JP3924068B2 - 排水処理剤及びこれを用いた排水処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スチレン系重合体スルホン化物やその塩を有効成分とする排水処理剤に関するものであり、さらにはこれを用いた排水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種産業排水や下水汚泥、屎尿汚泥等による河川や地下水等の汚染は大きな社会問題となっており、これを浄化するための排水処理技術に対する関心は極めて高い。
【0003】
このような状況の中、各方面で様々な排水処理技術が検討されており、高分子凝集剤を用いた凝集処理もその一つである。
【0004】
例えば、特開昭58−216707号公報や特開平2−298400号公報には、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを排水処理剤として利用する技術が提案されており、上記各種排水に対する凝集処理効果が報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまで市販されているポリスチレンスルホン酸ナトリウムは、生成するフロックの粒径が小さく沈降速度や濾過速度が遅い点や、脱水後の汚泥(ケーキ)中の含水率やろ過ろ液の濁度が高い等の点で、必ずしも十分な性能を有するとは言えない。
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、沈降速度や濾過速度が速く、且つ、脱水後の汚泥(ケーキ)中の含水率やろ過ろ液の濁度を低くすることが可能な新規な排水処理剤および排水処理方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、排水処理時の沈降速度、濾過速度、脱水汚泥含水率、脱水ケーキ剥離性、ろ液の清浄性(濁度)に優れる排水処理剤および排水処理方法を得るべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の排水処理剤は、架橋構造を有するスチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩を有効成分として含み、上記スチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩は、芳香環に対しスルホン酸基が70モル%以上導入され、濃度1重量%の水溶液に中性塩を0.01〜5規定なる範囲で添加したときの粘度が、25℃において10〜20000mPa・Sなる範囲内にあることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の排水処理方法は、各種排水中に架橋構造を有するスチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩を有効成分として含む排水処理剤を添加し、これを浄化する排水処理方法において、上記スチレン系重合体スルホン化物及び又はその塩は、芳香環に対しスルホン酸基が70モル%以上導入され、濃度1重量%の水溶液に中性塩を0.01〜5規定なる範囲で添加したときの粘度が、25℃において10〜20000mPa・Sなる範囲内にあることを特徴とするものである。
【0010】
上記特性を有するスチレン系重合体スルホン化物やその塩は、安定に優れた凝集性能を発揮する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において排水処理剤として用いるスチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩は、その分子内および分子間に架橋構造を有することを特徴とするもので、従来の水処理用高分子凝集剤とは異なるものである。すなわち、従来の水処理用高分子凝集剤は、カルボン酸ソーダ等に代表されるイオン性置換基の分子内静電反発により直鎖状(1次元)構造を形成する非架橋の水溶性の高分子電解質が一般的であるが、本発明の水処理剤は、分子内および分子間に(3次元)の架橋構造を有し、且つ、強電解質であるスルホン酸基をイオン性置換基として有していることをその特徴とする水溶性高分子凝集剤である。
【0012】
この特徴を有していることにより、本発明の水処理剤は、被処理水の状態、例えば、被処理水中のイオン濃度や強度、pH、含有イオン成分(溶解金属種:主に2価以上の金属)等による影響を受けにくくなり、直鎖状のものに比べて安定した凝集性能を示すことになる。
【0013】
つまり、従来の1次元状の高分子凝集剤は、被処理水のpHが低かったり、イオン強度が高かったり、または、2価以上の金属成分が含まれていたりすると、イオン性置換基による分子内の静電反発の影響が低くなるため、もしくは、2価の金属によるイオン架橋が形成されるため、分子鎖の収縮(直鎖状→糸まり状)が発生し易くなる。これにより、従来の水処理剤は、被処理水中の電解質成分により極度に分子鎖の広がりが低下し、当然同水処理剤の水溶液粘度自体も低くなり、結果として凝集性能(形成フロックの粒径等)が大きく低下することになる。このため、従来の水処理剤を使用する場合は、被処理水の種類が限定されたり、被処理水中の成分の変動によるマージンを大幅にとる(添加量の増加等の)必要があると言う問題点を有していた。
【0014】
これに対して、本発明の排水処理剤は、上記の特徴により、被処理水の種類や状態に左右されることの極めて少ない、安定した凝集性能を有する。
【0015】
