ポリマー材料の溶融粘度は、温度、剪断速度(sec −1)及び剪断応力の依存性があるため、一般に細管中を流れる溶融状態にある所定の温度、特に混練時の温度領域でのポリマー材料の応力と剪断速度を測定し、下記式(1)より溶融粘度を測定する。
【数1】
なお、当該溶融粘度の測定には、東洋精機社製キャピラリーレオメーターキャピログラフ1Cを使用した。
【0022】
引張強度及び伸びの試験法
JIS K 6251「加硫ゴムの引張試験方法」に準じた。
試験片:混練によって作製された所定の変性ブチルゴムとポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物をペレット化し、単軸 押出機でTダイを通して幅350mm、厚さ100μmのフィルムとした。得られたフィルムを押出成形時の樹脂の押出方向に平行にJIS3号ダンベルで打ち抜いた。
【0023】
ゴム粒径の測定法
上記引張強度及び伸びの試験で作製したフィルムを、ミクロトーム等を使用し超薄切片を作製した後、OSO4 等で染色し、透過電子顕微鏡(日立H−800型)を用いて直接観察を行なった。
【0024】
定歪試験
前記熱可塑性エラストマー組成物フィルムにゴム系セメントをハケ塗りし、乾燥後、タイヤカーカス用ゴム(カーカスなし)を積層させて、180℃で10分間加硫し、2mm厚のフィルム/ゴム積層体を作製した。これをダンベル形状に打ち抜き、40%の歪をかけながら5Hzの周期で耐久試験に供した。(1000万回で破壊しないものは打切りとした。)
【0025】
タイヤ耐久試験
1)タイヤの成形
350mm幅の前記熱可塑性エラストマーフィルムにゴム系セメントを塗布し、これをタイヤ成形用ドラム上に巻き、その上にカーカス、サイド、ベルト、トレッドのタイヤ部材を積層させ、インクレートさせてグリーンタイヤとした。グリーンタイヤは、加硫機で180℃、10分間加硫させ、タイヤサイズ165SR13のタイヤに仕上げた。
2)タイヤ耐久試験法
165SR13スチールラジアルタイヤ(リム13×4 1/2−J)を用い、空気圧140kPa で荷重5.5kNを与え、実路上を10000km走行する。走行後に、タイヤをリムから外し、タイヤ内面のライナー層を目視観測し、ライナー層に亀裂、クラック、目視できるしわ、ライナー層の剥離、浮き上がりがあるものを不合格(×)、ないものを合格(○)と判定する。また、しわ、ライナーの剥離、浮き上がりがあるが、ライナー層に亀裂、クラックがないものを(△)と判定する。
【0026】
実施例及び比較例1〜3
第1混練工程及び第2混練工程における諸条件の設定とその試験結果を以下の表3に示す。
【表3】
【0027】
また、実施例及び比較例2によって得られたそれぞれの前記熱可塑性エラストマー組成物における微細構造を、図1及び図2に示す。
【0028】
以下の表3及び図1,2の結果から以下のことがわかる。
比較例1及び3より、従来の製造方法では所定のゴム成分を増すためには粘度比を上げる(差をつける)必要があることがわかる。しかし、粘度比が上がることでゴム粒子径は大きくなり、結果として耐定歪性、タイヤ耐久性が劣る。また、実施例と比較例2より、所定の溶融粘度比を制御することで、よりゴム粒子径が小さくなり、耐定歪性、タイヤ耐久性が良くなることがわかる。したがって、本発明を用いることで、柔軟で、高強度、高伸長、耐久性に優れる変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明(実施例)により得られた変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物の電顕写真(×3000)による微細構造を示す図である。
【図2】 比較例2により得られた変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物の電顕写真(×3000)による微細構造を示す図である。
Claims (2)
- 第一段混合で、変性ブチルゴム組成物(A)とポリアミド系樹脂(B)を、当該溶融粘度比(η A /η B )(A及びBのそれぞれについて、230℃の温度、1150 sec − 1 の剪断速度下でキャピラリー粘度測定法を用いて測定した溶融粘度η A 及びη B の比)が0.8〜1.2で、かつ式〔φA /φB 〕×〔ηB /ηA 〕<1.0(式中、φA:ゴム組成物(A)の体積分率、φB:樹脂(B)の体積分率、ηA:ゴム組成物(A)の溶融粘度、ηB:樹脂(B)の溶融粘度)を満足する条件下に、溶融下、剪断速度500〜7500 sec − 1 で混練して組成物(C)を得、次いで、第二段混合で、同一種の変性ブチルゴム組成物(D)と前記組成物(C)を、当該溶融粘度比(η D /η C )(D及びCのそれぞれについて、230℃の温度、1150 sec − 1 の剪断速度下でキャピラリー粘度測定法を用いて測定した溶融粘度η D 及びη C の比)が0.8〜1.2で、かつ式〔φD /φC 〕×〔ηC /ηD 〕<1.0(式中、φD:ゴム組成物(D)の体積分率、φC:組成物(C)の体積分率、ηD:ゴム組成物(D)の溶融粘度、ηC:組成物(C)の溶融粘度)を満足する条件下に、溶融下、剪断速度500〜7500 sec − 1 で混練して作製する、変性ブチルゴム−ポリアミド系樹脂からなる熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 請求項1に記載の方法で作製した前記熱可塑性エラストマー組成物。
Priority Applications (8)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23538698A JP3995345B2 (ja) | 1998-08-21 | 1998-08-21 | 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法及びそれにより得られた熱可塑性エラストマー組成物 |
EP99900135.7A EP0969039B1 (en) | 1998-01-13 | 1999-01-07 | Thermoplastic elastomer composition, process for producing the same, and pneumatic tire and hose made with the same |
KR1019997008266A KR100703576B1 (ko) | 1998-01-13 | 1999-01-07 | 열가소성 탄성중합체 조성물, 이의 제조방법 및 이를 사용한 공기 타이어 |
PCT/JP1999/000019 WO1999036471A1 (fr) | 1998-01-13 | 1999-01-07 | Composition elastomere thermoplastique, son procede de production, pneumatique et tube fabrique avec ce dernier |
