JP3992597B2 - 嵩高不織布の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数の凸状部を有すると共に皺状となっている嵩高不織布の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
本出願は先に、網状シートの両面に、上層繊維ウエブ及び下層繊維ウエブをそれぞれ重合する重合工程と、水流交絡によって両繊維ウエブの構成繊維間を絡合させて繊維集合体を形成すると共に該構成繊維と網状シートとを絡合させて、両者がー体化された積層体を形成する交絡工程と、該積層体を多数の凹凸部を有するパターニング部材上に搬送し、該凹部内に前記繊維集合体の一部を突出させて、該凹部に対応する多数の凸状部を形成する凹凸賦与工程とを有する嵩高シートの製造方法を提案した(特許文献1参照)。この方法によって得られる嵩高シートは多数の凸部を有する嵩高なものであるが、その凸部のサイズが比較的大きい場合には、微小なサイズの凸部に比べて肌触りが劣ることがあり、また平面方向の伸張性が低いため柔軟性にやや劣ることがある。
【0003】
この嵩高シートとは別に、本出願人は、熱可塑性ポリマー材料からなり且つ熱収縮性を有し、エラストマー的挙動を示す繊維を含む集合体からなる第1層を形成し、この形成とは別に、熱可塑性ポリマー材料からなり且つ実質的に熱収縮性を有しないか又は前記熱収縮性を有する繊維の熱収縮温度以下で熱収縮しない繊維を含むカードウエブからなる第2層を形成し、第1層と第2層とを重ね合わせ、両者を所定パターンで部分的に接合し、次いで第1層を構成する繊維が熱収縮を開始する温度以上で熱処理して第1層を収縮させる立体シート材料の製造方法を提案した(特許文献2)。この方法によって得られる立体シート材料は、先に述べた嵩高シートと同様に嵩高なものであり、それに加えて平面方向へ伸張させた場合の回復性や厚み方向へ圧縮させたときの圧縮変形性が十分に高いものとなる。しかしこの立体シートは、熱収縮性繊維の収縮を利用して嵩高性を発現しようとするものであるから、十分な伸張回復性や圧縮変形性を有するシートを得るためには高い収縮率が必要である。これに起因してシートの低坪量化及び均一な収縮が困難なことがある。更に接合部を形成するために特別な工程を要するので、製造経費が高くなりがちである。
【0004】
以上の技術とは別に、熱収縮性繊維を含む第1繊維層と、実質的には収縮しない非収縮性繊維層からなる第2繊維層を積層し、高圧水流処理にて繊維同士を交絡一体化させた後、熱処理によって不織布表面に皺状ないし畝状の凸部を発生させる嵩高不織布及びその製造方法も知られている(特許文献3及び4参照)。しかし、この方法で不織布全面に均一な凹凸形状を形成させるには、その凹凸サイズを小さくしなくてはならず(つまり皺状としなければならず)、嵩高性に劣る不織布となってしまう。また嵩高性を発現させようとすると、凹凸サイズが大きく且つ不均一になってしまうので(つまり畝状となってしまうので)、肌触りや意匠性に劣る不織布となってしまう。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−336052号公報
【特許文献2】
特開2002−187228号公報
【特許文献3】
特許第2951559公報
【特許文献4】
特開平10−114004号公報
【0006】
従って、本発明は、低坪量であっても嵩高く、その嵩高さの保持性が高く、また柔軟な風合いを有する嵩高不織布の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討した結果、高圧の水流ジェットによる凹凸賦形と、熱収縮性繊維の収縮を利用した凹凸賦形とを組み合わせることによって、意外にも、高圧の水流ジェットによって形成された凹凸形状が安定化し、しかも風合いを良好にする皺が生じることを知見した。
【0009】