なお、本発明の排水処理剤を、従来の水処理剤(直鎖状のスチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩も含む)と区別および比較するには、回転型粘度計による水溶液粘度測定が好適である。特に、中性塩等の電解質が予め添加された系での水溶液粘度の測定が好適である。この際、排水処理剤以外の電解質成分としては、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム等の中性塩や、水酸化ナトリウムや各種緩衝液等を用いても良いが、前述の中性塩が一般的である。なお、これら電解質の処理剤水溶液への添加量は、0.01〜5規定とすることが好ましく、より好ましくは、0.1〜1.2規定の範囲である。電解質の添加量がこれより少ないと、測定上の誤差(分子鎖の広がりのバラツキ)が大きくなり、一方、これより多くなるとこの電解質を排水処理剤の水溶液に溶解することが難しくなる。また、排水処理剤の水溶液濃度としては、0.1〜5重量%、より好ましくは0.3〜3重量%である。
【0016】
排水処理剤の水溶液濃度をこれより低くすると、粘度が低くなり過ぎるため回転型粘度計による測定が難しくなる。一方、濃度をこれより高くすると排水処理剤が水に溶解し難くなり、水溶液が不均一状態となり粘度測定が困難となる。測定温度は特に限定は無いが、0〜80℃が好適である。回転型粘度計としては、B型粘度計、ビスメトロン等が挙げられる。
【0017】
以上の水溶液粘度測定法を用いることにより、本発明の排水処理剤と従来の水処理剤の違いを特徴づけることが出来る。すなわち、本発明の排水処理剤は、電解質水溶液中での濃度の変化により分子鎖の広がりの変動を受けることが少ないため、一般の直鎖状スチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩に比べて高い水溶液粘度を有することになる。
【0018】
本発明者らは、以上のことから架橋構造を有するスチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩を製造し、各種排水に対して凝集評価を行ったところ、該処理剤の1重量%の水溶液に中性塩を0.01〜5規定なる範囲で添加したときに粘度が10〜20000mPa・S(25℃)となる範囲で、より具体的には、中性塩を0.2規定添加した際の1重量%の水溶液粘度が10〜500mPa・S(25℃)、もしくは、中性塩を1規定添加した際の1重量%の水溶液粘度が10〜200mPa・S(25℃)の範囲のものが非常に優れた凝集性能を有することを見い出すに至った。
【0019】
以上に示した粘度測定により、電解質水溶液中での高分子電解質(つまり水処理剤)の分子鎖の広がりについての知見を得ること出来るようになるため、従来の水処理剤と本発明の水処理剤を見分けることが可能となる。
【0020】
本発明において用いるスチレン系重合体スルホン化物やその塩は、スチレンホモポリマーのスルホン化物及び/又はその塩だけでなく、スチレンと共重合可能なモノマーとの共重合体のスルホン化物及び/又はその塩を含む。
【0021】
スチレンと共重合可能なモノマーとしては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン等の芳香族モノマー、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、シクロペンタジエン等の共役ジエン類、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン等のオレフィン類、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸またはこれらのエステル類、アクリロニトリル等のニトリル基含有モノマーやN-ビニルピロリドン等のビニル系モノマーが挙げられる。これらの他のモノマーは、1種単独あるいは2種以上を併用することができる。
【0022】
上記他のモノマーを併用する場合には、それらの含有量は50モル%以下、好ましくは2〜40モル%である。
【0023】
また、スチレン系重合体は、使用済みのものや他の重合体とのアロイ物であってもよく、顔染料や安定剤、難燃剤、可塑剤、充填剤、その他の補助剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。即ち、上述したスチレン系重合体は、工場や販売店、家庭等から排出される廃棄物(廃材)であってもよい。地球環境資源の有効利用の観点からは、このように廃材を本発明の原料として使用することが望ましい。なお、スチレン系重合体は、使用済み廃材と新規に作られたもの(バージン材料)との混合物であってもよい。
【0024】
スチレン系重合体と混合可能な重合体としては、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリブタジエン等の少なくとも1種類以上を挙げることができる。なお、これら重合体の混合率は60重量%以下であることが望ましい。含有量がこれより多いと、下記に示すスルホン酸基の導入が阻害されることになる。
【0025】
スチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩中のスルホン酸基の含有量は、芳香核に対して30モル%以上が好ましい。スルホン酸基の含有量がこれより低いと水溶性を示さなくなり、凝集効果が大幅に低下してしまうためである。
【0026】
