JP3918241B2 - 表面改質された酸化第二セリウム粒子からなる研磨剤及び研磨方法 - Google Patents
表面改質された酸化第二セリウム粒子からなる研磨剤及び研磨方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3918241B2 JP3918241B2 JP19695597A JP19695597A JP3918241B2 JP 3918241 B2 JP3918241 B2 JP 3918241B2 JP 19695597 A JP19695597 A JP 19695597A JP 19695597 A JP19695597 A JP 19695597A JP 3918241 B2 JP3918241 B2 JP 3918241B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polishing
- oxide particles
- cerium
- ammonium
- abrasive
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/54—Improvements relating to the production of bulk chemicals using solvents, e.g. supercritical solvents or ionic liquids
Landscapes
- Mechanical Treatment Of Semiconductor (AREA)
- Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
- Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、酸化第二セリウム粒子、又はセリウムを主成分とする希土類元素を含む組成物を焼成と粉砕する事によって得られた酸化第二セリウムを主成分とする粒子の粒子表面を改質する事と、その表面改質された粒子を用いた研磨剤及び研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化セリウム粒子、又は酸化セリウムを主体とした組成物の粒子は、無機ガラス、水晶、石英ガラスの研磨剤として性能が良いことが証明されている。
特開昭58−55334号公報は、酸化セリウム(IV)水和物を塩の存在下において加熱し、酸化セリウム(IV)水和物中の凝集された微結晶を解体させてセリウム化合物を含有する分散性生成物の製造方法が開示されている。上記公報では、塩として金属硝酸塩、金属塩化物、金属過塩素酸塩に加えて硝酸アンモニウムも使用することが開示されている。その実施態様として、酸化セリウム(IV)水和物と硝酸アンモニウムを含有する溶液を105℃で乾燥し、更に300℃で加熱して酸化第二セリウムと硝酸塩を含む生成物を得て、この生成物を水に分散してゾルを得た事が記載されている。しかし、これらのゾルの具体的な用途については記載されていない。
【0003】
特開平5−262519号公報は、水性媒体中で蓚酸塩、希土類化合物、及びアンモニウム塩を混合し、30〜90℃で生成した沈殿を分離し、得られた蓚酸希土類アンモニウム複塩を600〜1200℃で焼成する希土類酸化物の製法が開示されている。上記公報では、アンモニウム塩として硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム等を使用し、希土類化合物として硝酸セリウムを使用する事が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
半導体デバイスのシリコン酸化膜(SiO2膜)、フォトマスク用石英ガラス、水晶発振器の水晶片等は高い平坦性を有する研磨面が求められるようになり、その為にサブミクロン以下の粒子径を有する研磨剤を使用する必要性がある。
これらの研磨において、使用する研磨剤の粒子径を小さくすると機械的な研磨力が低下するため研磨速度が遅くなり、研磨工程の生産性の低下により製品の価格上昇等を招く。研磨剤粒子の粒子径を変えずに研磨速度を向上することが出来れば、研磨工程の生産性が向上する。
【0005】
一方、半導体デバイスの層間膜の平坦化において、シリコン酸化膜(SiO2膜)をストッパー(研磨を停止する層)とした場合に、有機樹脂膜等の軟らかい膜の研磨が進行しシリコン酸化膜(SiO2膜)等の硬い膜の部分で研磨が停止する様に、シリコン酸化膜(SiO2膜)等の硬い膜を研磨せずに有機樹脂膜等の軟らかい膜のみを研磨できれば微細な加工技術への展開が期待できる。
【0006】
本願発明は、酸化第二セリウム粒子、又はセリウムを主成分とする希土類元素を含む組成物を焼成と粉砕する事によって得られた酸化第二セリウムを主成分とする粒子を、アンモニウム塩の存在下に水性媒体中で50〜250℃の温度で加熱処理した酸化第二セリウム粒子、又は酸化第二セリウムを主成分とする粒子からなる研磨剤を提供するものである。この研磨剤は表面改質された酸化第二セリウム粒子であって、表面改質に用いる薬剤の種類により得られる酸化第二セリウム粒子からなる研磨剤は、研磨速度の制御や研磨面の性質に合わせた研磨方法が可能である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、酸化第二セリウム粒子をアンモニウム塩の存在下に水性媒体中で50〜250℃の温度で加熱処理した酸化第二セリウム粒子からなる研磨剤である。また、本願発明は酸化第二セリウム粒子をアンモニウム塩の存在下に水性媒体中で50〜250℃の温度で加熱処理した酸化第二セリウム粒子からなる研磨剤を使用する研磨方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
原料として用いる酸化第二セリウム粒子は特別に制限はなく、公知の方法で製造された酸化第二セリウム粒子を用いることが出来る。例えば、水酸化第一セリウム、水酸化第二セリウム、硝酸第一セリウム、塩基性硝酸セリウム(IV)、塩化第一セリウム、塩化第二セリウム、炭酸第一セリウム、炭酸第二セリウム、塩基性硫酸第一セリウム、塩基性硫酸第二セリウム、蓚酸第一セリウム、蓚酸第二セリウム等のセリウム塩や、これらを主成分とする希土類化合物を1000℃で焼成した後、粉砕、分級する乾式法で製造した粒子径0.05〜5μmの結晶性酸化第二セリウム粒子を使用することが出来る。
【0009】
