JP3942001B2

JP3942001B2 - Polyacrylamide precast gel for electrophoresis, method for producing the same, and method for separating and analyzing proteins

Info

Publication number: JP3942001B2
Application number: JP34383599A
Authority: JP
Inventors: 美香鈴木
Original assignee: Hymo Corp
Current assignee: Hymo Corp
Priority date: 1999-12-02
Filing date: 1999-12-02
Publication date: 2007-07-11
Anticipated expiration: 2019-12-02
Also published as: JP2001159621A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は，生化学医薬分析を目的とする長期保存可能な電気泳動用ポリアクリルアミドプレキャストゲル，その製造方法及び蛋白質の分離分析方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
電気泳動用ポリアクリルアミドプレキャストゲルは、蛋白質、糖質、脂質など生体を構成する重要な物質の検出及び定量分析を目的として、生物学、医学、水産学、獣医学など多くの分野における基礎的研究手段として広く使用されている。特に、ポリアクリルアミドゲルは、人工的に合成された物質であるため、処方を変えることで分離特性の異なるゲルを容易に作成することができる。そのため、予め様々な分離特性を持つように量産されたプレキャストゲルを使用することで分析の手間を大幅に省くことができると共に、プレキャストゲルが均一で再現性が良いことから当該分野における生産および品質管理に貢献するところが大である。量産されたプレキャストゲルを供給するに際しては、保存安定性が良好であることが期待される。
【０００３】
従来、電気泳動用ポリアクリルアミドゲルは蛋白質の生化学医薬分析用に、オルンスタイン（Ｌ．Ｏｒｎｓｔｅｉｎ，Ａｎｎ．Ｎ．Ｙ．Ａｃａｄ．Ｓｃｉ．１２１，３２１−３４９（１９６４））とデービス（Ｂ．Ｊ．Ｄａｖｉｓ，Ａｎｎ．Ｎ．Ｙ．Ａｃａｄ．Ｓｃｉ．１２１, ４０４−４２７（１９６４））によって提案された方法や、レムリー（Ｕ．Ｋ．Ｌａｅｍｍｌｉ，Ｎａｔｕｒｅ２２７，６８０（１９７０））によって提案された方法が広く使用され、使用者がゲルを製造して使用してきた。特にドデシル硫酸ナトリウム（以下、ＳＤＳと略す）をゲルや泳動用緩衝液に添加することで手軽に蛋白質の分子量を推定できるレムリーの方法が広く普及している。レムリーの方法はゲル緩衝液としてトリス（ヒドロキシメチル）アミノメタン（以下、トリスと略す）の塩酸による部分中和物を使用し、泳動用緩衝液としてはトリス、グリシン塩を使用している（レムリーの泳動緩衝液）。この方法におけるゲル緩衝液ではｐＨが８．８になるようにトリスの約１０〜２０モル％を塩酸により部分中和する（レムリーのゲル緩衝液）。
【０００４】
しかしながら、レムリーのゲル緩衝液のｐＨでは、アミド基は経時的に加水分解反応を受ける。加水分解反応は低温条件でも進行し、ポリアクリルアミドゲルは部分的にアニオン基を有することになる。この結果、蛋白質の泳動距離が短くなると共に分離像は不鮮明となるので、ゲルを長期に保存することは出来ない。このため、予め量産したゲルを供給するプレキャストゲルにおいては、保管期限を限定して供給する必要があり、保管期間中のゲルを安定させるため、保存安定性が良好であることが望まれている。
【０００５】
保存安定性の良いゲルを製造する方法に関しては、トリス、両性電解質及び酸から成るゲル緩衝液を内包した、長期保存安定性に優れ且つ測定可能な分子量範囲を著しく拡大したポリアクリルアミドゲルの製造方法が特開平４−１８４１６３公報に開示されている。この製造方法によるポリアクリルアミド電気泳動ゲルはレムリーの泳動用緩衝液を使用して分析可能であり、両性電解質を含有するｐＨ４．０〜７．５のゲル緩衝液を内包することを特徴とし、その実施例においてｐＨ６．９〜７．４のゲルの製造が例示され、冷蔵保存で4 ヶ月の間は蛋白質の移動度に変化なく安定であるとされている。
【０００６】
このゲル緩衝液は、ポリアクリルアミドゲルの加水分解を抑制する目的でトリスの中和率を高く設定して、泳動ゲル中のトリス強酸部分とトリス弱酸部分の境界付近での電位勾配の変化を両性電解質の添加によって緩やかにし、レムリーのゲル緩衝液を使用して作成したゲルと同等の分画分子量範囲を持たせることを意図している。
【０００７】
しかし、ｐＨ６．９〜７．４の範囲のゲル緩衝液を内包したポリアクリルアミドゲルは冷蔵保存で5 ヶ月以上経過すると蛋白質の移動度に変化が現れる。またスラブゲルの場合、ゲルの形状が変化しガラスプレートがずれ易くなる。その結果、泳動分析上のハンドリングが悪くなり、ガラスのずれによるゲルの剥離などの問題も生ずる。ｐＨを６．８以下にすると保存安定性が更に向上することが推測されるが、泳動時間が長くなる、分離能が悪化すると言う問題があり、５ヶ月以上の保存安定性を持つ蛋白質の分離能が良好でかつ、レムリーのゲル緩衝液を使用して作成したゲルの測定対象と同等の分画分子量範囲を持たせたポリアクリルアミドゲルを得ることができなかった。
【０００８】
また、特表平９−５１２９０７公報には、中性ｐＨ長寿命プレキャスト電気泳動ゲルのためのシステムが表示されている。このシステムでゲル緩衝液はｐＨが中性付近の一価有機アミン又は置換アミンを含有し、約6 〜７の間のｐＨに塩酸で滴定されている。泳動用緩衝液はＭＯＰＳ、ＭＥＳ、ＡＣＥＳ、ＭＯＰＳＯ、ＴＥＳ、ＨＥＰＥＳ又はＴＡＰＳＯから成る群から選択される両性イオンを含み、水酸化ナトリウム又は有機塩基で約７のｐＨに滴定されている。ゲル緩衝液、泳動緩衝液共に中性に設定することで、ポリアクリルアミドゲルの加水分解を抑制すると同時に蛋白質が完全に還元されたままで分離されるような緩衝液システムである。この電気泳動用システムでは１２カ月の間は安定とされている。