また、該スチレン系重合体スルホン化物の原料としてスチレン系重合体を用いる場合は、同原料重合体の重量平均分子量は、1000〜100万、好ましくは、5万〜50万である。原料の分子量がこれより高いと架橋処理後に極度に分子量の高いものが発生してしまい、そのためスルホン化物の水に対する溶解性が悪くなってしまう。
【0027】
一方、原料の分子量がこれより低いと架橋処理を施しても有効な三次元構造が形成されず、高分子凝集剤としての性能を得ることが難しくなる。
【0028】
先にも述べたように、本発明のスチレン系重合体スルホン化物の凝集効果をより効果的なものとするためには、該スルホン化物が三次元の架橋構造を有することが必要となる。
【0029】
このようなスチレン系重合体スルホン化物を得る方法として、
▲1▼該スチレン系重合体をスルホン化反応する際に、積極的にスルホン架橋を形成させる方法、
▲2▼スチレン系重合体を製造する際に、ジビニルベンゼン等の架橋性モノマーを添加して架橋スチレン系重合体を得、これをスルホン化する方法、
等がある。
【0030】
▲1▼の方法により三次元構造を有するスチレン系重合体スルホン化物を得る具体的な方法としては、予め重合反応によりスチレン系重合体を製造し、該重合体をその濃度が0.1〜40重量%になるように溶媒に溶解したのち、無水硫酸、無水硫酸/ルイス塩基錯体、発煙硫酸等のスルホン化試剤を用いてスルホン化する方法が有効である。
【0031】
無水硫酸を用いてスルホン化する場合には、生成物の架橋度をコントロールするために、原料ポリマー溶液に架橋コントロール剤としてルイス塩基を0.1〜10重量%対無水硫酸添加してスルホン化する方法が有効である。
【0032】
無水硫酸/ルイス塩基錯体または発煙硫酸を用いてスルホン化する場合には、生成物の架橋度をコントロールするために、原料ポリマー溶液の濃度を調節してスルホン化する方法が有効である。
【0033】
▲2▼の方法の場合には、添加する架橋性モノマーの量が、0.001〜3モル%であることが好ましい。0.001モル%より少ないと得られた重合体の架橋度が不十分なため、充分な凝集効果が得られない。また、3モル%を越えると得られた重合体をスルホン化した際に水不溶性となり、凝集効果が充分に発揮されない。
【0034】
このような三次元構造を有するスチレン系重合体スルホン化物を得る具体的な方法としては、スチレン系モノマーの重合の際にジビニルベンゼン等の架橋性モノマーを0.001〜3モル%添加して、ラジカル重合またはカチオン重合またはアニオン重合することにより架橋スチレン系重合体を得たのち、これを常法によりスルホン化する方法がある。
【0035】
また、上記スチレン系重合体スルホン化物は、スチレンスルホン酸の各種塩類のホモポリマーでもよく、また、これと共重合可能なモノマーとの共重合体でもよい。
【0036】
スチレンスルホン酸塩と共重合可能なモノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸および/またはその塩、ビニルスルホン酸の塩類、アリルスルホン酸の塩類、メタリルスルホン酸の塩類、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸の塩類、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の塩類、(メタ)アクリルアミドが挙げられる。これらの共重合可能なモノマーは、1種単独あるいは2種以上を併用することができる。
【0037】
上記他のモノマーを併用する場合には、それらの含有量は50モル%以下、好ましくは2〜40モル%である。
【0038】
また、これらモノマーを重合する際に、架橋性モノマーを0.001〜3モル%添加することも有効である。
【0039】
架橋性モノマーとしては、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アジピン酸ジビニル、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、N,N−ジアリルアクリルアミド、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0040】
上記スチレン系重合体スルホン化物の水溶液粘度は、中性塩を0.01〜5規定添加した際の1重量%の粘度が25℃で10〜20000mPa・S、より具体的には、中性塩を0.2規定添加量時の1重量%の粘度が10〜500mPa・S(25℃)、もしくは、中性塩を1規定添加時の1重量%の粘度が10〜200mPa・S(25℃)の範囲となる。水溶液粘度がこれ以下では凝集効果が低下することから、フロック粒径、沈降速度、濾過速度、脱水ケーキ含水率、濾液の清浄性(濁度)等の各種性能の向上が期待できなくなる。また、水溶液粘度がこれ以上では水に対する溶解性が悪くなり現実的な薬剤のハンドリングが困難なものとなる。
【0041】
本発明に用いるスチレン系重合体スルホン化物の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩および第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0042】
アルカリ金属塩を形成するアルカリ金属イオンとしては、リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンが挙げられる。
【0043】
アルカリ土類金属塩を形成するアルカリ土類金属イオンとしては、マグネシウム、カルシウムイオンが挙げられる。
【0044】
