JP3944402B2 - 抹茶を用いた飲食物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、抹茶、マルトースおよびカルシウム剤を用いた飲食物の製造方法と、その製造方法で得られる飲食物、さらには、抹茶を用いた飲食物製造用の抹茶製剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
抹茶は、味、香り、色彩が好ましいことから、飲用のみだけでなく、各種加工飲食物への添加材料として用いられている。しかしながら、抹茶は水系媒体に浸漬した際に、微粒子同士がくっつき合う性質を有するため、いわゆるダマを形成しやすく、分散・溶解の作業に手間がかかる。さらに、抹茶の緑色色素は空気との接触による酸化や、加熱処理などによって褪色しやすく、抹茶を配合させる飲食物への用途が制限されている。このような抹茶の物性を改善する方法としては、抹茶を砂糖やデキストリンの粉末に倍散する方法が知られている。しかしながら、この方法によるときには甘味が強くなるなど、抹茶本来の風味が失われる恐れがあるうえに、緑色褪色の防止効果は全く期待できない。一方、クロレラ、熊笹エキス、他の緑色色素などを添加することによって、緑色を補強し褪色を防止する方法も考えられるものの、色調、風味が抹茶本来のものと異なるので、得られるものが商品として好ましいとは言い難い。このような抹茶の有する難点を解決するために、特開平10−165094号公報には、抹茶をグルコマンナン−カラギーナン架橋物、サイクロデキストリンおよび起晶性糖類によって包埋する方法が提案されてはいるが、その方法は極めて煩雑であるうえに、製造工程において抹茶の風味の劣化が懸念される。また、市販の抹茶製剤には抹茶の緑色保持効果に優れたものがほとんど見あたらないのが現状である。
【0003】
一方、粉末茶へのマルトースの利用に関しては、特開2002−10737号公報に記載されているように、粉末状乃至粒状緑茶組成物の製造において、トレハロースに加えて「麦芽糖」を配合することにより成形物を成形し易くする方法が提案されている。しかしながら、この提案においては「麦芽糖」は成形助剤として利用されているのみで、粉末状乃至粒状緑茶組成物の成形したものについての褪色防止効果は専らトレハロースによるものであるとされている上に、飲食物に応用した場合の緑色保持に与える影響については、全く記載されていない。また、配合する「麦芽糖」については、マルトース(麦芽糖)または還元麦芽糖(マルチトール)のいずれであるか不明であるのみならず、それの形態(含水結晶、無水結晶、または非晶質)についても全く不明である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、抹茶を用いた飲食物の製造方法と、その製造方法で得られる飲食物、さらには、抹茶を用いた飲食物製造用の抹茶製剤を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は抹茶の持つナチュラルな健康食品又は健康嗜好物としての特性に着目し、この特性を損うことなく、抹茶の緑色保持性を改善する方法について鋭意研究してきた。その結果、抹茶を用いた飲食物製造の際、抹茶とともに、マルトースおよびカルシウム剤、望ましくは牡蠣殻由来のカルシウム剤を特別な操作を施すことなく混合し含有させるだけで、抹茶の水系媒体への分散・溶解性を著しく改善できること、および、抹茶を用いた飲食物における緑色保持性を改善することを見出し、本発明を完成するに至った。また、本発明の抹茶製剤は、それ自体を粉末飲料として提供する場合はもとより、各種加工飲食物へ配合するに際しても極めて有利な特徴を有している。
【0006】
【発明の実施の形態】
