JP3937569B2 - プリプレグ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数本の強化繊維束を引き揃えてマトリックス樹脂を含浸させた一方向繊維強化プリプレグに関し、さらに詳しくは強化繊維方向の引き裂きに強く取り扱い作業性に優れた一方向繊維強化プリプレグに関する。
【0002】
【従来の技術】
一方向繊維強化プリプレグはゴルフシャフト、釣り竿、テニスラケットのフレームなどの成型品の中間素材としてスポーツ、レジャー用途に広く利用されている。また、建築物の補修、補強用などの産業用途にも使われており、年々需要が拡大している。一方向繊維強化プリプレグは形態保持、貯蔵、あるいは輸送のためその片面に離型シート(通常、離型紙)を貼り、シート状またはロール状の形態とするのが通例である。一方向繊維強化プリプレグを成形する場合、通常離型シートごと切断し、必要に応じて芯体に巻き付け円筒にしたり、円筒チューブに巻き付けたり、そのままシート状に重ね合わして硬化させて成形する。このとき離型シートからの剥がれ易さが成形における作業性に対し重要であるが、シートから引き剥がす際、一方向に繊維が揃っているため繊維方向に引き裂かれ、作業性悪化の原因となっていた。引き剥がし作業性を良好にするため繊維間の接着力の強いマトリックス樹脂を検討したり、離型シートの剥がれ易さをコントロールするなどの対策が採られてきた。また、あらかじめ別の一方向プリプレグをその繊維方向が基の一方向プリプレグの繊維方向とは角度を付けて積層することによりプリプレグの引き裂きを防止し、作業性を良くする方法などが検討されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、マトリックス樹脂や離型シートに特殊なものを用いたり、別のプリプレグをあらかじめ積層したりしなくとも、通常のマトリックス樹脂や離型シートを使用しても、離型シートからプリプレグを容易に剥がすことができ、引き剥がし作業性も良好な一方向繊維強化プリプレグを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成するために次の構成を有する。すなわち、複数本の強化繊維束を一方向に引き揃えてなるプリプレグにおいて、強化繊維束のフィラメント数当たり0.1〜30%の本数の単繊維が切断され、かつ切断された該単繊維が色々な角度で強化繊維束にまたがって配置されてなることを特徴とするプリプレグである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる強化繊維束としては連続的に繋がった炭素繊維束、アラミド繊維束、ガラス繊維束などを例示できるが、高強度であり、成型品となした場合に、特に優れた機械的特性を示す炭素繊維束が好ましい。また、炭素繊維の中でもピッチ系では連続した繊維束が得られにくく、ポリアクリロニトリル(以下、PANと略す)系炭素繊維がより好ましい。
【0006】
繊維束はそのフィラメント数が3,000フィラメント以上あれば繊維束間にまたがるように繊維を配置することで効果は得られるが、特に20,000フィラメント以上であると繊維束間にまたがる繊維本数も多くすることができ、引き剥がし作業性も良く、好ましい。
【0007】
強化繊維束にまたがって配置するとは、繊維束方向に対し、任意の角度を付けて単繊維を配置することであり、これにより、一方向に並んだ繊維束における単繊維同士の拘束力や、繊維束間の拘束力を高めることができ、ひいては、プリプレグにおいて、繊維方向と直角方向、いわゆる横方向の強度を高めることができ、別のプリプレグを積層することなく、引き裂きに対し強くすることができる。
【0008】
強化繊維束にまたがって配置される単繊維の割合により成型品の物性に反映され、強化繊維束のフィラメント数当たり30%を越える本数の単繊維を配置した場合、繊維束方向の引張り強度の低下が大きくなり望ましくない。一方0.1%未満では横方向の繊維間の拘束力が弱く、効果が認められない。望ましくは、強化繊維束にまたがって配置される単繊維の割合は0.5〜20%の範囲が繊維束方向の引張り強度低下も少なく、横方向への引き裂きに対しても有効である。さらに望ましくは1〜10%が最も作業性と成形後の物性のバランスが良く、本発明の効果が極めて顕著になる。
【0009】
プリプレグにおける繊維目付が50g/m2以上であると、繊維を繊維束間でまたがるように配置することが容易となり好ましい。望ましくは繊維目付150g/m2以上のプリプレグの方が使用する繊維束のフィラメント数を大きくでき、繊維束間にまたがる繊維本数も多くすることができる。さらには繊維目付が300g/m2を越える厚いプリプレグでは引き剥がし作業性だけで無く、プリプレグ自身の重みにより、その後の成形時の取り扱い性が悪くなる傾向が出てくるが、本発明によれば、引き剥がした後の形態保持性が優れ、取り扱い性がさらに容易になる効果もある。
【0010】
プリプレグにおける繊維含有量は50重量%以上では繊維の含有量が多くなり、本発明の効果が発現し易い。特に繊維含有量70重量%以上のプリプレグにおいてはマトリックス樹脂による繊維束間の拘束力が少なくなり、本発明の効果がより顕著に発現することになる。しかし85重量%を越えると樹脂含有量が少なく、均一なプリプレグが得られにくいことがある。
【0011】
このような一方向繊維強化プリプレグの製造方法としては、通常のプリプレグ製造工程において、繊維束を引き揃えてシート状としたものにマトリックス樹脂を含浸させる前に、繊維束を構成する単繊維の内の0.1〜30%程度を後述するような手段で切断し、樹脂含浸時に横方向へ分散配置させる方法がある。すなわち切断されていない連続した繊維束は引き揃えられて一方向へ配列されるのに対し、任意に切断された単繊維はマトリックス樹脂の流動に応じて、横方向へ動かされ、色々な角度で繊維束間にまたがり配置される。
【0012】
繊維束にマトリックス樹脂を含浸する方法には種々の方式があり、特に制限されるものではないが、溶融、あるいは溶剤で希釈した樹脂液の中に繊維束を入れ、含浸させる方式、いわゆるディップ方式では樹脂液中に切断した単繊維が脱落し、連続して製造する場合、樹脂液中に溜まる問題が生じることがあるがプリプレグの本発明の効果としては問題無い。一方、離型シートに樹脂をコーティングした樹脂フィルムをあらかじめ用意しておき、繊維束に重ね合わせて後、熱をかけて加圧することにより含浸させる方式、いわゆるホットメルト方式では上記問題が無く、切断した繊維は同時に含浸されるので本発明プリプレグを製造するに好適に用いられる。
【0013】
繊維束を構成する単繊維を任意に切断する手段としては特に制限されないが、ローラー、固定ガイドなどをを振動させるなどの擦過により切断する手段や、カッターなどの刃物で適度な長さに切る手段や、空気などの気体の流体をあて切断する手段など、どのような手段をとっても良い。また、あらかじめ繊維束の一部の単繊維を切断した繊維束をボビンに巻いておき、通常のプリプレグ製造工程に通して製造することも可能である。
【0014】
繊維束間にまたがって配置された単繊維の割合は、次のようにして測定することができる。プリプレグを繊維方向に10cmの長さで引き裂き、引き裂かれた部分から少しでも飛び出した繊維端の数を両側部分で計数する。約20〜50倍の光学顕微鏡で見るのが繊維端が数え易くて良い。これを任意の場所で10回繰り返して合計して、1m当たりの繊維束間にまたがって配置された単繊維の数とする。この1m当たりの繊維束間にまたがって配置された単繊維の数と、プリプレグに用いられた繊維束1本のフィラメント数との比(%)を繊維束間にまたがって配置された単繊維の割合とする。なお、単繊維は繊維束にまたがって配置されているので、繊維束間が判明しにくい場合には、適宜の位置で繊維方向に沿って引き裂き、その引き裂き部分に出る単繊維の数を計数しても実質的に同じである。
【0015】
また、マトリックス樹脂が多くて計数しづらい場合は引き裂いた部分を溶剤で樹脂を除去してから計数しても良い。また、あらかじめマトリックス樹脂を溶剤で除去してから引き裂いて繊維束間にまたがった単繊維の数を計数しても良い。
【0016】
また、マトリックス樹脂が流動し計数しにくい場合はプリプレグを適宜に硬化させて切断面で単繊維を計数しても良い。繊維束間にまたがった単繊維の数が多くて計数しずらい場合は、計数長を短くし、1m当たりに換算しても良い。
【0017】
プリプレグの引き剥がし性は縦30cm横30cmの大きさにカットしたプリプレグの端を持って離型シートから引き剥がした時に、繊維方向に引き裂かれずにプリプレグの形態を維持できるかで評価する。
【0018】
本発明のプリプレグにおいて用いられるマトリックス樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性の樹脂のいずれでも良いが、熱硬化性のエポキシ樹脂が一般的に用いられる。エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシルアミン型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂などを使用することができる。これらのエポキシ樹脂は単独または複数種類を混合して使用することができ、さらには液状のものから固体状のものまで使用することができる。通常、エポキシ樹脂には硬化剤が加えて用いられることが多い。
【0019】
また、本発明のプリプレグは通常、離型シートに担持されている。離型シートとしては表面離型処理した離型紙、プラスチック製フィルムなどが用いられるが、例えばシリコーン系離型剤の種類や量を適宜に調整することにより離型性を適度に設定した離型紙が望ましい。
【0020】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、コンポジットの0°引張強度はASTM D3039に準じて測定した。
【0021】
<実施例1>
まず、離型紙にエポキシ樹脂をコーティングした樹脂フィルムを作製する。次に、フィラメント数70,000のPAN系炭素繊維束を9本引き揃えて300mm幅のシート状とし、擦過ロールで強制的に繊維束を擦過し、単繊維の一部を切断してから、その両面から前記樹脂フィルムで挟んで後、加熱、加圧しエポキシ樹脂を含浸する。この際、繊維束の擦過の程度を変更することにより、表1に示す5水準の一方向繊維強化プリプレグを得た。いずれのプリプレグも、繊維目付が170g/m2であり、繊維含有量が70重量%であった。水準1ではプリプレグを離型シートから引き剥がす際、プリプレグの繊維方向で引き裂けが発生し、作業性は悪かった。一方、水準5では作業性は良かったが、そのプリプレグから作製したコンポジットの0°引張強度の低下が大きい。
【0022】
【表1】
表中、0°引張強度は、繊維体積含有率を60%として換算した値である。
【0023】
<実施例2>
炭素繊維束を、フィラメント数24,000のPAN系炭素繊維束(東レ(株)製トレカT700S−24K)に変更し、125本引き揃えて1m幅のシート状とし、実施例1と同様に擦過して、表2に示す5水準の一方向繊維強化プリプレグを得た。いずれのプリプレグも、繊維目付が200g/m2であり、繊維含有量が70重量%であった。水準1では実施例1と同様、プリプレグの繊維方向での引き裂けが発生し、作業性は悪かった。一方、水準5では作業性は良かったが、そのプリプレグから作製したコンポジットの0°引張強度の低下が大きい。
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】
本発明により、横方向の引き剥がれに強い、かつ、引き剥がし作業性の優れたプリプレグを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリプレグの一例を示す概略図である。
【図2】繊維束間で引き割かれたプリプレグを示す概略図である。
【符号の説明】
1 繊維束
2 単繊維
3 繊維端
Claims (4)
- 複数本の強化繊維束を一方向に引き揃えてなるプリプレグにおいて、強化繊維束のフィラメント数当たり0.1〜30%の本数の単繊維が切断され、かつ切断された該単繊維が色々な角度で強化繊維束にまたがって配置されてなることを特徴とするプリプレグ。
- 強化繊維が炭素繊維であることを特徴とする請求項1記載のプリプレグ。
- 炭素繊維がポリアクリロニトリル系炭素繊維である請求項2記載のプリプレグ。
- 前記強化繊維束はフィラメント数が20,000本以上である請求項1記載のプリプレグ。
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JP08717898A JP3937569B2 (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | プリプレグ |
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JPH11277530A JPH11277530A (ja) | 1999-10-12 |
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ID=13907745
Family Applications (1)
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JP08717898A Expired - Fee Related JP3937569B2 (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | プリプレグ |
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JP (1) | JP3937569B2 (ja) |
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1998
- 1998-03-31 JP JP08717898A patent/JP3937569B2/ja not_active Expired - Fee Related
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