JP3977074B2 - ドラムブレーキ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブレーキシューのドラムへの押圧力をブレーキ力に応じて制御して、ブレーキの高い効きと安定性を確保することができ、しかも、ブレーキ装置の電動化にも適するドラムブレーキ装置に関し、詳しくは、一対のブレーキシューを拡開するシュー駆動機構としてのシュー駆動カムの小型化とブレーキの効きの向上とを同時に実現するための改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両の走行を制動するために種々の形式のドラムブレーキ装置が用いられているが、これらのドラムブレーキ装置は、略円筒状のドラムの内周面に押圧されるブレーキシューの配置によって、リーディングトレーリング式やツーリーディング式、若しくはデュオサーボ式等に分類される。
【0003】
デュオサーボ式のドラムブレーキ装置は、一般に、円筒状のドラム内に、互いに対向して配置されたプライマリシューとセカンダリシューの一対のブレーキシューを備える。
プライマリシューは、ドラムの前進回転方向入口側が入力部とされると共に、ドラムの前進回転方向出口側は例えばアジャスタを介してセカンダリシューの入口側に連結される。一方、セカンダリシューの出口側はバッキングプレート上に装備されたアンカ部に当接させられ、プライマリシュー及びセカンダリシューに作用するブレーキ力(制動トルク)をアンカ部で受け止めるようになっている。
【0004】
これにより、プライマリシュー及びセカンダリシューを拡開させてドラムの内周面に押し付けると、プライマリシューに作用するブレーキ力がセカンダリシューの入口側に入力してセカンダリシューをドラム内周面に押し付けるように作用するため、プライマリシューとセカンダリシューの双方に自己サーボ作用が働き、非常にゲインの高い制動力を得ることができる。
【0005】
前述したデュオサーボ式ドラムブレーキ装置は、リーディングトレーリング式やツーリーディング式のドラムブレーキ装置と比較して、極めて高い制動力を得ることができるばかりでなく、小型化し易く、かつパーキングブレーキの組み込みも容易である等の多くの長所を有している。
ところが、このようなデュオサーボ式ドラムブレーキ装置は、ブレーキシューのライニングの摩擦係数の変化に敏感であるため、制動力を安定させにくい傾向にあり、制動力を安定化させる工夫が要求されている。
【0006】
また、最近の車両用のブレーキ装置は、アンチロックブレーキシステムを始めとするブレーキ機能のインテリジェント化や、環境汚染の軽減等に適した電気自動車(EV車)等への対応のため、ブレーキ装置の電動化も重要課題とされている。
【0007】
このような背景から、本願出願人は、制動時にブレーキシューを拡開するシュー駆動機構として、サービスブレーキ時に操作力発生手段から入力レバーに伝達されるシュー操作力に応じて一対のブレーキシューを拡開してドラムに押圧する一方、制動時にアンカ部に作用するブレーキ力がシュー操作力に対して所定倍率に達するとシュー操作力の作用を減ずる方向の制動制限力を入力レバーに作用させるリンク機構を、既に提案している。
このようなリンク機構を使用することで、デュオサーボ式ドラムブレーキ装置における制動力の安定化が図れ、更に、上記した操作力発生手段として、従来の液圧式のホイールシリンダの代わりに、電動モータ等を利用した電動式の操作力発生手段を採用するだけで、ブレーキ装置の電動化も容易に実現することができた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、シュー駆動機構としての従来のリンク機構は、部品点数が多く、且つ、リンク機構を構成する各連節部品の強度確保の点で、小型化が難しく、操作力発生手段の設置スペースがシュー駆動機構によって圧迫されて、操作力発生手段の配置が困難になったり、ブレーキ装置自体の大型化を招く虞があった。
【0009】
更に、制動力を制御する従来のリンク機構は、制動時にブレーキシューから作用するブレーキ力でアンカ部周りの回転モーメントを発生させ、その回転モーメントがシュー操作力の作用を減ずることで、ブレーキの効きを抑制するものであるが、リンク機構を構成している連節部品の強度確保等の点で、ブレーキ力を受けるモーメントアームの寸法を小さくすることが、難しい。即ち、ブレーキ力の作用によって発生する回転モーメントを適度に小さく抑えることが難しく、ブレーキの効きの抑制が強すぎて、ブレーキの効きが高いというデュオサーボ式ドラムブレーキ装置の利点が薄れてしまう虞があった。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ブレーキ力に応じて制動力を制御可能なシュー駆動機構の小型化により、シュー駆動機構の占有スペースを縮小し、操作力発生手段の配置等を容易にすることができると同時に、制動時にブレーキ力が作用するモーメントアームを小さく抑えることで、ブレーキの効きの向上を図ることができるドラムブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係るドラムブレーキ装置は、ドラム内に対向配置される一対のブレーキシューと、これら一対のブレーキシューの一方の対向端側においてバッキングプレートに立設されたアンカピンと、制動操作に応じたシュー操作力を発生する操作力発生手段と、前記アンカピンに回転自在に嵌合するシュー駆動カムとを備え、
前記シュー駆動カムは、前記アンカピンを中心に回転可能なカム板と、前記シュー操作力を受けるようにカム板上に突設されて前記カム板に前記アンカピン周りの回転を生じさせる入力ピンと、前記カム板上の前記アンカピンを挟む2位置に突設されて各ブレーキシューの端部に当接する一対のカムピンとを備え、前記カムピンが、前記シュー操作力による前記カム板の所定方向への回動時に前記ブレーキシューを拡開すると共に、制動時に各ブレーキシューから受けるブレーキ力に応じて前記カム板に前記シュー操作力の作用を減ずる方向の回転モーメントを働かせる構成で、
前記カム板上に装備される前記一対のカムピンの内、少なくとも一方のカムピンはその一部が切欠かれて横断面形状が非円形に形成され、その切欠かれた側面に前記アンカピンの外面を当接させることで、前記アンカピンとの間の離間距離を短縮させたことを特徴とする。
【0012】
このように構成されたドラムブレーキ装置においては、制動操作時には、操作力発生手段の出力するシュー操作力を入力ピンに受けたシュー駆動機構のカム板がアンカピン周りに回動し、このカム板の回動に伴い、カム板上の各カムピンが各ブレーキシューを拡開して、制動力を発生させる。そして、制動時には、ブレーキシューからカムピンに作用するブレーキ力が、シュー操作力によるカム板の回動を低減させる方向の回転モーメントを発生させて制動力を制限するため、ブレーキの効きを安定させることができる。
【0013】
上記の構成では、アンカピンと少なくとも一方のカムピンとの間の離間距離を短縮させていて、このカムピンとアンカピンとの高密度配置によって、シュー駆動機構の小型化を図ることができる。
【0014】
更に、カムピンとアンカピンとの高密度配置によって、制動時にブレーキシューからブレーキ力が作用するモーメントアームを小さく抑えることができ、これによって、ブレーキ力に応じた効きを抑制する回転モーメントを適量に縮小して、ブレーキの効きの向上を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るドラムブレーキ装置の好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るドラムブレーキ装置の第1の実施の形態の正面図である。
この第1の実施の形態のドラムブレーキ装置1は、所謂、デュオサーボ式ドラムブレーキ装置で、図示せぬ略円筒形のドラム内空間に対向配備されるプライマリシュー3及びセカンダリシュー4の一対のブレーキシュー3,4と、これら一対のブレーキシュー3,4の一方の対向端側に配設されてサービスブレーキ操作時にこれら各ブレーキシュー3,4をドラムに押圧するためのシュー操作力を発生する操作力発生手段6と、この操作力発生手段6の発生する操作力を各ブレーキシュー3,4に伝達するシュー駆動機構であるシュー駆動カム7と、各ブレーキシュー3,4の他方の対向端間に配設されてプライマリシュー3の出力をセカンダリシュー4に入力するリンク機能を兼ねたアジャスタユニット8と、これらの構成部材を支持するバッキングプレート9と、バッキングプレート9上に立設されたアンカピン10と、駐車時に作動させるパーキングブレーキ機構51とを備えている。
なお、図示せぬドラムは、バッキングプレート9と同心で、車両の前進時には図1の矢印R方向に回転する。
【0016】
以上のブレーキシュー3,4は、ドラムの内周に向かって移動可能に、シューホールドダウン装置91によりバッキングプレート9に取り付けられている。
そして、各ブレーキシュー3,4の操作力発生手段6側の端部は、シューリターンスプリング92,93を介して、アンカピン10の上端に一体形成されたバネ支持ピン10aに連結され、それぞれのシューの端部が互いに接近する方向(即ち、ドラムから離間する方向)に付勢されている。
また、各ブレーキシュー3,4のアジャスタユニット8側の端部相互は、シュートゥシュースプリング95の付勢力によって、アジャスタユニット8の端部に当接した状態が維持されるように付勢されている。
【0017】
本実施の形態の場合、操作力発生手段6は、図2に示すように、サービスブレーキ用のブレーキペダル等のブレーキ操作に応じて出力ロッド6aが矢印(イ)方向に進出して、シュー操作力W(図5参照)となる押圧力を出力するホイールシリンダである。
【0018】
アジャスタユニット8は、本来は、各ブレーキシュー3,4のライニングの摩耗の進行に応じて、これらのブレーキシュー3,4の端部間の間隔を調整するもので、アジャスタスプリング81の付勢力によって先端がアジャスタユニット8上の調整用歯車8aに当接されたアジャスタレバー82の回動動作で、ブレーキシュー3,4の端部間の間隔を自動調整するように構成されている。
【0019】
アジャスタレバー82には、アジャスタ駆動機構84が連結されている。本実施の形態の場合、アジャスタ駆動機構84は、セカンダリシュー4のウェブ4aに回転自在に支持された中継手段85と、一端がアンカピン10上のバネ支持ピン10aに連結されると共に他端が中継手段85に連結された第1のアジャスタロッド86と、一端が中継手段85に連結されると共に他端がアジャスタスプリング81を介してアジャスタレバー82に連結された第2のアジャスタロッド87とを有した構成で、制動時のセカンダリシュー4の移動量に応じてアジャスタレバー82に回動力を作用させて、アジャスタユニット8の伸長をコントロールする。
【0020】
本実施の形態のシュー駆動カム7は、図3及び図4に示すように、アンカピン10に嵌合する上下一対の同一形状のカム板76,77相互を、プライマリシュー3に当接するシュー係合カム部としてのプライマリカムピン21と、セカンダリシュー4に当接するシュー係合カム部としてのセカンダリカムピン23と、操作力発生手段6からシュー操作力Wを受ける入力受け部としての入力ピン25とで結合する。
【0021】
アンカピン10、プライマリカムピン21、セカンダリカムピン23及び入力ピン25は、図3(a)に示すように、下側のカム板76に嵌合・固定されている。また、プライマリカムピン21及びセカンダリカムピン23は、アンカピン10を挟んで、プライマリカムピン21がドラムの半径方向外側の位置に、セカンダリカムピン23がドラムの半径方向内側の位置に配置されている。
アンカピン10は、下側のカム板76を貫通した状態で設けられていて、カム板76の裏側に突出した部分が、バッキングプレート9に回転自在に保持される。
【0022】
そして、本実施の形態の場合、カム板76,77上に装備されてブレーキシュー3,4に当接する一対のカムピン21,23の内、セカンダリシュー4に当接するセカンダリカムピン23は、図3にも示すように、その一部が切欠かれて横断面形状が三日月状の非円形に形成されており、この三日月状の窪んだ側面23bにアンカピン10の外面の一部を割り込むように当接させることで、図5に示すようにアンカピン10との間の離間距離Sを短縮させている。
【0023】
上側のカム板77に形成されたピン嵌合穴を貫通する各ピン21,23,25の上端側には、図3に示すように、抜け止め用の止め輪等を装着する溝21a,23a,25aが周設されている。
各ピン21,23,25の上端に嵌合した上側のカム板77は、上記の溝21a,23a,25aに係合する止め輪部27a,27b,27cを一本のバネ線材を屈曲形成したスプリング27によって、抜け止めされて、下側のカム板76に一体化される。
【0024】
以上のシュー駆動カム7は、サービスブレーキ用のブレーキペダルが操作される前進制動時あるいは後進制動時には、ブレーキ操作に応じて操作力発生手段6から入力ピン25にシュー操作力Wが入力する。シュー操作力Wが入力されると、そのシュー操作力Wによって、シュー駆動カム7はアンカピン10周りに図2で反時計方向に回動して、一対のカム板76,77間に装備したプライマリカムピン21,セカンダリカムピン23によってブレーキシュー3,4を拡開してドラムに押圧する。
【0025】
その一方、サービスブレーキによる前進制動時には、図5に示すように、セカンダリシュー4からセカンダリカムピン23にブレーキ力を受ける。このセカンダリカムピン23に作用するブレーキ力は、操作力発生手段6からのシュー操作力の作用を減ずる方向(図2では、時計方向)のアンカピン10周りの回転モーメントM1 をシュー駆動カム7に働かせる。このブレーキ力によってシュー駆動カム7に作用する回転モーメントM1 が制動制限力となって、サービスブレーキ時の制動力が、ブレーキ操作によって入力するシュー操作力の所定倍率を超えないように制御され、ブレーキの効きと安定性との双方を程良くバランスさせた優れた制動性能が確保される。
【0026】
更に詳述すると、前進制動時には、シュー駆動カム7には、シュー操作力Wが入力ピン25に作用すると共に、プライマリシュー3をドラムに押圧する力の反力F1 がプライマリカムピン21に作用し、また、セカンダリシュー4からのブレーキ力F2 がセカンダリカムピン23に作用している。
そして、シュー操作力Wはシュー駆動カム7に図5で反時計周りの回転モーメントMを作用させ、反力F1 はシュー駆動カム7に図5で時計周りの回転モーメントM1 を作用させ、また、ブレーキ力F2 はシュー駆動カム7に図5で時計周りの回転モーメントM2 を作用させる。
【0027】
図5に示すように、アンカピン10とシュー操作力Wの作用点までの距離をL1 、アンカピン10と反力F1 の作用点までの距離をL2 、アンカピン10とブレーキ力F2 の作用点までの距離をSとすると、
M=W×L1 ……(1)
M1 =F1 ×L2 ……(2)
M2 =F2 ×S ……(3)
で、次の(4)式を満足するように、ブレーキ力F2 に応じてプライマリシュー3をドラムに押圧する力F1 が制御されることで、効きがシュー操作力の所定倍率に制限される。
M=M1 +M2 ……(4)
【0028】
後進制動時には、図6に示すように、入力ピン25に操作力発生手段6からのシュー操作力が入力して制動が始まると、セカンダリシュー4をドラムに押圧する力の反力F1 がセカンダリカムピン23に作用するようになり、また、プライマリシュー3からプライマリカムピン21にブレーキ力F2 が作用するようになり、この場合も、上記の(1)〜(4)式に従って、制動力が制御される。
【0029】
本実施の形態のパーキングブレーキ機構51は、サービスブレーキ用の操作力発生手段6及びシュー駆動機構としてのシュー駆動カム7を介さずに、パーキングブレーキ操作に応じて回動するパーキングレバー53の回動動作によって、ブレーキシュー3,4を拡開させる。
【0030】
パーキングレバー53は、図2に示すように、一端側に、セカンダリシュー4のウェブ4aに連結ピン52を介して回転自在に結合されるシュー結合部53aと、ストラット102を介してプライマリシュー3に係合するシュー押圧部53bとを有している。
また、パーキングレバー53の他端側は、図示せぬパーキングブレーキ操作用のワイヤに接続されていて、駐車時の制動操作により、図2の矢印(ニ)方向に牽引される。
【0031】
ストラット102は、シュー駆動カム7のセカンダリカムピン23と入力ピン25との間の隙間を挿通する棒状の形態で、一端102aをウェブ3aの端部の係合用凹部3cに係合させると共に、他端102bをパーキングレバー53のシュー押圧部53bに係合させている。
ストラット102の一端102a及び他端102bは、相手の係合面に対して、不当な引っ掛かり等が生じないように、滑らかな凸状の円弧面に成形されている。
【0032】
パーキングレバー53は、図2の矢印(ニ)方向に牽引されると、連結ピン52を中心とした時計方向の回動動作をして、連結ピン52を介してセカンダリシュー4をセカンダリカムピン23から離間させる方向に拡開すると同時に、シュー押圧部53bに当接しているストラット102を介してプライマリシュー3のレバー係合部3bを押して、プライマリシュー3がプライマリカムピン21から離間する方向にプライマリシュー3を拡開させ、制動力を発生する。
【0033】
パーキングレバー53の回動動作に伴って各ブレーキシュー2,3が拡開する初期段階では、各ブレーキシューから各カムピン21,23を介して、荷重がシュー駆動カム7に作用することがある。しかし、この場合にシュー駆動カム7に作用する荷重は、何れも、図2で、アンカピン10の周囲を時計周りに回動する回転モーメントであるが、シュー駆動カム7自体は、操作力発生手段6への当接で回動が規制されているため、シュー駆動カム7に回転は生じない。
【0034】
そして、パーキングレバー53の操作で、各ブレーキシュー2,3がドラムに押圧された駐車時の制動状態では、各ブレーキシュー2,3の端部は、シュー駆動カム7上の各カムピン21,23から完全に離間し、制動動作に操作力発生手段6及びシュー駆動カム7は関与しない。
【0035】
このように構成されたドラムブレーキ装置1においては、制動操作時には、操作力発生手段6の出力するシュー操作力Wを入力ピン25に受けたシュー駆動機構7のカム板76,77がアンカピン10周りに回動し、このカム板76,77の回動に伴い、カム板76,77上の各カムピン21,23が各ブレーキシュー3,4を拡開して、制動力を発生させる。
そして、制動時には、ブレーキシュー3,4からカムピン21,23に作用するブレーキ力F2 が、シュー操作力Wによるカム板76,77の回動を低減させる方向の回転モーメントM2 を発生させて制動力を制限するため、ブレーキの効きを安定させることができる。
【0036】
しかも、上記の構成では、セカンダリカムピン23は、その一部が切欠かれ、横断面形状が非円形に形成され、その横断面の切欠かれた側面23bにアンカピン10の外面の一部を当接させることで、セカンダリカムピン23とアンカピン10との間の離間距離Sを短縮させているので、このセカンダリカムピン23とアンカピン10との高密度配置によって、シュー駆動機構7の小型化を図ることができる。そして、シュー駆動機構の小型化により、シュー駆動機構7の占有スペースを縮小し、操作力発生手段6の配置等を容易にすることができる。
【0037】
更に、カンダリカムピン23とアンカピン10との高密度配置によって、制動時にセカンダリシュー4からブレーキ力F2 が作用するモーメントアーム(上記の離間距離S)を小さく抑えることができ、これによって、ブレーキ力に応じた効きを抑制する回転モーメントM2 を適量に縮小して、ブレーキの効きの向上を図ることができる。
【0038】
なお、シュー駆動カム7は、操作力発生手段6と各ブレーキシュー3,4との間に配置されて制動力の制御をメカ的に行うため、操作力発生手段6としては、従来の油圧式ホイールシリンダ等の液圧式のアクチュエータだけでなく、電動モータ等の電動式のアクチュエータや、駐車ブレーキ等に利用される手動式の操作力発生手段にも適合するため汎用性が高く、ブレーキ機能のインテリジェント化や車両のハイブリッド化等のための電動化にも好適である。
【0039】
また、上記の実施の形態では、2つのカムピンのうち、セカンダリカムピン23の横断面形状を三日月状の非円形に形成したが、同様に、プライマリカムピン21の横断面形状も非円形に形成して、プライマリカムピン21とアンカピン10との離間距離を短縮することにより、更に、シュー駆動カム7の小型化やブレーキの効きの向上を図ることができる。
また、カムピンは、一部が切欠かれた非円形であれば、三日月状に限らず、例えば半月状に形成することもできる。
