JP3971090B2 - 針状表面を有するダイヤモンドの製造方法及び繊毛状表面を有する炭素系材料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、針状表面を有するダイヤモンド又は繊毛状表面を有する炭素系材料、その製造方法、それを使用した電極及び電子デバイスに関し、特に、電子放出材料として好適な針状表面を有するダイヤモンド又は繊毛状表面を有する炭素系材料に関する。なお、本発明において、「炭素系材料」とは、従前からよく使用されているグラファイト、非晶質炭素(a−C)、及び水素化非晶質炭素(a−C:H)に加え、最近研究が進められているダイヤモンド、B−C−N化合物及び炭素にSi又は金属等を含んだ複合材料等を含むものとして定義する。炭素系材料の形態としては、バルク、粉末、焼結体及び物理的、化学的蒸着により合成された炭素系材料粒子又は炭素系材料薄膜がある。
【0002】
【従来の技術】
炭素系材料は、化学電極、電子デバイス用電極、電子放出用素子等の高機能・高付加価値を有する素子又は装置への応用が期待されているが、このためには表面積の大きい繊毛状構造又は針状構造にすることが必要である。この炭素系材料の中で最も実用性が高いものがダイヤモンドである。
【0003】
不純物元素を含まないダイヤモンドは電気絶縁体であるが、B、P又はS等の元素をドーピングすることにより、p型又はn型に半導体化することができる。半導体ダイヤモンドは、Si、GaAs又はSiC等と比べて優れた電気的特性を有することが知られており、半導体センサ・デバイスの研究開発が進められている。
【0004】
近時、水素終端されたダイヤモンド表面が負の電子親和力(Negative Electron Affinity(NEA))を有すること等に起因して、ダイヤモンドからの電子放出電圧のしきい値が低く、電流密度が高い電子放出が生じること、即ち、高効率で電子放出が生じることが見出され、電子放出を利用した平面パネルディスプレイ等への応用が考えられている。
【0005】
更に、半導体ダイヤモンドが高過電圧、低ノイズ、及び耐薬品性等の優れた特性を有するため、化学電極として利用可能であることも示されている。
【0006】
ダイヤモンドの種類としては、天然及び人工の単結晶、粉末並びに焼結体がある。また、炭化水素ガスを原料として気相合成することにより、ダイヤモンド粒子又はダイヤモンド薄膜を合成することができる。このダイヤモンド薄膜の気相合成法としては、マイクロ波化学気相蒸着(CVD)法(例えば、特公昭59−27754号公報及び特公昭61−3320号公報等)が知られている。このような気相合成法により、膜状のダイヤモンドを低コストで且つ大面積で製造することができる。
【0007】
通常、ダイヤモンド膜は、粒子がランダムに凝集した多結晶膜である。しかし、合成条件を調整することにより、表面の殆どの領域がダイヤモンド(111)結晶面又は(100)結晶面から構成され、一軸性配向したダイヤモンド膜を合成することができる。また、基板に(100)方位の単結晶Si又はSiC等を使用すると、ダイヤモンド(100)結晶面が面内配向したダイヤモンド膜(以下、高配向膜という。)を合成することができる。更に、基板に単結晶Pt(111)又はIr(100)を使用すると、夫々ダイヤモンドの(111)又は(100)結晶面が面内配向し、更に隣接する結晶面が融合(コアレッセンス)したダイヤモンド膜(以下、融合膜という。)を合成することができる。
【0008】
ダイヤモンド膜のエッチングには、通常、酸素及びAr混合ガス、又はH2Oガス等の酸素を含むガスが使用され、これらのガスのプラズマによりダイヤモンド膜表面を処理する。このように、従来、炭素系材料のエッチングは、酸素を使用した高温処理及びプラズマにより実施されている。しかし、この方法であると、炭素系材料の表面が一様にエッチングされるか、又は多少の凹凸が生じるだけである。従って、繊毛状構造又は針状構造の大きな表面積を得ることができない。
【0009】
また、表面積が大きな炭素の繊毛状構造としては、最近発見されたカーボンナノチューブがよく知られているが、製造時の収率が低くコストが高いという問題点がある。
【0010】
そこで、2.45GHzのマイクロ波で励起した水素プラズマを使用して、多結晶ダイヤモンド膜に負のバイアス電圧を印加しつつダイヤモンド膜表面を処理することにより、ダイヤモンド膜を一様にエッチングする方法が提案されている(B. R. Stoner, G. J. Tessmer, and D. L. Dreifus, Applied Physics Letters, Vol.62, No.15, pp1803-1805, 12 April 1993:従来例1)。この場合、水素ガスのガス圧を1.33×103乃至1.995×103Paとし、基板温度は約500℃に維持されている。
【0011】
一方、水素(ガス圧5.3乃至9.3×10-2Pa)を使用して、2.45GHzのマイクロ波で発生するECR(電子サイクロトロン共鳴(electron cyclotron resonance))プラズマで多結晶ダイヤモンド薄膜又は単結晶ダイヤモンドを処理することにより、ダイヤモンド膜の表面を針状化した技術も開示されている(山本等、第13回ダイヤモンドフォーラムシンポジウム講演要旨集、p.220(ニューダイヤモンドフォーラム、1999年11月発行):従来例2)。この従来例2の方法においては、水素プラズマを使用したときのみダイヤモンド膜表面を針状化することができ、また、電子の電界放出を評価した結果、針状構造を形成することにより、低い電界で高い電子放出密度を得ている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例1の方法ではガス圧が高いために、均一に拡大したプラズマを発生させることが困難であり、大面積のダイヤモンド膜を均一にエッチング処理できない。また、ガス圧が高いため、このような条件で処理すると、ダイヤモンド膜は一様にエッチングされてしまう。
【0013】
また、従来例2の技術においては、反応室に均一な磁場を発生させるための大型の磁界コイルを有するECRプラズマ発生装置が必要であるという問題点がある。
【0014】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、より簡易な方式でマイクロ波プラズマにより表面を処理することにより針状構造又は繊毛状構造の表面を有するダイヤモンド又は炭素系材料、その製造方法、それを使用した電極及び電子デバイスを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る針状表面を有するダイヤモンドは、負の電圧を印加し、基板の温度を−50乃至800℃に維持し、圧力が66.5乃至665Paの水素ガスによるマイクロ波プラズマにより表面処理されて表面に針状構造が形成されたものであること特徴とする。
【0016】
本発明においては、表面に針状の構造が形成されているため、表面積が通常のダイヤモンドと比較して10倍以上広く、従って、優れた電極特性を有する。また、先端が尖鋭であるので、優れた電子放出特性を有する。
【0017】
本発明に係る針状表面を有するダイヤモンドの製造方法は、基板上に第1のダイヤモンドを合成する工程と、前記第1のダイヤモンドに負の電圧を印加し、前記基板の温度を−50乃至800℃に維持し、圧力が66.5乃至665Paの水素ガスによるマイクロ波プラズマを発生させて前記第1のダイヤモンドの表面を処理することにより、前記第1のダイヤモンド表面に針状構造を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0018】
本発明においては、大型のコイルなしにマイクロ波プラズマ発生装置で発生させた低ガス圧のプラズマ中で処理することにより、第1のダイヤモンド表面に針状の構造を形成することができるため、大面積の処理が可能であると共に、極めて低コストで電子放出特性が優れたダイヤモンドを得ることができる。
【0019】
また、前記水素ガス中に、窒素ガス、Heガス、Arガス、酸素ガス、CO2ガス、H2Oガス、及び炭化水素ガスからなる群から選択された1種以上のガスを混合比が10体積%以下で混合してもよい。水素ガスにこれらのガスを混合することにより、ダイヤモンドの処理速度、表面形状を制御することができる。
【0020】