特に原料として用いる酸化第二セリウム粒子は、不活性ガス雰囲気下に水性媒体中でセリウム(III)塩とアルカリ性物質を3〜30の(OH)/(Ce3+)モル比で反応させて水酸化セリウム(III)の懸濁液を生成した後、直ちに該懸濁液に大気圧下、10〜95℃の温度で酸素又は酸素を含有するガスを吹き込む方法で製造された0.005〜5μm(ミクロンメートル)の粒子径を有する結晶性酸化第二セリウム粒子を使用することが好ましい。
【0010】
上記原料として用いる酸化第二セリウム粒子の製造方法(原料粒子の製法)では第1工程として、不活性ガス雰囲気下に水性媒体中でセリウム(III)塩とアルカリ性物質を3〜30の(OH)/(Ce3+)モル比で反応させて水酸化セリウム(III)、即ち水酸化第一セリウムの懸濁液を生成する事である。
不活性ガス雰囲気下での反応とは、例えばガス置換可能な撹拌機と温度計を装備した反応容器を用いて、水性媒体中でセリウム(III)塩とアルカリ性物質を反応させるものである。水性媒体とは、通常、水が用いられるが、少量の水溶性有機溶媒を含有させることもできる。ガス置換は水性媒体中に細管状のガス導入口を水没させて、不活性ガスを水性媒体中に吹き込み反応容器の水性媒体上部に取り付けられた排出口よりガスを流出させて、反応容器内に不活性ガスを充満させる。不活性ガスの置換が終了後に反応を開始することが好ましい。この反応容器はステンレス鋼、グラスライニング等の材質を使用する事が出来る。この時、反応容器内は大気圧下とする事が望ましく、従ってガスの流入量と流出量はほぼ同一量である事が好ましい。ガスの流入量及び流出量は、反応槽の容積1リットルに対して0.01〜20リットル/分とする事が好ましい。
【0011】
不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられるが、特に窒素ガスが好ましい。
原料粒子の製法ではセリウム(III)塩として、例えば、硝酸第一セリウム、塩化第一セリウム、硫酸第一セリウム、炭酸第一セリウム、硝酸アンモニウムセリウム(III)等が挙げられる。上記のセリウム(III)塩は、単独または混合物として使用することができる。
【0012】
原料粒子の製法ではアルカリ性物質として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはアンモニア、アミン、水酸化第四級アンモニウム等の有機塩基が挙げられるが、特にアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく、これらを単独または混合物として使用することができる。
上記のセリウム(III)塩及びアルカリ性物質を水性媒体に添加して反応容器中で反応させることもできるが、セリウム(III)塩水溶液とアルカリ性物質水溶液を作成して、この両水溶液を混合して反応する事もできる。セリウム(III)塩は水性媒体中で1〜50重量%濃度で使用することが好ましい。
【0013】
原料粒子の製法ではセリウム(III)塩とアルカリ性物質の割合は、(OH)/(Ce3+)モル比で3〜30、好ましくは6〜12である。(OH)/(Ce3+)モル比が3より小さい場合は、セリウム(III)塩が完全に水酸化セリウム(III)に中和されず、一部セリウム(III)塩として懸濁液中に残存する為に好ましくない。このセリウム(III)塩は、水酸化セリウム(III)よりもセリウム(IV)への酸化反応速度が非常に遅いため、水酸化セリウム(III)とセリウム(III)塩が共存した場合、結晶性酸化第ニセリウムの核生成速度及び結晶成長速度の制御ができなくなるため、粒子径分布が広くなり粒子径が均一にならないので好ましくない。また、(OH)/(Ce3+)モル比が30より大きい場合は、得られる結晶性酸化第ニセリウム粒子の結晶性が低下し、研磨剤として利用した場合は研磨速度の低下が起こるので好ましくない。また、得られる粒子の粒子径分布が広くなり粒子径が均一にならないので好ましくない。
【0014】
原料粒子の製法では上記第1工程での反応時間は、仕込量の大きさにより異なり概ね1分〜24時間である。
上記の第1工程で、不活性ガスの代わりに、空気等の酸素を含有するガス中でセリウム(III)塩とアルカリ性物質を反応させると、生成した水酸化セリウム(III)が酸素と接触し、次々にセリウム(IV)塩や酸化第二セリウムに変化するために、水性媒体中に酸化第二セリウムの核が多数発生して、得られる酸化第二セリウム粒子の粒子径分布が広くなり粒子径が均一にならないので好ましくない。
【0015】
原料粒子の製法では、その第2工程として、第1工程で生成した懸濁液に大気圧下、10〜95℃の温度で酸素又は酸素を含有するガスを吹き込むことによって0.005〜5μmの粒子径を有する結晶性酸化第二セリウム粒子を製造するものである。第1工程で得られた懸濁液中の水酸化セリウム(III)を酸素又は酸素を含有するガスの存在下に、セリウム(IV)塩を経て結晶性の高い酸化第二セリウム粒子を製造する工程である。酸素又は酸素を含有するガスとは、ガス状の酸素、又は空気、若しくは酸素と不活性ガスとの混合ガスが挙げられる。不活性ガスは窒素、アルゴン等が挙げられる。混合ガスを用いる場合は混合ガス中での酸素の含有量は1体積%以上が好ましい。その第2工程では製法上の容易さから特に空気を用いることが好ましい。
【0016】
原料粒子の製法の上記第2工程は第1工程に続きその同じ反応容器内で行われ、第1工程の不活性ガスの導入に続き、その不活性ガスを直ちに酸素又は酸素を含有するガスに代えて連続してガスを導入するものである。即ち、第1工程で得られた懸濁液中に、該懸濁液中に水没した細管状のガス導入口から酸素又は酸素を含有するガスを吹き込むことによって行われる。
【0017】
原料粒子の製法の第2工程は大気圧下で行われる為に、懸濁液中に導入された量とほぼ同量のガスが反応容器内の懸濁液上部に取り付けられた排出口より排出される。
原料粒子の製法の第2工程では、懸濁液中に吹き込む酸素又は酸素を含有するガスの総量は、水酸化セリウム(III)を酸化第二セリウムに変化させる事が可能な量であり、(O2 )/(Ce3+)のモル比で1以上とする事が好ましい。上記モル比が1未満の場合は懸濁液中に水酸化セリウム(III)が残り、これが第2工程の終了後の洗浄中に空気中の酸素に接触することで、微小粒子が生成する事があり、得られる酸化第二セリウム粒子の粒子径分布が広くなり粒子径が均一と成らないので好ましくない。
【0018】
原料粒子の製法の第2工程でガスの単位時間当たりの流入量及び流出量は、反応槽の容積1リットルに対して0.01〜50リットル/分とする事が好ましい。
