JP3942046B2 - Tab用ベースフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、TAB(Tape Automated Bonding )と言われる半導体集積回路用テープ(以下TABテープと略す)に用いられるベースフィルムに関するものであり、更に詳しくは、スリット性、スルーホール性に優れたTAB用ベースフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
TABテープは、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミドフィルムなどの絶縁フィルム上に、接着剤層、保護層を設け、接着剤付きテープとした後に、概略以下の手順で製造される。
【0003】
▲1▼スリット工程
▲2▼スプロケットホール、デバイスホールなどのパンチング工程
▲3▼銅箔ラミネーティング、接着剤硬化工程
▲4▼銅箔パターン形成工程
▲5▼メッキ処理工程
この後、ICが搭載されて実装部材となる。
【0004】
TABテープは、その製造工程、実装工程で高温に曝され、また、パターンのファインピッチ化が要請されるため、低熱膨張係数、高弾性率を具備した芳香族ポリアミドや、芳香族ポリイミドなどの耐熱性フィルムをベースフィルムとして使用することが提案されている(例えば、特開平4ー30442や特開平5ー148458など)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
TABテープは、前述したようにスリット、パンチング工程を経て製造されるが、高弾性率の芳香族ポリアミドや芳香族ポリイミドをスリット、パンチングする場合には、切断面に”バリ”や”裂け目”が発生したり、ポリマの脱落であるいわゆる”切り粉”が発生したりする。バリや、裂け目が発生するとスリット時において搬送が不安定になったり、切断面が盛り上がり巻き取られたテープ(パンケーキ)の巻き崩れ、端面ずれが発生することがある。また、パンチング時においてはフィルムが裂けて使用できなくなったり、ICとの接続不良を起こす場合がある。切り粉が発生すると不導体の異物となるため銅箔パターン形成が阻害される場合がある。
【0006】
本発明はかかる問題点を解決し、スリット性、パンチングによるスルーホール性の良好な芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミドからなるTAB用ベースフィルムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、厚み方向の屈折率nz≧1.50、長手方向および幅方向の屈折率nx、nyが、
0.1≦(nx−nz)≦0.6
0.1≦(ny−nz)≦0.6
を充たし、且つ、分子量1000以下のオリゴマーの重量分率が0.5%以下であり、芳香環がパラ位で結合されたものが全芳香環の50%以上を占める芳香族ポリアミドからなるTAB用ベースフィルムとするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の芳香族ポリアミドとは、次の一般式(I)および/または一般式(II)で表される繰り返し単位を50モル%以上含むものが好ましく、70モル%以上からなるものがより好ましい。
【0009】
一般式(I)
【化1】
一般式(II)
【化2】
ここで、Ar1 、Ar2 、Ar3 は 例えば、
【化3】
などが挙げられ、X、Yは
−O−,−CH2 −,−CO−,−SO2 −、−S−,−C(CH3 )2 −
等から選ばれるが、これに限定されるものではない。更にこれらの芳香環上の水素原子の一部が、塩素、フッ素、臭素などのハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メチル、エチル、プロピルなどのアルキル基(特にメチル基)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどのアルコキシ基などの置換基で置換されているものも含み、また、重合体を構成するアミド結合中の水素が他の置換基によって置換されているものも含む。
【0010】
特性面からは上記の芳香環がパラ位で結合されたものが、全芳香環の50%以上、好ましくは75%以上を占める重合体が、剛性、耐熱性が良好でTABテープの薄膜化、パターンのファインピッチ化が実現できるため好ましい。
【0011】
本発明の芳香族ポリアミドは、一般式(I)および/または一般式(II)で表される繰り替えし単位を50モル%以上含むものであって、50モル%未満は他の繰り替えし単位が共重合、またはブレンドされていても差し支えない。
【0012】
本発明における芳香族ポリイミドとは、重合体の繰り返し単位の中に芳香環とイミド環を1つ以上含むものであり、一般式(III)および/または一般式