更に、前記針状構造を形成する工程の後に、ダイヤモンドを合成して前記第1のダイヤモンド上に第2のダイヤモンドを形成する工程を有してもよい。第2のダイヤモンドを形成することにより、プラズマ処理によって第1のダイヤモンド表面が受けたダメージを修復し、更に結晶性が高い針状表面を有するダイヤモンドを得ることができる。
【0021】
更にまた、前記第1のダイヤモンド及び/又は第2のダイヤモンドは、不純物がドープされた半導体ダイヤモンドであってもよい。ダイヤモンドに不純物をドープすることにより、半導体化することができる。
【0022】
また、前記第1のダイヤモンドの形成工程と前記プラズマ処理工程とは、同一チャンバ内で連続して行うことができる。これにより、合成したダイヤモンドをそのままプラズマ処理することができるため、ダイヤモンド表面が、大気等に曝されて汚染されることを防止できると共に、ダイヤモンドの合成及びプラズマ処理を連続して行うことにより、更に低コストで製造することができ、製造時間が短縮される。
【0023】
また、本発明に係る繊毛状表面を有する炭素系材料は、炭素系素材に負電圧を印加しつつ、基板の温度を−50乃至1000℃に維持し、圧力が1330Pa以下の水素又は水素を主成分とする混合ガスのプラズマにより表面処理されて表面に繊毛状構造が形成されたものであること特徴とする。
【0024】
本発明においては、機能性が必要とされる炭素系材料の表面にのみ繊毛状構造を形成することができるため、大面積の処理が可能であると共に、極めて低コストで特性が優れた繊毛状構造の炭素系材料を得ることができる。本発明の水素及び水素を主成分とする混合ガスのプラズマは高周波、マイクロ波、直流放電、アーク放電等で発生することができる。また、本発明における繊毛状構造の定義は特に限定されたものではないが、炭素系材料の繊毛状構造については、典型的には先端の直径が数乃至数十nmで、長さが数百乃至数μmである。
【0025】
更に、本発明に係る繊毛状表面を有する炭素系材料の製造方法は、基板上に炭素系材料を蒸着して薄膜を形成する工程と、前記薄膜に負電圧を印加し、前記基板の温度を−50乃至1000℃に維持し、圧力が1330Pa以下の水素又は水素を主成分とする混合ガスのプラズマを発生させて前記薄膜の表面を処理することにより、前記薄膜の表面に繊毛状構造を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0026】
この繊毛状表面を有する炭素系材料の製造方法において、前記繊毛状構造を形成する工程の後に、ダイヤモンドを気相合成して前記薄膜上にダイヤモンドを形成する工程を設けることができる。
【0027】
本発明に係る電極は、前述の針状表面を有するダイヤモンド又は繊毛状表面を有する炭素系材料により形成されている。
【0028】
本発明の電極は、表面がプラズマ処理されて、針状又は繊毛状の表面を有するダイヤモンド又は炭素系材料により形成されているので、電極表面積は、通常の気相合成等により得られるダイヤモンド又は炭素系材料より10倍程度広く、物質吸着力も高いため、電気分解、化学センサ、燃料電池、バイオセンサ、又はキャリア注入用の電極として好適に使用することができる。
【0029】
本発明に係る電子デバイスは、前述の針状表面を有するダイヤモンド又は繊毛状表面を有する炭素系材料を構成要素とすることを特徴とする。
【0030】
本発明においては、表面の針状の構造により、優れた電子放出特性を有するため、電子デバイスに使用することにより、その性能を飛躍的に向上させることができる。本発明の電子デバイスは、その形状を利用して性能が優れた有機発光素子、電子放出素子、紫外線発光素子、可視光発光素子、平面パネルディスプレイ、ガスセンサ、短波調光センサ、又は光電子放出板とすることができる。繊毛状表面を有する炭素系材料を構成要素とする電子デバイスも同様である。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について更に詳細に説明する。先ず、本発明の第1の実施例に係る針状表面を有するダイヤモンドについて説明する。本願発明者等は、上述の課題を解決すべく鋭意実験研究した結果、マイクロ波を使用したダイヤモンド気相合成用のマイクロ波プラズマ装置を使用し、ダイヤモンドに負のバイアス電圧を印加し、基板の温度を−50乃至800℃の範囲に維持し、エッチング処理ガスとしてガス圧66.5乃至665Paとし、水素ガス又は水素ガスを主成分とする混合ガスによるプラズマを発生させ、ダイヤモンドを処理することにより、ダイヤモンド表面に高密度の針状構造を形成することができることを見出した。
【0032】
また、本願発明者等は、表面を針状化したダイヤモンド上に、更にダイヤモンド膜を合成して積層すると、表面の針状構造を維持したままダイヤモンド膜を形成することができることを見出した。プラズマ処理して表面を針状化した後に、新たにダイヤモンド膜を積層することにより、プラズマ処理により受けたダイヤモンド表面のダメージを修復し、結晶性がより優れた針状構造のダイヤモンドを得ることができる。更に、積層するダイヤモンド膜の気相合成条件を制御することにより、針状構造の形状を制御することができことを知見した。即ち、気相合成の際の基板の温度、圧力等を制御することにより、ダイヤモンドの表面に形成された針状構造の針の縦方向にダイヤモンド膜を優先的に成長させるか、又は横方向に優先的にダイヤモンド膜を成長させるか等して針形状を制御することが可能である。更にまた、積層するダイヤモンド膜に不純物を添加することにより、p型又はn型の半導体ダイヤモンド膜とすることができる。
【0033】
また、本願発明者等は、ダイヤモンド(100)結晶面が面内配向した高配向膜、又はダイヤモンドの(111)又は(100)結晶面が面内配向し、更に隣接する結晶面が融合した融合膜を使用して本発明のプラズマ処理をすることにより、形成された針状等の構造の結晶方位を揃えることができることを知見した。針状構造の結晶方位を揃えることにより、例えば電子放出特性及び発光素子の輝度分布を均一化することができる。
【0034】
図1は、本発明の針状構造を形成するためのプラズマ処理条件と、従来例1及び従来例2のプラズマ条件との比較を示すグラフ図である。
【0035】
本発明は、図1に示すように、従来例1のガス圧と比較して、低いガス圧で発生させたプラズマ中でダイヤモンドを処理することにより、ダイヤモンド表面に針状構造を形成することを特徴としている。しかし、ダイヤモンドをエッチングして針状構造を形成する際、ガス圧が66.5Pa未満であるとプラズマを安定に発生させることができないと共にエッチング速度が遅くなり、処理に長時間を要する。一方、ガス圧が665Paを超えると、プラズマが均一に広がらなくなり、しかも、ダイヤモンド膜の表面に均一な針状構造を形成することができない。こうして、本願発明者等は、大型のコイルのないマイクロ波プラズマ発生装置を使用し、従来例1より低い圧力で発生させたプラズマでダイヤモンドを処理することにより、針状構造を形成することができることを見出した。従って、針状構造を形成するための水素ガス又は水素を主成分とする混合ガスの圧力は66.5乃至665Paとする。
【0036】
また、本願発明者等はプラズマ処理する際の基板の温度は、−50乃至800℃と広い範囲で針状構造が形成されることを知見した。しかし、800℃を超えると熱歪が生じやすくなる。一方、基板の温度を−50℃より低くするためには基板温度制御のために装置構造が複雑化すると共に、エッチング速度が低下するので処理時間が長くなる。従って、基板の温度は−50乃至800℃とする。
【0037】
また、エッチング処理ガスは、水素ガスに加えて、窒素ガス、Heガス、Arガス、酸素ガス、CO2ガス、H2Oガス及び炭化水素ガス(アルコール及びアセトン等のガスも含む)からなる群から選択された1種以上のガスを、水素ガス中に、混合比10体積%以下で添加することができる。
【0038】
水素に混合するガスとして、不活性な窒素ガス、Heガス、又はArガス等の添加すると、ダイヤモンド表面のグラファイト化が進むため、エッチング速度を速くすることができる。
【0039】
また、酸素ガス、CO2ガス及びH2Oガス等の添加すると、ダイヤモンドの酸化が進むため、エッチング速度が速くなる。この場合には、針状構造の尖鋭性が低下する。
【0040】
これに対し、炭化水素ガスを添加すると、炭素の蒸着が進行するため、エッチング速度が遅くなる。
【0041】
なお、周波数の実用範囲は2.45GHz又は915MHzであるが、周波数はこれに限らない。
【0042】