US09/380,588 US6359071B1 (en) | 1998-01-13 | 1999-01-07 | Thermoplastic elastomer composition, process for producing the same, and pneumatic tire and hose made with the same |
US09/800,782 US6538066B2 (en) | 1998-01-13 | 2001-03-08 | Thermoplastic elastomer composition and process for producing the same and pneumatic tire and hose using the same |
US10/347,283 US6861470B2 (en) | 1998-01-13 | 2003-01-21 | Thermoplastic elastomer composition and process for producing the same and pneumatic tire and hose using the same |
US11/008,962 US7275574B2 (en) | 1998-01-13 | 2004-12-13 | Thermoplastic elastomer composition and process for producing the same and pneumatic tire and hose using the same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23538698A JP3995345B2 (ja) | 1998-08-21 | 1998-08-21 | 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法及びそれにより得られた熱可塑性エラストマー組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000063572A JP2000063572A (ja) | 2000-02-29 |
JP3995345B2 true JP3995345B2 (ja) | 2007-10-24 |
Family
ID=16985323
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23538698A Expired - Fee Related JP3995345B2 (ja) | 1998-01-13 | 1998-08-21 | 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法及びそれにより得られた熱可塑性エラストマー組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3995345B2 (ja) |
Families Citing this family (17)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002194096A (ja) * | 2000-12-25 | 2002-07-10 | Sumitomo Chem Co Ltd | 熱可塑性エラストマーの製造方法 |
JP4524965B2 (ja) * | 2001-07-13 | 2010-08-18 | 横浜ゴム株式会社 | 熱可塑性エラストマー組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ |
CN100491140C (zh) | 2002-10-08 | 2009-05-27 | 住友橡胶工业株式会社 | 无内胎轮胎 |
JP2004137430A (ja) * | 2002-10-21 | 2004-05-13 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ |
JP4624111B2 (ja) * | 2003-03-06 | 2011-02-02 | 横浜ゴム株式会社 | 改良されたゴムペレット化工程を用いた熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 |
DE60326176D1 (de) * | 2003-03-06 | 2009-03-26 | Yokohama Rubber Co Ltd | Thermoplastische elastomerzusammensetzung mit mässigem härtungszustand |
JP4999035B2 (ja) * | 2003-03-20 | 2012-08-15 | 古河電気工業株式会社 | 絶縁電線用樹脂複合材料 |
JP4493307B2 (ja) * | 2003-08-26 | 2010-06-30 | 住友ゴム工業株式会社 | 耐変色性および耐屈曲亀裂性能に優れたゴム組成物およびそれをサイドウォールゴムに用いた空気入りタイヤ |
JP5247456B2 (ja) * | 2005-10-27 | 2013-07-24 | エクソンモービル ケミカル パテンツ,インコーポレイティド | 熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法 |
WO2007050076A1 (en) | 2005-10-27 | 2007-05-03 | Exxonmobil Chemical Patents Inc. | Low permeability thermoplastic elastomer composition |
EP1987962B1 (en) * | 2006-02-23 | 2011-07-13 | The Yokohama Rubber Co., Ltd. | Multilayer body and pneumatic tire using same |
DE602007010347D1 (de) * | 2006-12-29 | 2010-12-16 | Bridgestone Americas Tire | Reifeninnenmantel |
JP2008184543A (ja) * | 2007-01-30 | 2008-08-14 | Tokai Rubber Ind Ltd | 熱可塑性エラストマー製品の製法およびそれによって得られた熱可塑性エラストマー製品 |
CN101821335B (zh) | 2007-10-11 | 2013-03-27 | 埃克森美孚化学专利公司 | 生产热塑性弹性体组合物的有效混合工艺 |
JP5126395B1 (ja) * | 2011-07-20 | 2013-01-23 | 横浜ゴム株式会社 | ゴム積層体 |
