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JP3994827B2 - 透明延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

透明延伸フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マレイミド・オレフィン共重合体およびアクリロニトリル・スチレン共重合体よりなる樹脂組成物から形成された透明性フィルムを延伸することにより得られる透明延伸フィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、透明性フィルムの機械強度や光学特性を改善あるいは特定の範囲に調節する目的において、フィルムの延伸が行われている。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどといった結晶性樹脂からなる透明性フィルムは、延伸することによって高いフィルム強度が得られることが知られ、透明な包装フィルムなどとして幅広く使用されている。また、ポリカーボネート樹脂などの非晶性樹脂は、延伸することによって複屈折を制御し、位相差フィルムなどに応用されている。さらに、ヨウ素や特定の色素が添加された延伸ポリビニルアルコール樹脂フィルムは、防眩材料や液晶表示装置などの偏光板として使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、特開2000−80240において、光学特性、耐熱性、機械特性に優れた透明性フィルムを提案した。すなわち、マレイミド・オレフィン共重合体および特定の組成からなるアクリロニトリル・スチレン共重合体よりなる樹脂組成物から形成された透明性フィルムが、光学特性、耐熱性、機械特性に優れることを見出したが、位相差をはじめとする光学特性の均質性、あるいは機械強度を充分に満足するものではなかった。
【0004】
本発明の目的は、機械強度に優れ、且つフィルム平面方向の位相差が均質である透明延伸フィルムの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、透明性フィルムの機械強度を向上させ、且つ位相差を特定の範囲に均質に制御するため鋭意努力した。透明延伸フィルムは、延伸前の透明性フィルムが均質な特性を有している場合であっても、延伸条件の選択次第によっては延伸後のフィルム特性が不均質化し、高品質な延伸フィルムが得られない場合がある。また、延伸後の透明性フィルムの機械強度や光学特性を改善あるいは特定の範囲に調節する目的においても、延伸条件の選択は重要である。すなわち、延伸後の透明性フィルムの機械強度や光学特性を改善あるいは特定の範囲に調節し、且つ高品質な透明延伸フィルムを得るためには、樹脂および透明性フィルムの特性に応じて延伸条件を最適化する必要がある。
【0006】
本発明者らは、上記問題に鑑み鋭意検討した結果、マレイミド・オレフィン共重合体および特定の組成からなるアクリロニトリル・スチレン共重合体よりなる樹脂組成物から形成された透明性フィルムを特定の条件下で延伸することにより、上記目的を満たすことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、フィルム平面方向の位相差が20〜500nmであることを特徴とする透明延伸フィルムの製造方法であって、a)下記に示す構成成分(I)が40〜60モル%、構成成分(II)が60〜40モル%であり、数平均分子量が1×10以上5×10以下であるマレイミド・オレフィン共重合体50〜90重量%、b)アクリロニトリル単位を21〜45重量%含むアクリロニトリル・スチレン共重合体50〜10重量%よりなる樹脂組成物から形成された透明性フィルムを、示差走査熱量計を用いて測定した樹脂組成物のガラス転移温度より1〜40℃高い延伸温度条件下で、幅拘束を行いながら、一軸方向の延伸倍率1.1〜3倍の範囲に一軸延伸することを特徴とする透明延伸フィルムの製造方法に関するものである。
【0008】
【化3】
Figure 0003994827
(R1は水素または炭素数1〜6のアルキル基を示す)
【0009】
【化4】
Figure 0003994827
(R2およびR3は各々水素または炭素数1〜6のアルキル基を示す)
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
上記の構成成分(I)と構成成分(II)からなるマレイミド・オレフィン共重合体は、例えば、マレイミド類とオレフィン類とのラジカル共重合反応により得ることができる。構成成分(I)を与える化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−s−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類が例示され、耐熱性、機械特性および透明性の点から特にN−メチルマレイミドが好ましい。さらに、これら化合物は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0011】
構成成分(II)を与える化合物としては、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等のオレフィン類が例示でき、このうち耐熱性、機械特性および透明性の点から特にイソブテンが好ましい。また、これら化合物は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0012】
構成成分(I)の含有量は、共重合体全体の40〜60モル%であり、耐熱性および機械特性の点から45〜55モル%が好ましい。構成成分(I)が60モル%を越える場合には得られるフィルムは脆くなり、40モル%未満の場合には得られるフィルムの耐熱性が低下するため好ましくない。
【0013】