図2は、プラズマ処理前のダイヤモンド薄膜の表面の走査型電子顕微鏡(Scanning electron microscope(SEM))写真である。このダイヤモンド膜は、下記表1に示すダイヤモンド気相合成条件で、周波数2.45GHzのマイクロ波を使用してプラズマを発生させ、気相合成により形成したものである。図2に示すように、通常、気相合成されたダイヤモンド薄膜は、明確な自形面を有したダイヤモンド粒子の凝集体(多結晶膜)であることがわかる。
【0043】
図3は、図2に示すダイヤモンド薄膜にプラズマ処理をし、夫々表面に針状構造を形成したダイヤモンド薄膜の表面のSEM写真である。図2に示すダイヤモンド薄膜に対して、同一のマイクロ波プラズマ発生装置(周波数2.45GHz)を使用し、下記表1に示す条件2で、プラズマ処理を行うことにより、図3に示すように、ダイヤモンド薄膜の表面がエッチングされて夫々高密度の針状構造が形成されている。
【0044】
【表1】
【0045】
また、水素ガス又は水素ガス中に、窒素ガス、Heガス、Arガス、酸素ガス、CO2ガス、H2Oガス、及び炭化水素ガスからなる群から選択された1種以上のガスを混合比が10体積%以下で混合した混合ガスを使用し、ガス圧及び基板の温度を本発明範囲内にある条件、即ち、圧力66.5乃至665Pa、基板の温度−50乃至800℃の範囲でバイアス電圧を−100乃至−500V、エッチング時間を0.2乃至10時間の範囲で適当に選択してダイヤモンド膜をプラズマ処理しても、図4に示すような針状構造が表面に形成されたダイヤモンドが得られる。なお、プラズマ処理するダイヤモンドが天然及び人工の単結晶、粉末並びに焼結体のいずれのダイヤモンドであっても、表面に針状構造を形成することができる。
【0046】
また、図4は、図3に示す針状ダイヤモンド膜上に、更に気相合成によりダイヤモンド膜を積層したダイヤモンド膜表面のSEM写真である。図3に示す針状ダイヤモンド膜を形成した後、同一のマイクロ波プラズマ発生装置により、形成した針状ダイヤモンド膜上に、0.3体積%CH4+99.7体積%H2の混合ガスを使用し、ガス圧6650Pa、基板の温度を800℃、処理時間1時間で、周波数2.45GHzのマイクロ波を使用してプラズマを発生させ、気相合成によりダイヤモンド膜を成長させた。図4に示すように、針状ダイヤモンド膜上に更にダイヤモンド膜を成長させても、表面の針状の構造を維持したままダイヤモンド膜が成長しているのがわかる。
【0047】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第2の実施例においては、針状表面を有するダイヤモンド膜を電気分解用の電極として使用する。電気分解用の電極としては、例えば金属又は低抵抗シリコン基板にマイクロ波CVD装置により、p型半導体ダイヤモンド膜を形成後、所定の条件でプラズマ処理を行って、p型半導体ダイヤモンド膜表面に、針状構造を形成したものを使用することができる。
【0048】
本実施例においては、プラズマ処理して表面に針状構造が形成されているため、ダイヤモンド膜表面の面積が広く、且つエッチングによりダイヤモンド膜が薄くなるため、発熱及び界面抵抗等によるエネルギ損失を低減することができる。従って、表面に針状構造を形成したダイヤモンド膜を使用した電気分解用電極は、電気抵抗が低減され、接触面積が広くなるため、電気分解効率を著しく向上させることができ、電気分解に必要とする時間を極めて短時間にすることができる。
【0049】
なお、本実施例では、p型ダイヤモンド膜を形成した後プラズマ処理したものを使用したが、n型ダイヤモンド膜としても同様の効果が得られる。
【0050】
また、電気分解用電極と同様に、針状表面を有するダイヤモンド膜を化学センサ用の電極に使用することもできる。針状表面を有するダイヤモンド膜を使用することにより、表面積が増大するので、感度を著しく向上させることができる。
【0051】
更に、燃料電池用電極に使用することもできる。針状表面を有するダイヤモンド膜を使用することにより、金属触媒量が増加するので、燃料分解効率が飛躍的に高くなり、従って高効率の燃料電池を得ることができる。
【0052】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第3の実施例は、針状ダイヤモンド膜をグルコースセンサ等のバイオセンサのトランスデューサ部(信号変換回路)の電極として使用したものである。図5は、本実施例の針状ダイヤモンド膜を使用したバイオセンサのトランスジューサ部を示す断面図である。図5に示すように、本実施例のバイオセンサにおいては、基板30の上に下地層としてアンドープダイヤモンド膜31が形成されている。そして、このアンドープダイヤモンド膜31上に半導体ダイヤモンドからなる作用電極34が形成され、この作用電極34の両側のアンドープダイヤモンド膜31上には白金対向電極33及び白金参照電極32が形成されている。作用電極34は、生体識別物質35により被覆され、更にこの生体識別物質35は生体膜36により被覆されている。例えばグルコースセンサの場合は生体識別物質35としてグルコースオキシダーゼ等を使用することができる。これらの作用電極34、対向電極33及び参照電極32は、半導体ダイヤモンドヒータ37により取り囲まれており、このヒータ37はアンドープダイヤモンド膜38により被覆されている。
【0053】
バイオセンサが、例えばグルコースセンサの場合においては、試料中のグルコースがグルコースオキシダーゼと触媒反応してグルコノラクトンに変化するときの電子移動を電極で検出してグルコース濃度を測定することができる。バイオセンサの長寿命化には、繰り返し測定又は長時間測定に対して識別物質の流出を防ぐことが必要である。本実施例においては、ダイヤモンド作用電極34の表面に針状構造が形成されているため、生体識別物質35の固定期間が極めて長く、その活性も極めて長時間失われない。
【0054】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。本実施例においては、針状ダイヤモンド膜をキャリア(電子又は正孔)輸送層に使用した有機発光素子である。
【0055】
本実施例においては、正孔注入電極と、電子注入電極との間に電圧を印加すると、正孔輸送層として形成したダイヤモンド膜の表面には針状構造が形成されているため、針状構造からの正孔注入効率が高くなり、極めて発光強度が高い有機発光素子を得ることができる。従って、微細加工技術を使用して、この素子を平面パネル上に規則的に配列することにより本実施例の有機発光素子を平面パネルに適用すると、高効率の平面パネルディスプレイを得ることができる。
【0056】
次に、本発明の第5の実施例について説明する。本実施例においては、針状構造を有するダイヤモンド膜を使用した電子放出素子である。
【0057】
図6は、本実施例の電子放出素子を示す模式的断面図である。図6に示すように、本実施例の電子放出素子は、基体40上に下部電極41が形成され、その上に表面に針状構造が形成されたダイヤモンド層42が形成されている。更に、この針状ダイヤモンド層42がら離隔して、下部電極41に対向する透明な上部電極44が形成され、これらが真空中に配置されている。そして、上部電極44及び下部電極41は電源48に接続されている。
【0058】
本実施例においては、上部電極44に正、下部電極41に負の電圧を印加するが、ダイヤモンド層42の表面に針状構造が形成されているため、ダイヤモンド層42からの電子45の放出量が大きい。従って、電子放出電圧のしきい値が低下し、電流値を著しく増大させることができる。このような電子放出素子は、光電管、平面パネルディスプレイ、マイクロ波発振源、及び高耐圧スイッチング素子等へ適用することができ、これらのデバイス特性を飛躍的に向上させることができる。
【0059】
次に、本発明の第6の実施例について説明する。本実施例においては、表面に針状構造を有するダイヤモンド膜を使用した紫外線発光素子である。本実施例の紫外線発光素子においては、低抵抗シリコン等からなる基板上に例えば表面に針状構造が形成されたp型ダイヤモンド膜形成されている。更に、この針状表面を有するダイヤモンド膜上にアンドープダイヤモンド薄膜が積層され、更にこの上に金等を蒸着した極薄膜からなる上部電極が形成されている。
【0060】
