JP3914162B2 - 酸素発生用電極 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解法により金属イオンを金属に還元してめっき又は金属箔を製造する際に陽極として使用される酸素発生用電極、特に銅イオンを電解還元して銅めっき又は銅箔を製造する際に使用される酸素発生用電極に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属箔を製造する方法には、一般に圧延法と電解法が知られている。金属箔の中でも、プリント配線基板に使用される銅箔については、極めて純度の高い銅が要求されることから、圧延法に比べて原料純度の影響が少ない電解法が広く用いられている。電解による銅箔の製造では、ローラー状の陰極とその外周に配置された陽極とを用い、銅イオンを含む電解浴中で通電することによって陰極上に電析した銅をローラー表面から連続的に剥ぎ取る方法が知られている。この際、電解浴には一般に銅イオンを含む硫酸酸性の水溶液が用いられるが、この硫酸銅浴中には不純物として鉛イオンが含まれている。これは、硫酸銅浴の原料となる銅、特にスクラップ銅中に存在する鉛が硫酸銅浴に混入することによって生じる。また、陽極として鉛合金電極を用いた場合には、鉛合金が電解浴中に溶解することで、電解浴中に不純物として鉛イオンが生じる。一方、このような陽極からの鉛イオンの溶解が生じない電極として、バルブ金属基体上に白金族金属またはその酸化物を被覆した不溶性電極が知られている。例えば,特許文献1では、バルブ金属基体表面に酸化イリジウムを含有する被膜を被覆した不溶性陽極を使用する電解銅箔の製造装置が開示されている。バルブ金属とはチタン、タンタル、ジルコニウム、ニオブが挙げられる。
また、イリジウムとタンタルの複合酸化物からなる電極活性被覆を有する不溶性電極を陽極として、銅箔の電解製造に用いる方法が開示されている(特許文献2参照)。その中では、陽極電位を硫酸銅浴中に含まれる鉛が陽極において不溶性の二酸化鉛を形成する電位以上とすることによって、電解浴から不純物の鉛を除去できることが示されている。さらに、陽極として白金族金属酸化物を含有する電極活性物質の被覆を有する電極を使用する電解銅箔の製造方法が開示されており(特許文献3参照)、電解浴中の鉛成分やフッ素成分の濃度を制御・限定することによって、同様に陽極上に二酸化鉛を生成させて、電解浴から鉛を除去する方法が示されている。これらの方法では、陽極電位を規制したり、電解浴中の成分を制御・限定することによって、電解浴からの鉛成分除去を積極的に行うものであるが、このような方法を取らない場合にも、電解銅箔の製造において不溶性陽極上に二酸化鉛が生成することは良く知られている。
【0003】
上記のように、不溶性陽極上に二酸化鉛を生成させれば、電解浴中の鉛成分濃度は低下し、不純物の除去は可能となるが、実際の銅箔製造においては陽極上に電着可能な二酸化鉛の量には制限がある。例えば、電解銅箔には銅の高い純度が必要であるともに、箔の厚さの均一性や平滑性なども要求される。このような箔の均一性、平滑性などは陽極と陰極の間の距離が変化すると大きく影響されるが、不溶性陽極上に二酸化鉛が生成すればこの距離が変化するため、銅箔の品質を低下するという問題があった。また、不溶性陽極上に生成する二酸化鉛は、陽極上全体において均一な速度で成長しないため、生成した二酸化鉛の厚さや分布が不均一となり、陽極と陰極間の距離が部分的に異なることによって、上記のように銅箔の品質が低下するという問題があった。
次に、銅箔の連続製造において、不溶性陽極上に生成した二酸化鉛の量が増えて厚くなると、二酸化鉛によって不溶性陽極の電極活性物質が被覆されてしまうため、本来二酸化鉛に比べて酸素発生に対して高い触媒性を有する電極活性物質の特性が活かされず、電解電圧が上昇して消費電力が大きくなり、経済的なデメリットを生じるという問題があった。さらに、不溶性陽極上に二酸化鉛が生成した状態で電解を休止した場合には、電解浴に接触している二酸化鉛の一部が還元されて絶縁性の硫酸鉛となるため、その後の電解を阻害するとともに、これによって陽極が事実上使用不可能になるという問題があった。加えて、このような問題を抑制するために、銅箔製造の電解プロセスでは、定期的に陽極上に生成した二酸化鉛や硫酸鉛を除去して、触媒活性を再生させるメンテナンス作業が必要であり、多大な労力とメンテナンスコストを必要とするとともに、メンテナンスのために銅箔製造の休止を余儀なくされるという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭62−4894号公報号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平6−146051号公報
