JP3913842B2 - ミシンの布押え圧力制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミシンの布押え圧力を制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開昭57−43785号や米国特許5551361号等に、ミシンの布押え圧力を制御する装置の開示がなされている。これらの布押え圧力制御装置は、布押え圧力を検出するセンサと、布押えを押圧する例えばモータ、ソレノイドやシリンダ等のアクチュエータよりなる押力付与手段と、を備えており、上記センサにより検出される布押え圧力をフィードバックし、この布押え圧力に基づいて縫製中の布押え圧力が一定になるように上記アクチュエータを制御するように構成されている。
【0003】
また、作業者による手動スイッチの操作により上述したアクチュエータを駆動し布押え圧力を調節可能とする布押え圧力制御装置や、作業者による膝スイッチの操作によりソレノイドを駆動しリンク機構等を介して布押え圧力を調節可能とする布押え圧力制御装置等も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記前者の布押え圧力制御装置(布押え圧力を一定とするもの)では、例えばミシン回転数やミシン主軸が1回転する間の位相に応じて布押え圧力を任意に変化させることができず、また上記後者の布押え圧力制御装置(布押え圧力を調節可能とするもの)では、作業者による手動スイッチや膝スイッチの操作により布押え圧力を調節可能としているため、一々行う操作が面倒であると共に上記ミシン回転数やミシン主軸が1回転する間の位相に逐一追従させて布押え圧力を任意に変化させることは事実上不可能であり、その結果以下に述べる種々の不具合が生じるという問題があった。
【0005】
すなわち、ミシン回転数の上昇に伴って布押えのジャンピング(飛び跳ね現象)が大きくなるため、図12に示されるように、ミシン回転数の上昇に従い布送り力が低下するといった問題がある。
【0006】
また、図13に示されるように、送り歯が上昇し当該送り歯が布に接触する位相(送り歯が布送りを開始する位相)Xで送り歯と布とが衝突し衝撃力が生じるため、布押えがバウンドして布送り力が低下するといった問題がある。また、送り歯が下降し当該送り歯が布に対して離間する位相(送り歯が布送りを終了する位相)Yで布と布押えが共に降下して針板に衝突し衝撃力が生じるため、布押えがバウンドして布位置が所定の位置からずれてしまい綺麗な縫目が形成できないといった問題がある。
【0007】
また、例えばセーター等の柔らかく嵩の高いものを縫う場合、布送り休止区間では布を潰して縫目が硬くならないように布押え圧力を低くする一方で、布送り区間では上記ジャンピングを防止するように布押え圧力を高くするのが望まれるが、このように位相に応じて布押え圧力を変えることができないため、布送り休止区間での布潰しの防止を重視して図13に示した布押え圧力を低く設定すると、布送り区間で布を送れなくなり、また布送り区間でのジャンピング防止を重視して上記布押え圧力を高く設定すると、布送り休止区間で布が潰れて縫目が硬くなってしまうという問題がある。
【0008】
また、例えばシャツ等の薄いものを縫う場合、針が布に刺さっている時(布送り休止区間)には布がぺこつかないように布押え圧力を高くする一方で、布送り区間では布ずれによるパッカリングが生じないように布押え圧力を低くするのが望まれるが、上述したように位相に応じて布押え圧力を変えることができないため、布送り休止区間での布のぺこつき防止を重視して図13に示した布押え圧力を高く設定すると、布送り区間で布ずれによるパッカリングが生じ、また布送り区間でのパッカリング防止を重視して上記布押え圧力を低く設定すると、布送り休止区間で布がぺこつき、送り不良となるといった問題がある。
【0009】
また、布送り区間のみ上記布押え圧力を低くして故意に送り歯にスリップを発生させ、送りピッチを小さくすることにより種々の縫い模様を得るといった縫い模様の多様性を図るといったことができないという問題もある。
【0010】
また、カーブ縫い等を行う場合、布を回しやすいように布と布押えとの間に所定の微量の隙間を形成する必要があり、従来技術では、例えば膝スイッチ等により布押えを上げ布押え圧力を弱くすることで対処しているが、当該動作に熟練を要すると共に面倒であるといった問題もある。
【0011】