通常、抹茶は緑茶の一種であるてん茶の茶葉を粉末化したものの呼称である。本発明の抹茶製剤に適用される抹茶としては、てん茶に限らず、煎茶、玉露などの緑茶を粉末化したものであってもよい。従って、本発明でいう抹茶とは粉末状の緑茶全般を指し示すものである。
【0007】
マルトース(麦芽糖)は、2分子のグルコースがα−1,4結合してなる二糖類であって、砂糖の約3分の1の甘味度を有する糖質である。マルトースは、還元末端側グルコース1位の水酸基のアノマー型が、主としてα−型である無水結晶マルトースと、β−型である含水結晶マルトースが知られており、いずれも大量生産技術が確立され、市販されている。本発明で用いられるマルトースの形態は、無水結晶、含水結晶を問わず粉末状であれば良く、本発明の効果を有するものである限り、マルトースの由来、純度、調製方法は特に限定されない。例えば、株式会社林原商事販売の無水結晶マルトース(商品名『ファイントース』、固形物当りのマルトース純度94w/w%以上)や、含水結晶マルトース(商品名『サンマルト−S』、固形物当りのマルトース純度92w/w%以上、スプレードライ結晶粉末)などが有利に用いられる。とりわけ、本発明の抹茶を用いた飲食物製造に際して問題となるダマの形成抑制や、分散・溶解性に着目すると含水結晶マルトースの使用よりも無水結晶マルトースの使用がはるかに優れている。
【0008】
本発明で用いるカルシウム剤は、マルトースと共存し、抹茶の緑色を保持する必須成分であって、併せて、食品にカルシウム成分を補強することのできる食品素材である。カルシウム成分を豊富に含有する天然原料としては、例えば、牡蠣殻、サンゴ、海藻、乳清、骨などや、またはこれら天然原料の加工物若しくは粗抽出物であっても、また、予め単離精製されたカルシウムを他のミネラルと任意の比率で配合したものであってもよく、さらにそれらの混合物であってもよい。カルシウム剤に配合するミネラルとしては、カルシウムだけでなく、例えば、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、マンガン、リン、鉄、亜鉛の可食性の塩類を1種又は2種以上を含むものを用いてもよい。カルシウム剤の形態としては本発明の効果が発揮されるのであれば、その形態は問わない。一般的には、水系媒体によって速やかに溶解可能なものが望ましく、例えば、粉末状又は顆粒状のものが用いられる。本発明においては、カルシウム剤としては、カルシウムを多く含むものが望ましく、約10w/w%(以下、本明細書ではw/w%を%と略称する。)以上含むものが好適である。とりわけ牡蠣殻由来のカルシウム(牡蠣殻焼成カルシウム)を多く含むものが望ましく、例えば、天然牡蠣殻を原材料とし、カルシウムを約58%含有する『ハイセア−S』(カイホウ株式会社製造販売)が有利に利用できる。
【0009】
本発明で用いるマルトースおよびカルシウム剤の使用量としては、抹茶に対して、マルトースを無水物換算で10乃至1000%、望ましくは50乃至800%、さらに望ましくは100乃至600%、カルシウム剤を0.02乃至200%、望ましくは0.1乃至100%、さらに望ましくは0.5乃至50%含有させるのが望ましい。上記使用量に満たない場合には本発明の効果が充分に発揮されず、また、多すぎてもさほど効果に違いがないうえに、それらを含有させた飲食物の風味を損なうことが危惧されるので、好ましくない。場合によっては、カルシウム剤が多すぎると、配合して調製した飲食物のpHの上昇をまねくことがあり、緑色の褪色、褐変、または風味の劣化を促進したりするので、抹茶本来の色調、風味保持のためには避けるべきである。飲食物に利用する場合には、そのpHを、望ましくは8以下、さらに望ましくはpH7.5以下になるよう添加量を調整するのがよい。
【0010】