【０００９】
しかし、特表平９−５１２９０７公報に表示されているシステムでは、専用の分子量マーカーを用いなければならない。また、特表平９−５１２９０７公報に表示されているポリアクリルアミドゲルは公知の泳動用緩衝液、例えば汎用に利用されているグリシンを含有するレムリーの泳動緩衝液を使用しても、泳動速度が極めて遅く蛋白質の分離分析に使用することが不可能である。
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、具体的には、冷蔵保存で6 ヶ月以上蛋白質の分離能及びゲルの形状共に安定で、かつレムリーのゲル緩衝液を使用して作成されたゲルの測定対象と同等の分画分子量範囲を持たせたポリアクリルアミドプレキャストゲルを得る点について解決すべき課題がある。予め様々な分離特性を持つように量産されたプレキャストゲルは、保存安定性が良好であれば、保管有効期限を長く設定することが可能である。また、分析方法が普及しているレムリーの泳動緩衝液が使用できれば、使用者が経済的かつ効率的に分析を遂行することができる。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
この発明の目的は，上記の課題を解決するものであり，保存安定性に優れ，保管有効期限が長く，また，分析方法が普及しているレムリーの泳動緩衝液を使用可能とする，長期保存安定性を有する電気泳動用ポリアクリルアミドプレキャストゲル，その製造方法及び蛋白質の分離分析方法を提供することである。
【００１２】
本発明者らはレムリーの泳動用緩衝液が使用可能な長期安定性を持つ電気泳動用ポリアクリルアミドプレキャストゲル、その製造方法及びその使用方法について鋭意検討した結果、以下の発明に到達した。すなわち、ゲル緩衝液のｐH を６．０〜６．８の範囲とし、トリス、グリシン、１種又は２種以上の共存両性電解質を含有した特定濃度の泳動ゲル緩衝液を使用することにより、半年から１年以上ゲルの形状、泳動像に変化の無いゲルを得ることが出来た。また、その使用方法及びそれを製造する方法も見出した。
【００１３】
この発明は、上記の目的を達成するため、次のように構成されている。即ち、この発明は、泳動用緩衝液の組成がトリス及び両性電解質を含有する水溶液である電気泳動法に用いるポリアクリルアミドプレキャストゲルにおいて、そのゲルが特定範囲の使用量のトリス、グリシン、特定の塩基解離定数、特定の添加量の両性電解質および、共存両性電解質とグリシンの濃度合計の濃度が特定範囲の両性電解質、および特定のｐＨである緩衝液を用いて調製されていることを特徴とする電気泳動用ポリアクリルアミドプレキャストゲルに関する。即ち、この発明は、泳動用緩衝液の組成がトリス（ヒドロキシメチル）アミノメタン及び両性電解質を含有する水溶液である電気泳動法に用いるポリアクリルアミドプレキャストゲルにおいて、前記ゲルは、
（１）前記トリス（ヒドロキシメチル）アミノメタンの濃度が０．０７ｍｏｌ／Ｌ〜０．２ｍｏｌ／Ｌの範囲にあり、
（２）前記両性電解質がグリシンと１種又は２種以上の共存両性電解質から成り、
１．前記共存両性電解質の塩基解離定数ｐＫｂが８．３＜ｐＫｂ＜９．６の範囲にあり、
２．前記共存両性電解質の添加量が前記グリシンに対して０．１〜３０ｍｏｌ％の範囲にあり、
３．前記共存両性電解質と前記グリシンの濃度の合計が０．１〜０．３ｍｏｌ／Ｌの範囲にあり、
（３）ｐＨが６．０〜６．８の範囲
にある緩衝液を用いて調製されていることを特徴とする電気泳動用ポリアクリルアミドプレキャストゲルに関する。
【００１４】
この電気泳動用ポリアクリルアミドプレキャストゲルにおいて、前記共存両性電解質が分子内にアニオン性基とカチオン性基を同数有するアミノ酸である。
【００１５】
更に、この電気泳動用ポリアクリルアミドプレキャストゲルにおいて、前記共存両性電解質が、セリン、グルタミン、トリプトファン、メチオニン、又はフェニルアラニンである。
【００１６】
また、この発明は、アクリルアミド、多官能架橋剤、水、および前述の緩衝液の混合物を特定のｐＨ条件で重合開始剤の存在下に重合することを特徴とする電気泳動用ポリアクリルアミドプレキャストゲルの製造方法に関する。即ち、この発明は、アクリルアミド、多官能架橋剤、水、並びに下記組成の緩衝液
（１）トリス（ヒドロキシメチル）アミノメタンの濃度が０．０７ｍｏｌ／Ｌ〜０．１ｍｏｌ／Ｌの範囲にあり、
（２）両性電解質がグリシンと１種又は２種以上の共存両性電解質から成り、
１．前記共存両性電解質の塩基解離定数ｐＫｂが８．３＜ｐＫｂ＜９．６の範囲にあり、
２．前記共存両性電解質の添加量が前記グリシンに対して０．１〜３０ｍｏｌ％の範囲にあり、
３．前記共存両性電解質と前記グリシンの濃度の合計が０．１〜０．３ｍｏｌ／Ｌの範囲にある
から成る混合物を、ｐＨが６．０〜６．８の範囲にある条件で重合開始剤の存在下に重合することを特徴とする電気泳動用ポリアクリルアミドプレキャストゲルの製造方法に関する。
【００１７】
更に，この発明は，泳動用緩衝液としてドデシル硫酸塩が存在するトリス（ヒドロキシメチル）アミノメタン及びグリシンを含有する泳動用緩衝液を用い，請求項１〜３のいずれか１項に記載の電気泳動用ポリアクリルアミドプレキャストゲルを用いることを特徴とする蛋白質の分離分析方法に関する。
【００１８】
【発明の実施の形態】
本発明のゲルは、ゲル中に含有する緩衝液の組成が、トリス、グリシン、１種又は２種以上の共存両性電解質からなり、ゲル中のトリス濃度は、０．０７ｍｏｌ／Ｌ〜０．２ｍｏｌ／Ｌ、好ましくは０．０８ｍｏｌ／Ｌ〜０．１ｍｏｌ／Ｌである。この範囲は、レムリーのゲル緩衝液を使用して作成したゲルと同等の泳動時間を有するために必要なゲル中のリーディングイオンの量を含有させることの出来る範囲である。ゲル中のトリス濃度が０．０７ｍｏｌ／Ｌよりも低い場合、泳動像全体が不鮮明となり蛋白質の分離分析に使用しがたいものとなる。ゲル中のトリス濃度が０．２ｍｏｌ／Ｌより高くなるとゲル中のリーディングイオン濃度が高くなり、泳動時間が延長し、分析の作業効率が悪くなる。
