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JP3898832B2 - オレフィン重合体製造用固体触媒成分、オレフィン重 合体製造用触媒およびオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン重合体製造用固体触媒成分、オレフィン重 合体製造用触媒およびオレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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JP3898832B2
JP3898832B2 JP07175298A JP7175298A JP3898832B2 JP 3898832 B2 JP3898832 B2 JP 3898832B2 JP 07175298 A JP07175298 A JP 07175298A JP 7175298 A JP7175298 A JP 7175298A JP 3898832 B2 JP3898832 B2 JP 3898832B2
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olefin polymer
compound
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magnesium
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剛 太田
敏夫 磯崎
孝典 貞嶋
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はオレフィンの重合体を製造するためのオレフィン重合体製造用固体触媒成分、オレフィン重合体製造用触媒およびオレフィン重合体の製造方法に関し、さらに詳しくは、触媒の重合活性が高く、かつ重合活性の経時的な低下が小さく、さらに、得られるオレフィン重合体の立体規則性が高いオレフィン重合体製造用固体触媒成分、オレフィン重合体製造用触媒およびオレフィン重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン重合体、特に結晶性高分子であるポリプロピレンは剛性、引張り強度、耐熱性、耐薬品性、光学特性、加工性等に優れ、かつポリスチレン等に比べ比重が小さいことから各種射出成形品、容器、包装材料等の分野で広く利用されている。
【0003】
しかしながら、このポリプロピレンの利用分野をさらに拡大するには、ポリスチレン、ABS樹脂に比べポリプロピレンが劣っている剛性、耐熱性を向上させることが必要である。この剛性、耐熱性については、ポリマーの立体規則性が高くなるにしたがい向上することが知られており、立体規則性のさらなる向上が望まれている。
【0004】
一般にオレフィン重合体はチタン化合物と有機アルミニウム化合物からなるチーグラー・ナッタ触媒により重合されている。該触媒系においては、現在、▲1▼触媒活性の向上、▲2▼得られるオレフィン重合体の立体規則性の向上、▲3▼安定生産のための重合体パウダー形態の改良等が図られている。
ポリプロピレンを製造する触媒としては、主に、チタン、マグネシウム、塩素および電子供与性化合物からなる固体触媒成分ならびに有機アルミニウム化合物からなる触媒系が使用されており、この触媒系へSi−O−C結合を有する有機ケイ素化合物を加えることにより、生成するポリマーの立体規則性が向上することが知られている。しかしながら、このような触媒系によって製造されるポリプロピレンにおいても、立体規則性は十分に満足しうるものではない。
【0005】
さらに、ハロゲン化マグネシウム化合物と4価のチタン化合物とを、電子供与性化合物の存在下、80℃以上135℃以下の温度にて接触させた後、沸騰ヘプタン(98℃)により洗浄することを特徴とするオレフィン重合用固体触媒成分、特定の有機アルミニウム化合物および電子供与性化合物からなる重合用触媒がプロピレンの重合において高活性であり、得られるポリプロピレンの立体規則性を向上させることが報告されている(特公平3−10645号公報、同4−52282号公報)。しかしながら、これらの方法においても、高立体規則性を有する重合体を高収率で得るには必ずしも十分に満足しうるものではなかった。
【0006】
一方、ジアルコキシマグネシウムの一部をハロゲン化した担体に、チタン成分を担持させた固体触媒成分を含むチーグラー・ナッタ触媒を用いてオレフィン重合体を製造する方法が知られている(特公昭60−25441号公報)。しかし、この触媒は単位時間当たりの重合活性が重合初期においては高いものの、重合時間の経過に伴い大きく低下し、ブロック共重合体の製造等の、より長い重合時間を必要とする場合には製造上不利であった。
【0007】
さらに、ジアルコキシマグネシウム、芳香族ジカルボン酸エステル、特定のケイ素化合物および四ハロゲン化チタンからなる重合用触媒が、プロピレンの重合において高活性であり、得られるポリプロピレンの立体規則性を向上させ、さらに重合活性の経時的な低下が小さいことが報告されている(特公平7−25822号公報)。しかし、この方法も、高立体規則性重合体を高収率で得るには必ずしも十分に満足しうるものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、重合活性の経時的な低下が小さく、高活性、高立体規則性を発現するオレフィン重合体製造用固体触媒成分、オレフィン重合体製造用触媒およびオレフィン重合体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、マグネシウム化合物とチタン化合物とを、電子供与性化合物の存在下、120℃以上150℃以下の温度にて接触させた後、100℃以上150℃以下の温度にて不活性溶媒により洗浄することを特徴とするオレフィン重合体製造用固体触媒成分を用いることにより、前記の問題点を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は以下に示すオレフィン重合体製造用固体触媒成分、オレフィン重合体製造用触媒およびオレフィン重合体の製造方法を提供するものである。
(1)(a)マグネシウム化合物と(b)チタン化合物とを、(c)電子供与性化合物の存在下、120℃以上150℃以下の温度にて接触させた後、100℃以上150℃以下の温度にて不活性溶媒により洗浄することを特徴とするオレフィン重合体製造用固体触媒成分。
(2)(a)マグネシウム化合物と(b)チタン化合物とを、(c)電子供与性化合物および(d)ケイ素化合物の存在下、120℃以上150℃以下の温度にて接触させた後、100℃以上150℃以下の温度にて不活性溶媒により洗浄することを特徴とするオレフィン重合体製造用固体触媒成分。
(3)(a)マグネシウム化合物がマグネシウムジアルコキシドである(1)または(2)記載のオレフィン重合体製造用固体触媒成分。
(4)(A)(1)ないし(3)のいずれかに記載のオレフィン重合体製造用固体触媒成分および(B)有機アルミニウム化合物からなるオレフィン重合体製造用触媒。
(5)(A)(1)ないし(3)のいずれかに記載のオレフィン重合体製造用固体触媒成分、(B)有機アルミニウム化合物および(C)第3成分としての電子供与性化合物を含むオレフィン重合体製造用触媒。
(6)(4)または(5)記載のオレフィン重合体製造用触媒を用いてオレフィン類を重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のオレフィン重合体製造用固体触媒成分は、マグネシウム化合物とチタン化合物とを、電子供与性化合物および必要に応じてケイ素化合物の存在下、120℃以上150℃以下の温度にて接触させた後、100℃以上150℃以下の温度にて不活性溶媒により洗浄することを特徴とする。また、本発明のオレフィン重合体製造用触媒は、(A)上記のオレフィン重合体製造用固体触媒成分、(B)有機アルミニウム化合物および必要に応じて(C)第3成分として電子供与性化合物からなることを特徴とする。さらに、本発明のオレフィン重合体の製造方法は、前記オレフィン重合体製造用触媒媒成分を用いてオレフィン類を重合することを特徴とするものである。
【0012】
以下に、各触媒成分、調整方法、重合方法等について説明する。
〔I〕各触媒成分
(A) オレフィン重合体製造用固体触媒成分
オレフィン重合体製造用固体触媒成分は、チタン、マグネシウムおよび電子供与体からなるものであり、以下の(a)チタン化合物、(b)マグネシウム化合物、(c)電子供与体から形成されるものである。
(a)チタン化合物
チタン化合物としては、特に制限はないが、一般式(I)
TiX1 p (OR1 4-p ……(I)
で表されるチタン化合物を好ましく用いることができる。
【0013】
上記の一般式(I)において、X1 はハロゲン原子を示し、その中でも塩素原子および臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。R1 は炭化水素基であって、飽和基や不飽和基であってもよく、直鎖状のものや分枝鎖を有するもの、あるいは環状のものであってもよく、さらにはイオウ、窒素、酸素、ケイ素、リンなどのヘテロ原子を含むものであってもよい。好ましくは炭素数1〜10個の炭化水素基、特にアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基およびアラルキル基などが好ましく、直鎖または分岐鎖のアルキル基が特に好ましい。−OR1 が複数存在する場合にはそれらは互いに同じでも異なってもよい。R1 の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、アリル基、ブテニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。pは0〜4の整数を示す。
【0014】
上記の一般式(I)で示されるチタン化合物の具体例としては、テトラメトキシチタン,テトラエトキシチタン,テトラ−n−プロポキシチタン,テトライソプロポキシチタン,テトラ−n−ブトキシチタン,テトライソブトキシチタン,テトラシクロヘキシロキシチタン,テトラフェノキシチタン等のテトラアルコキシチタン;四塩化チタン,四臭化チタン,四ヨウ化チタン等のテトラハロゲン化チタン;メトキシチタントリクロリド,エトキシチタントリクロリド,プロポキシチタントリクロリド,n−ブトキシチタントリクロリド,エトキシチタントリブロミド等のトリハロゲン化アルコキシチタン;ジメトキシチタンジクロリド,ジエトキシチタンジクロリド,ジイソプロポキシチタンジクロリド,ジ−n−プロポキシチタンジクロリド,ジエトキシチタンジブロミド等のジハロゲン化ジアルコキシチタン;トリメトキシチタンクロリド,トリエトキシチタンクロリド,トリイソプロポキシチタンクロリド,トリ−n−プロポキシチタンクロリド,トリ−n−ブトキシチタンクロリド等のモノハロゲン化トリアルコキシチタンなどを挙げることができる。これらの中で、重合活性の面から、高ハロゲン含有チタン化合物、特に四塩化チタンが好ましい。これらのチタン化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)マグネシウム化合物
マグネシウム化合物としては、特に制限はないが、一般式(II)
MgR2 3 ……(II)
で表されるマグネシウム化合物を好ましく用いることができる。
【0015】
上記の一般式(II)において、R2 およびR3 は、炭化水素基、OR4 基(R4 は炭化水素基)またはハロゲン原子を示す。ここで、R2 およびR3 の炭化水素基としては、炭素数1〜12個のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等を、OR4 基としては、R4 が炭素数1〜12個のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等を、ハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素等を挙げることができる。また、R2 およびR3 は、同一でも異なってもよい。
【0016】
上記の一般式(II)で示されるマグネシウム化合物の具体例としては、ジメチルマグネシウム,ジエチルマグネシウム,ジイソプロピルマグネシウム,ジブチルマグネシウム,ジヘキシルマグネシウム,ジオクチルマグネシウム,エチルブチルマグネシウム,ジフェニルマグネシウム,ジシクロヘキシルマグネシウム等のアルキルマグネシウム,アリールマグネシウム;ジメトキシマグネシウム,ジエトキシマグネシウム,ジプロポキシマグネシウム,ジブトキシマグネシウム,ジヘキシロキシマグネシウム,ジオクトキシマグネシウム,ジフェノキシマグネシウム,ジシクロヘキシロキシマグネシウム等のアルコキシマグネシウム,アリロキシマグネシウム;エチルマグネシウムクロリド,ブチルマグネシウムクロリド,ヘキシルマグネシウムクロリド,イソプロピルマグネシウムクロリド,イソブチルマグネシウムクロリド,t−ブチルマグネシウムクロリド,フェニルマグネシウムブロミド,ベンジルマグネシウムクロリド,エチルマグネシウムブロミド,ブチルマグネシウムブロミド,フェニルマグネシウムクロリド,ブチルマグネシウムイオダイド等のアルキルマグネシウムハライド,アリールマグネシウムハライド;ブトキシマグネシウムクロリド,シクロヘキシロキシマグネシウムクロリド,フェノキシマグネシウムクロリド,エトキシマグネシウムブロミド,ブトキシマグネシウムブロミド,エトキシマグネシウムイオダイド等のアルコキシマグネシウムハライド,アリロキシマグネシウムハライド;塩化マグネシウム,臭化マグネシウム,ヨウ化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウム等を挙げることができる。
【0017】
これらのマグネシウム化合物の中でも、重合活性および立体規則性の面から、マグネシウムハライド、アルコキシマグネシウム、アルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムハライドが好適に使用できる。
上記のマグネシウム化合物は、金属マグネシウム、またはマグネシウムを含有する化合物から調製することができる。
【0018】
一例としては、金属マグネシウムにハロゲン化物および一般式X2 m M(OR5 n-m で表されるアルコキシ基含有化合物(式中、X2 は水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜20個の炭化水素基を示し、Mはホウ素、炭素、アルミニウム、ケイ素またはリン原子を示し、またR5 は炭素数1〜20個の炭化水素基を示す。nはMの原子価、n>m≧0を示す。)を接触させる方法が挙げられる。
【0019】
ここで、ハロゲン化物としては、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四塩化スズ、四臭化スズ、塩化水素等が挙げられる。これらの中では四塩化ケイ素が好ましい。 上記のX2 およびR5 の炭化水素基としては、メチル基,エチル基,プロピル基,イソプロピル基,ブチル基,イソブチル基,ヘキシル基,オクチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基,アリル基,プロペニル基,ブテニル基等のアルケニル基;フェニル基,トリル基,キシリル基等のアリール基;フェネチル,3−フェニルプロピル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらの中では特に炭素数1〜10個のアルキル基が好ましい。
また他の一例として、Mg(OR6 2 で表されるマグネシウムアルコキシ化合物(式中、R6 は、炭素数1〜20個の炭化水素基を示す。)にハロゲン化物を接触させる方法が挙げられる。
【0020】
上記のハロゲン化物としては、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四塩化スズ、四臭化スズ、塩化水素等が挙げられる。これらの中では、重合活性および立体規則性の面から、四塩化ケイ素が好ましい。 上記のR6 としては、メチル基,エチル基,プロピル基,イソプロピル基,ブチル基,イソブチル基,ヘキシル基,オクチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基,アリル基,プロペニル基,ブテニル基等のアルケニル基;フェニル基,トリル基,キシリル基等のアリール基;フェネチル,3−フェニルプロピル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらの中では特に炭素数1〜10個のアルキル基が好ましい。
【0021】
またこれらのMg化合物は単独でも良いし、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、シリカ、アルミナ、ポリスチレン等の支持体に担持して用いてもよく、ハロゲン等との混合物として用いてもよい。
(c)電子供与体
電子供与体としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸、マロン酸、有機酸もしくは無機酸のエステル類、モノエーテル、ジエーテルもしくはポリエーテル等のエーテル類等の含酸素電子供与体や、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネート等の含窒素電子供与体を挙げることができる。これらの中では、多価カルボン酸のエステル類が好ましく、さらに好ましくは、芳香族多価カルボン酸のエステル類である。重合活性の面から、特に芳香族ジカルボン酸のモノエステルおよび/またはジエステルが好ましい。また、エステル部の有機基が直鎖、分岐または環状の脂肪族炭化水素が好ましい。
【0022】
具体的には、フタル酸、ナフタレン−1, 2−ジカルボン酸,ナフタレン−2,3−ジカルボン酸、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸、インダン−4,5−ジカルボン酸、インダン−5,6−ジカルボン酸等のジカルボン酸のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル等のジアルキルエステルが挙げられる。これらの中では、フタル酸ジエステル類が好ましく、また、エステル部の有機基の炭素数が4個以上の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素が好ましい。
【0023】
この具体例としては、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ−n−ヘプチル、フタル酸ジエチルなどを好ましく挙げることができる。また、これらの化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(d)ケイ素化合物
固体触媒成分の調製に、前記(a)、(b)および(c)成分に加えて、場合により(d)成分として、一般式(III)
Si(OR7 q 3 4-q ……(III)
で表されるケイ素化合物を用いることができる。ケイ素化合物を用いることにより、触媒活性および立体規則性の向上ならびに生成ポリマー中の微粉量の低減が図れることがある。
【0024】
上記の一般式(III)において、X3 はハロゲン原子を示し、これらの中で塩素原子および臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。R7 は炭化水素基であって、飽和基や不飽和基であってもよく、直鎖状のものや分枝鎖を有するもの、あるいは環状のものであってもよく、さらにはイオウ、窒素、酸素、ケイ素、リンなどのヘテロ原子を含むものであってもよい。好ましくは炭素数1〜10個の炭化水素基、特にアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基およびアラルキル基などが好ましい。−OR7 が複数存在する場合にはそれらは互いに同じでも異なってもよい。R7 の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、アリル基、ブテニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。qは0〜3の整数を示す。
【0025】
上記の一般式(III)で示されるケイ素化合物の具体例としては、四塩化ケイ素、メトキシトリクロロシラン、ジメトキシジクロロシラン、トリメトキシクロロシラン、エトキシトリクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、プロポキシトリクロロシラン、ジプロポキシジクロロシラン、トリプロポキシクロロシランなどを挙げることができる。これらの中で特に四塩化ケイ素が好ましい。これらのケイ素化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)有機アルミニウム化合物
本発明に用いられる(B)有機アルミニウム化合物としては、特に制限はないが、アルキル基、ハロゲン原子、水素原子、アルコキシ基を有するもの、アルミノキサンおよびそれらの混合物を好ましく用いることができる。具体的には、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムモノクロリド,ジイソプロピルアルミニウムモノクロリド,ジイソブチルアルミニウムモノクロリド,ジオクチルアルミニウムモノクロリド等のジアルキルアルミニウムモノクロリド;エチルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;メチルアルミノキサン等の鎖状アルミノキサン等を挙げることができる。これらの有機アルミニウム化合物の中では、炭素数1〜5個の低級アルキル基を有するトリアルキルアルミニウム、特にトリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリプロピルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムが好ましい。また、これらの有機アルミニウム化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)第3成分(電子供与性化合物)
本発明に係るオレフィン重合用触媒の調製には必要に応じて、(C)電子供与性化合物が用いられる。この(C)電子供与性化合物としては、Si−O−C結合を有する有機ケイ素化合物、窒素含有化合物、リン含有化合物、酸素含有化合物を用いることができる。このうち、重合活性および立体規則性の面から、Si−O−C結合を有する有機ケイ素化合物、エーテル類およびエステル類を用いることが好ましく、特にSi−O−C結合を有する有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。
【0026】
このSi−O−C結合を有する有機ケイ素化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、エチルイソプロピルジメトキシシラン、プロピルイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソプロピルイソブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチルプロピルジメトキシシラン、t−ブチルイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルブチルジメトキシシラン、t−ブチルイソブチルジメトキシシラン、t−ブチル(s−ブチル)ジメトキシシラン、t−ブチルアミルジメトキシシラン、t−ブチルヘキシルジメトキシシラン、t−ブチルヘプチルジメトキシシラン、t−ブチルオクチルジメトキシシラン、t−ブチルノニルジメトキシシラン、t−ブチルデシルジメトキシシラン、t−ブチル(3,3,3−トリフルオロメチルプロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルプロピルジメトキシシラン、シクロペンチル−t−ブチルジメトキシシラン、シクロヘキシル−t−ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ビス(2−メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,3−ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、s−ブチルトリメトキシシラン、アミルトリメトキシシラン、イソアミルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、ノルボルナントリメトキシシラン、インデニルトリメトキシシラン、2−メチルシクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチル(t−ブトキシ)ジメトキシシラン、イソプロピル(t−ブトキシ)ジメトキシシラン、t−ブチル(イソブトキシ)ジメトキシシラン、t−ブチル(t−ブトキシ)ジメトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、テキシルイソプロポキシジメトキシシラン、テキシル(t−ブトキシ)ジメトキシシラン、テキシルメチルジメトキシシラン、テキシルエチルジメトキシシラン、テキシルイソプロピルジメトキシシラン、テキシルシクロペンチルジメトキシシラン、テキシルミリスチルジメトキシシラン、テキシルシクロヘキシルジメトキシシラン等が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
窒素含有化合物の具体例としては、2,6−ジイソプロピルピペリジン,2,6−ジイソプロピル−4−メチルピペリジン,N−メチル2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどの2,6−置換ピペリジン類;2,5−ジイソプロピルアゾリジン,N−メチル2,2,5,5−テトラメチルアゾリジンなどの2,5−置換アゾリジン類;N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン,N,N,N’,N’−テトラエチルメチレンジアミンなどの置換メチレンジアミン類;1,3−ジベンジルイミダゾリジン,1,3−ジベンジル−2−フェニルイミダゾリジンなどの置換イミダゾリジン類等が挙げられる。
【0028】
リン含有化合物の具体例としては、トリエチルホスファイト、トリn−プロピルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト、トリn−ブチルホスファイト、トリイソブチルホスファイト、ジエチルn−ブチルホスファイト、ジエチルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類等である。
酸素含有化合物の具体例としては、2,2,6,6−テトラメチルテトラヒドロフラン,2,2,6,6−テトラエチルテトラヒドロフランなどの2,6−置換テトラヒドロフラン類;1,1−ジメトキシ−2,3,4,5−テトラクロロシクロペンタジエン,9,9−ジメトキシフルオレン,ジフェニルジメトキシメタンなどのジメトキシメタン誘導体等が挙げられる。
〔II〕固体触媒成分の調製
前記(A)の固体触媒成分の調製方法としては、上記の(a)チタン化合物、(b)マグネシウム化合物、(c)電子供与体、および必要に応じて(d)ケイ素化合物を、温度を除き通常の方法で接触させればよく、接触手順については特に問わない。例えば、各成分を炭化水素などの不活性溶媒の存在下で接触させてもよいし、予め炭化水素などの不活性溶媒で各成分を希釈して接触させてもよい。この不活性溶媒としては、例えば、オクタン、デカン、エチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素またはこれらの混合物を挙げることができる。
【0029】
ここで、チタン化合物は、上記のマグネシウム化合物のマグネシウム1モルに対して、通常、0.5〜100モル、好ましくは、1〜50モル使用する。このモル比が前記範囲を逸脱すると触媒活性が不十分となることがある。また、上記の電子供与体は、上記のマグネシウム化合物のマグネシウム1モルに対して、通常、0.01〜10モル、好ましくは、0.05〜1.0モル使用する。このモル比が前記範囲を逸脱すると触媒活性や立体規則性が不十分となることがある。さらに、ケイ素化合物を用いるときは、上記のマグネシウム化合物のマグネシウム1モルに対して、通常、0.001〜100モル、好ましくは、0.005〜5.0モル使用する。このモル比が前記範囲を逸脱すると触媒活性や立体規則性の向上効果が十分に発揮されず、かつ生成ポリマー中の微粉量が多くなることがある。
【0030】
上記の(a)〜(d)成分の接触は、全成分を加えた後、120〜150℃、好ましくは125〜140℃の温度範囲にて行う。この接触温度が前記範囲外では、触媒活性や立体規則性の向上効果が十分に発揮されない。また、接触は、通常、1分〜24時間、好ましくは、10分〜6時間行われる。このときの圧力は、溶媒を使用する場合はその種類、接触温度などにより、その範囲は変化するが、通常、0〜50kg/cm2 G、好ましくは0〜10kg/cm2 Gの範囲にて行う。また、接触操作中は、接触の均一性および接触効率の面から攪拌を行うことが好ましい。
【0031】
さらに、チタン化合物の接触を2回以上行い、触媒担体としての役割をするマグネシウム化合物に十分担持させることが好ましい。
接触操作において溶媒を使用するときは、チタン化合物1モルに対して、通常、5000ミリリットル以下、好ましくは、10〜1000ミリリットルの溶媒を使用する。この比が前記範囲を逸脱すると接触の均一性や接触効率が悪化することがある。
【0032】
以上の接触で得られた固体触媒成分は、100〜150℃、好ましくは120〜140℃の温度にて不活性溶媒で洗浄する。この洗浄温度が上記範囲外では、触媒活性や立体規則性の向上効果が十分に発揮されない。この不活性溶媒としては、例えば、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、テトラクロロエタン、クロロフルオロ炭素類などのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物を挙げることができる。これらのなかでは、脂肪族炭化水素が好ましく使用される。
【0033】
洗浄方法としては、特に制限はないが、デカンテーション、濾過などの方式が好ましい。不活性溶媒の使用量、洗浄時間、洗浄回数についても特に制限はないが、マグネシウム化合物1モルに対して、通常、100〜100000ミリリットル、好ましくは、1000〜50000ミリリットルの溶媒を使用し、通常、1分〜24時間、好ましくは、10分〜6時間行われる。この比が前記範囲を逸脱すると洗浄が不完全になることがある。
【0034】
このときの圧力は、溶媒の種類、洗浄温度などにより、その範囲は変化するが、通常、0〜50kg/cm2 G、好ましくは、0〜10kg/cm2 Gの範囲にて行う。また、洗浄操作中は、洗浄の均一性および洗浄効率の面から攪拌を行うことが好ましい。
なお、得られた固体触媒成分は、乾燥状態または炭化水素などの不活性溶媒中で保存することもできる。
〔III〕重合
本発明における触媒の成分の使用量については、特に制限はないが、(A)成分の固体触媒成分は、チタン原子に換算して、反応容積1リットル当たり、通常0.00005〜1ミリモルの範囲になるような量が用いられ、(B)成分の有機アルミニウム化合物は、アルミニウム/チタン原子比が通常1〜1000、好ましくは10〜500の範囲になるような量が用いられる。この原子比が前記範囲を逸脱すると触媒活性が不十分となることがある。また、(C)第3成分として有機ケイ素化合物等の電子供与性化合物を用いるときは、(C)電子供与性化合物/(B)有機アルミニウム化合物モル比が、通常0.001〜5.0、好ましくは0.01〜2.0、より好ましくは0.05〜1.0の範囲になるような量が用いられる。このモル比が前記範囲を逸脱すると十分な触媒活性および立体規則性が得られないことがある。ただし、予備重合を行う場合は、さらに低減することができる。
【0035】
本発明に用いられるオレフィンとしては、一般式(IV)
8 −CH=CH2 ……(IV)
で表されるα−オレフインが好ましい。
上記の一般式(IV)において、R8 は水素原子または炭化水素基であって、炭化水素基では飽和基や不飽和基であってもよいし、直鎖状のものや分枝鎖を有するもの、あるいは環状のものであってもよい。具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン等を挙げることができる。これらのオレフィンは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記オレフィンの中で、特にエチレン、プロピレンが好適である。
【0036】
本発明におけるオレフィンの重合においては、重合活性、立体規則性および重合体パウダー形態の面から、所望に応じ、先ずオレフィンの予備重合を行ったのち、本重合を行ってもよい。この場合、前記(A)固体触媒成分、(B)有機アルミニウム化合物および必要に応じて(C)電子供与性化合物を、それぞれ所定の割合で混合してなる触媒の存在下に、オレフィンを通常1〜100℃の範囲の温度において、常圧ないし50kg/cm2 G程度の圧力で予備重合させ、次いで触媒と予備重合生成物との存在下に、オレフィンを本重合させる。この本重合における重合形式については特に制限はなく、溶液重合、スラリー重合、気相重合、バルク重合等のいずれにも適用可能であり、さらに、回分式重合や連続重合のどちらにも適用可能であり、異なる条件での2段階重合や多段重合にも適用可能である。
【0037】
さらに、反応条件については、その重合圧は、特に制限はなく、重合活性の面から、通常、大気圧〜80kg/cm2 G、好ましくは2〜50kg/cm2 G、重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは、30〜100℃の範囲で適宜選ばれる。重合時間は原料のオレフィンの種類や重合温度によって左右され一概に定めることができないが、通常、5分〜20時間、好ましくは、10分〜10時間程度である。
【0038】
分子量は、連鎖移動剤の添加、好ましくは水素の添加を行うことで調節することができる。また、窒素等の不活性ガスを存在させてもよい。
また、本発明における触媒成分については、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを所定の割合で混合し、接触させたのち、ただちにオレフィンを導入して重合をおこなってもよいし、接触後、0.2〜3時間程度熟成させたのち、オレフィンを導入して重合を行ってもよい。さらに、この触媒成分は不活性溶媒やオレフィンなどに懸濁して供給することができる。
【0039】
本発明においては、重合後の後処理は常法により行うことができる。すなわち、気相重合法においては、重合後、重合器から導出されるポリマー粉体に、その中に含まれるオレフィンなどを除くために、窒素気流などを通過させてもよいし、また、所望に応じて押出機によりペレット化してもよく、その際、触媒を完全に失活させるために、少量の水、アルコールなどを添加することもできる。また、バルク重合法においては、重合後、重合器から導出されるポリマーから完全にモノマーを分離したのち、ペレット化することができる。
【0040】
【実施例】
次に実施例により本発明を具体的に示すが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、固有粘度[η]、立体規則性[mmmm]は次のようにして求めた。
(1)固有粘度[η]:デカリンに溶解し135℃で測定した。
(2)立体規則性[mmmm]:重合体を1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶液に溶解し、13C−NMR(日本電子(株)製LA−500)を用いて、130℃にてプロトン完全デカップリング法により測定したメチル基のシグナルを用いて定量した。本発明で用いられるアイソタクチックペンタッド分率[mmmm]とは、エイ・ザンベリ(A. Zambelli)等の“Macromolecules, , 925 (1973)”で提案された13C核磁気共鳴スペクトルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位での、アイソタクチック分率を意味する。また、本13C核磁気共鳴スペクトルの測定におけるピークの帰属決定法は、エイ・ザンベリ(A. Zambelli)等の“Macromolecules, , 687 (1975)”で提案された帰属に従った。
〔実施例1〕
(1)固体触媒成分の調製
内容積0.5リットルの攪拌機付きの三つ口フラスコを窒素ガスで置換した後、脱水処理したオクタンを60ミリリットル、ジエトキシマグネシウム16gを加えた。40℃に加熱し、四塩化ケイ素2.4ミリリットルを加えて20分間攪拌した後、フタル酸ジブチル1.6ミリリットルを添加した。この溶液を80℃まで昇温し、引き続き四塩化チタンを77ミリリットル滴下し、内温125℃で、2時間攪拌して接触操作を行った。その後、攪拌を停止して固体を沈降させ、上澄みを抜き出した。100ミリリットルの脱水オクタンを加え、攪拌しながら125℃まで昇温し、1分間保持した後、攪拌を停止して固体を沈降させ、上澄みを抜き出した。この洗浄操作を7回繰り返した。さらに、四塩化チタンを122ミリリットル加え、内温125℃で、2時間攪拌して2回目の接触操作を行った。その後、上記の125℃の脱水オクタンによる洗浄を6回繰り返し、固体触媒成分を得た。
(2)プロピレン重合
内容積1リットルの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、室温にて脱水処理したオクタン400ミリリットルを加えた。トリエチルアルミニウム2.0ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.1ミリモル、上記の固体触媒成分をTi原子換算で0.005ミリモル加え、水素を0.5kg/cm2 G張り込み、続いてプロピレンを導入しながら80℃、全圧8kg/cm2 Gまで昇温昇圧してから、2時間重合を行った。その後、降温、脱圧し、内容物を取り出し、2リットルのメタノールに投入し、触媒失活を行った。それを濾別し、真空乾燥して、プロピレン重合体を得た。結果を第1表に示す。
〔実施例2〕
(1)固体触媒成分の調製
