JP3958900B2 - 排水からの窒素の除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、従属栄養細菌および独立栄養細菌である硫黄酸化細菌と硝化細菌を用いて、排水中に含まれる窒素化合物を効率的に除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
排水からの窒素の除去方法としては、生物学的脱窒素方法が広く知られている。排水中の窒素の形態としてはアンモニア性窒素の形で含有されることが多い。特に高濃度のアンモニア性窒素を含有する排水は、製鉄所コークス工場、屎尿、肥料工場、半導体工場、皮革工場などから発生する。特に、製鉄所コークス工場から発生するアンモニア性窒素含有排水は安水とも呼ばれ、アンモニア性窒素を数百〜数千mg/l程度も含有している。
【0003】
排水からのアンモニア性窒素の生物学的除去方法としては、好気性独立栄養細菌(ニトロゾモナス、ニトロバクター等の硝化細菌)による生物学的酸化と通性嫌気性従属栄養細菌(シュードモナス等)による生物学的還元の組み合わせから成る生物学的硝化−脱窒素法が広く知見されている。
【0004】
まず、硝化工程は以下の2段の反応から成っており、関与する硝化細菌の種類は異なっている。
【0005】
2NH4 + + 3O2 → 2NO2 -+2H2O+4H+ (1)
【0006】
2NO2 - + O2 → 2NO3 - (2)
【0007】
(1)式に示す反応は、ニトロゾモナスを代表種とする亜硝酸菌によってもたらされ、(2)式に示す反応は、ニトロバクターを代表種とする硝酸菌によってもたらされる。
【0008】
上記反応によって生成した亜硝酸性窒素ならびに硝酸性窒素は、一般的に通性嫌気性従属栄養細菌を用い、無酸素の条件下で以下のように還元されて酸化窒素ガス(N2O)あるいは窒素ガス(N2)となり、大気中に放散される。
【0009】
2NO2 - + 6H2 → N2 +2H2O+2OH- (3)
【0010】
2NO3 - +10H2 → N2 +4H2O+2OH- (4)
【0011】
通性嫌気性従属栄養細菌は水素供与体が必要であり、有機物が通常利用される。都市下水などでは下水中の有機物がそのまま用いられ、有機物を含まない排水ではメタノールなどが添加されることが多い。
【0012】
この生物学的硝化−脱窒素法は、アンモニア性窒素濃度が100mg/l以下の排水では最も安価で安定した処理方法で広く用いられている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、生物学的硝化−脱窒素法は、アンモニア性窒素濃度が100mg/lを超えると様々な課題が生じ、安定した処理が困難となる。すなわち、アンモニア性窒素濃度が100mg/lを超えると、硝化工程において、アンモニア性窒素の酸化が硝酸性窒素まで進行しないこと、すなわち、ニトロバクターが阻害を受け、処理水中の亜硝酸性窒素が蓄積しやすいことが知見されている。この原因として、遊離のアンモニウムイオンのニトロバクターへの阻害が知られている。特に、pHが高いと遊離のアンモニウムイオンが発生しやすい。
【0014】
亜硝酸性窒素は従属栄養細菌に対して毒性が強く、処理水質が悪化しやすいことは広く知られている(例えば、遠矢泰典、「下水道協会誌」、VOL7、NO74、1970)。脱窒素に用いられている細菌は、通常、従属栄養細菌であるから、蓄積した亜硝酸性窒素によって脱窒素反応の進行に阻害が生ずる。脱窒素反応の進行が停止すると、亜硝酸性窒素が処理水に流出し、窒素規制をクリアできないばかりか、亜硝酸性窒素起因のCOD(化学的酸素要求量)も増大してしまう。
【0015】
このようなことから、アンモニア性窒素濃度が100mg/lを超えるような排水の場合、従来の生物学的硝化−脱窒素法の適用は、かなり難しい。
【0016】