本発明は、熱収縮性繊維を含む第1繊維ウエブと、実質的に熱収縮性を有しないか又は前記熱収縮性繊維の熱収縮温度以下で熱収縮しない繊維を含む第2繊維ウエブと、両ウエブの間に配された、熱収縮性を有しないか又は前記熱収縮性繊維の熱収縮温度以下で熱収縮しない繊維を含む坪量10〜30g/m 2 の長繊維不織布からなる支持層とが積層されてなる積層繊維ウエブを通水性の凹凸賦形支持体上に載置し、第1繊維ウエブに向けて噴射された高圧水流によって該積層繊維ウエブを凹凸賦形して第2繊維ウエブ側に該第2繊維ウエブの構成繊維で満たされた多数の凸状部を形成すると共に該積層繊維ウエブの構成繊維を交絡させて不織布となし、次いで前記熱収縮性繊維の収縮開始温度以上の温度で該不織布を熱処理し該熱収縮性繊維を収縮させて、前記凸状部が形成された第2繊維ウエブ側に皺を形成する嵩高不織布の製造方法を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1(a)及び(b)には本発明の製造方法に従い製造された嵩高不織布の一例が示されている。図1(a)及び(b)に示す嵩高不織布10は、繊維材料のシートの3層構造からなる。この3層は、多数の凸部を有し、不織布10の一面をなす第2層2と、不織布10の他面をなす第1層1と、両層1,2の間に介在する支持層3からなる。各層においてはその構成繊維が交絡してそれぞれ不織布を形成している。隣り合う層間においては、それらの構成繊維が層間で交絡して一体化しており、それによって不織布10は一枚のシートの形態をなしている。
【0011】
不織布10における第2層2の側には、多数の凸状部4,4,・・が形成されている。凸状部4は、それぞれ略同じ大きさで、やや細長い幅狭な山型形状をしており、規則的に且つ密に設けられている。凸状部4は、主として第2層2の構成繊維が突出して形成されている。第2層2の構成繊維は、互いに交絡して凸状部4を形成している。しかし、該構成繊維は接合(例えば熱融着)はされていない。凸状部4の内部は、第2層2の構成繊維で満たされている。また、不織布10における第2層2の側は皺状になっている。皺は、凸状部4の長手方向に沿うように形成されている。
【0012】
一方、不織布10における第1層1の側は、第2層の側に比べて平坦になっており、また皺もほとんど生じていない。第1層1における凸状部4に対応する部位は、僅かではあるが第2層2の側に突出している。
【0013】
このように、不織布10は、その一面において多数の凸状部4を有しており且つ皺状になっていると共に、他面においては凸状部は形成されておらず(むしろ、凸状部4に対応する僅かな凹部が形成されている)、また皺の程度は前記一面側に比べてかなり小さくなっている。
【0014】
不織布10は、凸状部4の頂点での厚みT1が好ましくは1.5〜6mm、更に好ましくは2〜4mmであり、また凸状部4,4間の谷部での厚みT2が好ましくは0.5〜4mm、更に好ましくは1〜3mmである。更にT1とT2との差が好ましくは0.5〜3mm、更に好ましくは1〜2.5mmという嵩高なものとなっている。
【0015】
凸状部4は、その長手方向に沿って見たときに、好ましくは3個/10cm〜20個/10cm、更に好ましくは7個/10cm〜12個/10cmのピッチで形成されていることが、不織布10の嵩高さの発現と良好な肌触りの発現の点から好ましい。同様の理由により、凸状部4は、その幅方向に沿って見たときに、10個/10cm〜40個/10cm、特に20個/10cm〜30個/10cmのピッチで形成されていることが好ましい。
【0016】
後述するように、第1層1はエラストマー的挙動を示す材料から構成されていることが好ましい。その場合には、第1層1をその平面方向へ伸張させた場合に所定の収縮応力を発現するようになる。更に不織布10は全体としてエラストマー的挙動を示し、伸縮性を有することも好ましい。これによって、不織布10を例えば吸収性物品の構成部材として用いた場合に、着用者の動作に対する追従性が良好となり、吸収性物品のフィット性が向上し、液漏れが効果的に防止される。この伸縮性は、不織布10に皺が生じていると一層顕著なものとなる。尚、第2層2に関しては、伸張可能であればよく、エラストマー的挙動を示すか否かは特に問われない。
【0017】
このような不織布10を製造する方法を図2を参照しながら説明する。図2には不織布10を製造するための好ましい装置の模式図が示されている。製造装置20は、重合部20A、交絡部20B、凹凸賦与部20C及び収縮部20Dに大別される。
【0018】
重合部20Aは、第1繊維ウエブla及び第2繊維ウエブ2aをそれぞれ製造するカード機21及び22を備えている。また、重合部20Aは、支持層3の繰り出しロール3aも備えている。交絡部20Bは、通水性の無端べルトからなるウエブ支持用べルト23と、第1のウォータージェットノズル24とを備えている。凹凸付与部20Cは、通水性の無端べルトからなる凹凸賦形支持体25と第2のウォータージェットノズル26とを備えている。凹凸賦形支持体25は、図2中矢印で示す方向に回動している。収縮部20Dは熱風炉27を備えている。
【0019】