また、構成成分(I)と構成成分(II)からなるマレイミド・オレフィン共重合体は、必要ならば、本発明の目的を損なわない範囲で他のモノマー成分を含有することができる。他のモノマー成分としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル類、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピオビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、無水マレイン酸およびアクリロニトリルより選ばれる1種類以上の化合物が挙げられ、その含有率としては5モル%以下であることが好ましい。
【0014】
これらモノマーの重合は公知の重合方法、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法および乳化重合法のいずれもが採用可能である。得られるフィルムの透明性、色調の点から特に沈殿重合法が好ましい。
【0015】
重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物、または、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤が挙げられる。
【0016】
溶液重合法あるいは沈殿重合法において使用可能な溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒、シクロヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、酢酸イソプロピル、芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒などが挙げられる。
【0017】
重合温度は、開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができるが、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
【0018】
上述のマレイミド・オレフィン共重合体は、無水マレイン酸とオレフィン類との共重合により得られる樹脂をアンモニアあるいはアルキルアミンを用いて、後イミド化することによっても得ることができる。
【0019】
このような後イミド化反応は、例えば、無水マレイン酸・オレフィン共重合体をメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール溶媒、ベンゼン、トルエンなどの芳香族系溶媒、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶媒、芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒などに溶解あるいは分散させ、アルキルアミンと50〜250℃の温度で反応させることによりアミド化反応およびイミド化反応を連続的に行う方法、あるいはアルキルアミンと反応させてアミド体を得た後、そのアミド体を用いてイミド化反応を行う方法により製造することができる。ここで、生成する共重合体の数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により求めることができる。マレイミド・オレフィン共重合体の分子量は1×103以上5×106以下、特に機械特性と製膜性のバランスの点から1×104以上5×105以下のものが好ましい。分子量が5×106を越える場合には、得られるフィルムの表面性が悪くなるとともに、延伸によりフィルムが破断し易くなる。1×103未満の場合には、得られるフィルムの機械強度が乏しくなる。
【0020】
本発明で使用されるアクリロニトリル・スチレン共重合体のアクリロニトリル含量は、組成全体の21〜45重量%が好ましい。この範囲を外れるとマレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体との相溶性が低下するため、得られるフィルムは不透明になり、また耐熱性も低下するため好ましくない。
【0021】
本発明で使用されるマレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体の割合は、1:99〜99:1(重量%)、加工性、耐熱性、光学特性のバランスの点から10:90〜90:10(重量%)、特に50:50〜90:10(重量%)が好ましい。マレイミド・オレフィン共重合体が1重量%未満の場合には、フィルムの耐熱性が乏しくなるとともに、フィルムの光学特性、特に複屈折が応力に対して変化し易くなるため好ましくない。また、マレイミド・オレフィン共重合体が99重量%を越える場合には、延伸途中にフィルムが破断し易くなるばかりか、フィルムの機械強度が乏しくなるため好ましくない。
【0022】
本発明で使用される透明性フィルムは、発明の主旨を越えない範囲で、その他ポリマー、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、顔料、染料、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤等が加えられていてもよい。
【0023】
本発明は、フィルム平面方向の位相差が20〜500nmであることを特徴とする透明延伸フィルムの製造方法であり、フィルム平面方向の位相差は、フィルム平面方向の複屈折とフィルム厚みの積より求められるものである。従って、位相差が20nmに満たない場合には、一軸延伸の場合、必然的に延伸倍率は小さくなる、および/または、フィルム厚みは薄くならざるを得ず、その場合、機械特性が低下あるいはその改善効果が不充分となる問題がある。また、位相差が500nmを超える場合には、必然的に延伸倍率は大きくなる、および/または、フィルム厚みは厚くならざるを得ず、その場合、機械特性や光学特性が不均質になる問題があり、さらに延伸時にフィルムが破断し易くなるため好ましくない。
【0024】
本発明における透明延伸フィルムの製造方法は、示差走査熱量計を用いて測定した樹脂組成物のガラス転移温度より1〜40℃高い延伸温度条件下で、一軸方向の延伸倍率1.1〜3倍の範囲に一軸延伸することを特徴とする。延伸温度が本発明の範囲を外れる場合、延伸フィルムに厚みむらが生じ、機械特性や光学特性が不均質になったり、延伸時にフィルムが破断し易くなるため好ましくない。特に位相差、光線透過率およびヘイズといった光学特性は厚みに大きく左右されるため、厚みむらは極力小さくすることが好ましい。
【0025】
本発明における透明性フィルムの延伸において、延伸方向は一軸方向である。一軸方向に延伸する場合、延伸方向と直交するフィルム幅方向の長さが延伸前の長さに対して、延伸途中に変化しないよう拘束することが特性の均一な延伸フィルムを得るうえでより好ましい。本発明において、延伸倍率が1.1倍に満たない場合、フィルムの機械強度の改善効果が充分に得られず、目的とする範囲の位相差が得られない問題があり、延伸倍率が3倍を超える場合には延伸時にフィルムが破断し易くなるため好ましくない。
【0026】
本発明において採用できる一軸延伸方法としては、テンターにより延伸する方法、カレンダーにより圧延して延伸する方法、ロール間で延伸する方法など、公知公用の方法が挙げられる。
【0027】
本発明に使用される透明性フィルムの製造方法としては、キャスティング法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法などの公知公用の方法が挙げられる。キャスティング法に用いられる溶媒類としては、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼンおよびこれらの混合溶媒などの芳香族系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラハイドロフラン、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、ジエチルエーテルなどを用いることができ、成形装置としてはドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーターなどが使用できる。溶融押出法としては、Tダイ法およびインフレーション法が挙げられる。
【0028】
なお、本発明における透明性フィルムおよび透明延伸フィルムは、光線透過率85%以上、ヘイズ2%以下であることが好ましい。
【0029】
本発明の透明延伸フィルムの厚みは10〜300μmが好ましく、より好ましくは20〜200μmである。フィルム厚みが10μm未満の場合は、機械特性が低下し、300μmを超える場合には、均質に延伸することが難しくなるため、フィルム物性にむらが生じることや、可撓性が乏しくなるといった場合がある。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0031】
実施例に示す諸物性は、以下の方法により測定した。
【0032】
分子量:ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC、東ソー株式会社製 HLC−802A)を用い、ポリスチレン換算により求めた。
【0033】
組成比:元素分析、1H−NMR測定により決定した。
【0034】
ガラス転移温度:示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製 DSC200)を用いて、昇温速度10℃/分で測定した。
【0035】
フィルムの厚み:株式会社ミツトヨ製 デジマチックインジケーター ID−C125Bを用いて、延伸フィルムの中心部の厚みを測定した。
【0036】
全光線透過率:ASTM D1003に従い測定した。
【0037】
位相差:エリプソメータ(日本分光製 MEL−30S)を用いて、延伸フィルムの中心部の位相差を測定した。
【0038】
位相差のむら:延伸フィルムの中心部、および延伸フィルムの端部から15mm中心側に位置する部分の位相差を測定し、2点間の位相差の差を位相差のむらとした。
【0039】
引張破断応力および引張破断伸び:JIS K7162に従い測定した。
【0040】
可撓性:延伸フィルムを180°折り曲げ、折り目における破断の有無を確認した。
【0041】
合成例 マレイミド・オレフィン共重合体の合成
攪拌機、窒素導入管、温度計および脱気管の付いた30Lオートクレーブに、N−メチルマレイミド 1.2kg、t−ブチルパーオキシネオデカノエート 8gおよびトルエンとメタノールの混合溶媒(1:1重量比)15Lを仕込み、窒素で数回パージした後、イソブテン8.5Lを仕込み、60℃で6時間反応を行った。得られた粒子を遠心分離後乾燥した。収量は1.7kgであった。
【0042】
得られたポリマーの元素分析結果(C;64.7重量%、H;7.8重量%、N;8.4重量%)より、生成ポリマー中のマレイミド単位およびイソブテン単位は、それぞれ50モル%であった。得られたポリマーは、数平均分子量(Mn)95000であった。
【0043】
参考例1〜2および参考比較例1〜3
合成例で合成したN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体、および表1に記載のアクリロニトリル含量の異なるアクリロニトリル・スチレン共重合体を50:50の重量比にてドライブレンドした後、30mmφ二軸押出機(株式会社日本製鋼所製)に供して溶融混練を行い、ペレット化した。そして、Tダイスを設置した押出機に得られたペレットを供給して成膜を行い、厚み100μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性測定結果について表1に示す。アクリロニトリル・スチレン共重合体のアクリロニトリル含量が21〜45重量%の間では、得られるフィルムは単一のガラス転移温度を示し、透明性に優れる。これは、両者がこの範囲で相溶性であることを示している。一方、アクリロニトリル含量が21重量%未満および45重量%を越える場合には、得られるフィルムは二つのガラス転移温度を有し、且つ得られるフィルムは白濁したものであった。この範囲では両者が非相溶性であることがわかる。
【0044】
【表1】
Figure 0003994827
実施例1および比較例1〜2
参考例で合成したN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体、およびアクリロニトリル含量30重量%のアクリロニトリル・スチレン共重合体を表2に記載する重量比にてドライブレンドした後、参考例1〜2および参考比較例1〜3の方法と同様にして溶融混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度を表2に示す。このペレットを用い、参考例1〜2および参考比較例1〜3の方法と同様にして厚み100μmの透明性フィルムに製膜した後、得られた透明性フィルムを15cm四方角に裁断して延伸試験装置(株式会社東洋精機製作所製)に設置し、延伸方向と直交するフィルム幅方向の長さが延伸前の長さに対して、延伸途中に変化しないよう幅拘束を行いつつ、表2に記載する条件にて一軸方向に延伸速度15mm/分にて延伸した。延伸時におけるフィルムの破断有無について表2に示す。
【0045】
【表2】
Figure 0003994827
実施例2〜5および比較例3〜4
参考例で合成したN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体、およびアクリロニトリル含量30重量%のアクリロニトリル・スチレン共重合体を80:20の重量比にてドライブレンドした後、参考例1〜2および参考比較例1〜3の方法と同様にして溶融混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は140℃であった。このペレットを用い、参考例1〜2および参考比較例1〜3の方法と同様にして厚み100μmの透明性フィルムに製膜した後、得られた透明性フィルムを15cm四方角に裁断して延伸試験装置に設置し、実施例1と同様に幅拘束を行いつつ、表3に記載する条件にて一軸方向に延伸速度15mm/分にて延伸した。延伸時における破断有無、および延伸フィルムの特徴について表3に示す。
【0046】
【表3】
Figure 0003994827
実施例6および比較例5〜6
実施例2〜5および比較例3〜4の方法と同様にして厚み100μmの透明性フィルムを得た後、15cm四方角に裁断して延伸試験装置に設置し、実施例1と同様に幅拘束を行いつつ、表4に記載する条件にて一軸方向に延伸速度15mm/分にて延伸した。延伸時における破断有無、および延伸フィルムの特徴について表4に示す。
【0047】
【表4】
Figure 0003994827
比較例7〜8
実施例2〜5および比較例3〜4の方法と同様にして厚み100μmの透明性フィルムを得た後、15cm四方角に裁断して延伸試験装置に設置し、表5に記載する条件にて二軸方向同時に延伸速度15mm/分にて延伸した。延伸フィルムの特徴について表5に示す。
【0048】
【表5】
Figure 0003994827
比較例9〜10
参考例で合成したN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体、およびアクリロニトリル含量30重量%のアクリロニトリル・スチレン共重合体を75:25の重量比にてドライブレンドした後、参考例1〜2および参考比較例1〜3の方法と同様にして溶融混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は135℃であった。このペレットを用い、参考例1〜2および参考比較例1〜3の方法と同様にして厚み300μmの透明性フィルムを得た後、15cm四方角に裁断して延伸試験装置に設置し、幅拘束を行いつつ、表6に記載する条件にて一軸方向に延伸速度15mm/分にて延伸した。延伸時における破断有無、および延伸フィルムの特徴について表6に示す。
【0049】
【表6】
Figure 0003994827
【発明の効果】
実施例より明らかなように、本発明の透明延伸フィルムの製造方法は、機械強度が改善され、且つ位相差が均質に制御された透明延伸フィルムを製造するための方法を提供するものであり、エレクトロニクス分野をはじめとする高度且つ複雑な機能が求められる用途に用いることができる透明延伸フィルムを製造することが可能となる。

Claims (2)

  1. フィルム平面方向の位相差が20〜500nmであることを特徴とする透明延伸フィルムの製造方法であって、a)下記に示す構成成分(I)が40〜60モル%、構成成分(II)が60〜40モル%であり、数平均分子量が1×10以上5×10以下であるマレイミド・オレフィン共重合体50〜90重量%、b)アクリロニトリル単位を21〜45重量%含むアクリロニトリル・スチレン共重合体50〜10重量%よりなる樹脂組成物から形成された透明性フィルムを、示差走査熱量計を用いて測定した樹脂組成物のガラス転移温度より1〜40℃高い延伸温度条件下で、幅拘束を行いながら、一軸方向の延伸倍率1.1〜3倍の範囲に一軸延伸することを特徴とする透明延伸フィルムの製造方法。
    Figure 0003994827
    (Rは水素または炭素数1〜6のアルキル基を示す)
    Figure 0003994827
    (RおよびRは各々水素または炭素数1〜6のアルキル基を示す)
  2. 透明延伸フィルムの厚みが10〜300μmであることを特徴とする請求項1に記載の透明延伸フィルムの製造方法。
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