JP3915614B2 - 変形部分を有する繊維構造体及び複合材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、変形部分を有する繊維構造体及び複合材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
繊維強化複合材は軽量の構造材料として広く使用されている。繊維強化複合材には、強化材として連続繊維でない単に短繊維あるいは長繊維を使用するものと、織物あるいは不織布を強化材として使用するものと、三次元織物(三次元繊維構造体)を強化材として使用するものとがある。
【0003】
単に短繊維や長繊維を強化材として用いた場合は、マトリックス樹脂中に強化材が存在する板状の素材を、加熱プレスすることで三次元の繊維強化複合材を得ることができる。しかし、短繊維や長繊維を強化材として用いた繊維強化複合材は強度的に不十分であるとともに、繊維に樹脂が含浸された板状の素材を成形する際に、繊維の取り扱いが不便である。
【0004】
チョップドファイバーを用いた不織布や牽切糸を用いた織物等、二次元の繊維構造体を強化材とした場合は、単に短繊維や長繊維を強化材とした繊維強化複合材に比較して強度が高く、素材のハンドリングも良くなる。しかし、牽切糸を用いる場合、力学的特性が低下するとともに切断工程がコストアップの要因となる。また、これらの繊維強化複合材は、最終製品の厚さが厚い場合は、不織布や織物を複数枚積層して強化材として使用するため、厚さ方向の強度が弱く、曲げ強度も弱い。
【0005】
特開平8−337666号公報には、補強繊維をたて糸及びよこ糸とする2方向性織物を含む深絞り成形されたプリフォームが開示されている。このプリフォームは、前記たて糸及びよこ糸の少なくとも一方に、熱可塑性ポリマーを、線状に、かつ連続又は不連続に付着せしめ、かつ、その補強織物の2方向に延びる織糸の最小交角が20〜40度であることを特徴とする。しかし、強化材として織物を使用する場合は、目を粗くしても拘束が存在するため、変形に限度があるとともに、配列方向が異なる糸(繊維)同士が干渉するため、繊維が真っ直ぐに配列されず、繊維強化複合材を高強度にするのが難しい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
連続繊維を用いた三次元繊維構造体を強化材とした繊維強化複合材は、二次元繊維構造体を強化材とした繊維強化複合材に比較して強度が優れているが、三次元繊維構造体は二次元繊維構造体に比べてさらに変形し難い。そのため、連続繊維を用いた三次元繊維構造体を強化材とした繊維強化複合材は、三次元繊維構造体に樹脂を含浸させる際あるいはその後に変形させる必要がないように、予め製品形状に合わせた形状で製作する必要があった。ところが、この場合製品形状に合わせて繊維構造体の製造装置や治具などが必要になるため、製造コストが高くなる。
【0007】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は、連続繊維を用いた強度の高い繊維強化複合材を低コストで製造することを可能にする繊維構造体を提供することにある。また、第2の目的は連続繊維を用いた強度の高い立体的な形状の繊維強化複合材をプレス加工により低コストで製造することを可能にする複合材(プリプレグ)を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、連続繊維から成る繊維束が少なくとも2軸に配列された積層繊維群と、前記積層繊維群を結合するため厚さ方向に配列された厚さ方向糸とを備えて板状に構成された変形部分を有する繊維構造体であって、前記厚さ方向糸は前記繊維構造体から立体的な形状の繊維強化複合材を形成する際に変形が不要な部分及び変形が必要な部分に配列され、前記変形が不要な部分に配列された前記厚さ方向糸は非熱可塑性繊維で形成され、前記変形が必要な部分に配列された前記厚さ方向糸は熱可塑性繊維で形成されている。
【0009】
ここで、「糸」とは、撚りが掛かった糸のみを意味するのではなく、多数本の繊維が束となって撚りが実質掛かっていない繊維束(所謂ロービング)をも含む。また、「立体的な形状」とは、平面状ではなく平面が屈曲された形状を意味する。
【0010】
この発明では、厚さ方向糸が繊維構造体の全面に配列されているため繊維構造体の形状保持機能が高くなり、ハンドリングがより容易になる。また、立体的な形状の繊維強化複合材を形成する際に変形が必要な部分に配列されている厚さ方向糸は熱可塑性繊維であるため、加熱成形時に当該厚さ方向糸は軟化あるいは溶融する。その結果、当該厚さ方向糸による結合機能が低下あるいは無くなり、繊維構造体が容易に所定の形状に変形する。
この発明の繊維構造体を型に入れてプレス成形すると、熱可塑性繊維で形成される厚さ方向糸が挿入されている部分が変形され、目的の形状に成形される。従って、連続繊維を用いた強度の高い繊維強化複合材を低コストで製造することが可能になる。繊維強化複合材のマトリックスとなる樹脂は、繊維構造体を型に入れて成形した後に含浸させても、繊維構造体をプレス成形する前に樹脂を含浸させてもよい。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記変形が不要な部分に配列されている厚さ方向糸は、少なくとも前記繊維構造体の長さ方向及び幅方向のうち少なくともいずれか一方の両側に配列されている。この発明では、繊維構造体の長さ方向及び幅方向のうち少なくともいずれか一方の両側に厚さ方向糸が配列されて積層繊維群が結合されているため、繊維構造体のハンドリングが良好になる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記変形が必要な部分に配列されている厚さ方向糸の配列密度は、前記変形が不要な部分に配列されている厚さ方向糸の配列密度よりも粗い配列密度で配列されている。
【0015】
また、前記第2の目的を達成するため、請求項4に記載の発明の複合材は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の変形部分を有する繊維構造体に熱可塑性樹脂が含浸されている。従って、この発明の複合材を使用すれば、平板状の複合材を加熱状態でプレス加工することにより、連続繊維を用いた強度の高い繊維強化複合材を低コストで製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図3に従って説明する。
図1(a)に示すように、繊維構造体1は、連続繊維から成る繊維束が2軸に配列された積層繊維群2と、積層繊維群2を結合するため積層繊維群2の厚さ方向に配列された厚さ方向糸3とを備えて板状に構成されている。図1(b)に示すように、連続繊維から成る繊維束としてのx糸4aが、繊維構造体1の厚さ方向(図1(b)の上下方向)と直交する面内に一方向(図1(b)において紙面に垂直な方向)に配列されてx糸層4を形成している。連続繊維から成る繊維束としてのy糸5aは、x糸4aと直交する状態で繊維構造体1の厚さ方向と直交する面内に一方向に配列されてy糸層5を形成している。x糸層4とy糸層5は交互に複数層積層されて2軸配向の積層繊維群2を形成している。2軸はお互いに直交している。
【0017】
厚さ方向糸3は積層繊維群2の全面ではなく、繊維構造体1を強化材として立体的な形状の繊維強化複合材6(図3に図示)を形成する際に変形が不要な部分に配列されている。この実施の形態では厚さ方向糸3は繊維構造体1の両側に配列されている。厚さ方向糸3は積層繊維群2の一方の面(図1(b)では下面)でU字に折り返されており、他方の面(図1(b)では上面)では厚さ方向糸3の配列ピッチだけ離れた挿入位置で再び積層繊維群2に挿入された状態で連続している。抜け止め糸7は厚さ方向糸3がU字に折り返されている部分に挿通されている。厚さ方向糸3と抜け止め糸7が締め付けられることにより、x糸層4とy糸層5が結合されている。
【0018】
厚さ方向糸3、x糸4a、y糸5a及び抜け止め糸7として連続繊維が使用されている。この実施の形態では連続繊維として炭素繊維が使用されている。炭素繊維はフィラメント数が3000〜24000本程度である。厚さ方向糸3の配列ピッチは3〜5mm程度である。繊維構造体1の厚さは5mm程度である。
【0019】
次に繊維構造体1の製造方法を説明する。
図2(a)、(b)に示すように、多数のピン8aが所定ピッチで着脱可能に立設された矩形状の枠体8を使用して先ず積層繊維群2を形成する。ピン8aのピッチはx糸4a及びy糸5aのピッチに合わせてある。
【0020】
図2(a)に示すように、x糸4aはピン8aと係合する状態で折り返されて一方向に配向されたx糸層4が形成される。図2(b)に示すように、y糸5aも同様にしてピン8aと係合する状態で折り返されてx糸4aと直交する一方向に配向されてy糸層5が形成される。これを所定の回数繰り返して積層繊維群2が形成される。図2(a),(b)では、x糸4a及びy糸5aの配列間隔が広く図示されているが、実際は隣接して配列されたx糸4a同士あるいはy糸5a同士が接触する状態で配列される。従って、図1(b)に示すように、厚さ方向糸3が配列されていない部分では隣接するx糸4a同士及びy糸5a同士は相互に接している。
【0021】
次に積層繊維群2に、例えば特開平8−218249号公報に開示されている方法により厚さ方向糸3が挿入される。詳述すれば、積層繊維群2の厚さ方向に、先端に孔を備え前記孔に厚さ方向糸3を掛止した図示しない挿入針を挿入する。挿入針は厚さ方向糸3が掛止された挿入針の孔が積層繊維群2を貫通するまで前進し挿入される。その後、挿入針はわずかに後退される。その結果、厚さ方向糸3はU字状のループを形成した状態となる。
【0022】
次に図示しない抜け止め糸針が前記U字状のループ内を通過し、積層繊維群2の端部まで到達した時点で停止する。この時抜け止め糸7が抜け止め糸針の先端に掛止される。そして、抜け止め糸針が引き戻され、抜け止め糸7が厚さ方向糸3のU字状ループ内に挿通された状態になる。その状態で挿入針が引き戻され、厚さ方向糸3により抜け止め糸7が締め付けられて各糸層が結合される。この厚さ方向糸3挿入作業が積層繊維群2の所定の領域に対して、即ち繊維構造体1を強化材として立体的な形状の繊維強化複合材6を形成する際に変形が不要な部分となる領域に行われ、積層繊維群2の各糸層4,5が厚さ方向糸3で結合された繊維構造体1が製作される。
【0023】
この繊維構造体1は、三次元繊維構造体を強化材とした繊維強化複合材の製造に使用される。複合材のマトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を使用する場合は、繊維構造体1に溶融含浸成形法など一般の含浸法で熱可塑性樹脂が含浸され、冷却されて成形用の板状の素材としての複合材(プリプレグ)が形成される。次に前記素材が成形前に加熱され軟化された後、プレス成形機でプレス成形され、冷却されて、図3に示すように製品形状の繊維強化複合材6を得る。繊維構造体1に樹脂が含浸された板状の素材を型に入れてプレス成形すると、厚さ方向糸3が挿入されていない部分が容易に変形され、目的の形状に成形される。従って、連続繊維を用いた強度の高い繊維強化複合材を低コストで製造することが可能になる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどが使用される。
【0024】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) 繊維構造体1は、連続繊維から成る繊維束が2軸に配列された積層繊維群2と、積層繊維群2を結合するため厚さ方向に配列された厚さ方向糸3とを備えて板状に構成され、厚さ方向糸3は繊維構造体1から立体的な形状の繊維強化複合材6を形成する際に変形が不要な部分に配列されている。従って、繊維構造体1を型に入れてプレス成形すると、厚さ方向糸3が挿入されていない部分が容易に変形され、目的の形状に成形される。その結果、連続繊維を用いた強度の高い繊維強化複合材を低コストで製造することが可能になる。
【0025】
(2) 厚さ方向糸3は繊維構造体1の両側に配列され、積層繊維群2はその両側が厚さ方向糸3で結合されているため、繊維構造体1に樹脂が含浸されない状態においても繊維構造体1のハンドリング性が良好になる。
【0026】
(3) 繊維構造体1のハンドリング性が良いため、繊維構造体1の運搬等が簡単になり、繊維構造体1を製造する者と、繊維構造体1を強化材とする繊維強化複合材6を製造する者とが別であっても作業に支障を来すことがない。
【0027】
(4) 変形が必要な部分には厚さ方向糸3が挿入されていないためその領域は厚さ方向糸3が配列されている部分に比較して強度は低くなる。しかし、連続繊維が配列され、また、他の領域には厚さ方向糸3が配列されているため、製品形状で連続繊維の三次元繊維構造体を強化材とした繊維強化複合材としての強度が保たれる。
【0028】
(5) 繊維構造体1に予め熱可塑性樹脂を含浸させた素材(複合材)を使用して繊維強化複合材6が製造されるため、ハンドリング性や保管性が繊維構造体1の状態で行う場合に比較して向上する。また、繊維強化複合材6を製造する者は、前記素材を購入することで既存のプレス機を利用して繊維強化複合材6の製造を簡単に行うことができる。
【0029】
実施の形態は前記に限らず、例えば次のように構成してもよい。
○ マトリックスとなる熱可塑性樹脂を予め繊維構造体1に含浸させた素材をプレス成形して繊維強化複合材6を製造する方法に代えて、繊維構造体1を型に入れて成形した後に樹脂を含浸させる方法としてもよい。この方法では、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂だけでなく熱硬化性樹脂も使用できる。そして、マトリックス樹脂として熱硬化性樹脂を使用すれば、熱可塑性樹脂を使用した場合よりも高強度な繊維強化複合材6を製造できる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビニルエステル樹脂等が使用される。
【0030】
○ 図4に示すように、厚さ方向糸3を、繊維構造体1から立体的な形状の繊維強化複合材6を形成する際に変形が不要な部分だけでなく、変形が不要な部分に加えて、変形が必要な部分にも配列する。厚さ方向糸3の配列密度は、変形が不要な部分と同じでもよいが、図4に示すように、変形が不要な部分より粗い密度で配列してもよい。そして、変形が不要な部分に配列された厚さ方向糸3を非熱可塑性繊維で形成し、変形が必要な部分に配列された厚さ方向糸を熱可塑性繊維で形成してもよい。この場合、厚さ方向糸3が繊維構造体1の全面に配列されているため、繊維構造体1の形状保持機能が高くなり、ハンドリング性がより向上する。また、立体的な形状の繊維強化複合材6を形成する際に変形が必要な部分に配列されている厚さ方向糸3は熱可塑性繊維のため、加熱成形時に当該厚さ方向糸3は軟化あるいは溶融する。その結果、当該厚さ方向糸による結合機能が低下あるいは無くなり、繊維構造体1が容易に所定の形状に変形する。また、前記変形が不要な部分に配列されている厚さ方向糸3は非熱可塑性繊維のため、繊維構造体1の加熱成形の際に軟化や溶融せず、繊維強化複合材6の物性は前記変形が不要な部分にのみ非熱可塑性繊維の厚さ方向糸3を配列したものと同等になる。
【0031】
○ 厚さ方向糸3を前記変形が不要な部分に加えて、変形が必要な部分にも配列した繊維構造体1において、全ての厚さ方向糸3を熱可塑性繊維で形成されたものとする。この場合も、厚さ方向糸3が繊維構造体1の全面に配列されているため、前記の構成と同様にハンドリング性がより向上する。また、厚さ方向糸3が全て熱可塑性繊維で形成されているため、加熱成形時に繊維構造体1がより変形し易くなり、複雑な形状に対応可能となる。
【0032】
○ 厚さ方向糸3として熱可塑性繊維を使用する場合、熱可塑性繊維は繊維強化複合材6を製造する際のマトリックス樹脂と同じ熱可塑性樹脂で形成されているものを使用する。この場合、繊維強化複合材6のマトリックス樹脂中に異質の樹脂が存在しないため、熱可塑性繊維をマトリックス樹脂と別の熱可塑性樹脂で形成した場合に比較して繊維強化複合材6の物性が向上する。
【0033】
○ 厚さ方向糸3は、繊維構造体1の長さ方向及び幅方向のうち少なくともいずれか一方の両側に配列されていればよい。例えば、図5に示すように、厚さ方向糸3を変形が不要な両側部分の他に、変形が必要な部分の両端部に配列してもよい。このように厚さ方向糸3を配列すると、繊維構造体1の形状安定性が向上する。また、変形が必要な部分であっても、その両端部のみに配列された厚さ方向糸3は繊維構造体1の変形に殆ど支障を及ぼさない。
【0034】
○ 連続繊維は炭素繊維でなくてもよい。例えば、ガラス繊維、ポリアラミド繊維、セラミック繊維等でもよい。
○ x糸4a及びy糸5aとして同じ繊維を使用せず、異なる繊維を使用してもよい。例えば、繊維強化複合材6に要求される物性に対応して、一方の繊維を他方の繊維より強度の低いものとしてもよい。この場合、繊維強化複合材6を過剰品質とせずに製造コストを低減できる。
【0035】
○ 厚さ方向糸3は必ずしもx糸4aやy糸5aの配列ピッチと同じピッチで配列する必要はなく、繊維強化複合材6に要求される物性に対応して任意のピッチで配列してもよい。厚さ方向糸3の配列を密にした場合は積層繊維群2に対する結合力が強く、厚さ方向糸3の配列を疎にした場合は結合力が弱くなるため、結合力の調整ができる。
【0036】
○ 積層繊維群2は少なくとも2軸配向されていればよく、互いに直交するように配列されたx糸4aからなるx糸層4と、y糸5aからなるy糸層5の2種類の糸層で形成される必要はない。例えば、配列糸が互いに直交しない状態に配列された糸層で積層繊維群2を形成してもよい。
【0037】
○ 積層繊維群2を3軸以上の配向としてもよい。例えば、製品に必要とされる強度に応じてバイアス糸層を入れてもよい。
○ 繊維構造体1は平板でなくてもよい。曲率が小さな曲面状に形成されたものでもよい。
【0038】
○ 抜け止め糸7を使用せずに、厚さ方向糸3のみで各糸層を一般的な縫合によって結合してもよい。
○ 厚さ方向糸3は、繊維構造体1の一端から他端まで連続した状態で配列されていなくてもよい。不連続であっても、各糸層を貫通して結合していればよい。
【0039】
○ 繊維強化複合材6を製造する場合、1枚の繊維構造体1で1個の繊維強化複合材6(製品)を形成することに限らない。製品形状あるいは要求性能に応じて、繊維構造体1を複数枚並べたり、重ねたりして成形してもよい。
【0040】
○ 繊維強化複合材6としてマトリックスを樹脂以外のもの、例えば金属としてもよい。この場合、繊維構造体1を構成する繊維は、マトリックス金属の溶融温度で損傷しない炭素繊維やセラミック繊維等が使用される。
【0041】
前記実施の形態から把握できる技術的思想(発明)について以下に記載する。
(1) 請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維構造体を強化材として使用し、マトリックス樹脂として厚さ方向糸の材質と同じ熱可塑性樹脂を使用した繊維強化複合材。
【0042】
(2) 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の繊維構造体を強化材とした繊維強化複合材。
(3) 前記技術的思想(2)に記載の繊維強化複合材はマトリックスとして樹脂が使用されている。
【0043】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1〜請求項3に記載の発明によれば、連続繊維を用いた強度の高い繊維強化複合材を低コストで製造することが可能になる。また、請求項4に記載の発明によれば、連続繊維を用いた強度の高い立体的な形状の繊維強化複合材をプレス加工により低コストで製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は繊維構造体の模式斜視図、(b)は繊維構造体の模式部分断面図。
【図2】 (a)はx糸層の配列状態を示す模式図、(b)はy糸層の配列状態を示す模式図。
【図3】 繊維強化複合材の模式斜視図。
【図4】 別の実施の形態の繊維構造体の模式斜視図。
【図5】 別の実施の形態の繊維構造体の模式斜視図。
【符号の説明】
1…繊維構造体、2…積層繊維群、3…厚さ方向糸、4a…連続繊維から成る繊維束としてのx糸、5a…同じくy糸、6…繊維強化複合材。
Claims (4)
- 連続繊維から成る繊維束が少なくとも2軸に配列された積層繊維群と、前記積層繊維群を結合するため厚さ方向に配列された厚さ方向糸とを備えて板状に構成された変形部分を有する繊維構造体であって、
前記厚さ方向糸は前記繊維構造体から立体的な形状の繊維強化複合材を形成する際に変形が不要な部分及び変形が必要な部分に配列され、
前記変形が不要な部分に配列された前記厚さ方向糸は非熱可塑性繊維で形成され、前記変形が必要な部分に配列された前記厚さ方向糸は熱可塑性繊維で形成されている変形部分を有する繊維構造体。 - 前記変形が不要な部分に配列されている厚さ方向糸は、少なくとも前記繊維構造体の長さ方向及び幅方向のうち少なくともいずれか一方の両側に配列されている請求項1に記載の変形部分を有する繊維構造体。
- 前記変形が必要な部分に配列されている厚さ方向糸の配列密度は、前記変形が不要な部分に配列されている厚さ方向糸の配列密度よりも粗い配列密度で配列されている請求項1又は請求項2に記載の変形部分を有する繊維構造体。
- 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の変形部分を有する繊維構造体に熱可塑性樹脂が含浸されていることを特徴とする複合材。
Priority Applications (1)
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