凹凸付与部20Cにおける凹凸賦形支持体25は多数の凹凸を有していることが好ましい。また、凹凸賦形支持体25には多数の開孔が形成されていてもよい。特に好ましい凹凸賦形支持体25としては、例えば本出願人の先の出願に係る特開2001−336052号公報の図4に記載のスパイラル状に編まれたワイヤーネットのベルト、同公報の図5に記載の凹凸賦形されたワイヤーメッシュのベルト、あるいはプラスチックコンベアベルト(プラスチック製のメッシュベルト)などを用いることができる。
【0020】
凹凸賦形支持体25は、凹凸の差がある程度大きいことが好ましく、具体的には凹凸の差が5〜25mm、特に5〜15mmであることが、十分に高い嵩高さを賦与し得る点、及び高圧水流を用いた凹凸賦形に要するエネルギー効率の点から好ましい。同様の理由により、凹凸賦形支持体25は、その通気度が800〜3000cm3/(cm2・sec)、特に800〜2000cm3/(cm2・sec)であることが好ましい。
【0021】
このような構成の製造装置20を用いた嵩高不織布10の製造方法について説明すると、先ず、重合部20Aにおけるカード機21、22の各々において第1繊維ウエブla及び第2繊維ウエブ2aがそれぞれ製造されて連続的に繰り出される。ー方、カード機21、22の間には、支持層3の繰り出しロール3aが配設され、ロール3aから支持層3が繰り出される。そして、支持層3のそれぞれの面に、第1繊維ウエブla及び第2繊維ウエブ2aがそれぞれ重ね合わされて、積層繊維ウエブとしての重合体5が形成される。
【0022】
ここで、次の工程を説明する前に、第1繊維ウエブ1a及び第2繊維ウエブ2a並びに支持層3について説明する。第1繊維ウエブ1a及び第2繊維ウエブ2aは、先に説明した第1層1及び第2層2の前駆体である。第1繊維ウエブ1aは、熱収縮性繊維を含んでいる。特に、熱収縮性繊維として潜在捲縮性繊維を用いることが好ましい。潜在捲縮性繊維を用いることで、得られる不織布10にエラストマー的挙動が発現する。潜在捲縮性繊維は、加熱される前は、従来の不織布用の繊維と同様に取り扱うことができ、且つ所定温度での加熱によって螺旋状の捲縮が発現して収縮する性質を有する繊維である。潜在捲縮性繊維は、例えば収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料を成分とする偏心芯鞘型複合繊維又はサイド・バイ・サイド型複合繊維からなる。その例としては、特開平9−296325号公報や特許2759331号明細書に記載のものが挙げられる。
【0023】
第1繊維ウエブ1aは、熱収縮性繊維のみから構成されていてもよく、或いは熱収縮性繊維に加えて他の繊維を含んでいてもよい。他の繊維としては例えばレーヨン、コットン、親水化アクリル系繊維などの親水性繊維や、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドなどの疎水性繊維などが挙げられる。これら他の繊維の配合量は、目的とする不織布10の具体的な用途にもよるが、得られる不織布10における第1層1に基づき70重量%程度以下であることが好ましい。
【0024】
第2層繊維ウエブ2aを構成する繊維としては、実質的に熱収縮性を有しないか、又は先に述べた第1繊維ウエブ1aに含まれる熱収縮性繊維の熱収縮温度以下で熱収縮しないものが用いられる。具体的には、レーヨン、コットン、アクリル系繊維などの親水性繊維や、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミドなどの熱可塑性ポリマー材料から構成される繊維が挙げられる。またこれらの熱可塑性ポリマー材料の組み合わせからなる芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維も用いることができる。これらの繊維の繊度は、不織布10の具体的な用途にもよるが、構成繊維の70重量%以上が0.5〜10dtex、特に1.0〜4.4dtexであることが、繊維の製造の容易さの点、及び不織布10が良好な感触を発現する点から好ましい。
【0025】
第1繊維ウエブの坪量は、目的とする不織布10の具体的な用途にもよるが、一般に10〜50g/m2、特に20〜40g/m2程度であることが好ましい。また、第2繊維ウエブの坪量は、一般に10〜60g/m2、特に25〜50g/m2程度であることが好ましい。
【0026】