アミン塩を形成するアミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン、アニリン、ベンジルアミン等のアリールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モノエタノールジメチルアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。
【0045】
第4級アンモニウム塩の第4級アンモニウム化合物としては、ヒドロキシテトラエチルアンモニウム、ヒドロキシトリメチルエチルアンモニウム、ヒドロキシテトラメチルアンモニウム、ヒドロキシトリメチルベンジルアンモニウム等のヒドロキシテトラアルキル(アリール)アンモニウムが挙げられる。
【0046】
これらの塩のうち好ましいものは、アルカリ金属塩で、特に好ましいものはナトリウム塩である。また、これらの塩は2種以上の併用塩であってもよい。
【0047】
以上に述べた本発明のスチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩は、ノニオン性及び/又はアニオン性高分子凝集剤、カチオン性高分子凝集剤、無機凝集剤と併用することにより、さらに凝集効果が向上される。
【0048】
併用可能なノニオン性及び/又はアニオン性高分子凝集剤としては、下記のものが挙げられる。
【0049】
a)アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドの重合体およびそれら共重合体。
【0050】
b)ポリアクリルアミドやポリメタクリルアミドの部分加水分解物。
【0051】
c)アクリル酸又はメタクリル酸と、アクリルアミド又はメタクリルアミドとの共重合体及びその塩類。
【0052】
d)アクリル酸又はメタクリル酸と、アクリルアミド又はメタクリルアミドと、2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸又はスチレンスルホン酸又はビニルスルホン酸又はビニルメチルスルホン酸との3元共重合体及びその塩類。
【0053】
e)アルギン酸やグアーガム、カルボキシメチルセルロース、澱粉の各ソーダ塩。
【0054】
f)直鎖状ポリスチレンスルホン酸及びその塩。
【0055】
g)ポリアクニロニトリルの加水分解物。
【0056】
これらのうち好ましいのは、ポリアクリルアミドやポリメタクリルアミドの部分加水分解物、アクリル酸又はメタクリル酸と、アクリルアミド又はメタクリルアミドとの共重合体及びその塩類である。
【0057】
これらのノニオン性及び/又はアニオン性高分子凝集剤は、スチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩と単独および/または2種以上で併用しても良い。なお併用する場合は、混合しても良いし、それぞれ逐次添加しても良い。
【0058】
また、上記カチオン性高分子凝集剤としては、下記のものが挙げられる。
【0059】
a)ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの四級化物(四級化剤としては、塩化メチル、ジメチル硫酸、塩化ベンジル等)もしくは酸塩(酸塩としては、塩酸塩、硫酸塩などの無機酸塩および酢酸塩などの有機酸塩など)またはこれらと(メタ)アクリルアミドとの重合体または共重合体(例えば、ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロライド四級化物またはこれとアクリルアミドとの重合体または共重合体)
b)ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの四級化物もしくは酸塩、またはこれらと(メタ)アクリルアミドとの重合体または共重合体(例えば、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライド四級化物とアクリルアミドとの共重合体)
c)ポリアクリルアミドのカチオン変性物(例えば、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物およびホフマン分解物)
d)エピハロヒドリン−アミン縮合物(例えば、エピハロヒドリンとC2−6のアルキレンジアミンとの重縮合物)
e)ポリビニルイミダゾリンとその四級化物もしくは酸塩
f)ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド
g)ジシアンジアミド縮合物(例えば、ジシアンジアミドと塩化アンモニウムのホルマリン縮合物)
h)ポリエチレンイミンとその四級化物もしくは酸塩
i)ポリビニルイミダゾールとその四級化物もしくは酸塩
j)ポリ4−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド
k)キトサンとその塩類
l)N−ビニルホルムアミド/アクリロニトリルコポリマーの酸性加水分解物とその四級化物もしくは酸塩
m)ポリビニルピリジンとその四級化物もしくは酸塩
n)水溶性アニリン樹脂とその四級化物もしくは酸塩
o)アルキレンジクロライドとポリアルキレンポリアミンの縮合物
p)アニリン−ホルムアルデヒド重複合物塩
q)ポリヘキサメチレンチオ尿素酢酸塩
r)ポリアミノ酸(例えば、ポリリジンやポリグルタミン酸およびその塩類)
【0060】