本実施例においては、基板側に正、上部電極に負の電圧を印加すると、上部電極中のフェルミレベルにある電子がトンネリング等の機構を経てアンドープダイヤモンド薄膜を通過し、針状ダイヤモンド膜へ注入される。そして、この電子が価電子帯に存在する正孔と再結合して光を放出する。このとき、本実施例の紫外線発光素子は表面に針状構造を有しているため、針状構造の先端付近で電界が強まると共に電流密度が増大する。従って、発光強度が極めて高い。
【0061】
次に、本発明の第7の実施例について説明する。図7は、本実施例の可視光発光素子を示す断面図である。図7に示すように、本実施例の可視光発光素子においては、シリコン等の基体40上に下部電極41が形成され、その上にダイヤモンド層42が形成されている。このダイヤモンド層42は、所定の条件でプラズマ処理され表面に針状構造が形成されている。更に、その上面にアンドープダイヤモンド薄膜43が積層されている。更に、このアンドープダイヤモンド薄膜43上には蛍光薄膜46及び透明な上部電極44が順次積層されている。そして、上部電極44の表面には、選択的に配線用電極47が形成されている。更に、配線用電極47及び下部電極41は電源48に接続されている。
【0062】
本実施例においては、配線用電極47に正、下部電極41に負の電圧を印加すると、下部電極41からダイヤモンド膜42にキャリアとしての電子45が注入される。そして、この電子45はダイヤモンド膜42及びアンドープダイヤモンド薄膜43中において加速され、蛍光薄膜46を励起して蛍光を発し、更に、上部電極(透明電極)44から配線用電極47に移動する。この際、高濃度のボロンを含有した針状ダイヤモンド薄膜42により、針状構造の先端付近で電界が強まると共に、電子45の放出密度が高いため、電流密度が増大し、極めて高い発光強度を得ることができる。また、本実施例の可視光発光素子を使用することにより、高輝度の平面パネルディスプレイを得ることができる。
【0063】
次に、本発明の第8の実施例について説明する。図8は本実施例のガスセンサを示す模式的断面図である。本実施例のガスセンサにおいては、針状表面を有するダイヤモンド膜を使用したガスセンサである。
【0064】
図8に示すように、本実施例のガスセンサにおいては、母材52上にシリコン等からなる基板53が接着され、この上に、アンドープダイヤモンド層54と、表面に針状構造が形成された半導体ダイヤモンド層55が順次積層されている。このダイヤモンド2層膜はセンサ部となっており、マイクロ波プラズマCVD装置によりダイヤモンドの連続膜として形成することができる。針状表面構造を有するp型半導体ダイヤモンド層55上には、1対の例えば白金からなる電極56が、微細加工により適長間隔をおいて形成されている。これらの電極56には夫々白金等からなる配線57が金等からなるペースト(図示せず)により被覆されて接着されている。また、母材52の裏面には、白金等の抵抗材料を薄膜でパターン形成することにより、ヒータ51が設けられている。
【0065】
母材52は、シリコン、窒化シリコン、酸化珪素、アルミナ、炭化珪素、チタン酸ストロンチウム及び酸化マグネシウムからなる群から選択された材料の単結晶、多結晶、非晶質、焼結体又は薄膜であることが好ましい。特に、母材52の材料としては、シリコン、窒化シリコン、酸化珪素、アルミナ又は炭化珪素が好ましい。これは、ダイヤモンド気相合成の最適な基板の温度が700〜1000℃であり、しかも気相合成が化学的に活性な水素プラズマ雰囲気中で行われるので、基板材料としてはこのような条件に耐える必要があるからである。また、基板裏面には白金ヒータを形成するので、基板材料は電気絶縁性でなければならない。上述の材料はこれらの条件を満たしている。これらの材料はバルク材料を加工することにより基板に成形してもよいが、母材上に薄膜をコーティングしたものであってもよい。
【0066】
本実施例においては、ヒータ51によりセンサ部を所定温度に加熱しておき、センサ部が動作状態にあるときに、センサ部表面にガス種が吸着すると、p型半導体ダイヤモンド層55に空乏層が拡がり、電気抵抗が変化する。この電気抵抗の変化を電極56間に電圧を印加することにより検知する。これにより、ガスの存在がp型半導体ダイヤモンド層55における電気抵抗値の変化として検出されるが、p型半導体ダイヤモンド層55の表面には針状構造が形成されているため、ガス種の吸着率が高く、従って、ガスセンサの検出感度が極めて高くなる。また、この電気抵抗値と、ガス濃度との関係を予め求めておけば、その関係をもとに、検出電気抵抗値からガス濃度を検知することができる。
【0067】
次に、本発明の第9の実施例について説明する。本実施例においては、針状表面を有するダイヤモンド膜を使用した短波長センサである。
【0068】
シリコン、窒化シリコン、酸化珪素、アルミナ、炭化珪素又は金属等からなる基板上に表面に針状構造が形成されたアンドープダイヤモンド膜が形成されている。そして、針状アンドープダイヤモンド膜上に微細加工技術により、白金等からなる一対の電極が形成されている。
【0069】
本実施例においては、電極間に数乃至数十ボルトの電圧を印加しつつ、紫外線を照射すると、ダイヤモンド膜内で電子及びホールの対が生成し、電流が流れ、紫外線を検知することができるが、本実施例の短波長センサのダイヤモンド膜は表面に針状構造が形成されているため、紫外線の吸収率が高く、極めて感度が高い。
【0070】
次に、本発明の第10の実施例について説明する。図9は、本実施例の光増倍管用電子放出板を示す模式的断面図である。本実施例の光増倍管用電子放出板においては、図9に示すように、導電性の低抵抗シリコン基板61上に、マイクロ波CVD法により、表面に針状構造が形成された電子放出板であるBドープ多結晶ダイヤモンド膜62が形成され、反射型光電面63が形成されている。反射型光電面63のBドープ多結晶ダイヤモンド膜62は、その表面が水素プラズマ処理されて針状構造が形成され、また、シリコン基板61の裏面はインジウム等(図示せず)を介して、金属電極(金属板)64が接着されている。更に、この金属電極64の裏面は、導電性の支持部材67aに接続され、これにより、反射光電面63が支えられている。そして、光電面63の上方には、光電面63と対向して配置されるメッシュ状の金属受電面65を有し、その一端は導電性の支持部材67bに接続され、これにより受電面65が支えられている。そして、これらの光電面63及び金属受電面65は、夫々支持部材67a、67bを介して、リードピン68及び69に接続され、光電面63及びこの光電面63の上方にて対向して配置された金属受電面65が内部を真空にした石英ガラス等からなる封着ガラス管70内に封入されている。この封着ガラス管70の金属受電面65と対向する位置には、例えばフッ化カルシウム等からなる窓72が形成されている。
【0071】
本実施例においては、受電面65に対して光電面63に負電圧を印加しつつ、波長が例えば200nm程度の紫外線を窓72から金属受電面65を透過して光電面63に照射すると、光電面63のBドープ多結晶ダイヤモンド膜62から電子が放出される。この際、電子放出板であるBドープ多結晶ダイヤモンド膜62の表面には針状構造が形成されているため、表面の凹凸が大きいので紫外線吸収量が大きくなり、光電面63からの電子放出が極めて多くなり、従って極めて大きい電流を得ることができる。
【0072】
次に、本発明の第11の実施例について説明する。図10は、本実施例の放電電極を示す側面図である。図10に示すように、本実施例の放電電極においては、放電電極(陰極)80は細長い棒状の支持部81の先端に円柱部82を有し、更にこの円柱部82の先端には、電子放出を効率的に行うべく円錐状の円錐部83が形成され電極基材84が構成されている。この電極基材84は、例えば緻密な構造を有するタングステン等からなる電極母材からなる。電極基材84の円錐部83上には、例えば0.1乃至10μm厚のダイヤモンド薄膜85がコーティングされている。このダイヤモンド薄膜85は、不純物としてIII族の元素である例えばボロン(B)等がドープされたp型の不純物半導体であり、このダイヤモンド薄膜85の表面は、所定の条件で水素プラズマで処理され、針状構造が形成されている。
【0073】
本実施例においては、電極基材84表面が針状表面を有する半導体ダイヤモンド薄膜85によりコーティングされているので、陰極80と陽極(図示せず)との間に適当な電圧を印加した状態でダイヤモンド薄膜85中から電子が放出されやすく、充填してあるXe等のガスによりアーク放電が生成されやすくなる。この結果、出力安定性の改善は高い再現性が要求される装置等の応用分野において特に有効である。
【0074】
なお、本発明の放電管は、例えばパルス点灯型のフラッシュランプ又は直流点灯型の放電管に適用することが可能である。
【0075】
次に、本発明に係る繊毛状表面を有する炭素系材料の実施例について説明する。本願発明者等は、炭素系材料において、表面積が大きい繊毛状構造を低コストで形成するため、鋭意実験研究した結果、プラズマ発生装置を使用し、炭素系材料に負電圧を印加し、基板の温度を−50乃至1000℃の範囲に維持し、プラズマ処理ガスとしてガス圧を1330Pa以下とし、水素ガス又は水素ガスを主成分とする混合ガスによるプラズマを発生させ、炭素系材料を処理することにより、炭素系材料表面に高密度の繊毛状構造を形成することができることを見出した。
【0076】
また、本願発明者等は、表面を繊毛状化した炭素系材料上に、更にダイヤモンド薄膜を気相合成して積層すると、表面の繊毛状構造を維持したままダイヤモンド薄膜が均一にコーティングことができることを見出した。ダイヤモンドは不純物をドープすることにより半導体化が可能であり、機能性の高い繊毛状構造の炭素系材料を得ることができる。
【0077】
本発明は、水素又は水素を主成分とする混合ガスのプラズマ中で炭素系材料を処理することにより、炭素系材料表面に繊毛状構造を形成することを特徴としている。しかし、ガス圧が1330Paを超えると、プラズマが均一に広がらなくなり、しかも、炭素系材料の表面に均一な繊毛状構造を形成することができないことが本願発明者らの研究で判明した。従って、繊毛状構造を形成するための水素ガス又は水素を主成分とする混合ガスの圧力は1330Pa以下とする。
【0078】
また、本願発明者等はプラズマ処理する際の基板の温度は、−50乃至1000℃と広い範囲で繊毛状構造が形成されることを知見した。しかし、1000℃を超えると基板に熱歪が生じやすくなる。一方、基板の温度を−50℃より低くするためには基板温度制御のために装置構造が複雑化すると共に、プラズマ処理速度が低下するので処理時間が長くなる。従って、基板の温度は−50乃至1000℃とする。
【0079】
基板に印加する負電圧については、特に制限があるわけではないが、高周波及びマイクロ波によりプラズマを発生させる場合では、電圧が0乃至−100Vでは繊毛状構造の形成速度が遅く、−500V以下では異常放電が生じるので、−100乃至−500Vが適当である。
【0080】
また、プラズマ処理に用いるガスは、水素ガスに加えて、窒素ガス、Heガス、Arガス、酸素ガス、CO2ガス、H2Oガス及び炭化水素ガス(アルコール及びアセトン等のガスも含む)からなる群から選択された1種以上のガスを、水素ガス中に、混合比10体積%以下で添加することができる。
【0081】
水素に混合するガスとして、不活性な窒素ガス、Heガス、又はArガス等の添加すると、炭素系材料表面の繊毛状構造の形成速度を抑制することができる。また、酸素ガス、CO2ガス及びH2Oガス等の添加すると、酸化効果により繊毛状構造の尖鋭性が低下するが、機械強度がより優れた円錐状の繊毛状構造が形成できる。
【0082】
これに対し、炭化水素ガスを添加すると、炭素の均一な蒸着が進行するため、繊毛状構造の形成速度が遅くなるが、表面欠陥の抑制、含有水素量の制御等が可能になり、望ましい電気的特性が得られる。
【0083】
図11は、上述のごとくして製造した本発明の第12実施例に係る繊毛状表面を有する炭素系材料(グラファイト)を示す図である。即ち、図11は、鏡面研磨したグラファイトの表面をプラズマ処理し、その表面に繊毛状構造を形成したグラファイトの表面を示す走査型電子顕微鏡(Scanning electron microscope(SEM))写真である。図11に示すように、プラズマ処理には、水素ガスを用いてマイクロ波プラズマ発生装置(周波数2.45GHz)でプラズマを発生させ、ガス圧1.5Torr、基板温度400 ℃、処理時間1時間とした結果、グラファイトの表面に高密度の繊毛状構造が形成されている。そして、上述した如く、本発明の繊毛状構造は、典型的には先端の直径が数乃至数十nmでその長さが数百乃至数μmとなっている。
【0084】
図12は、図11に示す繊毛状炭素系材料上に、更に気相合成によりダイヤモンド膜を積層した炭素系材料表面のSEM写真である。図11に示す繊毛状構造を有する炭素系材料を形成した後、同一のマイクロ波プラズマ発生装置により、形成した繊毛状炭素系材料上に、0.3体積%CH4+99.7体積%H2の混合ガスを使用し、ガス圧6650Pa、基板の温度を1000℃、処理時間30分で、周波数2.45GHzのマイクロ波を使用してプラズマを発生させ、気相合成によりダイヤモンド薄膜を成長させたものである。図12に示すように、繊毛状炭素系材料上に更にダイヤモンド薄膜を成長させても、表面の繊毛状の構造を維持したまま炭素系材料が成長しているのがわかる。このように、ダイヤモンド薄膜がコーティングされた繊毛状構造では、先端の直径が数十nm乃至数μmとなる。
【0085】
従来、ダイヤモンドを除く炭素系材料上にダイヤモンド薄膜を成長させることは困難であったが、本発明によれば、どのような炭素系材料にもダイヤモンド薄膜を成長させることができるという極めて優れた効果が得られる。
【0086】
本第12実施例によれば、水素ガス又は水素ガス中に、窒素ガス、Heガス、Arガス、酸素ガス、CO2ガス、H2Oガス、及び炭化水素ガスからなる群から選択された1種以上のガスを混合比が10体積%以下で混合した混合ガスを使用し、ガス圧及び基板の温度を本発明範囲内にある条件、即ち、圧力1330Pa以下、基板の温度−50乃至1000℃の範囲で印加電圧を−100乃至−500V、プラズマ処理時間を0.2乃至10時間の範囲で適当に選択して炭素系材料をプラズマ処理することにより、図11に示すような繊毛状構造が表面に形成された炭素系材料が得られ、またプラズマ処理する炭素系材料がバルク、薄膜、粉末及びに焼結体のいずれの形態であっても、その表面に繊毛状構造を形成することができる。
【0087】
次に、本発明の第13実施例について説明する。この第13実施例においては、第12実施例の繊毛状表面を有する炭素系材料を電気分解用の電極として使用する。
【0088】
本実施例においては、プラズマ処理して表面に繊毛状構造が形成されているため、炭素系材料表面の面積が広くなるため、電気分解効率を著しく向上させることができ、電気分解に必要とする時間を極めて短時間にすることができる。
【0089】
また、電気分解用電極と同様に、繊毛状表面を有する炭素系材料を化学センサ用の電極に使用することもできる。繊毛状表面を有する炭素系材料を使用することにより、表面積が増大するので、感度を著しく向上させることができる。
【0090】
更に、この繊毛状表面を有する炭素系材料は、燃料電池用電極に使用することもできる。繊毛状表面を有する炭素系材料を使用することにより、金属触媒量が増加するので、燃料分解効率が飛躍的に高くなり、従って高効率の燃料電池を得ることができる。
【0091】
次に、本発明の第14実施例について説明する。この第14実施例は、繊毛状構造を有する炭素系材料の薄膜を電子放出素子に使用したものである。
【0092】
図13は、この第14実施例の電子放出素子を示す模式的断面図である。図13に示すように、本実施例の電子放出素子は、基体90上に下部電極91が形成され、その上に表面に繊毛状構造が形成された炭素系材料層92が形成されている。更に、この繊毛状炭素系材料層92から離隔した位置に下部電極91に対向する透明な上部電極94が形成され、これらが真空中に配置されている。そして、上部電極94及び下部電極91は電源98に接続されている。
【0093】
本実施例においては、上部電極94に正、下部電極91に負電圧を印加するが、炭素系材料層92の表面に繊毛状構造が形成されているため、炭素系材料層92からの電子95の放出量が大きい。従って、電子放出電圧のしきい値が低下し、電流値を著しく増大させることができる。このような電子放出素子は、光電管、平面パネルディスプレイ、マイクロ波発振源、及び高耐圧スイッチング素子等へ適用することができ、これらのデバイス特性を飛躍的に向上させることができる。
【0094】
【実施例】
次に、本発明のダイヤモンド膜の製造方法により作製したダイヤモンド膜、並びにこれを使用した化学電極及び電子デバイスを実際に製造した実施例について、その特性を比較例と比較した結果について説明する。
【0095】
実施例1