【００１９】
また、両性電解質はグリシンと１種又は２種以上の共存両性電解質から成り、共存両性電解質の塩基解離定数ｐＫｂの範囲は８．３＜ｐＫｂ＜９．６、好ましくは９．０＜ｐＫｂ＜９．６である。グリシン単独ではゲル緩衝液のｐＨを７以下にした場合、レムリーのゲル緩衝液を用いて作成したゲルの測定対象と同等の分画分子量範囲を持たせることはできない。また、共存両性電解質の塩基解離定数ｐＫｂがｐＫｂ＜８．３の場合、トリスよりもｐＫｂが低いことになるため、ゲル緩衝液のｐＨを変化させ、また分画分子量範囲を大幅に広くしてしまう。ｐＫｂ＞９．６の場合、グリシンよりも塩基解離定数が高いことになるため、ゲル内の電位勾配の変化を緩やかにする作用に寄与しない。９．０＜ｐＫｂ＜９．６であるセリン、トリプトファン、フェニルアラニン等を使用するとｐＫｂの低いものから順に陽極側へ移動し、ゲル内の電位勾配の変化は緩やかなものとなる。従ってレムリーのゲル緩衝液を用いて作成したゲルの測定対象と同等の分画分子量範囲を持たせることができる。
【００２０】
また、共存両性電解質の添加量はグリシンに対して０．１〜３０ｍｏｌ％、好ましくは１〜２０ｍｏｌ％である。０．１ｍｏｌ％より低添加量の場合、レムリーのゲル緩衝液を使用して作成したゲルの測定対象と同等の分画分子量範囲を持たせる効果が現れず、逆に３０ｍｏｌ％よりも多く添加した場合は泳動像が不鮮明で実用に耐えないものとなる。
【００２１】
また、共存両性電解質とグリシンの濃度の合計が０．１〜０．３ｍｏｌ／Ｌであり、好ましくは０．１〜０．２ｍｏｌ／Ｌである。全両性電解質濃度が０．１ｍｏｌ／Ｌよりも少なく、０．３ｍｏｌ／Ｌより多くなると泳動像が不鮮明で実用に耐えないものとなる。
【００２２】
また、本発明に用いる両性電解質は、分子内にアニオン基とカチオン基を同数有するものが望ましく、本発明のゲル緩衝液中では全てのアニオン性基と全てのカチオン性基が解離して電気的に中性となり、ｐＫｂ値よりも高いｐＨではアニオン性基のみが解離しカチオン性基の解離が抑制されるため負に帯電する。この為に上記両性電解質は実質的に１価の弱酸としての挙動を示す。
【００２３】
本発明のプレキャストゲル、その使用方法、およびその製造方法に使用するゲル緩衝液のｐＨは、６．０〜６．８であり、好ましくは６．３である。ｐＨ６．８よりも高い場合、ポリアクリルアミドゲルの加水分解が進行し易くなり、保管有効期限を長く持たせることが出来ない。ｐＨ６．０より低い場合、ポリアクリルアミドゲルとしての安定性は良好であるが、蛋白質の泳動像が不鮮明で実用に耐えないものとなる。ｐＨ６．８では冷蔵保存で6 ヶ月もち、さらにｐＨ６．３ではアクリルアミド自体のｐＨに近いため、ｐＨ６．８に比べ加水分解速度が著しく減少する。その結果１年もの長期間ゲルの形状、泳動像共に変化は見られず安定である。
【００２４】
本発明のプレキャストゲルの使用方法は、トリス、及び両性電解質を含有する泳動用緩衝液を使用して蛋白質の分離分析をする方法であり、特にトリス０．０２５ｍｏｌ／Ｌ、グリシン０．１９２ｍｏｌ／Ｌ、ＳＤＳ０．１重量％である組成の泳動用緩衝液を使用することが望ましい。この組成はレムリーによって提案されたゲル緩衝液で、蛋白質の分離分析方法として広く普及しているため、使用者が経済的かつ効率的に分析を遂行することができる。グリシン以外の両性電解質、たとえばＭＯＰＳを含有した泳動用緩衝液を使用しても蛋白質の分離分析を行うことは出来るが、広く普及しているレムリーのゲル緩衝液を使用して作成したゲルの分画分子量範囲よりも広くなってしまう。
【００２５】
本発明のプレキャストゲルの製造方法は、ゲル緩衝液のｐＨ調整と両性電解質の添加以外は、従来公知の電気泳動用ポリアクリルアミドゲルの製造方法に従って製造することができる。例えば、アクリルアミドと共存する架橋を目的とした水溶性ジビニル化合物としては、Ｎ，Ｎ' −メチレンビスアクリルアミド（以下、ＢＩＳと略す）が最も多用されているが、その他Ｎ，Ｎ' −ジアリル酒石酸アミド等の一般的なジビニル化合物も使用することができる。
【００２６】
本発明のプレキャストゲルの製造方法におけるモノマー水溶液には、ゲルに弾力性を持たせゲル強度を向上させるため、アガロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリメチルビニルエーテル等の水溶性ポリマーを含有させることもできる。他のモノマーを共重合することもできる。
【００２７】
本発明のプレキャストゲルの製造方法におけるモノマーの重合は、重合開始剤、紫外線照射および電離性放射線の照射により発生するラジカルによって行われる。重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム（以下、ＡＰＳと略す）等の過酸化物と、Ｎ，Ｎ，Ｎ’，Ｎ’−テトラメチルエチレンジアミン（以下、ＴＥＭＥＤと略す）等の還元剤を併用するレドックス型の重合開始剤が賞用されるが、これら特に限定されるものではない。上記過酸化物及び還元剤は全モノマーに対し、０．０５〜５％（重量／容量）が使用される。また、重合温度は開始剤が機能する温度であれば特に限定されないが、通常１５〜５０℃の範囲が好ましい。
【００２８】
【実施例】
以下、実施例により本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例１
横幅１２ｃｍ、縦１０ｃｍの長方形のガラス板と、上部に凹状の切り込みの入った同寸法のガラス板の間に、厚さ１ｍｍのスペーサーとモノマー液が漏れないようにシリコンのシールを挟みガラスプレートを組み立てる。アクリルアミド濃度１０％（％Ｔ）、ＢＩＳ濃度５％（％Ｔ）、並びに表１に記載する濃度の緩衝液組成から成るモノマー溶液に対し、ＡＰＳ０．００２５ｍｏｌ／ＬおよびＴＥＭＥＤ０．００７５ｍｏｌ／Ｌとなるように添加混合後、プレート内に注入し、２５℃下で重合させ、電気泳動用ポリアクリルアミドゲルを得た。
そのポリアクリルアミドゲルを用いて市販の蛋白質分子量マーカーを電気泳動し、移動距離を測定した。
【表１】