支持層3は、不織布10の嵩高な構造、具体的には凸状部4の構造を保持するために用いられるものである。支持層3は或る程度の柔軟性があり且つ低伸度のものであることが、凸状部4の高さを大きくでき、不織布10の嵩高性を高められる点から好ましい。この観点から、支持層3はその流れ方向(MD)における伸度が幅30mmの試料に5Nの荷重を負荷した条件下にて10%以下、特に7%以下であることが好ましく、流れ方向と直行する方向(CD)における伸度が幅30mmの試料に5Nの荷重を負荷した条件下にて40%以下、特に30%以下の低伸度であることが好ましい。また、支持層3は、熱収縮性を有しないか又は第1繊維ウエブ1aに含まれる熱収縮性繊維の熱収縮温度以下で熱収縮しないものである。このような要求を満たす支持層3としては、熱収縮性を有しないか又は第1繊維ウエブ1aに含まれる熱収縮性繊維の熱収縮温度以下で熱収縮しない繊維を含む不織布が挙げられる。具体的には、凹凸形態保持性の向上の点及び不織布10に大きな畝が発生することを防止する点から支持層3としてスパンボンド不織布などの長繊維の不織布を用いる。
【0027】
スパンボンド不織布などの長繊維の不織布を支持層3として用いる場合、その坪量は、10〜50g/m2、特に10〜30g/m2であることが、凹凸形態保持性並びに不織布10の肌触り及び柔軟性の点から好ましい。
【0028】
次に、交絡部20Bにおける操作について説明する。交絡部20Bにおいて、ウエブ支持用べルト23上に移載され搬送される重合体5は、第1のウォータージェットノズル24より噴出される高圧のジェット水流によってその構成繊維が交絡処理される。これにより、重合体5中の前記繊維ウエブla,2aの構成繊維間が絡合されて、各ウエブに対応する第1層1及び第2層2が形成されると共に該構成織維と支持層3とが絡合されて、三者が一体化された積層体6が得られる。この場合、積層体6における第1層1及び第2層2を構成する繊維は低絡合状態であることが好ましい。積層体6における第1層1及び第2層2を構成する繊維の絡合状態を低くすることにより、後述する凹凸付与部20Cにおける凹凸賦形時に穴空きなどを生ずること無く、明瞭な凹凸形状が付与された嵩高不織布を得ることができる。
【0029】
積層体6は、凹凸付与部20Cにおいて凹凸賦形支持体25上に移載され搬送される。積層体6は、搬送されながら、第2のウォータージェットノズル26から噴出する高圧のジェット水流によって部分的に加圧される。これによって、構成繊維の再配列・再絡合が生じる。繊維の再配列・再絡合とは、水流交絡により一度弱く絡合された繊維が、凹凸賦形支持体25上で再度水流交絡されることによって凹凸部に沿って配列し直され、再び絡合されることをいう。ジェット水流は、積層体6における第1層に向けて噴射される。これによって、積層体6における第2層側に大きな凹凸形状が付与される。
【0030】
先に述べた通り凹凸賦形支持体25には多数の凹凸が形成されている。従って、積層体6のうち、凹凸賦形支持体25の凹部上に位置する部分は高圧ジェット水流によって加圧されて、該加圧部分は該凹部内に突出される。その結果、第2層側を表面とし、第1層側を裏面とした場合、該加圧部分は凹部に対応する凸状部となる。一方、積層体6のうち、凹凸賦形支持体25の凸部上に位置する部分は、該凸部に規制されて高圧ジェット水流によって加圧されても突出せず、その結果、凸状部に対して相対的に凹状部となる。このようにして、積層体6における第2層側に多数の凸状部が形成されると共に、凸状部間にそれぞれ凹状部が形成され、積層体6全体として凹凸形状が付与される。
【0031】
凸状部及び凹状部の形状等は、凹凸賦形支持体25の種類や、交絡部20B及び凹凸付与部20Cおける高圧ジェット水流によって繊維に加わる絡合エネルギーに応じて決定される。この絡合エネルギーはウォータージェットノズルのノズル形状、ノズルピッチ、水圧、ノズル段(本)数及びラインスピード等の条件によってコントロールされる。
【0032】
凹凸形状を付与された積層体6は収縮部20Dに送られる。収縮部20Dには熱風炉27が備えられており、凹凸形状を付与された積層体6には、熱風炉27内において熱風が吹き付けられ熱処理される。熱処理の温度は、第1層1に含まれる熱収縮繊維が収縮を開始する温度以上とする。この収縮によって第1層1は、その面内方向に収縮する。一方、第2層2は収縮しないので、第1層1の収縮に見合う面積の分だけ第2層2に皺が生じる。この場合、第1層1の収縮はその面内の何れの方向(X方向及びY方向)にも生じるが、第2層2にはすでに凸状部が形成されているので、皺は、この凸状部の長手方向に沿って優先的に発生する。また、皺の発生に起因して、凹凸付与部20Cにおいて形成された凸状部の保形性が高まり、得られる不織布10をその厚さ方向に圧縮したときの回復性が高くなる。更に、収縮前に既に凹凸形状が形成されているので、大きな収縮を生じさせなくても、得られる不織布10は十分に嵩高いものとなる。このことは積層体6(不織布10)の坪量が低い場合に特に有利である。