先ず、シリコン基板上に、基板の温度を800℃、ガス圧が6650Paとし、0.5体積%CH4+99.5体積%H2の混合ガスにより、周波数2.45GHzのマイクロ波プラズマを発生させ、14時間の気相合成によりダイヤモンド膜を形成した。その後、このダイヤモンド膜を下記表2に示す条件で、ダイヤモンド膜表面をプラズマ処理した。なお、表2のRTは室温(room temperature)を示す。プラズマ処理については、工業用周波数として認可されている2.45GHz又は915MHzのマイクロ波でプラズマを発生させた。処理後のダイヤモンド表面を観察し、針状構造が形成されているものについては、走査型電子顕微鏡(Scanning electron microscope(SEM))により、その針密度を測定した。その結果も下記表2に示す。
【0096】
【表2】
【0097】
実施例1乃至11では、ダイヤモンド膜の表面には、針密度が109乃至1010と高い針状構造が形成された。
【0098】
比較例13及び14は、ガス圧が本発明範囲から外れるため、また、比較例15及び16は基板温度が本発明範囲から外れるため、ダイヤモンド表面に針状構造が形成されなかった。
【0099】
実施例2(電気分解用電極)
電気分解用電極を作製し、その特性を評価するため、塩化ナトリウム水溶液の電気分解を行った。なお、比較のため、プラズマ処理を行わず、表面に針状構造を形成していないダイヤモンド膜(以下、未処理のダイヤモンド膜という。)を使用したものについても同様に電気分解を行った。電気分解用電極としては、先ず、1辺が10mmの正方形の低抵抗シリコン基板を2枚用意し、マイクロ波CVD装置により、メタン1体積%及び水素希釈したジボラン(B2H6)(原料ガス中のジボラン濃度は100体積ppm)を原料ガスとして、20時間の合成を行い、膜厚が5μmのp型半導体ダイヤモンド膜を前記シリコン基板上に形成した。
【0100】
ダイヤモンド膜を合成後、一方のダイヤモンド膜には、表1の針状ダイヤモンド膜のプラズマ処理条件と同一の処理条件にて、水素プラズマ処理をして、ダイヤモンド膜表面に針状構造を形成した(以下、処理試料という。)。また、他方のダイヤモンド膜は、参照試料とするため、未処理のダイヤモンド膜とした。これらの処理試料及び参照試料について、シリコン基板の裏面に銀ペーストで銅配線を接着し、ダイヤモンド膜表面に、1辺が8mmの正方形の領域を残し、その他全体をエポキシ樹脂によりシールして、電気分解用電極を得た。
【0101】
測定には、ビーカに0.1M%の塩化ナトリウム水溶液を入れ、アノードに本実施例の電気分解用電極である処理試料を、カソードに白金電極を使用した場合と、アノードに参照試料、カソードに白金電極を使用した場合とを、夫々同一電圧で、同一の電気料を通電し、発生する水素量及び塩素量を測定して比較した。
【0102】
測定した結果は、未処理のダイヤモンド膜を使用した参照試料に対して、本実施例の電気分解用電極である処理試料の方が電気抵抗が約60%小さく、電気分解効率が約40%優れていた。このため、電気分解が参照試料より処理試料の方が短時間に完了した。これは、処理試料の表面積が参照試料よりも大きく、また処理試料の膜厚が参照試料よりも薄いため、発熱及び界面抵抗等によるエネルギ損失が小さくなったためである。
【0103】
実施例3(化学センサ用電極)
実施例2で作製した電極を化学センサ用電極として使用した場合の特性について評価した。実施例2の処理試料及び参照試料を電極として使用して、1mMFe(CN)6/1MKClの溶液中においてサイクリック・ボルタンメトリー測定を行った。図14は、サイクリック・ボルトメトリー測定の結果を示すグラフ図である。図14において、破線10は処理試料、実線15は参照試料の測定結果を示している。対向電極には白金、参照電極として、Ag/AgCl電極を使用した。参照試料と比べると、処理試料を使用した電極は、表面に針状構造が形成されているため、極めて感度が高く、バックグラウンド電流が小さくなり、化学センサ用電極として使用すれば化学センサの感度が10倍以上向上する。
【0104】
実施例4(燃料電池用電極)
燃料電池用電極を作製し、その特性を評価するため、メタノール中のサイクック・ボルタンメトリー測定を行った。燃料電池用電極は、先ず、高濃度にBをドーピングした導電性の膜厚2μmのダイヤモンド膜を表1の条件2に示す針状ダイヤモンド膜形成条件でプラズマ処理して針状表面を有するダイヤモンド膜を得た。次いで、この表面にスパッタ法により、白金微粒子を分散蒸着し、更に1時間ダイヤモンド気相合成を行って白金微粒子を固定し燃料電池用電極を得た。また、比較のためプラズマ処理を行わず、ダイヤモンド膜表面が針状化されていない未処理のダイヤモンド膜及び白金を電極として使用した燃料電池用電極も夫々作製した。そしてこれらの燃料電池用電極のサイクリック・ボルタンメトリー測定を行った。測定は、参照電極にAg/AgClを使用した。
【0105】
図15は、サイクリック・ボルタンメトリー測定の結果を示すグラフ図である。図15において、本実施例の燃料電池用電極を破線11で、未処理のダイヤモンド膜を電極として使用したものを実線16aで、白金を電極としたものを一点鎖線16bで示す。図15に示すように、本実施例の燃料電池用電極は、メタノール分解効率が極めて高いことがわかる。
【0106】
実施例5(グルコースセンサ)
図5と同様の構造を有するグルコースセンサを作製した。針状構造が形成されたダイヤモンド作用電極34を有する本実施例のグルコースセンサと、針状構造を形成していない未処理のダイヤモンド膜を作用電極34として有するグルコースセンサと比較した結果、生体識別物質35が約5倍長い期間固定され、活性が約5倍長い期間失われなかった。
【0107】
実施例6(有機発光素子)
有機発光素子を作製し、その発光強度を測定した。先ず、2個の窒化シリコン基板を用意し、このシリコン基板上に正孔注入電極として白金膜を蒸着し、マイクロ波プラズマCVD法により、正孔注入用電極上に正孔輸送層として高濃度にBをドーピングしたダイヤモンド膜を約1μmの厚さで形成した。そして、一方のダイヤモンド膜には、表1の条件2に示す針状ダイヤモンド膜形成条件で水素プラズマ処理をして、針状表面を有するダイヤモンド膜を形成した。他方は未処理のダイヤモンド膜とした。次いで、これらの2種類のダイヤモンド膜上に、有機発光層として、MDDO−PPV(Poly(2-methoxy5-dodecyloxy-1,4-phenylene vinylene))膜をスピンコートした。更に、有機発光層上に電子注入用電極として、アルミニウム薄膜を真空蒸着した。
【0108】
このようにして作製した本実施例の有機発光素子及び未処理のダイヤモンド膜を使用した有機発光素子の正孔注入電極と、電子注入電極との間に電圧を印加して各素子の発光強度を測定した。図16は縦軸に発光強度をとり、横軸に波長をとって、実施例6の有機発光素子の発光強度を示すグラフ図である。図16において、破線12及び実線17で示すのは夫々本実施例の有機発光素子及び未処理のダイヤモンド膜を使用した有機発光素子に夫々25Vの電圧を印加した場合の発光スペクトルを示す。図16に示すように、本実施例の有機発光素子の方が、針状構造からの正孔注入効率が高いため、発光強度が約20%増大した。
【0109】
実施例7(電子放出素子)
図6に示した構造を有する電子放出素子を作製し、その電流電圧特性を測定した。電流電圧素子は、図6に示す電子放出素子のダイヤモンド層42に実施例2と同様の処理試料を使用したものと、表面に針状構造を形成していない未処理のダイヤモンド膜をダイヤモンド層42に使用したものとを用意し、夫々真空中で200μm離して上部電極を配置した。作製したこれらの電子放出素子の電流電圧測定を行った。
【0110】
図17は、縦軸に電流密度とり、横軸に印加電圧をとって、実施例7の電子放出素子の電流電圧測定の結果を示すグラフ図である。図17において、破線13は本実施例の電子放出素子、実線18は未処理のダイヤモンド膜を使用した電子放出素子の測定結果を示す。図17に示すように、本実施例の電子放出素子の立ち上がり電圧が、未処理のダイヤモンド膜を使用した電子放出素子と比較すると、1/300に低下し、電流値が大幅に増大することがわかった。
【0111】
実施例8(紫外線発光素子)