例えば、「鉄と鋼」,VOL82,No.5,447−452,1996には、生物学的硝化−脱窒素法のコークス炉排水への適用事例が報告されており、特に、亜硝酸性窒素濃度を50mg/l以下にしなければならないとされている。用いている脱窒素細菌は、メタノールを添加していることから、従属栄養細菌である。
【0017】
ところで、脱窒性能を有する細菌は、従属栄養細菌に限らない。水素細菌や硫黄酸化細菌などの独立栄養細菌も、酸素の無い状態で脱窒素機能を有することは広く知られている。これらの独立栄養細菌は、それぞれ水素や還元性硫黄化合物を酸化した時に発生するエネルギーと空気中の炭酸ガスから菌体を合成し増殖する。これらの細菌は、増殖速度が小さいことやフロック形成能力が弱いこと等の理由から、脱窒素作用が知られているものの脱窒素に用いられた事例はほとんどない。
【0018】
しかし、発明者らは、これらの独立栄養細菌が亜硝酸性窒素に対し、従属栄養細菌と比較して極めて強い耐性を有していることを知見した。すなわち、亜硝酸性窒素濃度が2000mg/lに上昇しても、脱窒素速度の低下は見られなかった。したがって、アンモニア性窒素を高濃度に含む排水処理の場合、脱窒素用の細菌としては独立栄養細菌を用いた方が処理の安定化をもたらす(特願平11−117410号)。さらに、発明者らは、独立栄養細菌の中でも、硫黄酸化細菌は、自己造粒作用を有している場合もあるため、リアクターでの高濃度化が容易で、処理の高効率化が可能であることを知見している(特願平10−122719号)。
【0019】
このように、亜硝酸性窒素に耐性のある独立栄養細菌を用いることにより、従来は困難であった高濃度のアンモニア性窒素を含有する排水の安定処理が可能となる。
【0020】
しかし、実際の排水中には、アンモニア性窒素ばかりでなく、有機物および硫黄化合物が大量に含まれる場合がある。例えばコークス工場排水は、有機物としてフェノールを、硫黄化合物としてチオ硫酸、チオシアンを高濃度に含有している。このような場合、独立栄養細菌単独で脱窒素することはできない。硫黄化合物だけでなく、有機物が大量に存在しているからである。有機物が大量に存在している場合、通常、従属栄養細菌が優占種となってしまう。すなわち、無酸素槽においては、呼吸源である硝酸性窒素をめぐり、従属栄養細菌と硫黄酸化細菌の競合が生じるが、有機物が大量に存在する場合は、硫黄酸化細菌の増殖に阻害が生じるため、この両者をうまく制御する必要がある。
【0021】
さらに、好気槽においても、呼吸源である酸素をめぐり、従属栄養細菌と独立栄養細菌である硝化細菌、あるいは亜硝酸菌と硝酸菌の競合が生じるため、この両者の反応もうまく制御する必要がある。
【0022】
本発明は、上記課題を解決するものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、次の(1)〜(11)である。
【0024】
(1)無酸素槽[1]、無酸素槽[2]、好気槽[1]、好気槽[2]、及び、沈殿池をこの順に有し、アンモニア性窒素を含有する排水を無酸素槽[1]に投入すると共に、前記好気槽[1]の処理水を前記無酸素槽[2]へ循環し、前記好気槽[2]の処理水を前記無酸素槽[1]に循環し、前記沈殿池で沈殿濃縮した微生物群を無酸素槽[1]に返送する処理フローを用いた生物学的脱窒素方法であって、前記無酸素槽[1]では前記好気槽[2]から循環された処理水中に含まれる硝酸性窒素を従属栄養細菌により脱窒し、前記無酸素槽[2]では前記好気槽[1]から循環された処理水中に含まれる亜硝酸性窒素を硫黄酸化細菌により脱窒し、前記好気槽[1]では前記無酸素槽[2]の処理水中に含まれるアンモニア性窒素を亜硝酸菌により亜硝酸窒素に酸化し、前記好気槽[2]では前記好気槽[1]の処理水中に含まれる亜硝酸性窒素を硝酸菌により硝酸性窒素に酸化し、前記沈殿池では前記好気槽[2]の処理水を前記濃縮した微生物群と処理水とに分離することを特徴とする排水からの窒素の除去方法。
【0030】
