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JP2008077043A - 光学補償シート、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

光学補償シート、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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JP2008077043A
JP2008077043A JP2007015898A JP2007015898A JP2008077043A JP 2008077043 A JP2008077043 A JP 2008077043A JP 2007015898 A JP2007015898 A JP 2007015898A JP 2007015898 A JP2007015898 A JP 2007015898A JP 2008077043 A JP2008077043 A JP 2008077043A
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rth
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JP2007015898A
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Akinobu Ushiyama
章伸 牛山
Kenichi Fukuda
謙一 福田
Takumi Ando
工 安藤
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Fujifilm Corp
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Abstract

【課題】液晶セルを光学補償(例えば、VAモードの液晶セルの黒表示時の光学補償)するのに充分なRthを有し、その波長分散性が順分散性を示し、且つ安定的に製造可能な、Cプレートとして機能する光学補償シートを提供する。
【解決手段】下記式(1)〜(3)をそれぞれ満たす透明支持体C1及び光学異方性層C2を有し、且つ下記式(4)を満たす、Cプレートである光学補償シートである。(1) 0≦Re630(C1)≦10(2) 0≦Re550(C2)≦10(3) 100≦Rth550(C2)−Rth550(C1)(4) |Rth400(C2)/Rth700(C2)−Rth400(C)/Rth700(C)|≦0.1[式中、Rthλ(C)は波長λnmにおける光学補償シート(C1とC2との積層体)の膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である]。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置の視野角特性の改善に寄与する光学補償シート及び偏光板に関する。また、本発明は、視野角特性が改善された液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置に関する。
現在、位相差板は、各種表示モードのカラーTFT液晶表示装置等において広視野角でのコントラスト比の向上及び色シフトの軽減を目的として、広く使用されている。このような位相差板とし、高分子フィルムを延伸して作製された二軸性フィルムが知られている。高分子フィルムの材料としては、例えば、セルロースアシレート類、ポリカーボネート類、及びノルボルネン系ポリマー類等が挙げられる。これらの高分子フィルムからなる位相差板は、偏光膜と貼り合わせられた状態で、液晶表示装置に組み込まれることもある。
ところで、高分子フィルム等からなる位相差板のレターデーションは、いずれの波長に対しても一様な値となるのではなく、入射光の波長に依存して変化する(以下、この性質を「波長分散性」という)。高分子フィルムの中には、入射光の波長が短くなるとレターデーションが増加するという波長分散性(以下、「順分散性」という)を示すものと、入射光の波長が短くなると減少するという波長分散性(以下、「逆分散性」という)を示すものとがある。一方、液晶セルの複屈折性にも波長分散性があり、より理想的な液晶セルの光学補償のためには、位相差板のレターデーションの波長分散性を考慮して調整する必要がある。例えば、VAモードの液晶セルの光学補償に、負のCプレートを利用することが提案されている(例えば、特許文献1)が、負のCプレートの厚み方向のレターデーション(Rth)の波長分散性が、VAモードの液晶セルの波長分散性に対して傾きが小さくなると、黒表示時に視野角に依存した色味変化や光漏れが大きくなる。しかしながら、従来、VAモードの液晶セルの位相差板として用いられているポリマーフィルムは、レターデーションの波長分散性を制御し難く、液晶セルの複屈折波長分散性(通常は順分散性)と同等またはより急勾配の波長分散性を示す位相差板を作製することは困難である。特に、ポリマーフィルムでは、絶対値としてある程度の大きさのRthを示し、且つ該Rthの波長分散性が順分散性である光学特性を発現させることが難しく、添加剤などを加えて制御しようとしても、波長分散とRthを同時に制御できないという問題がある。
特開2004−118185号公報
本発明は、液晶セルを光学補償(例えば、VAモードの液晶セルの黒表示時の光学補償)するのに充分なRthを有し、その波長分散性が順分散性を示し、且つ安定的に製造可能な、Cプレートとして機能する光学補償シートを提供することを課題とする。また、本発明は、液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置、の光学補償に有用であり、且つ生産性にも優れた光学補償シート及び偏光板を提供することを課題とする。また、本発明は、視野角特性、特に視野角に依存した色味変化が軽減された、液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置、を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 透明支持体C1及び光学異方性層C2を有し、且つ下記式(1)〜(4)を満たす、Cプレートである光学補償シート:
(1)0≦Re630(C1)≦10
(2)0≦Re550(C2)≦10
(3)100≦Rth550(C2)−Rth550(C1)
(4) |Rth450(C2)/Rth550(C2)−Rth450(C)/Rth550(C)|≦0.1
[式中、Reλ(C1)は透明支持体C1の波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλ(C1)は透明支持体C1の波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)であり、Reλ(C2)は光学異方性層C2の波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλ(C2)は波長λnmにおける光学異方性層C2の膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)であり、Rthλ(C)は波長λnmにおける光学補償シート(C1とC2との積層体)の膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である]。
[2] 前記透明支持体C1及び前記光学異方性層C2が下記式(5)〜(8)を満たす[1]の光学補償シート:
(5) −25≦Rth630(C1)≦25
(6) 100≦Rth550(C2)≦300
(7) −35≦Rth400(C1)−Rth700(C1)≦50
(8) 1.04≦Rth450(C2)/Rth550(C2)≦1.30 。
[3] 前記透明支持体C1及び/又は前記光学異方性層C2が負のCプレートである[1]又は[2]の光学補償シート。
[4] 前記透明支持体C1が、セルロースアシレート類のフィルム、ノルボルネン系ポリマー類のフィルム、シクロオレフィンポリマー類のフィルム、ラクトン環含有重合体系樹脂フィルム又はポリカーボネート類のフィルムからなる[1]〜[3]のいずれかの光学補償シート。
[5] 前記光学異方性層C2が、重合性液晶化合物の少なくとも一種を含有する重合性液晶組成物を液晶相の状態で固定して形成された層である[1]〜[3]のいずれかの光学補償シート。
[6] 前記光学異方性層C2が、棒状液晶化合物を含有する重合性液晶組成物をコレステリック相の状態で固定して形成された層である[5]の光学補償シート。
[7] 前記光学異方性層C2が、ディスコティック液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を、該ディスコティック液晶化合物の分子をホメオトロピック配向させ、ネマチック液晶相の状態で固定して形成された層である[5]の光学補償シート。
[8] 前記光学異方性層C2が、さらに下記一般式を含むフッ素系ポリマーを有する化合物を含有する[5]〜[7]のいずれかの光学補償シート:
一般式(1)
Figure 2008077043
一般式(1)において、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。Qはフェニル基を少なくとも1つ含有したカルボキシル基(−COOH)又はその塩、スルホ基(−SO3H)又はその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}又はその塩、親水性基(−OH)、あるいはアクリルアミド(−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す))を有する。Lは下記の連結基群から選ばれる任意の基、又はそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す;
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン基。
[9] 前記光学異方性層C2が、2つ以上の官能基を有する多官能モノマーさらに含有する前記重合性液晶組成物から形成された層である[5]〜[8]のいずれかの光学補償シート。
[10] 前記光学異方性層C2が、ポリマーフィルム層である[1]〜[3]のいずれかの光学補償シート。
[11] [1]〜[10]のいずれかの光学補償シートと、偏光膜とを有する偏光板。
[12] [1]〜[10]のいずれかの光学補償シート及び/又は[11]の偏光板を有する液晶表示装置。
[13] 互いの吸収軸を直交にして配置された2枚の偏光膜、及び前記2枚の偏光膜の間に、一対の基板と、該一対の基板に挟持された液晶分子が基板に対して、外部電界が印加されていない非駆動状態において実質的に垂直に配向する液晶層とを有する液晶セルを有する液晶表示装置であって、 前記2枚の偏光膜のいずれか一方と前記液晶セルとの間に、[1]〜[10]のいずれかの光学補償シートを有する液晶表示装置。
[14] さらに下記式(9)〜(11)を満たす光学異方性層Aを有する[12]又は[13]の液晶表示装置:
