JP3916950B2 - 光学積層体、及びその製造方法、並びに円偏光板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、反射型液晶表示装置、光ディスクの書き込み用のピックアップ、あるいは反射防止膜に利用されるλ/4板として有効な光学積層体、その製造方法、及び、円偏光板に関する。
【0002】
【従来の技術】
λ/4板は、非常に多くの用途を有しており、既に実際に使用されている。例えば、特開平10−68816号及び同10−90521号の各公報には、光学異方性を有する二枚のポリマーフィルムを積層し得られる位相差板が開示されている。
【0003】
特開平10−68816号の公報に記載の位相差板は、複屈折光の位相差が1/4波長である1/4波長板と、複屈折光の位相差が1/2波長である1/2波長板とを、それらの光軸が交差した状態で貼り合わせている。
特開平10−90521号の公報に記載の位相差板は、レターデーション値が160〜320nmである位相差板を少なくとも2枚、その遅相軸が互いに平行でも直交でもない角度になるように積層している。いずれの公報に記載の位相差板も、具体的には、二枚のポリマーフィルムの光学積層体からなる。いずれの公報も、これにより広い波長領域でλ/4を達成できると説明している。
【0004】
しかし、特開平10−68816号及び同10−90521号の各公報に記載の位相差板の製造においては、二枚のポリマーフィルムの光学的向き(光軸や遅相軸)を調節するため、煩雑な製造工程が必要であり問題があった。ポリマーフィルムの光学的向きは、一般に、シート状あるいはロール状フィルムの縦方向又は横方向に相当する。シートあるいはロールの斜め方向に、光軸や遅相軸を有するポリマーフィルムは、興行的な生産が難しい。又、特開平10−68816号及び同10−90521号の各公報に記載の発明では、二つのポリマーフィルムの光学的向きを平行でも直交でもない角度に設定する。従って、特開平10−68816号及び同10−90521号の各公報に記載の位相差板を製造するためには、二種類のポリマーフィルムを所定の角度にカットして、得られるチップを貼り合わせる必要がある。しかし、チップの貼り合わせで位相差板を製造する場合には、処理が煩雑であり、軸ズレによる品質低下が起き易く、歩留まりが低下し、コストが増大し、汚染による劣化も起き易いという問題があった。また、ポリマーフィルムでは、レターデーション値を厳密に調節することも難しく問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、1/4波長板特性に優れた光学積層体、該光学積層体を用いた円偏光板、及び、積層の際に張り合せの必要が無い為、効率が良く、低コストで、軸ズレ等が起こらない光学積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> シクロオレフィン系化合物を含有する透明位相差板及び液晶性化合物を含有する光学異方性層の積層体を含み、前記光学異方性層が、水平配向制御剤を含有する光学積層体であって、前記透明位相差板及び光学異方性層のいずれか一方の位相差が実質的にπ/2であり、他方の位相差が実質的にπであって、前記透明位相差板における面内の遅相軸と前記光学異方性層における面内の遅相軸とのなす角度が、45乃至75度であり、かつ、前記水平配向制御剤が、下記一般式(A)で表されるポリマーであることを特徴とする光学積層体である。
一般式(A)
【化6】
【0007】
<2> 透明位相差板及び光学異方性層の間に、配向膜を有する前記<1>に記載の光学積層体である。
一般式(1)
【0008】
【化2】
【0009】
前記一般式(1)において、x及びyは重合度を表す。
<3> 前記<1>又は<2>のいずれかに記載の光学積層体と、偏光膜とを有し、該偏光膜が前記光学積層体における光学異方性層上に配されたことを特徴とする円偏光板である。
<4> 前記<1>又は<2>のいずれかに記載の光学積層体の製造方法であって、シクロオレフィン系化合物を含有する成形体を連続延伸し、位相差が実質的にπ/2である透明位相差板を得、該透明位相差板上に配向膜形成溶液を塗布し、該透明位相差板における長尺方向とのなす角度が10乃至20度の方向にラビングして配向膜を形成し、該配向膜上に、水平配向制御剤及び液晶性化合物を含有する光学異方性層形成溶液を塗布し、位相差が実質的にπである光学異方性層を形成することにより、透明位相差板における面内の遅相軸と光学異方性層における面内の遅相軸とのなす角度が、45乃至75度である光学積層体を製造することを特徴とする光学積層体の製造方法である。
【0010】
<5> 光学異方性層が、液晶性化合物の重合により固定化された前記<4>に記載の光学積層体の製造方法である。
<6> 光学異方性層における液晶性化合物の配向が、ネマチック配向である前記<4>又は<5>に記載の光学積層体の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明を以下に詳細に説明する。
[光学積層体]
本発明の光学積層体は、透明位相差板及び光学異方性層の積層体を含む。
【0012】
−透明位相差板−
前記透明位相差板は、シクロオレフィン系化合物を含有する。該シクロオレフィン系化合物としては、波長分散が低く、光弾性が小さく、寸度安定性、耐熱性、及び、光透過性に優れる点で、ノルボルネン系樹脂等が好ましい。
【0013】
前記ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン骨格を繰り返し単位として有する樹脂であり、例えば、特開昭62−252406号、特開昭62−252407号、特開平2−133413号、特開昭63−145324号、特開昭63−264626号、特開平1−240517号、特公昭57−8815号、特開平5−39403号、特開平5−43663号、特開平5−43834号、特開平5−70655号、特開平5−279554号、特開平6−206985号、特開平7−62028号、特開平8−176411号、特開平9−241484号などの各公報等に記載の樹脂が好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0014】
前記ノルボルネン系樹脂の重量平均分子量としては、5,000〜1,000,000程度であり、8,000〜200,000程度が好ましい。
【0015】
前記透明位相差板の製造方法としては、特に制限はないが、溶融押出法等が好ましい。
【0016】
−光学異方性層−
前記光学異方性層は、液晶性化合物を含有する。
前記液晶性化合物としては、棒状液晶性化合物、ディスコティック液晶性化合物等が挙げられるが、棒状液晶性化合物が好ましく、ネマチック配向の棒状液晶性化合物が特に好ましい。
【0017】
前記ネマチック配向の棒状液晶性化合物としては、公知の液晶性分子等からなるネマチック配向の液晶性化合物が総て好適に挙げられ、例えば、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類、などが好適に挙げられる。該液晶性分子の例示化合物を、下記構造式(a)〜(v)に示す。これらの中でも、重合反応による固定化が可能な点で、重合性の液晶性分子からなる液晶性化合物が特に好ましい。
【0018】
【化3】
【0019】
【化4】
【0020】
【化5】
【0021】
前記液晶性分子の例示化合物における構造式(s)及び(t)において、nは3以上の整数を表す。
【0022】
前記光学異方性層において、前記液晶性化合物の配向は、可能な限り均一な配向状態で固定化されているのが好ましい。該液晶性化合物の配向は、前記光学異方性層における面内の遅相軸と前記透明位相差板における面内の遅相軸とのなす角度が、45度乃至75度の範囲内となるよう調整される。
【0023】
前記光学異方性層には、必要に応じて、水平配向制御剤のほか、カイラル化合物、バインダー樹脂、熱硬化剤等のその他の成分を含有させてもよい。これらの中でも、後述するように、優れた1/4波長板特性の光学積層体を提供可能な点で、水平配向制御剤が特に好ましい。
【0024】
前記水平配向制御剤としては、前記光学異方性層に含まれる液晶性化合物を、ラビング方向に対して略垂直方向に(略90度)配向させることができれば、特に制限はないが、例えば下記式(A)で表される化合物等が好適に挙げられる。
【0025】
【化6】
【0026】
前記カイラル化合物としては、液晶性化合物の色相、色純度改良の観点から、イソマニード、カテキン、イソソルビド、フェンコン、カルボン等の化合物が好適に挙げられる。
【0027】
前記光学異方性層における、前記液晶性化合物の含有量としては、50〜99重量%が好ましく、50〜95重量%がより好ましい。
前記含有量が、50重量%未満であると、液晶性化合物の配向が不充分となり、所望の色相が得られないことがある一方、99重量%を超えると、液晶性化合物の配向が阻害されることがある。
【0028】
前記光学異方性層の厚みとしては、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜5μmであるのがより好ましい。
【0029】
<光学積層体の構成等>
前記透明位相差板及び前記光学異方性層のいずれか一方は、その位相差が実質的にπ/2であり、他方は、その位相差が実質的にπであることが必要である。前記光学積層体においては、上記構成とすることにより、優れた1/4波長板特性を有する光学積層体が提供される。
【0030】
前記位相差としては、特定波長(λ)において、実質的にπ/2又はπの位相差を有していればよく、可視光域の略中間の波長である550nmにおいて、実質的にπ/2又はπの位相差であるのが好ましく、可視光域の広い範囲における波長において、実質的にπ/2又はπの位相差であるのがより好ましい。
尚、前記「実質的にπ/2」とは、π/2±5度の範囲内であることを指し、π/2±4度の範囲内であるのが好ましく、π/2±3度の範囲内であるのがより好ましく、π/2±2度の範囲内であるのが更に好ましい。また、前記「実質的にπ」とは、π±5度の範囲内の角度であることを指し、π±4度の範囲内の角度であるのが好ましく、π±3度の範囲内の角度であるのがより好ましく、π±2度の範囲内の角度であるのが更に好ましい。
【0031】
ここで、特定波長(λ)における位相差を「実質的にπ/2」に調整するには、特定波長(λ)において測定されるレターデーション値をλ/4とすればよい。例えば、特定波長(λ)が、550nmである場合、前記レターデーション値としては、110〜145nmであるのが好ましく、120〜140nmであるのがより好ましい。
【0032】
また、特定波長(λ)における位相差を実質的にπに調整するには、特定波長(λ)において測定されるレターデーション値をλ/2とすればよい。例えば、特定波長(λ)が、550nmである場合、前記レターデーション値としては、240〜290nmであるのが好ましく、250〜280nmであるのがより好ましい。
【0033】
前記光学積層体において、前記透明位相差板における面内の遅相軸と、前記光学異方性層における面内の遅相軸とのなす角度としては、45乃至75度であることが必要であり、55乃至65度であるのが好ましい。
前記角度が、前記数値範囲内であれば、優れた1/4波長板特性を有する光学積層体を提供できる。
尚、本発明において、「遅相軸」とは、屈折率が最大となる方向を指す。
【0034】
前記透明位相差板及び光学異方性層の間には、液晶性化合物の配向方向を規定するために重要な役割である、配向膜を有するのが特に好ましい。
前記配向膜の材質としては、例えば、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン等のポリマー、下記一般式(1)で表されるポリマー、無機化合物等が挙げられ、生産性の点からはポリマーが好ましく、配向膜の表面エネルギーが低く、後述するラビング処理等によって液晶性化合物を好適に傾斜配向させ得る点で、下記一般式(1)で表されるポリマーが特に好ましい。
【0035】
一般式(1)
【化7】
前記一般式(1)において、x及びyは重合度を表す。
【0036】
また、前記ポリマーがポリイミド又はポリビニルアルコール等である場合、配向膜の表面エネルギーを低くする観点からは、炭素原子数が10以上の炭化水素基を官能基として有するのが好ましい。また、該炭化水素基を、配向膜の表面に存在させるために、ポリマーの主鎖よりも側鎖に炭化水素基が導入されているのが好ましい。
【0037】
前記炭化水素基としては、脂肪族基、芳香族基、及び、これらの基の組み合わせ等が好ましい。該脂肪族基は、環状、分岐状あるいは直鎖状のいずれでもよく、アルキル基(シクロアルキル基であってもよい)又はアルケニル基(シクロアルケニル基であってもよい)等が好ましい。前記炭化水素基は、ハロゲン原子のような強い親水性を示さない置換基を有していてもよい。前記炭化水素基の炭素原子数としては、10〜100が好ましく、10〜60がより好ましく、10〜40が最も好ましい。
前記配向膜に用いられるポリマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
前記配向膜に用いられるポリマーの平均重合度としては、200〜5000が好ましく、300〜3000がより好ましい。ポリマーの重量平均分子量としては、9000〜200000が好ましく、13000〜130000がより好ましい。
【0039】
尚、前記透明位相差板及びその上に設けられる層(光学異方性層、配向膜等)の接着性を良好にするため、前記透明位相差板に、表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)等を施してもよく、該透明位相差板上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。
【0040】
[円偏光板]
本発明の円偏光板は、前記本発明の光学積層体と、偏光膜とを有し、該偏光膜が、前記光学積層体における光学異方性層上に配されてなる。このような構成とすることにより、好適に、反射型液晶表示装置等に組み込むことができる。
前記偏光膜としては、例えば、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜、ポリエン系偏光膜等が挙げられる。前記ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般に、ポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造される。
【0041】
前記偏光膜の透過軸は、該偏光膜の延伸方向に垂直な方向に相当する。
前記偏光膜は、一般に両側に保護膜を有する。ただし、本発明においては、前記本発明の光学積層体を、偏光膜の片側の保護膜として機能させることができる。前記保護膜としては、光学的等方性が高いセルロースエステルフィルム、特に、トリアセチルセルロースフィルム等が好ましい。
【0042】
[光学積層体の製造方法]
本発明の光学積層体の製造方法は、シクロオレフィン系化合物を含有する成形体を連続延伸し、位相差が実質的にπ/2である透明位相差板を得、該透明位相差板上に配向膜形成溶液を塗布し、該透明位相差板における長尺方向とのなす角度が10乃至20度の方向にラビングして配向膜を形成し、該配向膜上に、水平配向制御剤及び液晶性化合物を含有する光学異方性層形成溶液を塗布し、位相差が実質的にπである光学異方性層を形成することにより、透明位相差板における面内の遅相軸と光学異方性層における面内の遅相軸とのなす角度が45乃至75度である光学積層体を製造する方法である。
【0043】
光学積層体の製造方法において、ラビング処理のみによって液晶性化合物の配向を制御し、優れた1/4波長板特性を有する光学積層体を得るためには、透明位相差板における遅相軸及び光学異方性層における遅相軸のなす角度が、45度乃至75度となるようにラビングを行なう必要がある。
しかし、ラビングの方向と延伸方向(透明位相差板における長尺方向)とのなす角度が45度を超えると、ハンドリング性が悪くなるため、ラビング処理のみによって、前記数値範囲内に調整する方法では、優れた1/4波長板特性の光学積層体を作製できない。
【0044】
本発明の光学積層体の製造方法においては、ラビングの方向と延伸方向(透明位相差板における長尺方向)とのなす角度を、ハンドリング性の良好な10乃至20度の範囲内とし、更に、光学異方性層形成溶液に水平配向制御剤を含有させることにより、液晶性化合物を、ラビング方向に対して略垂直方向に(略90度)配向させることが可能な水平配向制御剤の作用によって、液晶性化合物の配向を制御する。該水平配向制御剤の作用により、液晶性化合物はラビング方向から更に略90度傾いて配向するため、ラビング方向と延伸方向(透明位相差板における長尺方向)とのなす角度が45度を超えない範囲でラビングが可能となる。この結果、本発明の光学積層体の製造方法はハンドリング性が優れる。また透明位相差板及び光学異方性層の積層の際、張り合せの必要等が無い為、効率が良く、低コストで、軸ズレ等が起こらないため、優れた1/4波長板特性を有する光学積層体を製造可能である。
【0045】
前記透明位相差板に用いられるシクロオレフィン系化合物、前記配向膜に用いられる材質、前記光学異方性層に用いられる液晶性化合物及び水平配向制御剤としては、前記本発明の「光学積層体」の項で述べたものが総て好適に挙げられる。
【0046】
前記延伸の方法としては、特に制限はなく、公知の連続延伸方法が総て好適に挙げられる。
【0047】
前記ラビングは、前記配向膜形成溶液塗布後、その表面を、紙や布等で、前記一定の角度で数回擦ることにより実施するのが好ましい。該一定の角度としては、前述のように、ハンドリング等の点から、透明位相差板における長尺方向とのなす角度が10乃至20度である必要があり、12乃至18度が好ましい。
【0048】
前記光学異方性層は、前記光学異方性層形成溶液に含有される液晶性化合物を、必要に応じて溶融し、配向可能な温度にまで加熱しながら、配向膜上に位置するように塗布、注入若しくは転写等して形成される。
前記光学異方性層形成溶液に含有される溶媒としては、有機溶媒が好ましい。該有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド化合物、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド化合物、ピリジン等のヘテロ環化合物、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素化合物、クロロホルム、ジクロロメタン等のアルキルハライド化合物、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル化合物、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル化合物等が挙げられる。これらの中でも、アルキルハライド化合物及びケトン化合物等が好ましい。これらの有機溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
前記光学異方性層形成溶液の塗布の方法としては、公知の塗布方法が挙げられる。例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法等が挙げられる。
【0050】
前記光学異方性層の形成においては、前記光学異方性層形成溶液における液晶性化合物が溶融時の液晶状態にある間に、一定の方向にラビングされた配向膜上に塗布され、更に水平配向制御剤の作用により、液晶性化合物がラビング方向から更に90度傾いて配向する。本発明においては、このようにして配向させた液晶性化合物を、重合等により固定化し光学積層体を得るのが好ましい。
【0051】
前記液晶性化合物の配向としては、ネマチック配向が特に好ましい。該液晶性化合物としては、前記本発明の「光学積層体」の項で述べたのと同様の液晶性化合物が総て好適に挙げられる。
【0052】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0053】
(実施例1)
[光学積層体の製造]
−透明位相差板の作製−
ノルボルネン系樹脂(JSR社製;「アートンF」)27質量部を、トルエンに溶解し、塗布液(27質量%)を調製した。該塗布液を、ガラス板上にドクターブレードを用いて流延し、乾燥させてフィルム状成形体を得た。これを125℃で35%一軸延伸し、透明位相差板を得た。
【0054】
−配向膜の形成−
下記一般式(1)(x;500〜1000、y;500〜1000)で表される化合物の希釈液を、前記透明位相差板上に連続塗布した後、透明位相差板における長尺方向とのなす角度が15度の方向に連続的にラビングし、透明位相差板上に配向膜を形成した。
【0055】
一般式(1)
【化8】
【0056】
−光学異方性層の形成−
前記配向膜上に、例示化合物(a)で表される液晶性分子及び下記式(A)で表される水平配向制御剤を、メチルエチルケトン溶媒に希釈して調製した光学異方性層形成溶液を塗布し、重合により液晶性化合物を固定化して光学異方性層を形成し、本発明の光学積層体を得た。
【0057】
【化9】
【0058】
【0059】
[円偏光板の製造]
前記光学積層体、及び、偏光膜(ヨウ素系偏光膜)を用い、偏光膜、光学異方性層、配向膜、及び、透明位相差板がこの順に積層された円偏光板を作製した。このとき、偏光膜における偏光軸及び透明位相差板の長尺方向は、平行になるよう調整した。得られた円偏光板の光学的性質を、前記レターデーション測定器を用いて測定したところ、略完全な円偏光が達成されていた。
【0060】
(比較例1)
[光学積層体の製造]
実施例1の「光学異方性層の形成」において、式(A)で表される水平配向制御剤を用いず、ラビング方向を変えたほかは、実施例1と同様にして、透明位相差板における面内の遅相軸と光学異方性層における面内の遅相軸とのなす角度が60度となるように光学積層体を製造した。
尚、この比較例においては、ラビングの角度が大きいため、ラビングの際のハンドリング性が悪く、液晶性化合物を所望の方向に均一に配向させることができなかった。
【0061】
得られた光学積層体について、前記レターデーション測定器を用いて同様に測定したところ、波長550nmでは位相差(λ/4)を示さなかった。
【0062】
[円偏光板の製造]
前記光学積層体を用い、実施例1における「円偏光板の製造」と同様にして円偏光板を製造したが、良好な円偏光は達成されなかった。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、1/4波長板特性に優れた光学積層体、該光学積層体を用いた円偏光板、及び、積層の際に張り合せの必要が無い為、効率が良く、低コストで、軸ズレ等が起こらない光学積層体の製造方法を提供することができる。
Claims (6)
- 請求項1又は2のいずれかに記載の光学積層体と、偏光膜とを有し、該偏光膜が前記光学積層体における光学異方性層上に配されたことを特徴とする円偏光板。
- 請求項1又は2のいずれかに記載の光学積層体の製造方法であって、シクロオレフィン系化合物を含有する成形体を連続延伸し、位相差が実質的にπ/2である透明位相差板を得、該透明位相差板上に配向膜形成溶液を塗布し、該透明位相差板における長尺方向とのなす角度が10乃至20度の方向にラビングして配向膜を形成し、該配向膜上に、前記一般式(A)に示す水平配向制御剤、及び液晶性化合物を含有する光学異方性層形成溶液を塗布し、位相差が実質的にπである光学異方性層を形成することにより、透明位相差板における面内の遅相軸と光学異方性層における面内の遅相軸とのなす角度が、45乃至75度である光学積層体を製造することを特徴とする光学積層体の製造方法。
- 光学異方性層が、液晶性化合物の重合により固定化された請求項4に記載の光学積層体の製造方法。
- 光学異方性層における液晶性化合物の配向が、ネマチック配向である請求項4又は5に記載の光学積層体の製造方法。
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