これらのうち、好ましいのはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの四級化物もしくは酸塩またはこれらと(メタ)アクリルアミドとの重合体または共重合体およびジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの四級化物もしくは酸塩またはこれらと(メタ)アクリルアミドとの重合体または共重合体であり、特に、好ましいのは、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの四級化物もしくは酸塩またはこれらと(メタ)アクリルアミドとの重合体または共重合体である。
【0061】
これらカチオン性高分子凝集剤は、該スチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩と単独および/または2種以上で併用しても良い。ただし、本発明の排水処理剤は通常負の電荷を有するアニオン型凝集剤であり、混合すると凝沈する恐れがあるため、この場合は逐次添加することが望ましい。逐次添加する場合は、カチオン性高分子凝集剤を先に添加し、該スチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩を後に添加するか、もしくはその逆のどちらでも良い。ただし、下水の処理においては、前者が一般的である。
【0062】
上記無機凝集剤としては、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、塩化銅、変性塩基性硫酸アルミニウム(LACS)、活性シリカ等が挙げられる。
【0063】
これらの無機凝集剤は、該スチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩とは単独および/または2種以上で併用しても良い。
【0064】
ただし、無機凝集剤の電荷もまた該水処理剤の電荷と反対であることが多く、併用する場合は両剤を混合すると凝沈する恐れがあるため、逐次添加することが望ましい。逐次添加時に添加順としては、無機凝集剤の方を先に添加するのが一般的である。
【0065】
本発明では、以上に示したノニオン性及び/又はアニオン性高分子凝集剤やカチオン性高分子凝集剤、無機凝集剤の少なくとも1種類以上と、先のスチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩とを併用することで、被処理水に対する凝集効果(排水処理児時の沈降速度、濾過速度、脱水汚泥含水率、脱水ケーキ剥離性、濾液の清浄性:濁度)を向上させることができる。
【0066】
これら各薬剤の添加量としては、排水の種類や排水中の懸濁物の濃度、処理設備や装置にもよるが、概ね0.01〜1000ppm(対廃水)、好ましくは、0.1〜500ppm(対廃水)が適当である。添加量が少ないと充分な凝集効果が得られず、一方、これより多くなると経済的に不利となる。
【0067】
排水への各水処理剤(凝集剤)の添加方法としては、直接添加するか、または水に溶解もしくは混合分散したものを添加するとよい。
【0068】
上記排水処理の際には、(有機)凝結剤、キレート樹脂、キレート剤、活性炭、オゾン水、イオン交換樹脂およびイオン交換膜、吸水性樹脂、過酸化水素水、塩素および液体塩素、次亜塩素酸ソーダ、二酸化塩素、さらし粉、塩素化イソシアヌル、けいそう土、酸化チタン等の光触媒、生物処理剤等の各種副処理剤を併用してもよい。
【0069】
本発明の処理対象となる排水は、工場から排出される無機系であっても良いし、一般家庭からの生活排水(下水、屎尿、その他各種有機性汚水)のどちらであっても良い。
【0070】
本発明の排水処理剤によるろ過・脱水法としては、排水処理剤を排水に添加、撹拌混合してフロックを形成させろ過・脱水を行うが、脱水機としては、ベルトプレス脱水機、フィルタープレス脱水機、遠心脱水機、スクリュープレス等の従来より使用されている脱水機が使用可能である。脱水されたケーキは、公知の方法で焼却や埋め立て処理が施される。また、燃料化、コンポスト化することも極めて容易である。
【0071】
上述のように、本発明による排水処理剤は、三次元の架橋構造形成により強酸性イオン基(スルホン酸および/またはその塩)が非常に高密度に分子内に局在化することが可能となるため、静電吸引力に優れることから、排水の種類や同成分の変動等の影響を受けにくく、且つ、密度の高いフロックを形成することが出来、これによりフロック強度が高くなり、沈降速度、ろ過速度、脱水ケーキ含水率等の面で優れた特性を発揮出来るようになる。
【0072】
【実施例】
以下、具体的な実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0073】
合成例1(スチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩の製造)
市販のGPグレードのポリスチレン(Mw:20万)100重量部をクロロホルム2000重量部に溶解し、架橋コントロール剤として酢酸3重量部を添加して原料溶液とした。この原料溶液をタービン型撹拌機付きのスルホン化反応器にスルホン化剤である無水硫酸(SO3 )とともに連続的に供給して45℃でスルホン化反応を行った。この場合、供給速度は原料溶液80g/分、無水硫酸3.38g/分、SO3 /ポリスチレン中のスチレン単位のモル比は1.10とし、また、反応器はジャケット付きで容量400mlのものを使用した。得られた反応混合物からクロロホルムを留去して、ポリスチレンのスルホン化物を得た。得られたスルホン化物を水酸化ナトリウム水溶液で中和してポリスチレンスルホン酸Naを得た。
【0074】