内容積0.5リットルの攪拌機付きの三つ口フラスコを窒素ガスで置換した後、脱水処理したデカンを60ミリリットル、ジエトキシマグネシウム16gを加えた。40℃に加熱し、四塩化ケイ素2.4ミリリットルを加えて20分間攪拌した後、フタル酸ジブチル1.6ミリリットルを添加した。この溶液を80℃まで昇温し、引き続き四塩化チタンを77ミリリットル滴下し、内温135℃で、2時間攪拌して接触操作を行った。その後、攪拌を停止して固体を沈降させ、上澄みを抜き出した。100ミリリットルの脱水デカンを加え、攪拌しながら135℃まで昇温し、1分間保持した後、攪拌を停止して固体を沈降させ、上澄みを抜き出した。この洗浄操作を7回繰り返した。さらに、四塩化チタンを122ミリリットル加え、内温135℃で、2時間攪拌して2回目の接触操作を行った。その後、上記の135℃の脱水デカンによる洗浄を6回繰り返し、固体触媒成分を得た。
(2)プロピレン重合
〔実施例1〕(2)と同様の重合を行った。結果を第1表に示す。
〔比較例1〕
(1)固体触媒成分の調製
内容積0.5リットルの攪拌機付きの三つ口フラスコを窒素ガスで置換した後、脱水処理したオクタンを60ミリリットル、ジエトキシマグネシウム16gを加えた。40℃に加熱し、四塩化ケイ素2.4ミリリットルを加えて20分間攪拌した後、フタル酸ジブチル2.5ミリリットルを添加した。この溶液を80℃まで昇温し、引き続き四塩化チタンを77ミリリットル滴下し、内温110℃で、2時間攪拌して接触操作を行った。その後、攪拌を停止して固体を沈降させ、上澄みを抜き出した。100ミリリットルの脱水オクタンを加え、攪拌しながら60℃まで昇温し、1分間保持した後、攪拌を停止して固体を沈降させ、上澄みを抜き出した。この洗浄操作を7回繰り返した。さらに、四塩化チタンを122ミリリットル加え、内温110℃で、2時間攪拌して2回目の接触操作を行った。その後、上記の60℃の脱水オクタンによる洗浄を6回繰り返し、固体触媒成分を得た。
(2)プロピレン重合
〔実施例1〕(2)と同様の重合を行った。結果を第1表に示す。
〔比較例2〕
オクタンによる洗浄温度を90℃とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を第1表に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0003898832
【0042】
〔実施例3〕
エチレン/プロピレン共重合
内容積1リットルの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、室温にて脱水処理したヘプタン400ミリリットルを加えた。トリエチルアルミニウム0.25ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.05ミリモル加え、水素を1.0kg/cm2 G張り込み、続いてエチレン/プロピレン混合ガス(エチレン濃度2容量%)を導入しながら70℃、全圧6kg/cm2 Gまで昇温昇圧してから、〔実施例1〕(2)で調製した上記固体触媒成分をTi原子換算で0.0025ミリモル加え、圧力を保持するよう上記混合ガスを導入しながら30分間重合を行った。その間に消費した混合ガス量を流量計にて測定した。結果を第2表に示す。
〔比較例3〕
エチレン/プロピレン共重合
〔比較例1〕(1)で調製した固体触媒成分を使用した以外は〔実施例3〕と同様の重合を行った。結果を第2表に示す。
【0043】
【表2】
Figure 0003898832
【0044】
【発明の効果】
本発明により、特定の条件で調製した固体触媒成分を用い、高活性、高立体規則性を発現し、共重合時における触媒活性の低下が少ないオレフィン重合用固体触媒成分、オレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、本発明のオレフィンの重合における一態様を表すフローチャートである。

Claims (6)

  1. (a)マグネシウム化合物と(b)下記一般式(I)で表されるチタン化合物とを、(c)芳香族多価カルボン酸のエステル類の存在下、125℃以上140℃以下の温度にて接触させた後、120℃以上140℃以下の温度にて不活性溶媒により洗浄することを特徴とするオレフィン重合体製造用固体触媒成分。
    TiX (OR 4−p ・・・(I)
    (式中、X はハロゲン原子を示し、R は炭化水素基を示し、pは0〜4の整数を示す。)
  2. (a)マグネシウム化合物と(b)下記一般式(I)で表されるチタン化合物とを、(c)芳香族多価カルボン酸のエステル類および(d)ケイ素化合物の存在下、125℃以上140℃以下の温度にて接触させた後、120℃以上140℃以下の温度にて不活性溶媒により洗浄することを特徴とするオレフィン重合体製造用固体触媒成分。
    TiX (OR 4−p ・・・(I)
    (式中、X はハロゲン原子を示し、R は炭化水素基を示し、pは0〜4の整数を示す。)
  3. (a)マグネシウム化合物がマグネシウムジアルコキシドである請求項1または2記載のオレフィン重合体製造用固体触媒成分。
  4. (A)請求項1ないし3のいずれかに記載のオレフィン重合体製造用固体触媒成分および(B)有機アルミニウム化合物からなるオレフィン重合体製造用触媒。
  5. (A)請求項1ないし3のいずれかに記載のオレフィン重合体製造用固体触媒成分、(B)有機アルミニウム化合物および(C)第3成分としての電子供与性化合物を含むオレフィン重合体製造用触媒。
  6. 請求項4または5記載のオレフィン重合体製造用触媒を用いてオレフィン類を重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
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