【0006】
【特許文献3】
特開平6−146052号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は銅めっき又は銅箔製造で不溶性陽極として使用される酸素発生用電極において、電解の際に陽極上への二酸化鉛の生成を抑制することによって、上記に記したような銅箔の品質の低下や、陽極の触媒活性の低下および電力消費の増加を抑止し、かつ電極の寿命を長くすることができるとともに、酸化鉛および硫酸鉛を除去するメンテナンス作業が不要であり、長期間において安定に作動する酸素発生用電極を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために種々検討した結果、非晶質の酸化イリジウムを含む触媒層を用いることによって、触媒層上への酸化鉛の生成が抑止されることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、導電性基体と、該導電性基体上に形成された触媒層を有する酸素発生用電極において、該触媒層が非晶質の酸化イリジウムを含むことを特徴とする酸素発生用電極である。
ここで、導電性基体とは、チタン、タンタル、ジルコニウム、ニオブ等のバルブ金属やチタン−タンタル、チタン−ニオブ、チタン−パラジウム、チタン−タンタル−ニオブ等のバルブ金属を主体とする合金または導電性ダイヤモンド(例えば、ホウ素をドープしたダイヤモンド)が好適であり、その形状は板状、網状、棒状、多孔板状などの種々の形状を取りえる。また、上記の金属、合金、導電性ダイヤモンドを鉄、ニッケルなどのバルブ金属以外の金属または導電性セラミックス表面に被覆させたものでもよい。
【0009】
触媒層における非晶質の酸化イリジウムは、結晶質の酸化イリジウムに比較して、酸素発生触媒能が高く、したがって酸素発生過電圧が低いとともに、鉛イオンから二酸化鉛を生成する反応に対しては過電圧が高くなるという作用を有する。これにより、酸素発生を促進する一方で、二酸化鉛の生成を抑止することから、触媒層上への二酸化鉛の付着・被覆を抑止することが可能となる。導電性基体上に非晶質の酸化イリジウムを形成する方法には、イリジウムイオンを含む前駆体溶液を導電性基体上に塗布した後、所定の温度で熱処理する熱分解法の他、スパッタリング法やCVD法など各種の物理蒸着法、化学蒸着法を用いることが可能である。非晶質の酸化イリジウムの生成については、一般的に用いられるX線回折法によって、酸化イリジウムに対応する回折ピークが観察されないか、またはブロード化することによって知ることができる。
【0010】
また、本発明は、触媒層が非晶質の酸化イリジウムと、チタン、タンタル、ニオブ、タングステン、およびジルコニウムから選ばれた金属の酸化物とを含むことを特徴とする酸素発生用電極である。非晶質の酸化イリジウムに、チタン、タンタル、ニオブ、タングステン、およびジルコニウムから選ばれた金属の酸化物を添加することによって、酸化イリジウムの消耗および導電性基体からの剥離・脱落などが抑制され、触媒層の脆化を防ぐことによって、電極の耐久性を向上させることができるという作用を有する。この際、触媒層中の金属元素については、酸化イリジウムは金属換算で45〜99原子%、特に50〜95原子%であり、酸化イリジウムと混合する金属酸化物は金属換算で55〜1原子%、特に50〜5原子%が好適である。
【0011】
また、本発明は、触媒層が結晶質の酸化イリジウム、非晶質の酸化イリジウム、および非晶質の酸化タンタルを含むことを特徴とする酸素発生用電極である。
触媒層に非晶質の酸化イリジウムとともに、結晶質の酸化イリジウムが混在しているこ
とによって、結晶質の酸化イリジウムが導電性基体に対して触媒層の付着力を高めるアンカー効果を生じ、非晶質酸化イリジウムの脆化を抑制することで、酸化イリジウムの消耗を低減する作用を有する。また、これらとともに非結晶質の酸化タンタルが結晶質の酸化イリジウムおよび非結晶の酸化イリジウム間を結着させることにより、触媒層全体の消耗・剥離・脱落・クラックの生成などを抑制し、触媒層の耐久性を向上させることができるという作用を有する。また、非晶質の酸化タンタルの混合は、酸化イリジウムの非晶質化を促進するという作用を有する。
【0012】
また、本発明は、該導電性基体と該触媒層との間に耐食性の中間層を有することを特徴とする酸素発生用電極である。ここで、耐食性の中間層としては、タンタル又はその合金などが好適であり、長期間の使用において触媒層を浸透した酸性電解液が導電性基体を酸化・腐食させることを防止することにより、電極の耐久性を向上させることができるという作用を有する。中間層の形成方法としては、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、CVD法、電気めっき法などが使用される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例、比較例を用いてより詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0014】
【実施例】
(実施例1)
市販のチタン板(長さ5cm、幅1cm、厚さ1.5mm)を10%のシュウ酸溶液中に90℃で60分間浸漬してエッチング処理した後、水洗した。6vol%の濃塩酸を含むブタノール(n-C4H9OH)溶液に、イリジウム金属換算で70mg/mlとなるように塩化イリジウム酸(H2IrCl6・H2O)を溶解した塗布液を調製し、この塗布液を上記チタン板に塗布した。これを120℃で10分間乾燥し、次いで340℃に保持した電気炉内で20分間焼成した。上記の塗布、乾燥、焼成を5回繰り返して、基板上に触媒層を形成した電極を作製した。この電極をX線回折法により構造解析した結果、X線回折像にはIrO2に相当する回折ピークは認められず、この電極の触媒層が非晶質の酸化イリジウムから形成されていることを確認した。
この電極の触媒層をポリテトラフルオロエチレン製テープで被覆して面積を1cm2に規制したものを陽極に、白金板(長さ2cm、幅2cm、厚さ0.5mm)を陰極として、30wt%の硝酸鉛を溶解し、硝酸によってpHを0.7に調整した硝酸鉛浴中で、陽極単位面積当たりの電流密度40mA/cm2、温度70℃、電解時間5分として、定電流電解した。電解前後における陽極の重量変化を測定した結果、重量変化は認められず、また電解後の陽極をX線回折法により解析した結果、触媒層表面への二酸化鉛の生成は認められなかった。尚、電解によって100%の電流効率で二酸化鉛が生成すると仮定すると、これによる重量増加は0.015gである。
【0015】
(比較例1)
実施例1における電極の作成方法において、焼成温度を340°から470℃に変えた以外は同じ方法で電極を作製した。得られた電極をX線回折法により構造解析した結果、IrO2に相当する回折ピークが認められ、触媒層が結晶質の酸化イリジウムから形成されていることを確認した。次に、実施例1に記した方法・条件で定電流電解を行った。電解後には、触媒層上に灰色の析出物が観察され、電解前後の陽極の重量変化を調べた結果、電解によって0.013gの重量増加が認められた。また、電解後の陽極をX線回折法により解析した結果、二酸化鉛の生成を示す回折像が得られた。
【0016】
(実施例2)
市販のチタン板(長さ5cm、幅1cm、厚さ1.5mm)を10%のシュウ酸溶液中に90℃で60分間浸漬してエッチング処理した後、水洗した。6vol%の濃塩酸を含むブタノール(n-C4H9OH)溶液に、塩化イリジウム酸(H2IrCl6・H2O)と塩化タンタル(TaCl5)がモル比で80:20となるように、かつイリジウムとタンタルの合計が金属換算で70mg/mlとして塗布液を調製した。この塗布液を上記チタン板に塗布した後、120℃で10分間乾燥し、次いで340℃に保持した電気炉内で20分間焼成した。上記の塗布、乾燥、焼成を5回繰り返して、基板上に触媒層を形成した電極を作製した。この電極をX線回折法により構造解析した結果、X線回折像にはIrO2に相当する回折ピークは認められず、またTa2O5に相当する回折ピークも認められなかったことから、この電極の触媒層が非晶質の酸化イリジウムと非晶質の酸化タンタルから形成されていることを確認した。次に、実施例1に記した方法・条件で定電流電解を行った。電解前後における陽極の重量変化を測定した結果、重量変化は認められず、また電解後の陽極をX線回折法により解析した結果、触媒層表面への二酸化鉛の生成は認められなかった。
【0017】
(比較例2)
実施例2における電極の作成方法において、焼成温度を340°から470℃に変えた以外は同じ方法で電極を作製した。得られた電極をX線回折法により構造解析した結果、IrO2に相当する回折ピークのみが認められたが、Ta2O5に相当する回折ピークは認められなかったことから、触媒層が結晶質の酸化イリジウムと非晶質の酸化タンタルから形成されていることを確認した。次に、実施例1に記した方法・条件で定電流電解を行った。電解後には、触媒層上に灰色の析出物が観察され、電解前後の陽極の重量変化を調べた結果、電解によって0.014gの重量増加が認められた。また、電解後の陽極をX線回折法により解析した結果、二酸化鉛の生成を示す回折像が得られた。
【0018】
(実施例3)
市販のチタン板(長さ5cm、幅1cm、厚さ1.5mm)を10%のシュウ酸溶液中に90℃で60分間浸漬してエッチング処理した後、水洗した。6vol%の濃塩酸を含むブタノール(n-C4H9OH)溶液に、塩化イリジウム酸(H2IrCl6・H2O)と塩化タンタル(TaCl5)がモル比で50:50となるように、かつイリジウムとタンタルの合計が金属換算で70mg/mlとして塗布液を調製した。この塗布液を上記チタン板に塗布した後、120℃で10分間乾燥し、次いで470℃に保持した電気炉内で20分間焼成した。上記の塗布、乾燥、焼成を5回繰り返して、基板上に触媒層を形成した電極を作製した。この電極をX線回折法により構造解析した結果、X線回折像にはIrO2に相当する回折ピークとともに、各回折ピークと重なり合ったブロードな回折像が認められた。また、Ta2O5に相当する回折ピークは認められなかった。これらのことから、この電極の触媒層が非晶質の酸化イリジウム、結晶質の酸化イリジウム、および非晶質の酸化タンタルから形成されていることを確認した。次に、実施例1に記した方法・条件で定電流電解を行った。電解前後の陽極の重量変化を調べた結果、重量変化は認められず、また電解後の陽極をX線回折法により解析した結果、触媒層表面への二酸化鉛の生成は認められなかった。
【0019】
(実施例4)
実施例1と同じ方法で作製した電極の触媒層をポリテトラフルオロエチレン製テープで被覆して面積を1cm2に規制したものを陽極に、白金板(長さ2cm、幅2cm、厚さ0.5mm)を陰極として、20ppmの硫酸鉛を溶解し、硫酸によってpHを1に調整した硫酸鉛浴中で、陽極単位面積当たりの電流密度200mA/cm2、温度60℃、電解時間5分として、定電流電解した。電解後の触媒層表面には析出物は認められず、また電解後の電極をX線回折法により解析したが、二酸化鉛の生成は確認できなかった。
【0020】
(比較例3)
比較例1と同じ方法で作製した電極の触媒層をポリテトラフルオロエチレン製テープで被覆して面積を1cm2に規制したものを陽極として、実施例4に示した方法で定電流電解した。電解後には触媒層上に灰色の析出物が認められ、X線回折法による解析から、二酸化鉛が生成していることが確認された。
【0021】
(実施例5)
実施例2と同じ方法で作製した電極の触媒層をポリテトラフルオロエチレン製テープで被覆して面積を1cm2に規制したものを陽極に、白金板(長さ2cm、幅2cm、厚さ0.5mm)を陰極として、20ppmの硫酸鉛を溶解し、硫酸によってpHを1に調整した硫酸鉛浴中で、陽極単位面積当たりの電流密度200mA/cm2、温度60℃、電解時間5分として、定電流電解した。電解後の触媒層表面には析出物は認められず、また電解後の電極をX線回折法により解析したが、二酸化鉛の生成は確認できなかった。
【0022】
(比較例4)
比較例2と同じ方法で作製した電極の触媒層をポリテトラフルオロエチレン製テープで被覆して面積を1cm2に規制したものを陽極として、実施例4に示した方法で定電流電解した。電解後には触媒層上に灰色の析出物が認められ、X線回折法による解析から、二酸化鉛が生成していることが確認された。
【0023】
(実施例6)
実施例3と同じ方法で作製した電極の触媒層をポリテトラフルオロエチレン製テープで被覆して面積を1cm2に規制したものを陽極に、白金板(長さ2cm、幅2cm、厚さ0.5mm)を陰極として、20ppmの硫酸鉛を溶解し、硫酸によってpHを1に調整した硫酸鉛浴中で、陽極単位面積当たりの電流密度200mA/cm2、温度60℃、電解時間5分として、定電流電解した。電解後の触媒層表面には析出物は認められず、また電解後の電極をX線回折法により解析したが、二酸化鉛の生成は確認できなかった。
【0024】
以上のように、触媒層の酸化イリジウムが非晶質である実施例1,2,4,5、または触媒層に非晶質の酸化イリジウムを含む実施例3,6では、鉛を含む硝酸溶液および硫酸溶液のいずれの場合にも、電解によって触媒層上に二酸化鉛は生成しなかったが、非晶質の酸化イリジウムを触媒層に含まない比較例1〜4では、触媒層上に二酸化鉛の生成が確認された。これらのことから、触媒層に非晶質の酸化イリジウムを含むことによって、従来の酸素発生用に比べて酸化鉛の生成が極めて効果的に抑制されることが判った。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電極は、銅箔製造に用いられる硫酸酸性の電解浴中に存在する鉛の陽極上での酸化とそれによる陽極上への二酸化鉛の生成・付着・蓄積を抑制する作用を有し、これによって下記の効果が得られる。すなわち、二酸化鉛の生成が抑制されることから、二酸化鉛の付着・蓄積により陽極と陰極の間の距離が変化しないため、これによって銅箔の厚さの均一性や平滑性が維持され、高品質の銅箔を製造することが可能となるという効果を有する。また、二酸化鉛が陽極表面の電極活性物質を被覆することがないため、長時間の電解においても高い酸素発生能が維持できることから、電解時間に伴う電解電圧の上昇とそれに伴う消費電力の増加が抑止され、電解コストの増加を防止できるという効果を有する。さらに、従来のように陽極上に生成した二酸化鉛が電解休止時などにおいて硫酸鉛に還元されることが無いため、電解休止後においても継続的に銅箔製造が可能となり、製造効率の悪化を抑制することができるとともに、陽極の寿命を長くすることができるという効果を有する。
また、従来このような二酸化鉛や硫酸鉛の問題を解決するために、定期的に陽極上に生成した二酸化鉛や硫酸鉛を除去する必要があったが、本発明の電極はこのようなメンテナンス作業を必要としないため、メンテナンスコストの削減と生産性の向上を図ることができるという効果を有する。
Claims (3)
- 導電性基体と、該導電性基体上に形成された触媒層を有する酸素発生用電極において、該触媒層が非晶質の酸化イリジウムと、チタン、タンタル、ニオブ、タングステン、およびジルコニウムから選ばれた金属の酸化物とを含み、触媒層中の金属元素については、酸化イリジウムが金属換算で45〜99原子%、前記チタン、タンタル、ニオブ、タングステン、およびジルコニウムから選ばれた金属の酸化物が金属換算で55〜1原子%であることを特徴とする銅めっき又は銅箔製造用の酸素発生電極。
- 前記チタン、タンタル、ニオブ、タングステン、およびジルコニウムから選ばれた金属の酸化物が酸化タンタルである請求項1記載の銅めっき又は銅箔製造用の酸素発生電極。
- 導電性基体と、該導電性基体上に形成された触媒層を有する酸素発生用電極において、該触媒層が結晶性の酸化イリジウム、非晶質の酸化イリジウムおよび非晶質の酸化タンタルを含むことを特徴とする銅めっき又は銅箔製造用の酸素発生電極。
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