原料粒子の製法の第1工程での不活性ガスの吹き込みと第2工程での酸素又は酸素を含有するガスの吹き込みとが時間的に連続していない場合は、第1工程で得られた懸濁液の表面が空気と接触することになり、表面層に粒子径が大小さまざまな酸化第二セリウム粒子を含む層が生成するので、その後行われる第2工程で得られる酸化第二セリウム粒子の粒子径が均一にならないので好ましくない。
【0019】
この第2工程は、懸濁液中に酸素又は酸素を含有するガスが均一に存在するように懸濁液をディスパー等の撹拌機で撹拌しながら行うことが好ましい。ガスの吹き込みによって懸濁液自体が撹拌される場合は、撹拌機での撹拌は必ずしも必要ではない。
原料粒子の製法での水酸化セリウム(III)を酸化して結晶性酸化第二セリウム粒子を生成させることは、結晶性酸化第二セリウム粒子の核生成とその結晶成長が行われることであり、核生成速度及び結晶成長速度は、セリウム塩の濃度、アルカリ性物質の濃度、反応温度、酸化性水溶液の濃度及び供給量などで制御することができる。また上記方法では、核生成及び結晶成長時のセリウム塩の濃度、アルカリ性物質の濃度、反応温度、酸化性水溶液の濃度及び供給量などを互いに自由に変えることができる。これらの要因を調整することにより、0.005〜5μmの粒子径範囲で任意に粒子径を制御することが出来る。
【0020】
原料粒子の製法の第2工程での反応温度は粒子径の制御に大きく寄与する。例えば、30℃の温度で核生成及び結晶成長を行った場合、5nm〜10nm(ナノメートル)の粒子径を有する結晶性酸化第二セリウム粒子が得られ、また80℃の温度で核生成及び結晶成長を行った場合は、80nm〜100nmの粒子径を有する結晶性酸化第二セリウム粒子が得られる。そして、更に80nm〜100nmの粒子径を有する結晶性酸化第二セリウム粒子を種結晶にして、滋養物として水酸化セリウム(III)を供給しながら結晶成長させることにより、1μm〜3μmの結晶性酸化第二セリウム粒子が得られる。即ち、第1工程で原料を仕込む際に、80nm〜100nmの粒子径を有する結晶性酸化第二セリウム粒子を最初から添加して第1工程に続き第2工程を行うものである。
【0021】
原料粒子の製法において、水酸化セリウム(III)の懸濁液を空気などの酸化剤を用いて常圧下で10〜95℃の温度で反応する代わりに、硝酸等の酸化性物質を含有する水酸化セリウム(III)の懸濁液を100℃以上の温度で水熱処理した場合は、所望とする粒子径範囲以下(例えば、30nm以下)の結晶性酸化第ニセリウム粒子しか得られず、そして硝酸等の酸化性物質を含有する水酸化セリウム(III)の懸濁液を100℃以下の温度で処理した場合は、反応が不十分で未反応物が残る。
【0022】
また、酸化性物質を含有しない水酸化セリウム(III)の懸濁液を100℃以上で水熱処理した場合、結晶性酸化第ニセリウム粒子は得られない。
原料粒子の製法において得られた酸化第ニセリウム粒子は、反応装置よりスラリーとして取り出し、限外濾過法またはフィルタープレス洗浄法などにより洗浄することにより、不純物を除去することが出来る。
【0023】
上記原料粒子の製法によって得られる酸化第二セリウム粒子は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行ったところ0.005〜5μmの粒子径であり、また酸化第二セリウム粒子を110℃で乾燥して、X線回折装置により回折パターンを測定したところ、回折角度2θ=28.6°、47.5°、及び56.4°、に主ピークを有し、ASTMカードNo34−394に記載の立方晶系の結晶性の高い酸化第二セリウム粒子である。またこの酸化第二セリウム粒子のガス吸着法(BET法)による比表面積値は、2〜200m2/gである。
【0024】
本願発明の水性媒体とは、通常、水が用いられるが、少量の水溶性有機媒体を含有させることが出来る。
本願発明に用いるアンモニウム塩は、陰イオン成分が非酸化性成分のアンモニウム塩を使用する事が出来る。この非酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩は、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムが最も好ましく、これらを単独又は混合物として使用することが出来る。
【0025】
上記の非酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩は、水性媒体中の〔NH4 +〕/〔CeO2〕モル比として0.1〜30が好ましく、また水性媒体中での上記アンモニウム塩の濃度は1〜30重量%とする事が好ましい。
陰イオン成分が非酸化性成分のアンモニウム塩を用い水性媒体中で加熱する場合は、50〜250℃、好ましくは50〜180℃の温度で加熱処理して、表面改質された結晶性酸化第二セリウム粒子が得られる。加熱時間は10分〜48時間とする事が出来る。加熱処理温度が100℃以下の場合は開放系の反応容器を用いて行われるが、100℃を越える温度ではオートクレーブ装置や超臨界処理装置を用いて行われる。加熱処理された酸化第二セリウム粒子は処理層よりスラリーとして取り出し、限外濾過法やフィルタープレス法により洗浄し、不純物を取り除くことが出来る。
【0026】
非酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩の存在下に加熱処理して表面改質された酸化第二セリウム粒子は、容易に水性媒体に分散して研磨液とする事が出来る。この水性媒体は水を使用する事が好ましい。
非酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩の存在下に水性媒体中で加熱処理して表面改質された酸化第二セリウム粒子を含有するゾルは、洗浄により不純物を取り除いた後、第4級アンモニウムイオン(NR4 +、但しRは有機基である。)を、(NR4 +)/(CeO2)のモル比で0.001〜1の範囲に含有させる事により研磨液の安定性が向上するので好ましい。第4級アンモニウムイオンは、第4級アンモニウムシリケート、ハロゲン化第4級アンモニウム、水酸化第4級アンモニウム、又はこれらの混合物を添加する事によって与えられ、特に第4級アンモニウムシリケート、水酸化第4級アンモニウムの添加が好ましい。Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシエチル基、及びベンジル基等が挙げられる。この第4級アンモニウム化合物としては、例えばテトラメチルアンモニウムシリケート、テトラエチルアンモニウムシリケート、テトラエタノールアンモニウムシリケート、モノエチルトリエタノールアンモニウムシリケート、トリメチルベンジルアンモニウムシリケート、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムが挙げられる。