本発明の抹茶、マルトース、カルシウム剤は、抹茶を用いた各種飲食物製造に際して、その製造工程中の任意の段階において、それぞれを別々に用いても、また、いずれか2種を混合した後に用いても、更には3種の全てを予め混合した抹茶製剤として用いてもよい。本発明において「用いる」とは、例えば、混和、混捏、分散、溶解、浸漬、浸透、散布、塗布、被覆、噴霧、注入など公知の方法から適宜選ばれる方法によって、各種飲食物の製造工程中の任意の段階において使用されることを意味する。抹茶、マルトース、及びカルシウム剤の3者の全てを予め混合した抹茶製剤の製造方法としては、常法により製造された抹茶にマルトースおよびカルシウム剤を均一に混合できる方法であればよく、従来公知の混合、混練方法を適宜用いることができる。また、抹茶およびマルトースは、用途および粉末化技術に応じてそれらの粒径を決定すれば良い。さらに、必要に応じて、本発明の目的を損なわない限り、食品に通常用いられる成分、例えば、糖質、アミノ酸、ビタミン、食物繊維、蛋白質、核酸、油脂、色素等の1種又は2種以上をさらに配合してもよい。本発明の抹茶製剤の形態は通常粉末状であり、計量スプーンや計量カップなどで秤量して用いられるが、所望により、適宜な量を分包してもよく、この場合、可食性および水溶性のフィルムで包装すれば、そのまま水系媒体に投入できるので有利である。さらには適宜な分散剤、崩壊剤、結合剤、カプセル基剤などを用いて、顆粒、錠剤、フィルム、カプセルなどの形状としてもよい。
【0011】
本発明の抹茶製剤の使用方法としては、本発明の抹茶製剤を、水、食塩水、海水、牛乳、アルコール、果汁、スープ、クリーム、各種抽出液などの水系媒体に分散・溶解した後、これをそのまま飲用に供したり、凍結、乾燥処理を施したり、あるいは、飲食物の任意の製造工程中に他の成分と混合すればよい。また、場合によっては、使用時に粉末状のまま飲食物に混合したり、その表面にふりかけることもできる。また、本発明の抹茶製剤の添加量としては、飲食物の種類によって適宜決定すればよく、通常、飲食物中に、0.00001%〜99%含有させる。
【0012】
本発明の抹茶製剤の用途としては、緑茶飲料をはじめとし、各種粉末飲料、粉末スープ、粉末調味料などとして使用可能である。また、着色、香付け、味付け、風味付け、栄養補強などを目的として各種飲食物に配合することもできる。例えば、茶飲料、ハーブティー、炭酸飲料、スポーツ飲料、アルコール飲料、コーヒー飲料、ココア飲料、果実ジュース、野菜ジュース、青汁などの飲料、アイスクリーム、かき氷、ゼリーなどの冷菓、餅、飴、餡、饅頭、大福、ワラビ餅、羊羹、ういろうなどの和菓子、プリン、クッキー、ビスケット、ケーキ、キャンディ、チューインガム、チョコレート、ババロアなどの洋菓子、カスタードクリーム、バタークリームなどのクリーム類、うどん、そば、素麺、冷麦などの麺類、マカロニ、スパゲッティなどのパスタ類、カマボコ、ちくわ、はんぺんなどの水産練製品、おにぎり、おこわ、赤飯、炒飯などの米飯加工品、ハム、ソーセージなどの畜産加工品、牛乳、練乳、ヨーグルト、バター、チーズなどの乳製品、豆腐、卵焼き、シュウマイ、春巻き、餃子、ハンバーグ、寿司、天ぷら、フライなどの各種加工食品を例示することができる。
【0013】
次に、本発明の作用効果を実験例で説明する。
【0014】
【実験1】
<抹茶飲料の緑色保持効果>
抹茶として、市販の抹茶(朝比奈1号、株式会社銘葉製造販売)を、マルトースとして無水結晶マルトース(商品名『ファイントース』、株式会社林原商事販売)を、カルシウム剤としてサンゴカルシウム(商品名『コーラルパウダー』、協和ハイフーズ株式会社販売)または牡蠣殻焼成カルシウム(商品名『ハイセア−S』、カイホウ株式会社製造販売)を用いて、表1に示す配合で混合し、80℃で10分間加熱した後、冷却して抹茶飲料を4種類調製した。抹茶のみを用いたものを対照1とし、また、抹茶とともに無水結晶マルトースを用いたものを対照2とした。調製した抹茶飲料を500mlのビーカーに入れ、30分間放置して得た液の緑色保持効果を、肉眼観察によって、もっとも抹茶の緑色が鮮やかであった抹茶飲料4との比較で評価し、その結果を表1にあわせて示した。
【0015】
【表1】
【0016】
表1に示したように、無水結晶マルトースに加え、カルシウム剤として牡蠣殻焼成カルシウムを配合した抹茶飲料4(本発明)は、緑色の褪色が極めて少なく、とりわけ鮮やかな緑色を有しており、優れた緑色保持効果が発揮された。抹茶飲料4に比べて、抹茶のみ用いた抹茶飲料1(対照1)は褪色が激しく、また無水結晶マルトースのみを配合した抹茶飲料2(対照2)は緑色の褪色速度は抑制されたものの、明らかに褪色は進行した。また、無水結晶マルトースに加え、カルシウム剤としてサンゴカルシウムを配合した抹茶飲料3(本発明)は、抹茶飲料4に比べやや褪色したが、褪色がほとんどなく、緑色保持効果が認められた。
【0017】
【実験2】
<抹茶プリンの緑色保持効果>
市販の抹茶(朝比奈1号、株式会社銘葉製造販売)を用いて、表2に示す配合で抹茶プリンを3種類調製した。まず、ゲル化剤(商品名『A−KS9』、関東食研株式会社販売)、乳化剤(商品名『リョートーシュガーエステルP−1670』、三菱化学フーズ株式会社販売)およびグラニュー糖を混合し、これに市販の牛乳を加えて攪拌し、加熱しながら溶解させ、85℃で5分間保持した。これに表2の配合に従い抹茶、無水結晶マルトース(商品名『ファイントース』、株式会社林原商事販売)、カルシウム剤としてサンゴカルシウム(商品名『コーラルパウダー』、協和ハイフーズ株式会社販売)または牡蠣殻焼成カルシウム(商品名『ハイセア−S』、カイホウ株式会社製造販売)を添加して分散、溶解させ、重量調整、pH確認を行った後、ホモジナイザー処理(50kg/cm2以下)を行った。これを85℃で20分加熱滅菌し、プリン容器に充填した後、冷却して15℃に保った暗所で保存した。本実験では抹茶とともに無水結晶マルトースのみを用いた抹茶プリン1を対照とした。
【0018】
【表2】
【0019】
調製した抹茶プリンを15℃、暗所で保存し、保存開始直前(始発)、及び、保存3,5,7,10日目の緑色を、全自動色差計(商品名『TC−8600A』、東京電色株式会社製造)を用いて、色差をa値(値が大きいほど赤色が強い)を指標として測定した。抹茶の色は、緑色が減少するにつれて赤色が増加する傾向にあることから、赤色が増加することは緑色が褪色することを意味する。結果を表3に示す。
【0020】
【表3】
【0021】
表3から明らかなように、抹茶に無水結晶マルトースのみを配合した抹茶プリン1(対照)に比べ、抹茶、無水結晶マルトースに加えカルシウム剤を配合した抹茶プリン2および3(本発明)は、保存10日におけるa値が低く、緑色をよく保持していた。また、カルシウム剤を配合した抹茶プリン2と3との比較では、牡蠣殻焼成カルシウムを配合した抹茶プリン3の方が、緑色の褪色が少なく、とりわけ鮮やかな緑色を保持していた。
【0022】
実験1および実験2の結果から、本発明によれば、抹茶に対して、マルトースおよびカルシウム剤を、好ましくは無水結晶マルトースおよび牡蠣殻由来のカルシウム剤を含有させることで、従来に比べて緑色保持効果に優れた、抹茶を用いた飲食物を製造できることが明らかとなり、その用途は広く、各種飲食物に有利に利用できる。
【0023】
以下に具体的な実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0024】
【実施例1】
<抹茶配合緑茶飲料>
