JP3947995B2 - 重炭酸固形透析用剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、重炭酸透析液を調製するための重炭酸固形透析用剤に関するものである。本発明の重炭酸固形透析用剤は、一剤型でも二剤型でも使用することができる。
【0002】
本明細書において、”%”は”重量%”を意味する。
【0003】
【従来の技術】
現在、汎用されているカルシウム塩を含む重炭酸透析剤は、以下のような組成である。
【0004】
Na+ 120 〜150 mEq/l
K+ 0.5〜 3.0 mEq/l
Ca2+ 1.5〜 4.5 mEq/l
Mg2+ 0 〜 2.0 mEq/l
Cl- 90 〜135 mEq/l
HCO3 - 20 〜 35 mEq/l
CH3COO- 2.0〜 12 mEq/l
ブドウ糖 0 〜 2.5 g/l
そして、一般的にカルシウム塩を含む電解質組成物として塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム及び酢酸ナトリウム、pH調整剤としての酢酸又は塩酸、及び任意成分としてブドウ糖を含むA剤と称する濃厚液と炭酸水素ナトリウムからなる濃厚液若しくは粉末のB剤の2剤構成となっている。
【0005】
しかし、近年、濃厚液であるA、B剤において、包装形態およびその重量から引き起こされる問題が大きく取り上げられるようになってきた。濃厚液は一般にポリエチレン容器に包装されており、その包装容器の大きさ(10〜20L)から、輸送コスト及び病院等での保管スペ−ス、また、使用後のポリエチレン容器の廃棄方法などが問題となっている。また、重量という点で運搬性および病院内での作業性の悪さが取り上げられ、問題視されている。
【0006】
そこで、このような諸問題を解決する手段として透析剤の粉末化が考えられるようになってきた。現在、A剤は、各電解質組成物を混合・粉砕して加圧造粒する乾式造粒法、また、各電解質組成物を加水混合し、造粒後乾燥する湿式造粒法、および、スプレ−ドライ法などが開発されている。B剤においては、単一組成物であるため粉末製剤として従来より使用されている。
【0007】
しかし、上記のように粉末化されたといっても、やはり液剤のときと同様にA剤とB剤の2剤に分かれた薬剤であり、ハンドリングの面から考えると、まだ十分とは言えない状態である。そこで、さらに、A、B剤を一袋に包装し、病院内での作業性及び透析液供給システムの簡素化をはかるべく、一剤型の薬剤が開発されるようになってきた。例えば、特開平3−74331号では、カルシウム成分を含み炭酸水素ナトリウムを含まない群と、炭酸水素ナトリウムを含みカルシウム成分を含まない群とに分け、前者にpH調整剤として酢酸を加え造粒物とし、混合した透析用剤が開示されている。また、特開平6−335528には、第一製剤に電解質組成物および固体酸を含み、第二製剤に炭酸水素ナトリウム、電解質組成物およびブドウ糖を含む各製剤を混合した透析用剤が開発されている。また、カルシウム塩、マグネシウム塩及び固体有機酸を一群、塩化カリウム、酢酸ナトリウム及びブドウ糖を二群、炭酸水素ナトリウムを三群とし、塩化ナトリウムに一群から順にブドウ糖溶液を噴霧しながらコ−ティングして製剤化された透析用剤も特開平6−335527号に開示されている。しかし、これらにおいても個々に問題点がある。例えば、特開平3−74331号では、炭酸水素ナトリウムと揮発性の酸である酢酸が反応し、pH変動やそれに伴う成分の減少及び難溶性の炭酸塩の発生を引き起こし易いという点で安定性に問題点がある。また、特開平6−335527号はカルシウム塩、マグネシウム塩を物理的にブドウ糖などのカルシウム塩、マグネシウム塩と反応を起こさない物質で覆っただけものであり、カルシウム及びマグネシウムの炭酸水素ナトリウムとの反応性を抑えるには不十分である。さらにまた、アルカリとブドウ糖が層状で接触することや、ブドウ糖溶液を用いて造粒・乾燥するためブドウ糖が劣化し着色しやすい状況におかれ、長期保存安定性に劣るという点が挙げられる。さらにまた、アルカリ性を示す炭酸水素ナトリウム、次いで、酸という順に溶解することから、炭酸塩の沈殿物を生成し易い条件で溶解するという点も挙げられる。また、特開平6−335527及び特開平6−335528はカルシウム塩と炭酸水素ナトリウムを単に群分けしただけであり、双方が接触する恐れが大いにあるといえる。