そこで本発明は、ミシン回転数や位相等に応じて布押え圧力を自動に可変でき、上記種々の不具合の発生を防止できるミシンの布押え圧力制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1のミシンの布押え圧力制御装置は、押力付与手段により付与される押力によってミシンの布押え圧力を制御する装置において、前記押力付与手段のトルクまたは推力調整用の制御電流を供給する制御電流供給回路と、ミシンの主軸が1回転する間に変位するミシンの送り歯の移動軌跡に応じて前記制御電流を制御可能とする制御手段と、を具備したものであって、前記制御手段は、前記ミシンの送り歯が布送りを開始または終了する位相の制御電流を他の位相の所定の制御電流より低くするように制御して布または布押えのバウンドの発生を防止する構成になされている。
【0015】
このような請求項1のミシンの布押え圧力制御装置によれば、布押えに押力を付与する押力付与手段のトルク調整用の制御電流が、ミシンの主軸が1回転する間に制御され布押え圧力が可変制御される、すなわちミシンの送り歯の移動軌跡に応じて布押え圧力が可変制御され得るため、ミシンの送り歯が布送りを開始または終了する位相と他の位相とで制御電流を異ならせ、例えば布送りを開始または終了する位相の布押え圧力が他の位相の布押え圧力より低くなるように制御すれば、布送りを開始する位相での送り歯と布との衝突による布のバウンドの発生が防止され、また布送りを終了する位相での布、布押えと針板との衝突による布のバウンドの発生が防止されるようになる。
【0019】
この時、上記請求項1の押力付与手段としては種々のものが考えられるが、高速追従性が良く、布押えのストロークが大きくとれ、使用に際しての信頼性が高いという各種特性を有するため、請求項2のように、モータを採用するのが良い。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施形態におけるミシンの布押え圧力制御装置を表した側面構成図、図2は同上布押え圧力制御装置を表した斜視構成図、図3は同上布押え圧力制御装置の制御系を表したブロック構成図である。
【0021】
本実施形態のミシンの布押え圧力制御装置は、図1乃至図3に示されるように、押力付与手段としてのコアレスモータ1を備えている。このコアレスモータ1は、供給される制御電流の電流値に比例したトルクがその内部のロータに発生し出力軸1aが回転するといったものである。当該コアレスモータ1は、ミシンアーム2の背面にブラケット3を介して取り付けられており、その出力軸1aにピニオンギヤ4が固定されている。
【0022】
押え棒5は、公知のように、上記ミシンアーム2に上下動可能に取り付けられていると共にその下端部に布押え6を備えており、本実施形態においては、その上端部に上記ピニオンギヤ4に噛み合うラックギヤ7が固定されている。
【0023】
従って、上記コアレスモータ1に所定の制御電流が供給されると、電流値に比例したトルクが発生してそのトルクがピニオンギヤ4を介してラックギヤ7に布押え圧として伝達され、当該布押え圧が押え棒5を介して布押え6に伝達されるようになっている。
【0024】
なお、図1及び図2中の符号8は針9(図2参照)が下端に取り付けられた針棒を示しており、図1中の符号10は針板を、11は送り歯をそれぞれ示している。この送り歯11は図示省略しているが、ミシン主軸に連結されており、当該ミシン主軸に連動して周知の四送り運動により布送りを行う。
【0025】
本実施形態のミシンの布押え圧力制御装置はまた、図3に示されるように、ミシンの回転数及び位相情報を検出し出力する例えばエンコーダ等のセンサ12を備えていると共に、上記コアレスモータ1の押え高さ情報を検出し出力するセンサ13を備えている。このセンサ13は、例えば上記モータ1の出力軸1aの回転角を検出する例えばエンコーダ等よりなり、この回転角情報を押え高さ情報として検出し出力する。当該布押え圧力制御装置はまた、図2及び図3に示されるように、膝スイッチ14(公知のもの)の押圧(オン)に連動して、膝上げスイッチ押え上げ情報としてのオン信号を出力する膝上げスイッチ15を備えている。
【0026】
上記センサ12,13及び膝上げスイッチ15には、図3に示されるように、制御手段(制御装置)としてのCPU16のその入力側が接続されている。このMPU16の入力側にはまた、例えば布の種類や布の硬さや位相に応じての布押え圧力の可変設定等の布押え条件(詳しくは後述の各実施形態参照)を入力可能な押え条件設定パネル17の出力側が接続されている。
【0027】
また、CPU16の入出力側には、ネットワークやLAN、リムーバブルメディア等が接続されている。
【0028】
また、CPU16の出力側には、制御電流供給回路(ドライバ)18を介して上記コアレスモータ1が接続されている。この制御電流供給回路18は、コアレスモータ1にトルク調整用の制御電流を供給するものであり、この制御電流の電流値は、上記CPU16からの指令により制御される。
【0029】
上記CPU16は、その内部に、上記ネットワークやLAN、リムーバブルメディアを通じて設定される系数マップや評価関数を備えている。この系数マップは、電流制御をする目的(布押え圧力を可変とする目的)に応じて種々あるが、例えばミシン回転数に応じて布押え圧力を変化させる場合には、図4(a)に示される2次元系数マップが用いられ、また例えばミシン1回転中の位相に応じて布押え圧力を変化させると共にミシン回転数に応じて布押え圧力を変化させる場合には、図4(b)に示される3次元系数マップが用いられる。そして、上記CPU16は、上記押え条件設定パネル17からの入力情報に基づいて、上記系数マップの中から当該入力情報に該当するものを呼び出し、上記センサ12,13及び膝上げスイッチ15からの入力情報に応じた制御電流値を上記呼び出した系数マップより求め、当該制御電流値をコアレスモータ1に供給する指令を上記制御電流供給回路18に与えるように構成されている。また、CPU16は、上記系数マップに代えて、評価関数や演算式等の手順の決まったプログラムを用い、コアレスモータ1のトルク制御用の電流値を制御することも可能である。
【0030】
次に、このように構成された布押え圧力制御装置の動作について以下説明する。本発明の第1の参考例では、上記CPU16が、コアレスモータ1のトルク調整用の電流値をミシンの回転数の上昇に伴って高くする指令を上記制御電流供給回路18に与えるようになっている。
【0031】
ここで、コアレスモータ1には、前述したように、電流値に比例したトルクが発生し、このトルクが布押え圧力として布押え6に伝達されるため、ミシンの回転数の上昇に伴って布押え圧力が高くなる。このように、ミシンの回転数の上昇に伴って布押え圧力が高くなると、従来技術で説明したミシン回転数の上昇に伴って大きくなる布押え6のジャンピングが防止されるようになり、その結果図5に示されるように、ミシンの回転数に拘らず布押え6と送り歯11との協働により布に一定の布送り力が得られる。このため、従来技術の図12を用いて説明した布送り力の低下を防止できることになる。
【0032】
また、これとは逆に、コアレスモータ1のトルク調整用の電流値を意図的に、ミシン回転数の下降に伴って低くなるように制御したり、またはミシン速度が所定の低速に達したら低くなるように制御すれば、カーブ等でミシン回転数を落とした時に布を回しやすくなり、奇麗な縫目を形成できることになる。
【0033】
本発明の第1の実施形態では、上記CPU16が、コアレスモータ1のトルク調整用の電流値を上記送り歯11が布送りを開始する位相と他の位相とで異ならせる指令を上記制御電流供給回路18に与え、特に、図6に示されるように、布送りを開始する位相の電流値を他の位相の電流値より低くする指令を与えるようになっている。
【0034】
従って、布送りを開始する位相の布押え圧力が低くなって、従来技術で説明した布送りを開始する位相での送り歯11と布との衝突による布のバウンドの発生(図13の位相Xでの波形参照)が、図6に示されるように、防止されることになり、布送りを開始する位相での布送り力の低下を防止できるようになっている。
【0035】
本発明の第2の実施形態では、上記CPU16が、コアレスモータ1のトルク調整用の電流値を上記送り歯11が布送りを終了する位相と他の位相とで異ならせる指令を上記制御電流供給回路18に与え、特に、図7に示されるように、布送りを終了する位相の電流値を他の位相の電流値より低くする指令を与えるようになっている。
【0036】
従って、布送りを終了する位相の布押え圧力が低くなって、従来技術で説明した布送りを終了する位相での布、布押え6と針板10との衝突による布押え6のバウンドの発生(図13の位相Yでの波形参照)が、図7に示されるように、防止されることになり、布送りを終了する位相での布ずれを防止でき綺麗な縫目を形成できるようになっている。
【0037】
本発明の第2の参考例では、上記押え条件設定パネル17から、例えばセーター等の柔らかく嵩の高いものを被縫製物として選択したという情報が入力された時に、上記CPU16が、コアレスモータ1のトルク調整用の電流値を上記送り歯11が布を送る時の位相と布を送らない時の位相とで異ならせる指令を上記制御電流供給回路18に与え、特に、図8に示されるように、布送り休止区間の電流値を低く布送り区間の電流値を高くする指令を与えるようになっている。
【0038】
従って、図8に示されるように、布送り休止区間の布押え圧力が低くなって、従来技術で説明した布送り休止区間での布の潰しが防止されることになり、柔らかい縫目を形成できるようになると共に、布送り区間の布押え圧力が高くなって、従来技術で説明した布送り区間でのジャンピングの発生が防止されることになり、布送り力の低下を防止できるようになっている。
【0039】
本発明の第3の参考例では、上記押え条件設定パネル17から、例えばシャツ等の薄いものを被縫製物として選択したという情報が入力された時に、上記CPU16が、コアレスモータ1のトルク調整用の電流値を上記送り歯11が布を送る時の位相と布を送らない時の位相(特に針9が布に刺さっている時)とで異ならせる指令を上記制御電流供給回路18に与え、特に、図9に示されるように、布送り休止区間の電流値を高く布送り区間の電流値を低くする指令を与えるようになっている。
【0040】
従って、図9に示されるように、布送り休止区間の布押え圧力が高くなって、従来技術で説明した布送り休止区間での布のぺこつきが防止されることになり、縫目品質の低下を防止できるようになると共に、布送り区間の布押え圧力が低くなって、従来技術で説明した布送り区間での布ずれが防止されることになり、パッカリングの発生を防止できるようになっている。
【0041】
また、コアレスモータ1のトルク調整用の電流値を、布送り区間のみ布押え圧力が低くなるように制御して、送り歯11を故意にスリップさせて送りピッチが小さくなるようにすれば、縫い模様の多様性を図ることができる。
【0042】
本発明の第4の参考例では、図10に示されるように、針落ち手前に公知の光学式ラインセンサ19が配設されている。この光学式ラインセンサ19は、表面が露出するように針板10側に埋設されたソーラセルよりなる受光素子19aと、この受光素子19aを均一に照射可能な多数のLEDよりなる発光素子19bと、から構成されており、布20により覆われる上記受光素子19aの遮光面積に応じた電圧信号を上記CPU16に出力するように構成されている。
【0043】
上記CPU16は、当該信号を受けるとその電圧信号の変化に従って布端の形状がカーブか否かを判断できる公知の機能を有しており、カーブ縫製となったら、上記制御電流供給回路18に所定量の上昇指令を与えてコアレスモータ1の動作により布押え6を微量上昇させ、布20と布押え6との間に所定の微量の隙間Zを形成し得るようになっている。
【0044】
すなわち、この第4の参考例においては、上記光学式ラインセンサ19の出力信号に基づいて布のカーブが判断され、カーブになったらコアレスモータ1が所定量駆動されて布押え6が上昇し布20と布押え6との間に所定の微量の隙間Zが形成されるため、カーブ縫製の時に布を回しやすくなっており、熟練者でなくとも奇麗な縫目を形成できるようになっている。
【0045】
また、縫製が終了して作業者が、図2に示した膝スイッチ14をオンすると、この膝スイッチ14に連動して膝上げスイッチ15がオンとなり、当該オン信号が上記CPU16に入力され、当該CPU16は、このオン信号を受けると、制御電流供給回路18に押え上げ指令を与えるため、コアレスモータ1の動作により布押え6が上昇され、布20を容易に取り出せるようになっている。
【0046】
なお、第4の参考例の変形として、CPU16が、予め設定された縫製パターンのカーブ縫製となる針数に達したのを例えば針数カウンタにより検知したら、上記所定の微量の隙間Zを形成する指令を発するようにすることも可能である。
【0047】
図11は本発明の第3の実施形態におけるミシンの布押え圧力制御装置を表した側面構成図である。この第7の実施形態が上述した各実施形態と違う点は、押力付与手段をコアレスモータ1に代えてボイスコイルモータ21とし、このボイスコイルモータ21の内部のボビンに上記押え棒5の上端部を結合した点である。
【0048】
このボイスコイルモータ21は、供給される制御電流の電流値に比例した推力が上記ボビンに発生するといったものである。
【0049】
従って、当該ボイスコイルモータ21に所定の制御電流が供給されると、電流値に比例した推力が発生してその推力が布押え圧として押え棒5を介して布押え6に伝達されるようになっている。
【0050】
このように押力付与手段を構成しても、上記説明した各実施形態の効果を得ることができるというのはいうまでもない。なお、本実施形態においては、上記ボイスコイルモータ21内部のボビンと押え棒5の上端部とを直結するようにしているが、例えば両者間にリンク機構を介挿して当該両者を結合することも勿論可能である。
【0051】
斯くの如く、本発明の第1実施形態および第2の実施形態ではコアレスモータ1を、第3実施形態ではボイスコイルモータ21を、それぞれ用いた。そして、第1実施形態および第2の実施形態では、コアレスモータ1のトルク変化を、ピニオンギヤ4及びラックギヤ7を介して、下端に布押え6を備えた押え棒5に伝達し、一方第3実施形態では、ボイスコイルモータ21の推力変化を、直接押え棒5に伝達する構成となっている。このため、第3実施形態は、第1実施形態および第2の実施形態に比して、より応答性が良い。また、第1実施形態および第2の実施形態はギヤ比を変更することにより、第3実施形態に比して、より小さなモータ出力で大きな荷重に変換することができる。
【0052】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。例えば、上記制御電流を図4(b)に示した制御電流、ミシン回転数、位相の3次元マップに従って、第1実施形態で説明したようにミシン回転数に応じて制御すると共に第2乃至第5実施形態で説明したように位相に応じて制御する、すなわち第1実施形態と第2乃至第5実施形態とを組み合わせ、布押え圧力を可変制御するようにすることも勿論可能である。
【0053】
また、本発明の実施形態では、送り歯11はミシン主軸に連結されており、当該ミシン主軸に連動して周知の四送り運動により布送りを行う。これに代えて、送り歯11に別駆動のモータ(送り歯駆動モータ)を用いると共に、この送り歯駆動モータと、ミシン主軸を駆動させる主モータと、を同期させて針棒8、釜、送り歯11に所定の運動を付与し縫目を形成するミシンに対しても本発明を同様に適用することができる。すなわち、送り歯駆動モータまたは主モータ(主軸)の少なくとも一方の回転数及び位相を検出して、この検出した値に基づき、コアレスモータ1の電流値を制御することが可能である。
【0054】
また、上記実施形態のさらに他の実施形態として、縫製中の布のカーブを上記第6の実施形態で説明した光学素子19により検知するか、若しくは第6の実施形態の変形として説明したように針数カウンタにより検知したら、上記制御電流を減らして布押え圧力を低下させ、布を回しやすくするように構成することも可能である。
【0055】
また、ミシン電源の投入の有無を上記CPU16に入力するようにし、電源が投入されたら布押え6を上昇させる制御電流を与えるようにし、布20を針板10と布押え6との間に入れやすいように構成することも可能である。
【0056】
また、上記布押え6を上昇または下降させる制御電流を与えることで布20を布押え6と針板10との間に挟み込み、この時の上記センサ13の出力に基づいて布厚を検出することも可能である。また、この測定時に上述したと同様に布押え圧力を可変させ、布20が柔らかい、硬い等の硬さを知ることも可能である。この結果、布20が柔らかいと判断した場合には、布20を送っている時以外は上記制御電流を減らして布押え圧力を低下させ、当該布20を柔らかく押えるようにするのが良い。また、このように柔らかい布では送りピッチが小さくなる傾向にあるため、大きくなる指令をミシンに与えるのが望ましい。
【0057】
さらにまた、上記実施形態においては、押力付与手段として、高速追従性が良く、布押えのストロークを大きくとれ、使用に際しての信頼性が高いという観点からモータ1,21を採用しているが、例えば電磁ソレノイド等の他のアクチュエータに代えることも可能である。
【0059】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1のミシンの布押え圧力制御装置は、布押えに押力を付与する押力付与手段のトルク調整用の制御電流を、ミシンの主軸が1回転する間に制御することにより布押え圧力を可変制御可能とし、すなわちミシンの送り歯の移動軌跡に応じて制御することにより布押え圧力を可変制御可能とし、ミシンの送り歯が布送りを開始または終了する位相と他の位相とで制御電流を異ならせ、例えば布送りを開始または終了する位相の布押え圧力が他の位相の布押え圧力より低くなるように制御して、布送りを開始する位相での送り歯と布との衝突による布のバウンドの発生を防止し得るように構成し、また布送りを終了する位相での布、布押えと針板との衝突による布のバウンドの発生を防止し得るように構成したものであるから、布送りを開始する位相での布送り力の低下を防止することが可能となり、また布送りを終了する位相での布ずれを防止でき綺麗な縫目が形成することが可能となる。
【0062】
この時、上記請求項1の押力付与手段としては種々のものが考えられるが、高速追従性が良く、布押えのストロークが大きくとれ、使用に際しての信頼性が高いという各種特性を有するため、請求項2のように、モータを採用するのが良く、このように押力付与手段としてモータを採用することにより、上述した請求項の効果を一層高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態及び各参考例におけるミシンの布押え圧力制御装置を表した側面構成図である。
【図2】同上布押え圧力制御装置を表した斜視構成図である。
【図3】同上布押え圧力制御装置の制御系を表したブロック構成図である。
【図4】同上布押え圧力制御装置のCPUに記憶された系数マップの一例を表したものであり、(a)は制御電流とミシン回転数の2次元マップ、(b)は制御電流とミシン回転数と位相の3次元マップである。
【図5】本発明の第1の参考例における布押え圧力制御よ装置により制御電流を制御した場合のミシン回転数と布送り力との関係を布押え圧力をパラメータとして表した特性図である。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるミシンの布押え圧力制御装置により制御される制御電流と送り歯の変位量、布押え圧力との関係を表した特性図である。
【図7】本発明の第2の実施形態におけるミシンの布押え圧力制御装置により制御される制御電流と送り歯の変位量、布押え圧力との関係を表した特性図である。
【図8】本発明の第2の参考例におけるミシンの布押え圧力制御装置により制御される制御電流と送り歯の変位量、布押え圧力との関係を表した特性図である。
【図9】本発明の第3の参考例におけるミシンの布押え圧力制御装置により制御される制御電流と送り歯の変位量、布押え圧力との関係を表した特性図である。
【図10】本発明の第4の参考例におけるミシンの布押え圧力制御装置の要部を表した側面説明図である。
【図11】本発明の第3の実施形態におけるミシンの布押え圧力制御装置を表した側面構成図である。
【図12】従来技術におけるミシン回転数と布送り力との関係を布押え圧力をパラメータとして表した特性図である。
【図13】従来技術における送り歯の変位量と布押え圧力との関係を表した特性図である。
【符号の説明】
1,21 押力付与手段(モータ)
6 布押え
11 送り歯
16 制御手段
18 制御電流供給回路(ドライバ)
20 布
Claims (2)
- 押力付与手段により付与される押力によってミシンの布押え圧力を制御する装置において、
前記押力付与手段のトルクまたは推力調整用の制御電流を供給する制御電流供給回路と、
ミシンの主軸が1回転する間に変位するミシンの送り歯の移動軌跡に応じて前記制御電流を制御可能とする制御手段と、
を具備したものであって、
前記制御手段は、前記ミシンの送り歯が布送りを開始または終了する位相の制御電流を他の位相の所定の制御電流より低くするように制御して布または布押えのバウンドの発生を防止する構成になされていることを特徴とするミシンの布押え圧力制御装置。 - 押力付与手段をモータとしたことを特徴とする請求項1に記載のミシンの布押え圧力制御装置。
Priority Applications (1)
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Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP19190497A JP3913842B2 (ja) | 1997-07-02 | 1997-07-02 | ミシンの布押え圧力制御装置 |
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