L−アスコルビン酸を0.05%になるように添加した60℃の温水200重量部に緑茶(煎茶)5重量部を加えて抽出し、この抽出品をろ過した後、水800重量部を加えて希釈した。次いで、この希釈液にL−アスコルビン酸を0.02%になるよう溶解し、さらに、抹茶(朝比奈1号、株式会社銘葉製造販売)、無水結晶マルトース(商品名『ファイントース』、株式会社林原商事販売、マルトース純度94%以上)および牡蠣殻焼成カルシウム(商品名『ハイセア−S』、カイホウ株式会社製造販売、カルシウム約58%含有)をそれぞれ0.2w/v%、0.3%w/v%および0.005w/v%になるよう溶解した。この茶溶液のpHを確認後、殺菌して、500ml容ペットボトルに無菌的に充填し、ボトル入り抹茶配合緑茶飲料を調製した。本抹茶配合緑茶飲料は緑茶本来の色に加え、抹茶の上品な緑色を有する風味豊かな高品質の茶飲料であり、緑色保持性にも優れていた。
【0025】
【実施例2】
<抹茶アイスクリーム>
常法に従って表4に示す配合のアイスクリームを製造した。オーバーラン(微細な気泡による体積の増加分)は47%とし、配合原料を混合後に80℃で5分間攪拌混合した。その結果、抹茶、無水結晶マルトース(商品名『ファイントース』、株式会社林原商事販売、マルトース純度94%以上)および牡蠣殻焼成カルシウム(商品名『ハイセア−S』、カイホウ株式会社製造販売、カルシウム約58%含有)が配合されている本発明のアイスクリームは、抹茶のみ(対照1)を配合したアイスクリームよりも抹茶の緑色が鮮やかであった。また、牡蠣殻焼成カルシウムを加えず、抹茶と無水結晶マルトースの2種を配合したアイスクリーム(対照2)は、対照1よりは緑色を良く保持していたものの、本発明のアイスクリームに比較すると緑色の鮮やかさが劣っていた。よって、本発明の抹茶への無水結晶マルトースおよび牡蠣殻焼成カルシウムの配合はアイスクリーム製造時における抹茶の緑色褪色を防止することが明らかとなった。さらに、そのアイスクリーム透明容器に充填し、−20℃で1ヶ月明所で保存したところ、対照1のアイスクリームは褪色がかなり進んでおり、対照2のアイスクリームについても対照1ほどではないが褪色していた。ところが、本発明のアイスクリームはほとんど褪色しておらず、抹茶本来の鮮やかな緑色を良く保持していた。なお、アイスクリーム原料の混合時において、抹茶のみを配合した場合は、ダマが大量に発生し、分散・溶解が困難であったが、対照2も含め無水結晶マルトースを含有する抹茶製剤を配合した場合では、ダマの生成が少なく、分散・溶解が容易であった。
【0026】
【表4】
【0027】
【実施例3】
<抹茶製剤>
市販の抹茶(朝比奈1号、株式会社銘葉製造販売)15重量部、無水結晶マルトース粉末(商品名『ファイントース』、株式会社林原商事販売、マルトース純度94%以上)30重量部、カルシウム剤として牡蠣殻焼成カルシウム(商品名『ハイセア−S』、カイホウ株式会社製造販売、カルシウム約58%含有)0.4重量部を常法にしたがって混合し、抹茶製剤を得た。
【0028】
本発明の抹茶製剤は、味、香り、色彩に優れており、かつ、分散・溶解性が改善されているので、湯、冷水、牛乳などに溶解して飲用したり、各種食品に対して添加剤として有利に用いることができる。
【0029】
【実施例4】
<抹茶製剤>
市販の抹茶(朝比奈1号、株式会社銘葉製造販売)15重量部、含水結晶マルトース粉末(商品名『サンマルト−S』、株式会社林原商事販売、マルトース純度92%以上)18重量部、カルシウム剤として牡蠣殻焼成カルシウム(商品名『ハイセア−S』、カイホウ株式会社製造販売、カルシウム約58%含有)0.3重量部を常法にしたがって混合し、抹茶製剤を得た。
【0030】
本発明の抹茶製剤は、味、香り、色彩に優れており、かつ、分散・溶解性が改善されているので、湯、冷水、牛乳などに溶解して飲用したり、各種食品に対して添加剤として有利に用いることができる。
【0031】
【実施例5】
<抹茶スポンジケーキ>
実施例3で調製した抹茶製剤を用い、表5に示した配合の抹茶スポンジケーキを製造した。まず、全卵を溶きほぐし、グラニュー糖、牛乳を加えて、40℃に加温し、比重0.25までホイップした。次いでこれに、篩った薄力粉と抹茶製剤とを加え、混ぜ合わせた後、生地400gを型に流し入れて、上火180℃、下火140℃で27分間焼成した。型からはずして冷却した後、ラップで包み5℃の冷蔵庫内に3日間、保存した。