得られたポリスチレンスルホン酸Na(処理剤Aとする。)の1重量%水溶液の25℃での粘度は、18mPa・S(1規定の硝酸ナトリウム添加)であり、また、スルホン酸基導入率は100モル%であった。
【0075】
合成例2(プラスチック廃材のスルホン化物及び/又はその塩の製造)
使用済みの発泡スチロール廃材(ポリスチレン:Mw21万)を60重量部を1,2−ジクロロエタン2000重量部に溶解し、架橋コントロール剤としてアセトフェノン0.6重量部を添加して原料溶液とした。この原料溶液をタービン型撹拌機付きのスルホン化反応器にスルホン化剤である無水硫酸(SO3 )とともに連続的に供給して45℃でスルホン化反応を行った。この場合、供給速度は原料溶液80g/分、無水硫酸2.12g/分、SO3 /ポリスチレン中のスチレン骨格のモル比は1.15とし、また、反応器はジャケット付きで容量400mlのものを使用した。得られた反応混合物から1,2−ジクロロエタンを留去して、発泡スチロールのスルホン化物を得た。得られたスルホン化物を水酸化ナトリウム水溶液で中和して該スルホン化物のNa塩を得た。
【0076】
得られたスルホン化物のNa塩(処理剤Bとする。)の1重量%水溶液の25℃での粘度は、0.2規定分の硝酸ナトリウム添加時には230mPa・S、1.0規定分の硝酸ナトリウム添加時では102mPa・Sであり、また、スルホン酸基導入率は100モル%であった。
【0077】
合成例3(プラスチック廃材のスルホン化物及び/又はその塩の製造)
使用済みのテレビのハウジング廃材(ハイインパクトポリスチレン:Mw18万、ポリブタジエン含有量5モル%)を用い、架橋コントロール剤としてPEG200を5重量部用いた以外は、合成例2と全く同様にしてスルホン化および中和を行い、同廃材のスルホン化物のNa塩を得た。
【0078】
得られたスルホン化物のNa塩(処理剤Cとする。)の1重量%水溶液の25℃での粘度は、54mPa・S(1規定の硝酸ナトリウム添加)であり、また、スルホン酸基導入率は90モル%であった。
【0079】
合成例4(プラスチック廃材のスルホン化物及び/又はその塩の製造)
使用済みの発泡スチロール廃材(ポリスチレン:Mw21万)100重量部を1,2−ジクロロエタン900重量部に溶解して原料ポリマー溶液を調製した。1,2−ジクロロエタン1500重量部にトリエチルリン酸256重量部を加えたものを氷冷下撹拌しながら、無水硫酸154重量部を滴下して、無水硫酸/トリエチルリン酸錯体を調製した。
【0080】
このものを氷冷下撹拌しながら、原料ポリマー溶液を3時間かけて滴下した。さらに反応温度を25℃に昇温した後、30分間撹拌した。この反応混合物を3000重量部の水で希釈後、水酸化ナトリウム水溶液で中和した。水相と有機相を分離した後、水相を濃縮して該廃材のスルホン化物のNa塩水溶液を得た。
【0081】
得られたスルホン化物のNa塩(処理剤Dとする。)の1重量%水溶液の25℃での粘度は、0.2規定分の硝酸ナトリウム添加時には153mPa・S、1.0規定分の硝酸ナトリウム添加時には95mPa・Sであり、また、スルホン酸基導入率は80モル%であった。
【0082】
合成例5(架橋ポリスチレンのスルホン化物及び/又はその塩の製造)
スチレン200重量部、p−ジビニルベンゼン0.3重量部、シクロヘキサン1800重量部を反応器に入れ、乾燥窒素気流下、アゾビスイソブチロニトリル2重量部を加え80℃で3時間撹拌した。さらにアゾビスイソブチロニトリル1重量部を加え80℃で3時間撹拌した(この操作をさらに3度繰り返した。)。反応混合物から未反応モノマーを溶媒とともに留去させた。得られた重合物の分子量をGPCで測定したところ、10万であった。得られた重合物に、シクロヘキサン1800重量部を加えた原料溶液に、スルホン化剤である無水硫酸をガス状にして吹き込みながらスルホン化した。得られた反応混合物から溶媒を留去して、架橋ポリスチレンのスルホン化物を得た。得られたスルホン化物をアンモニア水で中和して該スルホン化物のアンモニウム塩を得た。
【0083】
得られたスルホン化物のアンモニウム塩(処理剤Eとする。)の1重量%水溶液の25℃での粘度は、12mPa・S(1規定の硝酸ナトリウム添加)であり、また、スルホン酸基導入率は75モル%であった。
【0084】
合成例6(プラスチック廃材のスルホン化物及び/又はその塩の製造)
使用済みのVHSビデオカセットケース材(ハイインパクトポリスチレン:Mw20万)70重量部を1,2−ジクロロエタン630重量部に溶解したものと、60%発煙硫酸93重量部とを、リン酸トリエチルを15重量部加えた1,2−ジクロロエタン700重量部溶液に60分かけて同時滴下した。滴下中は反応系の温度は20〜25℃の範囲にコントロールした。滴下終了後、30分間の熟成の後、反応系に水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和を行った。その後、反応混合物から溶媒を留去して、プラスチック廃材のスルホン化物を得た。
【0085】
得られたスルホン化物のNa塩(処理剤Fとする。)の1重量%水溶液の25℃での粘度は、20mPa・S(1規定の硝酸ナトリウム添加)であり、また、スルホン酸基導入率は95モル%であった。
【0086】
合成例7(スチレンスルホン酸Naの共重合体の製造)
アクリルアミド50重量部、スチレンスルホン酸Na100重量部、メチレンビス(メタ)アクリルアミド0.1重量部を精製水600重量部に溶解した後、過硫酸アンモニウム0.70重量部、亜硫酸水素カリウム0.36重量部を加え50℃で3時間撹拌した。
【0087】
さらに過硫酸アンモニウム0.70重量部、亜硫酸水素カリウム0.36重量部を加え50℃で3時間撹拌した。
【0088】
得られた架橋共重合物(処理剤Gとする。)の1重量%水溶液の25℃での粘度は、63mPa・S(1規定の硝酸ナトリウム添加)であった。
【0089】
比較合成例1(比較用ポリマーの製造)
使用済みの発泡スチロール廃材(ポリスチレン:Mw21万)100重量部を1,2−ジクロロエタン2000重量部に溶解した後、濃硫酸2000重量部を加え、80℃で3時間撹拌した。反応混合物を3000重量部の水で希釈後、水酸化ナトリウム水溶液で中和した。濃縮後、再結晶法により硫酸ナトリウムを除去して、該廃材のスルホン化物のNa塩水溶液を得た。
【0090】
得られた非架橋重合物(比較処理剤aとする。)の1重量%水溶液の25℃での粘度は、4.0mPa・S(1規定の硝酸ナトリウム添加)であり、また、スルホン酸基導入率は90モル%であった。
【0091】
比較合成例2(比較用ポリマーの製造)
使用済みの発泡スチロール廃材(ポリスチレン:Mw21万)100重量部を1,2−ジクロロエタン2000重量部に溶解して原料ポリマー溶液を調製した。1,2−ジクロロエタン3000重量部にトリエチルリン酸260重量部を加えたものを氷冷下撹拌しながら、無水硫酸160重量部を滴下して、無水硫酸/トリエチルリン酸錯体を調製した。
【0092】
このものを氷冷下撹拌しながら、原料ポリマー溶液を3時間かけて滴下した。さらに反応温度を25℃に昇温した後、30分間撹拌した。この反応混合物を3000重量部の水で希釈後、水酸化ナトリウム水溶液で中和した。水相と有機相を分離した後、水相を濃縮して該廃材のスルホン化物のNa塩水溶液を得た。
【0093】
得られた非架橋重合物(比較処理剤bとする。)の1重量%水溶液の25℃での粘度は、6.3mPa・S(1規定の硝酸ナトリウム添加)であり、また、スルホン酸基導入率は100モル%であった。
【0094】
比較合成例3(比較用ポリマーの製造)
スチレンスルホン酸Naモノマー100重量部を精製水300重量部に溶解した後、過硫酸アンモニウム1重量部、亜硫酸水素カリウム0.5重量部を加え50℃で3時間撹拌した。さらに過硫酸アンモニウム1重量部、亜硫酸水素カリウム0.5重量部を加え50℃で3時間撹拌した。
【0095】
得られた非架橋ポリスチレンスルホン酸Na(比較処理剤cとする。)の1重量%水溶液の25℃での粘度は、5.1mPa・S(1規定の硝酸ナトリウム添加)であった。
【0096】
その他の比較処理剤として以下のサンプルを使用した。
【0097】
比較処理剤d
市販のポリスチレンスルホン酸Na:Mw50万(試薬品:サイエンティフィックポリマー社製)
この比較処理剤dの1重量%水溶液の25℃での粘度は、4.2mPa・S(1規定の硝酸ナトリウム添加)であった。
【0098】
比較処理剤e
市販のポリスチレンスルホン酸Na:Mw260万(試薬品:ケムコ社製)
この比較処理剤eの1重量%水溶液の25℃での粘度は、0.2規定分の硝酸ナトリウム添加時には9.8mPa・S、1.0規定分の硝酸ナトリウム添加時には9.5mPa・Sであった。
【0099】
比較処理剤f
市販のポリアクリル酸ソーダホモポリマー
この比較処理剤fの1重量%水溶液の25℃での粘度は、70mPa・S(1規定の硝酸ナトリウム添加)であった。
【0100】
また、以下の実施例において上記処理剤と併用した薬剤は下記の通りである。
【0101】
併用薬剤A
アニオン性高分子凝集剤:ポリアクリルアミド部分加水分解物(中アニオン)
併用薬剤B
カチオン性高分子凝集剤:ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロライド四級化物(強カチオン)
併用薬剤C
無機凝集剤:硫酸アルミニウム
なお、上記各処理剤において、ポリマー溶液の粘度、およびスルホン酸基の導入率の測定は、次のようにして行った。
【0102】
(1)高分子電解質の粘度
回転型粘度計としては東京計器社製のB型粘度計を使用し、測定溶液としては、0.2と1.0規定の硝酸ソーダ水溶液に各ポリマーの有効成分が1重量%となるように溶解したものを25℃の温度で測定を行った。なお、水溶液粘度は、使用ローター番号と回転数(rpm)から換算係数を求め、この係数に目盛の読みを乗じることにより算出した。
【0103】
(2)スルホン酸基の導入率
原料ポリマーが芳香族モノマー単位のみからなる場合は、元素分析計(カルロエルバ社製EA−1108型)により測定した炭素原子と硫黄原子の比から芳香環1ユニット当たりのスルホン酸基導入率を計算した(該水溶性ポリマー中に硫酸塩を含む場合は、イオンクロマトグラフィーでその量を定量し、その硫黄原子量を元素分析計で得た硫黄原子量より差し引いた。)。
【0104】
原料ポリマーが芳香族モノマーと他のモノマーとの共重合体の場合は、1H−NMRスペクトル(日本電子社製JNM−EX270型)を測定し、7.6ppm付近のピーク強度(a)と8.1ppm付近のピーク強度(b)から(b/2)/(a/3+b/2)×100として求めた。
【0105】
実施例1
電子部品工場の排水(pH8.2、SS0.4wt%)に、まず無機凝集剤である硫酸アルミニウム(併用薬剤C)を500ppm添加して一次凝集処理した。次に、この懸濁液を共栓付きの200mlメスシリンダーに100ml入れ、上記各サンプル(表1に示す処理剤)をメスピペットにてメスシリンダーに注入した(懸濁液に対してポリマー固形分として10ppmを添加)。直ちに同メスシリンダーを上下10回転攪拌を行ない、その後、静置して懸濁粒子の沈降速度、沈降後の上澄み液の濁度(静置1分後)を測定した。次に、この処理液をポリプロピレン製濾布でろ過を行った後、濾過汚泥は2枚の濾布ではさんだ状態で圧搾試験機で1分間圧搾を行い、ケーキ含水率および濾布に対する剥離性を測定した。