【0040】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のドラムブレーキ装置によれば、制動操作時には、操作力発生手段の出力するシュー操作力を入力ピンに受けたシュー駆動機構のカム板がアンカピン周りに回動し、このカム板の回動に伴い、カム板上の各カムピンが各ブレーキシューを拡開して、制動力を発生させる。そして、制動時には、ブレーキシューからカムピンに作用するブレーキ力が、シュー操作力によるカム板の回動を低減させる方向の回転モーメントを発生させて制動力を制限するため、ブレーキの効きを安定させることができる。
しかも、上記の構成では、少なくとも一方のカムピンがその一部が切り欠かれ、横断面形状が非円形に形成され、その切欠かれた側面にアンカピンの外面の一部を当接させることで、カムピンとアンカピンとの間の離間距離を短縮させていて、このカムピンとアンカピンとの高密度配置によって、シュー駆動機構の小型化を図ることができる。そして、シュー駆動機構の小型化により、シュー駆動機構の占有スペースを縮小し、操作力発生手段の配置等を容易にすることができる。
更に、カムピンとアンカピンとの高密度配置によって、制動時にブレーキシューからブレーキ力が作用するモーメントアームを小さく抑えることができ、これによって、ブレーキ力に応じた効きを抑制する回転モーメントを適量に縮小して、ブレーキの効きの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るドラムブレーキ装置の一実施の形態の正面図である。
【図2】図1に示したシュー駆動カム及びパーキングレバーと各ブレーキシューとの係合状態の説明図である。
【図3】図1に示したシュー駆動カムの下部のカム板の外観図で、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【図4】図1に示したシュー駆動カムの組立状態の外観図で、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【図5】図1に示したドラムブレーキ装置の前進制動時においてシュー駆動カムに作用する荷重の説明図である。
【図6】図1に示したドラムブレーキ装置の後進制動時においてシュー駆動カムに作用する荷重の説明図である。
【符号の説明】
1 ドラムブレーキ装置
3 プライマリシュー(ブレーキシュー)
4 セカンダリシュー(ブレーキシュー)
6 操作力発生手段(ホイールシリンダ)
7 シュー駆動カム(シュー駆動機構)
8 アジャスタユニット
9 バッキングプレート
10 アンカピン
21 プライマリカムピン(カムピン)
23 セカンダリカムピン(カムピン)
23b 側面
25 入力ピン
27 スプリング
51 パーキングブレーキ機構
52 連結ピン
53 パーキングレバー
53a シュー結合部
53b シュー押圧部
76,77 カム板
102 ストラット
Claims (1)
- ドラム内に対向配置される一対のブレーキシューと、これら一対のブレーキシューの一方の対向端側においてバッキングプレートに立設されたアンカピンと、制動操作に応じたシュー操作力を発生する操作力発生手段と、前記アンカピンに回転自在に嵌合するシュー駆動カムとを備え、
前記シュー駆動カムは、前記アンカピンを中心に回転可能なカム板と、前記シュー操作力を受けるようにカム板上に突設されて前記カム板に前記アンカピン周りの回転を生じさせる入力ピンと、前記カム板上の前記アンカピンを挟む2位置に突設されて各ブレーキシューの端部に当接する一対のカムピンとを備え、前記カムピンが、前記シュー操作力による前記カム板の所定方向への回動時に前記ブレーキシューを拡開すると共に、制動時に各ブレーキシューから受けるブレーキ力に応じて前記カム板に前記シュー操作力の作用を減ずる方向の回転モーメントを働かせる構成で、
前記カム板上に装備される前記一対のカムピンの内、少なくとも一方のカムピンはその一部が切欠かれて横断面形状が非円形に形成され、その切欠かれた側面に前記アンカピンの外面を当接させることで、前記アンカピンとの間の離間距離を短縮させたことを特徴とするドラムブレーキ装置。
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