【0032】
【表5】
【0033】
その結果、無水結晶マルトースおよび牡蠣殻焼成カルシウムが配合されている抹茶製剤を配合した抹茶スポンジケーキ(本発明)は、対照と比較して、焼成直後の緑色が鮮やかであった。また、冷蔵庫内に3日保存した後において、抹茶のみ用いた対照のスポンジケーキは緑色が褪色していたが、本発明の抹茶スポンジケーキではその緑色は良く保持されており、ソフトな食感もよく維持されていた。
【0034】
【実施例6】
<抹茶ういろう>
実施例4で調製した抹茶製剤を用いて、表6に示した配合の抹茶ういろうを調製した。まず、鍋に砂糖、食塩、水1を加えて沸騰させ、上新粉を入れたミキサーに少しずつ加えて混捏し、得られた生地に抹茶製剤と水2を加えてさらに混捏した。練り上げたういろう生地を蒸し器に入れ、約40分間蒸した後、冷却して得られたういろうを室温で2日間、保存した。
【0035】
【表6】
【0036】
その結果、含水結晶マルトースおよび牡蠣殻焼成カルシウムが配合されている抹茶製剤を配合した抹茶ういろう(本発明)は、対照と比較して、調製直後の緑色が鮮やかであった。また、抹茶のみ用いた対照のういろうでは室温保存1日で褪色が認められたが、本発明のういろうは室温で2日保存後においても、ほとんど褪色は認められず、緑色が良く保持されていた。
【0037】
【実施例7】
<抹茶ミルク>
牛乳200重量部に上白糖12重量部、実施例3で調製した抹茶製剤4.5重量部を添加し、加熱しながら分散、溶解させた後冷却した。次いで、この溶液を殺菌して、500ml容ペットボトルに無菌的に充填し、ボトル入り抹茶ミルクを調製した。本抹茶ミルクは抹茶本来の緑色を有する高品質の飲料であり、緑色保持にも優れていた。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、抹茶、マルトースおよびカルシウム剤、望ましくは牡蠣殻由来のカルシウム剤を特別な操作を施すことなく含有させるだけで、緑色が鮮やかでありかつ長期間安定に保持される飲食物を製造できる。本発明は抹茶を用いる飲食物の製造に広範囲に適用可能であり、得られる抹茶を用いた飲食物の緑色は鮮やかでありかつ長期間安定に保持される。また、本発明の抹茶製剤は、ダマになり易い抹茶の水系媒体に対する分散・溶解性を改善し、抹茶を用いた飲食物の製造または調理を極めて容易にすることができる。
Claims (7)
- 抹茶を水系媒体に浸漬する工程および/または抹茶を加熱処理する工程を含む抹茶を用いた飲食物の製造方法であって、抹茶を水系媒体に浸漬するか、抹茶を加熱処理するに際し、抹茶に対して、マルトースを10乃至1000w/w%およびカルシウム剤を0.02乃至200w/w%混合し含有させることを特徴とする抹茶を用いた飲食物の製造方法。
- マルトースが無水結晶マルトースまたは含水結晶マルトースである請求項1記載の抹茶を用いた飲食物の製造方法。
- カルシウム剤が牡蠣殻由来のものである請求項1または2記載の抹茶を用いた飲食物の製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法によって得られる抹茶を用いた飲食物。
- 抹茶と、抹茶に対して、マルトースを10乃至1000w/w%およびカルシウム剤を0.02乃至200w/w%とを含有することを特徴とする、抹茶を水系媒体に浸漬するか、抹茶を加熱処理する工程を経て製造される抹茶を用いた飲食物の製造のための抹茶製剤。
- マルトースが無水結晶マルトースまたは含水結晶マルトースである請求項5記載の抹茶製剤。
- カルシウム剤が牡蠣殻由来のものである請求項5または6記載の抹茶製剤。
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