【００２９】
蛋白質分子量マーカーは、２−メルカプトエタノール、ＳＤＳを用いて処理し、７重量％グリセリン及び０．０５重量％ブロモフェノールブルー（以下、ＢＰＢと略す）を加えて試験に供した。泳動用緩衝液の組成はトリス０．０２５ｍｏｌ／Ｌ、グリシン０．１９２ｍｏｌ／Ｌ、ＳＤＳ０．１重量％のレムリー処方である。電気泳動は２０ｍＡ定電流で行い、ＢＰＢの泳動末端が下から５ｍｍの所で通電を中止した。染色は、０．２５重量％クマシーブリリアントブルー（以下、ＣＢＢと略す）Ｇ−２５０、１０容量％酢酸、３０容量％メタノール溶液中で振とう機を使用して４５分間行い、脱色は７容量％酢酸、３容量％メタノール溶液中で振とう機を使用して９０分間行った。
表２は製造直後の移動度であり、また表３は５℃で６ヶ月間保存後の移動度である。移動度とは蛋白質の移動距離をパーセントで表したものである。

【表２】

【表３】

【００３０】
ゲル緩衝液の酸による中和率の低いレムリーのゲル緩衝液を使用して作成したゲルは、高ｐＨの為に長期保存により移動度が低下し、分離能が悪化する。トリスの中和率を上げ、ゲル緩衝液中に両性電解質としてグリシンのみ添加した場合、長期保存による移動度低下は見られないが低分子領域が検出されない。また、ｐＨを６．８とし、グリシンと共存両性電解質としてトリシン（８．３＞ｐＫｂ）を添加した場合、分画分子量範囲を大幅に広くしてしまう。
【００３１】
これに対し、９．０＜ｐＫｂ＜９．６であるセリンをグリシンと共存両性電解質として使用するとｐＫｂの低いものから順に陽極側へ移動し、ゲル内の電位勾配の変化は緩やかなものとなる。従ってトリスの中和率を上げ、緩衝液ｐＨを６．８または６．３にしてもレムリーのゲル緩衝液を用いて作成したゲルの測定対象と同等の分画分子量範囲を持たせることができ、また長期保存による移動度低下は見られない。
【００３２】
実施例２
実施例１と同様のガラスプレートを用い、表４に記載する濃度の緩衝液組成から成るモノマー組成でポリアクリルアミドゲルを製造し、実施例１と同一条件で電気泳動を行った結果を表５に示す。
【表４】

【表５】

【００３３】
実施例３
実施例１と同様のガラスプレートを用い、アクリルアミド濃度１０％（％Ｔ）、ＢＩＳ濃度５％（％Ｔ）、並びに表１に記載する試料−１の緩衝液組成から成るモノマー溶液で１０％ポリアクリルアミドゲルを製造し、表６に記載する泳動用緩衝液で実施例１と同様に電気泳動を行った結果を表７に示す。
【表６】

【表７】

【００３４】
本発明のプレキャストゲルの使用方法は、トリス、及び両性電解質を含有する泳動用緩衝液を使用して蛋白質の分離分析をする方法であり、特にレムリーによって提案されたトリス０．０２５ｍｏｌ／Ｌ、グリシン０．１９２ｍｏｌ／Ｌ、ＳＤＳ０．１重量％である組成の泳動用緩衝液を使用することが望ましい（試料−５）。レムリーの方法は蛋白質の分離分析方法として広く普及しているため、使用者が経済的かつ効率的に分析を遂行することができる。グリシン以外の両性電解質、たとえばＭＯＰＳを含有した泳動用緩衝液（比較試料−５）を使用しても蛋白質の分離分析を行うことは出来るが、広く普及しているレムリーのゲル緩衝液を使用して作成したゲルの分画分子量範囲よりも広くなってしまう。
【００３５】
実施例４
実施例１と同様のガラスプレートを用い、アクリルアミド濃度１０％（％Ｔ）、ＢＩＳ濃度５％（％Ｔ）、並びに表８に記載する濃度の緩衝液組成から成るモノマー溶液緩衝液組成で１０％ポリアクリルアミドゲルを製造し、５℃下に１２ヶ月間保存し、テンシロン万能試験機（株式会社オリエンテック、型式Ｕ−２１２９）でガラスプレートを上下に引っ張り、その引っ張り強度を測定した結果を表９に示す。
【表８】