(IV)で示される繰り返し単位を50モル%以上含むものが好ましく、より好ましくは70モル%以上である。
【0013】
一般式(III)
【化4】
一般式(IV)
【化5】
ここでAr4 、Ar6 は少なくとも1個の芳香環を含み、イミド環を形成する2つのカルボニル基は芳香環上の隣接する炭素原子に結合している。このAr4 は、芳香族テトラカルボン酸あるいはこの無水物に由来する。代表例としては次の様なものが挙げられる。
【0014】
【化6】
ここでZは
−O−,−CH2 −,−CO−,−SO2 −,−S−,−C(CH3 )2 −
等から選ばれる。
【0015】
また、Ar6 は無水カルボン酸あるいはこのハライドに由来する。Ar5 、Ar7 は例えば
【化7】
などが挙げられ、X、Yは
−O−,−CH2 −,−CO−,−SO2 −,−S−,−C(CH3 )2 −
等から選ばれるが、これに限定されるものではない。更にこれらの芳香環上の水素原子の一部が、塩素、フッ素、臭素などのハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メチル、エチル、プロピルなどのアルキル基(特にメチル基)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどのアルコキシ基などの置換基で置換されているものも含む。
【0016】
本発明の芳香族ポリイミドは、一般式(III)および/または一般式(IV)で表される繰り替えし単位を50モル%以上含むものであって、50モル%未満は他の繰り替えし単位が共重合、またはブレンドされていても差し支えない。
【0017】
また本発明の芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミドには、フィルムの物性を損なわない程度に滑剤、酸化防止剤その他の添加剤等がブレンドされていてもよい。
【0018】
本発明のTAB用ベースフィルムは、厚み方向の屈折率nz≧1.50、長手方向および幅方向の屈折率nx,nyが、
0.1≦(nxーnz)≦0.6
0.1≦(nyーnz)≦0.6
を充たす必要がある。好ましくは、
0.2≦(nxーnz)≦0.4
0.2≦(nyーnz)≦0.4
である。
【0019】
屈折率がこの範囲にある場合には、面内方向と厚み方向の屈折率のバランスが良く良好なスリット性、スルーホール性を示す。nz<1.50であると、スリット性、スルーホール性が悪化するだけでなく、フィルムの吸湿性が高くなるため接着性、絶縁性が悪化するためTAB用ベースフィルムとして適さなくなる。また、(nx−nz)、(ny−nz)が0.1未満であると切断面のバリが発生することがある。また、(nx−nz),(ny−nz)が0.6を超えるとフィルムに裂け目、バリが発生し易くなるだけでなく、フィルムが脆くなり実用に適さなくなることがある。
【0020】
また、本発明のTAB用ベースフィルムは、分子量1000以下のオリゴマーの重量分率が0.5%以下である必要がある。0.5%を超えると、スリット時、パンチング時にバリや裂けが発生しやすくなるだけでなく、切り粉が発生しやすくなり不導体の異物となるためにパターン形成が阻害されることがある。好ましくは、0.2%以下、更に好ましくは0.1%以下である。
【0021】
また、nx,nyはともに1.70以上2.30以下であると、スリット性、スルーホール性がより良好になり、また、TAB用ベースフィルムとして充分な剛性と柔軟性を両立できるため好ましい。より好ましくは1.80以上2.20以下である。
【0022】
また、本発明のTAB用ベースフィルムは、ヤング率が、長手方向、幅方向ともに800kg/mm2 以上であると抗張力性、腰強さが高く、TAB製造時の搬送特性が良好となり、また、薄膜化を実現できるので好ましい。より好ましくは1000kg/mm2 以上、更に好ましくは1200kg/mm2 以上である。
【0023】
また、本発明のTAB用ベースフィルムは、厚みが15〜150μm程度で用いられるが、小型化要求のための薄膜化要請、フィルム強度、ハンドリング性などのバランスから15〜125μm程度がより好ましく、更に好ましくは25〜75μm程度である。
【0024】
本発明のTAB用ベースフィルムは長手方向、幅方向の伸度がともに10%以上であるとフィルムに適度な柔軟性を与えることが出来るので好ましい。より好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上である。
【0025】
本発明のTAB用ベースフィルムの200℃における熱収縮率は、5%以下であるとFPC等への加工時に要求される耐ハンダ性が向上するので好ましい。より好ましくは3%以下である。
【0026】
本発明のTAB用ベースフィルムの吸湿率は、4%以下であると吸湿による接着性の低下、寸法変化を抑えることができるので好ましい。より好ましくは3%以下、更に好ましくは2%以下である。
【0027】
本発明のTAB用ベースフィルムには、フィルムの物性を損なわない程度に滑材、酸化防止剤その他の添加剤等がブレンドされていてもよい。
【0028】
例えば、適度な粗さを持たせる目的でフィルム中に粒子を存在させても差し支えない。粒子の種類としては、SiO2 、TiO2 、Al2 O3 、CaSO4 、BaSO4 、CaCO3 、カーボンブラック、ゼオライトその他の金属微粉末などの無機粒子や、シリコン粒子、ポリイミド粒子、架橋共重合体粒子、架橋ポリエステル粒子、架橋ポリスチレン粒子、テフロン粒子などの有機高分子などがあるが、芳香族ポリアミドあるいは芳香族ポリイミドフィルムの耐熱性を活かす点から耐熱性の優れた無機粒子の方がより好ましい。粒子径としては、0.01〜2.0μm、より好ましくは0.05〜1.0μmであることが望ましい。また、含有量としては、0.01〜10wt%、より好ましくは0.1〜5wt%であることが望ましい。
【0029】
なお本発明のフィルムは、積層フィルムであってもよい。例えば2層の場合には、重合した芳香族ポリアミド溶液を二分し、それぞれ異なる粒子を添加した後、積層する。さらに3層以上の場合も同様である。これら積層の方法としては、周知の方法たとえば、口金内での積層、複合管での積層や、一旦1層を形成しておいてその上に他の層を形成する方法などがある。
【0030】
次に本発明の製造方法を説明するが、これに限定されるものではない。
【0031】
まず芳香族ポリアミドであるが、酸クロリドとジアミンから得る場合には、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性有機極性溶媒中で、溶液重合したり、水系媒体を使用する界面重合などで合成される。ポリマ溶液は、単量体として酸クロリドとジアミンを使用すると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどの無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の中和剤が使用される。また、イソシアネートとカルボン酸との反応は、非プロトン性有機極性溶媒中、触媒の存在下で行なわれる。
【0032】
これらのポリマ溶液はそのまま製膜原液として使用してもよく、あるいはポリマを一度単離してから上記の有機溶媒や、硫酸等の無機溶剤に再溶解して製膜原液を調製してもよい。
【0033】
製膜原液には溶解助剤として無機塩例えば塩化カルシウム、塩化マグネシム、塩化リチウム、硝酸リチウムなどを添加する場合もある。
【0034】
一方、芳香族ポリイミドあるいはポリアミド酸の溶液は次のようにして得られる。即ち、ポリアミド酸はNMP,DMAC,DMFなどの非プロトン系有機極性溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを反応させて調製することができる。また、芳香族ポリイミドは前記のポリアミド酸を含有する溶液を加熱したり、ピリジン等の触媒と無水酢酸などの脱水剤を添加してイミド化を行い、これを再度溶媒に溶解して製膜原液を調製できる。また、ポリアミド酸をそのまま製膜原液としても差し支えない。
【0035】
粒子の添加方法は、粒子を予め溶媒中に十分スラリ−化した後、重合用溶媒または希釈用溶媒として使用する方法や、製膜原液を調製した後に直接添加する方法などがある。
【0036】
ポリマの固有粘度は、0.5〜6.0であることが好ましく、より好ましくは1.0〜5.0、更に好ましくは1.5〜4.5である。固有粘度が0.5より小さいと分子量低下のため機械特性、吸湿性などのフィルム物性が損なわれるために好ましくない。また6.0より大きいと適切な溶液粘度を得るためにポリマ濃度を相当程度低くしたり、キャスト温度を上げねばならず、生産性が低下したり、フィルム物性を損なうことになる。
【0037】
ポリマ濃度は、上記溶液粘度を達成できる範囲内であれば高い方が生産性向上につながり望ましいが、現実的なプロセスの観点から5〜35%の範囲内である。
【0038】
なお本発明のフィルムは、積層フィルムであってもよい。例えば2層の場合には、重合した芳香族ポリアミド溶液を二分し、それぞれ異なる粒子を添加した後、積層する。さらに3層以上の場合も同様である。これら積層の方法としては、周知の方法たとえば、口金内での積層、複合管での積層や、一旦1層を形成しておいてその上に他の層を形成する方法などがある。積層フィルムの場合、それぞれの製膜原液の溶液粘度は、上記溶液粘度の範囲内であれば異なっていてもよいがその差が500ポイズ以下、より好ましくは300ポイズ以下であると、口金内、複合管内での流動特性、または他の層上への積層時の流動特性が均質になるために好ましい。
【0039】