US9752017B2 (en) | 2011-09-21 | 2017-09-05 | Toyo Tire & Rubber Co., Ltd. | Air permeation resistant film and pneumatic tire |
WO2018207398A1 (ja) * | 2017-05-11 | 2018-11-15 | 株式会社ブリヂストン | タイヤ |
-
1998
- 1998-08-21 JP JP23538698A patent/JP3995345B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000063572A (ja) | 2000-02-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3995345B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法及びそれにより得られた熱可塑性エラストマー組成物 | |
US6861470B2 (en) | Thermoplastic elastomer composition and process for producing the same and pneumatic tire and hose using the same | |
EP0857761B1 (en) | Process for making a pneumatic tire having an almost impermeable thermoplastic elastomer composition in gas-barrier layer | |
JP4465916B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー被覆スチールコードを用いた空気入りタイヤ | |
JP3236257B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物およびそれを使用した空気入りタイヤ | |
JP6185846B2 (ja) | 動的に加硫された熱可塑性エラストマーフィルム | |
JP4197784B2 (ja) | ガスバリヤー性に優れた熱可塑性エラストマー組成物およびそれを使用した積層体 | |
JP2999188B1 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物およびそれを使用した空気入りタイヤ、ホース | |
JP4004518B2 (ja) | ゴム積層体を用いた空気入りタイヤ | |
CN102257063A (zh) | 可用于流体阻挡应用的稳定化的动态硫化热塑性弹性体组合物 | |
JP3159941B2 (ja) | 低気体透過性熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法 | |
JPH08216610A (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP2000234054A (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物およびそれを使用した積層体 | |
JP4524965B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ | |
US20030022993A1 (en) | Thermoplastic elastomer composition | |
JP6676366B2 (ja) | 耐空気透過性フィルム及び空気入りタイヤの製造方法 | |
JP4156565B2 (ja) | 自動車部品用熱可塑性樹脂組成物 | |
JP3622470B2 (ja) | ポリアミド繊維強化ゴム組成物とその製造法 | |
JP4479124B2 (ja) | ゴム組成物 | |
JP4007706B2 (ja) | ゴム補強用表面処理カーボンブラック含有熱可塑性エラストマー組成物 | |
JPH0987434A (ja) | 伝動ベルト用ゴム組成物 | |
JP4215372B2 (ja) | 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 | |
JP3766735B2 (ja) | 空気入りタイヤの空気透過防止層用熱可塑性エラストマー組成物 | |
JP3236247B2 (ja) | エラストマー組成物および空気入りタイヤ | |
JP3763114B2 (ja) | ゴム組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041210 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070116 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070316 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070410 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070607 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070703 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070731 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100810 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100810 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110810 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110810 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110810 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120810 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120810 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120810 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130810 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130810 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |