JP3965513B2 - エアバッグシステムの衝突判断装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアバッグシステムの衝突判断装置に関するものであり、特に、車両の縁石乗り上げ等により車体に大きな衝撃が加えられた場合におけるエアバッグ装置の不作動安全率を向上させる衝突判断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来一般に使用されているエアバッグの作動のために用いられている衝突センサとしては、感知マスを用いる電気式と加速度センサを用いる電子式の2方式があるが、最近は電子式が主流となっている。電子式の場合の基本的な方式は、加速度センサから出力される加速度値を時間積分し、この時間積分値が所定の閾値を越えた場合にエアバッグに作動信号を出力するものであるが、この演算を行うに当たり、一定の加速度値を減じておく事によってラフロード走行時の加速度変化レベルでは乗員保護装置が作動しない様に工夫する等の種々の演算方式が提案されている(例えば特開昭49−55031号公報,特開平3−253441号公報及び特開平3−253441号公報参照)。
【0003】
しかしながら、従来の方式では、悪道での車体の上下動による加速度変化には対応し得るが、車体の顎部(車体の前方下部)が、縁石等の固い障害物に乗り上げた場合の様に、車体本体に大きな衝撃が加えられた場合には、加速度センサは車体本体の加速度変化を検出する様に取り付けられているので、該加速度センサには大きな加速度変化が発生し、場合によっては、エアバッグ装置が誤作動するおそれがあった。
【0004】
例えば、図5は、高速正突(高速度での正面衝突)とソフトクラッシュ(中速度での衝突等)の加速度の経時変化と共に、縁石乗上げ時の加速度の経時変化の例を示したチャートであり、前二者は、いずれもエアバッグ装置の作動を要する衝突である。前述の通り、エアバッグ装置の作動の要否は、加速度Gの時間積分値を所定の閾値と比較し、時間積分値が閾値以上の場合にはエアバッグ装置を作動させるものであり、該時間積分値は、図中の波形内の面積で表されるものであるから、同図から明らかな様に、縁石乗上げの場合の面積は、第一波から大きな値を示しているので、このために、単に時間積分値と閾値とを比較したのでは、エアバッグ装置が作動してしまう事になる。
【0005】
これを回避する方式としては、閾値を十分大きな値に設定しておく方式が考えられるが、この方式の場合には、時間積分値が十分に大きな値にならない限りエアバッグ装置が作動しない事になるので、ソフトクラッシュの場合には不作動のおそれが生じ、又高速正突等の重大な衝突の場合には、作動遅れが生じるおそれがあり、エアバッグ装置による乗員保護機能を低下させる事になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術の係る問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、縁石乗上げ等による衝撃に対して誤作動する事のないエアバッグシステムの衝突判断装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものであって、加速度センサから出力される加速度の第一波に着目し、この第一波に基づいて時間積分して得られた第一波時間積分値及び該第一波の持続時間を所定の閾値と比較し、これらが共に所定の範囲内に有る場合には、衝突判断のための時間積分値又はその閾値を補正する様にしたものであり、その補正の方式としては、時間積分値から前記第一波時間積分値を減算して初期の時間積分値を小さくする方式、或いは、閾値に該第一波時間積分値を加算して閾値自体を高くする方式があり、これにより縁石乗上げ等の第一波波形の大きな衝撃ではエアバッグ装置が展開しない様にしたものである。
【0008】
尚、衝突判断のための演算は、加速度信号が所定の加速度値を越えた時点から開始すると共に、該加速度信号の第一波が前記演算開始加速度値を越えた時点から所定の第一波閾値以下となる時点までを第一波持続時間として設定するのが好ましい方式である。
【0009】
又、具体的な演算装置の構成としては、前記演算開始時点以降の加速度信号から所定の加速度値以下の加速度値をカットする第一ピークカット手段と、該ピークカットされた加速度値を時間積分して第一時間積分値を演算する第一時間積分手段と、該第一時間積分値から所定の第一速度減算値を減算して第一減算積分値を演算する第一減算手段と、該第一減算積分値を所定の第一速度閾値とを比較して該第一減算積分値が第一速度閾値以上の場合には作動信号を出力する第一比較手段と、前記加速度センサから出力される加速度値を時間積分して第二時間積分値を演算する第二時間積分手段と、該第二時間積分値から所定の第二速度減算値を減算して第二減算積分値を演算する第二減算手段と、前記第一波時間積分値及び前記第一波の持続時間を、所定の第一波時間積分閾値及び第一波時間閾値と比較する第一波比較器と、該第一波時間積分値及び第一波の持続時間が所定の範囲内にある場合に前記第二減算積分値から前記第一波時間積分値を減算して補正積分値を演算する積分値補正手段と、該補正積分値を所定の第二速度閾値と比較して該補正積分値が第二速度閾値以上の場合には作動信号を出力する第二比較手段と、前記第一比較手段からの作動信号と第二比較手段からの作動信号の両方が入力されて前記トリガ回路に作動信号を出力するAND回路とを備えてなるものが好ましい。
【0010】
尚、上記積分値補正手段に代えて、前記第一波時間積分値及び第一波の持続時間が所定の範囲内にある場合には、前記第二速度閾値に前記第一波時間積分値を加算して第二補正閾値を演算する閾値補正手段を設けたものであっても同効である。
【0011】
更に、前記第一減算手段で得られた減算積分値に基づいて所定時間当りの減算速度変化量を算出し、該減算速度変化量と所定の減算速度変化閾値とを比較し、該減算速度変化量が該減算速度変化閾値以上の場合には作動信号を出力する第三比較手段を設け、この作動信号と前記第一比較手段からの作動信号とを作動信号接続手段を介して前記AND回路に入力する様になし、この作動信号接続手段としては、AND回路,OR回路又は切替回路若しくはその組合せであり、しかもこれらが時間と共に変化する様にしたものも好ましい態様である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に図面に基づいて、本発明を詳細に説明する。尚、本明細書では、減速側の加速度を正の値として記載するが、これを負にすれば、各説明の正負の論理を逆転させれば同様の作用となる。先ず、図1は本発明のエアバッグシステムの衝突判断装置の基本概念を説明するためのブロック図であり、同図において、加速度センサ1は、演算回路3を経てトリガー回路5と接続されており、トリガー回路5は、エアバッグ6を展開させる様になっている。
【0013】
次に、演算回路3についてを説明すると、ブロック11において、加速度センサ1による測定加速度値Gが所定の加速度G1を越えた時点t0 を検出し、この時点から衝突判断のための演算を開始する。演算が開始されると、ブロック50では、加速度信号Gが時間積分されて時間積分値Vを演算し、ブロック41では該加速度信号Gが、所定の加速度値G1’以下に低下する時点teを検出し、前記演算開始時点t0 から前記teに至る期間を第一波持続時間Stを検出し、次に積分器42では、加速度信号Gを時間t0 からteまでの間で定積分して第一波時間積分値V1pを演算する。
【0014】
ここで、上記演算を図5によって説明すると、加速度Gが、G1を越えた時点t0 から演算が開始され、加速度Gが、第一波判定閾値G1’以下となる時点をteとなし、本発明では、このt0 〜te間の加速度を第一波と見做しており、t0 〜te間が第一波持続時間Stであり、この間の時間積分値(面積)が第一波時間積分値V1pとなる。
【0015】
次に、この第一波時間積分値V1p及び第一波持続時間Stを、比較器43で所定の最大速度閾値Sxと最小速度閾値Sm及び最大時間閾値Txと最小時間閾値Tmと比較され、これらが共に両閾値の範囲内、即ち、Sm<V1p<Sxで且つTm<St<Txの場合には、縁石乗上げ等の異常な第一波加速度が発生したものと判断する。
【0016】
即ち、図5の加速度波形からも明らかな通り、高速正突の加速度波形の場合には、車両前部のクラッシュゾーンが順次破壊,圧壊,座屈による変形を受けるため、高い周波数の大きなパルスが発生し、これが次第に大きくなる特徴を有しているのに対し、縁石乗上げの場合には、車両前部の底の部分を擦る事によって急速な減速が生じるものの、前述の如き車体の変形を伴わないので、低い周波数の大きなパルスが最初に現れ、以後は次第に減衰する特徴を有している。一方、ソフトクラッシュの場合には、時間と共に次第に大きくなる加速度波形を示しており、初期に明確なパルス状の第一波の波形を有していない。この事実から、第一波の持続時間Stとその時間積分値V1p(面積)とから、高速正突及びソフトクラッシュと縁石乗上げとを区別する事が可能な事が分かる。即ち、高速正突では第一波時間積分値V1p1は比較的大きな値を示すが、その持続時間St1は短いので、前記第一波持続時間Stの最小時間閾値TmをTm>St1に設定しておけば両社の識別は可能であるが、更に、第一波時間積分値V1pの最小速度閾値Smを、Sm>V1p1に設定しておけば、より確実に両者の識別が行われる事になる。
【0017】
一方、ソフトクラッシュの場合には、加速度Gが演算開始時点t0 から第一波判定閾値G1’を切る時点teまでの時間St3が長時間であり、場合によっては、第一波判定閾値G1’以下とならない場合もあり得るので、前記最大時間閾値Txを、縁石乗上げの場合の第一波持続時間St2よりも大きな値となしておけば、ソフトクラッシュと縁石乗上げの判別は容易である。
【0018】
以上の通り、前記第一波時間積分値V1pとその持続時間Stを、所定の最大閾値及び最小閾値と比較して、両者がその範囲内に存在しておれば、縁石乗上げ等の異常な加速度の発生と判断できる事になる。尚、これらの各閾値は、車種によって異なるものであり、各種衝突試験を基に設定されるものである事は言うまでもない。
【0019】
次に、前記第一波時間積分値V1pとその持続時間Stが所定の範囲、即ち、Sm<V1p<Sxで且つTm<St<Txの場合には、縁石乗上げ等の異常な第一波加速度が発生したものと判断して、その信号を時間積分値の補正器であるブロック51に送信し、該ブロックでは、前記時間積分値Vから前記第一波時間積分値V1pを減算(V−V1p)して、補正時間積分値V’を求め、これを衝突判断の閾値Vsと比較器53で比較する。そして、該補正時間積分値V’が該閾値Vs以上(V’≧Vs)の場合には、エアバッグの展開の要ありと判断してトリガ回路5にトリガ信号を出力し、エアバッグ5を展開させる。一方、V’<Vsの場合には、更に演算を継続する。尚、前記第一波時間積分値V1pとその持続時間Stが所定の範囲外の場合、即ち、V1p≦Sm又はV1p≧Sx、或いは、St≦Tm又はSt≧Txの場合には、車両の衝突と判断し、前記時間積分値Vは何等補正する事なく、V’=Vとして衝突判断のための比較器53にて通常の判断を行う事になる。
【0020】
以上の説明では、縁石乗上げ等の異常な第一波の加速度が検出された場合に、衝突判断のための時間積分値Vを補正する例について説明したが、図2に示す様に、衝突判定閾値Vsを補正する方式でも同効である。即ち、図2において、第一波時間積分値V1p及びその持続時間Stを所定の最大,最小閾値と比較し、これらが共に前述の通り所定の範囲内にある場合には、閾値補正器であるブロック55にて、前記閾値Vsに該第一波時間積分値V1pを加算(Vs+V1p)して補正閾値Vs’を演算し、この補正閾値Vs’と前記時間積分値Vとを、衝突判断のための比較器57において比較し、エアバッグ展開の要否を判断する様にしている。尚、図2において、図1と同一構成は同一符号を付して説明は省略する。
【0021】
以上の説明は、本発明の概念の理解を容易にするために、衝突判断のフローは要部のみを示しているが、以下に具体的な衝突判断のフローを説明する。図3はその1例を示しており、ブロック11で演算開始時点が判断されると、加速度信号Gは、第一ピークカット手段であるブロック12に送信され、ここで時点t0 以降の加速度値Gより所定の加速度G2以下をカットしてG2以上の加速度G3を算出する(加速度G2以下はG2と見做す)。次いで第一時間積分手段13において、加速度G3の時間積分を行い第一時間積分値Vを算出し、次の第一速度減算手段14において、この時間積分値Vより単位時間当りの所定の第一減算速度値ΔV1を減算し、第一減算積分値V1を算出する。尚、この第一減算速度値ΔV1は、一定値でもよく時間関数値とする事もできる。
【0022】
次に、この第一減算積分値V1は第一比較手段であるブロック15及び第三比較手段であるブロック16に送信され、両比較手段15,16の結果が接続手段17或いはブロック18を経てAND回路36又はリセット回路4に送信されている。第一比較手段15では、比較器21で、第一速度閾値設定器22から出力される第一速度閾値Vs1と前記第一減算積分値V1とを比較し、第一減算積分値V1が第一速度閾値Vs1以上(V1≧Vs1)の場合には、ライン23より接続手段であるブロック17に作動信号を出力する。一方、第一減算積分値V1が第一速度閾値Vs1未満(V1<Vs1)の場合には、ライン24よりブロック18に出力され、ここでV1が予め設定されている0(ゼロ)又はその近傍の値の設定値と比較され、該設定値以下(図ではV1≦0と記載)の場合には、リセット回路4に信号を発して演算操作を停止し、V1,tを0(ゼロ)にリセットする。尚、V1≧0の場合には、更に演算を継続する。
【0023】
前記第一比較手段15は、低速度正面衝突を区分しつつ通常の高速度斜め衝突やポール衝突を検知して、作動要求時期に始動信号を発するものである。尚、ここで、第一時間閾値は、時間経過と共に変化する予め定められた時間関数であるが、一定値として定めておく事も可能である。
【0024】
次に、ブロック25で前記第一減算積分値V1を時間微分して所定の時間当りの第一減算積分値V1の変化量(ΔV3=dV1/dt)を算出し、第三比較手段16の比較器26において、ブロック27から出力される予め設定された速度変化量閾値ΔVs と前記変化量ΔV3とを比較し、ΔV3がΔVs以上(ΔV3≧ΔVs)になると、ライン28から接続手段17に作動信号を出力する。一方ΔV3がΔVs未満の場合(ΔV3<ΔVs)には、ライン29から前記ブロック18に出力され、前述の判断をして、回路をリセットするか演算を継続するかを決定する。この第三比較手段16は、車体特性や衝突形態等によって作動要求時期までに充分な加速度が室内に伝わらなかった場合に、前記第一比較手段15に代わって用いられるものであり、前記第一減算加速度V1の急激な増加に着目して作動信号を発する様になっている。
【0025】
次に、接続手段であるブロック17は、OR回路,AND回路,切換回路及びこれらの組合せ形態を時間の経過と共に変化させるものであって、OR回路の場合には、比較手段15,16のいずれかから作動信号が出力されれば、この信号をAND回路36に出力する。AND回路の場合には、比較手段15,16の両方から作動信号が出力された場合に作動信号をAND回路36に出力する。切換回路の場合には、例えば該接続手段17が速度計に接続されており、所定の速度以上であれば比較器15とAND回路36を接続し、所定の速度未満であれば比較器16とAND回路36を接続して、いずれかがAND回路36に作動信号を出力する様にする事もできる。又、比較器15,16の組合せ形態を時間の経過により変化させて、例えば作動要求時期の前半は比較器15のみとし、作動要求時期の後半は比較器15,16のOR回路とする組合せによる接続手段とする事もできる。これらは、衝突センサが組み込まれる自動車の特性又は、不作動条件の設定の仕方によって適宜決定される。
【0026】
一方、上述の時点t0 以降の加速度センサ1から出力される加速度値Gに基づいて、第二時間積分手段であるブロック31において、加速度Gの時間積分を行い、第二時間積分値V2を演算し、第二減算手段32で、該積分値V2より所定の第二減算速度値ΔV2を減算して第二減算積分値V2’を求める。ここで、第二減算速度値ΔV2は、一定の値としてもよく、又、時間関数とする事も可能であるが、第一減算速度値ΔV1に比べて充分小さな値(ΔV2<<ΔV1)に設定している。
【0027】
尚、ここで、図4に示す様に、第二ピークカット手段であるブロック40において、上述の時点t0 以降の加速度センサ1から出力される加速度値Gより所定の加速度G4以下の加速度値をカットしてG4以上の加速度G5を算出し(加速度G4以下はG4と見做す)、これを図3の場合と同様に、第二時間積分手段31で時間積分を行って第二時間積分値V2を算出し、続いて第二減算手段32で該積分値V2より所定の第二減算速度値ΔV2を減算して第二減算積分値V2’を算出する方式を採用する事も可能である。この場合、G4は第一ピークカット手段のカット基準であるG2よりは充分に小さな値(G4<<G2)に設定している。
【0028】
一方、ブロック41では、演算開始時点t0 以降の加速度信号Gが所定の第一波判断閾値G1’以下(G<G1’)となる時点teを検出して第一波持続時間Stを求め、次に、積分器42で加速度Gを時間t0 からte迄の定積分を行って第一波時間積分値V1pを演算し、これらをブロック43で所定の閾値と比較して縁石乗上げ等の異常な状態か否かを判断する点は前述した通りである。そして第一波時間積分値V1p及び第一波持続時間Stが共に所定の範囲内に存在するとブロック44にて前記第二減算積分値V2’の補正を行う。即ち、該第二減算積分値V2’から前記第一波時間積分値V1pを減算(V2’−V1p)して、補正第二減算積分値V3を演算し、これを、衝突判断のための第二比較手段37
に送信する。
【0029】
第二比較手段37においては、比較器33で、ブロック35から出力される予め定められた第二速度閾値Vs2と前記補正第二時間積分値V3とを比較し、該補正積分値V3が第二速度閾値Vs2以上(V3≧Vs2)の場合には、ライン38よりAND回路36に作動信号を出力し、前記補正積分値V3が第二速度閾値Vs2未満(V3<Vs2)の場合には、ライン39よりブロック18に送信され、ここでは、前述の通り、演算をリセットするか継続するかの判断がなされる。
【0030】
この第二比較手段は、悪道等でのボディの底打ち等により加速度センサに発生する振動加速度波形では、殆ど速度変化を生じない点に着目し、ピークカットしないか或いはピークカットするとしてもノイズフィルタ程度のピークカットを施した加速度波形の時間積分値を、所定の第二速度閾値Vs2と比較することにより、通常の高速度斜め衝突やポール衝突及び車体剛性の低い車の衝突では作動信号を発するが、前記振動成分によっては作動信号を発しない様になっている。
【0031】
上述の様に、比較手段15,16の結果が接続手段17を介してAND回路36に入力されると共に、比較手段37の結果もAND回路36に入力され、AND回路36では、この接続手段17及び比較手段37からの作動信号の双方が入力されたときに、トリガー回路5に作動信号を出力する。これによって、第一比較手段15、第三比較手段16により、通常の高速度斜め衝突やポール衝突を低速度正面衝突と区分しつつ車体剛性の低い車の場合の衝突を早い時期に判別すると共にバッグカバー強打による加速度変化を識別し、更に第二比較手段37によってラフロードにおける誤動作を防止することを可能としている。ここで、AND回路36は、任意のAND手段であればよく、接続手段17及び比較手段37双方からの信号に対して、ファジィ理論を用いた判定により、或いは重み付け等により作動信号を出力する様に構成する事も可能である。
【0032】
尚、図3,4の例では、前記第一波時間積分値V1pが所定の範囲にある場合に、第二時間積分値V2’を補正する場合について示しているが、図2に示した例と同様に、第二速度閾値Vs2を補正する様になす事も可能である。
【0033】
又、通常の衝突は減速を伴うため、基本的には正方向の片側振幅となるが、ラフロードによる振動成分はボディの底打ち等によって発生する単なる車体の振動に過ぎないので殆ど減速を伴わず、正負両側に振幅を有する加速度波形となる。従って、図4のブロック40におけるピークカット及びブロック32の減算は、ノイズを除去する程度に行うのが好ましい。これにより、所定の第二速度閾値Vs2を適性に設定しておく事によって、厳しいラフロードでも誤動作を防止する事が容易となる。
【0034】
以上は、本発明の基本的な実施例を示したもので、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された思想に基づき、種々の変形例が存在する事は言うまでもない。例えば、図1〜4においては、第一波時間積分値V1pを、衝突判断のための時間積分値又はその閾値に直接減算又は加算して補正時間積分値や補正閾値を演算する場合について示しているが、この補正に当り、第一波時間積分値V1pに代えて、該第一波時間積分値V1pに応じて変化する値(V1p’=f(V1p))として、予め定められた変成第一波時間積分値V1p’、例えばV1p’=A×V1p(Aは定数)で示される様にV1pに比例する値、或いは、V1p’=f(V1p,t)で表される時間とV1pの関数となす事も可能であり、特に、時間と共に漸減する値となす方式は、第一波による影響を演算初期の段階にのみ留め、重大な衝突の場合における誤判断の可能性を低くする効果がある。
【0035】
更に、図3,4において、ブロック14の所定の第一減算速度値ΔV1を、関数値、例えばその時点での積分値V1の関数値となす事も可能であり、又、ブロック13の加速度G3の積分に代えて、加速度G3のK乗(K≧1)を時間積分したり、加速度G3をn階積分するしたり或いはこれらの組合せによって、低速度正面衝突、高速度斜め衝突及び柔らかい車体の衝突の区分をより明瞭化させることも可能である。更に、ブロック18では、V1がゼロ近傍の小さな所定値以下の場合にリセット回路4によって回路をリセットする様にしているが、該所定値を、その時点での加速度G3の関数となす事も可能である。更に、ブロック11の前に、加速度Gから時定数5ms以上のフィルタ処理を施した値Gfを減じた値Gxを加速度Gの代わりに使用し、加速度計のゼロドリフトの影響を無くすことにより、演算精度を上げる事も可能である。
【0036】
更に又、加速度センサ1の取付構造を、50〜2000Hzの間(自動車の進行方向の振動特性において)で振動させ、加速度Gを増幅させたり、加速度センサ1の電気回路に特定の周波数帯の増幅域を持たせることも可能である。
【0037】
又、図3,4において、ブロック11とブロック31との間にローパスフィルタを挿入すると、ラフロードによる振動成分は高周波であるので衝突との区別がより明瞭となり、更に、ブロック11とブロック12との間にもローパスフィルタを挿入すると、速度変化に影響を与える加速度波形は低周波であるので、ラフロードによる振動成分との区別がより明瞭となり効果を一層高める事ができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明においては、エアバッグの展開を要する高速正突やソフトクラッシュの加速度波形と、車体の顎部が縁石乗上げた場合等の異常事態での加速度波形とは、その第一波の波形に明確な差異が認められる事実の知見に基づき、該第一波の時間積分値とその持続時間とを所定の閾値と比較する事によって、縁石乗上げ等の異状事態と衝突とを明確に区別し、縁石乗上げ等の異状事態と判断した場合には、エアバッグ展開の要否を判断するための加速度信号の時間積分値から第一波の時間積分値を減算して所定の閾値と比較するか、或いは、該閾値に第一波の時間積分値を加算して該閾値を高くして、衝突判断のための時間積分値が閾値を越え難くしているので、縁石乗上げ等の非衝突の異状事態におけるエアバッグの誤展開を確実に防止できる様になり、エアバッグの安全性が向上する事になる。
【0039】
又、衝突判断のための比較手段を複数のシステムとなし、特に図3,4に示した様に、第一比較手段15で、高速斜突やポール衝突を低速正突と区分し、第二比較手段37で、実質的にピークカットしていない加速度波形の第二減算積分値V2’を第二速度閾値Vs2と比較することにより、速度変化の有無を判断し、この第二比較手段37と第一比較手段15とのANDを取って、第一比較手段15により作動・不作動の判断を的確に行いつつ第二比較手段37により、速度変化を生じない振動成分であるボディの底打ち等を衝突と区分する事ができ、厳しいラフロードにおける誤動作も防止する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的なシステムを示すブロック図である。
【図2】図1の変形例を示すブロック図である。
【図3】本発明の具体的な実施例を示すブロック図である。
【図4】図3の変形例を示すブロック図である。
【図5】高速正突とソフトクラッシュ及び縁石乗上げの場合の加速度値の経時変化を示すG−t線図である。
【符号の説明】
1 加速度センサ
3 演算回路
4 リセット回路
5 トリガー回路、
6 エアバッグ
12 第一ピークカット手段
13 第一時間積分手段
14 第一減算手段
15 第一比較手段
16 第三比較手段
17 作動信号接続手段
31 第二時間積分手段
32 第二減算手段
36 AND回路
37 第二比較手段
41 第一波終了時点検出器
42 第一波時間積分器
43 比較器
44,51 時間積分値補正器
55 閾値補正器
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアバッグシステムの衝突判断装置に関するものであり、特に、車両の縁石乗り上げ等により車体に大きな衝撃が加えられた場合におけるエアバッグ装置の不作動安全率を向上させる衝突判断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来一般に使用されているエアバッグの作動のために用いられている衝突センサとしては、感知マスを用いる電気式と加速度センサを用いる電子式の2方式があるが、最近は電子式が主流となっている。電子式の場合の基本的な方式は、加速度センサから出力される加速度値を時間積分し、この時間積分値が所定の閾値を越えた場合にエアバッグに作動信号を出力するものであるが、この演算を行うに当たり、一定の加速度値を減じておく事によってラフロード走行時の加速度変化レベルでは乗員保護装置が作動しない様に工夫する等の種々の演算方式が提案されている(例えば特開昭49−55031号公報,特開平3−253441号公報及び特開平3−253441号公報参照)。
【0003】
しかしながら、従来の方式では、悪道での車体の上下動による加速度変化には対応し得るが、車体の顎部(車体の前方下部)が、縁石等の固い障害物に乗り上げた場合の様に、車体本体に大きな衝撃が加えられた場合には、加速度センサは車体本体の加速度変化を検出する様に取り付けられているので、該加速度センサには大きな加速度変化が発生し、場合によっては、エアバッグ装置が誤作動するおそれがあった。
【0004】
例えば、図5は、高速正突(高速度での正面衝突)とソフトクラッシュ(中速度での衝突等)の加速度の経時変化と共に、縁石乗上げ時の加速度の経時変化の例を示したチャートであり、前二者は、いずれもエアバッグ装置の作動を要する衝突である。前述の通り、エアバッグ装置の作動の要否は、加速度Gの時間積分値を所定の閾値と比較し、時間積分値が閾値以上の場合にはエアバッグ装置を作動させるものであり、該時間積分値は、図中の波形内の面積で表されるものであるから、同図から明らかな様に、縁石乗上げの場合の面積は、第一波から大きな値を示しているので、このために、単に時間積分値と閾値とを比較したのでは、エアバッグ装置が作動してしまう事になる。
【0005】
これを回避する方式としては、閾値を十分大きな値に設定しておく方式が考えられるが、この方式の場合には、時間積分値が十分に大きな値にならない限りエアバッグ装置が作動しない事になるので、ソフトクラッシュの場合には不作動のおそれが生じ、又高速正突等の重大な衝突の場合には、作動遅れが生じるおそれがあり、エアバッグ装置による乗員保護機能を低下させる事になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術の係る問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、縁石乗上げ等による衝撃に対して誤作動する事のないエアバッグシステムの衝突判断装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものであって、加速度センサから出力される加速度の第一波に着目し、この第一波に基づいて時間積分して得られた第一波時間積分値及び該第一波の持続時間を所定の閾値と比較し、これらが共に所定の範囲内に有る場合には、衝突判断のための時間積分値又はその閾値を補正する様にしたものであり、その補正の方式としては、時間積分値から前記第一波時間積分値を減算して初期の時間積分値を小さくする方式、或いは、閾値に該第一波時間積分値を加算して閾値自体を高くする方式があり、これにより縁石乗上げ等の第一波波形の大きな衝撃ではエアバッグ装置が展開しない様にしたものである。
【0008】
尚、衝突判断のための演算は、加速度信号が所定の加速度値を越えた時点から開始すると共に、該加速度信号の第一波が前記演算開始加速度値を越えた時点から所定の第一波閾値以下となる時点までを第一波持続時間として設定するのが好ましい方式である。
【0009】
又、具体的な演算装置の構成としては、前記演算開始時点以降の加速度信号から所定の加速度値以下の加速度値をカットする第一ピークカット手段と、該ピークカットされた加速度値を時間積分して第一時間積分値を演算する第一時間積分手段と、該第一時間積分値から所定の第一速度減算値を減算して第一減算積分値を演算する第一減算手段と、該第一減算積分値を所定の第一速度閾値とを比較して該第一減算積分値が第一速度閾値以上の場合には作動信号を出力する第一比較手段と、前記加速度センサから出力される加速度値を時間積分して第二時間積分値を演算する第二時間積分手段と、該第二時間積分値から所定の第二速度減算値を減算して第二減算積分値を演算する第二減算手段と、前記第一波時間積分値及び前記第一波の持続時間を、所定の第一波時間積分閾値及び第一波時間閾値と比較する第一波比較器と、該第一波時間積分値及び第一波の持続時間が所定の範囲内にある場合に前記第二減算積分値から前記第一波時間積分値を減算して補正積分値を演算する積分値補正手段と、該補正積分値を所定の第二速度閾値と比較して該補正積分値が第二速度閾値以上の場合には作動信号を出力する第二比較手段と、前記第一比較手段からの作動信号と第二比較手段からの作動信号の両方が入力されて前記トリガ回路に作動信号を出力するAND回路とを備えてなるものが好ましい。
【0010】
尚、上記積分値補正手段に代えて、前記第一波時間積分値及び第一波の持続時間が所定の範囲内にある場合には、前記第二速度閾値に前記第一波時間積分値を加算して第二補正閾値を演算する閾値補正手段を設けたものであっても同効である。
【0011】
更に、前記第一減算手段で得られた減算積分値に基づいて所定時間当りの減算速度変化量を算出し、該減算速度変化量と所定の減算速度変化閾値とを比較し、該減算速度変化量が該減算速度変化閾値以上の場合には作動信号を出力する第三比較手段を設け、この作動信号と前記第一比較手段からの作動信号とを作動信号接続手段を介して前記AND回路に入力する様になし、この作動信号接続手段としては、AND回路,OR回路又は切替回路若しくはその組合せであり、しかもこれらが時間と共に変化する様にしたものも好ましい態様である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に図面に基づいて、本発明を詳細に説明する。尚、本明細書では、減速側の加速度を正の値として記載するが、これを負にすれば、各説明の正負の論理を逆転させれば同様の作用となる。先ず、図1は本発明のエアバッグシステムの衝突判断装置の基本概念を説明するためのブロック図であり、同図において、加速度センサ1は、演算回路3を経てトリガー回路5と接続されており、トリガー回路5は、エアバッグ6を展開させる様になっている。
【0013】
次に、演算回路3についてを説明すると、ブロック11において、加速度センサ1による測定加速度値Gが所定の加速度G1を越えた時点t0 を検出し、この時点から衝突判断のための演算を開始する。演算が開始されると、ブロック50では、加速度信号Gが時間積分されて時間積分値Vを演算し、ブロック41では該加速度信号Gが、所定の加速度値G1’以下に低下する時点teを検出し、前記演算開始時点t0 から前記teに至る期間を第一波持続時間Stを検出し、次に積分器42では、加速度信号Gを時間t0 からteまでの間で定積分して第一波時間積分値V1pを演算する。
【0014】
ここで、上記演算を図5によって説明すると、加速度Gが、G1を越えた時点t0 から演算が開始され、加速度Gが、第一波判定閾値G1’以下となる時点をteとなし、本発明では、このt0 〜te間の加速度を第一波と見做しており、t0 〜te間が第一波持続時間Stであり、この間の時間積分値(面積)が第一波時間積分値V1pとなる。
【0015】
次に、この第一波時間積分値V1p及び第一波持続時間Stを、比較器43で所定の最大速度閾値Sxと最小速度閾値Sm及び最大時間閾値Txと最小時間閾値Tmと比較され、これらが共に両閾値の範囲内、即ち、Sm<V1p<Sxで且つTm<St<Txの場合には、縁石乗上げ等の異常な第一波加速度が発生したものと判断する。
【0016】
即ち、図5の加速度波形からも明らかな通り、高速正突の加速度波形の場合には、車両前部のクラッシュゾーンが順次破壊,圧壊,座屈による変形を受けるため、高い周波数の大きなパルスが発生し、これが次第に大きくなる特徴を有しているのに対し、縁石乗上げの場合には、車両前部の底の部分を擦る事によって急速な減速が生じるものの、前述の如き車体の変形を伴わないので、低い周波数の大きなパルスが最初に現れ、以後は次第に減衰する特徴を有している。一方、ソフトクラッシュの場合には、時間と共に次第に大きくなる加速度波形を示しており、初期に明確なパルス状の第一波の波形を有していない。この事実から、第一波の持続時間Stとその時間積分値V1p(面積)とから、高速正突及びソフトクラッシュと縁石乗上げとを区別する事が可能な事が分かる。即ち、高速正突では第一波時間積分値V1p1は比較的大きな値を示すが、その持続時間St1は短いので、前記第一波持続時間Stの最小時間閾値TmをTm>St1に設定しておけば両社の識別は可能であるが、更に、第一波時間積分値V1pの最小速度閾値Smを、Sm>V1p1に設定しておけば、より確実に両者の識別が行われる事になる。
【0017】
一方、ソフトクラッシュの場合には、加速度Gが演算開始時点t0 から第一波判定閾値G1’を切る時点teまでの時間St3が長時間であり、場合によっては、第一波判定閾値G1’以下とならない場合もあり得るので、前記最大時間閾値Txを、縁石乗上げの場合の第一波持続時間St2よりも大きな値となしておけば、ソフトクラッシュと縁石乗上げの判別は容易である。
【0018】
以上の通り、前記第一波時間積分値V1pとその持続時間Stを、所定の最大閾値及び最小閾値と比較して、両者がその範囲内に存在しておれば、縁石乗上げ等の異常な加速度の発生と判断できる事になる。尚、これらの各閾値は、車種によって異なるものであり、各種衝突試験を基に設定されるものである事は言うまでもない。
【0019】
次に、前記第一波時間積分値V1pとその持続時間Stが所定の範囲、即ち、Sm<V1p<Sxで且つTm<St<Txの場合には、縁石乗上げ等の異常な第一波加速度が発生したものと判断して、その信号を時間積分値の補正器であるブロック51に送信し、該ブロックでは、前記時間積分値Vから前記第一波時間積分値V1pを減算(V−V1p)して、補正時間積分値V’を求め、これを衝突判断の閾値Vsと比較器53で比較する。そして、該補正時間積分値V’が該閾値Vs以上(V’≧Vs)の場合には、エアバッグの展開の要ありと判断してトリガ回路5にトリガ信号を出力し、エアバッグ5を展開させる。一方、V’<Vsの場合には、更に演算を継続する。尚、前記第一波時間積分値V1pとその持続時間Stが所定の範囲外の場合、即ち、V1p≦Sm又はV1p≧Sx、或いは、St≦Tm又はSt≧Txの場合には、車両の衝突と判断し、前記時間積分値Vは何等補正する事なく、V’=Vとして衝突判断のための比較器53にて通常の判断を行う事になる。
【0020】
以上の説明では、縁石乗上げ等の異常な第一波の加速度が検出された場合に、衝突判断のための時間積分値Vを補正する例について説明したが、図2に示す様に、衝突判定閾値Vsを補正する方式でも同効である。即ち、図2において、第一波時間積分値V1p及びその持続時間Stを所定の最大,最小閾値と比較し、これらが共に前述の通り所定の範囲内にある場合には、閾値補正器であるブロック55にて、前記閾値Vsに該第一波時間積分値V1pを加算(Vs+V1p)して補正閾値Vs’を演算し、この補正閾値Vs’と前記時間積分値Vとを、衝突判断のための比較器57において比較し、エアバッグ展開の要否を判断する様にしている。尚、図2において、図1と同一構成は同一符号を付して説明は省略する。
【0021】
以上の説明は、本発明の概念の理解を容易にするために、衝突判断のフローは要部のみを示しているが、以下に具体的な衝突判断のフローを説明する。図3はその1例を示しており、ブロック11で演算開始時点が判断されると、加速度信号Gは、第一ピークカット手段であるブロック12に送信され、ここで時点t0 以降の加速度値Gより所定の加速度G2以下をカットしてG2以上の加速度G3を算出する(加速度G2以下はG2と見做す)。次いで第一時間積分手段13において、加速度G3の時間積分を行い第一時間積分値Vを算出し、次の第一速度減算手段14において、この時間積分値Vより単位時間当りの所定の第一減算速度値ΔV1を減算し、第一減算積分値V1を算出する。尚、この第一減算速度値ΔV1は、一定値でもよく時間関数値とする事もできる。
【0022】
次に、この第一減算積分値V1は第一比較手段であるブロック15及び第三比較手段であるブロック16に送信され、両比較手段15,16の結果が接続手段17或いはブロック18を経てAND回路36又はリセット回路4に送信されている。第一比較手段15では、比較器21で、第一速度閾値設定器22から出力される第一速度閾値Vs1と前記第一減算積分値V1とを比較し、第一減算積分値V1が第一速度閾値Vs1以上(V1≧Vs1)の場合には、ライン23より接続手段であるブロック17に作動信号を出力する。一方、第一減算積分値V1が第一速度閾値Vs1未満(V1<Vs1)の場合には、ライン24よりブロック18に出力され、ここでV1が予め設定されている0(ゼロ)又はその近傍の値の設定値と比較され、該設定値以下(図ではV1≦0と記載)の場合には、リセット回路4に信号を発して演算操作を停止し、V1,tを0(ゼロ)にリセットする。尚、V1≧0の場合には、更に演算を継続する。
【0023】
前記第一比較手段15は、低速度正面衝突を区分しつつ通常の高速度斜め衝突やポール衝突を検知して、作動要求時期に始動信号を発するものである。尚、ここで、第一時間閾値は、時間経過と共に変化する予め定められた時間関数であるが、一定値として定めておく事も可能である。
【0024】
次に、ブロック25で前記第一減算積分値V1を時間微分して所定の時間当りの第一減算積分値V1の変化量(ΔV3=dV1/dt)を算出し、第三比較手段16の比較器26において、ブロック27から出力される予め設定された速度変化量閾値ΔVs と前記変化量ΔV3とを比較し、ΔV3がΔVs以上(ΔV3≧ΔVs)になると、ライン28から接続手段17に作動信号を出力する。一方ΔV3がΔVs未満の場合(ΔV3<ΔVs)には、ライン29から前記ブロック18に出力され、前述の判断をして、回路をリセットするか演算を継続するかを決定する。この第三比較手段16は、車体特性や衝突形態等によって作動要求時期までに充分な加速度が室内に伝わらなかった場合に、前記第一比較手段15に代わって用いられるものであり、前記第一減算加速度V1の急激な増加に着目して作動信号を発する様になっている。
【0025】
次に、接続手段であるブロック17は、OR回路,AND回路,切換回路及びこれらの組合せ形態を時間の経過と共に変化させるものであって、OR回路の場合には、比較手段15,16のいずれかから作動信号が出力されれば、この信号をAND回路36に出力する。AND回路の場合には、比較手段15,16の両方から作動信号が出力された場合に作動信号をAND回路36に出力する。切換回路の場合には、例えば該接続手段17が速度計に接続されており、所定の速度以上であれば比較器15とAND回路36を接続し、所定の速度未満であれば比較器16とAND回路36を接続して、いずれかがAND回路36に作動信号を出力する様にする事もできる。又、比較器15,16の組合せ形態を時間の経過により変化させて、例えば作動要求時期の前半は比較器15のみとし、作動要求時期の後半は比較器15,16のOR回路とする組合せによる接続手段とする事もできる。これらは、衝突センサが組み込まれる自動車の特性又は、不作動条件の設定の仕方によって適宜決定される。
【0026】
一方、上述の時点t0 以降の加速度センサ1から出力される加速度値Gに基づいて、第二時間積分手段であるブロック31において、加速度Gの時間積分を行い、第二時間積分値V2を演算し、第二減算手段32で、該積分値V2より所定の第二減算速度値ΔV2を減算して第二減算積分値V2’を求める。ここで、第二減算速度値ΔV2は、一定の値としてもよく、又、時間関数とする事も可能であるが、第一減算速度値ΔV1に比べて充分小さな値(ΔV2<<ΔV1)に設定している。
【0027】
尚、ここで、図4に示す様に、第二ピークカット手段であるブロック40において、上述の時点t0 以降の加速度センサ1から出力される加速度値Gより所定の加速度G4以下の加速度値をカットしてG4以上の加速度G5を算出し(加速度G4以下はG4と見做す)、これを図3の場合と同様に、第二時間積分手段31で時間積分を行って第二時間積分値V2を算出し、続いて第二減算手段32で該積分値V2より所定の第二減算速度値ΔV2を減算して第二減算積分値V2’を算出する方式を採用する事も可能である。この場合、G4は第一ピークカット手段のカット基準であるG2よりは充分に小さな値(G4<<G2)に設定している。
【0028】
一方、ブロック41では、演算開始時点t0 以降の加速度信号Gが所定の第一波判断閾値G1’以下(G<G1’)となる時点teを検出して第一波持続時間Stを求め、次に、積分器42で加速度Gを時間t0 からte迄の定積分を行って第一波時間積分値V1pを演算し、これらをブロック43で所定の閾値と比較して縁石乗上げ等の異常な状態か否かを判断する点は前述した通りである。そして第一波時間積分値V1p及び第一波持続時間Stが共に所定の範囲内に存在するとブロック44にて前記第二減算積分値V2’の補正を行う。即ち、該第二減算積分値V2’から前記第一波時間積分値V1pを減算(V2’−V1p)して、補正第二減算積分値V3を演算し、これを、衝突判断のための第二比較手段37
に送信する。
【0029】
第二比較手段37においては、比較器33で、ブロック35から出力される予め定められた第二速度閾値Vs2と前記補正第二時間積分値V3とを比較し、該補正積分値V3が第二速度閾値Vs2以上(V3≧Vs2)の場合には、ライン38よりAND回路36に作動信号を出力し、前記補正積分値V3が第二速度閾値Vs2未満(V3<Vs2)の場合には、ライン39よりブロック18に送信され、ここでは、前述の通り、演算をリセットするか継続するかの判断がなされる。
【0030】
この第二比較手段は、悪道等でのボディの底打ち等により加速度センサに発生する振動加速度波形では、殆ど速度変化を生じない点に着目し、ピークカットしないか或いはピークカットするとしてもノイズフィルタ程度のピークカットを施した加速度波形の時間積分値を、所定の第二速度閾値Vs2と比較することにより、通常の高速度斜め衝突やポール衝突及び車体剛性の低い車の衝突では作動信号を発するが、前記振動成分によっては作動信号を発しない様になっている。
【0031】
上述の様に、比較手段15,16の結果が接続手段17を介してAND回路36に入力されると共に、比較手段37の結果もAND回路36に入力され、AND回路36では、この接続手段17及び比較手段37からの作動信号の双方が入力されたときに、トリガー回路5に作動信号を出力する。これによって、第一比較手段15、第三比較手段16により、通常の高速度斜め衝突やポール衝突を低速度正面衝突と区分しつつ車体剛性の低い車の場合の衝突を早い時期に判別すると共にバッグカバー強打による加速度変化を識別し、更に第二比較手段37によってラフロードにおける誤動作を防止することを可能としている。ここで、AND回路36は、任意のAND手段であればよく、接続手段17及び比較手段37双方からの信号に対して、ファジィ理論を用いた判定により、或いは重み付け等により作動信号を出力する様に構成する事も可能である。
【0032】
尚、図3,4の例では、前記第一波時間積分値V1pが所定の範囲にある場合に、第二時間積分値V2’を補正する場合について示しているが、図2に示した例と同様に、第二速度閾値Vs2を補正する様になす事も可能である。
【0033】
又、通常の衝突は減速を伴うため、基本的には正方向の片側振幅となるが、ラフロードによる振動成分はボディの底打ち等によって発生する単なる車体の振動に過ぎないので殆ど減速を伴わず、正負両側に振幅を有する加速度波形となる。従って、図4のブロック40におけるピークカット及びブロック32の減算は、ノイズを除去する程度に行うのが好ましい。これにより、所定の第二速度閾値Vs2を適性に設定しておく事によって、厳しいラフロードでも誤動作を防止する事が容易となる。
【0034】
以上は、本発明の基本的な実施例を示したもので、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された思想に基づき、種々の変形例が存在する事は言うまでもない。例えば、図1〜4においては、第一波時間積分値V1pを、衝突判断のための時間積分値又はその閾値に直接減算又は加算して補正時間積分値や補正閾値を演算する場合について示しているが、この補正に当り、第一波時間積分値V1pに代えて、該第一波時間積分値V1pに応じて変化する値(V1p’=f(V1p))として、予め定められた変成第一波時間積分値V1p’、例えばV1p’=A×V1p(Aは定数)で示される様にV1pに比例する値、或いは、V1p’=f(V1p,t)で表される時間とV1pの関数となす事も可能であり、特に、時間と共に漸減する値となす方式は、第一波による影響を演算初期の段階にのみ留め、重大な衝突の場合における誤判断の可能性を低くする効果がある。
【0035】
更に、図3,4において、ブロック14の所定の第一減算速度値ΔV1を、関数値、例えばその時点での積分値V1の関数値となす事も可能であり、又、ブロック13の加速度G3の積分に代えて、加速度G3のK乗(K≧1)を時間積分したり、加速度G3をn階積分するしたり或いはこれらの組合せによって、低速度正面衝突、高速度斜め衝突及び柔らかい車体の衝突の区分をより明瞭化させることも可能である。更に、ブロック18では、V1がゼロ近傍の小さな所定値以下の場合にリセット回路4によって回路をリセットする様にしているが、該所定値を、その時点での加速度G3の関数となす事も可能である。更に、ブロック11の前に、加速度Gから時定数5ms以上のフィルタ処理を施した値Gfを減じた値Gxを加速度Gの代わりに使用し、加速度計のゼロドリフトの影響を無くすことにより、演算精度を上げる事も可能である。
【0036】
更に又、加速度センサ1の取付構造を、50〜2000Hzの間(自動車の進行方向の振動特性において)で振動させ、加速度Gを増幅させたり、加速度センサ1の電気回路に特定の周波数帯の増幅域を持たせることも可能である。
【0037】
又、図3,4において、ブロック11とブロック31との間にローパスフィルタを挿入すると、ラフロードによる振動成分は高周波であるので衝突との区別がより明瞭となり、更に、ブロック11とブロック12との間にもローパスフィルタを挿入すると、速度変化に影響を与える加速度波形は低周波であるので、ラフロードによる振動成分との区別がより明瞭となり効果を一層高める事ができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明においては、エアバッグの展開を要する高速正突やソフトクラッシュの加速度波形と、車体の顎部が縁石乗上げた場合等の異常事態での加速度波形とは、その第一波の波形に明確な差異が認められる事実の知見に基づき、該第一波の時間積分値とその持続時間とを所定の閾値と比較する事によって、縁石乗上げ等の異状事態と衝突とを明確に区別し、縁石乗上げ等の異状事態と判断した場合には、エアバッグ展開の要否を判断するための加速度信号の時間積分値から第一波の時間積分値を減算して所定の閾値と比較するか、或いは、該閾値に第一波の時間積分値を加算して該閾値を高くして、衝突判断のための時間積分値が閾値を越え難くしているので、縁石乗上げ等の非衝突の異状事態におけるエアバッグの誤展開を確実に防止できる様になり、エアバッグの安全性が向上する事になる。
【0039】
又、衝突判断のための比較手段を複数のシステムとなし、特に図3,4に示した様に、第一比較手段15で、高速斜突やポール衝突を低速正突と区分し、第二比較手段37で、実質的にピークカットしていない加速度波形の第二減算積分値V2’を第二速度閾値Vs2と比較することにより、速度変化の有無を判断し、この第二比較手段37と第一比較手段15とのANDを取って、第一比較手段15により作動・不作動の判断を的確に行いつつ第二比較手段37により、速度変化を生じない振動成分であるボディの底打ち等を衝突と区分する事ができ、厳しいラフロードにおける誤動作も防止する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的なシステムを示すブロック図である。
【図2】図1の変形例を示すブロック図である。
【図3】本発明の具体的な実施例を示すブロック図である。
【図4】図3の変形例を示すブロック図である。
【図5】高速正突とソフトクラッシュ及び縁石乗上げの場合の加速度値の経時変化を示すG−t線図である。
【符号の説明】
1 加速度センサ
3 演算回路
4 リセット回路
5 トリガー回路、
6 エアバッグ
12 第一ピークカット手段
13 第一時間積分手段
14 第一減算手段
15 第一比較手段
16 第三比較手段
17 作動信号接続手段
31 第二時間積分手段
32 第二減算手段
36 AND回路
37 第二比較手段
41 第一波終了時点検出器
42 第一波時間積分器
43 比較器
44,51 時間積分値補正器
55 閾値補正器
Claims (12)
- 加速度センサ(1)から出力される加速度信号(G)に基づいて演算して得られた時間積分値(V)を所定の閾値(Vs)と比較し、該時間積分値が該閾値を越えた場合(V≧Vs)に、エアバッグのトリガ回路(5)を作動させる様にしたエアバッグシステムの衝突判断装置において、
前記加速度センサ(1)から出力される加速度の第一波に基づいて時間積分して得られた第一波時間積分値(V1p)及び該第一波の持続時間(St)を所定の閾値と比較して、これらが共に所定の範囲内に有る場合には、前記衝突判断のための時間積分値(V)から前記第一波時間積分値(V1p)又は該第一波時間積分値に応じて変化する変成第一波時間積分値(V1p’)を減算して得られた補正時間積分値(V’)を前記衝突判断のための閾値(Vs)と比較するか、或いは、該閾値(Vs)に前記第一波時間積分値(V1p)又は該第一波時間積分値に応じて変化する変成第一波時間積分値(V1p’)を加算して得られた補正閾値(Vs’)を前記時間積分値(V)と比較する様にしてなる事を特徴とするエアバッグシステムの衝突判断装置 - 前記変成第一波時間積分値(V1p’)が、前記第一波時間積分値(V1p)に比例する値である請求項1に記載のエアバッグシステムの衝突判断装置
- 前記変成第一波時間積分値(V1p’)が、前記第一波時間積分値(V1p)と時間(t)との関数であり、時間と共に漸減するものである請求項1に記載のエアバッグシステムの衝突判断装置
- 前記加速度信号(G)が所定の加速度値(G1)を越えた時点(t0 )から、該加速度信号に基づく時間積分と、これによる所定の衝突判断のための演算を開始すると共に、該加速度信号の第一波が前記演算開始加速度値(G1)を越えた時点から所定の第一波判定閾値(G1’)以下となる時点(te)までを第一波持続時間(St)としてなる請求項1乃至3のいずれかに記載のエアバッグシステムの衝突判断装置
- 前記加速度信号(G)を前記演算開始時点(t0 )から前記第一波終了時点(te)の間で定積分して第一波時間積分値(V1p)を求め、該第一波時間積分値が予め設定された最小値(Sm)と最大値(Sx)との間の値(Sm<V1p<Sx)で、且つ前記第一波持続時間(St)が予め設定された最小値(Tm)と最大値(Tx)との間の値(Tm<St<Tx)の場合に、前記衝突判断のための時間積分値(V)から前記第一波時間積分値(V1p)又は該第一波時間積分値に応じた量(V1p’)を減算して前記衝突判断のための閾値(Vs)と比較するか、又は、該閾値(Vs)に前記第一波時間積分値(V1p)又は該第一波時間積分値に応じた量(V1p’)を加算して前記時間積分値(V)と比較する様にしてなる請求項4に記載のエアバッグシステムの衝突判断装置
- 前記演算開始時点(t0 )以降の加速度信号(G)から所定の加速度値(G2)以下の加速度値をカットする第一ピークカット手段(12)と、
該ピークカットされた加速度値(G3)を時間積分して第一時間積分値(V)を演算する第一時間積分手段(13)と、
該第一時間積分値(V)から所定の第一速度減算値(ΔV1)を減算して第一減算積分値(V1)を演算する第一減算手段(14)と、
該第一減算積分値(V1)を所定の第一速度閾値(V1p)とを比較して、該第一減算積分値が第一速度閾値以上(V1≧Vs1)の場合には、作動信号(23)を出力する第一比較手段(15)と、
前記加速度センサ(1)から出力される加速度値(G)を時間積分して第二時間積分値(V2)を演算する第二時間積分手段(31)と、
該第二時間積分値(V2)から所定の第二速度減算値(ΔV2)を減算して第二減算積分値(V2’)を演算する第二減算手段(32)と、
前記第一波時間積分値(V1p)及び前記第一波の持続時間(St)を、所定の第一波時間積分閾値(Sm,Sx)及び第一波時間閾値(Tm,Tx)と比較する第一波比較器(43)と、
該第一波時間積分値(V1p)及び第一波の持続時間(St)が、夫々所定の範囲内にある場合に、前記第二減算積分値(V2’)から前記第一波時間積分値(V1p)又は該第一波時間積分値に対応する量(V1p’)を減算して、補正積分値(V3)を演算する積分値補正手段(44,51)と、
該補正積分値(V3)を所定の第二速度閾値(Vs2)と比較して、該補正積分値が第二速度閾値以上(V3≧Vs2)の場合には、作動信号(38)を出力する第二比較手段(37)と、
前記第一比較手段(15)からの作動信号(23)と第二比較手段(37)からの作動信号(38)の両方が入力されて前記トリガ回路(5)に作動信号を出力するAND回路(36)と
を備えてなる請求項5に記載のエアバッグシステムの衝突判断装置 - 前記演算開始時点(t0 )以降の加速度信号(G)から所定の加速度値(G2)以下の加速度値をカットする第一ピークカット手段(12)と、
該ピークカットされた加速度値(G3)を時間積分して第一時間積分値(V)を演算する第一時間積分手段(13)と、
該第一時間積分値(V)から所定の第一速度減算値(ΔV1)を減算して第一減算積分値(V1)を演算する第一減算手段(14)と、
該第一減算積分値(V1)を所定の第一速度閾値(Vs1)とを比較して、該第一減算積分値が第一速度閾値以上(V1≧Vs1)の場合には、作動信号(23)を出力する第一比較手段(15)と、
前記加速度センサ(1)から出力される加速度値(G)を時間積分して第二時間積分値(V2)を演算する第二時間積分手段(31)と、
該第二時間積分値(V2)から所定の第二速度減算値(ΔV2)を減算して第二減算積分値(V2’)を演算する第二減算手段(32)と、
前記第一波時間積分値(V1p)及び前記第一波の持続時間(St)を、所定の第一波時間積分閾値(Sm,Sx)及び第一波時間閾値(Tm,Tx)と比較する第一波比較器(43)と、
該第一波時間積分値(V1p)及び第一波の持続時間(St)が所定の範囲内にある場合には、第二速度閾値(Vs2)に前記第一波時間積分値(V1p)又は該第一波時間積分値に対応する量(V1p’)を加算して第二補正閾値(Vs2’)を演算する閾値補正手段(55)と、
前記第二減算積分値(V2’)を前記第二補正閾値(Vs2’)と比較して、該第二減算積分値が第二補正閾値以上(V2’≧Vs2’)の場合には、作動信号(38)を出力する第二比較手段(37)と、
前記第一比較手段(15)からの作動信号(23)と第二比較手段(37)からの作動信号(38)の両方が入力されて前記トリガ回路(5)に作動信号を出力するAND回路(36)と
を備えてなる請求項5に記載のエアバッグシステムの衝突判断装置 - 前記第二時間積分手段(31)で積分される加速度値は、第二ピークカット手段(40)で前記加速度センサ(1)から出力される加速度値(G)から所定の値(G4)以下の加速度値がピークカットされた加速度値(G5)である請求項4乃至7のいずれかに記載のエアバッグシステムの衝突判断装置
- 前記第二ピークカット手段(40)でピークカットされる加速度値(G4)の値は、前記第一ピークカット手段(12)でピークカットされる加速度(G2)の値よりも充分に小さい値である請求項8に記載のエアバッグシステムの衝突判断装置
- 前記第一速度閾値(Vs1)が、時間の関数である請求項4乃至9のいずれかに記載のエアバッグシステムの衝突判断装置
- 前記第一減算手段で得られた減算積分値(V1)に基づいて所定時間当りの減算速度変化量(ΔV3)を算出し、該減算速度変化量と所定の減算速度変化閾値(ΔVs)とを比較して、該減算速度変化量が該減算速度変化閾値以上(ΔV3≧ΔVs)の場合には作動信号(28)を出力する第三比較手段(16)を有し、この作動信号(28)と前記第一比較手段(15)からの作動信号(23)とを作動信号接続手段(17)を介して前記AND回路(36)に入力する様にしてなる請求項4乃至10のいずれかに記載のエアバッグシステムの衝突判断装置
- 前記作動信号接続手段(17)が、AND回路,OR回路又は切替回路若しくはその組合せである請求項11に記載のエアバッグシステムの衝突判断装置
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