上記のように調製された製膜原液は、いわゆる溶液製膜法によりフィルム化が行なわれる。溶液製膜法には製膜原液をエンドレスベルト、ドラム等の支持体にキャスト後乾燥、フィルムの剥離、熱処理を行う乾式法、製膜原液乾燥工程を経ずに直接水中に押し出し、溶媒抽出後熱処理を行う湿式法、支持体上で乾燥、フィルム剥離後湿式工程に導入する乾湿式法、支持体上で乾燥後支持体ごと湿式工程に導入する半乾半湿式法などがありいづれの方法で製膜されても差し支えないが、オリゴマー重量分率を低下させるためには、湿式工程を経る方法が好ましい。ここでは乾湿式法を例にとって説明する。
【0040】
乾湿式法で製膜する場合はまず該原液を口金からドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ薄膜が自己保持性をもつまで乾燥する。この乾式工程においては、まず1段目の乾燥において、100℃以下の比較的低温で乾燥させる。次に2段目の乾燥において、150℃以上の高温で残余の乾燥を行いフィルムに自己支持性を持たせる。この時、押し出し時、1段目の乾燥後、2段目の乾燥後のポリマー濃度をそれぞれa,b,cwt%とすると1段目の乾燥で70≦(1段目乾燥量:%)=(b−a)/(c−a)×100≦90となるまで乾燥を行う。乾燥を2段階で行う理由は、本発明の範囲の屈折率を得るために、まず1段目の低温乾燥により面内方向への急激な分子鎖配向を抑えたまま乾燥した後、次に2段目の高温乾燥により面内配向を促進することにより厚み方向の屈折率を本発明の範囲内にするためである。この乾式工程における乾燥は、1段目、2段目に相当する乾燥をそれぞれ2段以上の多段階で行ってもよい。
【0041】
上記乾式工程を終えたフィルムは湿式工程に導入され、ここでフィルム中に含有されているオリゴマや溶剤、不純物が除去される。この浴は一般に水系媒体からなるものであり、水の他に有機溶媒や無機塩等を含有していてもよい。しかし、一般には水分量は30%以上、好ましくは50%以上含有されているものであり、浴温度は通常0〜100℃で使用される。
【0042】
フィルム中の分子量1000以下のオリゴマーを本発明の範囲内にまで減少させるためには、浴温度を50℃以上に上げたり、有機溶媒あるいは有機溶媒/水系の浴を設けてこの中を通すことが有効である。有機溶媒としては、NMP、DMAC,DMFなどの非プロトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、フレオン等のハロゲン化炭化水素や、アルコール、ケトン、エーテル等の有機溶媒がある。
【0043】
また、これらの浴を連続的に使用してもよい。例えば、まず、NMPなどの有機溶媒と水からなる浴に浸漬後、クロロホルム、塩化メチレンなどに浴に浸漬させることができる。更にその後、水浴で再度水洗することにより、抽出を効果的に行うことができる。
【0044】
また本発明のTAB用ベースフィルムは、比較的厚膜であるため、フィルム内部に含有されている低分子量物を効果的に抽出するためには、湿式浴浸漬時間は5分以上であることが望ましい。より好ましくは10分以上であり、更に好ましくは15分以上である。
【0045】
湿式工程を出たフィルムはテンター内で乾燥、熱処理が行われてフィルムとなる。
【0046】
以上のように形成されるフィルムはその製膜工程中の湿式浴中、テンター内で面内配向性を上げ目的の屈折率を持つフィルムを得るために延伸が行われるが、延伸倍率は面倍率で1.0〜4.0(面倍率とは延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルム面積で除した値で定義する)の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは1.1〜3.0である。延伸倍率がこの範囲内であるとポリマーの面内配向性が進行し本発明の目的であるスリット性、スルーホール性の改善された、しかも優れた機械特性を兼ね備えたフィルムが得られるが、延伸倍率が4.0を超えるとフィルムの柔軟性が損なわれスリット、パンチング工程で裂けやすくなったり、屈曲性に劣る場合がある。また、延伸倍率が1.0より小さいと面内配向不足を招きやすい。
【0047】
フィルムはテンター内で熱処理が施されるが、熱処理は200〜450℃の範囲内で行われるのが好ましい。熱処理がこの温度以下であると乾燥不足、結晶化不足を招き充分な機械特性が得られない。またこの範囲以上であるとフィルムが脆くなり引き裂き性の低下等が見られ実用に適さなくなる場合がある。
【0048】
こうして得られたフィルムを巻き取って芳香族ポリアミドフィルムが得られ、本発明のTAB用ベースフィルムとすることができる。
【0049】
次に本発明のTAB用ベースフィルムを用いた実装部材の製造方法を説明するがこれに限定されるものではない。
【0050】
まず所定の幅にスリットされたポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイドなどの保護フィルム上に、エポキシ系、ポリアミド系などの接着剤を塗布、乾燥し、接着剤付き保護フィルムを得る。接着剤溶液の塗布厚みは7〜50μmが好ましい。次いで所定の幅にスリットされた芳香族ポリアミドまたは芳香族ポリイミドフィルムに上記接着剤付き保護フィルムを熱圧着により貼り合わせる。こうして得られた保護フィルム付きTAB用テープは、スプロケットホール、デバイスホール等がパンチングにより加工される。次いで保護フィルムを剥離しながら銅箔等とラミネートされる。一般的にラミネートは連続式加熱ロールプレス方式が用いられ、ロール温度100〜200℃、ロール線圧1〜50kg/cmの範囲で行われる。次いでロール巻きのまま接着剤の硬化が行われる。
【0051】
こうして得られた銅箔積層テープは、公知の方法によりパターン形成、メッキ処理が施され、ICが搭載されて実装部材となる。
【0052】
【実施例】
本発明の物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法による。
【0053】
(1)屈折率
長手方向および幅方向の屈折率測定には、ニコン(株)製位相差測定装置NPDM−1000を用いた。Xeランプを光源として測定波長590nmにて、光線を入射角70゜で試料に当てたときの反射光から屈折率を測定した。また、厚み方向の屈折率はアタゴ(株)製アッベの屈折率計4形を用い、NaのD線(589nm)を光源として中間液に屈折率1.79の硫黄ヨウ化メチレン溶液を用いて測定した。測定はいづれも25℃で行った。
【0054】
(2)オリゴマーの重量分率
ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)に、低角度レーザー光散乱光度形および示差屈折率計を組み入れ、GPC装置でサイズ分別された分子鎖溶液の光散乱強度および屈折率差を溶出時間を追って測定することにより、溶質の分子量と含有率を計算し求めた。
【0055】
(3)ポリマー濃度および1段目乾燥量
製膜原液および乾燥工程での各段階でのポリマー濃度は、採取したポリマーあるいは含溶媒フィルムの重量W3(g)を測定し、この後流水にて20分間脱溶媒、脱塩した後、300℃のオーブン中で10分間乾燥した後の重量W4(g)を測定し下記の式より算出した。
【0056】
【数1】
また、1段目乾燥量は、押し出し時、1段目乾燥後、2段目乾燥後の上記にて測定したポリマー濃度をそれぞれa,b,cwt%とし、下記の式より算出した。
【0057】
【数2】
(4)ヤング率・伸度
インストロンタイプの引っ張り試験機を用いて測定した。試験片は10mm幅で50mm長さ、引っ張り速度は300mm/分である。
【0058】
(5)吸湿率
フィルムを200℃で1時間乾燥後の絶乾状態の重量をW0 とし、該フィルムを20℃、相対湿度75%中で48時間吸湿後の重量をW1 として(W1 ーW0 )/W0 に100を乗じた値で吸湿率(%)を表した。
【0059】
(6)熱収縮率
フィルムに150mm間隔で標線を入れこれを5mm幅にスリットし、測定サンプルとする。200℃の熱風オーブンにサンプルを入れ、10分間加熱後オーブンから取り出し、(加熱前の試長ー加熱後の試長)を加熱前の試長で除した値に100を乗じて熱収縮率(%)とした。
【0060】
(7)スリット性
得られたフィルムを長さ300m,幅35mmにスリットし、得られたパンケーキ状態(端部の盛り上がり、巻きずれ、端面の変形、傷の有無)を以下の基準で評価した。
【0061】
○:端部の盛り上がり、巻きずれ、端面の変形、傷、切り粉がない
△:小さな端部の盛り上がり、巻きずれ、端面の変形、傷、切り粉がある
×:大きな端部の盛り上がり、巻きずれ、端面の変形、傷、切り粉がある
【0062】
(8)スルーホール性
保護用ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、トルエン、イソプロピルアルコールを溶媒とするエポキシ樹脂系接着剤を10μm厚に塗布、乾燥後、(7)でスリットしたベースフィルムに熱圧着する。こうして得られた保護フィルム付きTAB用テープに、パンチングにより10×10mmのデバイスホールを連続的に20個形成し、切断部を顕微鏡観察し、以下の基準で判定した。
【0063】
○:バリ、裂け目、切り粉の発生したデバイスホール個数が0〜2個
△:バリ、裂け目、切り粉の発生したデバイスホール個数が3〜6個
×:バリ、裂け目、切り粉の発生したデバイスホール個数が7個以上
【0064】
実施例1
N−メチルー2ーピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分として95モル%に相当する2ークロルパラフェニレンジアミンと、5モル%に相当する4、4’ージアミノジフェニルエーテル(DPE)とを溶解させ、これに99モル%に相当する2ークロルテレフタル酸クロリド(CTPC)を添加し、2時間撹拌して重合を完了した。これを水酸化リチウムで副生した塩化水素を中和し、ポリマ濃度10%、粘度3800ポイズの芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液に平均粒径100nmのシリカ粒子をポリマに対して1.0%添加、分散させて製膜原液とした。
【0065】
このポリマ溶液を5μmカットのフィルターで濾過した後、エンドレスベルト上に流延し、まず第1段目の乾燥として、80℃の熱風で1段目乾燥量が70%となるまで乾燥を行った後、次に170℃の熱風で加熱し溶媒を蒸発させ、自己支持性を得たポリマ濃度35wt%のフィルムをベルトから連続的に剥離した。この含溶媒フィルムを組成がNMP/水=50/50で温度が60℃の湿式浴に10分間、20℃のクロロホルム浴に5分間、60℃の水浴に5分間連続的に走行させた。この間にロール間延伸により、フィルムを長手方向に1.1倍延伸した。次にテンターで300℃で幅方向に1.2倍延伸しながら3分間の乾燥、熱処理を行った後、20℃/秒で徐冷して厚さ25μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0066】
このフィルムの長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率、nx,ny,nzはそれぞれ、1.875、1.873、1.623であり、(nx−nz)=0.252,(ny−nz)=0.250であった。また、分子量1000以下のオリゴマーの重量分率は0.09%であった。また、吸湿率は1.4%、長手方向、幅方向のヤング率はそれぞれ、1520、1500kg/mm2 であり、熱収縮率は長手方向、幅方向ともに0.2%であった。
【0067】
次にこのフィルムを用いてスリット性、スルーホール性を評価したところ共に良好であった。
【0069】
実施例2〜4
実施例1のポリマーを使用して、表1の条件で製膜し芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られたフィルム特性を表2に示す。
【0070】
実施例5
NMP中に臭化リチウムを生成ポリマーに対し100wt%となるように仕込み、パラフェニレンジアミンを100モル%溶解させ、更にテレフタル酸クロリド(TPC)を50モル%、CTPCを49モル%添加し、実施例1と同様に重合、中和を行い、ポリマー濃度7.5%、溶液粘度4000ポイズのポリマー溶液を得た。これに実施例1と同様のシリカ粒子を添加して製膜原液を得た。
【0071】
この製膜原液を表1の条件で製膜し芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られたフィルム特性を表2に示す。
【0072】
比較例1〜2
実施例1のポリマーを使用して、表1の条件で製膜し芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られたフィルム特性を表2に示す。
【0073】
比較例3
NMP中にDPEを100モル%溶解させ、これにTPCを50モル%、イソフタル酸クロリドを49モル%添加し、実施例1と同様に重合、中和を行い、ポリマー濃度15%、溶液粘度3100ポイズのポリマー溶液を得た。これに実施例1と同様のシリカ粒子を添加して製膜原液を得た。
【0074】
この製膜原液を表1の条件で製膜し芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られたフィルム特性を表2に示す。
【0075】
比較例4
実施例5のポリマーを使用して、表1の条件で製膜し芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られたフィルム特性を表2に示す。
【0076】
【表1】
【表2】
【0077】
【発明の効果】
本発明のTAB用ベースフィルムは、機械特性、耐熱性に優れるのみならず、長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率を特定の範囲に限定し、かつオリゴマー量を規定することにより、スリット性、スルーホール性に優れたTAB用ベースフィルムとすることができる。また、フレキシブルプリント配線板用ベースフィルムとしても好適である。
Claims (2)
- 厚み方向の屈折率nz≧1.50、長手方向および幅方向の屈折率nx、nyが、
0.1≦(nx−nz)≦0.6
0.1≦(ny−nz)≦0.6
を充たし、且つ、分子量1000以下のオリゴマーの重量分率が0.5%以下であり、芳香環がパラ位で結合されたものが全芳香環の50%以上を占める芳香族ポリアミドからなるTAB用ベースフィルム。 - nx、nyがともに1.70以上、2.30以下であることを特徴とする請求項1に記載のTAB用ベースフィルム。
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-
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