【0027】
また、少量の酸又は塩基を含有することもできる。研磨液のpHは、2〜12が好ましい。上記研磨液(ゾル)は、水溶性酸を〔H+〕/〔CeO2〕モル比で0.001〜1の範囲に含有させることにより酸性研磨液(ゾル)にする事が出来る。この酸性ゾルは2〜6のpHを持つ。上記水溶性酸は、例えば塩化水素、硝酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、酒石酸、クエン酸、乳酸等の有機酸、これらの酸性塩、又はこれらの混合物が挙げられる。また、水溶性塩基を〔OH-〕/〔CeO2〕モル比で0.001〜1の範囲に含有させる事によりアルカリ性ゾルにする事が出来る。このアルカリ性研磨液(ゾル)は、8〜12のpHを持つ。上記水溶性塩基は、上記記載の第4級アンモニウムシリケート、及び水酸化第4級アンモニウムの他に、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、及びモルホリン等のアミン類や、アンモニアが挙げられる。
【0028】
研磨液は室温に放置して1年以上の長期にわたり安定である。
上記の非酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩の存在下に加熱処理して表面改質された酸化第二セリウムを含有する研磨剤を用いて行う研磨方法では、半導体デバイスのシリコン酸化膜(SiO2膜)の研磨や無機ガラス、水晶(例えば、水晶発振器の水晶片)、石英ガラスの研磨において、従来品の同じ粒子径の酸化第二セリウム粒子を用いた場合に比べて高い研磨速度を達成することが出来る。これらの理由としては、酸化第二セリウム粒子は機械的な研磨作用と同時に化学的な研磨作用を有していて、非酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩の存在下に水性媒体中で加熱処理を施すことにより酸化第二セリウム粒子表面に水酸基(≡Ce−OH)が多く生成し、この(≡Ce−OH)基がシリコン酸化膜表面の水酸基(≡Si−OH)に化学的な作用を及ぼし研磨速度が向上したと考えられる。非酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩は酸化第二セリウム粒子の表面に対して、還元的な作用を及ぼすと考えられる。
【0029】
本願発明では上記の非酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩の存在下に水性媒体中で加熱処理する代わりに、ヒドラジン、亜硝酸アンモニウム等の水溶性還元性物質の存在下に水性媒体中で加熱処理した酸化第二セリウム粒子を研磨剤として用いても、上記(高い研磨速度が得られる)効果を達成することが出来る。しかし、ヒドラジンや亜硝酸アンモニウムは取り扱い上、爆発等の危険を伴う為に上記の非酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩を使用する事が好ましい。
【0030】
また、上記の非酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩を使用せずに単なる純水中で加熱処理しても、研磨速度は原料の酸化第二セリウム粒子を用いた場合の研磨剤と同じ研磨速度となり効果が期待できない。
研磨剤は研磨工程で使用されると、徐々に研磨速度が低下することが知られている。ひとたび研磨速度の低下した(即ち、研磨能力の低下した)研磨剤は、研磨工程での生産性の低下につながるので、その様な研磨剤は研磨剤自体を廃棄処分することになる。ところが本願発明では使用済みの研磨能力の低下した酸化第二セリウム粒子を、非酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩の存在下で水性媒体中で50〜250℃の温度で加熱処理することにより、再度研磨能力を回復し、研磨速度が向上した研磨剤とする事が出来る。
【0031】
他方、本願発明に用いるアンモニウム塩は、陰イオン成分が酸化性成分のアンモニウム塩を使用する事が出来る。この酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩は、硝酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウムが最も好ましく、これらを単独又は混合物として使用することが出来る。
上記の酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩は、水性媒体中の〔NH4 +〕/〔CeO2〕モル比として0.1〜30が好ましく、また水性媒体中での上記アンモニウム塩の濃度は1〜30重量%とする事が好ましい。
【0032】
陰イオン成分が酸化性成分のアンモニウム塩を用い水性媒体中で加熱する場合は、50〜250℃、好ましくは100〜250℃の温度で加熱処理して、表面改質された酸化第二セリウム粒子が得られる。加熱時間は10分〜96時間とする事が出来る。加熱処理温度が100℃以下の場合は開放系の反応容器を用いて行われるが、100℃を越える温度ではオートクレーブ装置や超臨界処理装置を用いて行われる。
加熱処理された酸化第二セリウム粒子は処理層よりスラリーとして取り出し、限外濾過法やフィルタープレス法により洗浄し、不純物を取り除くことが出来る。
【0033】
酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩の存在下に加熱処理して表面改質された酸化第二セリウム粒子は、容易に水性媒体に分散して研磨液とする事が出来る。この水性媒体は水を使用する事が出来る。
酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩の存在下に水性媒体中で加熱処理して表面改質された酸化第二セリウム粒子を含有するゾルは、洗浄により不純物を取り除いた後、第4級アンモニウムイオン(NR4 +、但しRは有機基である。)を、(NR4 +)/(CeO2)のモル比で0.001〜1の範囲に含有させる事により研磨液の安定性が向上し、上記(シリコン酸化膜等の硬い膜を研磨せずに有機樹脂膜等の軟らかい膜のみを研磨する)効果がより向上するので好ましい。第4級アンモニウムイオンは、第4級アンモニウムシリケート、ハロゲン化第4級アンモニウム、水酸化第4級アンモニウム、又はこれらの混合物を添加する事によって与えられ、特に第4級アンモニウムシリケート、水酸化第4級アンモニウムの添加が好ましい。Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシエチル基、及びベンジル基等が挙げられる。この第4級アンモニウム化合物としては、例えばテトラメチルアンモニウムシリケート、テトラエチルアンモニウムシリケート、テトラエタノールアンモニウムシリケート、モノエチルトリエタノールアンモニウムシリケート、トリメチルベンジルアンモニウムシリケート、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムが挙げられる。