(9) 70≦Re550(A)≦180
(10)30≦Rth550(A)≦140
(11)0.80≦|Re450(A)/Re550(A)|≦1.00
[式中、Reλ(A)は光学異方性層Aの波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλ(A)は光学異方性層Aの波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である]。
[15] 前記光学異方性層Aが、前記2枚の偏光膜のいずれか一方と前記液晶セルとの間に配置され、該光学異方性層Aの面内遅相軸と該偏光膜の吸収軸とが直交している[14]の液晶表示装置。
本発明によれば、液晶セルを光学補償(例えば、VAモードの液晶セルの黒表示時の光学補償)するのに充分なRthを有し、その波長分散性が順分散性を示し、且つ安定的に製造可能な、Cプレートとして機能する光学補償シートを提供することができる。また、本発明によれば、液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置、の光学補償に有用であり、且つ生産性にも優れた光学補償シート及び偏光板を提供することができる。また、本発明によれば、視野角特性、特に視野角に依存した色味変化が軽減された、液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置、を提供することができる。
発明の実施の形態
以下において、本発明の光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置の実施形態について順次説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「平行」、「直交」とは、厳密な角度±10゜未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±5゜未満であることが好ましく、±2゜未満であることがより好ましい。また、「実質的に垂直」とは、厳密な垂直の角度よりも±20゜未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±15゜未満であることが好ましく、±10゜未満であることがより好ましい。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光膜」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体を意味するものとする。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。測定波長λnmは可視光領域の範囲、具体的には、400〜800nmの範囲であれば、いずれの波長でもよいが、400〜750nmの範囲内であることが好ましく、400nm〜700nmの範囲内であることがさらに好ましい。本明細書においては特に断わらない限り、Re、Rthは、530〜600nmで測定した値(またはこの値をもとに算出される値)を意味するものとする。面内のレターデーション(Re)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される値である。測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRthは算出される。
Rthは前記Reを、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値(d)を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
Figure 2008077043
上記式中のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。
上記式中のnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表し、dは膜厚(nm)である。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRthは算出される。Rthは前記Reを、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定
されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値をもとにKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。この算出されたnx、ny及びnzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。なお、本明細書において、特に断らない限り、測定波長は590nmであり、25℃、60%RHにおける測定値とする。
なお、本明細書において、所定の部材Xの波長λnmにおける面内レターデーションRe及び厚み方向のレターデーションRthは、「Reλ(X)」及び「Rthλ(X)」と表記するものとする。
[光学補償シート]
本発明は、Cプレートである光学補償シートCに関する。本発明の光学補償シートCは負のCプレートであるのが好ましい。Re550(C)が0〜10nmであるのが好ましく、0〜5nmであるのがより好ましく、0〜3nmであるのがさらに好ましい。また、Rth550(C)は、100nm以上であるのが好ましく、120〜280nmであるのがより好ましく、160〜220nmであるのがさらに好ましい。
本発明の光学補償シートCは、透明支持体C1と、該透明支持体C1によって支持される光学異方性層C2とを有する。前記透明支持体C1及び前記光学異方性層C2は、下記式(1)〜(3)をそれぞれ満足する。
(1) 0≦Re630(C1)≦10
(2) 0≦Re550(C2)≦10
(3) 100≦Rth550(C2)−Rth550(C1)
透明支持体C1及び光学異方性層C2は、上記式(1)及び(2)をそれぞれ満足するので、面内に光軸を実質的に持たない。一方、透明支持体C1及び光学異方性層C2は、上記関係式(3)を満足するので、光学異方性層C2及び透明支持体C1の少なくとも一方は、厚み方向に光軸を持つ正又は負のCプレートである。光学異方性層C2及び/又は透明支持体C1は、負のCプレートであるのが好ましく、透明支持体C1及び光学異方性層C2の双方が負のCプレートであるのが好ましい。
さらに、本発明の光学補償シートCは、下記式(4)を満足する。
(4) |Rth450(c2)/Rth550(c2)−Rth450(c)/Rth550(c)|≦0.1
波長450nm及び550nmのRthの比(Rth450/Rth550)は、その部材の波長分散性の指標である。順分散性の部材は、Rth450/Rth550が1を超え、逆分散性の部材は、Rth450/Rth550が1未満となる。ここで、本発明の光学補償シートCと光学異方性層C2は上記式(4)を満足するので、光学補償シートCの波長分散性は、光学異方性層C2の波長分散性にほぼ等しい。
透明支持体C1及び光学異方性層C2の双方が実質的に厚み方向の位相差のみを有するCプレートの態様では、その積層体である光学補償シートCのRthは、双方のRthの和で近似できる。同様に、光学補償シートCのRthの波長分散性(Rth450/Rth550)も、波長毎に双方のRthの和を採り算出される波長分散性で近似でき、C1およびC2の波長分散性(Rth450/Rth550)の符号を考慮したRth550による荷重平均値と等しくなる。すなわち、C1およびC2の寄与率は、それぞれのRthの値でほぼ決定される。
透明支持体C1のRthの絶対値が充分小さい場合、上記式(3)を満足する光学異方性層C2を用いることにより、光学補償シートCのRth値は、光学異方性層C2のRth値とほぼ等しくなる。したがって、本態様では、光学補償シートCのRthの波長分散性は、Rthの寄与の大半を占める光学異方性層C2の波長分散性とほぼ類似したものとなる。
高いRth値を示す負のCプレートは、例えば、重合性液晶組成物を所定の液晶相に転移させて、その状態に固定して作製することができる。また、ポリイミド等、所定のポリマーを含有する塗布液を塗布及び乾燥することによって作製することができる。これらの方法によって作製された光学異方性層は、高いRth値を示す負のCプレートになり、且つこれらの光学異方性層のRthの波長分散性は順分散性を示す。本発明では、光学補償シートのRth及びその波長分散性に寄与する程度が、透明支持体C1と比較して、光学異方性層C2のほうが格段に大きいので、高いRthを示すとともに、該Rthの波長分散性が順分散性であるCプレートを、光学異方性層C2として用いることにより、高いRthを示すとともに、該Rthの波長分散性が順分散性である、Cプレートを容易に得ることができる。
この様に、本発明は、透明支持体として用いられる高分子フィルムだけでは、Rth値が高く、且つ該Rth値の波長分散性が順分散性を示すCプレートを作製することが困難であることに着目し、この問題点を解決するため、光学補償シートを高分子フィルムからなる透明支持体C1と光学異方性層C2との積層体とし、透明支持体C1のRthの寄与より、Rth値が高く、且つ該Rthの波長分散性が順分散性の光学特性を得ることができる光学異方性層C2のRthの寄与をより大きくすることとしている。本発明の光学補償シートを、液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置の光学補償に用いると、黒表示時における視野角に依存した色味変化、及び光漏れを軽減することができる。また、本発明では、透明支持体C1のRthの波長分散性の寄与が小さいので、例えば、Rthが逆分散性を示す傾向のあるセルロースアシレートフィルム等を用いても、Rthの波長分散性が順分散性を示す光学補償シートを提供できる。
以下、各部材の光学特性のより好ましい範囲、及び作製に用いる材料について詳細に説明する。
[透明支持体C1及び光学異方性層C2の光学特性]
透明支持体C1の面内レターデーションReは、0〜10nmであることが好ましく、0〜5nmであることがより好ましく、0〜3nmであることがさらに好ましい。さらに、厚さ方向のレターデーションRthは、−25〜100nmであることが好ましく、−25〜50nmであることがより好ましく、−25nm〜25nmであることがさらに好ましい。光学異方性層C2の面内レターデーションReは、0〜10nmであることが好ましく、0〜5nmであることがより好ましく、0〜3nmであることがさらに好ましい。さらに、厚さ方向のレターデーションRthは、100〜300nmであることが好ましく、120〜240nmであることがより好ましく、150nm〜210nmであることがさらに好ましい。本発明において、透明支持体C1及び光学異方性層C2の双方が、負のCプレートであるのが好ましい。
また、透明支持体C1のRthの波長分散性は、順分散性及び逆分散性のいずれであってもよいが、特に逆分散性の場合、波長分散性の程度は小さいほうが好ましい。具体的には、Rth400(C1)−Rth700(C1)は、−35〜50であることが好ましく、−25〜25であることがより好ましい。一方、光学異方性層C2のRthの波長分散性は、光学補償シートCの波長分散性とほぼ等しくなるので、光学補償シートCの用途(光学補償シートの対象となる液晶表示装置のモード)に応じて、その好ましい性質は異なるが、一般的には順分散性であるのが好ましく、VAモードの液晶表示装置の光学補償に用いる態様については、Rth450(C2)/Rth550(C2)は、1.04〜1.30であることが好ましく、1.10〜1.25であることがより好ましい。
[透明支持体C1]
本発明において、透明支持体C1は高分子フィルムからなることが好ましい。透明支持体C1に要求される前記光学特性を満足する限り、その材料については特に制限されないが、例えば、本発明の光学補償シートを、偏光膜と貼り合せて、偏光板加工する場合は、偏光膜を保護する保護膜としても機能させることが必要となり、かかる態様では、セルロースアシレートフィルム、シクロオレフィンポリマー、ノルボルネン系ポリマー、ラクトン環含有重合体系樹脂フィルム又はポリカーボネートを用いるのが好ましい。
本発明では、上記した通り、充分な傾きを有する順分散性を有する透明支持体は得がたいことから、透明支持体C1として、Rthの絶対値が小さい高分子フィルムを選択し、光学補償シートCのRthに対する寄与をできるだけ小さく抑えるのが好ましい。Rth値が小さいCプレートとしては、特開2006−30937号公報の第0043〜第0250欄に記載のセルロースアシレート系フィルム、特開2002−22954号公報に記載のポリカーボネート系フィルム、また、近年開発が進められている特開2006−171464号公報、WO2006−112207パンフレットに記載のラクトン環含有重合体系樹脂フィルム等の高分子フィルムが挙げられる。
この中でも、セルロースアシレート系フィルムは偏光板加工適性の観点で好ましく、またラクトン環含有重合体系樹脂フィルムは光弾性係数が低く、特にCプレートの透明支持体C1として用いた時に、余分な面内レターデーションが発現し難く、好ましい。
[光学異方性層C2]
光学異方性層C2は、高いRth(少なくとも、透明支持体C1より高いRth値)の負のCプレートであるのが好ましい。光学異方性層C2に要求される光学特性を満足する限り、その材料については特に制限されず、重合性液晶組成物からなる光学異方性層であっても、高分子ポリマーからなる光学異方性層であってもよい。Rthが高く、且つRthの波長分散性が順分散性の負のCプレートである光学異方性層は、重合性液晶組成物を利用して容易に形成することができる。
液晶組成物により負のCプレートとなる光学異方性層を形成する方法としては、棒状液晶化合物を含有する液晶組成物を透明支持体の表面に塗布し、該棒状液晶化合物の分子のダイレクターの向きを、層面に対し実質的に平行にして、コレステリック相として、その状態に重合等により固定して形成する方法;及びディスコティック液晶化合物を含有する液晶組成物を透明支持体の表面に塗布し、該コレステリック液晶化合物の分子をホメオトロピック配向させて、即ち、層面に対して該分子のダイレクターの向きを実質的に垂直に配向させて、ネマチック相とし、その配向状態に重合等により固定して形成する方法;が好ましい。
[棒状液晶性化合物]
光学異方性層C2の形成に利用可能な棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。重合により配向を固定可能な様に、棒状液晶性化合物としては、活性光線や電子線、熱などによって重合や架橋反応を起こしうる部分構造を有するものが好適に用いられる。その部分構造の個数は好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個である。重合性棒状液晶性化合物としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、特開2001−328973号公報、特開2004−240188号公報、特開2005−99236号公報、特開2005−99237号公報、特開2005−121827号公報、特開2002−30042号公報などに記載の化合物を用いることができる。
棒状液晶性化合物の中でも、上記した通り、コレステリック相に転移可能な液晶性化合物が好ましくは、具体的には、特開2004−110003号公報の第0077欄〜第0081欄に記載の重合性液晶化合物及び重合性カイラル剤を用いることが好ましい。
[ディスコティック液晶性化合物]
光学異方性層C2の形成に利用可能なディスコティック液晶性化合物には、C.Destradeらの研究報告(Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年))に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告(Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990))に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告(Angew.Chem.96巻、70頁(1984年))に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告(J.Chem.Commun.,1794頁(1985年))、J.Zhangらの研究報告(J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年))に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
ディスコティック液晶性化合物としては、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造の化合物も含まれる。分子又は分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。ディスコティック液晶性化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
なお、棒状液晶性化合物についても同様であるが、ディスコティック液晶性化合物を含有する液晶性組成物から形成する光学異方性層は、最終的に光学異方性層に含まれる化合物が液晶性化合物である必要はなく、例えば、低分子のディスコティック液晶性分子が熱や光で反応する基を有しており、結果的に熱、光で反応により重合又は架橋し、高分子量化し液晶性を失っていてもよい。
[フッ素系ポリマー]
前記光学異方性層C2を作製する過程で、棒状液晶化合物の分子のダイレクターの向きを層面に対し実質的に平行(Reを実質的に0nm)にするため、あるいはディスコティック液晶化合物の分子を水平配向させる、すなわち層面に対しディスコティック分子のダイレクターの向きを実質的に垂直(Reを実質的に0nm)にするために、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含むフッ素系ポリマー(以下、「ポリマーA」という場合がある)を存在させるのが好ましく、即ち、光学異方性層C2を形成するのに用いられる液晶性組成物中にポリマーAの少なくとも1種を含有させるのが好ましい。
一般式(1)
Figure 2008077043
一般式(1)において、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。Qはフェニル基を少なくとも1つ含有したカルボキシル基(−COOH)又はその塩、スルホ基(−SO3H)又はその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}又はその塩、親水性基(−OH)、あるいはアクリルアミド(−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す))を有する。Lは下記の連結基群から選ばれる任意の基、又はそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。
(連結基群)
単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン基。
一般式(1)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は特開2004−46038号公報の第0017欄〜第0033欄に例示した置換基を表す。置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子または−L−Qで表される基であるのが好ましい。また、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子または−L−Qで表される基であるのが好ましく、水素原子、又はアルキル基であるのがより好ましい。
Lは、上記連結基群から選ばれる2価の連結基、又はそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す。上記連結基群中、−NR4−のR4は、水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、好ましくは水素原子又はアルキル基である。また、−PO(OR5)−のR5はアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、好ましくはアルキル基である。R4及びR5がアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す場合の炭素数は「置換基群」で説明したものと同じである。Lとしては、単結合、−O−、−CO−、−NR4−、−S−、−SO2−、アルキレン基又はアリーレン基を含むことが好ましく、単結合、−CO−、−O−、−NR4−、アルキレン基又はアリーレン基を含んでいることが特に好ましく、単結合であることが最も好ましい。Lがアルキレン基を含む場合、アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜6である。特に好ましいアルキレン基の具体例として、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラブチレン、ヘキサメチレン基等が挙げられる。Lが、アリーレン基を含む場合、アリーレン基の炭素数は、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12である。特に好ましいアリーレン基の具体例として、フェニレン、ナフタレン基等が挙げられる。Lが、アルキレン基とアリーレン基を組み合わせて得られる2価の連結基(即ちアラルキレン基)を含む場合、アラルキレン基の炭素数は、好ましくは7〜34、より好ましくは7〜26、特に好ましくは7〜16である。特に好ましいアラルキレン基の具体例として、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、メチレンフェニレン基等が挙げられる。Lとして挙げられた基は、適当な置換基を有していてもよい。このような置換基としては先にR1〜R3における置換基として挙げた置換基と同様なものを挙げることができる。
前記式(1)中、Qはカルボキシル基、カルボキシル基の塩(例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩(例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、ジメチルフェニルアンモニウムなど)、ピリジニウム塩など)、スルホ基、スルホ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)、ホスホノキシ基、ホスホノキシ基の塩(塩を形成するカチオンの例は上記カルボキシル基に記載のものと同じ)、親水基(ヒドロキシル基)を表す。より好ましくはカルボキシル基、スルホ基、ホスホ基、親水基であり、特に好ましいのはカルボキシル基又は親水基である。
前記ポリマーAは、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。また前記ポリマーAは、前記フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位を1種又は2種以上有していてもよい。好ましくは、以下に示す、特開2004−333861号公報に記載の一般式[1]で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位を含むことが好ましい。
Figure 2008077043
式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R12)−を表し、Hfは水素原子またはフッ素原子を表し、mは1以上6以下の整数、nは2〜4の整数を表す。R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。
さらに、前記ポリマーAはそれら以外の他の繰り返し単位を含んでいてもよい。前記他の繰り返し単位については特に制限されず、通常のラジカル重合反応可能なモノマーから誘導される繰り返し単位が好ましい例として挙げられる。前記ポリマーAは、特開2004−46038号公報明細書中の段落番号[0026]〜[0033]記載のモノマー群から選ばれるモノマーから誘導される繰り返し単位を1種含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
また、前記ポリマーAは、特開2004−333861号公報に記載されている一般式[2]で表されるモノマーから誘導される繰り返し単位を含んでいてもよい。
本発明に用いる前記ポリマーAの質量平均分子量は1,000,000以下であるのが好ましく、500,000以下であるのがより好ましく、5,000以上50,000以下であるのがさらに好ましい。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン(PS)換算の値として測定可能である。
前記ポリマーAを製造する際に採用される重合方法については、特に限定されるものではないが、特開2004−46038号公報明細書中の段落番号[0035]〜[0041]に記載の方法を用いることが好ましい。
なお、前記ポリマーAは、液晶化合物の配向状態を固定化するために置換基として重合性基を有していてもよい。
以下に、前記ポリマーAとして本発明に好ましく用いられる具体例を示すが、本発明はこれらの具体例によってなんら限定されるものではない。ここで式中の数値(a、b、c、d等の数値)は、それぞれ各モノマーの組成比を示す質量百分率であり、MwはTSK Gel GMHxL、TSK Gel G4000 HxL、TSK Gel G2000 HxL (いずれも東ソー(株)の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した質量平均分子量である。
Figure 2008077043
本発明に用いられる前記ポリマーAは、上記した様に、公知慣用の方法で製造することができる。例えば、先にあげたフルオロ脂肪族基を有するモノマー、水素結合性基を有するモノマー等を含む有機溶媒中に、汎用のラジカル重合開始剤を添加し、重合させることにより製造できる。また、場合によりその他の付加重合性不飽和化合物を、さらに添加して上記と同じ方法にて製造することができる。各モノマーの重合性に応じ、反応容器にモノマーと開始剤を滴下しながら重合する滴下重合法なども、均一な組成のポリマーを得るために有効である。
[多官能モノマー]
光学異方性層C2と透明支持体C1との密着性を良好にする目的で、光学異方性層C2を形成するための液晶性組成物中に、多官能モノマーを含有させるのが好ましい。光学異方性層C2の膜厚は目的のレターデーションによって異なるが、ある程度の大きさのRth値を発現させるには、0.5μm以上であるのが好ましい。重合性液晶組成物から、0.5μm以上の層を形成する場合、透明支持体C1界面との密着が著しく低下する場合がある。2以上の官能基を有する多官能モノマーを前記液晶性組成物に含有させると、透明支持体C1と光学異方性層C2との密着性を改良できるので好ましい。
2個以上の官能基を有する多官能モノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル[例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート]、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート]、上記のエチレンオキサイド変性体、ビニルベンゼン及びその誘導体(例えば1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えばジビニルスルホン)、アクリルアミド(例えばメチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミドが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。
光学異方性層C2は、重合性液晶性組成物を塗布液として調製し、該塗布液を透明支持体C1の表面に塗布して乾燥し、所望の液晶相に転移させた後、その配向状態に重合により固定することで形成することができる。塗布液として調製する際に使用可能な溶媒、重合性液晶性組成物中に添加可能な重合開始剤、重合時に照射されるUV光の強度等の条件等については、従来公知の種々の材料、方法、条件等を参考にすることができる(例えば、特開2005−173567号公報等に記載の当該材料及び条件等を参考にすることができる)。また、光学異方性層C2の形成には、配向膜を利用してもよく、コレステリック相に転移及び、ディスコティック液晶性化合物をホモトロピック配向させるのに利用可能な配向膜としては、特開2005−49866号公報の第0165欄等に記載の配向膜を挙げることができる。
[光学異方性層C2用の高分子]
ポリマー組成物によりCプレートとなる光学異方性層C2を形成することもできる。例えば、ポリマー組成物をフィルム状に成形したものが、光学異方性層C2に要求される所定の光学特性を示す場合は、そのまま光学異方性層C2として用いることができる。また、所定の光学特性を満足するために、さらに、延伸処理等を施した延伸フィルム、又は配向フィルムにより製造されたもの等を、光学異方性層C2として好ましく用いることができる。さらに、透明支持体C1と積層した後に、延伸処理を施してもよい。
光学異方性層C2の形成に用いられる高分子としては、アセテート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリノルボルネン樹脂、セルロース樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアクリル樹脂、これらの混合樹脂、液晶ポリマー、及び側鎖に置換イミド基又は非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と側鎖に置換フェニル基又は非置換フェニル基とニトリル基とを有する熱可塑性樹脂との混合物からなる群から選択される少なくとも一つのポリマーであることが好ましい。中でもポリカーボネート、シクロオレフィン系ポリマー及びノルボルネン系ポリマー、セルロースアシレートフィルムから選ばれる延伸フィルム、又はポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドから選ばれるいずれか少なくとも1種の材料とする配向フィルムであることがより好ましい。
本発明の光学補償シートは、直線偏光膜(以下、単に「偏光膜」という場合は「直線偏光膜」をいうものとする)に貼り合せ、円偏光板又は楕円偏光板として用いることができる。かかる態様では、透明支持体C1は、光学異方性層C2の支持体であるとともに、偏光膜の保護膜としても機能し得るものであるのが好ましく、かかる観点から、セルロースアシレートフィルムが好ましい。
以下、本発明の光学補償フィルムを付加した本発明の偏光板について詳細に説明する。
[偏光板]
本発明の偏光板は、本発明の光学補償シートと、偏光膜とを少なくとも有する。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の吸収軸は、フィルムの延伸方向に相当する。従って、縦方向(搬送方向)に延伸された偏光膜は長手方向に対して平行に吸収軸を有し、横方向(搬送方向と垂直方向)に延伸された偏光膜は長手方向に対して垂直に吸収軸を有す。
偏光膜の基材フィルムに使用されるポリマーとしては、ポリビニルアルコール(以下、PVA)系ポリマーが一般的である。二色性物質としては、ヨウ素あるいは、二色性染料が単独、あるいは組み合わせて用いられる。PVAは、通常、ポリ酢酸ビニルをケン化したものであるが、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のように酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性、偏光性、耐熱、耐湿性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、フィルム強度や耐熱、耐湿性、延伸性などから1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。また、PVAのシンジオタクチシチーについては特に限定されず、目的に応じ任意の値をとることもできる。
PVAを染色、延伸して偏光膜を作製する手順には、原反となるPVAフィルムを乾式又は湿式で延伸した後、ヨウ素あるいは二色性染料の溶液に浸漬する方法、ヨウ素あるいは二色性染料の溶液中でPVAフィルムを延伸し配向させる方法、ヨウ素あるいは二色性染料にPVAフィルムを浸漬後、湿式又は乾式で延伸し配向させる方法などがある。また、PVA原反を溶液製膜法により製膜する際、PVA溶液中に二色性物質をあらかじめ含有させる手法もとることができる。
代表的な偏光板の湿式延伸による製造法を以下に述べる。まず、原反PVAフィルムを水溶液で予備膨潤する。次いで二色性物質の溶液に浸漬し、二色性物質を吸着させる。さらにホウ酸等のホウ素化合物の水溶液中で進行方向に一軸延伸する。必要に応じ色味調整浴、硬化浴等をこの後に設けてもよい。ある程度乾燥したところでPVA等の接着剤を用い保護膜を貼合する。さらに乾燥して偏光板が得られる。
予備膨潤液中には、各種有機溶媒、無機塩、可塑剤、ホウ酸類等を水溶液中に添加してもよい。
染色液は、二色性物質としてヨウ素を用いる場合を例にすると、ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液を用いる。ヨウ素は0.1〜20g/リットル、ヨウ化カリウムは1〜100g/リットル、ヨウ素とヨウ化カリウムの重量比は1〜100が好ましい。染色時間は30〜5000秒が好ましく、液温度は5〜50℃が好ましい。染色液中にホウ素化合物等PVAを架橋する化合物を含有させることも好ましい。延伸浴中のホウ素化合物は、ホウ酸が特に好ましい。ホウ酸濃度は、好ましくは1〜200g/リットルであり、さらに好ましくは10〜120g/リットルである。延伸浴には、ホウ素化合物の他にヨウ化カリウム等の無機塩、各種有機溶媒、あるいは二色性染料等を含むことができる。色味調整浴、硬化浴には二色性染料のほか、ヨウ化カリウム等の無機塩、ホウ素化合物等を必要に応じ含有させる。
PVAの延伸工程としては、上に例示した如く連続フィルムの進行方向に張力を付与し、進行方向にフィルムを延伸、配向させる方法が一般的であるが、いわゆるテンター方式等の延伸手段でフィルムの幅手方向に張力を付与し、幅手方向に配向させる方法も適用可能である。延伸は一軸方向に3倍以上行うことが好ましく、4.5倍以上がより好ましい。偏光膜の使用目的により二軸延伸を行ってもよい。延伸後の膜厚は特に限定されないが、取り扱い性、耐久性、経済性の観点より、5〜100μmが好ましく、10〜40μmがより好ましい。延伸時の温度は延伸条件によって異なるが、通常10〜250℃である。100℃以上の温度で乾式延伸する場合は、窒素等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。また、予め延伸したフィルムを染色する前には、100℃以上の温度で結晶化処理を行うことが好ましい。
染色方法としては上に例示した浸漬法だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、既に述べた液層吸着のみでなく、寄贈による吸着も必要に応じ行うことができる。二色性色素で染色することも好ましい。二色性色素の具体例としては、例えばアゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素、アントラキノン系色素等の色素系化合物をあげることができる。水溶性のものが好ましいが、この限りではない。又、これらの二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入されていることが好ましい。
二色性分子の代表的なものとしては、例えばシー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ72、シー.アイ.ダイレクト.レッド28、シー.アイ.ダイレクト.レッド39、シー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド83、シー.アイ.ダイレクト.レッド89、シー.アイ.ダイレクト.バイオレット48、シー.アイ.ダイレクト.ブルー67、シー.アイ.ダイレクト.ブルー90、シー.アイ.ダイレクト.グリーン59、シー.アイ.アシッド.レッド37等が挙げられ、さらに特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開2000−48105号、特開2000−65205号、特開平7−261024号の各公報に記載の色素等を挙げることができる。特に、シー.アイ.ダイレクト.レッド28(コンゴーレッド)は古くよりこの用途に好ましいとして知られている。これらの二色性分子は遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として用いられる。
これらの二色性分子は2種以上を配合することにより、各種の色相を有する偏光子を製造することができる。偏光素子又は偏光板として偏光軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)や黒色を呈するように各種の二色性分子を配合したものが単板透過率、偏光率とも優れており好ましい。
偏光膜の耐熱、耐湿性を高める観点から、偏光膜の製造工程においてPVAに架橋させる添加物を含ませることが好ましい。架橋剤としては、米国再発行特許第232897号に記載のものが使用できるが、ホウ酸、ホウ砂が実用的に好ましく用いられる。また、亜鉛、コバルト、ジルコニウム、鉄、ニッケル、マンガン等の金属塩を偏光膜に含有させることも、耐久性を高めることが知られており好ましい。これら架橋剤、金属塩は、上に述べた予備膨潤浴、二色性物質染色浴、延伸浴、硬化浴、色調整浴等のいずれの工程に含有させてもよく、工程の順序は特に限定されない。保護膜と偏光膜を接着する接着剤としては特に限定はなく、PVA系、変性PVA系、ウレタン系、アクリル系等、知られているものを任意に用いることができる。接着層の厚みは0.01〜20μmが好ましく、0.1〜10μmがさらに好ましい。
偏光膜は一般に保護膜を有する。本発明の光学補償シートが、透明支持体C1として、セルロースアシレートフィルム等の偏光膜を保護する機能に優れたポリマーフィルムを有する場合は、透明支持体C1を偏光膜の保護膜として利用してもよい。偏光膜の保護膜としては、低複屈折性、透明性、適度な透湿性、寸度安定性等の物性が求められ、光学的等方性が高いセルロースエステルフィルムを用いることが好ましい。
本発明の偏光板の好ましい製造方法は、偏光膜と本発明の光学補償シートとをそれぞれ長尺の状態で連続的に積層される工程を含む。該長尺の偏光板は用いられる液晶表示装置の画面の大きさに合わせて裁断される。
上記した通り、本発明の光学補償シートを、偏光膜の保護膜として機能させる場合は、前記光学補償シートの表面に貼り合わされる偏光膜の表面には、別途保護膜を貼り合わせる必要はない。本発明の偏光板において、偏光膜と本発明の光学補償シートとの間には、等方的な接着剤層、及び/又は実質的に等方的な透明保護フィルムのみが含まれているのが好ましい。実質的に等方的な透明保護フィルム(偏光膜の保護膜)は、具体的には、面内のレターデーションが0〜10nm、厚さ方向のレターデーションが−20〜20nmのフィルムをいう。セルロースアシレート又は環状ポリオレフィンを含むフィルムが好ましい。透明保護フィルムに使用可能なセルロースアシレート又は環状ポリオレフィンとしては、前記透明支持体C1として利用可能なポリマーフィルムの例と同様である。また、等方的な接着剤層を形成し得る接着剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリエステル系ウレタン及びイソシアネート系架橋剤からなる接着剤等が挙げられる。
本発明の偏光板の態様は、前記光学異方性層C2、前記透明支持体C1、及び前記偏光膜が、この順で積層された偏光板である。本発明の偏光板をVAモードの液晶表示装置に用いる場合は、対になる偏光板の一態様は、後述する光学異方性層A及び偏光膜を有する偏光板である。
[液晶表示装置]
本発明の負のCプレートである光学補償シートは、VAモードの液晶表示装置の光学補償に用いることが好ましい。VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)及び(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
[光学異方性層A]
VAモードの液晶表示装置の光学補償には、本発明の光学補償シートとともに、下記式(9)〜(11)を満足する光学異方性層Aをさらに用いると、視野角特性がさらに改善されるので好ましい。
(9) 70≦Re550(A)≦180
(10)30≦Rth550(A)≦140
(11)0.80≦|Re450(A)/Re550(A)|≦1.00
光学異方性層AのRe550(A)は、90〜160nmであることがより好ましく、110〜140nmであることがさらに好ましい。さらに、光学異方性層AのRth550(A)は、50〜120nmであることがより好ましく、60nm〜100nmであることがさらに好ましい。また、|Re450(A)/Re550(A)|は、0.85〜0.95であることがより好ましい。
光学異方性層Aは前記光学特性を満足する限り、その材料については特に制限はないが、上記光学特性を満足するものが容易に作製可能であることから、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ノルボルネン系ポリマー、セルロースアシレート等のフィルム(必要であれば延伸処理を施した延伸フィルム)が好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作などは、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
[実施例1]
(透明支持体C1の調製)
(セルロースアセテート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Aを調製した。
セルロースアセテート溶液Aの組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.94のセルロースアセテート 100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(マット剤溶液の調製)
平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)を20質量部、及びメタノールを80質量部混合して、30分間よく攪拌して、シリカ粒子分散液を調製した。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分間以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
マット剤溶液組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアセテート溶液A 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
(添加剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
添加剤溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――
下記の光学的異方性低下剤 49.3質量部
下記の波長分散調整剤 4.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアセテート溶液A 12.8質量部
――――――――――――――――――――――――――――――
光学的異方性低下剤
Figure 2008077043
波長分散調整剤
Figure 2008077043
(セルロースアセテートフィルムの作製)
上記セルロースアセテート溶液Aを94.6質量部、マット剤溶液を1.3質量部、添加剤溶液4.1質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。上記組成で光学的異方性を低下する化合物及び波長分散調整剤のセルロースアセテートに対する質量比はそれぞれ12%、1.2%であった。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、140℃で40分間乾燥させ、厚さ80μmの長尺状のセルロースアセテートフィルムT0を製造した。得られたフィルムの面内レターデーション(Re)は1nm(遅相軸はフィルム長手方向と垂直な方向)、厚み方向のレターデーション(Rth)は−1nmであった。これを透明支持体C1として用いた。
上記で作製した透明支持体C1上に、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、下記に示す組成のアルカリ溶液(S−1)を、ロッドコーターを用いて塗布量17.3mL/m2、塗布速度60m/分で塗布し、110℃に加熱(鹸化温度)した(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に、8秒間(鹸化時間)滞留させた。続いて、同じくロッドコーターを用いて、純水を2.8mL/m2塗布した。この時のフィルム温度は40℃であった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを4回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンに5秒間滞留させて乾燥して、鹸化処理を施した。
{アルカリ溶液(S−1)組成}
水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.8質量部
イソプロパノール 63.7質量部
界面活性剤 1.0質量部
SF−1:C1633O(CH2CH2O)10
プロピレングリコール 14.8質量部
鹸化処理を施した透明支持体C1の鹸化処理面に、下記組成の配向膜塗布液を塗布し、乾燥して、配向膜を形成した。
(配向膜塗布液組成)
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
Figure 2008077043
(光学異方性層C2用塗布液の調製)
下記の組成物を、102Kgのメチルエチルケトンに溶解して塗布液を調製した。
下記のディスコティック液晶性化合物(1) 41.01質量部
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 4.06質量部
下記ポリマー A−1 0.13質量部
下記光重合開始剤(1) 0.90質量部
ディスコティック液晶性化合物(1)
Figure 2008077043
ポリマー A−1
Figure 2008077043
光重合開始剤(1)
Figure 2008077043
上記光学異方性層C2の組成物を、102質量部のメチルエチルケトンに溶解し塗布液とし、これを上記配向膜の表面に、#4.2のワイヤーバーで連続的に塗布し、130℃の状態で1分間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。次に、100℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、UV照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。得られた光学異方性層の波長550nmで測定したReは0.5nm、Rthは180nmであり、光学異方性層C2に要求される光学特性を満足していた。
(光学補償シートの密着性評価)
光学補償シートの密着性は、JIS K 5400の8.5.2基盤目テープ法に順じて試験片を作製し評価した。但し、評価には日東電工製ポリエステル粘着テープNO31RHを使用した。結果を表に示す。
<光学補償シートの偏光板作製>
ヨウ素水溶液中で連続して染色した厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムを搬送方向に5倍延伸し、乾燥して長尺の偏光膜を得た。この偏光膜の一方の面に、鹸化処理した上記光学補償シート(K−1)を、他方の面に鹸化処理した市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UL、富士フイルム(株)製)を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて連続して貼り合わせ、偏光板(P−1)を作製した。
(光学異方性層Aの作製)
帝人化成(株)のポリカーボネートフィルム『ピュアエースWR』をTg付近で熱緩和することでReが120nm、Rthが78nmである光学異方性層Aを得た。
<光学異方性層A付きの偏光板作製>
ヨウ素水溶液中で連続して染色した厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムを搬送方向に5倍延伸し、乾燥して長尺の偏光膜を得た。この偏光膜の一方の面にポリビニルアルコール系接着剤を用いて上記光学異方性層Aを偏光膜の透過軸と光学異方性層Aの遅相軸とが平行になるように貼り合せ、他方の面に鹸化処理した市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UL、富士フイルム(株)製)を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて連続して貼り合わせ、偏光板(P−A1)を作製した。
<VAパネルへの実装>
垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置[シャープ製(LC−37GE2)]に設けられている一対の偏光板及び一対の光学補償シートを剥がし、液晶セルを取り出した。
上記の垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置に設けられていた、一対の偏光板及び一対の光学補償シートの代わりに、上記に作製した偏光板P−1を光学異方性層C2が液晶セル側となるように粘着剤を介してバックライト側の液晶セルに貼り付けた。さらに上記作製した偏光板P−A1を光学異方性層Aが液晶セル側となるように粘着剤を介して偏光板P−1と反対側の液晶セルに貼り付けた。このとき偏光板P−1と偏光板P−A1の透過軸がクロスするように液晶セルに貼り合わせた。液晶セルに55Hzの矩形波電圧を印加した。白表示5V、黒表示0Vのノーマリーブラックモードとした。黒表示の方位角0°、極角60°方向視野角における黒表示透過率(%)及び、方位角0度極角60度と方位角180度極角60度との色ずれΔxを求めた。結果を表に示す。
色味変化(Δx)
◎ : 0.02未満
○ : 0.02〜0.04
△ : 0.04〜0.06
× : 0.06以上
[実施例2]
光学異方性層C2を#3.6のワイヤーバーで作製し、Reを0.4nm、Rthを160nmにした以外は、実施例1と同様にして光学補償シート、偏光板を作製した。偏光板P−1の代わりに、この偏光板を用いた以外は、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製し、同様に色味視野角測定を行った。結果を表に示すが、視野角に依存した色味変化は、実施例1と同様に少なく、良好であった。
[実施例3]
光学異方性層C2を#4.8のワイヤーバーで作製し、Reを0.4nm、Rthを200nmにした以外は、実施例1と同様にして光学補償シート、偏光板を作製した。偏光板P−1の代わりに、この偏光板を用いた以外は、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製し、同様に色味視野角測定を行った。結果を表に示すが、視野角に依存した色味変化は、実施例1と同様に少なく、良好であった。
[実施例4〜6]
透明支持体C1を作製する際に使用した波長分散調整剤の添加量を変えて、Re、Rth、Rth400(C1)−Rth700(C1)の値を変化させたセルロースアシレートフィルムを透明支持体C1として用いた以外は、実施例1〜3のそれぞれと同様にして、光学補償シート、偏光板をそれぞれ作製した。偏光板P−1の代わりに、得られた偏光板のそれぞれを用いた以外は、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製し、同様に色味視野角測定を行った。結果を表に示すが、視野角に依存した色味変化は、実施例1と同様に少なく、良好であった。
[実施例7〜9]
透明支持体C1として、下記の方法により作製した環状ポリオレフィン(COC)フィルムを作製した。
(透明支持体C1の作製)
下記組成物を耐圧密閉タンクに投入し攪拌後、温水で80℃に加熱して各成分を溶解した。冷却後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
環状ポリオレフィン溶液 D−2
―――――――――――――――――――――――――――――――――
トパス 5013(販売元ポリプラスチック(株)) 150質量部
シクロヘキサン 350質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
次に上記方法で作製した環状ポリオレフィン溶液D−2を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤分散液 M−2
――――――――――――――――――――――――――――――――――
1次平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)製) 2質量部
シクロヘキサン 75質量部
環状ポリオレフィン溶液 D−2 10質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記環状ポリオレフィン溶液D−2を100質量部、マット剤分散液M−2を1.1質量部混合し、製膜用ドープを調製した。上述のドープをバンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が約25質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムを、テンターを用いて2%の延伸率で幅方向に延伸して、フィルムに皺が入らないように保持しながら、熱風を当てて乾燥した。その後テンター搬送からロール搬送に移行し、更に100℃〜120℃で乾燥し、巻き取った。作製したCOCフィルムは、表に示す通り、透明支持体C1としての光学特性を満足していた。
上記方法で作製したCOCフィルムをコロナ処理した。このコロナ処理を施したCOCフィルムを透明支持体C1として、鹸化処理を施したセルロースアセテートフィルムの代わりに用いた以外は、実施例1〜3と同様にして、光学補償シート、及び偏光板をそれぞれ作製した。偏光板P−1の代わりに、得られた偏光板のそれぞれを用いた以外は、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製し、同様に色味視野角測定を行った。結果を表に示すが、視野角に依存した色味変化は、実施例1と同様に少なく、良好であった。
[実施例10〜12]
透明支持体C1として、下記の方法により作製した環状ポリオレフィン(COP)フィルムを作製した。
(透明支持体C1の作製)
製膜用ドープの組成を下記とした以外は実施例7〜9と同様にして、環状オレフィン系樹脂COPフィルムを得た。
Arton G (JSR(株)製) 100質量部
ジクロロメタン 390質量部
化合物A−7 (東京化成工業(株)製) 10.0質量部
上記方法で作製したCOPフィルムをコロナ処理した。このコロナ処理を施したCOPフィルムを透明支持体C1として、鹸化処理を施したセルロースアセテートフィルムの代わりに用いた以外は、実施例1〜3と同様にして、光学補償シート、及び偏光板をそれぞれ作製した。偏光板P−1の代わりに、得られた偏光板のそれぞれを用いた以外は、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製し、同様に色味視野角測定を行った。結果を表に示すが、視野角に依存した色味変化は、実施例1と同様に少なく、良好であった。
[実施例13〜15]
透明支持体C1として、下記の方法により作製した2軸延伸ラクトン環含有重合体系樹脂(LCA)フィルムを用いた。
(ラクトン環含有重合体系樹脂の製造)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた30L反応釜に、8000gのメタクリル酸メチル(MMA)、2000gの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、10000gのトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤として10.0gターシャリーアルミパーオキシイソノナノエート(アトフィナ吉富製、商品名:ルパゾール570)を添加すると同時に、20.0gの開始剤と100gのトルエンからなる溶液を4時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜110℃)で溶液重合を行い、更に4時間かけて熟成を行なった。
得られた重合体溶液に、10gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学製、商品名:Phoslex A−18)を加え、還流下(約90〜110℃)で5時間、環化縮合反応を行なった。次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液を、パレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押し出し機(Φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、該押し出し機内で環化縮合反応と脱揮を行い、押し出すことにより、透明なラクトン環含有重合体系樹脂ペレット(1A)を得た。
ラクトン環含有重合体系樹脂ペレット(1A)のラクトン環率は97.0%、質量平均分子量147700、メルトフローレートは11.0g/10分、Tg(ガラス転移温度)は130℃であった。
(基材フィルムの作製)
ラクトン環含有重合体系樹脂ペレット(1A)100部に対し、TINUVIN1577(チバスペシャルティーケミカルズ社製)を1部、アデカスタブLA−31(旭電化工業社製)を1部、アクリロニトリル−スチレン共重合体を10部、発泡抑制剤として酢酸亜鉛を0.12部、混合し、単軸押出機にてダイス温度250℃でTダイから押出し、120μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを縦方向に145℃で1.5倍延伸したのち、横方向に145℃で1.8倍延伸し、60μm厚の2軸延伸フィルムを得た。
上記方法で作製したLCAフィルムをコロナ処理した。このコロナ処理を施したLCAフィルムを透明支持体C1として、鹸化処理を施したセルロースアセテートフィルムの代わりに用いた以外は、実施例1〜3と同様にして、光学補償シート、及び偏光板をそれぞれ作製した。偏光板P−1の代わりに、得られた偏光板のそれぞれを用いた以外は、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製し、同様に色味視野角測定を行った。結果を表に示すが、視野角に依存した色味変化は、実施例1と同様に少なく、良好であった。
[実施例16〜18]
光学異方性層C2の形成時に、配向膜の表面をラビング処理したこと、及び下記組成の塗布液を用いて光学異方性層C2を形成したこと、及び光学異方性層C2のRe、Rthが表に示す値になるように膜厚を調整したこと以外は、実施例1と同様にして光学補償シート、及び偏光板をそれぞれ作製した。偏光板P−1の代わりに、得られた偏光板のそれぞれを用いた以外は、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製し、同様に色味視野角測定を行った。結果を表に示すが、視野角に依存した色味変化は、実施例1と比較してやや増加したが、充分に良好な範囲であった。
(棒状液晶化合物を含む塗布液の組成)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の棒状液晶性化合物 91質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
上記ポリマー A−1 0.4質量部
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 9質量部
重合性カイラル剤(BASF社製LC756) 3質量部
メチルエチルケトン 172質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
棒状液晶化合物
Figure 2008077043
[実施例19〜21]
上記方法で作製したLCAフィルムをコロナ処理した。このコロナ処理を施したLCAフィルムを透明支持体C1として、鹸化処理を施したセルロースアセテートフィルムの代わりに用いた以外は、実施例16〜18と同様にして、光学補償シート、及び偏光板をそれぞれ作製した。偏光板P−1の代わりに、得られた偏光板のそれぞれを用いた以外は、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製し、同様に色味視野角測定を行った。結果を表に示すが、視野角に依存した色味変化は、実施例1と比較してやや増加したが、充分に良好な範囲であった。
[実施例22〜24]
光学異方性層C2の形成に用いたディスコティック液晶化合物(1)を下記ディスコティック液晶化合物(2)に代え、光学異方性層C2のRe及びRthが表に示す値になるように膜厚をそれぞれ調整した以外は、実施例1と同様にして光学補償シート、及び偏光板をそれぞれ作製した。偏光板P−1の代わりに、得られた偏光板のそれぞれを用いた以外は、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製し、同様に色味視野角測定を行った。結果を表に示すが、視野角に依存した色味変化は、実施例1と同様に少なく、良好であった。
ディスコティック液晶性化合物(2)
Figure 2008077043
[実施例25〜27]
光学異方性層C2の形成に用いた水平配向剤であるポリマーA−1を下記ポリマーA−2に代え、且つ、光学異方性層C2のRe、Rthが表に示す値になるように膜厚をそれぞれ調整した以外は、実施例1と同様にして、光学補償シート、及び偏光板をそれぞれ作製した。偏光板P−1の代わりに、得られた偏光板のそれぞれを用いた以外は、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製し、同様に色味視野角測定を行った。結果を表に示すが、視野角に依存した色味変化は、実施例1と同様に少なく、良好であった。
ポリマーA−2
Figure 2008077043
[実施例28]
透明支持体C1として、下記記載の方法により作製したポリマーフィルムを用いた。
(ポリマー1の作製)
下記組成物を四つ口フラスコ(投入口、温度計、環流冷却管、窒素導入口、攪拌機を装着)に投入し、徐々に80℃まで昇温し、攪拌しながら5時間重合を行い、重合終了後ポリマー溶液を多量のメタノールに投入して沈殿させ、更にメタノールで洗浄し、精製して乾燥し重量平均分子量3,000(GPCにて測定)のポリマー1を得た。
メチルアクリレート 10質量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 1質量部
アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 1質量部
トルエン 30質量部
(透明支持体C1の作製)
下記ドープ組成物を加圧密閉容器に投入し、70℃まで加熱しして容器内圧力を1気圧以上とし、撹拌しながらセルロースエステルを完全に溶解させた。ドープ温度を35℃まで下げて一晩静置し、このドープを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した後、更に一晩静置し脱泡した。次いで日本精線(株)製のファインメットNM(絶対濾過精度100μm)、ファインポアNF(絶対濾過精度50μm、15μm、5μmの順に順次濾過精度を上げて使用)を使用して濾過圧力1.0×106Paで濾過し製膜に供した。膜厚は40μmであった。
〈ドープ組成物〉
セルローストリアセテート(置換度2.83) 100質量部
上記合成のポリマー1 15質量部
下記UV剤(1) 0.8質量部
下記UV剤(2) 0.2質量部
メチレンクロライド 475質量部
エタノール 50質量部
UV剤(1)
Figure 2008077043
UV剤(2)
Figure 2008077043
得られたポリマーフィルムの光学特性は、表に示す通り、透明支持体C1としての要件を満足していた。透明支持体C1としてこのポリマーフィルムを用いた以外は、実施例16と同様にして光学異方性層C2を形成して光学補償シート、及び偏光板を作製した。さらにこの偏光板を用いて、同様にして液晶表示装置を作製し、同様に色味視野角測定を行った。結果を表に示すが、視野角に依存した色味変化は、実施例1と比較してある程度増加したが、充分に良好であった。
[実施例29]
透明支持体C1として、下記記載の方法により作製したセルロースアシレートフィルムを用いた。
(透明支持体C1の作製)
下記ドープ組成物を加圧密閉容器に投入し、70℃まで加熱しして容器内圧力を1気圧以上とし、撹拌しながらセルロースエステルを完全に溶解させた。ドープ温度を35℃まで下げて一晩静置し、このドープを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した後、更に一晩静置し脱泡した。次いで日本精線(株)製のファインメットNM(絶対濾過精度100μm)、ファインポアNF(絶対濾過精度50μm、15μm、5μmの順に順次濾過精度を上げて使用)を使用して濾過圧力1.0×106Paで濾過し製膜に供した。膜厚は40μmであった。
〈ドープ組成物〉
セルローストリアセテート(置換度2.83) 100質量部
トリフェニルホスフェート 15質量部
上記UV剤(1) 0.8質量部
上記UV剤(2) 0.2質量部
メチレンクロライド 475質量部
エタノール 50質量部