(2)前記沈殿池からの処理水をさらに好気槽[3]に通水し、亜硝酸菌および硝酸菌により、残留するアンモニア性窒素および亜硝酸性窒素を硝酸性窒素まで完全に酸化することを特徴とする前記(1)記載の排水からの窒素の除去方法。
【0031】
(3)前記沈殿池からの処理水、又は、前記好気槽[3]からの処理水を、従属栄養細菌を主体とする無酸素槽または硫黄酸化細菌を主体とする無酸素槽に通水し、残留する亜硝酸性窒素および硝酸性窒素を窒素まで還元することを特徴とする前記(1)又は(2)記載の排水からの窒素の除去方法。
【0032】
(4)前記硫黄酸化細菌として、造粒させた硫黄酸化細菌または自己造粒作用を有する硫黄酸化細菌を用いることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の排水からの窒素の除去方法。
【0033】
(5)前記無酸素槽[1]、[2]および/または好気槽[1]、[2]に膜分離装置またはろ過装置を設置することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の排水からの窒素の除去方法。
【0034】
(6)前記無酸素槽[1]、[2]および/または好気槽[1]、[2]に微生物固定化担体を投入することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の排水からの窒素の除去方法。
(7)前記アンモニア性窒素を含有する排水が、製鉄所コークス工場から発生する安水であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の排水からの窒素の除去方法。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の処理フローを図1に、各槽の機能を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
まず、無酸素槽1では、好気槽4で生成した硝酸性窒素を従属栄養細菌を用いて次式のように窒素ガスまで還元する。窒素の形態としては、大半が硝酸性窒素となっているため、従属栄養細菌への阻害が少ない。この状況下では、従属栄養細菌は硫黄酸化細菌よりもはるかに増殖速度が大きいため、従属栄養細菌による脱窒素が主体となる。
【0038】
2NO3 - +10H2 → N2 +4H2O+2OH-
【0039】
次に、無酸素槽2では、好気槽3で生成した亜硝酸性窒素を硫黄酸化細菌を用いて次式のように窒素ガスまで還元する。自己造粒した硫黄酸化細菌を用いることが望ましいが、硫黄酸化細菌のかわりに水素細菌を用いてもかまわない。窒素の形態としては、大半が亜硝酸性窒素となっているため、従属栄養細菌は生育が困難である。この状況下では、亜硝酸性窒素に耐性のある硫黄酸化細菌が優占種となり、硫黄酸化細菌による脱窒素が主体となる。硫黄源が不足する場合や都市下水などのようにほとんど硫黄を含まない排水の場合は、チオ硫酸、硫黄粒などの硫黄源を添加すればよい。排水中の硫黄と窒素の重量比率(以下、S/N比という)が3.5以上になるように添加することが望ましい。
【0040】
2NO2 - + 6H2 → N2 +2H2O+2OH-
【0041】
なお、無酸素槽1と無酸素槽2は、排水の有機物濃度が低い場合は、1つの槽としてもかまわないことも新たに知見した。具体的には、排水中の有機物の指標であるBODと窒素の重量比率(以下、BOD/N比という)が1以下の場合、1槽としてもかまわない。なお、この場合において、S/N比は3.5以上あることが望ましい。このような条件下では、従属栄養細菌もある程度存在が可能であるが、返送される亜硝酸性窒素のため脱窒素機能が大幅に低下しているため、主として硫黄酸化細菌によって脱窒素反応が進行する。さらに、この程度の有機物が存在すると、浮遊性有機物に硫黄酸化細菌が付着したり、わずかに存在する従属栄養細菌から発生する高分子物質により、硫黄酸化細菌の凝集性が高まり、硫黄酸化細菌の高濃度化が容易となる利点があることがわかった。