実施例2の処理試料及び参照試料を使用し、紫外線素子を作製して、その発光強度を測定した。実施例2の処理試料及び参照試料上に、膜厚が0.4μmのアンドープダイヤモンド膜を形成した後、金の極薄膜を蒸着して上部電極を形成し、本実施例の紫外線発光素子及び未処理のダイヤモンド膜を使用した紫外線発光素子を得た。いずれの紫外線発光素子についても、ダイヤモンド膜に正電圧、金極薄膜に負の電圧を印加したところ、5.0eVの発光が観察されたが、針状構造を形成した本実施例の紫外線発光素子の発光強度は参照試料を使用した紫外線発光素子の約2.6倍大きかった。
【0112】
実施例9(可視光発光素子)
図7に示した構造を有する可視光発光素子を作製し、その発光強度を測定した。実施例2と同様の試料、即ち、下部電極となる低抵抗シリコン基板上にp型ダイヤモンド膜を5μm形成したダイヤモンド膜に対して、表1の条件2に示す針状ダイヤモンド膜形成条件でプラズマ処理し、針状表面を有するダイヤモンド膜としたものと、未処理のダイヤモンド膜とを基板とし、これらのダイヤモンド膜上にマイクロ波CVD法により膜厚が約2μmのアンドープダイヤモンド薄膜を積層することにより、ほぼ平坦な表面を形成した。次いで、この上に、蛍光薄膜及びITOからなる透明な上部電極を順次積層し、微細加工により可視光発光素子を作製した。そして、下部電極と上部電極との間に電圧500Vを印加したところ、蛍光薄膜から発光が生じた。本実施例の針状表面を有するダイヤモンド膜を使用した可視光発光素子の発光強度は、未処理のダイヤモンド膜を使用した可視光発光素子の発光強度より約5倍程度大きかった。
【0113】
実施例10(ガスセンサ)
図8に示した構造を有するガスセンサを作製し、その感度応答特性について評価した。先ず、縦が2mm、横が1mmのピッチで溝を形成した2.54cm径の窒化珪素焼結体を基板として熱フィラメント気相合成装置を使用して膜厚5μmの多結晶アンドープダイヤモンド薄膜を成膜した。続いて、マイクロ波プラズマ装置を使用してプラズマ処理を行って表面に針状構造を形成し、更に、感ガス層であるBドープした半導体ダイヤモンド層(膜厚1000Å)をアンドープダイヤモンド層上に積層した。半導体ダイヤモンド層内のBの原子密度は2×1018/cm3であった。次に、試料を200℃のクロム酸及び硫酸の混合液で20分間、次いで100℃の王水で10分間洗浄した。この後、スパッタ蒸着法によりダイヤモンド薄膜表面には1対の白金電極を形成した。白金電極の膜厚は3000Åとし、白金電極の面積は、1mm×0.5mm、電極間隔は0.5mmとした。電極形成後、2mm×1mmのセンサユニットに分割した。また、アルミナからなる母材裏面に、スパッタ蒸着法により白金ヒータを形成した。白金ヒータの膜厚は3000Åとした。そして、アルミナ母材の白金ヒータが形成されていない側に、分割したセンサユニットを接着した。続いて、100μm径の白金リード線を使用してスポット溶接により、白金ヒータ及び白金電極と、センサ・マウントユニットの端子とを夫々接続した。最後に白金電極と白金リード線との接続部を金ペーストで被覆し、大気中600乃至700℃で30分間の熱処理を行いガスセンサを作製した。
【0114】
作製したガスセンサのホスフィンガスに対する応答を評価するため、ホスフィンガスに対するガスセンサの電気抵抗値を測定した。図18は、縦軸にガスセンサの出力(電気抵抗)をとり、横軸に時間をとって、実施例10のガスセンサのホスフィンに対する感度測定結果を示すグラフ図である。測定は、大気中で、白金ヒータにより、温度を300乃至450℃に保ち、0.1、0.2、0.5体積ppmのホスフィン(PH3)ガスを順次曝露させ、ガスセンサの出力(抵抗値)変化を観測した。図18に示すように、0.1体積ppmのホスフィンガスに対して80乃至100%の出力変化が観測できた。この値は、未処理のダイヤモンド薄膜を使用したガスセンサより、感度が20乃至200%程度大きいことを示し、本実施例のガスセンサのように、針状構造を形成したダイヤモンド膜をセンサ部に使用することにより、センサ感度が大幅に向上することが分かった。
【0115】
実施例11(短波長センサ)
短波長センサを作製し、その特性について評価した。基板上に形成したアンドープダイヤモンド膜を表1の条件2に示す針状ダイヤモンド膜形成条件で水素プラズマ処理し、表面に針状構造を形成した試料と、これと比較するためにプラズマ処理しない参照試料とを形成し、これらのダイヤモンド膜上に微細加工技術を使用して、白金により、電極が相互に噛み合った1対の櫛形電極を形成した。そして、この電極間に数ボルトの電圧を印加し、これらの素子に紫外線を照射すると、電極間に流れる電流を測定した。測定の結果、本実施例の短波長センサは、表面に針状構造を形成していない未処理のダイヤモンド膜を使用した短波長センサと比較すると、同一の印加電圧、紫外線照射量において、電極間に流れる電流が約1桁大きくなり、本実施例の短波長センサは、極めて紫外線吸収が大きい、即ち高感度であることが分かった。
【0116】
実施例12(光増倍管)
図9に示した構造を有する光増倍管を作製し、受電面と光電面との間に流れる電流を測定した。
【0117】
先ず、導電性の低抵抗のシリコン基板上に、マイクロ波CVD法により、Bドープ多結晶ダイヤモンド膜を合成し、表1の条件2に示す条件で水素プラズマ処理を行って針状表面を有するダイヤモンド膜を形成した反射型光電面を作製した。次に、高温に熱した金属板上でインジウム溶解し、この上にBドープ多結晶ダイヤモンド膜を形成したシリコン基板を配置することにより、シリコン基板裏面に金属板を接着した。この光電面に対向してメッシュ状の金属受電面を配置し、これらを石英ガラス管に挿入した後、管内を10-7Torr以下の真空にして封止し、光増倍管を作製した。
【0118】
作製した光増倍管の受電面に対して光電面に10乃至200Vの負電圧を印加しつつ、波長が200nmの紫外線を光電面に照射したところ、光電面から電子放出を確認した。本実施例の針状表面を有するダイヤモンド膜を光電面の電子放出板に使用した光増倍管と、表面に針状構造を形成していない未処理のダイヤモンド膜を使用した光増倍管とを同様の電圧を印加しつつ、紫外線を照射して比較したところ、針状表面を有するダイヤモンド膜を使用した光増倍管の方が電流量が約1桁大きかった。
【0119】
実施例13(放電電極)
図10に示した構造を有するフラッシュランプ用の放電電極を作製して安定性の評価を行った。先ず、電極基材84の円錐部83上に形成した針状のダイヤモンド薄膜85は、膜厚を0.1乃至10μmとし、Bをドープしたp型の半導体ダイヤモンドとした。この放電電極を陰極とし、陽極との間に適当な電圧を印加したところ、充填したXeガスから生じたアーク放電の光出力の安定性は、ダイヤモンド薄膜をコーティングいていないフラッシュランプが約1.5%、また、ダイヤモンド薄膜をコーティングしているがプラズマ処理をせず、表面に針状構造を形成していない未処理のダイヤモンド膜を形成した放電電極を使用したフラッシュランプでは、約0.75%となったのに対し、本実施例の放電電極では、光出力の安定性が0.5%以下となった。
【0120】
次に、繊毛状表面を有する炭素系材料を製造してその特性を評価した結果について説明する。
【0121】
実施例14(電気分解用電極)
電気分解用電極を作製し、その特性を評価するため、塩化ナトリウム水溶液の電気分解を行った。なお、比較のため、プラズマ処理を行わず、表面に繊毛状構造を形成していない炭素系材料を使用したものについても同様に電気分解を行った。
【0122】
電気分解用電極として、シリコン基板上に形成した1辺が20mmの正方形のグラファイトを使用した。そして、実施例14のグラファイト電極として、図11に示す繊毛状炭素系材料の製造条件と同一の条件で処理したものを使用した。即ち、プラズマ処理条件は、水素ガスを用いてマイクロ波プラズマ発生装置(周波数2.45GHz)によりプラズマを発生させ、ガス圧1.5Torr、基板温度400 ℃、処理時間1時間として、グラファイトの表面に高密度の繊毛状構造を形成したものである(実施例14)。比較例のグラファイトとして、プラズマ処理を行わなかったものも用意した(比較例14)。なお、実施例14及び比較例14の電気分解用電極について、シリコン基板の裏面に銀ペーストで銅配線を接着し、炭素系材料表面に、1辺が12mmの正方形の表面領域を残し、その他全体をエポキシ樹脂によりシールして、電気分解に供した。
【0123】
ビーカに0.1M%の塩化ナトリウム水溶液を入れ、アノードに本実施例14の電気分解用電極を使用し、カソードに白金電極を使用した場合と、アノードに比較例14の電気分解用電極を使用し、カソードに白金電極を使用した場合とについて、夫々同一電圧及び同一の電気量で通電し、発生する水素量及び塩素量を測定して、実施例14と比較例14における電気分解効率を比較した。