【表９】

【００３６】
ゲル緩衝液のｐＨを下げることで蛋白質の移動度のみならず、プレキャストゲルの形状も安定に保つことができる。ポリアクリルアミドゲルは加水分解すると膨潤し易くなり、プレキャストゲルのガラスプレートがずれやすくなる。ｐＨ７．５では加水分解は進行し易く、ガラスプレートをずらすのに必要な力( 引っ張り強度) は５℃保存２ヶ月後には約１／３となる。それに対し、ｐＨ６．８では５℃保存６ヶ月までガラスプレートの引っ張り強度は製造直後と同程度を保っており、さらにｐＨ６．３ではアクリルアミド自体のｐＨに近いため、ｐＨ６．８に比べ加水分解速度が著しく減少する。その結果１年もの長期間ゲルの形状に変化は見られず安定である。
【００３７】
【発明の効果】
本発明は，トリス，及び両性電解質，特にグリシンを含有する泳動緩衝液を使用する分離分析用の電気泳動用ポリアクリルアミドプレキャストゲル，その製造方法及び蛋白質の分離分析方法に関するものであり，長期保存可能であるので，高品質のゲルを広範囲に供給することが可能である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a polyacrylamide precast gel for electrophoresis that can be stored for a long time for biochemical analysis, a method for producing the same, and a method for separating and analyzing proteins .
[0002]
[Prior art]
Polyacrylamide precast gels for electrophoresis are used for basic research in many fields such as biology, medicine, fisheries, and veterinary medicine for the purpose of detection and quantitative analysis of important substances such as proteins, carbohydrates, and lipids. Widely used as a means. In particular, since polyacrylamide gel is an artificially synthesized substance, gels having different separation characteristics can be easily prepared by changing the formulation. Therefore, using precast gels that have been mass-produced with various separation characteristics in advance can greatly reduce the labor of analysis, and the precast gel is uniform and reproducible, so production and quality in the field The place that contributes to management is great. When supplying a precast gel that is mass-produced, it is expected that the storage stability is good.
[0003]
Conventionally, polyacrylamide gels for electrophoresis have been used for biochemical drug analysis of proteins, such as Ornstein (L. Orstein, Ann. NY Acad. Sci. 121, 321-349 (1964)) and Davis (BJ). Davis, Ann.N.Y.Acad.Sci.121, 404-427 (1964)) and the method proposed by Remley (UK Laemmli, Nature 227,680 (1970)). Widely used, users have made and used gels. In particular, the Remley method, which can easily estimate the molecular weight of a protein by adding sodium dodecyl sulfate (hereinafter abbreviated as SDS) to a gel or a buffer for electrophoresis, has become widespread. The Remley method uses a partially neutralized product of tris (hydroxymethyl) aminomethane (hereinafter abbreviated as “Tris”) with hydrochloric acid as the gel buffer, and Tris and glycine salts as the electrophoresis buffer (Remley). Running buffer). In the gel buffer in this method, about 10 to 20 mol% of Tris is partially neutralized with hydrochloric acid so that the pH is 8.8 (Remley's gel buffer).
[0004]
However, at the pH of the Remley gel buffer, the amide group undergoes a hydrolysis reaction over time. The hydrolysis reaction proceeds even under low temperature conditions, and the polyacrylamide gel partially has an anionic group. As a result, the migration distance of the protein becomes shorter and the separated image becomes unclear, so that the gel cannot be stored for a long time. For this reason, precast gels that supply pre-mass produced gels need to be supplied with a limited shelf life, and in order to stabilize the gel during the storage period, it is desired that the storage stability is good. .
[0005]
Concerning a method for producing a gel having good storage stability, a method for producing a polyacrylamide gel having a long-term storage stability and a greatly expanded molecular weight range including a gel buffer composed of tris, ampholyte and acid. Is disclosed in Japanese Patent Laid-Open No. 4-184163. The polyacrylamide electrophoresis gel according to this production method can be analyzed using the Remley electrophoresis buffer, and contains a gel buffer solution of pH 4.0 to 7.5 containing an ampholyte. In the examples, the production of a gel having a pH of 6.9 to 7.4 is exemplified, and it is said that the protein mobility is stable for 4 months in refrigerated storage without any change.
[0006]
In this gel buffer, the tris neutralization rate is set high in order to suppress hydrolysis of polyacrylamide gel, and the change in potential gradient near the boundary between the tris strong acid part and the tris weak acid part in the electrophoresis gel is amphoteric. It is intended to be relaxed by the addition of electrolytes and to have a molecular weight cut-off range equivalent to gels made using Remley gel buffer.
[0007]
However, polyacrylamide gels containing gel buffers in the range of pH 6.9 to 7.4 show changes in protein mobility after refrigerated storage for more than 5 months. In the case of slab gel, the shape of the gel changes and the glass plate is easily displaced. As a result, handling in electrophoretic analysis becomes worse, and problems such as gel peeling due to glass displacement also occur. It is presumed that the storage stability is further improved when the pH is 6.8 or less, but there are problems that the migration time is prolonged and the resolution is deteriorated, so that separation of proteins having storage stability of 5 months or more is required. It was not possible to obtain a polyacrylamide gel with good performance and a fractional molecular weight range equivalent to that of a gel prepared using a Remley gel buffer.
[0008]
Japanese National Publication No. 9-512907 discloses a system for a neutral pH long-life precast electrophoresis gel. In this system, the gel buffer contains a monovalent organic amine or substituted amine with a pH near neutral and is titrated with hydrochloric acid to a pH between about 6-7. The running buffer contains a zwitterion selected from the group consisting of MOPS, MES, ACES, MOPSO, TES, HEPES or TAPSO and is titrated to a pH of about 7 with sodium hydroxide or an organic base. By setting both the gel buffer and the electrophoresis buffer to neutral, the buffer system is such that the hydrolysis of the polyacrylamide gel is suppressed and the protein is separated while being completely reduced. This electrophoresis system is stable for 12 months.
[0009]
However, in the system displayed in JP-T-9-512907, a dedicated molecular weight marker must be used. In addition, the polyacrylamide gel disclosed in JP-A-9-512907 has a migration speed even when a known electrophoresis buffer solution, for example, a REMLYE running buffer solution containing glycine, which is widely used, is used. It is very slow and cannot be used for protein separation analysis.
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
Therefore, specifically, the separation molecular weight range is the same as the measurement target of the gel prepared using the Remley gel buffer, which has stable protein separation and gel shape for 6 months or more after refrigerated storage. There is a problem to be solved regarding obtaining a polyacrylamide precast gel. A precast gel that has been mass-produced to have various separation characteristics in advance can have a long shelf-life if the storage stability is good. In addition, if the Remley running buffer, for which the analysis method is widely used, can be used, the user can perform the analysis economically and efficiently.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
The object of the present invention is to solve the above-mentioned problems, long-term storage that is excellent in storage stability, has a long shelf-life, and enables the use of Remley's running buffer, which is widely used for analysis methods. To provide a polyacrylamide precast gel for electrophoresis having stability, a method for producing the same, and a method for separating and analyzing proteins .
[0012]
As a result of intensive investigations on a polyacrylamide precast gel for electrophoresis having a long-term stability in which the Remley electrophoresis buffer can be used, a method for producing the same, and a method for using the same, the inventors have reached the following invention. That is, the pH of the gel buffer is in the range of 6.0 to 6.8, and a specific concentration of running gel buffer containing tris, glycine, one or more coexisting ampholytes is used for six months. The gel with no change in the shape and electrophoretic image of the gel could be obtained for over 1 year. Moreover, the usage method and the method of manufacturing it were also found.
[0013]
In order to achieve the above object, the present invention is configured as follows. That is, the present invention relates to a polyacrylamide precast gel used in an electrophoresis method in which the composition of an electrophoresis buffer is an aqueous solution containing Tris and an ampholyte, and the gel is used in a specific range of amounts of Tris, glycine, and a specific base. Electricity characterized in that it is prepared using a dissociation constant, an amphoteric electrolyte with a specific addition amount, an amphoteric electrolyte with a total concentration of the coexisting ampholyte and glycine in a specific range, and a buffer having a specific pH. The present invention relates to a polyacrylamide precast gel for electrophoresis. That is, the present invention provides a polyacrylamide precast gel used in an electrophoresis method in which the composition of the buffer for electrophoresis is an aqueous solution containing tris (hydroxymethyl) aminomethane and an ampholyte,
(1) The concentration of the tris (hydroxymethyl) aminomethane is in the range of 0.07 mol / L to 0.2 mol / L,
(2) The amphoteric electrolyte comprises glycine and one or more coexisting amphoteric electrolytes,
1. A base dissociation constant pKb of the coexisting amphoteric electrolyte is in a range of 8.3 <pKb <9.6;
2. The amount of the coexisting ampholyte is in the range of 0.1 to 30 mol% with respect to the glycine,
3. The total concentration of the coexisting amphoteric electrolyte and the glycine is in the range of 0.1 to 0.3 mol / L,
(3) The present invention relates to a polyacrylamide precast gel for electrophoresis, characterized by being prepared using a buffer having a pH in the range of 6.0 to 6.8.
[0014]
In this polyacrylamide precast gel for electrophoresis, the coexisting amphoteric electrolyte is an amino acid having the same number of anionic groups and cationic groups in the molecule.
[0015]
Furthermore, in this polyacrylamide precast gel for electrophoresis, the coexisting ampholyte is serine, glutamine, tryptophan, methionine, or phenylalanine.
[0016]
The present invention also relates to a polyacrylamide precast gel for electrophoresis characterized by polymerizing a mixture of acrylamide, a polyfunctional crosslinking agent, water, and the aforementioned buffer solution in the presence of a polymerization initiator under specific pH conditions. It relates to a manufacturing method. That is, in the present invention, the concentration of acrylamide, polyfunctional crosslinking agent, water, and buffer solution (1) tris (hydroxymethyl) aminomethane having the following composition is in the range of 0.07 mol / L to 0.1 mol / L,
(2) the amphoteric electrolyte comprises glycine and one or more coexisting amphoteric electrolytes,
1. A base dissociation constant pKb of the coexisting amphoteric electrolyte is in a range of 8.3 <pKb <9.6;
2. The amount of the coexisting ampholyte is in the range of 0.1 to 30 mol% with respect to the glycine,
3. The presence of a polymerization initiator under the condition that the pH is in the range of 6.0 to 6.8, when the mixture of the coexisting ampholyte and the glycine is in the range of 0.1 to 0.3 mol / L. It is related with the manufacturing method of the polyacrylamide precast gel for electrophoresis characterized by polymerizing below.
[0017]
Furthermore, the invention uses a running buffer containing tris (hydroxymethyl) aminomethane and glycine is present dodecylsulfate as running buffer, the electric according to any one of claims 1 to 3 relates to the separation amount 析方 method of protein, which comprises using the electrophoretic polyacrylamide precast gels.
[0018]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
In the gel of the present invention, the composition of the buffer solution contained in the gel is composed of Tris, glycine, one or more coexisting amphoteric electrolytes, and the Tris concentration in the gel is 0.07 mol / L to 0.2 mol. / L, preferably 0.08 mol / L to 0.1 mol / L. This range is a range in which the amount of leading ions in the gel necessary to have a migration time equivalent to that of a gel prepared using the Remley gel buffer can be contained. When the Tris concentration in the gel is lower than 0.07 mol / L, the entire electrophoretic image becomes unclear and becomes unusable for protein separation analysis. When the Tris concentration in the gel is higher than 0.2 mol / L, the leading ion concentration in the gel is increased, the migration time is extended, and the analysis work efficiency is deteriorated.
[0019]