【0008】
以上のように、A、B剤を1包にした一剤型の固形透析用剤が研究開発されているが、いずれも安定性に問題点を含んでおり、さらに、透析液を調製する際に炭酸塩の沈殿を避けるために、直接透析液濃度(約1%)に溶解するか低濃度で溶解しなければならないというのが現状で、言い換えれば、現在市販の透析液のように濃厚液に溶解し、長時間安定させることは極めて難しい。
【0009】
さらに、透析液に含まれるカルシウムやマグネシウムが難溶性の炭酸塩となって、透析液供給装置やチューブに徐々に沈殿するため、透析後毎日あるいは数日毎に酢酸で透析液供給装置やチューブを洗浄する必要がある等の問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透析剤に必要な電解質組成物、pH調整剤、炭酸水素ナトリウム及び任意成分としてのブドウ糖を含む透析用剤において、溶解時、並びに長期保存下においても、難溶性の炭酸塩を生じることなく濃厚溶液として調製でき、かつ、pH及び糖の安定性にも優れた一剤型ないし二剤型、特に一剤型の重炭酸固形透析用剤を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本願発明者はクエン酸ナトリウム等のクエン酸塩を処方中に加えることにより、固形透析用剤一剤化の最大の課題である濃厚液の調製を可能とした。
【0012】
本発明は、カルシウム塩を含む電解質組成物、pH調整剤、炭酸水素ナトリウムおよび任意成分としてブドウ糖を含む重炭酸固形透析用剤において、前記電解質組成物がクエン酸塩を含む、溶液状態で実質的に沈殿物を生じない重炭酸固形透析用剤に関する。
【0013】
また本発明は、カルシウム塩を含む電解質組成物、pH調整剤、炭酸水素ナトリウムおよび任意成分としてブドウ糖を含む重炭酸固形透析用剤において、前記電解質組成物がクエン酸塩を含み、前記固形透析用剤が2〜15%(w/v)程度の濃度に調製するとき、24時間以上安定である重炭酸固形透析用剤に関する。
【0014】
本発明の重炭酸固形透析用剤は、一剤型としても溶解時に沈殿を生じないため、透析液の調製が容易な一剤型の固形透析用剤として調製できる。また、病院での既存の二剤設備に対応させるため、少なくともカルシウム塩及びクエン酸塩を含み重炭酸塩を含まないA剤と、少なくとも重炭酸塩を含みカルシウム塩及びクエン酸塩を含まないB剤とからなる二剤型とした製剤から調製してもよい。
【0015】
本発明の一剤型重炭酸固形透析用剤及び二剤型重炭酸固形透析用剤は、前記濃厚液を至適濃度に希釈することで重炭酸透析液として使用可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の重炭酸固形透析用剤は、一剤型または二剤型のいずれであっても、濃厚液に調製した場合に炭酸カルシウムなどのカルシウム塩の沈殿が生じないため好ましい。本発明製剤の溶解濃度は、炭酸水素ナトリウム配合量によって左右され、通常2〜20%程度まで溶解できる。濃厚溶液の安定性は、温度、カルシウム塩の量、炭酸水素ナトリウムの量、クエン酸塩の量及び比率によって異なり2〜15%程度では24時間以上沈殿を生じない。また、本発明の濃厚液の好ましい濃度は5〜15%、より好ましくは10〜15%である。
【0017】
本発明の透析用剤は、電解質組成物中のカルシウムと炭酸水素ナトリウムの反応を防ぐのに十分な量のクエン酸塩を処方中に加えているため、溶解時、並びに長期保存下においても、難溶性の炭酸塩を生じることなく、2〜20%程度の溶液として調製でき、且つ、この濃厚液を至適濃度に希釈することで重炭酸透析液として使用することができる。炭酸カルシウムの沈殿形成を防ぐのに好適なクエン酸塩の量は、処方中に、クエン酸イオン(pH調整剤としてのクエン酸から供給されるクエン酸イオンを含む)がカルシウムイオンの1〜4倍(当量比)になるよう加えるのが好ましい。
【0018】
本発明製剤は、pH調整剤として生理学的に許容される固体有機酸であるクエン酸、リンゴ酸、グルコノデルタラクトン、アジピン酸、こはく酸、酒石酸のうち少なくとも一種以上を使用する。好ましいpH調整剤は、クエン酸、リンゴ酸、である。
【0019】
本発明の電解質組成物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、クエン酸塩、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸水素カリウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸ナトリウム、乳酸カルシウム等から適宜選択される。
【0020】
クエン酸塩は、クエン酸のナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩であり、例えばクエン酸3ナトリウム、クエン酸1水素2ナトリウム、クエン酸2水素1ナトリウム、クエン酸2ナトリウム1カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸マグネシウム等が挙げられる。
【0021】
電解質組成物に含まれるカルシウム塩として、例えば塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウムが挙げられる。
【0022】
好ましい電解質組成物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム及びクエン酸ナトリウムからなり、該組成物にブドウ糖や酢酸カルシウム又は酢酸ナトリウムなどの酢酸塩を更に配合してもよい。各電解質組成物の好ましい配合量は、適切な濃度に希釈した場合に下記の表の範囲になるように、当業者であれば適宜決定できる。例えば、本発明の固形透析用剤の濃厚液を”至適濃度に希釈する”とは、例えば下記の濃度に希釈することが例示できる。
【0023】
Na+ 120 〜150 mEq/l
K+ 0.5〜 3.0 mEq/l
Ca2+ 1.5〜 4.5 mEq/l
Mg2+ 0 〜 2.0 mEq/l
Cl- 90 〜135 mEq/l
HCO3 - 20 〜 35 mEq/l
クエン酸イオン 1.5〜 18 mEq/l
酢酸イオン 0 〜 12 mEq/l
ブドウ糖 0 〜 2.5 g/l
なお、クエン酸イオンの配合量は、クエン酸過剰により代謝に影響が出ない範囲であれば、Ca2+の4倍以上ないし18mEq/l以上の量を用いてもよい。
【0024】
特に好ましい透析液は、クエン酸、酢酸、重炭酸の合計が、30〜40mEq/l程度であり、この値を参考にしてクエン酸塩、酢酸塩などの量を適宜決定することができる。
【0025】
また、本発明の重炭酸固形透析用剤は、アルミニウム又はケイ素酸化物を含み且つ透湿度(40℃、90%RH)2.0g/cm2・24hr以下の包材に包装して、包装固形透析用剤とするのが好ましい。
【0026】
本製剤の製造方法は、各原料を単に混合しただけでも得られるが、安定性の向上を考慮すると、カルシウム塩、マグネシウム塩は炭酸水素ナトリウム以外の電解質組成物と造粒し、炭酸水素ナトリウムの粒子と区分することが好ましく、さらに好ましくは、カルシウム塩、マグネシウム塩をクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等によりコーティングし炭酸水素ナトリウムと直接接触しないようにするのが望ましい。例えば塩化ナトリウム、塩化カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を核層とし、カルシウム塩、マグネシウム塩を内層、クエン酸ナトリウムを外層としたものを第一造粒物とし、該造粒物にpH調整剤としての固体酸と炭酸水素ナトリウムを加えて混合した製剤、或いは、該混合製剤に必要に応じてブドウ糖を混和するのが望ましい。
【0027】
さらに、炭酸水素ナトリウムの分解による炭酸ガスの発生や、ブドウ糖の安定性を考慮すると、使用する各電解質組成物は乾燥させたもの、若しくは無水物の方が好ましい。また、これら混合製剤は、成分の均一性を保持するために、それぞれの粒子を同程度の粒度に揃えることが好ましく、さらに好ましくは、それぞれを細粒〜顆粒状に粒度調整して混合したものが望ましい。
【0028】
本発明の重炭酸固形透析用剤は、特開平6−335527号公報に開示された積層型の透析用剤としてもよく、この場合クエン酸塩は、有機酸を含む層、含まない層、中間層のいずれに配合してもよい。また、特開平8−92071号公報のように、核、内層及び外層を含む造粒物のいずれかにクエン酸塩を配合したものであってもよい。また、上記第一造粒物については、押し出し造粒や乾式造粒等の如く従来から知られている方法により製造することが可能であり、特別な方法を必要とするものではない。
【0029】
本製剤は、pHの面でも沈殿物が生じないものである。溶解時のpHが微アルカリであると、カルシウム塩と炭酸水素ナトリウムの反応による難溶性の沈殿が生じ易くなるという点に着目し、本発明製剤は、微酸性から中性のpH領域において緩やかに溶解するよう製剤化されている。そのため、本製剤は沈殿物を生成せずに濃厚液を調製することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明製剤は、カルシウム塩の沈殿がなく、2〜20%の溶液を調製することが可能であるため、製剤を溶解するときに使用する溶解槽を縮小することができ、病院内での溶解に要するスペ−スを抑えることができる。また、製剤を一剤化したことにより、従来より濃厚液を希釈、調製するのに使用している透析液供給装置を簡素化することができる。例えば従来の2剤型の粉末透析剤では、A剤、B剤を別々の溶解タンクで溶解しなければならないが、本発明の透析剤では1つの溶解タンクで濃厚液を調製すればよく、溶解タンクの削減と溶解操作の簡素化を図ることができる。管理面でもRO水、A液、B液の正確な供給管理を必要とせず、pH及び電解質濃度バランスを一定に保つため、RO水と本濃厚液の濃度を調整するのみでよく、装置等における自動化や簡素化が可能である。
【0031】
従来の1剤型重炭酸透析用剤では、炭酸カルシウム塩の沈殿を防ぐために、濃厚溶液を調製することはできないため、1人の患者に透析1回当たり150〜350リットルの透析液を調製する必要があった。従って、多数の透析患者のために大量の透析液を調製するのは事実上不可能であり、1剤型重炭酸透析用剤のメリットはあまりなかった。
【0032】
一方、本発明では、例えば10%以上の濃厚液として調製すれば、溶解容量は上記の1/10以下でよく、市販の供給装置をそのままで使用できる利点がある。
【0033】
また、本製剤は溶解時及び溶解後に難溶性塩を生じ難いため、透析液濃度に希釈調整した液を患者のベッドサイドへ供給する配管(透析液供給ライン)内において、沈殿物の生成がほとんどなく、沈殿物を溶解除去するための酢酸洗浄の頻度及び量を大幅に削減することができる。
【0034】
本製剤は長期保存下においても溶解性に優れ、成分の均一な透析液を調製することができる。さらに本製剤は粉剤であるため、運搬コストや病院内での保管スペースの削減に大きく寄与することが期待される。
【0035】
本発明の透析液は、透析液中のクエン酸がダイアライザーを介して拡散し、ダイアライザー内での血液凝固を抑制するため、血液凝固阻止剤等の使用量の低減に寄与することが期待される。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0037】
【実施例1】
表1に示す各原料を使用した。
【0038】
【表1】
塩化ナトリウム 212.72 kg
塩化カリウム 5.22 kg
塩化カルシウム 7.72 kg
塩化マグネシウム 3.56 kg
クエン酸ナトリウム 20.59 kg
ブドウ糖 35.00 kg
クエン酸 5.60 kg
炭酸水素ナトリウム 88.21 kg
クエン酸イオン:カルシウムイオン=2.8:1 (当量比)
先ず塩化ナトリウム、塩化カリウムを攪拌混合機を用いて混合し、別に調製した塩化カルシウム、塩化マグネシウムの水溶液(純水3.92L使用)を前記混和物に添加し混合した。更に、内容物にクエン酸ナトリウムを添加して混合を行った。次に内容物を取り出し、棚段乾燥機にて160℃で約6時間乾燥させたのち篩過して造粒物を得た。この造粒物にブドウ糖、クエン酸及び炭酸水素ナトリウムを配合し製剤を得た。得られた製品からランダムに5個の製品を抜き取り、試験を行った。製品10.82gに水を加えて1Lとし、日立製作所製の原子吸光光度計を用いてNa+、K+、ダイオネクス社製のイオンクロマトグラフィを用いてMg2+、Cl-、HCO3 -の各イオン濃度を測定し、キレート滴定法にてCa2+を測定、日立製作所製の液体クロマトグラフィを用いてクエン酸、ブドウ糖を測定した.結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
【実施例2】
表3に示す各原料を使用した。
【0041】
【表3】
塩化ナトリウム 207.60 kg
塩化カリウム 5.22 kg
塩化カルシウム 7.72 kg
塩化マグネシウム 3.56 kg
クエン酸ナトリウム 29.17 kg
ブドウ糖 35.00 kg
リンゴ酸 5.87 kg
炭酸水素ナトリウム 88.21 kg
クエン酸イオン:カルシウムイオン=2.8:1 (当量比)
先ず塩化ナトリウム、塩化カリウムを攪拌混合機を用いて混合し、別に調製した塩化カルシウム、塩化マグネシウムの水溶液(純水3.92L使用)を前記混和物に添加し混合した。更に、内容物にクエン酸ナトリウムを添加して混合を行った。次に内容物を取り出し、棚段乾燥機にて160℃で約6時間乾燥させたのち篩過して造粒物を得た。この造粒物にブドウ糖、リンゴ酸及び炭酸水素ナトリウムを配合し製剤を得た。
【0042】
【実施例3】
表4に示す各原料を使用した。
【0043】
【表4】
塩化ナトリウム 212.72 kg
塩化カリウム 5.22 kg
無水グルコン酸カルシウム 22.60 kg
塩化マグネシウム 3.56 kg
クエン酸ナトリウム 20.59 kg
ブドウ糖 35.00 kg
クエン酸 5.60 kg
炭酸水素ナトリウム 88.21 kg
クエン酸イオン:カルシウムイオン=2.8:1 (当量比)
先ず塩化ナトリウム、塩化カリウムを攪拌混合機を用いて混合し、別に調製した塩化マグネシウムの水溶液(純水1.42L使用)を前記混和物に添加し混合した後、棚段乾燥機にて160℃で約6時間乾燥させた。次にこの内容物に純水2.22Lを加え無水グルコン酸カルシウム及びクエン酸ナトリウムを順次添加し添着混合を行った。内容物を取り出し、80℃で約6時間乾燥した後、篩過して造粒物を得た。この造粒物にブドウ糖、クエン酸及び炭酸水素ナトリウムを配合し製剤を得た。
【0044】
【比較例1】
表5に示す各原料を使用した。
【0045】
【表5】
塩化ナトリウム 212.72 kg
塩化カリウム 5.22 kg
塩化カルシウム 7.72 kg
塩化マグネシウム 3.56 kg
無水酢酸ナトリウム 17.23 kg
ブドウ糖 35.00 kg
リンゴ酸 5.87 kg
重炭酸ナトリウム 88.21 kg
先ず塩化ナトリウム、塩化カリウムを攪拌混合機を用いて混合し、別に調製した塩化カルシウム、塩化マグネシウムの水溶液(純水3.92L使用)を前記混和物に添加し混合した。さらに無水酢酸ナトリウムを加え混合した。次に内容物を取り出し、棚段乾燥機にて160℃で約6時間乾燥させたのち篩過して造粒物を得た。この造粒物にブドウ糖、リンゴ酸及び炭酸水素ナトリウムを配合し製剤を得た。
【0046】
【比較例2】
表6に示す各原料を使用した。
【0047】
【表6】
塩化ナトリウム 224.99 kg
塩化カリウム 5.22 kg
塩化カルシウム 7.72 kg
塩化マグネシウム 3.56 kg
ブドウ糖 35.00 kg
クエン酸 5.60 kg
重炭酸ナトリウム 88.21 kg
クエン酸イオン:カルシウムイオン=0.83:1 (当量比)
先ず塩化ナトリウム、塩化カリウムを攪拌混合機を用いて混合し、別に調製した塩化カルシウム、塩化マグネシウムの水溶液(純水3.92L使用)を前記混和物に添加し混合した。次に内容物を取り出し、棚段乾燥機にて160℃で約6時間乾燥させたのち篩過して造粒物を得た。この造粒物にブドウ糖、クエン酸及び炭酸水素ナトリウムを配合し製剤を得た。
【0048】
【比較例3】
表7に示す各原料を使用し混合した。
【0049】
【表7】
以下に、本発明製剤である実施例1〜3と比較例1、2とを比較することにより、より詳細に本発明製剤の特性を説明する.
先ず、粉末状態に於ける安定性試験の結果を表8に示す。実施例1〜3及び比較例1、2の製剤をアルミ袋に充填し、ヒ−トシ−ルにて密封後、40℃(RH75%)下で保存し試験を行った。なお、pHは、堀場製作所製pHメ−タ− F−13を使用し、5−ヒドロキシメチルフルフラール吸光度(5−HMF Abs)は日立製作所製分光光度計U−3210を使用し284nmにおける吸光度を測定した。
【0050】
【表8】
クエン酸ナトリウムを使用した実施例1〜3は15%濃厚液の調製が可能であり、調製後も長時間安定であった。しかも粉末保存における安定性も良好で、pH変動がほどんどみられず、ブドウ糖の安定性も優れていた。それに対し、クエン酸ナトリウムを使用していない比較例1、2は最大溶解濃度が低く、特に比較例2はpHの上昇及びブドウ糖の劣化が顕著であった。
【0051】
次に実施例1から3の製剤を15%濃厚液として調製し、それを希釈して透析液濃度としたもののpHを表9に示す。
【0052】
【表9】
このように透析液濃度におけるpHは全て7.2〜7.4の適正範囲内であり、これより、本製剤は15%濃厚液として調製後、至適濃度に希釈して使用することのできる製剤であることが分かる。
【0053】
次に実施例1と比較例3の溶解試験を行った。
【0054】
実施例1の溶解試験は、1〜15%の範囲で溶解後の液を観察した。
【0055】
比較例3は、表7の混合粉末8.2gに対し炭酸水素ナトリウム2.5gの比率で1〜6%の範囲で溶解後の液を観察した。
【0056】
結果を以下に示す。
【0057】
比較例3
1%: 24時間以上澄明に安定
2%: 4時間で白濁
4%: 1時間で白濁
6%: 溶解時に白濁
実施例1
1%: 24時間以上澄明に安定
2%: 24時間以上澄明に安定
4%: 24時間以上澄明に安定
6%: 24時間以上澄明に安定
10%: 24時間以上澄明に安定
15%: 24時間以上澄明に安定
上記のように、実施例1においては、1〜15%の範囲で24時間以上澄明を維持したが、比較例では、2%以上に於いて全て短時間で沈殿物を生じた。比較例3は代表的な2剤型重炭酸透析剤の処方で、粉末を個別に溶解した場合は安定であるが、1液で高濃度に溶解することはできない。
【0058】
最後に実施例1で得られた製剤を用いて透析液を調製したときの溶解時のpHの変化を図1に示す。
【0059】
このように本製剤は微酸性から中性のpH領域において緩やかにpHを上昇させながら溶解することがわかる。このようなpH領域で調製するため、溶解時における難溶性の炭酸塩生成はさらに困難な状態にあるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた製剤を用いて透析液を調製したときの溶解時のpHの変化を示すグラフである。
Claims (4)
- 希釈して重炭酸透析液を調製するための濃厚液であって、前記重炭酸透析液がカルシウム塩を含む電解質組成物、pH調整剤、炭酸水素ナトリウムおよび任意成分としてブドウ糖を含有し、前記電解質組成物がクエン酸のナトリウム塩を含み、かつ前記重炭酸透析液におけるクエン酸イオン濃度がカルシウムイオンの2.8〜4倍(当量比)であり、前記濃厚液における溶質総量の濃度が2〜15%である濃厚液。
- pH調整剤が、クエン酸、リンゴ酸、グルコノデルタラクトン、アジピン酸、こはく酸及び酒石酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の固体有機酸である請求項1に記載の濃厚液。
- 溶質総量の濃度が5〜15%である請求項1又は2に記載の濃厚液。
- 溶質総量の濃度が10〜15%である請求項1〜3のいずれかに記載の濃厚液。
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