得られたセルロースアシレートフィルムの光学特性は、表に示す通り、透明支持体C1としての要件を満足していた。透明支持体C1としてこのセルロースアシレートフィルムを用いた以外は、実施例16と同様にして光学異方性層C2を形成して光学補償シート、及び偏光板を作製した。さらにこの偏光板を用いて、同様にして液晶表示装置を作製し、同様に色味視野角測定を行った。結果を表に示すが、視野角に依存した色味変化は、実施例1と比較してある程度増加したが、充分に良好であった。
[実施例30]
実施例28中のポリマーフィルムの作製において、膜厚を80μmとし、Re及びRthを、表に示す値になるように調整した透明支持体C1を使用した以外は、実施例28と同様にして、光学補償シート及び偏光板を作製した。この偏光板を用いて同様に液晶表示装置を作製し、同様に色味視野角測定を行った。結果を表に示すが、視野角に依存した色味変化は、実施例1と比較してある程度増加したが、充分に良好であった。
[実施例31]
透明支持体C1として実施例30で作製したポリマーフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、光学異方性層C2を形成して、光学補償シート、及び偏光板を作製した。この偏光板を用いて、同様にして液晶表示装置を作製し、同様に色味視野角測定を行った。結果を表に示すが、視野角に依存した色味変化は、実施例1と同様に少なく、良好であった。
[実施例32〜34]
光学異方性層C2として、下記の方法で作製し、且つRe、Rth、Rth450/Rth550が表に示す値になるように膜厚をそれぞれ調整して形成したポリイミド層を用いた。
(ポリイミド層作製)
2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルから合成された重量平均分子量(Mw)120,000のポリイミドを、シクロヘキサノンに溶解して15重量%のポリイミド溶液を調製した。そして、実施例1に記載の透明支持体C1に前記ポリイミド溶液を塗工した。この塗工膜を100℃で10分乾燥処理した結果、膜厚5μm〜6μmの光学補償シートであり、表に示す光学特性の光学補償シートをそれぞれ得た。これらの光学補償シートのそれぞれを用いて、実施例1と同様にして偏光板を作製した。さらに同様にして液晶表示装置を作製し、色味視野角測定を行った。結果を表に示すが、視野角に依存した色味変化は、実施例1と同様に少なく、良好であった。
[実施例35〜37]
透明支持体C1として実施例13で作製したポリマーフィルムを用いた以外は、実施例32〜34と同様にして、光学異方性層C2を形成して、光学補償シート、及び偏光板を作製した。この偏光板を用いて、同様にして液晶表示装置を作製し、同様に色味視野角測定を行った。結果を表に示すが、視野角に依存した色味変化は、実施例1と同様に少なく、良好であった。
[比較例1]
実施例1において、光学異方性層C2の形成に用いた組成物から、ポリマーA−1を除いた組成物を用いて、実施例1と同様にして光学異方性層を形成したが、ディスコティック液晶化合物が未配向であり、所望の光学特性の光学異方性層C2を形成できなかった。
[比較例2]
実施例1の透明支持体C1の代わりに、Re、Rth、Rth400−Rth700が表に示す値になるポリマーフィルムを透明支持体として用いた。それ以外は実施例1と同様に液晶表示装置を作製した。同様に色味視野角測定を行った結果、色味変化が悪化することが分かった。
[比較例3]
実施例1の透明支持体C1代わりに、Reが表に示す値であるポリマーフィルムを用い、且つ光学異方性層C2のRthが表に示す値となる様に、膜厚を調整した以外は、実施例1と同様に液晶表示装置を作製した。同様に色味視野角測定を行った結果、色味変化が悪化することが分かった。
[比較例4]
実施例1の透明支持体C1の代わりに、Rth400−Rth700が表に示す値であるポリマーフィルムを用いた以外は、実施例1と同様に液晶表示装置を作製した。同様に色味視野角測定を行った結果、色味変化がやや悪化することが分かった。
なお、実施例1の光学異方性層C2の形成に用いた組成物中から多官能モノマー(エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製))を除いて光学異方性層を形成した以外は、実施例1と同様に光学補償シートを作製した。この光学補償シートの透明支持体C1と光学異方性層C2との密着評価は6点にであることがわかった。
Figure 2008077043

Claims (15)

  1. 透明支持体C1及び光学異方性層C2を有し、且つ下記式(1)〜(4)を満足する、Cプレートである光学補償シート:
    (1) 0≦Re630(C1)≦10
    (2) 0≦Re550(C2)≦10
    (3) 100≦Rth550(C2)−Rth550(C1)
    (4) |Rth450(C2)/Rth550(C2)−Rth450(C)/Rth550(C)|≦0.1
    [式中、Reλ(C1)は透明支持体C1の波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλ(C1)は透明支持体C1の波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)であり、Reλ(C2)は光学異方性層C2の波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλ(C2)は波長λnmにおける光学異方性層C2の膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)であり、Rthλ(C)は波長λnmにおける光学補償シート(C1とC2との積層体)の膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である]。
  2. 前記透明支持体C1及び前記光学異方性層C2が下記式(5)〜(8)を満たす請求項1に記載の光学補償シート:
    (5) −25≦Rth630(C1)≦25
    (6) 100≦Rth550(C2)≦300
    (7) −35≦Rth400(C1)−Rth700(C1)≦50
    (8) 1.04≦Rth450(C2)/Rth550(C2)≦1.30 。
  3. 前記透明支持体C1及び/又は前記光学異方性層C2が負のCプレートである請求項1又は2に記載の光学補償シート。
  4. 前記透明支持体C1が、セルロースアシレート類のフィルム、ノルボルネン系ポリマー類のフィルム、シクロオレフィンポリマー類のフィルム、ラクトン環含有重合体系樹脂フィルム又はポリカーボネート類のフィルムからなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学補償シート。
  5. 前記光学異方性層C2が、重合性液晶化合物の少なくとも一種を含有する重合性液晶組成物を液晶相の状態で固定して形成された層である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学補償シート。
  6. 前記光学異方性層C2が、棒状液晶化合物を含有する重合性液晶組成物をコレステリック相の状態で固定して形成された層である請求項5に記載の光学補償シート。
  7. 前記光学異方性層C2が、ディスコティック液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を、該ディスコティック液晶化合物の分子をホメオトロピック配向させ、ネマチック液晶相の状態で固定して形成された層である請求項5に記載の光学補償シート。
  8. 前記光学異方性層C2が、さらに下記一般式を含むフッ素系ポリマーを有する化合物を含有する請求項5〜7のいずれか1項に記載の光学補償シート:
    一般式(1)
    Figure 2008077043
    一般式(1)において、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。Qはフェニル基を少なくとも1つ含有したカルボキシル基(−COOH)又はその塩、スルホ基(−SO3H)又はその塩、ホスホノキシ基{−OP(=O)(OH)2}又はその塩、親水性基(−OH)、あるいはアクリルアミド(−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す))を有する。Lは下記の連結基群から選ばれる任意の基、又はそれらの2つ以上を組み合わせて形成される2価の連結基を表す;
    (連結基群)
    単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−P(=O)(OR5)−(R5はアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す)、アルキレン基及びアリーレン基。
  9. 前記光学異方性層C2が、2つ以上の官能基を有する多官能モノマーさらに含有する前記重合性液晶組成物から形成された層である請求項5〜8のいずれか1項に記載の光学補償シート。
  10. 前記光学異方性層C2が、ポリマーフィルム層である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学補償シート。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学補償シートと、偏光膜とを有する偏光板。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学補償シート及び/又は請求項11に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
  13. 互いの吸収軸を直交にして配置された2枚の偏光膜、及び前記2枚の偏光膜の間に、一対の基板と、該一対の基板に挟持された液晶分子が基板に対して、外部電界が印加されていない非駆動状態において実質的に垂直に配向する液晶層とを有する液晶セルを有する液晶表示装置であって、
    前記2枚の偏光膜のいずれか一方と前記液晶セルとの間に、請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学補償シートを有する液晶表示装置。
  14. さらに下記式(9)〜(11)を満たす光学異方性層Aを有する請求項12又は請求項13に記載の液晶表示装置:
    (9) 70≦Re550(A)≦180
    (10)30≦Rth550(A)≦140
    (11)0.80≦|Re450(A)/Re550(A)|≦1.00
    [式中、Reλ(A)は光学異方性層Aの波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rthλ(A)は光学異方性層Aの波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である]。
  15. 前記光学異方性層Aが、前記2枚の偏光膜のいずれか一方と前記液晶セルとの間に配置され、該光学異方性層Aの面内遅相軸と該偏光膜の吸収軸とが直交している請求項14に記載の液晶表示装置。
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