【0034】
また、少量の塩基を含有することもできる。研磨液のpHは、8〜12が好ましい。上記研磨液(ゾル)は、水溶性塩基を〔OH-〕/〔CeO2〕モル比で0.001〜1の範囲に含有させる事によりアルカリ性ゾルにする事が出来る。このアルカリ性研磨液(ゾル)は、8〜12のpHを持つ。上記水溶性塩基は、上記記載の第4級アンモニウムシリケート、及び水酸化第4級アンモニウムの他に、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、及びモルホリン等のアミン類や、アンモニアが挙げられる。
【0035】
研磨液は室温に放置して1年以上の長期にわたり安定である。
酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩の存在下に加熱処理して表面改質された酸化第二セリウム粒子を研磨剤に用いて行う研磨方法では、半導体デバイスの層間膜の平坦化に使用することが出来る。例えば、シリコン酸化膜(SiO2膜)をストッパー(研磨を停止する層)とした場合に、有機樹脂膜等の軟らかい膜の研磨が進行しシリコン酸化膜(SiO2膜)等の硬い膜の部分で研磨が停止する様に、シリコン酸化膜(SiO2膜)等の硬い膜を研磨せずに有機樹脂膜等の軟らかい膜のみを研磨できれば微細な加工が施せる。即ち、シリコン酸化膜(SiO2膜)の研磨速度が低い研磨剤である。これらの理由としては、酸化第二セリウム粒子は機械的な研磨作用と同時に化学的な研磨作用を有していて、酸化第二セリウム粒子表面の水酸基(≡Ce−OH)はシリコン酸化膜表面の水酸基(≡Si−OH)に化学的な作用を及ぼし研磨速度が向上すると考えられるが、酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩の存在下に水性媒体中で加熱処理を施すことにより酸化第二セリウム粒子表面の水酸基(≡Ce−OH)が減少し、酸化第二セリウム粒子の持つ化学的な研磨作用が低下した為と考えられる。酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩は酸化第二セリウム粒子の表面に対して、酸化的な作用を及ぼすと考えられる。
【0036】
例えば、半導体デバイスの層間膜の平坦化においては、非酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩の存在下に水性媒体中で加熱処理した酸化第二セリウム粒子を含有する研磨剤と、酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩の存在下に水性媒体中で加熱処理した酸化第二セリウム粒子を含有する研磨剤を、交互に使用して研磨することにより研磨速度を自由にコントロールする事ができる。この研磨方法により硬いシリコン酸化膜(SiO2膜)部分と軟らかい有機樹脂膜部分が混在する研磨体を、2種類の研磨剤で使い分けてより精密な研磨を達成することが出来る。この方法で交互にとは、研磨面に対してそれぞれの研磨剤を別々に少なくとも1回使用することである。
【0037】
本願発明において、非酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩、又は酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩の存在下に水性媒体中で50〜250℃の温度で加熱処理した酸化第二セリウム粒子は、乾燥してX線回折装置により回折パターンを測定したところ、回折角度2θ=28.6°、47.5°、及び56.4°に主ピークを有し、ASTMカードNo34−394に記載の立方晶系の結晶性の高い酸化第二セリウム粒子である。
【0038】
【実施例】
実施例1
2リットルのセパラブルフラスコにNH4OH/Ce3+モル比が6に相当する量の9重量%のアンモニア水溶液740gを仕込み、液温を30℃に保持しながらガラス製のノズルより2リットル/分の窒素ガスを吹き込み窒素ガスでフラスコ内を置換した。そして、フラスコに硝酸セリウム(III)216gを純水500gに溶解させた溶液を徐々に添加して水酸化セリウム(III)の懸濁液を得た。続いてこの懸濁液を80℃まで昇温させた後、ガラス製のノズルからの吹き込みを窒素から4リットル/分の空気に切り替えてセリウム(III)をセリウム(IV)にする酸化反応を開始した。3時間で酸化反応が終了し、淡黄色の酸化第二セリウム粒子を有するpH7.2の反応液が得られた。この酸化第二セリウム粒子を原料粒子として用いた。
【0039】
反応液より上記原料粒子となる酸化第二セリウム粒子を濾別し、洗浄した後、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ粒子径80〜100nmの粒子であった。また、粒子を乾燥して粉末X線回折を測定したところ、回折角度2θ=28.6°、47.5°及び56.4°に主ピークを有し、ASTMカードNo34−394に記載の立方晶系の結晶性酸化第二セリウムの特性ピークと一致した。
【0040】
10重量%の炭酸アンモニウム水溶液1500gを3リットルのセパラブルフラスコに仕込み、その後上記に得られた原料粒子である酸化第二セリウム粒子150gをフラスコに入れ95℃で8時間の加熱処理を行った。加熱処理したスラリーを濾別して、洗浄した後、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ表面改質前と同じ80〜100nmであった。得られた表面改質された粒子を乾燥して粉末X線回折を測定したところ立方晶系の酸化第二セリウムであった。再度濾過、洗浄した表面改質した結晶性酸化第二セリウム粒子にテトラメチルアンモニウムシリケート水溶液を〔N(CH3)4 +/CeO2〕モル比で0.01になる様に添加して、CeO2濃度を20重量%、pHを10.3に調製した。この20重量%の結晶性酸化第二セリウムゾル750gを研磨液として作製した。
【0041】
実施例2
10重量%の炭酸アンモニウム水溶液1500gを3リットルのグラスライニング製の高圧容器に仕込み、実施例1と同様に製造された原料粒子となる酸化第二セリウム粒子150gを高圧容器に入れ150℃で20時間の水熱処理を行った。加熱処理したスラリーを濾別して、洗浄した後、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ表面改質前と同じ80〜100nmであった。得られた表面改質された粒子を乾燥して粉末X線回折を測定したところ立方晶系の酸化第二セリウム粒子であった。再度濾過、洗浄した表面改質した結晶性酸化第二セリウム粒子にテトラメチルアンモニウムシリケート水溶液を〔N(CH3)4 +/CeO2〕モル比で0.01になる様に添加して、CeO2濃度を20重量%、pHを10.3に調製した。この20重量%の結晶性酸化第二セリウムゾル750gを研磨液として作製した。
【0042】
実施例3
10重量%の硝酸アンモニウム水溶液1500gを3リットルのグラスライニング製の高圧容器に仕込み、実施例1と同様に製造された原料粒子となる酸化第二セリウム粒子150gを高圧容器に入れ150℃で20時間の水熱処理を行った。加熱処理したスラリーを濾別して、洗浄した後、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ表面改質前と同じ80〜100nmであった。得られた表面改質された粒子を乾燥して粉末X線回折を測定したところ立方晶系の酸化第二セリウム粒子であった。再度濾過、洗浄して表面改質した結晶性酸化第二セリウム粒子を純水に分散させて、さらに水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を〔N(CH3)4 +/CeO2〕モル比で0.01になる様に添加して、pHを10.3として安定化し、20重量%の結晶性酸化第二セリウムゾル750gを研磨液として作製した。
【0043】
実施例4
10重量%の炭酸アンモニウム水溶液1500gを3リットルのセパラブルフラスコに仕込み、市販のセリウムを主成分として含む希土類化合物を焼成と粉砕する事で得られた研磨剤粒子(粒子径は1μm、CeO2含有量は88重量%、La2O3含有量は7重量%、SiO2含有量は5重量%)150gをセパラブルフラスコに入れ95℃で8時間加熱処理して粒子の表面改質を行った。加熱処理したスラリーを濾別して、洗浄した後、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ表面改質前と同じ1μmであった。得られた表面改質された粒子を乾燥して粉末X線回折を測定したところ、立方晶系の酸化第二セリウムのピークを含むものであった。再度濾過、洗浄した表面改質した上記研磨剤粒子にテトラメチルアンモニウムシリケート水溶液を〔N(CH3)4 +/CeO2〕モル比で0.01になる様に添加して、CeO2濃度を20重量%、pHを10.3に調製した。この20重量%の上記研磨剤粒子の分散液750gを研磨液として作製した。
【0044】
比較例1
実施例1と同様に製造された原料粒子となる粒子径80〜100nmの酸化第二セリウム粒子を、アンモニウム塩の存在下での加熱処理による表面改質を行わずに、純水に分散してテトラメチルアンモニウムシリケート水溶液を〔N(CH3)4 +/CeO2〕モル比で0.01になる様に添加して、CeO2濃度を20重量%、pHを10.3に調製した。この20重量%の結晶性酸化第二セリウムゾル750gを研磨液として作製した。
【0045】
比較例2
市販のセリウムを主成分として含む希土類化合物を焼成と粉砕する事で得られた研磨剤粒子(粒子径は1μm、CeO2含有量は88重量%、La2O3含有量は7重量%、SiO2含有量は5重量%)を、アンモニウム塩の存在下での加熱処理による表面改質を行わずに、純水に分散してテトラメチルアンモニウムシリケート水溶液を〔N(CH3)4 +/CeO2〕モル比で0.01になる様に添加して、CeO2濃度を20重量%、pHを10.3に調製した。この20重量%の結晶性酸化第二セリウムゾル750gを研磨液として作製した。
【0046】
実施例1〜4及び比較例1〜2の研磨剤を、市販のオスカー型レンズ研磨機を用い、下記の研磨条件で研磨を行った。研磨速度は、石英ガラスに溝を付け、溝の深さを触針式表面粗さ測定装置で測定する事により求め、その結果を表1に示した。
a.研磨布:フッ素樹脂(φ250mm)又は発泡ポリウレタン(φ250mm)
b.被研磨物:石英ガラス(φ25mm)
c.回転数:30rpm、及び
d.研磨圧力:270g/cm2
【0047】
【表1】
非酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩の存在下に水性媒体中で加熱処理を行い表面改質された酸化第二セリウム粒子からなる実施例1〜2の研磨剤は、全く表面改質されていない酸化第二セリウム粒子からなる比較例1の研磨剤に比べて、同一の研磨条件で比較してほぼ2倍の研磨速度を有する。実施例1〜2で示される様な研磨速度が向上した研磨剤は、半導体デバイスのシリコン酸化膜(SiO2膜)の硬い膜の研磨や、無機ガラス、水晶(例えば、水晶発振器の水晶片)、石英ガラス等の硬質物質の研磨において、従来品の同じ粒子径の酸化第二セリウム粒子を用いた研磨剤に比べて高い研磨速度が得られる。
【0048】
この様な実施例1〜2の研磨剤と比較例1の研磨剤との関係は、原料粒子を市販のセリウムを主成分として含む希土類化合物を焼成と粉砕する事で得られた研磨剤粒子に置き換えても、実施例4の研磨剤と比較例2の関係の通り、表面改質された粒子からなる研磨剤は研磨速度が高い。
一方、酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩の存在下に水性媒体中で加熱処理を行い表面改質された酸化第二セリウム粒子からなる実施例3の研磨剤は、全く表面改質されていない酸化第二セリウム粒子からなる比較例1の研磨剤に比べて、同一の研磨条件で比較して1/20という極端に研磨速度が低くなる。
この実施例3の研磨剤の使用方法としては、例えばCMPを用いた層間膜平坦化において、LSI表面上の凹凸に硬いSiO2膜をストッパーとして、その上部に軟らかい膜(有機樹脂膜や不純物が含有されたSiO2膜)を被覆して有る場合に、本願の実施例3で示される研磨剤で研磨する事を想定すると、まず凸部表面に形成された軟らかい膜が研磨され凸部に表れた硬いSiO2膜の部分で研磨が停止され、選択的に軟らかい膜のみを研磨する事が出来る。
【0049】