The ampholyte comprises glycine and one or more coexisting amphoteric electrolytes, and the range of the base dissociation constant pKb of the coexisting ampholytes is 8.3 <pKb <9.6, preferably 9.0 <pKb <9. .6. If the pH of the gel buffer is 7 or less with glycine alone, it cannot have a molecular weight cut-off range equivalent to that of a gel prepared using the Remley gel buffer. In addition, when the base dissociation constant pKb of the coexisting ampholyte is pKb <8.3, the pKb is lower than that of Tris. Therefore, the pH of the gel buffer is changed, and the molecular weight range is greatly increased. End up. In the case of pKb> 9.6, since the base dissociation constant is higher than that of glycine, it does not contribute to the action of moderately changing the potential gradient in the gel. When serine, tryptophan, phenylalanine, etc. with 9.0 <pKb <9.6 are used, they move in order from the one with the lowest pKb to the anode side, and the change in potential gradient in the gel becomes gradual. Accordingly, it is possible to have a molecular weight cut-off range equivalent to that of the gel to be measured using the Remley gel buffer.
[0020]
Moreover, the addition amount of the coexisting amphoteric electrolyte is 0.1 to 30 mol%, preferably 1 to 20 mol% with respect to glycine. When the addition amount is lower than 0.1 mol%, the effect of having a molecular weight range equivalent to the measurement target of the gel prepared using the Remley gel buffer does not appear, and conversely, the addition amount is more than 30 mol%. In this case, the electrophoretic image is unclear and cannot be used practically.
[0021]
The total concentration of the coexisting amphoteric electrolyte and glycine is 0.1 to 0.3 mol / L, preferably 0.1 to 0.2 mol / L. When the total ampholyte concentration is less than 0.1 mol / L and more than 0.3 mol / L, the electrophoretic image is unclear and unusable.
[0022]
The ampholyte used in the present invention preferably has the same number of anionic groups and cationic groups in the molecule. In the gel buffer solution of the present invention, all anionic groups and all cationic groups are dissociated and electrically to become neutral, only high pH, anionic groups than pK b value is negatively charged due to dissociation of the dissociated cationic groups is suppressed. For this reason, the amphoteric electrolyte behaves substantially as a monovalent weak acid.
[0023]
The pH of the gel buffer used in the precast gel of the present invention, its method of use, and its production method is 6.0 to 6.8, preferably 6.3. When the pH is higher than 6.8, hydrolysis of the polyacrylamide gel tends to proceed, and the storage expiration date cannot be prolonged. When the pH is lower than 6.0, the stability as a polyacrylamide gel is good, but the electrophoretic image of the protein is unclear and unusable for practical use. At pH 6.8, refrigerated storage lasts for 6 months, and at pH 6.3, the pH is close to that of acrylamide itself, so the hydrolysis rate is significantly reduced compared to pH 6.8. As a result, the gel shape and electrophoretic image are stable with no change for a long period of one year.
[0024]
The method for using the precast gel of the present invention is a method for separating and analyzing proteins using an electrophoresis buffer containing Tris and an ampholyte, and in particular, Tris 0.025 mol / L, Glycine 0.192 mol / L It is desirable to use an electrophoresis buffer having a composition of 0.1% by weight of SDS. This composition is a gel buffer proposed by Remley and is widely used as a method for separating and analyzing proteins, so that the user can perform analysis economically and efficiently. Protein separation and analysis can be performed using amphoteric electrolytes other than glycine, such as MOPS-containing electrophoresis buffer, but the gel fraction prepared using the widely used Remley gel buffer It becomes wider than the molecular weight range.
[0025]
The method for producing the precast gel of the present invention can be produced according to a conventionally known method for producing a polyacrylamide gel for electrophoresis except for pH adjustment of a gel buffer and addition of an amphoteric electrolyte. For example, N, N'-methylenebisacrylamide (hereinafter abbreviated as BIS) is most frequently used as a water-soluble divinyl compound for cross-linking coexisting with acrylamide, but other N, N'-diallyl tartaric acid amides are used. A general divinyl compound such as can also be used.
[0026]
The aqueous monomer solution in the method for producing a precast gel of the present invention has a water-soluble polymer such as agarose, polyacrylamide, polyvinyl alcohol, polyvinyl pyrrolidone, polyethylene oxide, polymethyl vinyl ether, etc. in order to give the gel elasticity and improve gel strength. Can also be included. Other monomers can also be copolymerized.
[0027]
The polymerization of the monomer in the method for producing a precast gel of the present invention is carried out by radicals generated by polymerization initiator, ultraviolet irradiation and ionizing radiation. As a polymerization initiator, a redox that uses a peroxide such as ammonium persulfate (hereinafter abbreviated as APS) and a reducing agent such as N, N, N ′, N′-tetramethylethylenediamine (hereinafter abbreviated as TEMED). A type of polymerization initiator is awarded, but is not particularly limited. The peroxide and reducing agent are used in an amount of 0.05 to 5% (weight / volume) based on the total monomers. The polymerization temperature is not particularly limited as long as it is a temperature at which the initiator functions, but is usually preferably in the range of 15 to 50 ° C.
[0028]
【Example】
EXAMPLES Hereinafter, although an Example demonstrates this invention by an Example, this invention is not limited to these Examples.
Example 1
A glass plate is assembled by sandwiching a silicon seal between a 1 mm thick spacer and a monomer solution between a rectangular glass plate having a width of 12 cm and a length of 10 cm and a glass plate of the same size with a concave cut at the top. APS 0.0025 mol / L and TEMED 0.0075 mol / L with respect to a monomer solution comprising an acrylamide concentration of 10% (% T), a BIS concentration of 5% (% T), and a buffer composition having the concentrations shown in Table 1. After addition and mixing, the solution was poured into a plate and polymerized at 25 ° C. to obtain a polyacrylamide gel for electrophoresis.
Using the polyacrylamide gel, a commercially available protein molecular weight marker was electrophoresed and the migration distance was measured.
[Table 1]

[0029]
The protein molecular weight marker was treated with 2-mercaptoethanol and SDS, and 7 wt% glycerin and 0.05 wt% bromophenol blue (hereinafter abbreviated as BPB) were added to the test. The composition of the electrophoresis buffer is a Remley formulation of Tris 0.025 mol / L, glycine 0.192 mol / L, and SDS 0.1 wt%. Electrophoresis was performed at a constant current of 20 mA, and energization was stopped when the BPB migration terminal was 5 mm from the bottom. Staining was performed in a 0.25 wt% Coomassie Brilliant Blue (hereinafter abbreviated as CBB) G-250, 10 vol% acetic acid, 30 vol% methanol solution using a shaker for 45 minutes, and decolorization was 7 vol%. Acetic acid was used in a 3% by volume methanol solution for 90 minutes using a shaker.
Table 2 shows the mobility immediately after production, and Table 3 shows the mobility after storage at 5 ° C. for 6 months. Mobility refers to the distance traveled by a protein in percent.

[Table 2]

[Table 3]

[0030]
A gel prepared using a Remley gel buffer solution having a low neutralization rate with an acid in the gel buffer solution has a high pH, so that the mobility decreases due to long-term storage and the separation performance deteriorates. When the neutralization rate of Tris is increased and only glycine is added as an amphoteric electrolyte in the gel buffer solution, the mobility is not decreased by long-term storage, but the low molecular region is not detected. Moreover, when the pH is set to 6.8 and tricine (8.3> pKb) is added as an amphoteric electrolyte coexisting with glycine, the molecular weight range is greatly widened.
[0031]
On the other hand, when serine with 9.0 <pKb <9.6 is used as an amphoteric electrolyte coexisting with glycine, it moves toward the anode in order from the lowest pKb, and the change in the potential gradient in the gel becomes gradual. . Therefore, it is possible to increase the neutralization rate of Tris and to have a molecular weight range equivalent to that of the measurement target of the gel prepared using the Remley gel buffer even if the buffer pH is 6.8 or 6.3. Moreover, the mobility fall by long-term storage is not seen.
[0032]
Example 2
Table 5 shows the results of electrophoresis performed under the same conditions as in Example 1 using a glass plate similar to that in Example 1 and producing a polyacrylamide gel with a monomer composition having the buffer solution concentration shown in Table 4. Show.
[Table 4]

[Table 5]

[0033]
Example 3
Using the same glass plate as in Example 1, 10% polyacrylamide with a monomer solution having an acrylamide concentration of 10% (% T), a BIS concentration of 5% (% T), and a buffer solution composition of Sample-1 described in Table 1 was used. Table 7 shows the results of producing an acrylamide gel and performing electrophoresis in the same manner as in Example 1 using the electrophoresis buffer described in Table 6.
[Table 6]

[Table 7]

[0034]
The method of using the precast gel of the present invention is a method for separating and analyzing proteins using a buffer for electrophoresis containing Tris and an ampholyte, particularly Tris 0.025 mol / L, glycine proposed by Remley It is desirable to use an electrophoresis buffer having a composition of 0.192 mol / L and SDS 0.1% by weight (Sample-5). Since the Remley method is widely used as a protein separation and analysis method, the user can perform the analysis economically and efficiently. Protein separation and analysis can be performed using an amphoteric electrolyte other than glycine, for example, a buffer for electrophoresis containing MOPS (Comparative Sample-5), but the widely used Remley gel buffer is used. The molecular weight range of the gel prepared in this way becomes wider.
[0035]
Example 4
Using the same glass plate as in Example 1, 10% monomer solution buffer composition comprising 10% acrylamide concentration (% T), 5% BIS concentration (% T), and a buffer solution composition having the concentrations shown in Table 8. Polyacrylamide gel was produced and stored at 5 ° C. for 12 months. The glass plate was pulled up and down with a Tensilon universal testing machine (Orientec Co., Ltd., Model U-2129), and the tensile strength was measured. Shown in
[Table 8]

[Table 9]

[0036]
By reducing the pH of the gel buffer, not only the mobility of the protein but also the shape of the precast gel can be kept stable. The polyacrylamide gel is easily swelled by hydrolysis, and the glass plate of the precast gel is easily displaced. Hydrolysis tends to proceed at pH 7.5, and the force required to move the glass plate (tensile strength) becomes about 1/3 after 2 months of storage at 5 ° C. On the other hand, at pH 6.8, the tensile strength of the glass plate is maintained at the same level as immediately after production until 6 months at 5 ° C. Furthermore, at pH 6.3, it is close to the pH of acrylamide itself, so the hydrolysis rate is higher than at pH 6.8. Is significantly reduced. As a result, the gel shape is not changed for a long period of one year and is stable.
[0037]
【The invention's effect】
The present invention relates to a polyacrylamide precast gel for electrophoresis for separation and analysis using an electrophoresis buffer containing Tris and an ampholyte, particularly glycine, a method for producing the same, and a method for separating and analyzing proteins , and can be stored for a long period of time. Therefore, it is possible to supply a high quality gel in a wide range.

Claims

In the polyacrylamide precast gel used for electrophoresis in which the composition of the electrophoresis buffer is an aqueous solution containing tris (hydroxymethyl) aminomethane and an amphoteric electrolyte,
(1) The concentration of the tris (hydroxymethyl) aminomethane is in the range of 0.07 mol / L to 0.2 mol / L,
(2) The ampholyte comprises glycine and one or more coexisting ampholytes,
1. The base dissociation constant pKb of the coexisting amphoteric electrolyte is in the range of 8.3 <pKb <9.6; 2. The addition amount of the coexisting ampholyte is in the range of 0.1 to 30 mol% with respect to the glycine; The total concentration of the coexisting ampholyte and the glycine is in the range of 0.1 to 0.3 mol / L;
(3) A polyacrylamide precast gel for electrophoresis, which is prepared using a buffer having a pH in the range of 6.0 to 6.8.

2. The polyacrylamide precast gel for electrophoresis according to claim 1, wherein the coexisting ampholyte is an amino acid having the same number of anionic groups and cationic groups in the molecule.

The polyacrylamide precast gel for electrophoresis according to claim 1 or 2, wherein the coexisting ampholyte is serine, glutamine, tryptophan, methionine, or phenylalanine.

The concentration of acrylamide, polyfunctional crosslinking agent, water, and buffer solution (1) Tris (hydroxymethyl) aminomethane having the following composition is in the range of 0.07 mol / L to 0.1 mol / L,
(2) The amphoteric electrolyte comprises glycine and one or more coexisting amphoteric electrolytes. The base dissociation constant pKb of the coexisting amphoteric electrolyte is in the range of 8.3 <pKb <9.6; 2. The addition amount of the coexisting ampholyte is in the range of 0.1 to 30 mol% with respect to the glycine; The mixture consists of the sum of the concentration of the glycine and the coexistence ampholytes is in the range of 0.1~0.3mol / L, pH of the polymerization initiator under the conditions in the range of 6.0 to 6.8 A method for producing a polyacrylamide precast gel for electrophoresis, which comprises polymerizing in the presence.

The polyacrylamide precast gel for electrophoresis according to any one of claims 1 to 3, wherein the electrophoresis buffer containing tris (hydroxymethyl) aminomethane and glycine containing dodecyl sulfate is used as the electrophoresis buffer. separated fraction 析方 method of protein, which comprises using a.