【0124】
その結果、未処理のグラファイトを使用した比較例14に比して、本発明の範囲に入る実施例14の電気分解用電極の方が、電気分解効率が約35%優れていた。このため、電気分解が比較例14より実施例14の方が短時間に完了した。これは、実施例14の表面積が比較例14よりも大きいためである。
【0125】
実施例15(電子放出素子)
図13に示した構造を有する電子放出素子(第14実施例)を作製し、その電流電圧特性を測定した。電子放出素子は、図13に示す電子放出素子の炭素系材料層92にプラズマ処理して繊毛状構造を形成した試料(実施例15)を使用したものと、表面に繊毛状構造を形成していない未処理の炭素系材料を炭素系材料層92に使用したもの(比較例15)とを用意し、夫々真空中で170μm離して上部電極を配置した。作製したこれらの電子放出素子の電流電圧測定を行った。なお、炭素系材料層として、グラファイト層を使用した。
【0126】
図19は、縦軸に電流密度をとり、横軸に印加電圧をとって、実施例15の電子放出素子の電流−電圧特性の測定結果を示すグラフ図である。図19において、破線14は実施例15の電子放出素子、実線19は未処理の炭素系材料である比較例15を使用した電子放出素子の測定結果を示す。図19に示すように、実施例15の電子放出素子の立ち上がり電圧が、比較例15の電子放出素子に比して、1/300に低下し、電流値が大幅に増大することがわかる。
【0127】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、ダイヤモンド又は炭素系材料に負のバイアス電圧を印加し、適切な基板温度で、低いガス圧の水素ガス又は水素を主成分とする混合ガスによるマイクロ波プラズマを発生させてダイヤモンド又は炭素系材料の表面を処理することにより、ダイヤモンドの表面に針状構造を形成し、又は炭素系材料の表面に繊毛状構造を形成することができる。この針状構造又は繊毛状構造は、ダイヤモンド又は炭素系材料の表面の面積を10倍以上増大させ、物質の吸着量を増加させ、電子放出量が増大するため、電気分解用電極、化学センサ用電極、燃料電池用電極及びバイオセンサ用電極等の化学電極、電子放出素子、紫外線発光素子、可視光発光素子、ガスセンサ、短波長センサ、光電子放出板及び放電電極等の電子デバイス全般の性能を飛躍的に向上させることができる。
【0128】
また、ダイヤモンド膜をマイクロ波プラズマCVD装置により製造すると、ダイヤモンド膜の合成及び表面処理をいずれも同一チャンバ内で行うことが可能となり、製造が更に容易になると共に製造コストを極めて低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマ処理条件と、従来例1及び従来例2のプラズマ条件との比較を示すグラフ図である。
【図2】プラズマ処理前のダイヤモンド薄膜の表面の図面代用写真である(走査型電子顕微鏡(Scanning electron microscope(SEM))、倍率:10000倍)。
【図3】図2に示すダイヤモンド薄膜にプラズマ処理をし、表面に針状構造を形成したダイヤモンド薄膜の表面の図面代用写真である(SEM写真、倍率60000倍)。
【図4】図3に示す針状ダイヤモンド膜上に更に気相合成によりダイヤモンド膜を積層したダイヤモンド膜表面の図面代用写真である(SEM写真、倍率60000倍)。
【図5】本発明の第2実施例の針状ダイヤモンド膜を使用したバイオセンサ(グルコースセンサ等)のトランスジューサ部を示す断面図である。
【図6】本発明の第4実施例の電子放出素子を示す模式的断面図である。
【図7】本発明の第6実施例の可視光発光素子を示す断面図である。
【図8】本発明の第7実施例のガスセンサを示す模式的断面図である。
【図9】本発明の第9実施例の光増倍管用電子放出板を示す模式的断面図である。
【図10】本発明の第10実施例の放電電極を示す側面図である。
【図11】鏡面研磨したグラファイトに水素プラズマ処理をし、その表面に繊毛状構造を形成したグラファイトの表面の図面代用写真である(SEM写真、倍率60000倍)。
【図12】図11に示す繊毛状炭素系材料上に更に気相合成によりダイヤモンド薄膜を積層した炭素系材料表面の図面代用写真である(SEM写真、倍率60000倍)。
【図13】本発明の第14実施例の電子放出素子を示す模式的断面図である。
【図14】実施例3のサイクリック・ボルトメトリー測定の結果を示すグラフ図である。
【図15】実施例4のサイクリック・ボルタンメトリー測定の結果を示すグラフ図である。
【図16】縦軸に発光強度をとり、横軸に波長をとって、実施例6の有機発光素子の発光強度を示すグラフ図である。
【図17】縦軸に電流密度、横軸に印加電圧をとって、実施例7の電子放出素子の電流電圧素子の測定結果を示すグラフ図である。
【図18】縦軸にガスセンサの出力(電気抵抗)、横軸に時間をとって、実施例10のガスセンサのホスフィンに対する感度測定結果を示すグラフ図である。
【図19】縦軸に電流密度をとり、横軸に印加電圧をとって、実施例15の電子放出素子の電流−電圧特性の測定結果を示すグラフ図である。
【符号の説明】
30、40、53、61;基板
31、38、54;アンドープダイヤモンド膜
32;白金参照電極
33;白金対向電極
34;作用電極
35;生体識別物質
36;生体膜
37;ヒータ
41;下部電極
42;ダイヤモンド層
43;アンドープダイヤモンド薄膜
46;蛍光薄膜
44;上部電極
47;配線用電極
45;電子
52;母材
55;p型半導体ダイヤモンド層
56;電極
51;ヒータ
62;Bドープ多結晶ダイヤモンド膜
63;光電面
64、67;金属電極
65受電面
68、69;リードピン
70;管
71;封着ガラス
72;窓
80;放電電極(陰極)
81;支持部
82;円柱部
83;円錐部
84;電極基材
85;ダイヤモンド薄膜
92;炭素系材料層
93;炭素系材料薄膜
Claims (7)
- 基板上に第1のダイヤモンドを合成する工程と、前記第1のダイヤモンドに負のバイアス電圧−100乃至−500Vを印加し、前記基板の温度を−50乃至800℃に維持し、圧力が66.5乃至665Paの水素ガスによるマイクロ波プラズマを発生させて前記第1のダイヤモンドの表面をエッチング時間0.2乃至10時間でエッチングして、前記第1のダイヤモンド表面に針状構造を形成する工程と、を有することを特徴とする針状表面を有するダイヤモンドの製造方法。
- 前記水素ガス中に、窒素ガス、Heガス、Arガス、酸素ガス、CO2ガス、H2Oガス、及び炭化水素ガスからなる群から選択された1種以上のガスを混合比が10体積%以下で混合することを特徴とする請求項1に記載の針状表面を有するダイヤモンドの製造方法。
- 前記針状構造を形成する工程の後に、ダイヤモンドを合成して前記第1のダイヤモンド上に第2のダイヤモンドを形成する工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の針状表面を有するダイヤモンドの製造方法。
- 第1のダイヤモンド及び/又は第2のダイヤモンドは、不純物が添加された半導体ダイヤモンドであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の針状表面を有するダイヤモンドの製造方法。
- 前記第1のダイヤモンドの形成工程と前記プラズマ処理工程とは、同一チャンバ内で連続して行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の針状表面を有するダイヤモンドの製造方法。
- 基板上に炭素系材料を蒸着して薄膜を形成する工程と、前記薄膜に負のバイアス電圧−100乃至−500Vを印加し、前記基板の温度を−50乃至1000℃に維持し、圧力が1330Pa以下の水素又は水素を主成分とする混合ガスのプラズマを発生させて前記薄膜の表面をエッチング時間0.2乃至10時間でエッチングして、前記薄膜の表面に繊毛状構造を形成する工程と、を有することを特徴とする繊毛状表面を有する炭素系材料の製造方法。
- 前記繊毛状構造を形成する工程の後に、ダイヤモンドを気相合成して前記薄膜上にダイヤモンドを形成する工程を有することを特徴とする請求項6に記載の繊毛状表面を有する炭素系材料の製造方法。
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