また、LSI表面上の凹凸に軟らかい膜(有機樹脂膜や不純物が含有されたSiO2膜)が被覆して有り、その上部に硬いSiO2膜を被覆して有る場合に、本願の実施例1〜2の研磨剤と実施例3の研磨剤を組み合わせて研磨する事を想定すると、まず凸部表面の硬いSiO2膜を実施例1〜2の研磨剤で研磨して、次に凸部に表れた軟らかい膜を実施例3の研磨剤で研磨して、次第に凸部の山が低くなり凹部の硬いSiO2膜部分(ストッパー)に達した時に研磨が停止し、LSI表面の平坦化が達成される。
【0050】
【発明の効果】
本願発明は、酸化第二セリウム粒子、又はセリウムを主成分とする希土類元素を含む組成物を焼成と粉砕する事によって得られた酸化第二セリウムを主成分とする粒子を、アンモニウム塩の存在下に水性媒体中で50〜250℃の温度で加熱して得られる酸化第二セリウム粒子、又は酸化第二セリウムを主成分とする粒子からなる研磨剤であり、この研磨剤は表面改質された酸化第二セリウム粒子であって、表面改質に用いる薬剤(アンモニウム塩)の種類により得られる酸化第二セリウム粒子の研磨剤としての性質は異なる。
【0051】
非酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩の存在下に水性媒体中で加熱処理を行い表面改質された酸化第二セリウム粒子からなる研磨剤を用いることによって、半導体デバイスのシリコン酸化膜(SiO2膜)の硬い膜の研磨や、無機ガラス、水晶(例えば、水晶発振器の水晶片)、石英ガラス等の硬質物質の研磨において、従来品の同じ粒子径の酸化第二セリウム粒子を用いた場合に比べて高い研磨速度を達成する事が出来る。
【0052】
また、酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩の存在下に水性媒体中で加熱処理を行い表面改質された酸化第二セリウム粒子からなる研磨剤を用いることによって、シリコン酸化膜(SiO2膜)の硬い膜等の研磨において従来品の同じ粒子径の酸化第二セリウム粒子を用いた場合に比べて極端に研磨速度が低くなる。
【0053】
この様に2種類の研磨剤をそれぞれ単独で使用する事で幅広い用途の研磨が可能であるが、この2種類の研磨剤を組み合わせる事で半導体デバイスの分野では選択的研磨が可能である。
Claims (9)
- 酸化第二セリウム粒子をアンモニウム塩の存在下に水性媒体中で50〜250℃の温度で加熱処理した酸化第二セリウム粒子からなる研磨剤。
- アンモニウム塩の陰イオン成分が、非酸化性成分である請求項1に記載の研磨剤。
- 非酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩が、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、又はこれらの混合物である請求項2に記載の研磨剤。
- アンモニウム塩の陰イオン成分が、酸化性成分である請求項1に記載の研磨剤。
- 酸化性の陰イオン成分を有するアンモニウム塩が、硝酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム、又はこれらの混合物である請求項4に記載の研磨剤。
- 酸化第二セリウム粒子をアンモニウム塩の存在下に水性媒体中で50〜250℃の温度で加熱処理した酸化第二セリウム粒子からなる研磨剤を使用する研磨方法。
- 酸化第二セリウム粒子を炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、又はこれらの混合物の存在下に水性媒体中で50〜250℃の温度で加熱処理した酸化第二セリウム粒子からなる研磨剤を使用する研磨方法。
- 酸化第二セリウム粒子を硝酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム、又はこれらの混合物の存在下に水性媒体中で100〜250℃の温度で加熱処理した酸化第二セリウム粒子からなる研磨剤を使用する半導体デバイスの研磨方法。
- 請求項3記載の研磨剤及び請求項5記載の研磨剤を交互に使用する半導体デバイスの研磨方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19695597A JP3918241B2 (ja) | 1996-08-01 | 1997-07-23 | 表面改質された酸化第二セリウム粒子からなる研磨剤及び研磨方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8-203450 | 1996-08-01 | ||
JP20345096 | 1996-08-01 | ||
JP19695597A JP3918241B2 (ja) | 1996-08-01 | 1997-07-23 | 表面改質された酸化第二セリウム粒子からなる研磨剤及び研磨方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1094955A JPH1094955A (ja) | 1998-04-14 |
JP3918241B2 true JP3918241B2 (ja) | 2007-05-23 |
Family
ID=26510082
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19695597A Expired - Fee Related JP3918241B2 (ja) | 1996-08-01 | 1997-07-23 | 表面改質された酸化第二セリウム粒子からなる研磨剤及び研磨方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3918241B2 (ja) |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
TWI272249B (en) * | 2001-02-27 | 2007-02-01 | Nissan Chemical Ind Ltd | Crystalline ceric oxide sol and process for producing the same |
JPWO2004023539A1 (ja) | 2002-09-06 | 2006-01-05 | 旭硝子株式会社 | 半導体集積回路用絶縁膜研磨剤組成物および半導体集積回路の製造方法 |
US7553474B2 (en) * | 2004-08-17 | 2009-06-30 | Nissan Chemical Industries, Ltd. | Method for producing metal oxide sol |
JP5012026B2 (ja) * | 2004-11-08 | 2012-08-29 | 旭硝子株式会社 | CeO2微粒子の製造方法 |