したがって、排水中にある程度の有機物濃度があることは硫黄酸化細菌にとって望ましいことである。例えば、都市下水の活性汚泥処理水はBOD:20mg/l以下と有機物濃度が低く、BOD/N比が0.4〜1程度であるから、硫黄酸化細菌による1槽処理が可能である。また、排水中に全く有機物が含まれていない場合、このまま硫黄酸化細菌による処理も可能であるが、メタノールや酢酸等の有機化合物をBOD/N比が0.1〜1程度となるように添加することが望ましい。
【0042】
次に、好気槽3では、亜硝酸菌により次式のようにアンモニア性窒素を亜硝酸性窒素まで酸化する。処理水には亜硝酸が主体で蓄積しており、この処理水を無酸素槽2に循環する。
【0043】
2NH4 + + 3O2 → 2NO2 -+2H2O+4H+
【0044】
さらに、好気槽4では、硝酸菌により次式のように亜硝酸性窒素を硝酸性窒素まで酸化する。処理水には硝酸が主体で蓄積しており、この処理水を無酸素槽1に循環する。
【0045】
2NO2 - + O2 → 2NO3 -
【0046】
このように、脱窒素工程において、亜硝酸性窒素に耐性のある独立栄養細菌を併用して亜硝酸性窒素を還元して窒素ガスにする方法を用いると、硝化工程において、必ずしも亜硝酸性窒素を完全に硝酸性窒素まで酸化する必要が無くなり、従来の生物学的硝化−脱窒素法と比較して、反応槽の処理時間の短縮や維持管理が容易となる。
【0047】
なお、先にも述べたように、排水のBOD/N比が1以下の場合は、無酸素槽が1つの場合がある。このような場合、硫黄酸化細菌によって脱窒素反応が進行するため、好気槽も1つでかまわない。
【0048】
さらに、排水の窒素の形態がアンモニア性窒素ではなく、高濃度の亜硝酸性窒素および/または硝酸性窒素の場合、好気槽3および好気槽4は必要ない。この場合、硫黄酸化細菌を単独で用いる無酸素槽2で処理することが望ましい。
【0049】
さらに、先に述べた方法では循環方式を採用しているため、循環総量を原水量の4倍とっても最大窒素除去率は75%程度である。したがって、さらに除去率をあげる必要がある場合は、以下のように処理する。すなわち、処理水6中の窒素が亜硝酸性窒素および硝酸性窒素の場合には、無酸素槽8と残留有機物や硫黄化合物の除去のための好気槽9を設置すればよい。処理水6中にアンモニア性窒素が残留している場合には、図1に示したように、好気槽7と無酸素槽8と好気槽9を設置すればよい。
【0050】
また、各槽での細菌濃度を高めるために、自己造粒作用を有する硫黄酸化細菌または凝集剤を併用して造粒させた硫黄酸化細菌を用いることが好ましい。さらに、各槽にプラスチックス、セラミックス、スラグ、ゲル等の微生物固定化担体を投入して各槽の微生物を高濃度化することにより、一層の高効率処理が可能となる。無酸素槽1、2、好気槽3、4の内部に膜分離装置を設置したり、各層の出口近辺にろ過装置を設置することにより、それぞれの微生物を高濃度化し、一層の高効率処理を図ることも可能である。沈殿池5の代わりに、膜分離装置または濾過装置を設置することもできる。
【0051】
【実施例】
本発明の方法を、製鉄所コークス工場から発生する安水からの有機物および窒素除去に適用した。
【0052】
安水はフェノールが主体の排水であるが、アンモニア性窒素も大量に含んでいるため、アンモニアストリッピングによりアンモニア性窒素を90%程度除去した後、海水および/または淡水により3〜5倍程度に希釈し、活性汚泥法によりフェノールを中心に分解除去していた。このような安水活性汚泥処理水は、活性汚泥によってフェノール等の有機物は除去されているものの、アンモニア性窒素はほとんど除去されず、300〜1000mg/l程度含有していることが多い。
【0053】
希釈後の安水を対象として、本発明法を適用した。供給原水の性状を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
図1の好気槽3でアンモニア性窒素を亜硝酸性窒素まで酸化するため、以下の運転条件で運転した。好気槽3に浮遊性の円筒型プラスチックス担体(内径:3mm;長さ4mm)を脱窒槽容積あたり15%投入し、亜硝酸菌を付着させた。硫酸および水酸化ナトリウムによってpHを7.5〜8.5に制御するとともに、空気および/または酸素によりDOを2mg/l以上、ORPを+150mV(銀/塩化銀基準)以上に維持するように運転した。HRT(水理学的滞留時間)が12時間(アンモニア性窒素容積負荷が1.6kg−N/m3・日)の条件で、アンモニア性窒素(800mg/l)は70%が亜硝酸性窒素に、20%が硝酸性窒素となり、アンモニア性窒素も10%残留した。本液を原水量に対して3倍量、無酸素槽2に循環した。
【0056】
無酸素槽2には自己造粒させた硫黄酸化細菌を投入した。硫黄源11として、排水中のチオ硫酸と合算してチオ硫酸が硫黄として亜硝酸性窒素の3.5倍量になるように添加した。硫酸および水酸化ナトリウムによってpHを7〜8に制御するとともに、HRTが2時間(亜硝酸性窒素の容積負荷が11kg−N/m3・日)の条件で運転した。ここで75%の除去率が得られ、総窒素濃度は200mg/lとなった。余分な硫黄化合物が好気槽3に流入するのを防ぐため、無酸素槽2のORPを−200mV(銀/塩化銀基準)程度に維持するよう、空気および/または酸素を間欠的に供給した。
【0057】
好気槽4では、亜硝酸性窒素を硝酸性窒素まで酸化するために以下の運転条件で運転した。好気槽4にも浮遊性の円筒型プラスチックス担体(内径:3mm;長さ4mm)を脱窒槽容積あたり15%投入し、硝化菌を付着させた。硫酸および水酸化ナトリウムによってpHを7〜8に制御するとともに、空気および/または酸素によりDOを2mg/l以上、ORPを+200mV(銀/塩化銀基準)以上に維持するように運転した。HRTが6時間(窒素容積負荷が0.8kg−N/m3・日)で、窒素(200mg/l)は95%が硝酸性窒素となった。亜硝酸性窒素は10mg/l程度であり、この程度では従属栄養細菌の阻害は生じない。本液を原水量に対して3倍量、無酸素槽1に循環した。
【0058】
無酸素槽1には、下水の活性汚泥などの従属栄養細菌を投入した。硫酸および水酸化ナトリウムによってpHを7〜8に制御するとともに、HRTが4時間(硝酸性窒素の容積負荷が1.2kg−N/m3・日)の条件で運転した。ここで75%の除去率が得られ、総窒素濃度は50mg/lとなった。余分な有機物が無酸素槽2に流入するのを防ぐため、無酸素槽1のORPを−200mV(銀/塩化銀基準)程度に維持するよう、空気および/または酸素を間欠的に供給した。
【0059】
好気槽4の後段には沈殿池5を設置し、微生物と処理水6を分離し、沈殿濃縮した微生物群は無酸素槽1に返送した。
【0060】
窒素放流基準が平均60mg/lの場合、ここまでの処理で十分である。しかし、さらにより高度な水質が求められる場合は、以下の工程を加えた。
【0061】
処理水6を、後段にサドル型のセラミックス(サイズ:1インチ)を好気槽容量あたり70%充填した好気槽7に通水した。硫酸および水酸化ナトリウムによってpHを7〜8に制御するとともに、空気および/または酸素によりDOを2mg/l以上、ORPを+200mV(銀/塩化銀基準)以上に維持するように運転した。HRTが1時間で、窒素(50mg/l)は完全に硝酸性窒素となった。
【0062】
さらに、無酸素槽8には硫黄酸化細菌を投入し、硫黄源11としてチオ硫酸を硫黄として残留窒素の3倍量添加し、上向流れで通水した。無酸素槽8の上部には、浮遊性の円筒型プラスチックス担体(内径:3mm;長さ4mm)を無酸素槽8の容積あたり25%投入した。また、無酸素槽8の下部中央に水中攪拌機を設置し、常時攪拌することにより、プラスチックス担体に浮上した硫黄酸化細菌が固着することを防止した。硫酸および水酸化ナトリウムによってpHを7〜8に制御するとともに、HRTが1時間(窒素容積負荷が1.2kg−N/m3・日)の条件で運転したが、処理水中の窒素濃度は5mg/l以下となった。
【0063】
さらに、処理水中に残留するチオ硫酸は、好気槽9において硫酸イオンまで酸化した。好気槽9には好気性硫黄酸化細菌を投入し、曝気によって溶存酸素を2mg/l以上に維持した。HRT1時間でチオ硫酸は硫酸イオンまで完全に酸化され、BODも20mg/l以下となった。
【0064】
以上の方法により、最終処理水10のBODは20mg/l以下、窒素は5mg/l以下となった。
【0065】
【発明の効果】
本発明により、有機物とアンモニア性窒素を高濃度に含有する排水から、安定した窒素除去が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理フローを示す図である。
【符号の説明】
1 無酸素槽
2 無酸素槽
3 好気槽
4 好気槽
5 沈殿池
6 処理水
7 好気槽
8 無酸素槽
9 好気槽
10 最終処理水
11 硫黄源
Claims (7)
- 無酸素槽[1]、無酸素槽[2]、好気槽[1]、好気槽[2]、及び、沈殿池をこの順に有し、アンモニア性窒素を含有する排水を無酸素槽[1]に投入すると共に、前記好気槽[1]の処理水を前記無酸素槽[2]へ循環し、前記好気槽[2]の処理水を前記無酸素槽[1]に循環し、前記沈殿池で沈殿濃縮した微生物群を無酸素槽[1]に返送する処理フローを用いた生物学的脱窒素方法であって、
前記無酸素槽[1]では前記好気槽[2]から循環された処理水中に含まれる硝酸性窒素を従属栄養細菌により脱窒し、前記無酸素槽[2]では前記好気槽[1]から循環された処理水中に含まれる亜硝酸性窒素を硫黄酸化細菌により脱窒し、前記好気槽[1]では前記無酸素槽[2]の処理水中に含まれるアンモニア性窒素を亜硝酸菌により亜硝酸窒素に酸化し、前記好気槽[2]では前記好気槽[1]の処理水中に含まれる亜硝酸性窒素を硝酸菌により硝酸性窒素に酸化し、前記沈殿池では前記好気槽[2]の処理水を前記濃縮した微生物群と処理水とに分離することを特徴とする排水からの窒素の除去方法。 - 前記沈殿池からの処理水をさらに好気槽[3]に通水し、亜硝酸菌および硝酸菌により、残留するアンモニア性窒素および亜硝酸性窒素を硝酸性窒素まで完全に酸化することを特徴とする請求項1記載の排水からの窒素の除去方法。
- 前記沈殿池からの処理水、又は、前記好気槽[3]からの処理水を、従属栄養細菌を主体とする無酸素槽または硫黄酸化細菌を主体とする無酸素槽に通水し、残留する亜硝酸性窒素および硝酸性窒素を窒素まで還元することを特徴とする請求項2又は3記載の排水からの窒素の除去方法。
- 前記硫黄酸化細菌として、造粒させた硫黄酸化細菌または自己造粒作用を有する硫黄酸化細菌を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の排水からの窒素の除去方法。
- 前記無酸素槽[1]、[2]および/または前記好気槽[1]、[2]に膜分離装置またはろ過装置を設置することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の排水からの窒素の除去方法。
- 前記無酸素槽[1]、[2]および/または好気槽[1]、[2]に微生物固定化担体を投入することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の排水からの窒素の除去方法。
- 前記アンモニア性窒素を含有する排水が、製鉄所コークス工場から発生する安水であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の排水からの窒素の除去方法。
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