【0033】
第1層1の熱収縮率は、熱収縮のコントロール、不織布10の伸張回復性、圧縮変形性、凸状部の形成に伴う嵩高性の点から、15〜60%、特に30〜50%とすることが好ましい。熱収縮率は面積収縮率であり、収縮前の基準面積S0、基準面積の収縮後の面積S1から下記の式にて求められる。
収縮率=(S0−S1)/S0×100
【0034】
熱処理の温度は、第2層2の構成繊維の融点よりも低いことが好ましい。これによって、第2の層2の構成繊維間で熱融着が起こることが防止され、第2の層2の構成繊維の自由度を高めることができる。その結果、得られる不織布10における第2の層2側の風合いが良好になる。また、自由度が高くなることに起因して、不織布10を繊維状ダストのワイパー(清掃用シート)として用いた場合に、該ダストの捕集率が高くなるという利点もある。
【0035】
このようして得られた嵩高不織布10は、嵩高なものとなり、またその嵩高さは保持性が高いものとなる。その上、皺の発生によって柔軟な風合いを呈するようになる。しかも、不織布10における第2層2の構成繊維どうしが熱融着していない場合には、該繊維の自由度が高まり、不織布10の柔軟な風合いが一層顕著なものとなる。
【0036】
本発明の方法によって製造された嵩高不織布は、例えば清掃用シート、対人用ワイパー、使い捨て吸収性物品の構成部材(表面シートなど)、マスク、ガーゼなどとして有用である。
【0037】
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、前記実施形態においては不織布10は3層構造であったが、凸状部4の保形性の程度によっては、支持層3を用いなくてもよい。また、不織布10の用途によっては、これを単層構造とすることもできる。
【0038】
また、第2層2の表面強度を高めたい場合には、収縮部20Dにおける熱収縮を、第2層2の構成繊維の融点以上の温度で行い、該構成繊維どうしを熱融着させてもよい。
【0039】
【発明の効果】
本発明の嵩高不織布の製造方法によれば、低坪量であっても嵩高く、その嵩高さの保持性が高く、また柔軟な風合いを有する嵩高不織布を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の製造方法に従い製造された嵩高不織布の一例を示す要部拡大図であり、図1(b)は図(a)におけるb−b線断面の要部拡大図である。
【図2】図2は、図1に示す不織布を製造するための好ましい装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1 第1層
2 第2層
3 支持層
4 凸状部
10 嵩高不織布
Claims (4)
- 熱収縮性繊維を含む第1繊維ウエブと、実質的に熱収縮性を有しないか又は前記熱収縮性繊維の熱収縮温度以下で熱収縮しない繊維を含む第2繊維ウエブと、両ウエブの間に配された、熱収縮性を有しないか又は前記熱収縮性繊維の熱収縮温度以下で熱収縮しない繊維を含む坪量10〜30g/m2の長繊維不織布からなる支持層とが積層されてなる積層繊維ウエブを通水性の凹凸賦形支持体上に載置し、第1繊維ウエブに向けて噴射された高圧水流によって該積層繊維ウエブを凹凸賦形して第2繊維ウエブ側に該第2繊維ウエブの構成繊維で満たされた多数の凸状部を形成すると共に該積層繊維ウエブの構成繊維を交絡させて不織布となし、次いで前記熱収縮性繊維の収縮開始温度以上の温度で該不織布を熱処理し該熱収縮性繊維を収縮させて、前記凸状部が形成された第2繊維ウエブ側に皺を形成する嵩高不織布の製造方法。
- 穴空きを生ずることなく凹凸賦形する請求項1記載の嵩高不織布の製造方法。
- 前記凹凸賦形支持体が、スパイラル状に編まれたワイヤーネットのベルト、凹凸賦形されたワイヤーメッシュのベルト、又はプラスチックコンベアベルトからなる請求項1又は2記載の嵩高不織布の製造方法。
- 面積収縮率が15〜60%となるように熱収縮させる請求項1〜3の何れかに記載の嵩高不織布の製造方法。
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