【0106】
なお、剥離性については、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや不良を△、不良を×にて評価した。測定結果を表1に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
以上の結果より、無機凝集剤(併用薬剤C)と併用することでいずれも凝集効果が向上されている。また、本発明の架橋構造を有するサンプル(処理剤A〜G)は、非架橋のもの(比較処理剤a〜e)や市販の凝集剤(比較処理剤f、併用薬剤A)に比べて、沈降速度、上澄み液の濁度、脱水時のろ過速度、脱水ケーキ剥離性、ケーキ含水率等の面で優れていた。また、市販の凝集剤との併用[処理剤A+併用薬剤A]においても凝集効果の向上が確認された。
【0109】
実施例2(下水での凝集効果の評価)
下水処理場から採集した汚泥(pH7.0、SS0.8重量%)についてジャーテストを行った。ジャーテスターにて撹拌中の汚泥に対して、まずサンプル(併用薬剤B)を対SS当たり0.4重量%添加撹拌後、次に表2に示す各サンプルをそれぞれ対SS当たり0.2重量%添加し撹拌を行い凝集させた。次に、この凝集液をポリプロピレン製濾布(PP26FK)を用いてヌッチェテストを行い、濾過速度を測定した。なお、濾液については透過型の濁度計により濁度を測定した。また、濾過汚泥については、2枚の濾布ではさんだ状態で圧搾試験機で1分間圧搾を行った後、ケーキ含水率および濾布に対する剥離性を測定した。
【0110】
なお、剥離性については、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや不良を△、不良を×にて評価した。測定結果を表2に示す。
【0111】
【表2】
【0112】
以上の結果より、本発明の架橋構造を有するサンプル(処理剤A〜G)は、非架橋のもの(比較処理剤a〜e)や市販のアニオン型凝集剤(比較処理剤f)と比べて、沈降速度、上澄み液の濁度、脱水時のろ過速度、脱水ケーキ剥離性、ケーキ含水率等の面で優れていた。また、市販の凝集剤との併用[処理剤A+比較処理剤f]においても凝集効果の向上が確認された。
【0113】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなとおり、本発明の排水処理剤および排水処理方法を用いることにより、排水処理の際の沈降速度、濾過速度、濾液濁度、ケーキの剥離性や含水率の大幅な改善を達成することができる。
【0114】
また、本発明の手法は使用済みとなった廃プラスチックに対しても適用することができるため、資源の有効利用につながり、かつ、脱水ケーキ含水率の低減により焼却時の燃料使用量の大幅な低減が可能になること等により、地球環境保全に関して大いに貢献することができる。
Claims (7)
- 架橋構造を有するスチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩を有効成分として含み、
上記スチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩は、芳香環に対しスルホン酸基が70モル%以上導入され、濃度1重量%の水溶液に中性塩を0.01〜5規定なる範囲で添加したときの粘度が、25℃において10〜20000mPa・Sなる範囲内にあることを特徴とする排水処理剤。 - 上記スチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩は、濃度1重量%の水溶液に中性塩を0.2規定添加したときの粘度が、25℃において10〜500mPa・Sであることを特徴とする請求項1記載の排水処理剤。
- 上記スチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩は、濃度1重量%の水溶液に中性塩を1規定添加したときの粘度が、25℃において10〜200mPa・Sであることを特徴とする請求項1記載の排水処理剤。
- 上記スチレン系重合体スルホン化物が、スチレン系重合体が溶解した原料溶液とスルホン化剤とを反応器に連続供給して得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の排水処理剤。
- 上記スチレン系重合体スルホン化物が、使用済み廃材のスルホン化物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の排水処理剤。
- 各種排水中に架橋構造を有するスチレン系重合体スルホン化物及び/又はその塩を有効成分として含む排水処理剤を添加し、これを浄化する排水処理方法において、
上記スチレン系重合体スルホン化物及び又はその塩は、芳香環に対しスルホン酸基が70モル%以上導入され、濃度1重量%の水溶液に中性塩を0.01〜5規定なる範囲で添加したときの粘度が、25℃において10〜20000mPa・Sなる範囲内にあることを特徴とする排水処理方法。 - ノニオン性及び/又はアニオン性高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤、無機凝集剤から選ばれる少なくとも1種を併用することを特徴とする請求項6記載の排水処理方法。
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