JP4957284B2 (ja) * | 2006-04-28 | 2012-06-20 | 旭硝子株式会社 | 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法および磁気ディスク |
JP2015120844A (ja) * | 2013-12-24 | 2015-07-02 | 旭硝子株式会社 | 研磨剤の製造方法、研磨方法および半導体集積回路装置の製造方法 |
JP6384277B2 (ja) * | 2014-11-11 | 2018-09-05 | 富士通株式会社 | 半導体装置の製造方法 |
WO2023032028A1 (ja) * | 2021-08-31 | 2023-03-09 | 株式会社レゾナック | 研磨液、研磨方法、半導体部品の製造方法、及び、接合体の製造方法 |
US20240282581A1 (en) * | 2021-08-31 | 2024-08-22 | Resonac Corporation | Polishing liquid, polishing method, component manufacturing method, and semiconductor component manufacturing method |
-
1997
- 1997-07-23 JP JP19695597A patent/JP3918241B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1094955A (ja) | 1998-04-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0947469B1 (en) | Abrasive | |
JP5101626B2 (ja) | 有機溶媒を用いた酸化セリウム粉末の製造方法及びこの粉末を含むcmpスラリー | |
JP4202257B2 (ja) | ケミカルメカニカルポリシングスラリにおける使用のための粒子の形成方法及び該方法で形成された粒子 | |
JP2746861B2 (ja) | 酸化セリウム超微粒子の製造方法 | |
JP3359535B2 (ja) | 半導体装置の製造方法 | |
EP2438133B1 (en) | Polishing slurry containing raspberry-type metal oxide nanostructures coated with CeO2 | |
JP3990559B2 (ja) | 半導体基板またはその上に施こされた層をポリシングするための水性分散液およびその製造法 | |
CN100588698C (zh) | 氧化铈研磨剂以及包含该研磨剂的浆料 | |
JP4917098B2 (ja) | 炭酸セリウム粉末及び製法、これから製造された酸化セリウム粉末及び製法、これを含むcmpスラリー | |
KR101075966B1 (ko) | 결정성 산화세륨 및 이의 제조 방법 | |
US9790401B2 (en) | Abrasive particles, polishing slurry and method of fabricating abrasive particles | |
WO2012101871A1 (ja) | 研磨材微粒子及びその製造方法 | |
JP3918241B2 (ja) | 表面改質された酸化第二セリウム粒子からなる研磨剤及び研磨方法 | |
US20060032836A1 (en) | Methods of controlling the properties of abrasive particles for use in chemical-mechanical polishing slurries | |
JP4019453B2 (ja) | 結晶性酸化第二セリウムの製造方法 | |
JP4009823B2 (ja) | 酸化セリウムゾル及び研磨剤 | |
JP4544379B2 (ja) | ガラス製ハードディスク用研磨剤 | |
US7578862B2 (en) | Abrasive compound for glass hard disk platter | |
JP2001253709A (ja) | 結晶性酸化第二セリウム粒子の製造方法 | |
JP2000188270A (ja) | 酸化セリウム研磨剤及び基板の研磨法 | |
JP6424818B2 (ja) | 研磨材の製造方法 | |
AU2002357690B2 (en) | Particles for use in CMP slurries and method for producing them |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040609 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060512 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060516 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060707 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070123 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070205 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100223 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110223 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110223 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120223 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120223 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130223 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140223 Year of fee payment: 7 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |